著者
赤木 博文 小坂 道也 福島 邦博 土井 彰 笹木 牧 小川 晃弘 西崎 和則 増田 游 松田 充浩 四方 賢一 槇野 博史 清水 順子 杉山 信義
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.253-260, 1997-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術を施行し, 6ヵ月以上経過観察できたIgA腎症47例を対象に, 治療成績と予後予測因子を検討し, 次の結果をえた.1. 扁摘後の最終観察時点での寛解率は, 尿蛋白61.7%, 尿潜血44.7%で, 尿蛋白・尿潜血ともに, 観察期間が長いほど低下傾向にあった.2. 腎病理組織所見の軽症例は, 重症例よりも尿蛋白の寛解率が高かった.3. 扁桃誘発試験陽1生例は, 陰性例よりも尿蛋白の寛解率が低かった.4. IgA腎症の発症年齢, IgA腎症発症から扁摘までの期間, Ccrは, 尿蛋白寛解例と非寛解例の間で有意差を認めなかった.
著者
大野 芳裕
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.163-172, 2021 (Released:2022-06-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

慢性上咽頭炎は,後鼻漏・咽喉頭違和感・慢性咳嗽・頭痛・めまい・肩こりなど不定な症状を呈するため,本疾患に着目しないと見逃される可能性がある.慢性上咽頭炎に対しては上咽頭粘膜を塩化亜鉛溶液で擦過する,上咽頭擦過療法(Epipharyngeal AbrasiveTherapy:EAT)が有効とされている.そこで今回慢性上咽頭炎症例92名に対して,1%塩化亜鉛溶液によるEATを施行した.患者には原則として生理食塩水による上咽頭洗浄を併用した.治療前後に鼻咽腔内視鏡所見の重症度分類と自覚症状のアンケートならびにNumerical Rating Scale(NRS)を施行し,局所所見および自覚症状の治療効果を検討した.局所所見の重症度は,上咽頭粘膜の発赤・腫脹を4段階でスコア化し,後鼻漏・痂疲を認める場合に加点した.自覚症状は,治療前後に主訴を含む各症状(後鼻漏,咽喉頭違和感,咽頭痛など)のアンケート(4段階)と全身状態のNRS(10段階)による評価を行い統計学的に解析した.改善率は局所所見72.8%,主訴88.0%,NRS 79.3%で,局所所見と主訴の改善との間に有意な関連を認めた.慢性上咽頭炎に対するEATの有効性が示唆された.
著者
二ノ宮 裕三
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.7-13, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
40

味覚は,体が必要とする栄養素を過不足なく摂り,健康を維持するうえで不可欠な感覚である.生物は,体内の糖や塩分が不足すると,甘味・塩味の情報を手掛かりに探し出し摂取する.逆に苦味や強い酸味物質は有害物として忌避する.味情報が,快・不快の情動,咀嚼,唾液・消化液・ホルモンの分泌を介して食行動・栄養吸収を調節し,生体恒常性が維持されている.近年,筆者らは,甘味受容体が消化管・膵臓・食欲中枢にも発現し,口腔脳腸が味情報・内分泌系で連携しエネルギー調節に寄与することを見出した.本稿では,その味シグナルの食の調節系や生体防御系における新しい機能を含め,味センサーの多臓器発現・多機能性研究の新知見を紹介する.
著者
大野 芳裕
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.138-145, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
8

慢性上咽頭炎154例に対して上咽頭擦過療法(EAT)を施行し,自覚症状および内視鏡所見の評価を行った.現在上咽頭擦過療法検討委員会による前向き研究(前向研)が行われており,内視鏡所見では色調,腫脹,粘液付着・後鼻漏,擦過時の出血を3段階で評価する方法となった.以前の検討(2020研)では発赤(色調),腫脹を4段階で評価したため,これを前向研の評価法に当てはめて比較検討した.前向研では色調,腫脹の改善率は54.6%,48.6%であった.合計スコアの改善率は2020研94.2%,前向研93.5%で,出血を除いた合計スコアの改善率はそれぞれ81.8%,75.3%となった.いずれの検討でも発赤・出血・合計スコアの改善と主訴の改善との間に有意な相関を認めた.今回は2020研から症例数を増やして治療効果の再検討も行った.
著者
生井 明浩 池田 稔 土肥 二三生 吉川 琢磨 木田 亮紀
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.369-372, 2000-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5
被引用文献数
1

