著者
山本 美枝子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.233-242, 1992-08-20
被引用文献数
1

『婦人之友』戦後誌の肉料理記事から焼肉料理のみを取り出して調査資料とし,焼肉の調理素材としての利用状況,料理の種類と調理法,調味法などから焼肉料理としての年代的た変化を捉え,さらに執筆者別に焼肉の利用度,食事目的別に肉種別の利用度と料理の内容について比較分析し,家庭料理としての焼肉調理の特色を考察した。要約すると次のようである。1.焼肉の利用度は,塊肉料理の通年出現頻度としては肉料理総数に対して約2割であり,肉種別では特に豚焼肉の利用度が高く焼肉総数の半数を占め,肉種別の最多例数を示す年代は牛焼肉では60年代,豚焼肉は40年代後半,丸鶏では30年代の後半であった。年代別の利用度は食肉の供給状況・消費傾向との関連が認められた。2.焼肉の調理形態は部位焼肉,中抜き丸鶏・七面鳥などの基本形態のほかに,特殊形態として背開き鶏,詰め巻・袋状詰め肉,鶏ガランティンなどの多様な形態がみられ,45年以降に多かった。3.調理法のうち焼肉で頻度の高い調理法は,1位ロースト,2位ゆで煮,3位煮込みの順であるが,肉種別では,牛肉はゆで煮,豚肉は煮込み,丸鶏では天火焼ローストが1位を占める料理であった。4.ゆで煮料理やロースト類にみる調味法の変化は,50年以後に顕著に認められ,醤油や複合調味料,香味材料だとが併用され,用い方には和風感覚が活かされ,より高度な味を求める嗜好の変化が,調味に多様性をもたらしている。5.執筆者別による焼肉の利用は他の婦人雑誌と異なって,プロ,セミプロなどによる料理よりも一般主婦による料理が多く,6割を占めていた。そしてそれは50年代に多くみられた。6.一般主婦の料理は多様であり,日常食と特別食の料理とに分けられ,ほぼ同じ程度に用いられていたが,牛焼肉の場合に日常食がやや多かった。7.一般主婦の焼肉料理はロースト,ゆで煮,煮込み,銀ロースト,の順に利用され,主にローストは特別食,他は日常食の利用形態であった。
著者
松本 エミ子 峯木 真知子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.183-187, 1981-10-20
被引用文献数
2

グリーンピース・スープの材料の破砕について、冷凍グリーンピースを用い、加熱時間、破砕方法の影響を組織学的に調べ、官能検査を行った。1) 冷凍グリーンピース・スープの豆分散物の形状はビマン状の澱粉、蛋白質のほか、細胞細片、遊離澱粉粒、単離澱粉貯蔵細胞、破砕組織片などである。2) 冷凍グリーンピースの破砕は、裏ごしとミキサーで差がみられるが、加熱時間の影響は小さい。破砕後加熱すると破砕時の分散物の状態は大差なくなる。3) 冷凍グリーンピースを用いたグリーンピース・スープでは、官能検査結果から5分力加熱の豆でもミキサーを使用することで簡便に満足できるスープが得られる。なお、グリーンピース・スープにおいてグリーンピースの破砕程度と添加物によるスープの色、物性なと多くの問題があり、今後の興味ある課題であると考える。
著者
小川 宣子 田名部 尚子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.65-70, 1988-06-20

16〜18歳の女子206名を対象とした蛋白質食品の好みに関する調査を行った。因子分析を行った結果「こってりとした味で油脂を多く使う」と「調味料添加無」の因子に分かれ、豚肉は様々な料理が広く分布し、料理方法として様々な料理が存在していた。又、魚と豆腐は、クラスター分析の結果から一つのクラスタを形成しており、嗜好の点からはよく似た食品であった。又、16〜18歳の女子がよく知っている料理の頻度には調理形態、様式形態が大きな影響を与えていた。
著者
末野 紀子 新田 ゆき
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.134-138, 1978-06-30
被引用文献数
3

