著者
金城 春野 小倉 暢之
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.83, no.744, pp.307-314, 2018
被引用文献数
2

&nbsp;More than 75,000 emergency houses, called the standard prefabricated house, were built in Okinawa after the war in approximately four years, beginning in 1946, which made a great contribution to reconstruction. The standard prefabricated house was designed by a local architect named Hisao Nakaza (1904-1962) at the U.S. naval military government Okinawa public works department on Nov. 30, 1945.<br>&nbsp;The purpose of this study is to clarify the details of the situation about the process, the design and the supply system of the standard prefabricated house, and to also clarify the actual factor of the massive and quick supply. This paper consists of five chapters.<br>&nbsp;Chapter 1 describes the background based on the career and articles of Nakaza and why he began to design the standard house. According to his career, he had experience with evacuation house construction in wartime. After the experience was evaluated, Nakaza designed the standard house at the U. S. naval military government Okinawa public works department.<br>&nbsp;Chapter 2 considers the standard house plan situation of the U.S. naval government from directions. The naval government gave orders that let local people resettle from camps to their original places of residence on October 23, 1945. Therefore, the government had to supply houses. The direction of October 31, 1945 shows the design guide of the houses. It is thought that the scale and materials of the standard prefabricated house were decided based on this.<br>&nbsp;Chapter 3 analyzes the design drawing. The standard prefabricated house responded to the situation of a lack of engineers in that the frames of the walls and roof trusses were designed as prefabs which were produced at a factory. Furthermore, the design can respond to the lack of material flexibly, and the choice of finishing materials depending on the local situation is possible.<br>&nbsp;Chapter 4 investigates Nakaza's article and the Okinawa public works department relations documents, and understands the supply system. For approximately four months, from January to May in 1946, the constructions were instructed by three people, including Nakaza. From the period of May, 1946 to the end of 1949, constructions were carried out by an organized system by the public works department of Okinawa civil administration. The department was able to settle the U.S. government budget directly. Architectural division managed the material yards and carried out construction by construction units. In addition, motor pools of the land transport division took transports.<br>&nbsp;Chapter 5 analyzes the monthly construction number on the activity reports of the U.S. military government and assumes the construction end time. Construction was carried out most actively during the periods from the beginning of 1946 to mid 1947. The first action system was good; more than 4,000 houses a month in December, 1946 and January, 1947 were built. There are construction reports until October, 1949, which show that the houses were built until about the end of 1949. A total of about 76,815 houses were supplied within four years, from January, 1946 to October, 1949.<br>&nbsp;As above, the standard prefabricated house was designed by architect Hisao Nakaza, and supervised by the U.S. military government, and managed by local government, and constructed by mutual support among residents.<br>&nbsp;The main reasons to be able to serve a large quantity and quick supply are as follows. (1) The houses were a prefabricated type which the residents could easily build. (2) The design could respond to the lack of material flexibly, and the choice of finishing materials depending on the local situation was possible. (3) The compact organization system could perform the stocking, manufacturing, sending, and budgeting execution of the construction.
著者
島袋 桂 斎藤 美希 島袋 愛 金城 淳 幸地 将希 金城 太志 金城 昇
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.13-27, 2018

<p>目的:本研究では楠木の戦略理論を参考に,コンセプトを「パートナーづくり」,しかけを「競走」とした健康づくりプロジェクト戦略モデルを作成し,戦略に沿って実践した運動キャンペーン「貯歩っとレース」のプロセス評価を行った.</p><p>事業/活動内容:沖縄県A村では,平成20年度から健康づくりプロジェクトが展開され,ステークホルダーへのフォーマティブリサーチにより,地域住民のつながりが強い等の特徴が明らかにされた.その資源を活かすために,平成24年度から新しい戦略を導入した.一定期間の歩数を記録する「貯歩っとレース」の内容も地域の特徴を活かした形に変更された.その評価のために,戦略変更前後の参加者1,087名への調査と住民2名にインタビューを行った.</p><p>事業/活動評価:戦略変更前後を比較した結果,「貯歩っとレース」の平均参加者数は46.8名から137.8名に増加し,記録シートの提出率は46.8%から75.3%に増加した.また,国が推奨する目標歩数を超えた参加者も増加した他,非活動的な住民も参加者に取り込めたことが示唆された.インタビューから,住民同士の呼びかけで参加者が集まっていたこと,特に「貯歩っとレース」後にウォーキングを実施する住民の増加が確認された.</p><p>今後の課題:「パートナーづくり」と「競走」による戦略モデルの有効性が示唆され,参加者増加や事業後の運動実施等の成果があった.地域と関わりがない住民へのアプローチが今後の課題となる.</p>
著者
西垣 大志 金城 達也 伊禮 靖苗 西巻 正
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1855-1858, 2017

