著者
梶田 剛広 高橋 英士 矢守 恭子 田中 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2042-2051, 2005-10-01
被引用文献数
8

コンテンツ配信を効率的に行う手段として, 同じコンテンツに対するユーザからの配信要求を集めて, マルチキャストで配信する方法がある. しかしながら, この方法においては, 適切な配信間隔設定を行わないと, 無駄に長く待ったり, あるいは回線ふくそうを起こしたりして, ユーザ効用が減少する可能性がある. また, パケット損失を防ぐことを重視すると, 一人の低速回線ユーザがマルチキャストグループに加わることによって, 配信全体の速度が低下し, ユーザ効用が減少する. そのため, 呼受付制御を行うことにより, ユーザ効用の減少を抑えられる可能性がある. 本論文では, ダウンロード形のマルチキャストコンテンツ配信におけるユーザ効用に注目し, ユーザ効用を最大化する配信間隔設定並びに呼受付制御について検討を行っている. その結果, マルチキャストの配信間隔には最適値があること, また, ユーザが待ち時間に対して敏感な状況において呼受付制御が有効であり, 呼受付率に最適値があることを明らかにしている.
著者
高橋 英也
出版者
岩手県立大学
雑誌
リベラル・アーツ (ISSN:18816746)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-20, 2013

This paper is an attempt to provide a morphosyntactic analysis of resultative constructions in Japanese within the current Minimalist framework proposed in Chomsky (2008). Specifically, we argue that resultatives in Japanese are not to be analyzed as predicates, in spite of the tradition in the literature; rather,they are morphologically, as well as functionally, adverbial modifiers, which is considered to be valid in light of the fact that Japanese is an agglutinative language. In particular, we first argue for Mihara's (2008) proposal that Japanese resultatives are to be divided into two types (PPs and APs), and then propose that the syntactic and semantic differences between them can be given a natural and unified account in terms of the application of labeling algorithms on External Merge. We show in the second half of this paper that the proposed adverbial analysis of Japanese resultatives has an additional empirical advantage in that it can correctly predict various facts which emerge from the comparison of English and Japanese resultatives, including those which would even be mysterious under previous analyses, solely based on the apparent structural parallelism between the two languages.
著者
関 みつ子 萩原 芳幸 鈴木 直人 森野 智子 大西 真 高橋 英之 大川 勝正 KILGORE Paul Evan KIM Dong Wook KIM Soon
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

新規検出法であるLoop-mediated isothermal amplification (LAMP)法を用いて呼吸器感染症菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌および髄膜炎菌)の検出方法を開発し、過去の疫学調査から得られた臨床データおよび脳脊髄液サンプルを用いてその臨床的有用性を明らかにした。さらに、要介護高齢者のインプラントを含む口腔状況について調査を行い、口腔ケアにおける問題点を明らかにした。
著者
高橋 英之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.45-46, 1991-02-25

まずソフト宇宙論(これについては文献1参照)について説明し、ついでそれが非合理系から合理系への埋込みであることを論じる。最後に今後の課題として形式言語の必要なことを言う。全体を通して非ユークリッド蔑何学の考え方をアナロジーとして使う。
著者
福井 敏樹 山内 一裕 丸山 美江 佐藤 真美 高橋 英孝 山門 實
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-35, 2012 (Released:2012-10-03)
参考文献数
13