1.生豚ひき肉に6種の香辛料を添加し,7日間冷蔵して脂肪の酸化度を測定した結果,ジンジャー,セージ,ローズマリー,クローブはよく酸化を抑え,ブラックペッパーは弱い効果を示し,ガーリックは酸化を促進した。同じ試料についてpHとトリメチルアミン量をも測定して防腐効果を調べたが,数値の上では若千の効果を示したが,官能的には効果は感じられなかった。2.生豚ひき肉に5種の香辛料を添加し,6か月冷凍貯蔵した場合,対照は6か月で脂肪の酸化曲線がかなり上昇したが,ローズマリー,セージ,ナツメグ,パプリカはよく酸化を抑え,ホワイトペッパーは弱い効果を示した。pHはいずれの試料も同じ値を示した。3.ひき肉に12種の香辛料およびソルビン酸,ソルビン酸カリ,ポリリン酸塩を添加し,加熱後3週間冷蔵して脂肪の酸化度を測定した結果,無添加試料では保存中酸化が急激に進んだが,香辛料添加試料はいずれも酸化が抑えられ,特にクローブ,セージ,ローズマリー,ジンジャー,オールスパイス,オレガノ,メース,タイムの効果が大きかった。ポリリン酸塩は若干の効果があり,ソルビン酸とその塩には酸化防止効果はなかった。これらの試料の一部についてトリメチルアミン量を測定した結果,ガーリック,ジンジャー,ローズマリー,クロ一ブ添加試料でいくらか生成量が少なかったが,防腐効果と言える程はっきりした差ではなかった。ソルビン酸は最も大きな効果を示し,ポリリン酸塩もいくらか効果があった。本研究の概要は第29回家政学会総会(1977)で発表した。
著者
湯木 悦二
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.288-292, 1990-08-20

コーン油を用い、16種の野菜の凍結乾燥粉末および12種の香辛料の乾燥乾末について、それらの油溶成分含有油脂を調製し、自動酸化に対する安定性および鉄板焼き調理に類似の条件での熱酸化に対する影響を試験した。1.自動酸化に対しては、にんにく、たまねぎ、スイートコーン以外のほとんどの野菜およびローレル、パプリカ、ローズマリー、セージ、タイムなどの香辛料の油溶成分がコーン油に対し抗酸性を示した。2.鉄板焼き調理に類似の条件では、にんじん、にんにく、たまねぎ以外のほとんどの野菜および本試験に用いたすべての香辛料の油溶成分がコーン油の熱酸化を促進した。特に、野菜では、にら、はくさい、ごぼう、みずな、パセリ、ピーマン、レッドピーマンなど、香辛料では、グローブ、ローレル、セージ、タイム、ターメリックなどが強い熱酸化促進効果を示した。
著者
小柳津 周 荻原 博和 成瀬 宇平
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.305-311, 1989-12-20
被引用文献数
1

白焼きうなぎの保存性を高める目的で、低温貯蔵における"たれ"と脱酸素剤封入包装の効果について検討した。白焼きうなぎに"たれ"を塗ったものと、"たれ"を塗らないものについて、それぞれKON/PE製の袋に脱酸素剤とともに包装して、2℃および5℃での貯蔵試験を行い、"たれ"を塗らないPE包装のものと微生物学的、理化学的に比較検討し、次のような結果を得た。1)"たれ"と脱酸素剤封入包装を併用した区で、菌の増殖および脂質の酸化に対する抑制効果が認められた。2)大腸菌群の増殖に対し、5℃においては"たれ"と脱酸素剤封入包装の顕著な併用効果が見られなかったが、2℃においては顕著な併用効果が見られた。3)保存温度では、低温の2℃でより顕著な保存効果が認められた。

1 0 0 0 OA 電磁調理器

著者
岡部 巍
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.25-31, 1976-04-10
著者
石塚 盈代 大菅 洋子 乗京 逸夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.96-102, 1991-05-20
被引用文献数
1

標準的な家庭を想定し,熱源として電気とプロパンガスを使用した調理を行った結果,調理熱機器の効率,室内環境及び料理の品質等について次のような評価が言える。1.調理熱機器の消費熱量 電気調理機器は消費熱量は少なく,効率は高く,調理に必要な熱量は十分に供給されている。特に煮物のように,弱火で長時間の加熱の料理は電気の調理熱機器が優れている。2.調理熱機器の調理温度 揚物で見られるように,温度は一定の範囲で調整されている。特に,電磁調理器が良好であった。3.室内環境の影響 ガスコンロは二酸化炭素及び窒素酸化物が増加し,使用する時は,十分な換気対策が必晨であり,室内環境に留意しなければならない。4.料理の品質 料理の外観、歯ざわり及び味は,調理熱機器による差は認められず,やや良いと言う評価であった。特に揚物については,電磁調理器はカラッとした揚げ上がりの軽い料理が出来た。また,揚げ油の品質変化は食品衛生の見地から安全であることが確認された。
著者
赤羽 ひろ 川染 節江 品川 弘子 日比 喜子 深井 康子 茂木 美智子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.405-411, 1990-11-20

