著者
鳥海 不二夫 山本 仁志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2507-2515, 2012-11-15

近年,ソーシャルメディアの発達が目覚しく,FacebookやTwitterなど数多くのソーシャルメディアがWeb上で運営され,多くのユーザによって利用されている.ソーシャルメディアへの記事投稿にはコストが必要であるにもかかわらず,自発的に記事が投稿されるメカニズムは明らかとなっていない.ここで,ソーシャルメディアの基本的な仕組みは,多数の情報がコストをかけて投稿され誰もがアクセスし利用することができることから,公共財としての性質を持っているといえる.公共財への貢献を促進する仕組みとしては,協調しない者に対し罰則を与える規範ゲーム・メタ規範ゲームが提案されている.しかし,ソーシャルメディア上では非参加者を罰するということは不可能である.そこで,懲罰ではなく協調者にたいして報酬を与えるという方法を取ることが考えられる.一方で,報酬よりも懲罰のほうが効果的であるという報告があり,通常の条件下ではソーシャルメディアでは協調は進化しないと考えられる.そこで本研究では,報酬しか与えられない公共財ゲームであるソーシャルメディア上で,どのような条件が整った時に協調が促進されるのかを,エージェントシミュレーションによって明らかにする.
著者
田村 秀行 坂根 茂幸 富田 文明 横矢 直和 金子 正秀 坂上 勝彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.321-328, 1982-05-15
被引用文献数
12

画像処理アルゴリズムをプログラムとして収集・蓄積し ポータブルなソフトウェアとして流通させるための仕様を検討し ソフトウェア・パッケージSPIDERを開発した.従来の画像処理ソフトウェアのほとんどは ハードウェア・システムに依存したプログラミングや 汎用性のない設計思想によって移植性を欠いている.この要因を分析し 現時点でのアルゴリズム収集と高い移植性を実現するプログラム仕様を採用した.画像処理プログラムはすべて入出力操作(ファイル・アクセス 画像用周辺機器駆動等)に独立なFORTRAN サブルーチンとする他 SPIDER仕様では画像処理概念の整理 コーディング上の制約 コメント文やマニュアルの記法も規定した.その結果 代表的な画像処理アルゴリズムのサブルーチン・ライブラリとその管理プログラム群 計442個のプログラムからなるパッケージを能率よく製作できた.このパッケージは きわめて高いポータピリティを有し すでに約120の研究グループで利用されている.
著者
山田 武士 斉藤 和己 上田 修功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.2401-2408, 2003-09-15
被引用文献数
3

ネットワークで表現されたデータを低次元ユークリッド空間へ埋め込む新たな方法を提案する.本手法では,ネットワークの隣接行列が定義するノード間の離散類似度と,現在の埋め込み配置から導かれる連続類似度との間のクロスエントロピーを最小にすることによって最適な配置を求める.さらに,与えられた埋め込みにおいてにおいて,ノードの接続関係がいかに忠実に再現されているかを定量的に評価する新たな評価尺度を提案する.最後に実際のネットワークデータを用いた実験によって,本手法の有効性を検証した.We present a novel approach to embed network data into a low dimensional Euclidean space. Theproposed method attempts to minimize cross-entropy between the discrete node similarity measure induced by theadjacency matrix and the continuous node similarity function derivedfrom current embedded node positions.We also propose a natural criterion to effectively evaluate an embeddednetwork layout in terms of how well node connectivities are preserved.Experiments using real network data show the effectiveness of theproposed method.
著者
齊藤義仰 村山 優子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.520-528, 2011-02-15
被引用文献数
3

