著者
髙畑 克徳 髙嶋 博
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.9-18, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Autoimmune encephalopathies are clinically and immunologically heterogeneous disorders. Over time, many different types of autoimmune encephalopathy have been discovered. In such clinical situations, we often recognize that patients with autoimmune encephalopathy are often misdiagnosed as exhibiting functional psychogenic movement, conversion, or somatoform disorders. We clinically analyzed 63 patients (14 males and 49 females; age range, 15–79 years) diagnosed with autoimmune encephalopathy in our hospital from 2013 to 2015. Throughout this period we diagnosed almost no conversion disorders in our department. These patients were diagnosed using the diagnostic criteria for each disease, following clinical features showing neurological symptoms of brain origin, responsiveness to immunosuppressive therapy, the existence of known pathological antibodies, and/or history of human papilloma virus (HPV) vaccination. Fourty–two patients showed motor disturbance (weakness, paresis of extremities, or slower pinching) and 35/42 (83.3%) patients showed give–way weakness, indicating disruption of continuous muscle contraction. Fourty–four patients showed sensory abnormalities such as strong pain, deep muscle pain, dysesthesia, paresthesia, or fast neurologic pain. Surprisingly, most pain was distributed in manner that was not explainable anatomically, while some patients also showed patchy, stocking–glove, or localized pain. Seventeen patients exhibited involuntary movements such as tremor entrainment, dystonia, or coarse involuntary movement. In most patients, such motor, sensory, or involuntary movements were markedly improved with immunosuppressive therapies such as prednisolone, azathioprine, or immune adsorption therapy. We observed memory loss, PNES (psychogenic non–epileptic seizure), dissociative amnesia, hyperventilation, opsoclonus, epilepsy, or autonomic symptoms amongst our patients. Although give–way weakness, anatomically unexplainable pain/abnormal sensation, and strange involuntary movements were thought to be psychogenic, the presence of one of these three symptoms was indicative of autoimmune encephalopathy. As autoimmune encephalitis exhibits diffuse involvement with the whole brain, these symptoms were entirely understandable. Except for the presence of organic disease, most patients were classified into somatoform disorders (DSM–IV, ICD–10) or functional movement disorders. Without first excluding autoimmune encephalopathy, we propose that physicians should not diagnose somatoform disorders. Since autoimmune encephalopathy patients often possess so–called psychogenic signs, it is possible that such signs might be generated by autoimmune encephalopathy instead of somatoform disorders. In conclusion, we propose that give–way weakness and anatomically unexplainable pain/abnormal sensation are key symptoms of autoimmune encephalopathy. We hope that many patients with autoimmune encephalopathy will now be identifiable using our new neurological examination and that each patient can be given an exact diagnosis and therefore be administered with the appropriate treatments.
著者
髙嶋 博
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.536-542, 2018 (Released:2019-04-22)
参考文献数
24

Many patients present with extremely serious problems such as headache, photophobia, acoustic hyperresponsiveness, severe pain, menstrual disorders, various sleep disorders, and POTS after human papillomavirus vaccination (HPV vaccine). In addition, patients exhibit various neurological symptoms such as movement disorders, walking disturbance, involuntary movement, abnormal sensation, memory disturbance, and so on. However, these symptoms are variable and have been considered to be symptoms of hysteria (somatoform disorder, somatic symptoms). Immunosuppressive treatments were not administered because many cases were considered to be of neurological origin. In such cases, the disease condition is objectively evaluated to diagnose and treat patients with neurological symptoms. In conclusion, the wide–ranging symptoms of the central nervous system include those caused by disseminated autoimmune encephalitis and also symptoms of the peripheral small fibers. Thus, according to the obtained findings, the neurological symptoms caused by HPV vaccination are related to immunological diseases, and not psychogenic diseases. In addition, the cause of misdiagnosis has also been described.
著者
飯島 茂子 小城 一見 髙山 典子
出版者
一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
雑誌
日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌 (ISSN:24337846)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.362-369, 2020-04-30 (Released:2020-11-24)
参考文献数
9