すしの食生活における位置づけを知る目的で、すしの利用状況について、全国を12地域に分割し、各地域に在住する3世代の女性を対象に、アンケートによる意識調査を行い、すしの利用に対する意識について以下のような結果が得られた。1)すしの利用状況をみると地域・年齢を問わず、夕食に自宅で家族と喫食する割合が約80%を占め、日常食、行事食、来客食などに利用されている。2)すしに対する意識は、地域・年齢を問わず平均評点4以上(5点評点法)で、すしに対する「好き」意識が高くなっている。また、年齢が高くなるに連れ「ごちそう」意識が強くなっているが、「好き」意識と同様、いずれの地域・年齢においても平均評点4以上と高い嗜好性を示した。3)すしの「好き」意識とすしめしの味付けの好みの関係を求めたところ、すしが好きなことと酸味を好むことには正の相関、塩味とは負の相関があった。4)すしを調達する場合には、東日本では出前に依存する率が高く、西日本では手作り度が高くなっている。また、喫食回数が多いほど手作り度が高く、にぎりずしをよく食べる地域ほど手作り度が低くなっている。5)持ち帰りずしの利用経験は、20歳代、40歳代では約88%であるが、60歳以上では約73%である。また、持ち帰りずしを利用する場合の種類はにぎりずしが約60%を占め、利用する理由は、手軽さが約54%を占めている。持ち帰りずしの月平均の喫食回数は約1回とすし全般の喫食回数(月平均2.4回)の約2分の1である。また、持ち帰りずしの購入金額は一回当たり700円前後ですし全般の購入金額(1,000円程度)の7割程度である。6)好まれるすしの種類は、北海道、東北、関東、東海地域でにぎりずしを好む傾向がみられ、近畿、中国、四国地域では関西風などのちらしずしを好んでいた。江戸前のにぎりずしとちらしずしを合算すると、北海道、東北、関東、東海地域で60%以上を占め、九州地域でも約50%回答されている。好まれるすしの種類を要素として12地域の類似性についてクラスター分析を行った結果、東九州と九州の類似性が示された。
著者
下村 道子 高橋 ユリア 渡辺 雄二 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.87-94, 1988-06-20
被引用文献数
1

郷土料理,行事食の中の汁物の特徴を検討するひとつの方法として,クラスター分析を行った。汁物は「週刊朝日百科・世界の食べもの」日本編から選びだし,だし汁の主な材料,実の主な材料,主な調味料,汁の実の量の各項目について,地域別の類型化を試みた。分析過程において,非類似度の定義および距離の更新によってクラスターの形態は変化するが,それぞれのクラスターの融合過程を検討し,各要因と関連づけていく方法をとった。それによって以下の結果が得られた。だし汁の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部,関西〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,九州〕は,さまざまなだし汁の材料を使用しており,かつ,だし汁を使用しないものも多かった。〔関東,中国,四国〕は,だし汁を使用しないものが多かった。〔北陸,中部,関西〕は,昆布だしが多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。実の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,関西,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関西,九州〕は,魚介類と野菜類が多かった。〔関東,中国,四国〕は,魚介類が多かった。〔北陸,中部〕は,魚介類と豆類が多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。主な調味料については,クラスター〔北海道・東北,関東,中部〕,〔中国,九州〕,〔北陸,関西,四国〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関東,中部〕はみそと塩が多かった。〔中国,九州〕は,みそとしょうゆが多かった。〔北陸,関西,四国〕は,みそが多かった。〔沖縄〕は,塩が多かった。汁の実の量については,クラスター〔北海道・東北,沖縄〕,〔四国,九州〕,〔北陸〕,〔関東,中国〕,〔関西〕,〔中部〕に類型化できた。〔北海道・東北,沖縄〕は,量が多かった。〔四国,九州〕は,量の多い汁と少ない汁の割合が高かった。〔北陸〕は,量の中位の汁が多かった。〔関東,中国〕は,量の中位の汁と多い汁の割合が高かった。〔関西〕は,量の中位の汁と少ない汁の割合が高かった。〔中部〕は量が少なかった。総合的にみると,関西,中部,北陸地域の汁物は,昆布だしが多く,汁の実の量が少ない。これらの地域から遠くなるに従い,汁の実の旨味を利用したり,さまざまなだしの材料を使った汁物が増す傾向にあり,汁の実の量も多くなった。全国的に汁の実は魚介類が多かった。調味料は全国的にみそが多いが,関西,北陸地域を境にして,みそとしょうゆが多い中国,九州地域と,みそと塩の多い中部,関東,北海道・東北地域に区別された。ただし,沖縄は独特であり,だし汁および実の材料に獣鳥肉類が多く,調味料には塩が多かった。
著者
鷲見 裕子 伊藤 秀夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.32-39, 1993-02-20