動画共有サービス上の広告として,テレビのように動画の途中で広告動画を挿入するミッドロール型の広告手法が徐々に現れ始めている.しかし,既存のミッドロール型広告動画挿入手法では,一定の時刻になると時報のように広告動画を再生させたり,ランダムな再生時間に広告動画を再生させたりする手法がとられており,動画の視聴を妨げるタイミングで広告が再生されるという問題がある.そこで,我々は動画の視聴を妨げないタイミングで広告動画を挿入するため,視聴者コメントを用いたミッドロール型広告動画挿入タイミング決定アルゴリズムを提案する.利用する視聴者コメントは,ニコニコ動画のように動画中の特定のシーンと関連付けられたコメントを利用する.投稿されたコメントを時系列で分析することによりシーンの特徴を推定し,適切な広告動画挿入タイミングが決定できると考えられる.本研究では,単位時間ごとのコメント数に着目し,動画の視聴を妨げないタイミング付近でのコメント数の変化を検出し,広告動画の挿入を試みる.本論文では,広告動画挿入タイミング決定アルゴリズムを作成するための予備実験を行い,単位時間ごとのコメント数と適切な広告動画挿入タイミングの関係について調査した.さらに,予備実験により得られた知見から,広告動画挿入タイミング決定アルゴリズムを考案し,提案アルゴリズムの適用範囲について評価を行った.In recent years, mid-roll advertisements which insert a video advertisement at the middle of the video content appear gradually. However, the mid-roll advertisements usually interrupt video viewing because it inserts a video advertisement at the fixed or random time. To solve this issue, we propose an algorithm for mid-roll advertisement insertion based on audience comments. The algorithm determines timing for advertisement insertion not to interrupt audience's video viewing as much as possible on the supposition that there are some characteristics in the amount of comments at the appropriate timing. In this paper, we report results of a preliminary experiment to write an advertisement insertion algorithm and the detail of the proposed algorithm. Moreover, we also evaluate the proposed algorithm and discuss its issues.
著者
宗森 純 宮内 絵美 牟田 智宏 吉野 孝 湯ノ口 万友
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2584-2594, 2001-11-15
被引用文献数
8

PDA(携帯情報端末)は小型軽量で移動が容易なため,位置情報が新たな情報のパラメータの1つとなる.位置情報を携帯電話やPHSとGPSとを組み合わせて知らせるサービスは多数あるが,クライアント双方が動き回り,相手の位置情報などをクライアント自体で画面に出せるサービスは今まであまりなかった.そこでPDAとGPSそれに携帯電話とを用い,この形態のサービスを実現する電子鬼ごっこ支援グループウェアを開発した.そして位置情報の座標を変換し,お互いに離れている遠隔地間で行う鬼ごっこを含む4種類の電子鬼ごっこ実験と,比較のための従来の鬼ごっこ実験とを2カ所の大学で24回行った.これらの実験の結果から下記のことが分かった.(1)サービスを工夫するとGPSなどの機器を用いた電子鬼ごっこは,機器を使わない鬼ごっこより評価が高くなり,GPSによる相互の位置情報は鬼ごっこには有効であった.(2)電子鬼ごっこにおいてGPSの精度を下げた表示方法をとると,捕まるまでの時間は通常の精度の場合より延びたが,機器を用いない鬼ごっこよりは短い時間で捕まえることができた.(3)遠隔地からの電子鬼ごっこへの参加が実現したが,相手が近寄ってくる前兆や,捕まるときの実感を表す機能が必要であることが分かった.PDA (Personal Digital Assistant) is highly portable,and the positioning data will become important data for a PDA.There are many location-aware services.But most of services using PDAs and GPSs are one-way services.So, we should develop two-way interaction services.That is, the services that clients of the system should move freely and get and present location information of other clients easily.We have developed the electronic playing tag support groupware.The system consists of a PDA, a GPS and a mobile phone.We performed five types of experiments at two universities 24 times.Four types are the electronic playing tags and the remainder is a conventional playing tag.One of the experiments can realize participation between remote universities.The results of experiments were showed below.(1) The devised services based on the electronic playing tag support groupware were better estimation than that of the conventional playing tag.The mutual positioning information using a GPS was effective for the playing tags.(2) If the accuracy of a GPS decrease, we spend a little more time to catch.But the time did not exceed the playing time of the conventional play tag.(3) We can realize the electronic playing tag between remote universities.But we should add the realty using the remainder of five sense for lack of seriousness.
著者
向 直人 渡邉 豊英
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.2687-2694, 2005-11-15