味覚障害の原因には, 従来より亜鉛が重要と考えられているが, 亜鉛の内服では味覚障害の改善の認められない症例がある.亜鉛と同様生体内の必須微量元素であるビタミンB群に着目し, 味覚障害患者の血中ビタミンB1とB2の測定を行った.対象は, 味覚障害患者のうちの血清亜鉛値正常者43例 (30歳―77歳, 平均59.7歳.男性17名, 女性26名) であった.43例全例血中ビタミンB1値は正常であった.43例中17例 (39.5%) に血中総ビタミンB2値の低下を認めた.低下症例の平均は44.4±3.8ng/ml, 全症例の平均53.8±12.4ng/mlであった (正常値50―84ng/ml).総ビタミンB2値の低下を認めた17例中10例に活性型ビタミンB2 (FAD) の経口投与を行った.10例中6例 (60%) に味覚の改善を認めた.味覚障害にビタミンB2欠乏も関与している可能性が推察された.
著者
河野 えみ子 福井 順子 今井 玲 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.199-207, 2003-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4
被引用文献数
2

うがい効果を十分に得るためには, 含嗽剤の殺菌作用と機械的除菌作用を有効に活用することにある.また, 咽頭炎などの感染症には “咽頭型” のうがいを, 口内乾燥症には “口蓋型” のうがいと疾患別のうがい方法を考案して作成したパンフレットを用いてうがいの指導にあたってきた.うがい教室に参加した症例を対象として, うがい効果を検討した.口内乾燥症は「口がかわく場合」のうがい方法を6ヵ月実施後, 40%に自覚的に効果があった.手術を勧められた習慣性扁桃炎患者に「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 53%が扁桃炎の発症が減少して改善がみられ, 今回手術を見送った.掌蹠膿疱症14例は「のどが痛い場合」のうがいを6ヵ月実施後, 10例に改善がみられ今回手術を見送った.
著者
片田 彰博
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.55-62, 2014-03-31 (Released:2014-08-20)
参考文献数
27

口腔アレルギー症候群 (oral allergy syndrome: OAS) は, 特定の食物を摂取した直後から口唇, 口腔, 咽頭粘膜に腫脹, かゆみ, ヒリヒリ感などの症状が出現する症候群である. OAS は花粉やラテックスの感作が成立した後に, 感作抗原に対して交差反応性のある抗原を含む食品を摂取することで発症する. そのため花粉症に合併することが多い. 診断には食物特異的 IgE とプリックテストが有用であり, 治療は原因食物を摂取しない抗原回避が第一である. 一方, 喉頭アレルギーは喉頭粘膜でI型アレルギー反応が起こる疾患であり, 主な症状は咳嗽と咽喉頭異常感である. 臨床症状が類似しているため喉頭アレルギーと OAS は混同されやすいが, 両者の病態はまったく異なっている.
著者
池田 稔
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.133-138, 2012 (Released:2012-08-25)
参考文献数
18

味覚障害による受診患者数は年齢とともに増加し, 最近では60歳代に受診者数のピークがみられる. 特に, いわゆる65歳以上の高齢者の症例が増加しており, 本疾患は高齢化社会の進む中で今後も症例の増加が予想される. この高齢者の味覚障害の背景には味覚器の数や形態に対する加齢の影響も関与しているものと思われるが, それに加えて, 唾液分泌機能の低下や義歯使用などの口腔環境の変化, 全身疾患とそれに対する服用薬剤の影響など, 幾つかの重要な因子が高齢者の味覚障害の発現には関与しているものと考えられる. 味覚障害の治療は亜鉛内服治療が中心となるが, その有効性は高齢者においても変わらない.
著者
本間 博臣 渡邊 彩 竹村 栄毅
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.137-141, 2013-06-10 (Released:2013-08-26)
参考文献数
7

