著者
前田 壮志 大木 哲史 坂野 鋭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.12, pp.175-178, 2022-12-01

耳認証系に対するオクルージョンの影響を,制御可能な変動を含まないデータベースに対して,画像処理的にオクルージョンを加えることで認証系に与える影響を調べた.オクルージョンとして,髪,イアフォン,イアリングを想定した人工的なオクルージョンを与えた認証実験を行ったところ,異なった画像記述子を用いた系であっても耳上部及び耳孔付近のオクルージョンの影響が最も大きいという事実が明らかになった.
著者
山野 広大 村松 大吾 武村 紀子 八木 康史
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.12, pp.146-155, 2022-12-01

本論文では人物の歩行時の特徴(歩容特徴)を用いた年齢推定手法を提案する.歩容特徴に基づく年齢推定においては,自由に歩行している人物の歩容が対象となるため,撮影角度の違いに対する頑健性が求められる.複数の撮影角度からの歩容特徴を学習に利用することで,頑健性を強めることができるが,学習に用いられる歩容特徴の撮影角度と一致しない撮影角度の歩行人物に対しては,推定精度は大幅に劣化する.そこで,本論文では,学習に含まれない撮影角度の歩容特徴の推定精度を改善する手法として,撮影角度抑制学習を用いた年齢推定を提案する.撮影角度抑制学習とは,撮影角度の影響を抑制する副課題のもとで主課題の学習を行うものである.高精度な角度分類器を用いた制約項を考慮しつつ主課題用の特徴空間を構築することで撮影角度の影響を抑制する.提案手法は,歩容公開データベースを用いて,複数の設定で評価を行った.その結果,提案手法は,学習に用いられていない撮影角度の年齢推定において大幅な精度改善を実現した.
著者
三田村 拓磨 田中 章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.11, pp.125-135, 2022-11-01

様々な科学技術分野で重要な役割を担う最適化問題において,しばしば行列変数に直交制約が課される.当該制約の表現には様々あるが,その可微分性やパラメータ表示の簡便さから,歪対称行列のCayley変換により直交行列を生成する手法が採用されることが多い.しかしながら,歪対称行列のCayley変換では,全ての直交行列を網羅できないことが問題となっている.本論文では,歪対称行列全体に対するCayley変換の像が,直交行列全体からなる集合のどのような部分集合になっているかを主論点として理論解析を行い,結果として,それが正規直交基底の同値類の代表元を必ず生成できることを示す.このことは,歪対称行列のCayley変換を用いる妥当性が保証される最適化問題の範囲を明確化する.
著者
大崎 翔大 吉村 博幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.11, pp.136-143, 2022-11-01

指紋認証は,本人確認の手段として広く利用されているが,指紋を人工的に複製して他人になりすますことが容易に可能である.そこで,我々は,指紋画像から複数個の特徴量を抽出してこれらを統合することによって,人工指紋画像検出の高精度化を検討している.そしてこれまで,複数個の特徴量を用いて特徴量ごとに線形サポートベクタマシン(SVM)に学習させて識別器を作成して,検出結果の多数決を取る手法で識別誤差0.65%を得ている.本研究では,更なる識別精度の向上を目的とし,複数個の特徴量に最適な重みを設定して,これらの検出結果を統合する手法を提案する.本提案手法を人工指紋画像の識別実験に用いた結果,識別誤差0.40%を得た.また,実験結果から本提案手法においては,Latexを用いて複製された人工指紋画像が誤識別されやすいことを明らかにした.
著者
森 駿志 大塚 和弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.10, pp.111-124, 2022-10-01

人と人との対話において対話者が表出する頭部運動には様々な機能があることが知られており,その認識のため畳み込みニューラルネットワーク(CNN) を用いた方法が提案されている.本論文では,対話者個人の頭部運動機能の概念を,頭部運動を介した聞き手・話し手間の相互作用機能へと拡張し,頭部運動機能を認識するCNNを転移させることで相互作用機能を認識するモデルを構築する戦略を提案する.この転移戦略の一つとして,複数の頭部運動機能について各々事前に学習されたCNNを再利用し,これらCNNの中間出力を特徴ベクトルとして抽出し,別の識別器により相互作用機能の認識を行うという戦略が含まれる.話し手・聞き手各々の機能認識CNNの出力について論理積をとる方策を基準として,提案した転移戦略を適用したモデルによる性能向上を検証した結果,話し手のリズム取りに対する聞き手の相槌という相互作用において,F値にて最高8.0ポイントの性能向上を確認し,また,話し手のリズム取りに対する聞き手の正の感情表出という相互作用では,最高13.9ポイントの性能向上を確認した.このように提案した転移戦略の潜在的可能性が確認された.
著者
鈴木 悠茉 市毛 弘一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.9, pp.106-110, 2022-09-01