現行のバス・システムでは,車両の配備台数は時刻表に依存している.また,車両の走行経路はバス停を経由した固定経路になっている.このような輸送サービスでは輸送要求の傾向の変化に柔軟に対応することは困難である.一方,タクシー・システムにおいては,時刻表やバス停は存在せず,ドライバの経験から獲得された知識に基づき,巡回経路や待機位置を決定している.しかし,その知識は断片化されており,システム全体のパフォーマンスを向上させるために有効に活用されていない.本稿は,顧客の輸送要求の傾向を学習することによって車両の動的な巡回パターン(巡回,待機)を決定する手法を提案する.提案手法はAnt Colony Systemと呼ばれる蟻の生態を模倣したアルゴリズムに基づいている.各車両は自身の輸送履歴を保持することで,道路上に巡回パターンを形成するための手掛かりを残す.手掛かりは顧客の発見を促すPick-up Pheromoneと巡回経路の形成を促すDelivery Pheromoneの2種類のフェロモンで構成される.最後に,シミュレーションにより本手法を評価し,その結果を報告する.The most of existing bus systems incorporate fixed routes via bus terminals and fixed number of vehicles depending on timetables. Such static bus systems cannot be adapted to the dynamic changes of demand flows such as frequency and directions of transport demands. On the other hand, in the most of existing taxi systems, the transport routines of taxis depend on the empirical knowledge of taxi drivers. However, the knowledge is not exploited effectively to improve the system performance. Therefore, we propose a new adaptive system which enables dynamic routine patterns for transport vehicles by learning the flows of transport demands. Our idea is inspired by a heuristic algorithm called "Ant Colony System". Each vehicle leaves clues to construct dynamic routine patterns by storing its delivery history. The clues consist of two kinds of pheromones: "pick-up pheromone" which leads the finding of new customers and "delivery pheromone" which leads the constituting of routines. Finally, we report simulation results by using two flow patterns of transport demands.
著者
角 康之 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.2679-2688, 2000-10-15
参考文献数
20
被引用文献数
10

本稿では,我々が開発している展示見学のための個人ガイドシステムを紹介し,実世界コンテキストに埋め込まれたコミュニティウェアの考えを提案する.我々の展示見学ガイドシステムの目標は,ユーザ個人の状況や興味(コンテキストと呼ぶ)に応じて展示見学に関連する情報を個人化して提示することである.そのためにシステムは各ユーザのコンテキスト情報を認識して利用するが,蓄積されたコンテキスト情報は,興味を共有するユーザ同士のコミュニケーションを促進する材料ともなりうる.本稿では,実世界でのコンテキストを拾い集め活用するための仕組みとして,掌サイズの携帯ガイドシステムと展示会場に遍在した据え置きディスプレイを連携する枠組みを紹介する.また,蓄積されたコンテキスト情報を構造化してコミュニティ内での出会いや情報共有を促進するための視覚的インタフェースを紹介する.This paper presents a notion of communityware situated in real-world contextsby presenting our ongoing project of building a guidance system for exhibition tours.The user of our system carries PalmGuide,a hand-held guidance system, while touring an exhibition.A personal guide agent runs on PalmGuide and provides tour navigation information,such as exhibit recommendation, according to the user's contexts, i.e.,personal interests and temporal and spatial situations.The guide agent running on PalmGuide can migrate to and provide personalized guidanceon individual exhibit displays or information kiosks that are ubiquitously locatedin the exhibition site.We also show Semantic map,which is a visual interface for exploring community information.
著者
寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.266-275, 2003-02-15
被引用文献数
6

