著者
高橋 英和
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.474-483, 2003-06-10
被引用文献数
2 8

義歯安定剤には, 義歯粘着材と呼ぶべき粘着性の強い製品群と, 義歯床と口腔粘膜の間隙を補填して, 適合性を改善することで吸着性を向上させる家庭用裏装材 (ホームリライナー) の製品群に分類できる. 義歯粘着材では, さらに製品形状により粉末タイプ, クリームタイプ, テープタイプに分類できる. 義歯粘着材の主要成分は, 天然ゴムもしくは水溶性高分子であり, 口腔内や義歯の水分を吸収して膨潤し, 粘着性の高い液体となり, 義歯の維持力を増加させる. それに対しホームリライナーの主成分はポリ酢酸ビニル樹脂であり, 義歯と粘膜面の間隙を閉鎖することで維持力を発揮させる. 使用時にゴム弾性を示すのでクッションタイプとも呼ばれる. 義歯安定剤の接合力を測定したところ, 義歯粘着材は被着材の種類にかかわらずある程度の接合力を発揮するが, ホームリライナーはアクリル板でのみで大きな接合力を発揮する. また, 義歯安定剤には厚みがあるため, 咬合関係を誤った位置に導くことが懸念される. 実際にこれらを口腔内で使用したところ, 義歯粘着材は義歯の吸着を改善するが, 粘膜面からの除去が難しく, 不潔になりやすい. ホームリライナーではあまり義歯の吸着を改善しなかった. このように, 義歯安定剤は義歯粘着材とホームリライナーで大きく性質が異なり, 区別して考える必要がある.
著者
加藤 ゆき恵 高橋 英樹
出版者
北海道大学総合博物館
巻号頁・発行日
2009-03-31

(The Hokkaido University Museum, Material Report ; No.6)
著者
新村 末雄 高橋 英太
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.713-719, 1995-08-25
被引用文献数
9 2

培養マウス胚盤胞の収縮運動をタイムラプスビデオを用いて観察した.ハッチング前の期間において,83.3%(25/30)の胚盤胞が収縮を行なったが,ハッチング中およびハッチング後10時間までの期間では,すべての胚盤胞が収縮を行なった.これら3期間において,弱度(20%未満の体積の減少)および強度(20%以上の体積の減少)の収縮の平均回数および1時間当たりの平均収縮回数は,いずれもハッチング中の期間で有意に多かった.また,ハッチングを完了した胚とハッチングを完了しなかった胚において,胚盤胞形成後32時間までの弱度の収縮回数に差はみられなかったが,強度の収縮回数はハッチングを完了した胚で有意に少なかった.以上の結果から,胚盤胞の収縮運動,特に,弱度の収縮はハッチングに役割を果たしているが,強度の収縮はハッチングとは関係なく,ハッチングを完了できないような胚で多発するものであることが考えられた.
著者
高橋 英治
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

EU行動計画書の展開を示した。Journal of Interdisciplinary Economics, Special Issue : International Corporate Governance を客員編者(Guest Editor)として発刊した。単著『ドイツと日本における株式会社法の改革--コーポレート・ガバナンスと企業結合法制』において、日本とドイツのコーポレート・ガバナンス改革について詳論した。単著『企業結合法制の将来像』において企業結合のコーポレート・ガバナンスの在り方につき詳論した
著者
橋本 修 高橋 英則 本田 敏志 田口 光 衣笠 健三
出版者
群馬県立ぐんま天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

恒星進化末期の漸近巨星枝(AGB)にある炭素星の形成とその進化シナリオを検討するため、炭素星の可視高分散分光観測を行い、炭素の同位体比^<12>C/^<13>Cを測定する。ぐんま天文台のGAOES分光器を用いることによって、高い波長分解能でありながら、かつ広い波長領域を網羅した高精度の可視分光データを大量のサンプルに対して取得した。この様な大型サンプルに対する高精度の炭素同位体比の測定はこれまでに類をみないものである。
著者
浦野 慎一 高橋 英紀 町村 尚 平野 高司 山梨 光訓 上田 宏 堀口 郁夫
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

