著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.364-366, 2018

<p>外傷後急速に破壊が進行した肩関節症に対し,人工肩関節全置換術を行った症例を報告する.84歳,女性.1.5カ月前に転倒,右肩関節を打撲した.近医を受診し単純X線像では異常は指摘されなかった.その後,疼痛が増悪したため,当院を紹介された.初診時所見は,肩関節屈曲10度,外旋-30度,内旋L1,JOA scoreは36点であった.当院初診時単純X線像,CTでは上腕骨頭の扁平化,関節窩骨欠損を認めたが,MRIでは腱板断裂を認めなかった.急速破壊型関節症と診断し,関節窩骨欠損部への骨頭骨移植を併用した人工肩関節置換術を施行した.術後24カ月で疼痛はなく,肩関節可動域は屈曲130度,外旋40度,内旋L1(健側は屈曲130度,外旋40度,内旋Th8)でJOA scoreは85点まで改善した.</p>
著者
喜屋武 諒子 東 千夏 平良 啓之 山中 理菜 親川 知 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.43-45, 2018

<p>54歳男性.43歳時に関節リウマチ(RA)を発症した.高疾患活動性のため44歳時にインフリキシマブを導入したが経済的理由により1年で中止し,48歳時にはメトトレキサートを16mgまで増量した.51歳時に糖尿病(DM)と診断され加療開始されたがコントロールは不良だった.52歳時には両膝関節痛が増悪し車椅子で受診するようになり,多関節腫脹や疼痛が出現したためトシリズマブを開始した.両膝関節の変形が高度で歩行困難だったため,53歳時に両側人工膝関節置換術(TKA)を施行した.術後1週で立位可能,2週で平行棒内歩行が可能になった.経過中に胆石による胆石疝痛発作を発症し保存加療で軽快した.術後4週で歩行器歩行が可能になったが,再度胆嚢炎を発症したため腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定し外科に転科した.その翌日に左被殻出血を発症した.保存加療を行い,現在失語は改善を認め,右麻痺は残存している.RA,DM,TKA,脳出血について考察を加えて報告する.</p>
著者
平良 啓之 仲宗根 哲 石原 昌人 山中 理菜 親川 知 松田 英敏 東 千夏 神谷 武志 大城 裕理 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.318-321, 2018

<p>【症例】35歳男性.習慣飲酒歴あり(ビール700 ml/日×15年),喫煙歴あり(20本/日×15年),ステロイド全身投与歴,外傷歴,潜水歴なし.25歳時に右ONFH(type C2, stage 3A)と診断されたが,その時点で左大腿骨頭に明らかな壊死はなかった.当院で右大腿骨頭前方回転骨切り術を行い,外来経過観察した.34歳時に誘引なく左股関節痛出現し,Xpで帯状硬化像,骨頭圧潰を認め,MRIで低信号バンド像を認め(type C1,stage 3A),左大腿骨頭回転骨切り術を行った.術後半年で原職の運送業へ復帰した.【考察】片側罹患ONFH例の追跡研究で反対側の骨頭壊死の出現はほとんどないと報告されている.本症例は片側罹患後に反対側に発生した稀な症例と思われた.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.11-15, 2018
被引用文献数
1

<p>我々は,腱板断裂関節症(Cuff Tear Arthropathy:以下CTA)に対し,小径人工骨頭置換(Small Humeral head replacement:以下s-HHR)と腱板修復術または筋腱移行術を施行しているので,その治療成績を報告する.対象は術後1年以上経過観察可能であった17例17肩.平均年齢は73.9歳,性別は男性5肩,女性12肩.術式はs-HHR+腱板修復術7肩,s-HHR+筋腱移行10肩(肩甲下筋部分移行2肩,大胸筋移行術8肩).調査項目は,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下JOAスコア),平均肩関節可動域(屈曲,外旋,内旋:JOAスコアを用いて点数化),とした.結果はJOAスコアが術前45点から術後79点,術前屈曲55度,外旋26度,内旋1.6点から,術後屈曲123度,外旋26度,内旋3.7点と改善した.CTAに対するs-HHRおよび腱板修復術または筋腱移行は,有用な術式と考えられた.</p>
著者
押領司 将人 大久保 宏貴 川越 得弘 金城 政樹 普天間 朝上 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.134-137, 2018

