著者
黒岩 眞吾 武田 一哉 井ノ上 直己 野垣内 出 山本 誠一 庄境 誠 尾和 邦彦 長濱 克昌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.223-231, 1994-02-25
被引用文献数
6

内線電話への接続をタスクとする音声対話システムを作成した.同システムは200人規模の組識の電話受付業務を行うもので,電話で所属と名前を言うだけで相手の内線に電話をつなぐシステムである.不特定話者の連続音声認識を実時間で行うために専用のハードウェアを開発した.ハードウェアは浮動小数点DSP9個を疎結合マルチプロセッサ方式で結合し,パイプライン処理により,エコーキャンセル,音響分析,HMMのゆう度計算および単語レベル,文法レベルでのビタビ演算を並列に実行する,並列化にあたっては,最も処理の重くなったプロセッサにプロセッサ間のデータ転送に伴う待ち時間が生じないようなパイプラインスケジューリングを行っている.また,タスクサイズが大きくなッた場合でも音響分析は一定の周期で行えるよう同期処理,非同期処理を混在させた構成とした.電話回線経由で収集した400名の発声による音素バランス4,000文を用いて学習した音素モデルを用い実環境で評価したところ,91%の呼に対して正しい相手の内線番号が案内でき,それに要した平均所要時間は41秒であり,多くのユーザによる利用が期待できる性能であることが確認された.
著者
高橋 祐介 佐藤 貴美 平田 恭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.110-121, 2005-02-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

本論文では, 車載カメラ映像において部分的な隠れに頑強なランドマーク認識方法を提案する.視覚的特徴量空間において, あらかじめ登録したランドマークに対する辞書データと最も類似する映像中の分割領域の組合せを求めて評価することにより, 部分隠れに頑強な認識及びその領域の高精度な抽出を実現する.撮影情報(撮影カメラの位置及び向き)を利用した抽出領域の検定により精度向上を図るとともに, 対象ランドマークの候補数及び組合せに用いる分割領域の絞り込みにより処理コストを削減する.実写映像を用いて部分隠れがあるランドマークに対する認識精度及び領域抽出精度, 計算コスト削減の有効性を検証する.応用として, ランドマーク認識結果と車の走行情報を組み合わせた重要度判定に基づくドライブ映像の自動要約について報告する.
著者
飯島 泰蔵 岩城 護
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1575-1582, 1998-11-25
被引用文献数
9

本論文では, 正規型自然観測変換による波形観測における, 被観測波形と正規型基本観測値系列との間の瞬時的な関係について論じる.これはフーリエ変換の場合で言うところの不確定性関係に類似している.正規型自然観測変換の大域的な不確定性関係は既に明らかにされていたが, 波形の瞬時的な取扱いを定式化しようとする自然観測法理論にとって十分な結果ではなかった.それに対して本論文では示された関数は, 自然観測法理論による波形の瞬時的な取扱いに関する基本的な性質として重要な意味がある.
著者
前田 大輝 藤井 健作 棟安 実治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.180-189, 2004-02-01
参考文献数
15
被引用文献数
10

マルチチャネルシステムで用いられる参照信号は一般には互いに強い相関をもつ.この相関は適応フィルタの係数推定を難しくすることから,通常は参照信号間の相互相関を減少させる前処理が加えられる.しかし,その前処理は参照信号をひずませることに等しく,そのひずんだ参照信号の未知系への送出はシステム本来の動作に支障を来す.その一方で,適応フィルタの係数推定には参照信号間で無相関となる成分の存在が不可欠であり,その割合を増加させる前処理は収束特性の改善に欠かせない.本論文では,その前処理を加えた参照信号を未知系に送出せず,適応フィルタの係数推定にだけ用いるアルゴリズムを提案し,その実用化に際して必要となる設計条件を明らかにする.すなわち,推定誤差が増大しない条件と,本アルゴリズムを特徴づける,参照信号間の相関を低減する係数の最適値を導き,その有効性をシミュレーションによって確認する.本提案アルゴリズムによれば,システム本来の動作に影響を与えることなく,収束特性の改善を図ることができる.
著者
武藤 憲司 伊藤 幹也 荒井 貴大 高野 邦彦 八木 一夫 江口 健太郎 柴山 秀雄 陳 国躍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.1098-1101, 2008-11-01
参考文献数
4
被引用文献数
1