64歳女。紫外線硬化アクリル樹脂を用いたアクセサリーの作製中に感作されたアレルギー性接触皮膚炎の1例を報告した。患者は布またはポリエチレン手袋を着用していたが,2週間後の2回目の作製後に手指の軽度の腫脹・疼痛・掻痒を感じた。4週間後の3回目の作製時には,水疱を形成する重篤な皮膚炎を生じた。パッチテストの結果から,感作源は,アクリル樹脂中に含まれる2-ヒドロキシエチルアクリレートと考えた。2-ヒドロキシエチルメタクリレートにも弱い交差反応を示し,今後,同様の樹脂を用いる歯科治療,接着剤,ネイルアートなどでも口腔粘膜・皮膚接触部位に皮膚炎を生じる可能性がある。感作を防止するには,アクリルモノマーには直接接触するのを避けること,ディスポーザブル手袋は防護性のないこと,およびネオプレン製工業用手袋でも短時間の作業に留めることを十分理解させることが重要である。(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):362-369,2020)
著者
髙嶋 博
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.472-473, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
15
著者
髙久 宏佑 諸澤 崇裕
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2109, (Released:2021-10-31)
参考文献数
27

日本における観賞魚飼育は古くから一般的なものであり、近年では希少性や美麗性から日本に生息する絶滅危惧魚類も取引対象として扱われるようになってきた。さらにネットオークションによる取引の増加に伴い、個人等による野外採集個体の消費的な取引の増加も懸念されているが、一方で絶滅危惧種の捕獲、流通に係る定量的データの収集は難しく、種ごとの取引現況について量的な把握が行われたことはない。そこで本研究では、環境省レッドリストに掲載されている 184種の絶滅危惧魚類の取引の実態把握を目的として、ネットオークションにおける 10年間分の取引情報を利用した大局的な集計と分析を行うとともに、取引特性の類型化を試みた。取引データ集計の結果、ネットオークションでは 88種の取引が確認された。また、全取引数の過半数以上は取引数の多い上位 10種において占められており、さらにアカメ、オヤニラミ、ゼニタナゴの 3種の取引が、そのうちの大部分を占めていた。取引数や取引額、養殖や野外採集と思われる取引数等を種ごとに集計した 6変数による階層的クラスター分析の結果では、 8つのサブグループに分けられ、ネットオークションでの取引には、主流取引型、薄利多売型、高付加価値少売型等のいくつかの特徴的な類型を有することが分かった。また、特に多くの取引が確認されたタナゴ類の中には、養殖個体として抽出された取引が多く認められる種がおり、一部の種については、他の観賞魚のように養殖個体に由来する取引が主流になりつつある可能性が考えられた。
著者
伊藤 大幸 浜田 恵 村山 恭朗 髙柳 伸哉 野村 和代 明翫 光宜 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.451-465, 2017 (Released:2018-02-21)
参考文献数
37
被引用文献数
5 9