<p>50歳男性,ゴルフ場整備員.芝刈り機のエンジン部に約1時間,右前腕を挟まれて受傷した.右前腕熱圧挫傷・コンパートメント症候群の診断で,他院にてデブリドマン・筋膜切開術を施行された.受傷11日で,前腕近位の皮膚が壊死し尺骨が露出したため治療目的に当院を紹介された.2回のデブリドマン後,受傷1か月で露出した尺骨を腕橈骨筋弁で被覆し,植皮術を施行したが,感染が持続し筋弁は壊死した.受傷後2か月,尺骨の病的骨折を来したため露出した尺骨(7cm)を切除し創外固定器を装着した.感染が沈静化した受傷後5か月で遊離血管柄付き腓骨皮弁移植術を施行した.皮弁は完全生着し,骨癒合が得られた.術後1年10か月,肘関節伸展-15°屈曲135°,前腕回外55°回内60°,手関節伸展40°屈曲60°,full grip可能で原職に復帰し趣味のゴルフやバスケットボールを楽しんでいる.</p>
著者
鈴木 進 岡 芳知 門脇 孝 金塚 東 葛谷 健 小林 正 三家 登喜夫 清野 裕 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.481-487, 2004-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10
被引用文献数
7

糖尿病のサブタイプとして, ミトコンドリアDNA (mtDNA) 3243A-G変異による糖尿病が明らかにされた. 我が国における3243A-G変異糖尿病の臨床像の解明を目的に, 遺伝子異常による糖尿病調歪研究委員会はアンケート法で実態調査を実施した. 3243A-G変異糖尿病患者115例の解析から, 臨床像として, 低身長, やせの体型, 糖尿病診断時年齢は比較的若年であり, 糖尿病の母系遺伝を59.1%に認めた. 診断後平均3年でインスリン治療へ移行するが, GAD抗体は全例陰性であった. 感音性難聴 (92.2%), 心筋症 (30.4%), 心刺激伝導障害 (27.8%), MELAS (14.8%), pigment retinal dystrophy (13.4%) など, ミトコンドリア関連合併症を高頻度に認めた. 末梢神経障害を49.6%に認め, 有痛性末梢神経障害は18.3%と比較的高かった. 26.1%に多彩な自律神経障害を認めた. 網膜症を56.596に, 腎症を49.696に認めた. 罹病期間 (平均12.9年) の割に慢性合併症に進行例が多かった. 本研究により, 日本人3243A-G変異糖尿病患者の特徴的な臨床像が明らかになった.
著者
金子 正勝 清水 文治
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.40-56, 1979-01-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
120
被引用文献数
1 3

Synthetic procedures of arabinofuranosyl nucleosides, especially, of arabinofuranosyl purine nucleosides are reviewed from the following points of view; i) methods which include nucleoside epoxide as an intermediate ii) direct condensation methods of arabinose derivatives and various purine bases iii) methods which include purine-8-cyclonucleosides as an intermediate and iv) other methods. Biological activities of arabinofuranosyl purine nucleosides are also summarized briefly.
著者
植竹 勝治 大塚 野奈 長田 佐知子 金田 京子 宮本 さとみ 堀井 隆行 福澤 めぐみ 江口 祐輔 太田 光明 田中 智夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.192-198, 2007
参考文献数
20

動物介在活動(AAA)に飼い主と共に参加する飼い犬(Canis familiaris)のストレス反応を、尿中カテコールアミン濃度を測定することにより調べた。イヌの覚醒状態に影響すると考えられる次の2要因について検討した: 特別養護老人ホームでのAAAへの参加日数(現地調査1)および対面式での活動時における老人の座席配置(車座と並列)(現地調査2)。現地調査1では、新規参加犬8頭の活動前から活動後にかけた尿中ノルアドレナリン濃度の上昇量が、参加日数が経過するにつれて直線的に低下した(尿中ノルアドレナリン濃度の上昇量に対する参加日数(毎月1回の参加で計9日間)の回帰係数-1.213,R^2=050,P<0.05)。その一方で、活動中の各セッションにおいて、姿勢や行動を相対的に長く抑制された場合には、アドレナリン(長い抑制15.03±9.72ng/mL vs.短い抑制4.53±2.94ng/mL)とノルアドレナリン(長い抑制12.26±8.80ng/mL vs.短い抑制3.62±3.62ng/mL)の濃度上昇は、相対的に短い抑制の場合に比べていずれも有意に大きかった(共にP<0.05)。現地調査2では、尿中カテコールアミン濃度の上昇は、老人の座席配置、すなわち車座(12頭,アドレナリン10.73±9.77ng/mL;ノルアドレナリン7.13±8.01ng/mL)と並列(11頭,アドレナリン13.37±10.63ng/mL;ノルアドレナリン5.70±5.19ng/mL)間で差がみられなかった。これらの結果から、月1回の参加でも、飼い主と一緒であれば、特別養護老人ホームという新規な環境とAAAの雰囲気に、イヌは容易に順応することができ、また見知らぬ老人に囲まれたとしても、特に緊張を感じていないことが示唆された。
著者
金子 与止男 Yoshio Kaneko 岩手県立大学総合政策学部
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.127-132, 2015-11-01

