著者
高橋 英海 桑原 尚子 近藤 洋平 辻上 奈美江 菊地 達也 三代川 寛子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、中東・北アフリカのイスラーム地域における少数派・弱者を取り上げ、その過去と現状について3年の期間をかけて調査を行った。具体的には、少数派・弱者を(1)「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」、(2)「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」、(3)「イスラーム世界における異端」という3つの研究課題に分け、それぞれの課題について調査を行い、思想史的および社会学的手法を用いて考察した。
著者
横谷 謙次 高橋 英之 高村 真広 山本 哲也 阿部 修士
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

行動嗜癖(過度な賭博行動やインターネットゲーム使用)は日本でも人口の約9%が経験しており、適切な治療が求められている。本研究の目的は1.ユーザーの嗜癖行動からの離脱と連動するキャラクター(以下、アバター)とその離脱を賞賛するキャラクター(以下、自律エージェント)によって行動嗜癖を治療し、2.その神経基盤を解明することである。1.の目的を達成するためにロボットとスマートフォンアプリでアバターと自律エージェントを作成し、ギャンブル障害者及びインターネットゲーム障害者に対する治療効果を検証する。また、2の目的を達成するために、fMRIを用いて、1.の治療効果に関与する神経回路を特定する。
著者
高橋 英之 石川 悟 大森 隆司
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.202-215, 2008 (Released:2009-10-30)
参考文献数
25
被引用文献数
5

It is thought to be an important brain function for us to modulate our cognitive state depending on recognition of interactive agents. From our behavioral experiment, we have shown that when subjects believed their interactive agent as a human being in a competitive game, specific behavioral tendency could be observed in comparison with a case that they believed their opponent as a computer and this tendency of subjects with autism spectrum disorder (ASD; they are thought to have some problems in social interaction) was different from that of subjects without ASD. We consider that this tendency is a reflection of cognitive modulation depending on recognition of interactive agents. To explain computational theory of this tendency, we propose a computational model that consists of change detection and state space switching evoked by the change of environmental nature. From this model, we reproduce the result of behavioral experiment by a computer simulation and try to discuss our computational model is useful to understand about the brain function for frequent human social interaction.
著者
佐藤 恵美 坂井 博之 高橋 英俊 山本 明美 橋本 喜夫 飯塚 一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.876-879, 2001-10-01

72歳,女性.57歳,64歳時に不明熱で入院歴がある.インフルエンザワクチン接種の約2週間後に40℃台の発熱,咽頭痛,多関節痛,全身の筋肉痛が出現し,好中球優位の白血球増多,脾腫,肝機能異常,血清フェリチン値の上昇を認めた.皮疹は発熱とともに消長する一過性紅斑と汗疹様の持続性丘疹で,成人Still病と診断した.発症時から約1か月後のB型インフルエンザウイルスの抗体価は4,096倍と著増しており,発症にワクチン接種の関与を推定した.抗体価は半年後も高値が持続し,本症の病因が感染症に基づく個体側の過敏反応であることを示唆する所見と思われた.
著者
高橋 英之 石黒 浩
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,様々なコミュニケーションロボットが開発されている.これらのロボットは,人間のパートナーとして生活に溶け込み,我々の暮らしをより豊かにすることが期待されている.我々は,コミュニケーションロボットが提供する一つの価値として,ロボットとの交流により,人間の自己の外部投影を促進し,行動変容を引き起こすことで個人の成長につながる“気付き”を生じさせることにあると考えている.本発表では,「ロボットを用いた自己開示の促進」と「ロボットを用いた批判的思考の促進」という二つの具体的な研究事例を紹介することで,ロボットが促す自己変容過程のモデル化について議論したい.
著者
高橋 英之 三船 恒裕 守田 知代 森口 佑介
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

文化や社会に応じて超自然的存在の感じ方には大きな個人差が存在している一方,文化普遍的に何らかの形でそのような存在に関する伝説や神話が存在していることは,子どもの心の中に元型となるメカニズムが存在するからと考えられる,本研究では,子どもが超自然的存在を感じるようになるメカニズムを明らかにするため,fMRIで実行可能なリズム同期とパレイドリア錯覚を組み合わせた課題をオリジナルな開発,大人と子どもを対象として行動・fMRI実験を実施した.結果,リズムが同期すると錯覚が生じやすくなるという現象を大人と子供両方で発見した.この現象をベースに,子どもが超自然的存在を知覚するメカニズムについて考察を行った.
著者
高橋 英之 寺田 和憲 上出 寛子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2K5OS14b2, 2015 (Released:2018-07-30)

その実在の議論とは別に,我々がかみさまを知覚する際に,他者やエージェントを知覚するのと同様な神経回路を用いていることが近年示唆されている.我々は,宗教,そして神は古代から人が作り上げてきた最も成功したHAIの一つであるという仮説を提起し,その誕生と機能について,宗教の歴史や形態と既存のHAI研究との比較を行いながら議論を行いたい.
著者
高橋 英次
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.259-286, 1971 (Released:2008-02-26)
参考文献数
15
被引用文献数
7 9

