著者
梅野 惟史 迫 秀則 髙山 哲志 森田 雅人 田中 秀幸 岡 敬二 宮本 伸二
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.239-242, 2017-09-15 (Released:2017-09-27)
参考文献数
10
被引用文献数
2

左室内血栓症は,急性心筋梗塞後もしくは心筋症や重症弁膜症などによる低左心機能症例に合併するが,可動性血栓の場合や塞栓症の既往がある場合,さらに心機能が改善傾向にある場合などは積極的外科手術の適応となる.今回,急性心筋梗塞後に左室心尖部血栓を生じた1例と,うっ血性心不全治療中に左室心尖部血栓を生じた1例に対して,右第4肋間から,完全内視鏡下に経左房・経僧帽弁アプローチで外科的血栓除去術を行い,良好な結果を得たので報告する.
著者
髙橋 遼 田中 友也 美﨑 定也 杉本 和隆
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11851, (Released:2020-11-20)
参考文献数
20

【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後の深部静脈血栓症(以下,DVT)に対する予防が重要である。しかし,DVT の理学的予防法の報告は限られている。本研究の目的は,TKA 後のDVT 予防に対する当日理学療法の効果を検証することとした。【方法】研究デザインは,性にて層別化したランダム化比較試験とした。当院で初回TKA を受けた440 名の患者のうち,適格基準を満たした84 名がPT ケア群と対照群に割りつけられた。PT ケア群は,術後当日に下肢挙上位にて下腿マッサージおよび足関節他動的底背屈運動を同時に実施した。メインアウトカムは,術後翌日のDVT 発生割合とした。【結果】術後翌日DVT の発生割合は,PT ケア群11.9%(5/42 名),対照群40.5%(17/42 名)となり,PT ケア群のほうが有意に減少した(リスク比0.29,p=0.003)。【結論】TKA の術後当日理学療法は,DVT 予防に有効であることが示唆された。
著者
髙津 梓 奥田 健次
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.64-70, 2019-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
13

研究の目的 本研究では、特別支援学校の給食場面で、飲食物を飛ばす、吐き出す行動の見られるダウン症候群の児童について、教室環境を調整した上でエラーレス指導を行い、その効果を検討した。対象者 知的障害特別支援学校小学部4年に在籍する、知的障害のあるダウン症候群女児1名。他者への不適切な関わりが多く、給食時には食べ物や牛乳を前方に飛ばす、口に入れたものを吐き出す、皿をひっくり返して振る行動が見られた。場面 対象児の所属校の給食場面で介入を行った。介入 牛乳を途中でこぼしたり牛乳やおかずを向かいにいる人に向けて飛ばしたりする不適切な行動に対し、①前方に衝立を設置する、②牛乳を飲み込んだら小分けにしたおかず等を小皿で提示する、③おかずを口に入れた際に前方に手をかざす、エラーレスを目指した介入を行った。行動の指標 給食時間中における不適切な行動の生起率、牛乳の摂取量を指標とした。結果 12週目以降不適切な行動が生起しなくなり、介入終了後も維持された。また、摂食スキルも向上した。結論 行動の形成期に使われることが多いエラーレス指導が、食事中においてすでに起こってしまった誤学習を修正することにも役立てられた。
著者
中澤 弥子 吉岡 由美 髙﨑 禎子 小木曽 加奈 小川 晶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、主菜について分析した。本発表では、その特徴を表し、昭和30年頃から長野県各地で大切に作り継がれている主菜について報告する。<br>【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。<br>【結果】「海なし県」である長野県の伝統的な主菜に用いる食材には、海水魚、淡水魚や貝、凍み豆腐、鶏肉、馬肉、山肉、昆虫など、種々の食材が利用されてきた。主菜に用いる食材の多くは、単品ではなく、季節の畑作野菜や山菜、茸などと共に煮物にして多く利用された。例えば、身欠き鰊と寒干し大根などの野菜の煮物は、田植えや人寄せ(人が集まる機会)などのご馳走として利用された。海水魚では、年取り魚(大晦日、年越しの食事につける魚)には鮭と鰤が多く利用され、鰯や秋刀魚等がご馳走や日常食で食されてきた。淡水魚では、鯉がうま煮、あらい、鯉こく、から揚げ、すずめ焼きなど様々な料理で利用され、年取り魚をはじめ、行事食としても多く利用されてきた。鮒の甘露煮、わかさぎの甘辛揚げ、たにしの味噌汁なども、季節の日常食として食されてきた。凍み豆腐は、寒冷な気候を利用した保存食として煮物や味噌汁をはじめ、いろいろな料理で食されてきた。家で飼っている鶏をつぶして鶏肉を行事食などに利用した。馬肉は、伊那・飯田で多く食され、馬刺しをはじめ伊那・飯田では馬のモツを醤油や味噌などで煮込んだ「おたぐり」と呼ばれる煮物などで食してきた。猪や鹿、熊などの山肉は、焼き肉や煮物などで利用した。また、魚肉ソーセージや竹輪が煮物やサラダなどに多く利用された。
著者
山村 涼子 山下 浩子 眞谷 智美 髙松 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】若い世代への食教育の観点から,栄養士および保育士養成課程の短期大学生における「郷土料理」や「正月料理」の認知度,喫食経験,調理状況,喫食状況等の実態を把握し,食文化の伝承について検討することを目的とした。<br>【方法】久留米信愛女学院短期大学の栄養士(平成23,24年度入学)および保育士(平成23年度入学)課程生を対象にアンケート調査を行った。その内容は,1)「郷土料理」について認知度,調理状況,喫食状況等,2)「正月料理」について喫食状況,調理状況等および具体的な料理内容,各家庭における正月の定番料理や平成25年の正月に実際に食した「正月料理」等について質問した。調査は,集合自記式にて行った。<br>【結果】1)「郷土料理」の認知度は,福岡県居住者64.1%,熊本県居住者87.0%と熊本県居住者の方が高く,認知している料理の種類も多かった。2)「正月料理」の用意率は,『お屠蘇』70.9%,『お雑煮』96.1%,『おせち料理』89.3%であった。『おせち料理』の調理状況は,約3割が購入していた。正月に食べる定番料理として,『寿司』,『刺身』,『鍋料理』,『サラダ』等の料理名が挙がった。今年の正月に実際に食べた「正月料理」は,『おせち料理』60.2%,『雑煮』51.5%,『がめ煮』27.2%,『寿司』10.7%,『刺身』・『オードブル』各6.8%,『お屠蘇』は5.8%であった。将来,栄養士および保育士,さらには母親となる若い世代に対して,地域の伝統食や行事と結びついた食文化を伝承していくためには,今後学校教育の中で,それらの意識を高め,調理実習などの実践教育を継続していく必要があると再認識した。
著者
髙橋 奈月
雑誌
学習院大学人文科学論集 (ISSN:09190791)
巻号頁・発行日
no.22, pp.71-99, 2013-10-01

