著者
越智 亮 坂野 裕洋 金井 章 森岡 周
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.427-432, 2006 (Released:2007-01-11)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

立位で頚部に振動刺激を与えると,頚部固有受容器からの感覚変化が生じることで頭部位置の混乱を引き起こし,自己中心参照枠が変更され,姿勢変化が生じるとされている。本研究の目的は,健常者を対象に頚部振動刺激の介入を行い,その残存効果によって起立動作の身体重心変位が生じるかどうか,被験者の内省報告と三次元動作解析装置,および床反力計を用いて検証することである。計測は,座位で頚部後方へ振動刺激を1分間与え,被験者に頚部前屈の運動錯覚を生じさせた後,起立動作とそれに伴う重心変位を記録した。その結果,起立動作における重心位置の前方変位が生じ,さらに6分後までその重心前方変位が確認された。振動刺激によって誘発される,頚部固有受容器からの継続された感覚変化が起立動作後の重心位置に影響を及ぼすと結論した。
著者
上西 蔵人 金山 竜沢 東 秀隆 吉居 啓幸 老沼 和弘 白土 英明
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.37-43, 2016 (Released:2017-03-31)
参考文献数
17

Objective: When the extension gap is smaller than the flexion gap during total knee arthroplasty (TKA), an additional osteotomy of the distal femur is needed, which results in joint line elevation. We hypothesized that the chief cause of a decrease in the extension gap is excessive tension of both the medial collateral ligament and posteromedial capsule during knee extension. Therefore, we introduced a new technique called the “posteromedial-longitudinal capsulotomy” (PMLC) in May 2013 that allowed the separation of the medial collateral ligament from the posteromedial capsule, making it possible to expand the extension gap selectively. Our objective in this study was to assess the relationship between PMLC and the joint line in total knee arthroplasty.Methods: We compared two groups: Group A (70 patients, 85 knees) who underwent TKA before May 2013 prior to the introduction of PMLC, and Group B (77 patients, 91 knees) who underwent TKA after its introduction after May 2013. The posterior cruciate ligament was preserved in all patients. We evaluated the joint line based on differences in thickness between the surgically removed femoral bone and femoral components. We adjusted the thickness of the bone saw accordingly.Results: Expansion of the extension gap was needed in 66 of the 85 Group A knees (78%) and in 75 of the 91 Group B knees (82%), respectively. The technique for expansion in Group A was additional distal femoral osteotomy in 20 cases and other soft tissue release in 46 cases. In Group B there was additional distal femoral osteotomy in 14 cases and PMLC in 61 cases. The amount of distal osteotomy was 2.9 mm in Group A and 1.1 mm in Group B, which was significantly smaller. The amount of differences in the joint line was 0.9±3.2 mm (medial) and 1.6±2.6 mm (lateral) in Group A and −0.4±2.2 mm (medial) and 0.6±1.9 mm (lateral) in Group B, respectively.Conclusion: PMLC significantly reduces the amount of osteotomy required in TKA, and makes it possible to control elevation of the joint line.
著者
武輪 鈴子 谷口 奈穂 田中 幸代 中野 崇秀 蓮井 正史 金子 一成 野津 寛大
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.147-151, 2009-11-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
2

腎性低尿酸血症は,human urate transporter1の異常により低尿酸血症をきたす疾患で,運動後急性腎不全の合併が多い。その発症機序について二つの仮説,すなわち「急性尿酸腎症説」および「活性酸素関与説」が提唱されているが,詳細は不明である。 本論文では,腎性低尿酸血症の患者において運動後急性腎不全の合併しやすい理由を過去の文献を参考に考察するとともに,筆者らが経験した腎性低尿酸血症患児において,運動負荷の上で酸化ストレス度と抗酸化力を測定した結果を紹介した。患児は対照成人と同様,運動負荷直後から酸化ストレス度の上昇を示したが,抗酸化力は対照成人と異なり,運動負荷後,急激に低下した。すなわち対照に比して運動負荷時の酸化ストレス増大に見合う抗酸化力を有していないことが示唆された。以上より,酸化ストレス急増時の抗酸化力の相対的不足が腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全発症に関与しているものと思われた。
著者
坂村 美奈 米澤 拓郎 伊藤 友隆 金子 義之 中澤 仁
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.550-572, 2018-04-15