近年のモバイルコンピューティング技術の発展により,ユーザは自分用のPDA(Personal Digital Assistant)を持ち歩くようになった.PDAの用途は多岐にわたり,特に今後は音楽を中心としたエンターテイメント利用の重要性が高まると予想される.しかし,現在の音楽アプリケーションは基本的に聴くだけのものが多く,演奏を楽しんだり周りの音楽に参加したりするといった能動的なものがほとんど存在していなかった.そこで,筆者らの研究グループでは,PDAを用いて場所を問わずに気軽に音楽演奏を楽しむためのモバイル楽器に関する研究を進めている.本稿ではそのようなモバイル楽器の1つであるDoublePad/Bassを構築することを目的とする.DoublePad/Bassはタッチパネル式のPDAを2つ用いたシステムで,それぞれのPDAを左右の手の入力に割り当てることでエレクトリックベースの奏法を想定した入力方法を実現している.したがって,本物のベースを演奏できる人が場所を問わずにその腕前を披露できる.また,楽器初心者でもある程度の演奏ができるように簡易演奏モードを用意している.本システムを用いることでいつでもどこでも気軽に演奏でき,同じように演奏をしている人たちとのコラボレーションも可能となる.As a result of advancement in mobile computing technologies,it becomes common for users to carry a PDA (PersonalDigital Assistant) with them wherever they go. PDAs can be used forvarious purposes, and applications for entertainment, especially thosecentering on music, are expected to gain more importance. However,most current mobile applications only allow users to listen to music andthere are few applications that enable users to enjoy and participatein playing music. Therefore, our research group proposes mobile electronic musical instruments to enable users to enjoy playing music anywhere. In this paper, the goal of our study is to construct theDoublePad/Bass as such a mobile musical instrument. The DoublePad/Bass uses two PDAs with a touch panel display, and realizes the input by allocating two PDAs for inputs at each hand like playing an electric bass. Thus, musicians who can play an electric bass can also play the DoublePad/Bass with little practice. Moreover, the system provides asimple playing mode for users who are not familiar with playing musicto enable them to play music easily. Using this system, users can playmusic no matter where they are, by themselves or by collaborating withothers.
著者
土屋 隆司 杉山 陽一 山内 香奈 藤浪 浩平 有澤理一郎 中川 剛志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.868-880, 2008-02-15
被引用文献数
1

列車運行に支障が生じた場合には,利用者に的確な案内情報を迅速に提供することが求められる.我々は,ダイヤ乱れ時における各目的駅までの推定所要時間に基づいて各駅別に迂回の適否(運転再開を待つべきか,目的地への迂回経路をとるべきか)を判定し,利用者に案内するシステムを開発した.システムの開発にあたり,輸送障害が発生した線区における駅間所要時分の変化を見積もるモデルを考案し,これをダイヤ乱れ時の最短経路計算に応用した.また,システムの開発と並行して実施したダイヤ乱れ時における利用者行動調査の結果に基づいて,システムの要件やその運用のあり方を整理した.開発したシステムを用いて,実際のダイヤ乱れ時において,一般利用者を対象とした実証実験を実施した結果,提示された案内情報に従って移動した利用者の約65%が案内どおり,または案内よりも早めに目的地に到着することができた.システムの有用性については総じて高い評価が得られた.また,不確実性を含む予測情報であっても一定の確度があれば利用者に十分受容されることも確認した.When train operations are disrupted, it is important to provide passengers with information facilitating the rest of their journey. We developed a guidance system for users to determine whether they should wait for service to resume on the disrupted line, or take a detour route to their destination. Our system arrives at decisions after computing estimated travel times to specific stations in the area where train services are disrupted. We devised a model for estimating the amount of time required to travel between stations in the disrupted area. We have carried out a field test in which users use their cell phones to access the system and learn their route options during a disruption in train services. The result of the test has revealed that this system is effective 窶髏 for example, we have found that approximately 65% of all users taking the advice arrive at their destination at the same time as, or earlier than, the time estimated by the system and approximately 80% of them evaluated the system as useful. We conclude that even though the information represents only possible scenarios, and the degree of certainty is not 100%, it can be accepted and effectively utilized by passengers.
著者
竹内 孔一 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.500-509, 1997-03-15
被引用文献数
11