La Trilogie des jumeaux d’Agota Kristof (1935-2011) a pour sujet la chronique de deux jumeaux, elle est constituée de trois romans : Le grand Cahier (1986), La Preuve (1988) et Le troisième Mensonge (1991). Notre étude de La Trilogie portera sur le portrait de famille. C’est l’histoire de deux jumeaux exilés pour des raisons politiques, cependant le sujet ne porte pas sur cet exil, mais sur la famille. Dans ces trois romans, les protagonistes écrivent sur leur famille : tantôt à partir de leurs souvenirs de famille, tantôt à partir de leur observation des relations avec leur mère, ou alors à partir de leur réflexion sur l’amour intime ou familial. Les jumeaux recherchent aussi chez les autres une expression de la maternité ou de la paternité. On va voir surtôt Le Grand Cahier et La Preuve parce que structurellement, le troisième est beaucoup different du premier et du deuxième. La première partie est consacré à l’analyse du Grand Cahier. Premièrement, nous verrons comment la famille est décrite, surtôt la mère. Après la séparation de la mère et des jumeaux, celle-ci devient un beau souvenir dans la tête des jumeaux bien qu’ils essayent d’écire de manière objective. Ils ne disent pas leurs émotions, mais on peut noter qu’ils n’écrivent que de belles histoires sur leur mère. Leur père dans leurs souvenirs est toujours méchant et cela vient renforcer la tendresse pour la mère. Leur grand-mère aussi est décrite de manière négative : elle est laide, sale avec une forte haine, à l’opposé de la mère gentille, douce, propre et aimante. Pourtant, après leurs retrouvailles avec leur mère, les deux jumeaux la trouvent éloignée de ce qu’ils avaient imaginé. Ils s’aperçoivent qu’ils avaient fait de leur mère une mère idéale dans leurs souvenirs, c’est aussi ce que montre la lecture de cette première partie. Dans la deuxième partie, nous analysons La Preuve sur le même thème : la famille. Un des jumeaux, Lucas, a perdu sa famille pendant la guerre, il est séparé de son frère qui s’est exilé et ne parvient plus à trouver quelqu’un avec qui il aurait un lien de parenté. Après la mort de son père, Lucas commence à appeler Monsieur le curé « mon père », il devient l’amant d’une femme qui ressemble à sa mère et essaie d’élever un enfant comme son frère. C’est-à-dire qu’il essaie de reconstruire sa famille perdue, mais cette famille ne fonctionne pas : les uns meurent et les autres quittent la ville. Quand son frère exilé revient dans sa ville, il ne parvient pas à le revoir. Cette histoire raconte l’exil de la famille.
著者
髙田 光雄 松原 孝祐 越田 吉郎 太郎田 融
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.332-337, 2015 (Released:2015-04-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2 5