スポンジケーキに果糖を用いた場合の特性や嗜好性を検討し、さらにその改善を試み、次のような結果を得た。1.果糖を用いて鶏卵を起泡させた場合、ショ糖に比べて起泡力は良いが、安定性は悪くなった。2.果糖を0〜100%置換した場合、10%程度では膨化状態、テクスチャーを良くしているが、置換量が増加するに従い、膨化率が小さく、色調は焼色が濃く、赤色傾向が強くなり、テクスチャーも損なわれ、嗜好性が劣った。3.果糖100%使用したケーキは次の方法によりその欠点を改善し、ショ糖ケーキに近付けることができた。1)網を重ねた天板を用い、途中でアルミホイルを上面にかけて伝熱を緩慢にする。2)B.P.を1%添加する。3)薄力粉の10%をコーンスターチに置換する。4.改善された果糖ケーキの官能検査では、コーンスターチ10%置換ケーキの色が有意に好まれないが、硬さ、しっとりさは改善ケーキが有意に好まれ、きめ、焼色、香り、口当たり、甘さ、後味、総合評価ではショ糖ケーキとの有意差は認められなかった。
著者
河村 フジ子 高柳 茂代
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.147-151, 1989-06-20
被引用文献数
5

ゼラチンとカラギーナンの混合比を4:0、3:1、2:2、1:3、0:4として混合全量が4%になるように調製したゾルとゲルの特性について研究した結果を要約すると次の通りである。1)ゾルの温度を下げてゆくと、ゼラチンゾルは、ある一定の温度付近で急速に粘度が上昇してゲルかゲル化する。しかし、カラギーナン混合ゾルはゼラチンゾルより、粘度上昇開始温度が高くて、その後の粘度変化が緩慢となる。2)ゾルの温度を凝固温度に近づけると、ゼラチンゾルは、時間とともにチキソトロピー性から逆チキソトロピー性に移行するのに対して、カラギーナン混合ゾルはチキンソトロピー性のみ顕著に表われる。3)ゼラチンゲルに比べて、カラギーナン混合ゲルはカラギーナンの混合比が高い程軟らかくなり、凝集性と付着性が低下する。4)ゲルを30℃以上に保持した場合、ゼラチンゲルに比べてカラギーナン混合ゲルは崩壊しにくい。5)ゼラチンゲルは、冷却保持時間の経過に伴い、漸次硬さを増すが、カラギーナン混合ゲルは、冷却2時間で硬さがほぼ平衡状態になる。
著者
尾立 純子 大柴 恵一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.228-232, 1992-08-20
被引用文献数
1

減塩及び普通しょうゆを使用し、油使用、油不使用の条件でかぼちゃを煮た時のナトリウムとカリウム含量の変動を検討した。1.水分量は、生鮮品では、油の使用の有無による差は認められなかった。冷凍品では、油不使用で明らかに高くなった。2.ナトリウムの煮物中への浸透量は、各調味液で生鮮品に比べ、冷凍品で高くなった。油の使用によって生鮮品では、浸透量が高まり冷凍品では、逆に低下した。煮物をする時にナトリウムの量を減らす事を考えると、生鮮品では、炒め煮をしない。ナトリウム濃度の低い調味料を使う方が良い。3.生鮮品では、煮物中へのカリウムの浸透はなく、逆に煮汁中への移行が認められた。煮物と煮汁中のカリウム含量の比は、どの調味液中でもほぼ1:1となった。冷凍品でも同じような比率となった。
著者
室田 壽子 中野 輝子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.277-281, 1994-11-20

Effect of xylooligosaccharide content (10, 20, 30% of standard of sweetness) on the texture of chiffon cake was studied. Physical property were mesured with creep meter and the color difference meter, and a sensory test was evaluated. The specific gravity of both cake batter and cake decreased with an increase in its additional quantity. The hardness, gumminess and cohesiveness of all cakes tended to decrease wfth increasing oligosaccharide content. It can be concluded that the increase of oligosaccharide content gave more brownish color, and softness to the cake. Significant difference was obtained in all sensory attributes (appearance, tastiness, sweetness, dampish, resistance to the teeth, and total acceptance.)
著者
福井 裕美 薄木 理一郎 金田 尚志
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.139-142, 1978-06-30
被引用文献数
2