63歳,男性.前医にてS状結腸癌穿孔,腹膜播種の診断でS状結腸切除,小腸部分切除,横行結腸人工肛門造設術を施行.化学療法目的に当院紹介となり,外来化学療法中であった.傍ストマヘルニアを伴うストマ脱を認め,腹痛を繰り返すようになったため,ストマ修復およびヘルニア修復術を施行した.<BR>術前まで血清CEA値は504ng/mlと高値を示していたが,術後に10ng/mlと著明な低下を認めた.また,精査では約4.5cm大の播種巣1箇所のみであったため,ストマ脱手術の3カ月後に播種巣切除術を施行した.術後再発なく経過している.<BR>本症例のCEA高値の機序はストマ脱腸炎による可能性が示唆された.<BR>今回,腹膜播種を伴う進行下行結腸癌術後に発症した傍ストマヘルニアおよびストマ脱に対する手術後,著明なCEA値の低下を認めたため,播種に対する根治術が可能であった症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告した.
著者
上田 信 金子 啓一 上田 恵介 阿部 珠理 佐々木 研一
出版者
立教大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

前年度から引き継がれた問題点前年度は、NGOに関する情報収集と、NGOに関心を持つ大学教員に対する聞き取り調査を行い、基本的な認識を得るように努めた。今年度は、研究の焦点を緑化NGOに定め、その行為に参画し、実践的に研究を進めた。(1) 緑化リーダー養成講座GENは中国の沙漠化地域の一つである山西省の高度高原において、現地の青年連合会とパートナーシップを組んで緑化活動を行っている。そのなかで、現地の植生の調査、育苗・植林技術の向上、病害虫被害の分析などにおいて、大学教員や元教員と連携を図っている。その主なメンバーを招き、「緑化リーダー養成講座」というタイトルのもと、講演会を開催し、そのNGO経験に関するデータを集めた。(2) ワーキングツアーチコロナイは北海道でアイヌ民俗が多く住むニ風谷において、アイヌ文化の基盤となる森林の再生を目的とするナショナルトラスト活動である。毎年、数度にわたり現地においてワーキングツアーを企画しており、上田が参加して大学とのパートナーシップの可能性を探った。その結果、ナショナルトラスト活動は自然と文化と生活とを総合的に考察する機会を与えるものであり、ワーキングツアーは有効な教育の場となりうることが明らかとなった。(3) 文学部集中合同講義「アジア・開発・NGO」大学の学生のNGOに対する取り組みを調べるために、文学部の集中合同講義にNGOを取り上げた。学生にNGOが企画したシンポジウムやイベントの情報を提供し、興味を持ったものに参加するように促した。その結果、学生のNGOに対する目を開かせるためには、きめの細かいサポートが必要であることが明らかとなった。(4) サポートセンターの必要性以上の研究・調査の結果、大学とNGOのパートナーシップを構築するためには、両者の事情に精通したものがマッチンキグさせるための第三者的なサポート体制をつくる必要があることが明らかとなった。今後は、そのサポートセンターの設立の条件などについて、実践的に研究を展開させてゆきたい。
著者
瀧 和男 金田 悠紀夫 前川 禎男
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.481-486, 1979-11-15