目的:人間ドック健診は,生活習慣病の発症予防と早期治療,がんの早期発見と早期治療を大きな目的としている.しかしながら人間ドック健診と一般健診受診者の医療費について比較検討した報告はこれまでほとんどない.したがって今回我々は,通常の健診を毎年受けている集団(一般健診群)と毎年人間ドックを受け続けている集団(ドック健診群)における医療費の経年変化を比較検討し,毎年人間ドック健診を受け続けていれば,本当に一般健診以上の医療費削減効果があるのかを検討した.方法:対象は四国エリアの40歳代および50歳代のNTTグループ社員.平成15年度から17年度までの3年間連続での一般健診群と3年間連続でのドック健診群における年間医療費を,平成18年度から22年度まで5年間前向きに追跡した.結果:男性については,40歳代および50歳代の一般健診群では経年的に年間医療費が増加する傾向が見られた.5年間の累積医療費の両群の差は,40歳代は,男性約14.3万円,女性約-6.9万円であった.50歳代は,男性約33.0万円,女性約4.0万円であった.男性においては40歳代,50歳代共に両群の差が年々大きくなっていった.結論:50歳代男性では,人間ドック健診と一般健診との費用差額を考慮しても,毎年人間ドック健診を受けることに医療費削減効果があることが示された.
著者
ゴラム サルワル A. K. M. 伊藤 利章 高橋 英樹
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.15-34, 2006-06-30
被引用文献数
3

光学顕微鏡(LM)・走査型電子顕微鏡(SEM)・透過型電子顕微鏡(TEM)により,スノキ属Vaccinium内に認められている30節のうち18節,合計37種の花粉形態を観察し,本属花粉形態の多様性の概要を明らかにした.SEMによる花粉の溝間極域の外壁模様とLMによる花粉形態計測値の類似性を基にして,各種が置かれている属内分類体系について評価した.四集粒花粉の溝間極域の外壁表面模様は,種類により微細いぼ状模様〜しわ状模様〜平滑模様と変異し,しわ状模様単位にはさらに「二次的な模様」:不明瞭〜微細で明瞭な縞模様があり,縞模様単位は更にビーズ状にくびれているものがあった.外壁模様は大きく7型に分けられ,1-3型はさらに12亜型に分けられた.花粉形態形質はスノキ属内で現在認められている節分類と明瞭に連関している訳ではなかったが,類縁関係に有意義な情報を与え,属内の分類学的な問題にも新しい見方を与えてくれた.アクシバ節のアクシバ花粉ははっきりした微細いぼ状模様(6型)を持ち花粉サイズも本属では最小であり,花粉形態形質は本種をスノキ属から分類する考えを支持する.地理分布と対応した四集粒サイズと花粉外壁模様の若干の差違が認められた.一般的に新世界産スノキ属種は花粉サイズが大きく,外壁模様は粗しわ状模様〜粗しわ状-平滑模様とまとまっている.一方で,旧大陸産種はサイズがより小さい傾向があり,外壁模様は微細いぼ状模様〜しわ状模様〜平滑模様とより広い変異を示す.
著者
日田 安寿美 高橋 英一 古庄 律 多田 由紀 川野 因
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.198-203, 2009-12-15
被引用文献数
1

近年,若年層の朝食欠食をはじめ食生活の乱れや運動不足が問題視されている。T大学では食の専門家を育成しており,将来的に食育活動に携わる者も少なくない。そこで本研究ではT大学1年次生を対象に食育トライアル授業を計画し,参加学生の食物摂取状況や運動習慣を把握することにより,今後の授業計画のための基礎資料を得ることを目的とした。対象者は,食育トライアル授業に参加した学生のうち,調査に協力の得られた女性13名であった。調査の結果,1日あたりの食品群別摂取量は,穀類が366g,いも類は37g,緑黄色野菜は75g,その他の野菜は112g,魚介類は44g,肉類は80g,卵類は22g,菓子類が66gであった。一人一日あたりのエネルギー摂取量は,推定エネルギー必要量とほぼ一致していた。脂質エネルギー比率は29.4%,炭水化物エネルギー比率は56.8%であった。カルシウム,鉄分,水溶性ビタミン類,食物繊維の摂取量は不足するリスクが認められた。特に鉄分と食物繊維は対象者全員で不足のリスクが高かった。食品の適切な選択方法についての知識や技術を身につけること,さらに食環境整備が必要であると考えられた。ライフコーダーにより歩行数を測定した結果,1日の平均歩行数は10,434±2,606歩であり,健康日本21の目標値を上回る人は13名中9名であった。一方,速歩や強い強度の運動時間が短かったことから,今後は健康増進のためにも運動強度を高める教育が必要と考えられた。
著者
高橋 英彦
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.19-22, 2008 (Released:2011-07-05)
参考文献数
20

