著者
飯島 泰蔵 岩城 護
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.77-87, 1996-01-25
被引用文献数
19

自然観測法の理論は,既に近接型および平衡型と称する互いに表裏の関係にあるところの体系として,定式化されている.本論文では,近接型および平衡型の両体系のいずれにも属さない新しい体系の提案を行い, これを正規型と名付ける.正規型の自然観測法理論は,有限個の観測値の和によって波形を再構成できるという特徴をもっている.正規型の自然観測法理論は,波形およびそのパワー成分が和の形式によって表されるということを条件として自然に導かれる.次に正規型の自然観測変換の周波数特性を従来のフィルタバンクと比較することによってその意味を考察する.更に与えられた許容誤差範囲内で正規型の自然観測を実現するための定数の決定基準を示す. ここに提案される理論は,自然観測法の理論を新しい側面から体系化することに,寄与するものであると考えられる.
著者
清川 清 竹村 治雄 片山 喜章 岩佐 英彦 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1517-1526, 1997-09-25
被引用文献数
21

仮想空間内で3次元形状を生成できるモデラ(仮想物体モデラ)には直感的操作性など多くの利点がある. 仮想物体モデラの利用者を束縛せずに, 効率良くかつ正確な形状生成を可能とするには, 特殊な装置を要する力覚提示装置などを用いずに, ソフトウェアによる適切な操作補助手法を導入することが有効である. このような考えに基づき, 我々は仮想物体モデラVLEGOを開発した. VLEGOはブロック玩具を模倣し, 1) 形状プリミティブ同士の相対位置を離散的に制約する, 2) 形状プリミティブ同士の干渉を検出し, 干渉を回避するよう位置を補正する, 3) 二つのカーソルを用いて柔軟な両手操作を可能にする, の三つの特長を有する仮想物体操作補助手法を導入している. この結果, VLEGOは操作に熟練を要さずに直感的に正確な形状生成が行える環境を提供する. 本論文ではVLEGOの設計方針と基本機能について述べる. 更に, VLEGOの仮想物体操作補助手法が作業効率に与える影響を実験により評価する.
著者
中條 健 渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.532-541, 1997-03-25
被引用文献数
12

双方向に瞬時復号可能な可変長符号であるリバーシブル符号について検討する. リバーシブル符号は, ビットストリームの最初と最後から双方向に復号することができるので, もしビットストリームに誤りがあったとしても, 復号できないビット数を減らすことができる. 本論文では, まず, 完全な可算無限アルファベットのリバーシブル符号が存在することを示し, 符号語のハミング重みを利用した新しい完全な可算無限アルファベットのリバーシブル符号の構成方法を提案する. 更に, 提案した構成方法で設計したリバーシブル符号を誤り耐性を有する動画像符号化方式に適用しその効果を示す.
著者
北越 大輔 岡野 卓矢 鈴木 雅人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J97-A, no.6, pp.406-410, 2014-06-01

本論文では,高齢者がロボットとの対戦型ゲームを通して楽しみながら継続的に介護予防運動を実施可能なシステムを提案する.提案システムにおいて,利用者とロボット・エージェントが適切な相互作用を実現できているか,主観評価実験を通して検証する.
著者
山下 浩平 緒方 伸哉 島村 徹也
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.1246-1257, 2005-11
被引用文献数
11

copyright(c)2005 IEICE許諾番号:07RB0174 http://www.ieice.org/jpn/trans_online/index.html本論文では, 雑音付加音声の雑音低減の手法であるスペクトル引き算法に, 反復処理とそれに適したパラメータ設定を施した, 新しい雑音抑制技術を提案する. 反復処理とは, 一度雑音低減処理を施した推定音声を再度入力信号とみなし, 音声強調処理を施す手段であり, 残留雑音の低減が見込まれる. 反復ごとにパラメータを調整することで, 音声の劣化を抑えた更なる残留雑音低減が可能となる. また, 提案法を実行する際に, スペクトル引き算のもつリアルタイム性を保持する手法も同時に提案する. 2種類の提案法の特性を, 白色雑音, 自動車雑音, 人混み雑音を付加した実音声を用い, 従来のスペクトル引き算法及びその改良法と比較する. 主観評価及び客観評価により, 各提案法はすべての雑音環境に対して優れた結果を示すことが確認された.
著者
岡田 清
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1030-1032, 1997-06-25