クラスサイズ(学級の人数)が学業成績および情緒的・行動的問題に及ぼす影響について,要因の交絡とデータの階層性という2つの方法論的問題に対処した上で検証した。第1に,学年ごとの人数によってのみクラスサイズが決定されている学校を調査対象とする自然実験デザインにより,学校の裁量に起因する要因の交絡や逆方向の影響の発生を防いだ。第2に,マルチレベルモデルの一種である交差分類(cross-classified)モデルを用いて,データの特殊な階層性を適切にモデル化した。第3に,学校内中心化によって学校間変動を除外することで,クラスサイズの純粋な学校内効果を検証するとともに,学校規模との交絡を回避した。9回の縦断調査で得られた小学4年生から中学3年生のデータ(11,702名,のべ45,694名,1,308クラス)に基づく分析の結果,クラスサイズの拡大は,(a)学業成績を低下させること,(b)教師からのサポートを減少させること,(c)友人からのサポートや向社会的行動の減少をもたらすこと,(d)抑うつを高めることが示された。こうした影響の広さから,クラスサイズは学級運営上,重大な意味を持つ変数であることが示された。
著者
卯野木 健 林田 敬 河合 佑亮 對東 俊介 安藤 守秀 飯田 有輝 笠井 史人 川崎 達也 神津 玲 近藤 豊 齊藤 正和 櫻本 秀明 佐々木 信幸 佐浦 隆一 中村 謙介 大内 玲 岡本 菜子 岡村 正嗣 栗原 知己 栗山 明 松石 雄二朗 山本 憲督 吉廣 尚大 矢坂 泰介 安部 諒 飯塚 崇仁 井上 拓保 内山 侑紀 遠藤 聡 大倉 和貴 太田 浩平 大塚 貴久 岡田 大輔 小幡 賢吾 片山 雪子 金田 直樹 北山 未央 喜納 俊介 草葉 隆一 桑原 政成 笹沼 直樹 高橋 正浩 髙山 千尋 田代 尚範 立野 淳子 田村 貴彦 田本 光拡 土谷 飛鳥 堤 悠介 長門 直 成田 知大 名和 智裕 野々山 忠芳 花田 匡利 平川 功太郎 牧野 晃子 正木 宏享 松木 良介 松嶋 真哉 松田 航 宮城島 沙織 諸見里 勝 柳 尚弥 山内 康太 山下 遊平 山本 夏啓 劉 啓文 若林 侑起 渡辺 伸一 米倉 寛 中西 信人 高橋 哲也 西田 修 日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement2, pp.S905-S972, 2023 (Released:2023-12-10)

重症患者に対する標準化された質の高いリハビリテーションの提供は,取り組むべき重要課題である。日本集中治療医学会では,2017年に「集中治療における早期リハビリテーション ―根拠に基づくエキスパートコンセンサス―」を発行したが,系統的にエビデンスを評価したものではなく,あくまでも専門家のコンセンサスに基づくものであった。そこで,日本集中治療医学会では,質が高く,かつ,医療従事者が理解しやすく,その意思決定に資することを目的に,システマティックレビューおよびGRADE(grading of recommendations, assessment, development and evaluation)アプローチを用いた診療ガイドラインを作成した。 重症患者に対するリハビリテーションに特化し,かつ,GRADEアプローチを用いた診療ガイドラインとしては,世界初の試みである。本ガイドラインは日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会を核に,ワーキンググループ,システマティックレビュー班,アカデミックガイドライン推進班から構成された診療ガイドライン作成グループの合計73名からなるメンバーで作成した。リハビリテーションでは多職種連携が非常に重要であることはいうまでもない。本ガイドラインも多職種,かつ多様な専門分野を持つ医師や医療従事者,ICU患者経験者を含む多くのメンバーが作成に寄与した。 本ガイドラインでは,グループメンバーによる議論に基づいて,8領域を注目すべき臨床重要領域とした。その上で,各領域から重要な14の臨床疑問(clinical question, CQ)を作成した。 パブリックコメントの募集を計2回行い,CQに対する回答としては,10のGRADEによる推奨,4つの背景疑問の解説が示された。また,CQごとに情報を視覚的診療フローとして作成し,各CQの位置付けがわかりやすいように配慮した。多職種が関与する重症患者に対するリハビリテーションにおいて,本ガイドラインが活用されることを期待する。
著者
髙橋 済
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.63-117, 2016-03-31

我が国の出入国管理及び難民認定法が制定後、現在までどのような軌跡を辿ってきているのか歴史的・時間的経過を軸、法的な観点から考察したものである。 具体的には、退去強制に関する実体法上の要件に関し改正が逐次なされており、その概要と歴史的傾向を考察する一方、退去強制手続、仮放免許可申請手続など制定時から現在に至るまで手続保障の観点から考察するものである。 また、従前消極的な評価が多かった出入国法案等に関し、政府が全件収容主義を立法上も放棄しようとしていたこと、仮放免(収容の停止)の要件に関し明文規定を置こうとしていたことなど、現在からみてもその歴史的価値、積極的な面があることを指摘している。 なお、特別永住者等の法的な地位の変遷、現在の法的地位についても考察している。
著者
大髙 瑞郁 唐沢 かおり
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.49-59, 2010 (Released:2010-08-19)
参考文献数
18
被引用文献数
2