本論文では日本語形態素解析システムにHMM (Hidden Markov Model)を適応する手法について提案する.日本語では英語と異なり,わかち書きがされていないため,HMMパラメータの初期確率を等確率にした単純な学習では精度が上がらない.よって以下の3つの手法に対するHMM学習の効果について実験を行った.1)初期確率の影響.2)文法制約の導入.3)スムージング.最初の実験から初期確率については少量であっても正確なタグ付きコーパスから獲得することがHMM学習に大きく効果があることを明らかにする.次に文法による制約と確率の再推定におけるスムージング化を行った場合,人手により整備されている日本語形態素解析システムと同等以上の解析精度が得られることを示す.This paper presents a method to apply Hidden Markov Model to parameter learning for Japanese morphological analyzer.When we pursued a simple approach based on HMM for Japanese part-of-speech tagging,it gives a poor performance since word boundaries are not clear in Japanese texts.We especially investigate how the following two information sources and a technique affect the results of the parameter learning:1)The initial value of parameters,i.e.,the initial probabilities,2)grammatical constraints that hold in Japanese sentences independently of any domain and 3)smoothing technique.The first results of the experiments show that initial probabilities learned from correctly tagged corpus affects greatly to the results and that even a small tagged corpus has an enough effect for the initial probabilities.The overall results gives that the total performance of the HMM-based parameter learning outperforms the human developed rule-based Japanese morphological analyzer.
著者
木本 晴夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.886-898, 1999-03-15
被引用文献数
33

感性語を検索入力として 花やブラシペイント画像を検索する感性検索システムの開発と評価について述べる. 感性語はシステムが内蔵する 感性語と配色パターンの対応テーブルによって 配色パターンに変換され 各画像から抽出された代表色パターンとの間で類似度計算をして 類似度順に検索結果を出力する. 検索精度評価においては テキスト検索で確立されている検索精度評価方法を使用するなどして評価方法を客観的 数値的なものとした. つまり 評価用の検索対象画像として 花の写真100枚 ブラシペイント画像100枚の合計200枚を準備して これらに対する検索要求と個々の検索要求に対しての評価用正解データを作成して 画像検索を行ったのち これらの精度評価用データを使用して検索精度の再現率・適合率の評価を実施した. 本論文での新規な結果としては次のとおりである. (ア) 花 ブラシペイント画像を検索対象として 今回作成した評価用正解データベースを使用して検索精度評価をした. 従来は 本論文で示したような評価用正解データベースを用いての検索精度評価はなされていなかった. (イ)感性語とそれに対応する検索正解画像の色解析結果から 感性語ごとに 検索における感性語と色相・彩度・明度の関係を明らかにした。この関係を正解特徴量分布としてまとめた。また この正解特徴量分布は離散データであるので 近傍のデータの影響を計算して連続データに補正した。この補正したデータを領域重み分布データと呼ぶ。従来は 画像と感性語の間の関係をアンケートデータを基にして感性語をベースとして分析したり 画像からの代表色抽出のために色相のみのヒストグラム分析をした報告はあったが 感性語と色相・彩度・明度との関連性を上記のような評価用の正解データに基づいて詳細に分析した報告はなかった。(ウ) 検索のための類似度の計算において 上記の領域重み分布データを使って類似度の補正をした結果 検索精度を大幅に向上できた。This paper describes the image retrieval system whose input search keys are impressional words, such as "refreshing", "bold″and "pretty". The databases for search are a flower image database and a brush paint image database. The input impressional words are translated into color patterns which correspond to the impressional words. An impressional words to color patterns table is used for this translation. Dominant colors are also extracted from each of the images of the databases. The similarity matching is made between these color patterns on the L^*a^*b^* color space. And the system outputs the images in the similarity order. The evaluation of the system is made based on the recall-precision measurement that is frequently used for the evaluation of text retrieval systems. The recall-precision measurement is well established in the field of text in formation retrieval. For the evaluation of the image retrieval systems, a relevancy database was constructed. A relevancy database consists of a database of 200 images from flower image database and brush paint image database, 10 queries expressed by impressional words and the relevancy judgements. The result of the evaluation shows a couple of points. The first point is that this evaluation is the first one that uses the relevancy database, and, as a result, the evaluation is accurate. The second point is that for each impressional words, the degrees of the influence of hue, saturation and intensity of colors were made clear when retrieving the images using impressional words. This was made by analyzing the relevancy database. The third point is that the effectiveness of retrieval was greatly improved by using the results of analysis of the relevancy database. As a result, the relevancy database is very necessary for the image retrieval system.
著者
孫立寧 落水 浩一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.782-789, 1988-08-15