(1)フライパン上で,油を少量あるいは薄膜の状態で加熱すると,揚げ鍋等での大量の油の加熱に比べ,加熱時間が短いにもかかわらず,油の劣化はかなり激しい。(2)キャベツを実際に妙めた際には,油のみの加熱の場合ほどの劣化はみられなかったが,やはり,揚物油より劣化が著しかった。(3)薄膜状態での加熱油をケイ酸カラムクロマトグラフィーで分別したところ,グリセリドニ量体が形成されていることが確認された。特に,有毒グリセリドダイマーと思われる区分が3%程度と高く,栄養的にはあまり好ましい状態とはいえない。(4)油を薄膜で加熱すると,POV200程度まで過酸化物が蓄積することを見出した。
著者
李 鐘順
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.130-134, 1981-05-20

緑豆、あずき、いんげん、コンスターチの澱粉についてゲルの物性を比較検討した結果、次のような知見を得た。1.緑豆澱粉は他の豆澱粉に比べ、ゲルが安定で、保存時間による変化が少ない。2.縁豆澱粉は texturometer curve において2つの peak と幅の広い bend を示し、好ましい texture を呈する。3.コンスターチは bend は広いが hardness が小さく、糊状に近い。4.緑豆澱粉はあずき澱粉よりも好まれ、その濃度は無水物に換算して11%(実際の澱粉では12.3%)が適当である。5.緑豆澱粉では添加物のうち酸の影響が顕著で糊状に近いゲルになるが、天然果汁添加は弾力のある好ましいゲルを形成する。6.間接加熱では hardness が高く、もろいゲルをつくるので、直接加熱が適当と考えられる。
著者
李 鐘順 寺元 芳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-129, 1981-05-20

緑豆澱粉の糊化特性を知るためにアミロース含量や分子量分布の近似した、あずき、いんげんの澱粉、及び一般に利用度の高いコンスターチについて比較検討した結果、次のような知見を得た。1.三つの豆澱粉のなかでは、緑豆澱粉とあずき澱粉が糊化状態がよく似ている。2.いんげんと緑豆澱粉では粒度は、ほぼ似ているが、糊化状態は著しく異なる。3.コンスターチは、粒度は最小であるが粘度はあずき、緑豆につぎいんげんよりは高い。4.膨潤・溶解度は緑豆澱粉が最も高い。5.砂糖の添加は粘度を高くするが加熱初期の膨潤は抑えられ75〜80℃で急激に膨潤する。6.クエン酸は、粘度は高くするが、澱粉粒の崩壊が顕著でブレークダウンが大きい。しかし、天然果汁や緩衝液では、その影響が比較的少ない。
著者
角野 猛 会田 久仁子 島貫 光治郎 等々力 達也
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.177-180, 1985-09-20

福島県郡山市内で購入した27検体の持ち帰り弁当の細菌汚染と栄養素量の実態調査を行ない, 次の知見を得た。1. 米飯および副食総計156検体の細菌検査の結果, 一般生菌数はキャベツのせん切りが10^6/g以上見られるものもあり, 他の検体より多かった。大腸菌群はキャベツのせん切り全例と, キャベツのせん切りが付け合わせてあるシューマイ, スパゲティ, 卵焼, ハンバーグおよびコロッケからの検出率が高かった。また, 黄色ブドウ球菌は陰性であったがセレウス菌はキャベツのせん切り1検体より検出された。2. 27検体のエネルギーおよび各栄養素量の平均値はエネルギー768.5kcal, たん白質23.3g, 脂質20.3g, 糖質118.2g, 繊維0.9g, カルシウム79.1mg, 鉄2.8mg, ナトリウム1083.2mg, ビタミンA 384.0 I.U., ビタミンB_1 0.27mg, ビタミンB_2 0.26mg, ナイアシン3.6mgおよびビタミンC 7.3mgであった。これを朝, 昼, 夕食の配分を1:1.5:1.5として20代女子の昼食, 夕食と比較すると, カルシウム, 鉄, ビタミンA, ビタミンB_1, ビタミンB_2, ナイアシン, ビタミンCが不足していることになった。これらを補充するような副食物を摂取する必要があると考えられた。
著者
瀬戸 美江 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.2-6, 1994-02-20
被引用文献数
5

イワシを冷凍保存する際、脱水シートで包むことにより、ラップフィルムに比べドリップ量が抑えられ、酸化がわずかではあるが抑制された。官能検査においても、脱水シートの方が、焼き色、つや、総合評価において0.1%の危険率で有意差が認められ、全ての項目で脱水シートの効果が認められた。これらの結果より、脱水シートを利用することで、食品のもっている基本的性質をかえないで水分を減少させることが、食品の保存に対して効果があるばかりでなく、旨みを増し、ひいては、おいしさを向上させていることが示唆された。