本論文では,従来の学習モデルに複数スケールの画像特徴量を追加することで,低光量画像を高精度に鮮明化する手法を提案する.提案手法の有効性は,画像鮮明化のシミュレーションを通して評価される.
著者
松田 祐真 中川 匡弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.7, pp.81-91, 2022-07-01

頭皮上脳波から情報を取り出し,使用者と機械とを繋ぐBrain Computer Interface (BCI)の研究が取り組まれ,感性の定量化が注目されている.深層学習技術の発展から,BCIの解析手法に深層学習アルゴリズムが用いられ,よい結果が報告されている.その一方,深層学習アルゴリズムはマシンパワーや大量のデータセットを必要とするなど,頭皮上脳波を用いたリアルタイムBCIとしての実装と運用には不向きな特徴も有している.本研究ではリカレントニューラルネットワークの一つであり,よりシンプルで高速なEcho State Network (ESN)を用いた手法を提案する.提案手法はESNの中間層出力の時系列をフラクタル解析することで高速に頭皮上脳波データの分類を行うものである.結果,ESNのフラクタル解析可能性が確認され,感性脳波データセットを用いた分類実験からよりリアルタイム性の高い実用的なBCIの構築可能性が示唆された.
著者
小川 翔也 石井 光治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.5, pp.58-67, 2022-05-01

本論文では,合意制御におけるデータ駆動型最適化のネットワークに対する汎用化を目的に,ネットワーク中心性で制約したデータ駆動型最適化を提案する.先行研究のデータ駆動型最適化は学習したネットワークでのみ機能するエッジ重みを設計しており,学習していないネットワークでは効果的に動作しないという課題がある.そこで本論文では,統計的性質は同じだが学習に用いていないネットワークでも効果的に機能するエッジ重みをデータ駆動型最適化で設計する.そのために,複数の統計的性質が同じネットワークを学習データとして使用し,統計的性質が同じ異なるネットワークに対応した重みを導出する必要がある.そこで本論文では,ネットワークの統計的性質を効果的に表現するネットワーク中心性を用いてエッジ重みを制約したデータ駆動型最適化を提案する.計算機シミュレーションにより,中心性の種類による特性を示し,提案手法が未学習のネットワークで効果的に動作することを示す.更に合意制御の自律性を保つ次数中心性を発展させ,自身の次数だけでなく隣接ノードの次数を考慮した制約を用いて最適化を行うことで,更に特性改善することを示す.
著者
振津 勇紀 出口 大輔 川西 康友 井手 一郎 村瀬 洋 向嶋 宏記 長峯 望
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.4, pp.48-57, 2022-04-01

重要な公共交通機関として広く社会に普及している鉄道の沿線には,信号機や踏切など列車の安全運行を支える多くの設備が設置されている.これらの設備の日常的な整備や設置状況などに関する情報収集業務の多くは人手により行われており,その維持管理作業の自動化・効率化を実現する技術が強く求められている.このような課題に対して,営業運転中の列車に搭載したカメラにより前方を撮影した列車前方映像のみを用い,セマンティックセグメンテーションを施すことで鉄道環境における沿線設備などを自動認識する技術に期待が寄せられている.しかし,セマンティックセグメンテーションでは画素単位でクラス情報を人手で付与した学習データが必要であり,高い性能を得るために必要な大量の学習データを用意するコストは非常に高い.そこで本論文では,教師なしデータに対するセマンティックセグメンテーション結果とStructure from Motion(SfM)法による3次元復元結果を組み合わせることによってラベル付き3次元点群を生成し,それらを画像平面に投影することで擬似的なデータ拡張を行うSfM-student法を提案する.これにより,限られたラベルあり学習データのみからセマンティックセグメンテーションの精度向上を図る.実際の鉄道環境で撮影したデータを用いた実験を行ったところ,提案する3次元情報を利用した擬似的なデータ拡張手法は既存のデータ拡張手法と比べてセマンティックセグメンテーション精度を向上させることを確認した.
著者
奥山 康男 坂本 和義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.511-518, 2005-04-01
被引用文献数
3