本論文は 複数の動作実体がリンクを介して相互作用するような並行ソフトウェアシステムの動作解析手法について述べたものである・実体(プロセス モジュール等)を拡張状態遷移図で記述し 実体間のリンクの特性を指定した上で それぞれをペトリネット表現に変換し さらにそれらのペトリネット群をまとめて一つのペトリネットに結合'解析し 解析結果を再び拡張状態遷移図 およびリンク表現に逆変換する.VAX11-780上のFranz-lispで解析系のプロトタイプを試作し いくつかの例に適用することにより 本手法の有効性を確認した結果についても述べる.
著者
安村 禎明 秋山 英久 小口 邦彦 新田 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3048-3055, 2002-10-15
被引用文献数
1

本論文では,交渉研究の題材としてモノポリーゲームを取り上げることを提案し,これまでの我々のモノポリーエージェントに関する研究を紹介する.まず,モノポリーの特徴などを簡単に述べ,モノポリーエージェントと人間のプレイヤがネットワークを通して対戦できる電子化モノポリーについて説明する.また,モノポリーエージェントに必要な機能を列挙する.次に,モノポリーエージェントの一例として我々の作成したエージェントを紹介する.このエージェントは期待値に基づく評価関数を用いて資産を評価する.エージェントは交渉による双方の評価関数の増分が等しくなるように交渉案を作成する.このエージェント用いたシミュレーションの結果からエージェントの特徴を分析できることを示した.In this paper, we propose to employ the MONOPOLY game as a subject of a negotiation research, and introduce our study on MONOPOLY agents. First, we briefly describe the features of MONOPOLY, and explain an electronic MONOPOLY that enables agents and human players to play the MONOPOLY game via network. Functions required for a MONOPOLY agent are enumerated. Next, we introduce an instance of a MONOPOLY agent. This agent evaluates player's property by an evaluation function based on expected values. The agent make a proposal that the property increments of both sides are balanced. From the results of the simulation using the agents, we can analyse the agent's character.
著者
天野 美紀 上原 邦昭 熊野 雅仁 有木 康雄 下條 真司 春藤 憲司 塚田 清志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.915-924, 2003-03-15
被引用文献数
11

映像の編集とは,素材映像の中から編集に用いることができるショットを選択し,それらを接続する作業である.これらのショットの接続の仕方は無限に存在する.しかし,作者側の意図することを視聴者に正確に伝えることを目的として編集した場合,ある普遍的な規則が存在する.これを「映像文法」と呼ぶ.本稿では,編集作業を支援することを目的として,映像文法に基づいた自動編集システムを提案する.本システムでは,まず,素材映像からショットの切り出しと,切り出した個々のショットに対して属性値の付与が行われる.次に,映像文法をルール化したプロダクションシステムを用い,推論を重ねることによって,属性値を付与された素材映像集の中から適切なショットを選択し編集を行うようになっている.The video editing is a work to produce the final video with certain duration by finding and selecting appropriate shots from material videos and connecting them.In other to produce the excellent video,this process is generally conducted according to the set of special rules called ``video grammar''.In order to make video grammar applicable,the metadata such as shot size or camera work included in shots have to be extracted and indexed.The purpose of this study is to develop an intelligent support system for video editing system where these metadata are extracted automatically and then the video grammars are applied to them.
著者
湯淺 太一 安本 太一 永野 佳孝 畑中 勝実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.2392-2402, 1994-11-15
被引用文献数
1