30歳女性.慢性扁桃炎に対し全身麻酔下に両口蓋扁桃摘出術を施行.術後7日目に術後出血を認めた.局所麻酔下,全身麻酔下に止血操作を繰り返すも止血が得られなかった.持続する出血の原因精査を行うも原因が判明せず数ヵ月が経過している.状況から虚偽性障害が考えられ,自傷行為を行っていた可能性があるが証拠はつかめていない.術後8ヵ月近経過した現在もなお出血が続いており毎日外来通院している.
著者
石和田 稔彦
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.191-195, 2008-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16
被引用文献数
2

溶連菌による扁桃炎治療として, ペニシリン系薬の10日間投与が標準的治療として行われてきた. しかし, 最近海外で, これまでの臨床試験のメタ解析から, 短期療法も含めセフェム系薬の方がペニシリン系薬よりも臨床効果がすぐれるという報告がなされ, ペニシリン主体の治療方針を見直す必要が生じてきた. そこで, 本邦における現況を中心に解析したところ, ペニシリン系抗菌薬の除菌率は, 85%程度であるが, 臨床的再燃率はセフェム系短期療法と同等であり, 感受性の低下も認められていなかった. また, リウマチ熱の出現は極めて低く, 溶連菌による扁桃炎抗菌薬治療後の腎炎発症も少なかった. 以上の状況を考えると, ペニシリン系薬は, 溶連菌による扁桃炎の治療薬として現在でも有効であると考えられた. ただし, 溶連菌による扁桃炎再燃の原因として, 服薬コンプライアンスの低下, 抗菌薬の作用から逃れる溶連菌の存在 (細胞内侵入菌, バイオフィルム産生菌) などが考えられており, 症例に合わせて, セフェム系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬 (耐性菌が増加しており使用にあたっては注意が必要) を上手に選択して使用していくことも大切である.
著者
西窪 加緒里 兵頭 政光
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.399-405, 2005-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

向精神薬の投与により嚥下障害をきたした15例について臨床的検討を行った.症例は男性9例, 女性6例で年齢は平均65.6歳であった.原疾患はうつ病が10例と最も多く, その他は, 非定型精神病, 身体表現性障害, アルコール依存症などであった.全例がベンゾジアゼピン催眠鎮静薬, 抗うつ薬, 抗精神病薬などを1種類以上投与されていた.6例では嚥下性肺炎の既往があった.嚥下造影検査では多くの例で咽頭クリアランスが低下しており, 8例で明らかな誤嚥を認めた.また, 造影剤の口腔移動時間が有意に延長しており, これらの結果, 口腔期および咽頭期嚥下が障害されていた.投与薬剤の減量や変更が行えた症例では, 嚥下機能の改善が得られた.
著者
駒田 一朗 宮崎 総一郎 西山 彰子
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.41-49, 2016-03-31 (Released:2016-06-23)
参考文献数
49

睡眠時無呼吸の頻度は高齢になるほど増加する. 50歳未満では睡眠時無呼吸の死亡率が高くなるという報告がある一方, 高齢者では死亡率は高くないとする報告がある. 高齢者の睡眠時無呼吸の重症度や日中の眠気が生命予後に影響を与えるとの報告もある. 高齢者では手術加療や口腔内装置選択の適応例が少なくなるため CPAP に依存することが多いと予想される. 睡眠時無呼吸は認知障害と関連があるとの報告が近年増えており, CPAP 治療により認知機能が改善し, 脳画像での改善がみられることが報告されている. 高齢者の睡眠時無呼吸の対応にあたっては生命予後以外に認知機能改善や認知症予防の観点から対応する必要がある.
著者
坂田 宏
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-16, 2010 (Released:2010-09-01)
参考文献数
18

小児における咽頭炎・扁桃炎の原因菌として重要なA群溶血性連鎖球菌に関する以下の点ついて解説した. 1) 診断における迅速検査キットと細菌培養の差, 2) 治療におけるセファロスポリン薬5日間投与の評価, 3) リウマチ熱および急性糸球体腎炎などの非化膿性合併症, 4) 反復性感染症にする最近の知見
著者
小島 千絵 平石 光俊 石塚 洋一
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.185-190, 2003-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