陸地水体と生物生産の相互関係を明らかにするため、北海道の洞爺湖とその周辺を対象に水温、気温、風向風速等を観測し、貯熱量と湖効果を検討した。またアフリカのザンベジ河氾濫原で水文気象観測を実施し、氾濫原の特性と水田開発の関係を検討した。さらに基礎的研究として、様々な植生における蒸発散量を観測し、比較した。以上のことを13編の論文にまとめ、報告書(158ページ)にまとめた。得られた結果の概要は以下のとおりである。洞爺湖では、水体の貯熱量が大きいため、陸地と湖水面における有効エネルギーの季節変化に約半年の位相のズレが確認され、この位相のズレが湖効果の原因になっていることがわかった。また洞爺湖の湖効果は相対的に冬期より夏期に強く出現すること、地域的には夏期の一般風の主風向が南よりであるため北側の湖岸で強く出現することがわかった。以上のことから、夏期の生物生産最盛期に湖効果が出現する地域では、気温を考慮してその地域に適切な作目を選ぶ必要があると考えられた。ザンベジ河氾濫原では、蒸発散量は雨季終了後および冷涼乾期に大きな減少が見られなかった。これは周辺台地から供給される地下水の流れによるものと推察され、水田開発を行うにはこのような地下水流を考慮に入れる必要があると考えられた。また、基礎的研究として森林、トーモロコシ畑、牧草地の蒸発散量を比較した結果、牧草地ではデカップリングファクターが最も大きく、相対的に空気力学的作用よりも熱収支的作用の方が蒸発散量に大きく影響していることがわかった。
著者
高橋 英也
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、魚類では不明のミネラルコルチコ千ド系の役割を、遺伝子変異メダカを用いて明らかにすることを目的としている。昨年度は、Targeting Induced Local Lesions In Genomes(TILLING)法によりミネラルコルチコイド受容体(MR)遭伝子を人為的に破壊したメダカの作製を試みた。MR-遺伝子の変異スクリーニング結果では、リガンド結合領域をゴードする第4エクソン上に3種のアミノ酸置換を生じるミスセンス変異(754番目のロイシンがプロリン(P754)、767番目のスレオニンがアラニン(A767)、770番目のアスパラギン酸がグルタミン酸(E770))が同定された。本年度は、同定されたこれら受容体の転写活性をレポーター遺伝子アッセイ法により解析した。コルチゾルや11-デオキシコルチコステロンなどの副腎皮質ホルモンに対して、A767は野生型と同程度の転写活性を有していたが、P754は野生型より強い転写活性を示した。一方、E770はいずれの副腎皮質ホルモンに対しても転写活性を喪失していた。以上より、リガンド結合機能が喪失した変異体の作出に成功した。また、MRはメダカでは中脳視蓋や小脳顆粒層に多く存在していることから、胚期のメダカの行動をモニターする装置を開発した。胚期のメダカが1時間あたり数回動くことを確認している。この装置を用いて、E770の行動を解析する予定である。
著者
高橋 英樹
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

植物の葉表面や葉組織には微生物が生息し、植物や病原微生物と相互作用することによって、植物の生育や様々な環境ストレス・病虫害に対する耐性に関わっているものと推察されている。本研究では、イネ植物体の細胞間隙に生息する微生物群集の多様性と、同微生物の植物への耐病性付与について研究を行なった。その結果、(1)イネの細胞間液から抽出したDNAを鋳型とした16Sと18S_rDNA断片のPCR-DGGE法によるバンドパターン解析と塩基配列を用いたデータベース解析から、微生物集団の多様性と微生物種の推定が可能である。(2)有機栽培イネの細胞間隙液に特徴的な内生菌として、Pseudomonas sp., Bacillus sp., Curtobacterium sp., acinetobacter sp. 等を見出すことができた。(3)同分離菌の中には、イネいもち病菌の感染、増殖に抑制的な働きをもつものや、イネもみ枯細菌病菌による苗腐敗症を抑制するものが存在していた。以上のことから、有機栽培イネの細胞間隙液に存在する内生菌集団の中には、病原菌の感染、増殖に抑制的な働きを持つものが存在している可能性が考えられた。
著者
吉田 智一 高橋 英博 寺元 郁博
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.187-198, 2009
被引用文献数
2 4

多数の圃場を管理する地域農業の担い手が直面している栽培管理事務作業を効率化し負担を軽減する目的で,GIS互換の圃場地図を使用した作業計画管理ソフトを開発している.このソフトは作物生産に関係する圃場や作付から一連の栽培作業,収穫後の調製・出荷に至るまでの様々な生産過程で発生する情報をデータベース化して管理することを基本とし,そのユーザインタフェイスにGIS互換の圃場地図を使用して直感的に分かりやすい視覚的なデータ入力および表示を実現しているところに一つの特長がある.同様の機能は市販のGISソフトを用いても構築可能であるが,本ソフトではデータベースエンジンやマップ表示にランタイムライセンスフリーのコンポーネントを使用し,その上に圃場管理や農作業管理に必要なユーザインタフェイスを実装していることから,無償配布可能となっていることにもう一つの特長がある.本ソフトはWeb公開による利用者からのフィードバックに基づき機能を改良・拡充しながら,現場農業者への普及を進めている.<br>
著者
高橋 英吉 井上 祐吉 永澤 勝雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-21, 1971-12-31
被引用文献数
1