SIMD(Single Instruction,Mu1tiple Data)型超並列計算機上で動作する拡張。Common Lisp言語および処理系であるTUPLEについて報告する。TUPLEはSIMD型超並列計算の機能をCommonLispに付加したものである。従来のSIMD型計算機用のLisp言語とは異なり、膨大な数のCommonLispサブセットの処理系が並列に動作するという計算モデルをTUPLEは採用している。この目的のために、ターゲット・マシンの各PF(Processi・Element)は、固有のヒープをその局所メモリに保有する。これらのサブセット処理系を、フルセットのCommonLisp処理系が制御し、ユーザは、フルセット処理系を使って並列プログラムの開発と実行を行う。本稿は、TUPLEの言語と処理系の概要を紹介するとともに、1024台以上のPEを有するSIMD型超並列計算機MasParMP?1におけるTUPLEの実現について触れ、その性能評価結果を報告する。
著者
新地 辰朗 西村 治彦 北添徹郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1592-1600, 2001-06-15
被引用文献数
5

鳥,魚,バクテリアなどにみられるように,動物の群行動には全体の動きを統率する特別な個体が存在しなくても,全体に自律的な挙動が創発されるものがある.本研究では,生態観測結果に基づく魚の行動モデルに従う魚群行動をコンピュータ上に再現し,そこでの広い範囲に及ぶ群行動の特徴を分析する.各尾の位置座標を成分とする時系列データに対してフラクタル解析を適用した結果,軌跡の粗視化パターンの形状比較から視覚的にとらえられる挙動性質をフラクタル次元として定量的に評価することができた.このことは,実際の観測実験においても長時間にわたる観測データが必要であり,その全体の評価を通して動物行動の理解が進むことを示唆している.Some of animals such as birds, fish, bacteria and so on show aggregate movements.These animals' behaviors are autonomous and they will be emerged in spite of the absence of a consistent leader for the entire system. In this study, we simulate fish school movements based on the observation data of real fish movements and try to analyze the characteristics of the autonomous behaviors. With the fractal analyses to the time series of the fish school coordinates, we could quantitatively evaluate the complexity, shown in the visual comparison of trail patterns, as the fractal dimensions. This study suggests the necessity of analyses with the long time observation data to understand further real animals' movements.
著者
吉村 賢治 武内 美津乃 津田 健蔵 首藤公昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.294-301, 1989-03-15
被引用文献数
24

実用的な日本語文解析システムにおいて 入力文中に存在する未登録語の位置や文法情報等の推定は不可欠な処理である.日本語文の解析手順は 形態素解析 構文解析 意味解析などの各解析を段階的に行うものと これらを融合的に行うものとに大きく分類できる.本論文では前者の方式を想定し,形態素解析の段階における未登録語の処理について述べる.本論文で示す形態素解析アルゴリズムは基本的に解析表を利用した横型探索のアルゴリズムであり 入力文中の一文字の漢字 平仮名や英字列 片仮名列を自立語と同等に扱うことにより未登録語の処理を可能にしている.このとき入力文の一文字ごとに自立語辞書を検索するという効率の問題やシステムにとっては正しいが本質的には誤っている膨大な数の解析が発生するという尤度評価の問題が生じる.これに対して本アルゴリズムでは 字種情報に基づいた文節末の可能性と解析の単位に対するコストの付与という二つのヒューリスティック情報を利用している.アルゴリズムの能率は入力文の文字数nに対して時間計算量 領域計算量ともにO(n)である.また このアルゴリズムにより入力文中の未登録語の90.9%を正しく処理できることを実験により確認した.
著者
森下 博 天野 要 四ツ谷晶二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.3337-3344, 1999-09-15