本論文では, 医療事故(エラー)要因とその対策項目を簡便に導出する方法を提案している.某病院放射線科で発生した1年間のエラーデータを用いて, 人間(医療技術者と患者)のエラーと機械(放射線機器)のエラーとに分類した結果, 99%が人間によって起因していた.医療におけるエラーは, 患者の生命に直接影響を及ぼすため責任の在り方を厳しく問われる.そのためエラー報告は当事者の心理面に大きく関与し虚偽報告されることが多く, いまだに確立された解析法が公表されていない.本研究は, AHP(階層分析法)を用いてエラー要因のウェイト並びに整合度を求めるとともに失敗因子の分析法について考察した.その結果, エラーは医療技術者の知識不足と錯誤による要因が高いウェイトを示し, 技術者の再教育を行うことが約50%のウェイトで必要であることを認めた.更に, エラー発生に伴う損益とエラー回避させるために必要となる費用との比率(損益対費用効果)を求めた結果, 技術者に対する再教育投資のウェイトがエラーを回避するために有効であり, 経済的見地からも本研究の分析法が有用であることを示した.
著者
森本 慎也 岩崎 翔 市毛 弘一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J104-A, no.12, pp.250-257, 2021-12-01

本論文では,スパースアレーアンテナの受信信号に対する適応ビームフォーミング手法,並びに仮想アレー受信信号の復調手法を提案する.著者らはこれまでに,実アレーの受信信号にKhatri-Rao (KR)積拡張処理を適用することで,到来方向(Direction-Of-Arrival; DOA)推定並びに適応ビームフォーミング性能の向上を確認している.しかしながら,ディジタル変調システムに仮想信号を用いる際には,仮想信号特有の性質から,実アレー領域の処理をそのまま採用することはできない.本論文では,拡張後の仮想信号に対応した新たな適応ビームフォーミング手法を検討し,仮想信号の復調時に位相情報を復元することによって,ビームフォーミング性能の改善を試みる.提案するビームフォーミング手法の性能は,計算機シミュレーションにより評価される.
著者
谷口 成広 劉 興〓 坂本 明雄 島本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.1376-1379, 1993-09-25
被引用文献数
4

近年,研究が盛んになっている遺伝的アルゴリズムは,生物の進化のメカニズムである「自然淘汰」を模倣した探索アルゴリズムである.本論文では,LSIの内部配線であるチャネル配線問題を遺伝的アルゴリズムで解くための一つの接近法を提案し,実験結果を示す.
著者
井手口 健 難波 朋和 古賀 広昭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J83-A, no.7, pp.924-927, 2000-07-25

音楽聴取時に音源に対応した振動を聴取者の身体に付与した場合,音楽の印象がどのように変化するのか実験的に検討した.その結果,付与する振動の種類や振動の強さ,振動を付与する身体の箇所を選ぶことにより音楽の印象を強調できる見通しが得られた.
著者
西村 明 坂本 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.91-99, 2010-02-01
参考文献数
16

振幅変調に基づく音響データハイディング技術を用いて,スピーカから再生される音に同期して情報を呈示するシステムを提案する.振幅変調に基づく音響データハイディング技術の特徴は,数秒の埋込時間フレームを用いて,広い周波数範囲にデータを埋め込むことによって残響や反射音,変動する付加雑音に対して頑強な点である.データ埋込済み音楽信号に対してPEAQを用いた音質劣化の客観評価を行った結果,劣化は平均的に「やや気になる」以下であることが分かった.また,データ埋込済み信号への残響及び背景雑音付加,入力過大による振幅制限,カラオケ伴奏と同期した歌詞表示利用を前提とする歌唱音の重畳による検出力への影響を,コンピュータシミュレーションによって調べた.その結果,それらの変形を経た信号からも,十分埋込データの検出は可能であり,表示の時間制御のもととなるデータフレーム境界時刻の検出精度も十分であることが分かった.
著者
志土地 由香 井手 一郎 高橋 友和 村瀬 洋 SHIDOCHI Yuka IDE Ichiro TAKAHASHI Tomokazu MURASE Hiroshi
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.532-535, 2011-07

類似した料理レシピ群における特徴的な調理手順の類似度に基づいて,代替可能な素材を発見する方法を提案する.これにより,利用者の要求に応じて料理レシピ中の素材を柔軟に置き換えられるようになることが期待される.
著者
本庄 勝 牧戸 知史 山里 敬也 岡田 啓 片山 正昭 小川 明
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.214-230, 2002-02-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