最小位相数列のフーリエ変換の振幅スペクトルが与えられたときに, その位相スペクトルはヒルベルト変換を用いて求めることができる. これまでのところ, それは積分の形でしか与えられていないが, 本論分ではその積分を解き, 位相スペクトルの厳密解を与える.
著者
中谷 智広 吉岡 拓也 木下 慶介 三好 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.294-304, 2009-05-01
被引用文献数
3

残響を伴って収音された音響信号に対する残響除去法の一つとして,音源信号の時変性に基づく方法を紹介し,その性質を数理的に分析する.このアプローチでは,音源信号を時変ガウス過程でモデル化するとともに室内伝達特性を多チャネル自己回帰過程でモデル化し,それらに基づき定まるゆう度関数を最大にするモデルパラメータを求めることで残響除去を実現する.本アプローチにより,比較的短い観測信号だけからでも良好な残響除去結果が得られることが,実験により確認されている.本論文では,特に,ゆう度関数を最大化する解の振舞いについて分析する.まず,解のあいまい性が適切に排除されている条件のもとで,ゆう度関数の期待値を最大化する解は厳密に正しい解に一致することを示す.また,観測信号の実現値に基づきゆう度関数を最大化する解は,観測信号が長くなるにつれて正しい解に近づくと予想されることを示す.更に,比較的短い観測信号に対しても,観測信号のレベルの時変性を考慮して最適化を行うことで,推定誤差の影響を緩和できることを考察する.
著者
横山 幸生 島田 尊正 竹村 淳 椎名 毅 斉藤 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1050-1058, 1993-08-25
被引用文献数
11

睡眠の深度やその時間変化の異常は,精神疾患や脳の基質的障害を反映しているため,その状態を把握することは臨床上極めて重要となる.睡眠時の脳波には睡眠深度に応じて瘤波や紡鍾波などの特徴波が現れるので,医師はその特徴波を認識して睡眠深度を判定する.しかし,この判読には熟練を要するだけでなく,1回の計測で千ページ以上にもなる膨大な脳波データを見るため,医師の労力と多くの時間を必要とする.本論文では,計算機により睡眠脳波の短区間スペクトルの特徴を抽出し,それにより睡眠脳波中の特徴波を自動的に検出する新たな手法を提案している.手法手は,(a)脳波の短区間スペクトルについてその形状の主成分分析により数次元の特徴ベクトルを抽出する処理と,(b)瘤波,紡鍾波,徐波などの睡眠脳波中の特徴波の特徴ベクトルを教師データとして学習させたニューラルネットワークを用いて,被検査用脳波の特徴波検出を行う部分よりなる.本手法により脳波データを処理した結果,教師データと同一被験者において80%以上の高い判定率が得られ,多少の波形ひずみにも対応できることが示された.
著者
中西 功 西口 直登 伊藤 良生 副井 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.805-815, 2004-06-01
被引用文献数
17

オンライン署名照合において,筆順(位置情報)の時間的変化を離散ウェーブレット変換(DWT)に基づくサブバンド分解により多重レベルに分解した信号を用いることを提案する.時間領域の信号では本人と詐称者の違いが明確でない場合でも,サブバンド分解した高周波成分では個人ごとの違いがより顕著となることを利用する.ただし,本人であっても署名ごとにストローク数が変動することがあり,それが照合結果に影響を与えることから,DPマッチング法を導入することにより,ストローク数の変動を考慮した柔軟な照合方法を実現する.一方,照合アルゴリズムとしては適応信号処理技術を応用する.適応信号処理は出力と所望信号との誤差が小さくなるようにシステム内の係数を更新するもので,入力が所望信号に近ければ係数は1に収束することを利用して照合を行う.特に,正規化ステップサイズアルゴリズムを導入することにより安定した収束特性を実現する.署名照合実験の結果,本人には自筆署名の参照を許さず,詐称者には本人署名をなぞることを許した条件下において,識別率約95%が得られた.時間領域で照合する場合に比べて識別率が10%向上した.
著者
堀内 啓次 布田 裕一 境 隆一 金子 昌信 笠原 正雄
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1269-1277, 1999-08
被引用文献数
7