帰属と援助の先行研究は,貧困者が政府に援助されるに値するか否かの判断(Zucker & Weiner, 1993)や,貧困者を援助する社会政策に対する態度の規定因(Applebaum, 2001)を検討してきた。しかし,政府に援助されるに値しないと判断した人々も,社会保障政策を支持するかもしれない。なぜなら,彼らが貧困者に貧困を解決することが不可能であると判断すれば,政府に援助する責任があると判断し,社会保障政策を支持する可能性が考えられるからである。そこで本研究は,社会調査データの二次分析を行って,人々が社会保障政策に対する態度を決定する過程を解決責任(Brickman, Rabinowitz, Karuza, Coates, Cohen, & Kidder, 1982; Karasawa, 1991)の観点から検討した。結果は,低所得者は高所得者よりも,社会保障の対象となる人々の生活を保障する政府の責任を重く判断し,社会保障政策を支持することを明らかにした。考察では,格差が拡大しつつある日本社会に,本研究が与える示唆について議論した。
著者
髙坂 康雅
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.144-156, 2009-03-01 (Released:2009-04-08)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2

本研究の目的は,大学生における恋愛関係の影響を明らかにすることである。大学生340名を対象に,予備調査をもとに作成した恋愛関係の影響に関する項目75項目について回答を求めた.因子分析の結果,「自己拡大」,「充足的気分」,「拘束感」,「関係不安」,「経済的負担」,「生活習慣の乱れ」,「他者評価の上昇」という7因子が抽出され,いずれも恋愛関係にある者の方がない者よりも強く感じていたことから,これら7因子が恋愛関係の影響であることが確認された。恋愛関係の影響と交際期間との関連はあまりみられなかったが,「拘束感」と「他者評価の上昇」は男子の方が,「生活習慣の乱れ」は女子の方が,強く感じていることが明らかとなった。また,女子では,関係満足度と「自己拡大」,「充足的気分」,「拘束感」,「関係不安」,「生活習慣の乱れ」が関連し,関係関与度と「充足的気分」が関連していたが,男子では,関係満足度と「充足的気分」との関連がみられただけであった。
著者
安田 裕子 荒川 歩 髙田 沙織 木戸 彩恵 サトウ タツヤ
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.181-203, 2008 (Released:2020-07-06)

中絶を選択した女性は,生命の喪失や,社会的に容認されないというスティグマに苦しむ。そのために,自らの経験や気持ちを誰かに語ることが困難であり,孤独のうちに悲嘆のプロセスを辿る人が多い。本稿では,20 歳前後の未婚の時期に中絶を経験し,中絶手術後 2 年以上経過した女性 3 名を対象にインタビューを行い,その経験を聴きとった。そして,中絶を選択する未婚の若年女性が何に迷い苦しんでいるのかを,その経験の固有の意味を含めて,周囲の人々が理解できるように,描き出すことを目指した。分析枠組みとしては,複線径路・等至性モデル(TEM)を用いた。妊娠していることに気づき,医師の診断を受け,中絶手術をし,現在に至るまでの時間経過のなかで,社会的制約やパートナーなどの周囲の人々の影響をうけつつ変化する,中絶経験の多様性を捉えた。彼女たちは,パートナーの辛さに配慮し,また中絶したことによる罪悪感に苛まれ,それゆえ周囲の人々に話すことができず,実質的・精神的な支えを得られにくい辛い状態であった。また,中絶をすることで,元の状態に戻ることを望んでいる人もいた。しかし,時間が経過した後,彼女たちは,妊娠と中絶を,自分の人生における大事な経験として受け容れようと変化していた。
著者
髙橋 沙奈美
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.25-48, 2017-12-30 (Released:2018-03-30)