MRI検査において,被験者は厚い壁の磁気遮へいのための閉鎖空間に長時間おかれる.高磁場のMRI装置の駆動音は100dBを超えることもあり,騒音の不満などが指摘されている.しかし,いくつかの音圧測定結果だけで音の伝搬の様子の報告例はない.本論文では,検査室内のMRI検査の被験者が横たわるテーブル上の空間の音場の可視化を図る.非磁性のプローブを製作して音響インテンシティを測定した結果を用いて音の伝搬の様子を示す.
著者
陳 国躍 安倍 正人 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.851-859, 1999-06-25
参考文献数
23
被引用文献数
10

騒音の能動制御 (Active Noise Control : ANC) を広い空間で実現するためには, 複数の打消しスピーカ及びエラーセンサが必要となり, また, 騒音源が複数存在する場合には, 複数の参照センサを必要とする. そのため, 音響伝達系は複雑になり, 能動制御の性能が劣化する. 本論文では, このような多入力多制御点のANCシステムの複雑な音響伝達系における性能劣化の原因を, 周波数領域での評価法を用いて検討する. その結果, 入力多制御点のANCシステムにおいては, 複数のスピーカから放射された打消し音が, 空間で混じり合うこと(カプリング)と, 参照信号間に相関があることにより, 適応アルゴ.リズムの収束速度が遅くなり, また, 計算誤差が大きく, 打消し量が小さくなることを明らかにする. 更に, 検討結果をもとに, 適応アルゴリズムの収束速度についていくつかの改善法を提案する.
著者
浜本 義彦 金岡 泰保 富田 真吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.76-83, 1994-01-25
参考文献数
21
被引用文献数
5

パターン認識における特徴抽出系の代表的な設計法の一つに判別分析がある.これは,フィッシャー評価関数を最大にする特徴軸を抽出するものである.しかし,判別分析は,mクラス問題ではm-1個の特徴軸しか得られない,という問題を含んでいる.パターン分布によっては,認識性能向上のために,追加特徴軸を必要とする場合があるが,判別分析ではこれに対処することができない.この特徴軸数の制約問題を解決する一手法として,正規直交判別ベクトル法が提案された.正規直交判別ベクトル法は判別分析より識別能力の高い特徴軸を抽出することが,計算機シミュレーションを通して実験的に示されている.しかしながら,これまで理論的な立場から正規直交判別ベクトル法と判別分析との比較は十分になされていない.本論文では,特徴軸の直交性という観点から判別分析との比較を通して,正規直交判別ベクトル法について理論的に検討する.
著者
市瀬 夏洋 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.373-380, 1995-03-25
参考文献数
4
被引用文献数
35

本論文では,パルス頻度というニューラルネットワークモデルで一般に用いられている情報コードに対して,単一のパルスに対する情報を重要視したモデルである非同期カオスニューラルネットワーク(Asynchronous Chaotic Neural Networks)を用いて,ニューロン間のパルス伝搬ディレーおよび連続時間中に非同期に入力されるパルスを考慮したネットワークの機能について検討する.はじめにモデルの構造を説明し,単一ニューロンの周期的パルス入力に対する応答特性を解析する.次に本ネットワークモデルによってループ構造を構成した場合に,ランダムノイズの存在下でもネットワーク固有のパルス間隔構造に対して応答するような機能を実現できることを示す.
著者
長岡 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.874-885, 2005-08-01

情報幾何では, 確率分布を要素とする多様体上にフィッシャー計量及びα-接続という微分幾何学的構造を導入する. これは相対エントロピー(Kullback-Leiblerダイバージェンス)の幾何ともみなせ, 統計学や情報理論をはじめとする広範な確率論的世界にかかわっている. 本論文では, 量子状態(密度作用素)を要素とする多様体上にフィッシャー計量とα-接続(特にα=±1の場合)の類似物を導入するいくつかの試みについて紹介する. 単なる数学的事実の解説にとどまらず, それらの背景や動機, 今後の展望についても言及する.
著者
荒川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.123-131, 1995-02-25
被引用文献数
43