楕円暗号において, 楕円曲線の群の位数は重要なパラメータである. 特に, その位数が素数であることが望ましい. 楕円曲線の位数を計算する方法としてSchoofのアルゴリズム及びそれを改良したElkies, Atkinのアルゴリズムが知られている. 本論文ではSchoofの改良アルゴリズムを用いた素数位数を有する楕円曲線の効率的な構成法を示す. 更に, 楕円曲線の位数分布及び位数が素数である確率を導出した後, 素数位数を有する楕円曲線の構成に必要な計算量を評価する. また, 法pの条件による計算時間の違いについて考察する.
著者
柴田 里程
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.605-611, 2000-06-25
被引用文献数
4

Kullback-Leibler情報量に基づく様々な統計的モデル選択基準についてその特徴を比較するとともに, 目的によって使い分けることの重要さを指摘する.また, 漸近近似に依存する基準に関しては, その近似の有効性が重要であることを例示し, 特に離散値に対するモデルに関しては, 漸近近似に頼らない方法, 例えばブートストラップ法を用いてKullback-Leibler情報量を推定する必要があることを示す.
著者
木村 敏幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J97-A, no.4, pp.284-294, 2014-04-01

従来の波面合成技術を用いた個人向け三次元音場再生システムは数多くのスピーカを聴取者の頭部の周りに配置することを前提としている.しかし,遠隔操作システムを実現するには伝送チャネル数が多すぎるし,スピーカが聴取者の視界に入るので,視聴覚システムを構築するのが困難という問題点がある.本論文では,8個の指向性マイクロホンを用いた波面合成技術のコンセプトに基づいた個人向け三次元音場再生システムを提案する.8個の指向性マイクロホンを聴取者の頭部の周りに設定した立方体の頂点位置に配置する.再生用スピーカは聴取者の頭部の水平面上に配置されていないので,聴取者の水平方向の視界はスピーカによって妨げられていない.また,必要な伝送チャネル数は8チャネルで良い.提案システムの定位性能を定位実験によって検討したところ,想定する立方体再生空間の一辺を40 cmにし,超指向性マイクロホンを用いればシステムを構築するには十分な定位性能が得られることが分かった.
著者
時永 神三 森保 洋 宮崎 明雄 島津 宣之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1793-1800, 1996-11-25
被引用文献数
36

本論文では,時系列がフラクタル的な性質をもつ場合に,これを利用した予測手法を展開し,予測誤差の検討,フラクタル次元の推定,および応用例について示す.まず,時系列をスケール関数の展開形式で表現されたインパルス応答と入力信号との畳み込みにより表現するモデルを仮定し,時系列にフラクタル性がある場合には時間軸の伸長に対してインパルス応答が自己相似的な性質を保持するので,これを用いた予測が可能であることを示す.いくつかのフラクタル次元をもつ時系列について1時刻先の予測誤差が小さくなることを示すと共に,n時刻先の予測についても適応的な手段により求めた予測値を逐次的に観測値として用いた場合の予測誤差を小さくできることを述べる.また,与えられて時系列の共分散行列およびスペクトル形状に基づきフラクタル次元を推定する方法についても述べる.応用例として株価のオプション価格の比較分析をあげ,本論文の手法を用いた戦略の結果が良好であることを示す.
著者
デロワ オリビエ 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1332-1336, 1997-08-25
被引用文献数
10

「顔空間」は, 顔の形状情報と濃淡情報の各々に対する主成分分析によって得られた固有ベクトルで構成される多次元空間である. 人間のひとりひとりの顔は, 顔空間中の1点によって表現される. 本論文では, 顔空間の考え方を用いて, あるひとりの人物の顔を, 特定の属性をもった顔画像群に基づいて構成された部分空間へ射影することにより, その人物の顔に最も近い, 当該属性をもった顔画像を生成する方法について述べる. これにより, 人種, 性別, 年齢などの顔特徴を変更することが可能になる.
著者
坂口 浩章 川端 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.2155-2163, 1997-12-25
被引用文献数
16

Willems らにより提案された文脈木重みづけ(CTW)法は, データ圧縮の標準的モデルである木情報源を計算効率良く, パラメータ未知モデル未知の条件下において2次の意味で最適に圧縮する確率推定法である. 本論文では CTW 法をこれまで未考察であった非定常情報源へ適用することを目的とし有限窓を用いた忘却機構を有する圧縮アルゴリズム(FWCTW 法)を提案する. まずCTW 法一般についてその多様な実現問題への鍵となる劣確率性の保存に関する一補題を与え, それを用いて FWCTW 法の実現の正当性を示す. 次に, 定常無記憶情報源の場合について, 冗長度は窓の長さに関し漸近最適性をもつことを示す.ー般の区分一定な非定常木情報源への適用に対する有効性を実験により示す.
著者
野村 博義 若見 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1241-1249, 1994-09-25
被引用文献数
28

