著者
梶本 五郎 嘉ノ海 有紀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.272-277, 1992-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

The effect of thermal oxidation and hydrolytic promoters of oil or their inhibitors were investigated on the deterioration of oil and decomposition of tocopherol (Toc) in oil with or without an aluminum cover float. Vegetable oils (soybean, hardened soybean, rapeseed and olive oils) under the presence of oxidation promoters of oil (ferric and cupric stearates), hydrolytic promoters of oil (stearic and citric acids, or magnesium oxide) and their inhibitors were heated in glass tubes (2.7×20cm) at 180°C.The deterioration of oil and decomposition of Toc in oil were apparently promoted by addition of ferric and cupric stearates. On the other hand, the added silicone oil, tert-butylhydroquinone (TBHQ) and ascorbyl palmitate (As. P) showed preventive effects on the deterioration of oil and decomposition of Toc in oil. And moreover, the deterioration of oil and decomposition of Toc in oil containing As. P heated with the aluminum cover float were clearly less than those without the float.
著者
藤原 邦達
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.60-72, 1990-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The contents and cooking methods of many kinds of dishes in various places of the world may be recorded by standardized and unified terms.By means of substituting the special cookery signs for such terms and arranging these sings according to definitive rules, it is possible to describe the contents and cookery methods of all sorts of dishes as the chain of these special cookery signs.For instance, YAKIIMO (broiled sweet potatoes), one of the most simple and typical Japanese cooking methods can be recorded as 2M=1: SWEET POTATO (PO),120g,1/1,2: W 1. S9(-),3: I12,6: H 46,180°C,20 min,9: Y12In the near future, if such a standardized cookery signs method as this is improved and adopted for the purpose of recording and describing worldwide varieties of human dishes, it will be very useful and beneficial for every nation to understand food and nutritional culture.Besides, in the recent computerization of office work and life, this cookery signs method should have significant benefit for cooking recipe indication, deta base setting and other terminological purposes in various practical fields.
著者
内藤 文子 青山 葉子 藤田 孝輝 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.253-259, 1994-11-20
被引用文献数
1

ラクトスクロースは乳糖とショ糖を原料としたビフィズス菌増殖活性の強い難消化性の糖質である。このラクトスクロースがマシュマロの物性や食味に及ぼす影響を知る目的で、ショ糖を対照としてラクトスクロースを25、50および100%置換して調製したマシュマロについて、クリープメーターによる破断強度測定、レオロメーターによるテクスチャーおよび官能評価による食味特性から検討し次のような結果を得た。1)ラクトスクロールの粉末品(LS-55P)を用いたマシュマロの硬さ、破断エネルギーはショ糖100%に比べて大きい値となり、こしや歯ごたえのあるテクスチャーを与えることが明らかとなった。2)ラクトスクロールをショ糖の25%置換したマシュマロは対照と近似の物性を示した。50%以上の置換では硬さの増加が顕著となったが破断歪や凝集性に与える影響は僅少であった。3)市販マシュマロ3種の硬さは1.44〜2.75(×10^5N/m^2)と試料間の差が大きく、実験室調整品4種はそれらの中間の値であった。4)官能評価の結果からラクトスクロール25%置換のマシュマロは対照のショ糖100%と似た食味特性を示し、歯切れや口どけが良く、対照と同様に好まれる製品といえる。ラクトスクロース100%置換は硬さが大であり甘味が低いためか嗜好性は低い傾向を示した。5)ラクトスクロール100%置換のマシュマロは硬くボディーのしっかりした製品が得られることから、ゲル化剤としてのゼラチンの使用量を1.0%減ずることが可能であった。このことは起泡時の作業性を良くし、経済性につながると考えられる。6)マシュマロの物性と官能評価との相関関係は硬さと口どけ、破断エネルギーと甘さ、歯切れとの間に負の相関が認められ、物性測定中硬さ、破断エネルギーはマシュマロの食味の一つの指標となると考えられた。また、官能評価の各項目と総合評価との間では、甘さ、歯切れの良さ、口どけの良さの3項目において、特性評価および嗜好ともにそれぞれ正の相関が認められた。7)ラクトスクロールの粉末品を用いたマシュマロは甘味度が低いことから、菓子としてのみでなくサラダやデザート菓子などの調理素材としても即席に幅広く利用できると考えられた。
著者
小林 啓子 高橋 美子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.176-179, 1971-09-20