画像などの信号をほとんど変形させることなくインパルス性雑音を効果的に除去するフィルタとしてファジールールに基づくメジアンフィルタを提案する.インパルス性雑音を除去するには従来メジアンフィルタが効果的であることが知られているが,このフィルタは信号波形自身の変形をも引き起こす.そこで,インパルス雑音が存在する場合のみメジアンフィルタとして動作し,それ以外の場合は入力をそのまま出力すればよいが,インパルス雑音の有無を判定するルールが一般にあいまいである.本論文では,ファジールールによりこの判定ルールを表し,それに基づき出力を制御する新しいタイプのメジアンフィルタを提案する.このフィルタはトレーニングによって最適設計されるものである.実際の画像の雑音除去においてその有効性を示す.
著者
吉尾 重治 趙 奇方 島村 徹也 鈴木 誠史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.436-440, 2001-03-01
被引用文献数
4

本論文では, 音声信号のピッチ周期/基本周波数の新しい推定法を提案する.スペクトルを波形とみなし, その周期を求めることにより基本周波数を算出する立場をとる.ケプストラム法及びその拡張法であるACLOS法がパワースペクトルの対数値を基本とするのに対し, 提案法はパワースペクトルの平方根及び4乗根を基本とする.実験結果は, 提案する方法が優れた耐雑音性を有することを示す.
著者
金谷 文夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.691-697, 2001-06-01
被引用文献数
1

本論文では, 最初にひずみを許すユニバーサル符号化の基礎となるレートひずみ理論の中心概念であるひずみを許す符号化定理について概説する.次いでひずみを許すユニバーサル符号の存在定理について概説し, 最後に最近のひずみを許すユニバーサル符号化アルゴリズムの研究状況の一端を紹介する.
著者
西尾 修一 小山 謙二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1316-1318, 1997-08-25
被引用文献数
31

笑いの表情の動画像を顔の3次元モデルを用いて合成して被験者に呈示し, 笑いの種別を分類させる実験を行った. この結果, 目と口の動きの開始時点の違いから笑いの種類を分類する規準を見出すことができた.
著者
森本 雅和 三好 卓也 藤井 健作
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.548-551, 2011-07-01

本論文ではマイナー成分分析を用いてパンの種類を画像から自動識別する手法を提案する.パンは製造工程において発酵や焼成を含むため,個体差が発生しやすい.また,店舗レジへの導入を考えた場合,環境光変化に頑健であることが求められる.本研究では学習用パン画像から様々な特徴を抽出し,主成分分析をもとに特徴の選択を行う.このとき,パンの個体差や環境光変化が固有値の大きな主成分として現れることを考慮し,より分散の小さいマイナーな成分のみを用いて識別を行うことで,通常の部分空間法よりも識別率を改善できることを示す.
著者
佃 洸摂 中村 聡史 山本 岳洋 田中 克己
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.476-487, 2011-07-01

本論文では,あるレシピに対して,追加・削除可能な食材を発見し推薦する手法を提案する.Web上にある料理レシピを閲覧しているときに,レシピに対して食材をあと一つ追加または削除したいということはよくあるが,従来のシステムではこうした食材の発見は困難である.本研究では料理レシピの構造を分析することで,追加・削除可能な食材を推薦するシステムについて述べる.例えばこれにより,ある料理レシピに対して食材を追加・削除することで,典型的なレシピに近づけたり,一風変わったレシピに近づけたりすることが可能となる.また,検証実験により,システムによるレシピの構造分析の評価や,システムが推薦する追加・削除食材の妥当性の評価を行った.また,追加・削除食材に基づいたレシピ探索を実現するシステムの実装,実装システムを用いたユーザヒアリングにより得られた提案する検索方式の利点・問題点を述べる.
著者
武川 直樹 徳永 弘子 湯浅 将英 津田 優生 立山 和美 笠松 千夏
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.500-508, 2011-07-01