遺伝アルゴリズムによるファジー推論ルールの新しい決定法を提案する.本手法では,入出力データに基づき,簡略ファジー推論のルールの数と前件部のメンバシップ関数を遺伝アルゴリズムを用いて決定し,ルールの後件部をデルタルールを用いて決定する.遺伝アルゴリズムは,生物の進化の法則から発想された最適化手法である.遺伝アルゴリズムをファジー推論ルールの自動チューニングに用いることで,評価関数を従来の推論誤差だけではなく,入出力データの数やルールの数を考慮した関数にすることができ,更にルールのチューニング過程において局所解からの脱出が実現される可能性が出てくる.本論文では,まず,デルタルールによるルール後件部の決定法について説明し,次に遺伝アルゴリズムによるルールの数と前件部のメンバシップ関数の決定法について述べる.そして最後に,簡単な数値例を説明し,本手法により入出力データの数やばらつきに応じたルールの決定ができることを示す.
著者
杉田 泰則 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.735-740, 2002-06-01
被引用文献数
16

本論文では,逐次射影法を用いて任意の振幅特性と位相特性を同時に満足し,かつ安定したIIRディジタルフィルタの設計法を提案する.提案法では,ルーシェの定理を用いることにより,分母多項式のすべての極がZ平面上の単位円内となるよう係数の更新量を制限している.
著者
尾田 政臣 赤松 茂 深町 映夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.288-297, 1996-02-25
被引用文献数
16

好みの顔といった感性的に表現された顔を明確な視覚的イメージとして想起するのは難しい. しかし, 課題として与えられた顔イメージを描いたり言語的に報告することは難しくとも, 提示された顔画像が自分のイメージに合っているか判定することは容易である. 視覚的にイメージ化しにくい対象であっても, イメージは確かに存在する. 筆者らは画像データベースの中から, 好みの顔のイメージのように検索当初にはあいまいな検索対象を効率良く検索させる方法について検討してきた. 画像データとして線画の顔画像を用い, 好みの顔などを検索させる実験を行い, その方法論的正しさを明らかにした. そこで本論文では顔画像データとして顔写真を用いた場合の方法について検討する. 写真をデータとする場合の最大の難しさは, 何を検索の手掛りにするかである. 主観的な印象をラベルとして各画像に付与する方法や物理的な形状の特徴を用いる方法が考えられる. しかし, いずれの方法においてもデータベースの構築は手作業を伴う大変な作業となる. そこで, 特徴表現に対する手作業の必要ない方法であり, 顔の認識の手法としてその有効性が確かめられているKL展開を採用することとした. 本論文では, KL展開が好みの顔といったあいまいな顔イメージに基づく顔画像検索に対しても有効に働くことを明らかにする.
著者
西新 幹彦 滝澤 克則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.1009-1013, 2009-12-01
被引用文献数
2

ランプ型しきい値秘密分散法の構成法としてShamirの多項式補間法を拡張する方法が知られているが,よく知られている方法では強い秘密保護特性をもたない場合があることが指摘されている.本論文では,多項式補間法に基づきかつ強い秘密保護特性をもつ秘密分散法の構成方法を提案する.
著者
藤井 健作 大賀 寿郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.27-35, 1997-01-25
被引用文献数
33

学習同定法では推定精度の向上に合わせてステップゲインを徐々に小さくする制御を加えることで収束時間が短縮されることが知られている. その実現に際して問題は, そのステップゲインの制御に必要な推定精度の瞬時値が外乱の混じる残差信号からは直接的には観測できないことである. 本論文では"加算正規化"LMS法においてその適用が可能となるブロック長の制御はステップゲインの制御と同様に推定精度の収束値を高めること, また, そのブロックの延長によって収束特性の飽和が繰り返し観測可能となることを利用して収束時間の短縮を実現する方法を提案している. また, 実際の適応システムでは参照信号や外乱のパワー変動, 非巡回形フィルタの係数として推定される未知システムのインパルス応答が変化することも十分に想定される. 収束特性の制御法の検討に際して, これらの変化の可能性を無視することは現実的ではない. 本論文では最後に, これらの変化に対しても本制御法によれば対応可能となることを示す.