本論文は試作したLISPマシンについてアーキテクチャに重点を置いて論じている.システムはミニコンピュータを入出力処理とバックアップに用いた計算機複合体であり LISPプログラムの高速処理を行うLISPプロセッサモジュール 主記憶装置であるメモリモジュールがミニコンピュータのパスラインを介して接続されている.ミニコンピュータはシステム初期化 入出力処理の一部 システムのモニタリングを担当している.LISPプログラムの実行はミニコンピュータが行う入出力処理の部分を除きすべてLISPプロセッサモジュールにより行われる.LISPプロセッサモジュールは4個のビットスライス形マイクロプロセッサを結合した演算部と マイクロプログラム制御を行うシーヶンサおよびマイクロプログラムメモリから構成されるCCUを中核としており 外付けの高速ハードウェアスタック マッピングメモリ フィールド/ピット処理回路が付加されている.インタプリータはミニコンピュータ側の処理プログラムを除きすべてマイクロコード化されており 約1 400ステップとなっている.性能測定のため 当学会記号処理研究会が行った第2回LISPコンテストの課題プログラムを実行し測定を行った結果 インタプリータによる実行時間ではコンテストに参加したいずれのLISP処理系よりも高速であるという結果が得られた.
著者
金間 大介
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.854-857, 2017-10-28

一般講演要旨
著者
金蘭斎述
出版者
敦賀屋九兵衛
巻号頁・発行日
1809
著者
金 美景
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

今まで雑誌論文計7件(単独)、図書計2件(単独)の出版や8件の学会発表(単独)がある。
著者
村上 義孝 西脇 祐司 金津 真一 大庭 真梨 渡辺 彰
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.20-24, 2018 (Released:2018-02-10)
参考文献数
17

目的 23価の肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(以下PPSV23)は現在高齢者に定期接種されているが,事業の運用は地方自治体に一任されており,被接種者への助成額や啓発活動等は各自治体によって様々である。今回,65歳高齢者の接種率および各自治体の接種啓発活動の実態について全国調査を実施したので報告する。方法 2016年6月から8月に全国地方自治体1,741を対象とし,自記式調査票による郵送およびウェブベースの調査を実施した。調査項目には各自治体のPPSV23接種者数,当該自治体の65歳対象数,ワクチン接種に対する個別通知の有無,回数,実施月,PPSV23の接種啓発活動,接種者の自己負担額を含めた。調査票の記入は地方自治体の保健担当部局の担当者が調査票に記入する形で調査を実施した。結果 本調査の有効回答率は58.0%であった。PPSV23接種率の全国平均値は40.8%,自己負担額の中央値は3,000円であり,自治体間のバラツキが見られた。個別通知を実施する市町村は全体の85%で,多くは4月に1回実施していた。接種啓発活動として自治体の広報紙やホームページが多い傾向がみられた。結論 65歳高齢者を対象にPPSV23接種率,地方自治体の同ワクチン接種啓発活動に関する全国調査を実施した結果,高齢者対象とした同ワクチン接種および,その啓発活動の全国的な傾向が明らかになった。
著者
大庭 澄明 今田 和則 友光 将人 竹谷 仁吏 金子 大樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.6, pp.304-314, 2013 (Released:2013-12-10)
参考文献数
4

フィルグラスチムは,遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子であり,好中球前駆細胞から成熟好中球への分化・増殖の促進,骨髄からの成熟好中球の放出促進による末梢血中の好中球数増加および好中球機能の亢進,造血幹細胞の末梢血への動員等の作用を有し,がん化学療法による好中球減少等の治療に利用される生理活性タンパク質である.持田製薬株式会社および富士製薬工業株式会社がそれぞれ販売を開始したフィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」およびフィルグラスチムBS注シリンジ「F」は, グラン®(協和発酵キリン株式会社)を先行品とするバイオ後続品であり,それらの有効成分は,グラン®の有効成分であるフィルグラスチム(遺伝子組換え)と同一の一次構造を有し,グラン®の1番目のバイオ後続品の有効成分を意味するフィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続1]である.当該フィルグラスチムバイオ後続品の開発においては,「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」および「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」に準拠して,品質特性,非臨床試験(薬理試験と毒性試験),および臨床試験を実施した.フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の品質特性は,先行品と同等/同質であった.また,非臨床試験および臨床薬理試験において,好中球数増加作用,末梢血中への造血幹細胞の動員作用および薬物動態,安全性は,先行品と同等/同質であった.さらに,乳がん患者を対象とした第III相試験において,有効性・安全性が確認された.持田製薬株式会社と富士製薬工業株式会社は,これらの成績をもとに本邦でフィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」の製造販売承認申請を行い,2012年11月に先行品と同じ効能・効果で承認を取得,2013年5月に薬価収載され,販売を開始した.今後,フィルグラスチムBS注シリンジ「モチダ」/「F」は,医療現場において広く使用されることが期待される.
著者
金子 格
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1085-1088, 2017-11-15