【要旨】統合失調症の脳体積研究で、上側頭回と扁桃体を含む内側側頭葉はもっとも体積減少が認められる部位とされる。fMRIを用いて統合失調症におけるこれらの部位の機能異常を検討した。我々は、患者において不快な写真に対する右扁桃体の低活動を報告した。右の扁桃体は、瞬時の自動的な情報処理にかかわっているとされ、外的刺激に対するとっさの処理の障害を示唆すると考えられた。統合失調症の言語に関する研究は広くなされているが、統合失調症にはヒトの声の認知にも障害があるとされ、我々は統合失調症の声の認知時にヒトの声認知に関わる右の上側頭回の低賦活が見出し、言語理解だけでなく、ヒトの声に対する脳内処理の障害が示唆された。
著者
藤森 拓人 中野 文夫 高橋 英和 岩崎 直彦 西村 文夫 早川 巖
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.368-375, 2002-11-25
被引用文献数
6

本研究の目的は義歯安定剤の引張接合力に及ぼす被着体の影響を検討することである.被着体として口腔粘膜を擬似した寒天,金属床を擬似した金属板,アクリル板を用意した.市販の義歯安定剤である,粉末タイプ4製品,クリームタイプ4製品,テープタイプ2製品,クッションタイプ4製品の14製品について試験した.粉末タイプではアクリル,金属と比較して寒天との接合力は有意に小さい値を示した.クリームタイプでは被着体による接合力の違いは認められなかった.クッションタイプでは寒天<金属<アクリルと接合力が有意に大きくなった.テープタイプの接合力はクッションタイプと同じ傾向を示した.以上の結果より義歯安定剤の接合力は被着体によって異なることが明らかとなった.
著者
伊藤 康裕 山本 明美 高橋 英俊 橋本 喜夫 飯塚 一
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.477-479, 2000-03
被引用文献数
2

出版社版症例は67歳女性で,シェーグレン症候群と慢性関節リウマチの既往歴があり,プレドニゾロン 8.75mg/日の内服中である.3日前に左前腕に中心臍窩を有する水疱の発現に気付き,水疱は左大腿,背部にも多発してきたが疼痛や帯状疱疹を思わせる皮疹の配列はなかった.組織学的には表皮内水疱で,網状変性,球状変性を認めた.水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価はIgG 102.0と高値を示し,IgMは経過を通じて陰性であったため水痘の再感染と診断した.外来で経過をみたが,2週間後にも水疱の新生が続くため入院となり,アシクロビル 500mg/日の点滴投与を7日間行ったところ水疱の新生は止まったが,殆どは黒色痂皮を伴い潰瘍化した.アシクロビル中止3日後には背部に小水疱が再出現し,四肢にも拡大した.水痘の再燃と考えアシクロビル 500mg/日7日間点滴投与後に4000mg/日7日間内服投与により小水疱は色素沈着を残して治癒した
著者
新矢 博美 芳田 哲也 高橋 英一 常岡 秀行 中井 誠一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.75-88, 2003-02-01
被引用文献数
7 5