無線環境での動画像通信では、動画像符号化器の要求品質を満たすために、誤り訂正符号等によって符号化データを保護する必要がある。しかしながら誤り訂正符号は、一般に、訂正能力が高いほど処理能力が必要で、ビデオホンのような即時性を要求する動画像メディアでは利用が困難となる。そこで本論文では、誤り訂正復号と動画像復号を統合した、低遅延、低劣化を可能とする即時型動画像並列復号方式を提案する。この方式の最大の特徴は、一つの誤り訂正符号に対して処理時間と訂正能力の異なる二つの復号化器を用意して、動画像の並列復号を行う点である。暫定処理で得られた訂正復号結果で画像(出力画像)を復元する一方、十分な訂正処理をした信頼度の高い結果で画像(参照画像)を復元することで、フレーム間の誤り伝搬を防ぎ、画像品質の劣化を抑制する。この特性を、3次元DPCM予測符号化器を使用して解析的に明らかにする。そこで参照値に誤りがなければ通信路雑音による画質劣化は最小になること、予測フィルタの相関値が高いほど、参照画像での雑音の影響が大きく、またこの場合でも参照画像に誤りがなければ、通信路雑音の影響は復元画像にはほとんど影響を与えないことを示す。具体例として、H.263と連接符号のモデルを用いて計算機シミュレーションによる評価を行っている。この結果、並列復号方式は、グレースフルデグラデーションが実現され、特にレイリーフェージングチャネルではその効果が大きく現れることを示す。また低ビットエネルギー対雑音電力比においても画質はアナログライクな劣化になり、同じ客観評価値であっても主観評価に与える影響は小さいことを示す。
著者
上田 哲史 吉永 哲哉 川上 博 陳 関栄
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.10, pp.1141-1147, 2000-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
5

自律系にみられるリミットサイクルにおいて,パラメータの変化により特性乗数が複素単位円を横切る場合,Neimark-Sacker分岐を生じる.本論文ではこの分岐パラメータ値を求める新しい計算方法を提案する.固定点条件,Poincaré断面条件に加えて,共役複素数の特性乗数を代入した特性方程式を実部と虚部に分離し,それぞれを独立した条件として採用する.これら条件式を連立させ,ニュートン法により解く.新たな独立変数として,共役複素な特性乗数の偏角を用いた.ニュートン法のヤコビ行列の各要素は,複素数演算,数値微分を用いることなく,変分方程式の解と行列操作によって求めることができるため,ニュートン法の収束性もよい.例として8次元自律系のリミットサイクルのNeimark-Sacker分岐の計算結果をあげる.
著者
松田 健 渡辺 澄夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.4, pp.300-308, 2010-04-01

混合モデル,ニューラルネットワーク,ベイジアンネットワークなどの特異モデルは情報工学において広く使われている.近年,特異モデルの学習の精度が特異点解消定理による代数幾何学的な方法によって明らかにされた.本論文では,重み付きブローアップによる学習係数の新しい算出方法を提案し,混合多項分布への応用によってその有用性を示した.
著者
永塚 守 清水 康敬
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J76-A, no.9, pp.1351-1358, 1993-09-25

本研究では,生体情報による教育用の映像ソフトウェアなどの客観的評価を行うことを目指し,CRTを使って視覚刺激を提示しながら瞳孔面積と脳波を同時に測定して,それらの変化を調べた.この同時測定を行うために,まず,CRTから脳波測定へのノイズの混入を防ぐ目的で,室外のCRTから被験者に刺激提示できるよう,光透過性のあるシールドガラスを使った特殊なシールドルームを設計し,その効果を確認した.また,瞳孔面積測定装置を装着することによる脳波測定への影響を明らかにした.次に,被験者に対して,平均輝度を一定に調整した意味のある静止画パターンを提示しながら瞳孔面積と脳波の同時測定を行ったところ,頭頂部の脳波の9.0-11.0Hzの帯域パワーと瞳孔面積の間に負の相関関係が見られた.また,被験者の興味が強いパターン提示時のデータは,瞳孔面積が大きく,帯域パワーが小さい位置に集中することがわかった.以上から,同時測定を行うことで,提示パターンの内容の違いを,より的確に区別できる可能性を示した.