人と一緒に食事をすることは人のコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているが,研究例は少ない.ここでは,3人が食事をしながら会話をする映像から食事動作,視線,発話の行動を定量的に調査して共食会話の構造を分析した.人は,共食会話中,一つの口を,食べる行動,話す行動のどちらかのために選択していると考えられたが,分析の結果,口に食べものが入っている状況でも他人の行動と自分の行動を照らし合わせて話すべきときには発話を行っていることが示された.食事によって会話に沈黙を生じないようにしていることが分かった.また,箸,食器をテーブルに置いて話す動作は食事の開始,終了以外では見られず,食事にも関与し続けることが分かった.以上の分析の結果,共食会話では会話を優先しつつ,食事をするという構造が明らかになった.
著者
西本 一志 天野 健太 千葉 慶人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.488-499, 2011-07-01

食卓は,単なる食事のための場ではなく,コミュニケーションのための場としても非常に重要な役割をもつ.近年,情報メディアを食卓に持ち込む試みが多数なされつつあるが,それによって食卓における共食者コミュニケーションを促進することを主な目的とする試みは見当たらない.本論文では,筆者らのこれまでのインフォーマルコミュニケーション支援メディアに関する研究から得られた知見に基づき,複数の人々が持ち寄った写真等の情報を話題の種とする食卓コミュニケーション支援メディアの機能要件について検討した.その結果,写真等の情報を閲覧するための情報メディアと会話の話題とするための情報メディアとは全く似て非なるものであり,両者に求められる機能要件は大きく異なることが明らかとなった.具体的には,情報を会話の話題とするための情報メディアには,低い操作性や低い一覧性など,一般的には好ましくないとされる機能特性が要件となることを示す.
著者
寺田 裕樹 水戸部 一孝 吉村 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.296-302, 2004-02-01
参考文献数
14
被引用文献数
6

本研究は,高齢者が歩行時に自主的に事故を防止できる交通環境の設計指針を構築することを最終的な目的としている.高齢歩行者は,接近車両の間隔と接近速度の目測の誤りによる交通事故,つまり視界にあるはずの車両による被害も多い.この現象は加齢による感覚機能の低下により接近車両の速度を誤って認知して起こる可能性がある.そこで,本論文ではその基礎研究として,接近速度感覚に着目し,車両に見立てた光点(以下ターゲット)を実空間に呈示させ,接近速度弁別能力を検査するシステムを間発した.このシステムを用いて接近してくるターゲットの弁別を行わせることでその能力を成人健常者(以下成人)と高齢健常者(以下高齢者)で調べ,性と加齢による比較を行った.その結果,成人は女性よりも男性の方が空間内の位置,奥行情報から接近速度を弁別する能力が優れていた.また,成人に比べ高齢者はその能力の低下が見られたが,統計的な差は認められなかった.これは,高齢者の中には成人やそれ以上に接近速度を弁別できる高齢者もいたことから,個人差が顕著ですべての高齢者に先の知見を当てはめることはできない.
著者
高道 慎之介 穗刈 治英 島田 正治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.6, pp.449-452, 2011-06-01

本論文では,オーディオ帯域相当(100 Hz~15 kHz)での頭部球モデルにおけるHRTFの複素ケプストラム処理による最小位相化の有効性の範囲について理論値と測定値を比較し,同時に測定したHRTFを全零モデルにより近似し,その零点分布からHRTFの最小位相性を検証した.その結果,理論値と測定値の比較によって最小位相化の有効性を検討するとともに,測定したHRTFは影耳となる方位角において非最小位相零点が増加することが明らかになった.
著者
浦中 慎二 穗刈 治英 島田 正治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.6, pp.440-444, 2011-06-01

直線型スピーカアレーにおいてスピーカの逐次切換による実音源移動音と波面合成法を用いた仮想音源の逐次切換による仮想音源移動音の連続性を,受聴試験とIaTD,IaLD,頭部中心位置におけるパワーの時間変化より検討した.受聴試験より,仮想音源間隔をスピーカ間隔よりも狭くすることで受聴位置rightで移動音を連続的に知覚した回答率が向上した.また,IaTD,IaLD,パワーの時間変化と標準偏差から受聴試験結果を評価した.