1.カキ平核無の生理的落果に対する,しゃ光及び環状剥皮処理の影響を調査するため1968年および1969年に試験を行なった.2.1968年および1969年の第2次生理的落果のピークは,それぞれ7月7日および7月5日に現われた.3.アルミニウムを塗布したビニールフィルムによるしゃ光処理は,落果を著しく促進し,落果のピークは6月28日に認められ,対照無処理区にくらべ9日早かった.4.1969年の生理的落果期間中の異なる時期に5日間のしゃ光処理を行なった結果,各々の処理時期ともしゃ光により落果は増加した,しかし,落果のピークの出現は早くならなかった.この相違は1968年と1969年の日照量の差異によるものであろう.5.生理的落果終了後のアルミフォイルによる完全しゃ光および,果実着果部位の上下の環状剥皮による栄養しゃ断は,いずれも落果を促進させた.処理区の果実が50%落果するのは,環状剥皮による栄養しゃ断区が早かったが,全果が落果するのは,しゃ光区が早かった.これらのことから平核無の生理的落果は果実中の炭水化物含量だけでなく内生的ホルモンバランスにも起因するものと考えられる.
著者
塩田 邦郎 高橋 英司 遠矢 幸伸 明石 博臣 高橋 英司 前田 健 宮沢 孝幸 塩田 邦郎 堀本 泰介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

ネコ免疫不全ウイルス(FIV)は、後天性免疫不全症候群(エイズ)様症状のネコから分離され、ヒト免疫不全ウイルスと同じくレトロウイルス科レンチウイルス属に分類される。本研究はFIV感染防御上大きな役割を担っていると考えられるCD8陽性細胞およびNK細胞を中心に、そのphenotypeと抗FIV活性を解析することを目的としている。当該研究期間において以下の項目について研究を行い、新たな知見を得た。1.NK細胞マーカーの解析:ネコFcγRIII-Aの膜貫通型分子のクローニングとネコCD56抗原のバキュロウイルス組換え発現に成功した。CD56についてはモノクローナル抗体(MAb)も作製した。2.CD8α+β-or low細胞群の解析:ネコCD3εを組換え発現させた蛋白を抗原としてMAbを作製し、FIV増殖抑制活性を有するCD8α+β-or low細胞群のフローサイト解析に用いた。その結果、当該細胞群はT細胞系であると考えられた。3.ネコCD2の性状解析:免疫応答において重要なT細胞表面抗原CD2のネコホモローグをクローン化してその塩基配列を決定した。解析したcDNAには1008塩基対の翻訳可能領域が含まれており、336アミノ酸をコードし、その配列は他の動物と46〜57%の相同性を有していた。さらに、抗ネコCD2MAbを作製したところ、得られた抗体はネコCD2のEロゼット形成を阻止し、フローサイトメトリーによるネコ末梢血中のCD2陽性細胞の検出に有用であることが示された。4.ネコCD11aの抗体作製:CD2と同様、免疫応答に重要な接着分子CD11aのネコホモローグのcDNAをバキュロウイルスにより組換え発現させ、抗ネコCD11aMAbを作製した。T細胞の活性化に伴うCD11aの発現量増加が認められ、ネコ末梢血中の活性化T細胞の解析に有用であった。
著者
Limcumpao Joselito A. 掘本 泰介 高橋 英司 見上 彪
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.351-359, 1990-04-15
被引用文献数
1

ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)糖蛋白質(gp)の感染細胞内における局在部位と輸送を調べるために, 単クローン性抗体による間接蛍光抗体法(IFA)を経時的に行った. 抗gp143/108抗体による蛍光はウイルス感染4時間後に細胞膜と核膜部位において初めて認められ, 8時間目以後は核周囲および細胞質内にも明瞭な蛍光が見られた. gp113に対しても同様の部位において反応が見られたが, 8時間目までは蛍光が認められなかった. 一方, 抗gp60抗体による蛍光は感染12時間後に核の近傍および周囲に初めて認められ, 16時間後には核内に, また20時間後には細胞質内にも蛍光が認められた. さらに, これら3種類の糖蛋白質は感染細胞膜表面にも発現されていることが, 未固定感染細胞を用いたIFAにより明らかになった. 次に, ELISA additivity試験により各糖蛋白質上のエピトープマッピングを行ったところ, gp113は2ドメインにより構成されており, そのうち一つは, 部分的に重複する3エピトープを持つウイルス中和反応に関与するドメインであると考えられた. 一方, gp143/108には重複領域を持つ5エピトープで構成される一つの抗原領域が存在し, そのうち1エピトープはこの糖蛋白質を認識する全ての単クローン性抗体と反応するものと考えられた.