地方自治体には,多種多様化する住民の要望に対して,迅速な把握・対応をする効率的なまちづくりの実現が期待される.しかし,現状の地方自治体の日常的な行政業務では,情報がデータ化・共有できておらず時間的・人的コストが高い部分が存在する.本研究では,地方自治体の日常的な行政業務において,職員の持つ携帯端末を通してリアルタイムな情報を取得可能とする参加型センシングを適用し,効率的な情報収集・共有を可能とすることを目的とする.本研究で開発した情報収集・共有システム,みなレポにより,地方自治体の日常的な行政業務の効率化だけでなく,地方自治体の職員による専門的知識に基づいた情報収集が実現される.みなレポは2016年10月から藤沢市において実運用されており,道路・ゴミの集積所の管理や,動物の死骸・落書き・不法投棄の発見に関するレポートがこれまで計1,740件以上収集された.本稿では,実運用により得られた知見および課題について報告する.
著者
金子 真 和田 充雄 前川 仁 谷江 和雄
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.437-444, 1991-08-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

This paper discusses transmission characteristics of tendon-sheath driving system typically used to actuate robotic finger joints, and also their effects on force control system. For a simple tendonsheath model, we first formulate the transmission characteristics with the newly introduced two physical parameters apparent tendon-stiffness and equivalent backlash. An interesting aspect is that apparent tendon-stiffness changes when the tendon is pulled or loosened, while tendon-stiffness itself keeps constant. This unexpected behavior is confirmed by simulations as well as experiments. We also consider the effect of apparent tendon-stiffness on force control precisely and show that the direction-dependent behavior ofapparent tendon-stiffness eventually brings about a direction-dependent response in the force control system.
著者
西原 歩 巽 好幸 鈴木 桂子 金子 克哉 木村 純一 常 青 日向 宏伸
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

破局的カルデラ形成噴火を生じる膨大な珪長質マグマの起源を理解するために,3万年前に生じた姶良火砕噴火で噴出した入戸火砕流中に含まれる本質岩片の地球化学的・岩石学的特徴を考察した.流紋岩質の白色軽石及び暗色軽石に含まれる斜長石斑晶のコア組成は~An85と~An40にピークを持つバイモーダルな分布を示すことに対して,安山岩質スコリアの斜長石斑晶は~An80にピークを持つユニモーダルな分布を示す.高An(An#=70-90)と低An(An#=30-50)斜長石コアのストロンチウム同位体比は,それぞれ87Sr/86Sr=0.7068±0.0008,0.7059±0.0002である.これらの測定結果は,姶良火砕噴火で噴出した膨大な量の流紋岩質マグマは,高An斜長石の起源である安山岩質マグマと低An斜長石の起源である珪長質マグマの混合によって生じたことを示唆する.苦鉄質マグマからわずかに分化してできた考えられる安山岩質マグマから晶出した斜長石のSr同位体比は,中新世の花崗岩や四万十累層の堆積岩など,高いSr同位体比をもつ上部地殻の岩石を同化したトレンドを持つ.このことは,安山岩質マグマと珪長質マグマの混合が上部地殻浅部で生じたことを示唆する.また,流紋岩質マグマは基盤岩より斜長石中のSr同位体比が低く,基盤岩との同化をほぼ生じていない安山岩質マグマ(英文にあわせてみました)と似たような組成を持つ.このことは,珪長質マグマと苦鉄質マグマは,姶良カルデラ深部の下部地殻のような同一の起源物質から生じているとして説明できる.