1)一般家庭で調理した食物を凍結貯蔵する際,風味は調理してから凍結貯蔵した方がよいのか,生品を凍結貯蔵した方がよいのか,ブリのゆうあん焼,カレイの煮付け・タラのフライ,サバの立田揚の4種類を試料として嗜好調査と衛生試験を行った。2)ブリのゆうあん焼き:ブリの生肉を冷結貯蔵後解凍した調理した試料と、調理後凍結貯蔵し室温で解凍した試料では,嗜好上の優劣は認められなかった。両試料とも,凍結後の生菌数は1g当り×10^2,PH5.82,NH_3-N量は28〜29mg%であった。3)カレイの煮付け:カレイの生肉を凍結貯蔵後解凍した煮付けた試料Aと煮付け後涼繕貯蔵し室温で解凍した試料Bでは,嗜好上の優劣は認められなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数x10^3,PH6.59,NH_3-N22.5mg%。試料Bは生菌数×10^3,PH6.51,NH_3-N24.5mg%であった。4)冷凍タラのフライ:タラをフライして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Aが最も好まれ,次いで生で凍結後フライした試料B,フライして凍結後解凍した試料は最も好まれなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^3, (×10^2), PH6.70, (6.95),NH_3-N23.4,(20.1)mg%。試料Bは生菌数×10^2(×10^2),PH6.70(7.02),NH_3-N22.0(19.1)mg%であった。5)サバの立田揚げ:サバの生肉を凍結貯蔵後,立田揚げとした試料Aが最も好まれ,次いで立田揚げとして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Bが好まれ,最も好まれなかったのは,立田揚げにして凍結後解凍した試料であった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^2(×10^2),PH6.01(5.86),NH_3-N21.9 (29.1)mg。試料Bは生菌数×10^2(×10^3),PH5.95(5.74),NH_3-N25.9(12.3)mg%であった。6)以上の試料について,測定した生菌数,PH,NH_3-N値によれば,いずれの場合も食品衛生上問題ないものと思われる。

1 0 0 0 OA 広島のかき

著者
山崎 妙子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.270-275, 1991-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
7
著者
塩田 教子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.247-252, 1984-12-20
被引用文献数
4

ミートボールについて, 水とデンプンの添加量を変えて, その適量を求めた。試料の官能特性値と機器測定による物性値から, 水とデンプンの効果を最小自乗分散分析した。また, 両測定値間を重回帰分析し, 肉調理品のテクスチャーとして重要な因子と考えられる「やわらかさ」の測定法を検討した。さらに組織と官能特性値の関係を光顕と電顕によって調べた。1) 挽き肉に, 水とデンプンの添加は, 単独で利用するより, 併用する方が, ミートボールを, よりやわらかく, 水っぽく, きめ細かくし, 好ましいものとした。2) 最小自乗分散分析によるミートボールの水とデンプンの要因効果は, 極めて高いことが示された。3) 重回帰分析から, ミートボールの物性を測定した機器の測定値の内容が, 確認された。そして針入度とレオメーター測定値で, ミートボールの物性の全変量の大部分が推定されることがわかった。また, 得られた推定式は, いずれも有意(P<0.01〜0.05)な回帰性が得られた。4) 組織と官能特性値の関係は, 光顕では, PAS染色により, ミートボール中のP.S.やW.F.は, 15%加水することによって, デンプンの多くが, 膨潤, 糊化し, 変形破壊しているのが観察された。電顕においては, このデンプンの変形破壊が, 流動的な粘りを形成しているように観察された。そして, その組織の変化が, テクスチャーに影響するものと思われた。
著者
会田 久仁子 角野 幸子 橋本 美津子 横堀 亜紀子 金子 憲太郎 角野 猛
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.206-210, 1990-05-20
被引用文献数
2

キムチのpH、塩分濃度、および微生物汚染等と女子学生の嗜好実態およびイメージについて調査し、次の知見を得た。1.市販キムチ40検体のpHは4.50〜4.99のものが多く、平均5.14であった。塩分濃度は平均2.75%、一般生菌数は10^7〜10^8/gのものが多く対数平均値は6.22/gであった。大腸菌群検出率は41.7%であった。2.嗜好の程度を「大変好き」、「好き」、「どちらでもない」、「嫌い」、「大変嫌い」として、それぞれ2、1、0、-1、-2点と評点し、各種漬物の嗜好度の平均点、95%信頼限界を算出した。キムチは平均0.72点でたくあん漬および梅干しについで高かった。なお、浅漬、福神漬、ぬか漬、みそ漬、奈良漬、わさび漬および酢漬はそれぞれ0.67、0.65、0.17、0.14、-0.01、-0.10および-0.07点であった。3.キムチは濃厚な味で、まろやかさに欠け、後味が残り、くせがあり、重々しいものであるというイメージをもっていた。
著者
森重 敏子 青山 よしの 堀 洋子 金子 小千枝
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.247-252, 1981-12-20
被引用文献数
1 5