The purpose of our study was to investigate radiation dose for lower tube voltage CT using automatic exposure control (AEC). An acrylic body phantom was used, and volume CT dose indices (CTDIvol) for tube voltages of 80, 100, 120, and 135 kV were investigated with combination of AEC. Average absorbed dose in the abdomen for 100 and 120 kV were also measured using thermoluminescence dosimeters. In addition, we examined noise characteristics under the same absorbed doses. As a result, the exposure dose was not decreased even when the tube voltage was lowered, and the organ absorbed dose value became approximately 30% high. And the noise was increased under the radiographic condition to be an equal absorbed dose. Therefore, radiation dose increases when AEC is used for lower tube voltage CT under the same standard deviation (SD) setting with 120 kV, and the optimization of SD setting is crucial.
著者
小林 美奈子 辻本 広紀 髙畑 りさ 矢口 義久 永生 高広 岡本 耕一 長谷 和生
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.197-202, 2019-08-31 (Released:2019-09-30)
参考文献数
16

手術時手袋の着用は,患者と医療従事者間の病原微生物の伝播経路遮断が目的である。これまでに術中に手袋損傷が起こることは諸家により報告されているが,これらの多くは開腹手術での手袋損傷である。近年,消化器外科領域において内視鏡外科手術が普及しているが,鏡視下手術での手袋損傷の検討はほとんど行われていない。そこで今回われわれは,消化器外科領域において開腹・鏡視下手術時の手袋穿孔率を比較検討した。手術時手袋1,513双,3,026枚の検討を行い,穿孔率は全体で10.9%,開腹手術11.3%,鏡視下手術10.4%であり,穿孔率に差は認められなかった(P=0.4611)。また,二重手袋着用での穿孔率は,インナー手袋5.7%,アウター手袋11.9%であり,インナーはアウターに比し有意に穿孔率が低率であった(P=0.0001)。消化器外科手術における手袋穿孔率は,鏡視下手術においても開腹手術とほぼ同率であり,血液・体液暴露予防やSSI予防の観点から鏡視下手術においても二重手袋の着用が重要であると考えられた。
著者
髙橋 つかさ 葛西 敦子 田中 完
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1, pp.105-112, 2017-11-06

視力低下とう歯は,子どもの健康問題であり,学校においては保健指導等の予防対策を行うことが求められている。そこで,本研究では,大学生が過去に受けてきた視力に関する保健指導とう歯に関する保健指導について比較し,検討することを目的として質問紙調査を行った。 その結果,学校において視力に関する保健指導が「あった」と回答した者は303名中52名(17.2%)で,う歯に関する保健指導が「あった」と回答した者の148名(48.8%)と比べて有意に少なかった。さらに,学校での保健指導について「あったかどうか覚えていない」,「なかった」と回答した者が,視力については251名(82.8%)もおり,8割を超えていた。 本研究より,学校での視力に関する保健指導が十分に行われていないことが明らかとなった。学校現場には,視力低下予防のために視力に関する保健指導を継続して取り組むことが求められる。
著者
髙山 佳奈子
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.247-257, 2007-02-10 (Released:2020-11-05)
著者
髙山 佳奈子
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.278-281, 2007-02-10 (Released:2020-11-05)
著者
髙山 佳奈子
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.398-409, 2005-04-10 (Released:2020-11-05)
著者
薗田 将樹 山本 昇伯 髙田 敦子 菊地 学 田宮 大介 遠藤 良二 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.155-160, 2018

<p>東洋医学的治療が有効であったうつ病の3症例を報告する。3症例とも同一職場(全17名)の職員。症例1は46 歳男性,勤続20年。主訴は抑うつ,不眠。症例2は28歳女性。勤続9年。主訴は嘔気,気分不良。症例3は41歳男性,勤続15年。主訴は焦燥感,不眠,抑うつ。3症例に対して抑肝散および抑肝散加陳皮半夏で加療し,症状の改善がみられた。今回,処方選択において3症例が同一の職場環境であることを考慮した。抑肝散には母子同服という服用法が伝えられている。また,精神神経分野にて情動伝染(Emotional Contagion)という情動の共有システムがHoffman(1984)により提唱されている。総合的に考えると母子同服は情動伝染を考慮した経験的治療法であり、同一職場のような同じコミュニティ内でも応用可能と考察した。本症例のように,同一職場内の情動伝染を考慮した職場内同服は有用である可能性がある。</p>