アジアおよびヨーロッパにおける身長の地理的分布および東アフリカにおける部族の身長と環境要因との関係を検討した.アジア地域については,MARTIN-SALLER の人類学教科書に所載のアジア諸地域住民の平均身長を利用した.測定年次•被検数•標準偏差などの記載のないものが多いが,他に適切な資料がえられないのでこれを使用した.身長分布の地域差の大きい印度およびその周辺地域では,西パキスタンを含む北西部地方の砂漠•乾燥地帯が一般に長身で165cm 以上を示すが,これに対して東部ガンジス河流域からビルマにかけて,また南インド•セイロンにかけてはすべて165cm 未満であり,山間部族のうちには155cm 末満のものもある.この地方は気候的には降水量が多く,概して稲作地帯に属する.シベリア北部では冬季狩猟•夏季漁撈を行う種族が多いが,牧畜は行っていない.中緯度地方に向うにしたがって半ば定着した遊牧民や農耕民が居住するが,これらシベリア以北の住民の平均身長はすべて155~164cm の範囲内にある.日本列島および朝鮮半島を含む極東地域住民も同じ範囲の中位身長を示している.島嶼東南アジアについては,ルソン島ザンバレス山系のアエタ族やスマトラ西北方のアンダマン島民のように155cm 未満の低身長種族もみられるが,大部分は155~164cm の中位身長を示す.第2次大戦中ジャワ島で計測を行った附田の数値によれば,同島在住の諸種族間の身長差は社会階層や年齢層による差に近い値を示している.中国から大陸東南アジアにかけては,内陸部寄りの住民に高身長がみられるが,平野部の稲作地帯では一般に155~164cm の中位身長を示している.ただしマライ半島山岳部原住民は155cm 未満の低身長である.蒙古•トルキスタン•チベットから中央アジアを経て西アジアに至る中緯度内陸部はインド北西部とともにその大部分が砂漠•半砂漠•高原ステップなどで占められているが,これらの地域の住民の大部分は165cm 以上の高身長を示している.ただし,中央アジアの砂漠地帯の中でもアム•シル両河による灌概が行われ農耕に従事している流域住民は165cm に達しない。要するにアジアでは,主として稲作農業の行われているモンスーン地域やその他の農耕地域の住民にくらべて,食生活において畜産品に対する依存度の大である内陸砂漠地域住民は長身である.FAO の調査報告により1951/53年の国民1人当り食糧供給量をみると,乳および乳製品の配分量は日本•台湾•フィリッピンなどにくらべてトルコやパキスタンは約10倍ほども多い.東アフリカの同一地域に住む原住民について食生活形態と身長の関係をみた。ケニヤの部族については主として East Afr.Med.J.所載の文献により,タンザニヤの部族については京都大学アフリカ学術調査隊報告および同未発表資料を供与利用させてもらったが,牧畜民は農耕民に比して長身である.ヨーロッパについては身長の地理的分布を示した LUNDMAN の地図によって16か国国民の身長を6つの階層に格づけし,FAO の国民1人当りの食品群別配分量との間に相関を求あてみた.身長と乳および乳製品,砂糖類およびいも類との間に順相関,穀類,豆類および野菜果実との間に逆相関がみられた.これらの関係の解釈にはなお慎重な検討を要するものがあるが,著者が前に46都道府県について14才と17才の男女生徒の身長と消費実態調査成績による米•肉魚•牛乳卵•野菜の消費額との間に相関を求めた結果,米とは相関がなく他の3者ことに牛乳卵との相関が最も顕著であったこととも関連して,著者は動物性蛋白質とともにカルシウムの身長発育に対する意義を重視している.カルシウムその他の鉱物質は食物のみならず飲料水からの摂取も当然考えられる.フランスおよびスペインの壮丁身長の地理的分布には地質との関連の考慮されるものがある.この関連は河川水のミネラル含量によって仲介されるものと考えられ,セーヌ•ライン•ローヌの河川水はロアール•ガロンヌにくらべてミネラルことにカルシウムの含量が大である.
著者
高橋 英明
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.51-54, 2014-01-31 (Released:2015-07-10)
参考文献数
11