The effects of fencing uniforms (U) on thermoregulatory responses were analyzed in both practical field investigation (PFI) and laboratory experiment (LE). In PFI, six fencers (college-aged) performed regular fencing practice wearing U and wearing a short-sleeved shirt and pants (T) in summer. Rectal temperature (Tr), chest skin temperature (Tch), mask temperature (Tmk), heart rate (HR) and sweat rate (SR) were measured during fencing practice. In LE, seven male college-aged subjects performed three sessions of 20-min cycling at light intensity (250 W/m^2) in a room temperature maintained at 28 WBGT (wet bulb globe temperature). Esophageal temperature (Tes), mean skin temperature (Tsk), mean body temperature (Tb), HR, and SR were measured during exercise wearing U and in a semi-nude condition (N). In both PFI and LE, increases in Tch, Tsk, Tb, Tes, Tr and SR were significantly (p<0.001) greater when wearing U than when wearing T and N. In PFI, the maximal value of Tr correlated significantly with the maximal values of Tch (r=0.513, p<0.001) and SR (r=0.635, p<0.001) during practice wearing U and T. In LE, positive correlations between Tsk and Tes (r=0.797, p<0.001), and between Tb and SR (r=0.658, p<0.02) were found at the end of exercise wearing U and N. In PFI, although the Tsk decreased within a few minutes of a decrease in Tmk, a significant relationship between the decrease in Tmk and Tsk or Tr was not observed during fencing practice. These results demonstrate that when wearing U, a higher skin temperature induces core temperature elevation, and higher skin and core temperatures are associated with increases in SR and HR during exercise in a hot environment. Thus, wearing light clothing during exercise, and taking off the fencing jacket and mask during rest periods would be recommended to reduce the heat stress during fencing practice in hot environments.
著者
竹村 和久 坂上 貴之 藤井 聡 西條 辰義 高橋 英彦 南本 敬史
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、意思決定の微視的過程を、心理実験、社会調査、行動観察、計量心理学モデリングを用いて検討することを主目的とした。本研究は、眼球運動測定装置や社会調査法を用いて、選択の反復が選好形成に及ぼす効果を検討した。選択過程の眼球運動解析の結果は、ゲーズカスケード効果とは異なる過程を示した。本研究の結果は、自動的な選択の反復によって選好形成がなされることを示唆した。また、社会調査の結果は、時間経過とともに、選ばれた選択肢の優れた属性への重みづけは増加し、選ばれた選択肢の劣った属性への重みづけは減少した。この研究結果は、選択が選好を形成する因果関係を示唆しており、一般に意思決定研究で仮定されている知見とは逆の知見を示唆した。最後に、本研究では、社会的状況における意思決定過程のいくつかの性質を明らかにし、リスク下と不確実性下での意思決定の統一的な心理計量モデルを提唱し、さらに、得られた知見の社会科学への意義についての議論を行った。本研究の成果として、意思決定のマクロ分析についてのいくつかのワークショップを開催し、論文、書籍などを公刊した。
著者
馬渡 駿介 片倉 晴雄 高橋 英樹 齋藤 裕 矢部 衛 柁原 宏
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

地球規模の環境問題を解決し、生物多様性を守り、人類の生存を保証する方策は、生物がどのくらい多様なのか知ってはじめて可能となる。しかし、「生物はどのくらい多様なの?」との素朴な疑問に今まで誰も答えられなかった。本研究は、一地域の生物多様性を丸ごと明らかにしようとする、日本で、また世界的にもこれまで例のない研究であり、生物多様性解明への社会的要望の高まりを受けて計画されたものである。研究は、北海道厚岸湾に位置する約1平方km^3の無人の大黒島およびその周辺浅海域で行い、地域生物相の徹底解明をめざした。その結果、土壌繊毛虫、土壌性鞭毛虫類、有殻アメーバ、トビムシ類、ササラダニ類、植物上ダニ類、土壌表層ダニ類、維管束植物、海産無脊椎動物、魚類、齧歯類において、合計5新種、約25の日本初記録種を採集し、生息種の全貌をほぼ解明した。
著者
星野 卓二 高橋 英樹 池田 博 勝山 輝夫
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

カヤツリグサ科スゲ属植物213種の核および葉緑体遺伝子を解析し、現在広く採用されている形態に基づく分類体系と比較した。日本から韓国および中国東北部に分布するタガネソウ節が祖先型であり、属または亜属に分類できることが明らかになった。スゲ属植物の染色体は、異数的に染色体数が増加する方向に進化したことが明らかになった。また、節の分類が分子系統から強く支持されたものと、分類体系を見直す必要がある節が明らかになり、新しい分類体系が提案された。