1 0 0 0 OA 大東輿地図

著者
[ (朝鮮) 金正浩] [作]
巻号頁・発行日
vol.[19], 1800
著者
菊地 康博 北崎 知子 斉藤 秀之 柴沼 忠夫 諸住 なおみ 金井 靖 米本 儀之 杉田 修 大沼 規男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.227-234, 1994-04-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
5

新規経口ペネム薬SY5555の体液内濃度測定法および体液中での安定性について検討した。微生物学的定量法 (bioassay法) では, 検定菌としてBacillus subtilis ATCC6633, 検定培地として日抗基記載の培地 (ペプトン0.5%, 肉エキス0.3%, クエン酸ナトリウム1%, カンテ ン1.5%, pH6.5~6.6) を用いる寒天平板拡散法により測定可能であった。検出感度はカップ法およびagar well法で0.05μg/ml, ペーパーディスク法で0.10μg/mlであった。血漿中濃度の測定では標準溶液は対照血漿により調整することが必要であり, その時のagar well法での検出感度は0.10μg/mlであった。高速液体クロマトグラフ (HPLC) 法では, 血漿はアセトニトリルで除たん白後, 尿は緩衝液で希釈後。逆相系カラムにより測定可能であり, 検出感度はそれぞれ0.1μg/mlおよび2.5μg/mlであった。臨床第一相試験におけるヒト血漿および尿中のSY5555濃度をbioassay法とHPLC法で測定したところ, 両法による結果はよく相関した。また, SY5555を添加したヒト血漿試料および尿試料をそのまま-20℃ 以下に凍結保存した時, SY5555はそれら体液中で少なくとも42日間は安定であった。
著者
金井 靖 諸住 なおみ 米本 儀之 杉田 修 大沼 規男 菊地 康博
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.243-253, 1994-04-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
13

新規経口ペネム薬SY5555の体内動態をマウス, ラット, イヌを用いて検討した。1.本薬を絶食下のマウス, ラットおよびイヌに経口投与したところ, いずれの種においても消化管より速やかに吸収され, 生物学的利用率はマウスで27.1%, ラットで13.0%, イヌで40.4%であった。2.幼若イヌに経口投与したところ成犬と比べて半減期は延長した。3.本薬は用量依存的に吸収され, 主吸収部位は消化管上部と考えられた。摂餌後のイヌに本薬を経口投与したところ半減期の延長が観察された。4.経口投与後の未変化体の尿中排泄率はラットで3.8%, イヌで16.3%であり, SY5555以外に活性代謝物は認められなかった。胆汁排泄率はラットで0.1%とわずかであった。イヌを用いた定型クリアランス法により本薬は主に尿細管分泌により排泄されることが示された。5.マウス, ラットおよびイヌに経口投与したところ本薬は速やかに各組織に移行した。イヌにおける組織移行率は腎91.2%, 肝20.9%, 心17.0%, 肺18.1%, 前立腺15.3%, 筋15.2%, 顎下腺12.7%であった, 本薬の分布容積はマウスおよびイヌでそれぞれ127, 127ml/kgであり, 他のβ-ラクタム薬と同様に血漿および組織間質液中に分布するものと推定された。6.腎障害ラノトに本薬を経口投与したところ半減期は延長したが, 生物学的利用率は正常群と変わらなかった,7. SY5555は血清中のアルブミンと結合し, 血清蛋白結合率はSY5555濃度が20μg/mlで81.5~91.2%であった。本薬はヒト血清アルブミンに結合したビリルビンを遊離させなかった。8.イヌにSY5555錠剤および粒剤 (小児用剤: ドライシロップ) を投与したところ, 血漿中濃度推移は原体投与時と変わらず, 錠剤および粒剤の生物学的利用率はそれぞれ47.8%, 50.8%であった。
著者
金井 靖 諸住 なおみ 米本 儀之 杉田 修 大沼 規男 安達 栄樹 菊地 康博
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.254-268, 1994-04-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
10