本稿はペテルブルグの聖クセーニヤに対する崇敬を事例として、人びとの日常生活の中で経験され、表現される「生きた宗教(lived religion)」が、社会主義時代にどのような主体によって維持され、いかに変容し、またいかに持続したかという問題を検討する。十八世紀末の帝都の下町に暮らしたといわれるクセーニヤは、十九世紀後半から二〇世紀にかけて、悩みや苦しみに寄り添い力を貸してくれる聖痴愚として、人びとに慕われ始めた。一九一七年の革命後、反宗教政策で教会が壊滅状態に陥り、祈?を依頼できる司祭がいなくなると、レニングラードの人びとはクセーニヤに「手紙」を書くことで崇敬を維持した。クセーニヤは過去の記憶ではなく、テロルや包囲戦の時期もレニングラードと共にある等身大の福者として意識された。また、帝政末期にすでに正教会にも認められていたクセーニヤ崇敬は、教会権力によって単なる民衆宗教として排斥されず、西側の世論を怖れたソ連政府も礼拝堂の破壊を思いとどまった。一九八八年の列聖は、信者たちにとって、革命以前の信仰生活の復活ではなく、ともに最も苦しい時代を生き抜いたクセーニヤの記念を意味したのである。
著者
大髙 実奈
出版者
東洋大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.65-76, 2017

電車内痴漢被害の多くは若い女性が被害者となるが,一部で男性の被害者も存在する。本研究では,大学生の男女を対象に電車内痴漢被害の実態調査を実施した。被害経験率は女性で約37%,男性で約6%であった。女性は数回程度の被害経験の者が多く,一部に突出して被害経験回数の多い者が存在し,男性は被害経験のある者は少ないが,被害経験者の中では複数回の被害を受けている割合が高かった。また,被害の分類では,「持続型」と「一瞬型」の2つの類型に分類された。被害時の感情と対処行動については,何らかの対処行動を講じることができた場合は,対処を講じることができなかった場合と比較して,被害時に「気持ち悪い」と感じている程度が高い傾向があり,「怒り」を感じている程度が高かった。今後は被害経験や性格特性などの内的要因にも着目し,被害時の自助的な対処行動の促進要因を明らかにし,効果的な広報や教育に繋がる研究に発展させたい。In Japan, a criminal act called "Chikan" - is an act of touching and mischieving a stranger's body in a crowded train - have occurring very often. This victims of "Chikan" were mostly females, owever sometimes, cases of males become victims occur. Therefore, in this study, it researched a questionnaire survey about "Chikan" in the train to undergraduates, and analyzed to clarify the attributes and types of victims. As a result, it was become clear that 37.39% of female students and 5.97% of male students were suffering from "Chikan". In correspondence analysis, it was categorized to 2 types of victims as "lasting victimization" and "victimization for an instant". These unpaired t tests showed that the victims who can cope with "Chikan" damage were anaerobic and angry over those who can't deal with it.
著者
原口 哲子 髙橋 佳子 大久保 晃樹 西小野 美咲 榊 美紀 原口 優清
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.197-201, 2019 (Released:2019-08-27)
参考文献数
15

【緒言】解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンはWHO(世界保健機関)方式がん疼痛治療法では代表的な薬剤の一つとして位置づけられている.【症例】75歳,女性. 左上葉肺がん術後再発.多発骨転移によるがん疼痛に対しアセトアミノフェンを使用していたが,同薬剤の商品を変更しアレルギー症状が出現したため中止し,症状は消失した.同薬剤の別の商品へ変更し継続した.【考察】アレルギー症状はアセトアミノフェンの添加剤が原因と推察された.【結論】アセトアミノフェンによるアレルギー症状の出現時,規格を変更することで薬剤使用を継続できる可能性がある.