私共は当科初診時に難治性で, かつ咽頭以外にも口内炎や潰瘍が認められた症例で, その後に突然の下血を起こし, クローン病と診断しえた2症例を経験した.今回の症例は, 2症例ともに口内炎ならびに喉頭の白苔と咽頭潰瘍が消化器症状に先行して出現していた.これらの事より, 耳鼻咽喉科に受診するアフタ性口内炎や咽頭潰瘍に関して, 喉頭の所見や消化器症状などにも留意し, 便秘や軟便, 下血などの有無を確認し, クローン病の可能性も念頭におきながら経過観察が必要と考えられた.
著者
任 智美 阪上 雅史
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.53-56, 2011 (Released:2011-04-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1

亜鉛欠乏により生じた味覚受容器の機能低下に対して, 亜鉛を補充することで可逆的な回復が期待される.亜鉛含有の胃潰瘍治療剤であるポラプレジンクは, 味覚障害の治療薬として有用であることが報告されている. 今回, ポラプレジンク75mg, 150mg, 300mgまたはプラセボを12週間投与した際の有効性と安全性について検討したので報告する.濾紙ディスク法検査の有効率は, プラセボ群63.0%, ポラプレジンク75mg群51.9%, 150mg群80.0%及び300mg群89.3%であり, 300mg群はプラセボ群に対して統計学的な有意差を認めた. また, 血清亜鉛値の変化量は150mg群と300mg群ではプラセボ群に対して統計学的に有意であった.
著者
平井 良治 池田 稔
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-5, 2012 (Released:2012-07-27)
参考文献数
45

現代社会は高い生活の質を要求し, 高齢化社会に伴って高齢者に多発する味覚障害患者は増加するものと推測されている. それに伴い味覚障害の診療の重要性が高まっている.現在まで味覚障害の原因は, ある程度検討され解明されている領域もあるが, 依然解明されていないものも多々存在する. よって, 味覚障害の診療で, 原因を確実に同定することは容易でなく, ガイドラインを作成することは繁雑な診療の一助になると考えられる.ガイドラインの作成に向けて本稿では, 味覚障害の発症に関与する因子としてこれまでに比較的よく検討が進められているミネラルの欠乏による味覚障害, 薬剤性味覚障害, 全身疾患に伴う味覚障害について述べる.
著者
氷見 徹夫 高野 賢一 亀倉 隆太 坪松 ちえ子 阿部 亜由美 山下 恵司
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.19-24, 2016-03-31 (Released:2016-06-23)
参考文献数
11

唾液腺腫脹を伴う疾患は日常的に遭遇する疾患から非常にまれな疾患まで多彩である. 鑑別診断を容易にするため, 一側性と両側性腫脹を示す疾患の概略を述べ, 次に, 両側性腫脹を示すいわゆる非腫瘍性のミクリッツ症候群を示す疾患と IgG4 関連疾患であるミクリッツ病とキュットナー腫瘍についての最新の知見を紹介した. 感染性疾患では HIV 関連唾液腺疾患についても言及した. 唾液腺腫脹を示す非腫瘍性疾患は原因不明あるいは病態も明らかになっていない疾患が多いため, 歴史的変遷も含め最近の考え方を解説した.
著者
土井 彰 田村 耕三 赤木 博文
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.305-310, 2008-06-10 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11
被引用文献数
2

口蓋扁桃摘出術後の出血は, 手術当日や術後1週間前後に多い. クリティカルパスウエイの中には, 術後1週間前に退院するものがあるが, 退院後の術後出血に関して, 十分に説明を行い注意文書を渡しているにもかかわらず, 術後管理の適否が問われる可能性がある. 退院後の術後出血では, 出血に対する迅速な対応ができないだけでなく, 不幸な転帰をとった場合, 出血状況および患者とその家族の対応や経過が立証しづらい状況にあり, 患者にとっても利益になるとは言いがたい. このような現状を踏まえ, 当院での口蓋扁桃摘出術後の症例について報告した.