代用電荷法はラプラス方程式の高速で高精度な近似解法として知られている. しかし 調和関数を基本解の1次結合で近似するという方法の原理から ポアソン方程式には適していないと考えられてきた. 最近 この代用電荷法の利点を生かしたポアソン方程式の数値計算法が提案された. その方法は ポアソン方程式の解を特解と調和関数の和に分解し 前者を基本解で表現して数値積分し 後者を代用電荷法で近似する というものである. その有効性は数値実験的にも検証されている. しかし 同時に この方法には特解の数値積分に要する計算量が少なくないという大きな問題が指摘されていた. 特解の数値積分はポアソン方程式の解の精度を決める鍵ともなっている. 本稿では この特解の数値積分の問題に注目して 改良されたポアソン方程式の数値計算法を提案し その有効性を数値実験的に検証する. 具体的には 特解の数値積分法として (1)極座標を導入して対数ポテンシャルがら生じる特異性を取り除き (2)積分領域を境界値がなめらかな範囲で問題の領域を含む円領域に拡張し さらに (3)数値積分公式として 偏角方向には台形公式を 絶対値方向には二重指数関数型数値積分公式 (DE公式) を採用する. 数値実験の結果 実際に非常に精度の高い特解を得ることができる. 最終的なポアソン方程式の数値解の精度も大幅に向上し 計算時間も短縮される. ここで注意すべきは 積分領域の拡張によって台形公式・DE公式という積分公式の優れた特徴が十分に発揮されるということである. この方法の基本的な考え方は3次元問題にも適用可能である.The charge simulation method is known as a rapid and accurate solver for Laplace's equation, in which the solution is approximated by a linear combination of logarithmic potentials. It has been regarded as being unsuitable for Poisson's equation. However, a feasible method was recently presented for Poisson's equation making the best use of the charge simulation method. A particular solution is first obtained by numerical integration of the logarithmic formula. The problem is now reduced to Laplace's equation, which is approximated by the conventional charge simulation method. But, the method requires too much computation in the numerical integration of the particular solution, which is also a key to the accuracy of final results. In this paper, we propose an improved numerical method for solving the Dirichlet problem of Poisson's equation paying special attention to the numerical integration of the particular solution. We (1) remove the singurality caused by logarithmic potential by using the polar coordinate system, (2) extend the integral domain to a disk including the original problem domain, and (3) apply Trapezoidal formula and Double Exponential formula to the numerical integration. The combination of (1)縲鰀(3) results in high accuracy of the particular solution and the final results, and also in a reduction of the computational cost. The basic idea of the method is applicable also to three dimensional problems.
著者
原 正巳 中島 浩之 木谷強
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.299-309, 1997-02-15
被引用文献数
10

従来のキーワード抽出における単語の重要度を決定する手法は 頻度情報や位置情報など個々の単語に閉じた情報を利用していたため 高い抽出精度が得られなかった.本稿では特許明細書を対象に テキストの表層情報を利用して実用的な処理速度を維持すると同時に 特定範囲内での単語の出現の有無を単語の重要度に反映させることで キーワードを高精度で抽出する手法について述べる.まず 特許明細書に特有なフォーマット情報を利用してキーワードの抽出範囲を限定し 不要語の混入を回避した.次に 各抽出範囲ごとに出現する語のみに付与する重要度(範囲内重要度)を新規に導入し 抽出精度の向上を図った.また テキストの内容を把握できるキーワードを獲得するために 文字列の包含関係に着目して 語の意味を具体的に表す語長の長い語を優先して抽出した.プロトタイプを作成し評価した結果 本手法が抽出キーワードの適合率と再現率の向上に有効であることを確認した.Existing keyword extraction methods use only word-specific information such as word frequency and word location in a text in order to decide the importance of the keyword. Since they do not consider relationships among individual keywords, the extraction quality is not satisfactory to users. Our method proposed in this paper using Japanese patents also processes only surface information of the text to extract keywords. The simple mechanism performs keyword extraction fast enough to he used as a practical system. In spite of the simplicity of our method, a high quality of keywords can he obtained by choosing only a few crucial fields from entire patents and by considering word importance in a specific field in the text, based on a supposition that keywords should relate to each other in its context. To help users quickly understand the text with keywords, compound words including a few primitive words are chosen as keywords, since longer words usually have more concrete meaning than a primitive word. Moreover, the text is segmented by a simple algorithm for fast keyword extraction in our prototype system. According to the system evaluation, the proposed method has proved to be effective in improving both recall and precision of the extraction.