数学・工学モデルを利用して問題の分析を行い対策の可能性を論じる.選挙区割の操作による選挙結果の操作を数式表現する.ディジタルゲリマンダに関係すると思われる論文の発表状況をまとめる.対策に用いられ得る研究として,推薦システム(recommendation system),Echo chamber, 選挙制度の研究を紹介する.ディジタルゲリマンダに頑健な投票方法としてFallback Votingがあることを紹介する.
著者
白勢 陽子 桑原 希望 中本 幸太 木曽 波音 国分 貴徳 村田 健児 金村 尚彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0624, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】脳由来神経栄養因子(以下BDNF)は,シナプスの可塑性に関与し,記憶や学習の形成において重要な役割を果たす分泌タンパク質である。また,BDNFは,Synaptophysinなどのシナプス関連タンパクの産生を促進し,神経伝達効率を改善すると報告されている。成人期ラットに対する運動介入では,脳内の様々な領域や骨格筋でのBDNFの発現を高めることが報告されている。しかし,老齢・中年齢ラットを対象とした長期的な運動介入が神経栄養因子に与える影響は不明である。そこで,本研究では,老齢・中年齢の2群の異なる週齢のラットに対する長期的な運動介入による運動療法の効果について,脊髄におけるBDNF,Synaptophysinの発現への影響を解明することを目的として行った。【方法】Wistar系雄性ラット20匹(老齢,中年齢各10匹)を対象とし,各群を走行群5匹,非走行群各5匹と無作為に分類した。走行群は小動物用トレッドミルを使用し,60分を1日1回,週5回,4週間の運動を行った。実験終了後,脊髄(L3-5レベル)を採取し,凍結包埋し厚さ16μmで切片作製を行い,一次抗体としてBDNF,Synaptophysin,二次抗体としてDylight488,Alexa546を使用し,蛍光免疫組織化学染色を行った。観察した切片は画像解析ソフトで解析を行い,脊髄横断切片の単位面積当たりの積算輝度を算出した。算出された値を比較するために一元配置分散分析を用い,Tukey法による多重比較を用いた(有意水準5%未満)。【結果】BDNFの単位面積当たりの積算輝度は,老齢群の走行群(8.69),非走行群(9.20),中年齢群の走行群(13.89),非走行群(7.93)であり,老齢群では両群に差はなかったが,中年齢群では,走行群は非走行群と比較して増加傾向であった。Synaptophysinの単位面積当たりの積算輝度は,老齢群の走行群(2.22),非走行群(1.79),中年齢群の走行群(4.26),非走行群(0.84)であり,中年齢群では,走行群が有意に増加した(p<0.01)。老齢群では,走行群が非走行群に比べ増加傾向であった。【結論】老齢群では,運動によるBDNFの増加はみられなかったが,Synaptophysinは増加傾向であった。中年齢群では,運動によってBDNFは増加傾向となり,運動によりSynaptophysinが有意に増加し,神経伝達効率が高まり活性化が図られた。週齢の影響では,加齢に応じて神経活性化の程度が異なり,中年齢群のほうが老齢群に比べて,神経活性化の度合いが高かった。Synaptophysinは神経小胞体の中にあり,神経伝達に関与している。運動により,Synaptophysinが増加することで,神経の伝達効率が高まったと考えられる。しかし,週齢により,運動による神経活性化の度合いの違いが明らかとなり,個別的運動介入の必要性が示唆された。