大規模系の電子状態計算において要となるKohn-Sham の密度汎関数法(DFT)について,そのいくつかの問題点をレビューする.その1つは,Kohn-Sham 法において変分探索する電子密度の集合にある.通常のやり方では,実際には,相互作用の無い参照系の「基底状態」電子密度の集合のみを探索することになる.この密度の集合は,本来探索すべきN-表示可能な密度の部分集合にしかなっていないので,正しい電子密度に辿りつけない可能性がある.また,全エネルギーへの寄与の大きな交換汎関数Ex[n]について,これまでの主流の汎関数開発の経緯とその設計指針を論じ,それらとは異なる始点を持つBecke-Roussel 汎関数の概要と利点を紹介する.現在の主流の交換汎関数は一様な電子ガスの交換ホールをモデルとして構築されているが,このモデルは,原子や分子のように,その外縁部の密度が一様性から著しく逸脱する場合には適切ではない.Becke-Roussel のモデルは,原子,分子系の応用にとって理にかなった描像を与えるものである.
著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 高井 啓介 月本 昭男 高橋 英海 菊地 達也 長谷川 修一 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 小堀 馨子 鎌田 繁 中西 恭子 土居 由美 嶋田 英晴 志田 雅宏 櫻井 丈 小野 塚拓造 山野 貴彦 アヴィアム モルデハイ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ユダヤ教の歴史を調べていくと、のちに出現する二つの一神教、キリスト教とイスラーム、を生み出す基盤になっていることがわかる。宗教学の歴史は信仰を基盤とする西欧のキリスト教を宗教の一般モデルとしたため、このモデルから外れる諸要素は関心から外れた。しかし、イスラームとラビ・ユダヤ教はそれぞれ、シャリーアとハラハーを特徴とする啓示法の宗教であり、預言者に啓示された神の意志は、日常生活の行動様式を詳細に規定している。これら一神教の二つの異なる類型がともに古代ユダヤ社会に起源を有することを示して、一神教の歴史全体を動態的に理解する道筋を示すことは、人類の宗教史を考察する上で文明史的意義を持つものである。
著者
吉野 薫 高橋 英世 大沼 直躬 田辺 政裕 吉田 英生 岩井 潤
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.195-199, 1992-08-01

Hirschsprung病と先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS,オンディーヌの呪い)を合併したneurocristopathyの2症例を報告した。症例1は下行結腸までのlong segment aganglionosisを有する男児で,症例2は無神経節腸管がS状結腸までの古典的Hirschsprung病を有する女児である。両者とも生直後より低換気によるチアノーゼや高炭酸ガス血症を認め,その後の経過から先天性中枢性肺胞低換気症候群と診断された。Hirschsprung病の根治術を各々6歳,6カ月に施行し,術後経過は順調である。睡眠時を中心とする人工換気による呼吸管理が続けられ,現在症例1は8歳,症例2は9カ月になる。自験例を含む本邦報告18症例の先天中枢性肺胞低換気症候群症例を集計した。そのうちHirschsprung病を合併したものが8例,Hirschsprung病類縁疾患であるchronic idiopathic intestinal pseudoobstruction syndrome(CUPS)を合併したものが1例あった。
著者
森田 逸郎 サンダー ヤンセン 高橋 英憲 アルアミン アブドゥッラー 田中 英明
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.182-187, 2009-03-15 (Released:2015-08-04)
参考文献数
14

Orthogonal frequency division multiplexing (OFDM) is an attractive modulation format that recently

3 0 0 0 OA 発表要旨

著者
菅原 裕文 西間木 真 坂田 奈々絵 久米 順子 高橋 英海 岩波 敦子 山本 芳久 久木田 直江 高津 秀之
出版者
早稲田大学ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所
雑誌
エクフラシス : ヨーロッパ文化研究 (ISSN:2186005X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.149-157, 2014-03-20

後期ビザンティン聖堂 (13~15c) におけるプラティテラ型聖母子像 / 写本学 (codicologie) とリヴァイヴァル / 12世紀のサンドニ修道院における擬ディオニシオス文書の伝統 / キリスト教美術とイスラーム美術が交差するところ -中世スペインの場合- / ギリシア語からシリア語、アラビア語への翻訳 -誰が何をなぜ翻訳したのか- / 地中海からピレネーを越えて -中世ヨーロッパの自然科学 知の受容と伝播- / トマス・アクィナス 『対異教徒大全』 の意図と構造 / The Book of Ghostly Grace -ハッケボーンのメヒティルドの霊性と中世医学- / 「宗教改革百周年」 の挿絵入りビラ - 「図像から読み取る歴史」 から 「図像がつむぐ歴史」へ-
著者
高橋 英彦
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.249-254, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
18

情動,意思決定,意識といったこれまで心理学,経済学,哲学などの人文社会の学問で扱ってきた領域が,fMRIを中心とした非侵襲的脳イメージングや認知・心理パラダイムの進歩により,脳神経科学の重要なテーマになり,社会的行動の神経基盤を理解しようとする社会脳研究,social neu-roscienceとして急速に興隆してきている。精神・神経疾患を対象とした社会脳研究も精力的に行われてきている。精神・神経疾患の意思決定障害の分子神経基盤の理解に向け,我々が分子イメージング(positron emission tomography)を用いて心理学,経済学などの研究者と学際的に研究を進めてきた成果の一例を紹介する。線条体のD1受容体の密度が低い人ほど,低確率を過大評価し,高確率を過小評価する認知バイアスが強かった。また視床のノルアドレナリントランスポーターの密度が低い人ほど,損失を忌避する傾向が強く慎重な意思決定をする傾向があることを見出した。この分野が発展し,精神・神経疾患の意思決定障害の客観的評価や新規薬物療法の開発に繋がることを期待する。