新規経口ペネム薬SY5555のラットおよびイヌにおける体内動態を14C標識体を用いて検討した。1.[14C] SY5555経口投与後の吸収は速やかで, 血漿中放射能濃度はラットでO.5時間, イヌで1.0時間に最高濃度に達した。放射能の尿中排泄率から求めた吸収率はラットで21.8%, イヌで51.6%であった。2.[14C] SY5555静脈内投与後, ほとんどの放射能は尿へ排泄され, 胆汁への排泄はわずかであり, 尿への排泄が主排泄経路であった。経口投与ではラットで17.1%が, イヌで47.0%か尿中に排泄され, 糞中にはそれぞれ85.8%, 52.9%が回収された。3.[14C] SY5555の組織への移行は速やかで, 組織内放射能濃度はほぼ血漿と同様に推移した。ラットおよびイヌともに組織内濃度は腎が最も高く血漿の約3倍の濃度が認められ, その他の組織にも広く分布した。4.血漿および尿中の主代謝物は, β-ラクタム環およびテトラヒドロフラン環か開環したM-1, M-2であった。M-1およびM-2の血漿中濃度はラットで高く, イヌで低かったが, 尿中排泄率には著しい差は認められなかった。これら代謝物は腎ならびに肺に存在するdehydropeptidase-1 (DHP-1) により生成するものと推定された。5.ラットにおけるSY5555のin vivo血漿蛋白結合率は82.8~83.9%であったが, 蛋白との結合は可逆的であった。代謝物の蛋白結合率はM-1で4.3~7.9%, M-2で69.0~76.2%であった。SY5555は血球にほとんど移行しなかった。
著者
金澤 輝代士 早川 尚男
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.141-142, 2011-04-05

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。

1 0 0 0 OA 松亭反故嚢

著者
松亭金水
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
金 義慶 南 豊彦 中川 のぶ子 多田 直樹 井野 千代徳
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.172-177, 2006-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

49歳男性で咽頭痛、口内痛を主訴とするSweet病を経験した。口内と咽頭には多数の口内炎を認めた。頸部、胸部、背部に皮疹が認められ、加えてCRPが高値で白血球増多を認めるにもかかわらず抗生剤無効のために、筆者らはベーチェット病を疑った。皮膚疾患に対して皮膚科の診察を仰いだところ、Sweet病が疑われるとのことで皮膚生検が行われ、確診した。Sweet病とベーチェット病は症状、所見で酷似することも少なくなく合併することもある。さらに治療法もほとんど同じとなるがSweet病では悪性腫瘍、骨髄異形成症の合併が認められることがあるので鑑別は慎重かつ厳格に行われるべきものと考えた。
著者
浦久保 知也 大場 徹也 岡村 元義 金田 伸一 川俣 治 塩見 哲次 重松 弘樹 菅谷 真二 菅原 敬信 曲田 純二 丸山 裕一 元木 政道
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.23-36, 2008 (Released:2009-12-04)
参考文献数
6

The Bio-Virus Safety Committee (BV-Committee), one of the committees of the Parental Drug Association Japan (PDA Japan), has discussed various concerns on biopharmaceuticals from scientific, technical and regulatory perspective. One of the most significant concerns is the risk of contamination of infectious agents into manufacturing process and products. This risk should be addressed, as required per the international regulations, by minimizing to use raw materials sourced from animal origin and by performing viral clearance studies in order to evaluate capability of purification process to reduce and/or inactivate known and/or adventitious viruses. BV-Committee reported the conclusions of discussion how to prepare and qualify cell bank system as one of raw materials and how much Log Reduction Value (LRV) should be targeted in virus clearance studies in the 13th annual conference of the PDA Japan in 2005 and published in the PDA Journal1). Since 2007, BV-Committee discussed the practical experimental procedures for viral clearance studies and reported the conclusions in the 14th annual conference of the PDA Japan in 2007 and reported in the PDA journal2). In the report, standardized and practical experimental procedures for viral clearance studies were proposed, considering not only requirements for submission to the regulatory agencies but also experimental technique. In addition, trouble shooting based upon the actual experience of the members, information regarding Contract Research Organizations (CROs), references of international guidelines, and worksheets for viral clearance study are provided.   Since 2008, BV-Committee has discussed how the Quality Risk Management (QRM) approach can be applied to manufacturing and quality control of biopharmaceuticals through a case study of a recombinant monoclonal antibody. The conclusion was presented in the 15th annual conference of the PDA Japan in 2008. In the case study, we supposed that viral contamination and residual process related impurities could be the source of quality risk. Risk assessment practice was performed, focusing on the following five categories, “Cell Banking”, “Cell Culture”, “Purification”, “Medium/Buffer Preparation” and “Viral Inactivation and Filtration”. In certain items, where the assessment showed higher risk, preventative measures to control the risk were discussed.