9色の着色あめ玉のうちから年令、性別、居住地等の異なる調査対象1835名に1種を選択させ、同時にその選択理由を記入させ、色彩嗜好傾向を調べた。1.学令別色彩嗜好傾向には有意の差が認められた(χ^2=368.414, P<0.001)。低学令ほど各色の嗜好率に大差を示し(幼稚園、小学生では赤、青に片寄った嗜好を示す)、学令が進むに従って各色の嗜好率の差が減少し、特に大学生では色彩嗜好の多様化が認められた。各色の学令別の嗜好傾向は、低学令で有意に多く好まれる色(赤、青)、高学令で有意に多く好まれる色(黒、無色、ひき茶)、学令による差のない色(橙、緑、紫)の3群に分けられるようである。2.男女別では、女子は赤、橙、男子では青、緑、黒、紫で嗜好率が有意に高い。しかしこの男女差は低学令ほど顕著で、赤、橙は幼稚園、小学生で女子の嗜好率が著しく高い為であり、青、黒は幼稚園、小学生の男子の高率による。3.季節差では、夏に青、冬に黒がそれぞれ有意に多く嗜好された。地域別では、都市で赤が、農村では黄が有意に好まれた。4.選択理由は、総計では"色と味"が有意に多く、次いで"色"、"味"、"色と感覚"の順に選んでいる。低学令ほど、また男子より女子に"色"で選んだものが多く、大学生、また男子の方に"味"で選んだものが多い。橙、黒、ひき茶は"味"で他の色は"色"で選ぶ傾向にあった。

1 0 0 0 OA 淡雪かん

著者
伊東 清枝
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.35-37, 1984-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
1

1 0 0 0 OA 卵料理考

著者
松下 幸子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.319-324, 1987-12-20
著者
志垣 瞳 大重 淑美 梶田 武俊
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.43-47, 1988-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
7
被引用文献数
2

Effects of powdered green tea added to the dough on qualities of breads were investigated.Changes in vitamin C and chlorophyll contents during fermentation were also examined. Results obtained were as follows:1) The dough which was prepared by addition of 1.5% powdered green tea, i. e., the green dough was expanded or puffed as well as the white dough. When the amount of the tea powder added was increased to 3 or 5 %, the expansion on puffing process appeared to be suppressed. It turned out that tannic acids involved in the puffing process and seemingly inhibited the expansion.2) When ascorbic acid was added to the green dough containing 1.5% tea powder, about 70%of ascorbic acid was remained in the bread after baking. The contents of chlorophyll and tannic acids were not precisely determined because it was difficult to sufficiently extract them from the after dough.3) A sensory test of breads made from doughs containing tea powder showed that the bread containing 1.5% tea powder was favourable on the color of internal part, taste, texture and flavor. A sensory test of staled breads revealed that breads containing tea powder remained in rather higher quality of tissue, flavor and texture than white breads, except taste.
著者
吉田 企世子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.359-364, 1993-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
著者
荒木 千佳子 市川 朝子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.207-215, 1992-08-20
被引用文献数
3

全粒粉を用いることにより、組成中にかなり多量のバターを含むケーキ生地も、オールインミックス法という簡単な方法で調整することが可能となった。この際、下層部に形成される"ういろう様"の層は、組成中の全粒粉の配合割合、乳化剤添加量および攪拌時間によって顕著に影響された。粉と同量のバターを用いた組成の場合、全粒粉の配合割合は50%以上、乳化剤は3%、攪拌時間は4分間が良い性状を示し、官能検査においても、全粉粒の配合割合が50%前後のものが好まれた。全粉粒中、30メッシュ上の粗い組成部分は、ケーキの性状を良好に仕上げるのに最も有効な区分であるが、嗜好的には60から100メッシュ上の組成のものが総合的に好まれた。
著者
木村 友子 加賀谷 みえ子 福谷 洋子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.110-117, 1992-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10

For the purpose of improving the taste, chicken livers were preserved in raw rice miso, raw soybean miso, cooked rice miso or cooked soybean miso at 5°C for 168 hrs. During the preservation, the properties of chicken livers were examined. The results are as follows.(1) As to the varieties of rice miso, the chicken liver preserved in Shinsyu rice miso contained sligtly more protein, amino-nitrogen and sodium chloride and showed a higher hardness and achieved better evaluation for taste, as compared with that preserved in Saikyou rice miso, though the former was somewhat inferior in color to the latter.(2) The optimal preservation period of the chicken liver in miso was 48 his, regardless of the varieties of miso.(3) The chicken liver preserved in raw soybean miso contained more protein and amino acids, and higher protease activity at pH 5.7, and was superior in color, taste and preservability, as compared with those preserved in the other miso.
著者
加藤 征江 永田 佳子 井川 明美
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.39-46, 1992-02-20
被引用文献数
2