イソヒヨドリは、日本ではもともと海岸沿いに生息していたが、近年、海から離れた内陸部にも進出し、繁殖するようになってきた。内陸部ではとくに、鉄道の駅やマンションなど高層建築物のある都市でよく目撃されている。筆者は岩手県の内陸部でイソヒヨドリを複数回にわたり観察することができた。盛岡市、遠野市、花巻市、北上市、一関市である。海からもっとも遠い地点は盛岡駅の71km であった。イソヒヨドリの行動から、これら内陸の都市部で繁殖していると結論づけられた。The blue rock thrush Monticola solitarius originally inhabits the coastline in Japan, but the species has recently been observed far inland. In particular, blue rock thrushes are often found in large cities with high buildings including railway stations. I observed blue rock thrushes several times in the interior of Iwate Prefecture, i.e.,Morioka, Tohno, Hanamaki, Kitakami, and Ichinoseki. The farthest inland site was Morioka, which is 71 km from the coast. Based on the birds' behavior, I concluded that blue rock thrushes breed in these inland cities.
著者
島村 実花 中尾 芙美子 金子 佳代子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.75-81, 1995 (Released:2018-03-21)
参考文献数
13

大学運動部員を対象に,運動中及び運動後の水分摂取量の実態を調査し,飲食の記録から食事中水分量も算出した。飲み物の摂取量への噌好の影響を考え,(a)麦茶(糖分,ナトリウムなし) (b)糖分含有電解液1 (c)糖分含有電解液2 (d) 清涼飲料水(糖分) (e) 炭酸飲料水(糖分) (f) コーヒー飲料(糖分) (9)牛乳の運動後1時間の摂取量を,また,食塩5gの普通食と2.5g低塩食を食べた後〜就寝までの水分摂取量を比較した。結果は以下のようである。1) 運動後1時間に自由に水分摂取した後も水負債を解消しきれなかったが,就寝までに Ikg 以上摂取しており,本研究における発汗程度では運動後の飲食によって水負債を解消出来ると考えられた。 2 )被験者は麦茶を好んでいたにも関わらず,スポーツドリンク( b , C )及び清涼飲料( d , e , f ) よりも多くは飲めなかった 03 )食事中塩分が少ないと水分摂取量が少なくなる傾向がみられた
著者
金施子美撰
巻号頁・発行日
vol.[18], 1000
著者
鄒 金蘭 四方 康行 今井 辰也
出版者
富民協会
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.262-268, 2008 (Released:2011-07-26)
著者
金田 重郎 本村 憲史 橋本 誠志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-65, 1999-10
被引用文献数
1

論説ネットワーク上に溢れている個人情報は、デジタル化されているが故に、統合され、個人のプライバシーが侵害される恐れがある.情報統合を視野に置くプライバシー保護法制は、欧米には存在する。ドイツ身分証明書法は、個人ID による情報統合を禁止している。民間部門に対するプライバシー保護法制自体が存在しないわが国と比較すれば、このような法律があるだけでも、西欧諸国の状況は大きく異なっている。しかし、これら既存の法律で想定されているのは、キー属性(いわゆる国民背番号等)による統合である。キー属性でなくても、複数属性を併用すれば、結果として、キー属性として利用できる。その結果、データ主体・データ管理者の予知範囲を超えて侵害が発生する恐れがある。情報統合によるプライバシー侵害は、個々のデータ管理者の善良なる管理監督のみでは防ぎ得ない。わが国でも、情報統合を前提とする法制度の確立と、併せて、データ主体が個人情報の存在を常に把握し得る、個人情報流通管理システム/データ監察官の設置が必要と思われる。
著者
安慶名 信也 金城 秀俊 真栄田 裕行 鈴木 幹男
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.47-52, 2018

<p>当科にて治療を行ったStageⅣの甲状腺進行癌に関して臨床的検討を行った。25例(男性14例,女性11例)あり,病理型は乳頭癌16例,濾胞癌1例,髄様癌1例,低分化癌1例,扁平上皮癌2例,未分化癌4例であった。乳頭癌はAMES分類において全例ハイリスク群の進行癌であり,根治手術を施行した。5年疾患特異的生存率は83.3%であった。扁平上皮癌と未分化癌症例は早期に原病死しており,全25例の5年粗生存率は48.4%と低かった。乳頭癌16例中9例で反回神経を切除し,4例で神経再建を施行した。再建例はいずれも良好な発声を維持できていた。反回神経非切除例の無病生存率は反回神経切除例より有意に高かった。甲状腺乳頭癌の反回神経浸潤例は遠隔転移のリスクが高いだけでなく,局所再発の指標となりうるため,十分な治癒切除と再発・転移の早期発見・治療が重要である。</p>