塩味および甘味に対する味覚意識(味の鋭敏さ、味の濃淡の好み)と食物嗜好の関連を探るため、226人の学生に対して調査した。学生を食物教育の有無および性により、家庭専攻女子学生群と他領域専攻の一般女子学生群、一般男子学生群の3群に分けて検討した。その結果、1.味覚意識および食物嗜好に対する食教育の影響については、家庭専攻女子学生群は一般男女学生群に比べて、塩味に対しては薄味を好み、塩味の食物を好まなかった。それらに対する性の影響については、男子学生群は女子学生群よりも味に対して鋭敏であるとの意識をもち、一方、女子学生群は男子学生群よりも薄い塩味を好み、そして甘い食物を好んだ。2.3群ともに、塩味の濃淡の好みと塩味の食物の嗜好とは有意に順相関を示した。すなわち、塩味の食物を好む学生はそうでない学生に比べ、より濃い塩味を好んだ。これと同様の関係は、甘味と甘味の食物との間にも有意に見られた。3.2女子学生群においては、塩味の鋭敏さの意識と塩味の濃淡の好みとの間、および塩味の鋭敏さの意識と塩味の食物の嗜好との間に、それぞれ有意に逆相関が見られた。すなわち塩味に鋭敏であると意識している人程、薄味の塩味を好み、塩味の食物を有意に好まなかった。一方、甘味については、一般女子学生群において、そのような傾向が見られた。
著者
井川 佳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.110-113, 1993-05-20
被引用文献数
1

市販わらび餅粉(サツマイモ澱粉)の品質と加熱方法の違いが,わらび餅としての性質にどのような影響があるのかについて,主にゲルの物性と糊化度などの点から検討し,次のような結果を得た。1)ゲルが透明になった後の継続加熱時間が増すと,概して破断応力や凝集性は大きくなった。2)粉末状のわらび鱗粉(P)のゲルは,粒状のもの(G1とG2)に比べ,かたく凝集性が高かった。3)PとG1やG2で調製したゲルの間には官能的た差が見られ,Pはかたくねばくないと評価されたが,感触的好ましさに統計上の差は見られなかった。4)糊化度と白濁程度の点から,G2が他の2試料に比べ老化しにくいことが示された。
著者
中里 トシ子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.134-143, 1977-09-20

ガス超高速レンジを用いて天板の温度変化と温度分布を測定し,スポンジケーキ,およびパウンドケーキを焙焼した。本実験で得た事項を要約すると次の通りである。1)中段の天板の中心部の温度変化は,所定の温度に達すると作動ランプが消え,自動的に点滅しはじめ2分以後に安定する。所定の温度に達するまでの時間は160℃で4分30秒前後かかり,温度が20℃高まると作動ランプが消えるのに約1分ほど長くなる。2)天板の温度分布は上段では右後方が最も高く,左前方が最も低い。中段では後方が高く前方が低い。下段では左後方が最も高く,右前方が最も低い。しかしその温度差も2分後には±2℃〜4℃となる。3)上・中・下段の天板の中心部の温度分布は,天板1枚ずつ入れた場合には有意差がなく,上・中・下段に3枚の天板を同時に入れた場合は,中段が最も低く,上段,下段の順に高くなっている。しかしその温度差も3分後には±1℃〜2℃となる。4)スポンジケーキの焼き色は,上・中・下段で別々に1枚ずつ焙焼した場合には,ほとんど均一でよい結果が得られた。しかし上・中・下段で同時に3枚のケーキを焙焼した場合は,中段は焼きむらがなくよく焼け,上段は焼き色が濃く,焼きむらがあり,下段は焼き色が薄く,焼きむらがみられた。5)パウンドケーキを1本焼く場合は,170℃36分焙焼した結果がよく,2本または4本同時に焼く場合には,180℃35分焙焼したケーキによい結果が得られた。6)ガス消費量はスポンジケーキ,パウンドケーキ,いずれの場合も同時に多くのケーキを焙焼したほうが,1個当たりのガス消費量が従来のガスオーブンより少ない。したがって超高速レンジは,同時に多くの調理をする大量炊事(集団給食)や学校調理に用いることが時間的にも,ガス消費量の面からも経済的である。終りに本研究に関し,終始ご懇切にご指導いただきました山崎清子教授に深く感謝申し上げます。また,本実験にいろいろ御協力下さいました皆川知子助手,ならびにご便宜をいただきました東京瓦斯株式会杜に厚くお礼申し上げます。