著者
前田 康成 後藤文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1608-1616, 2012-06-15

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.従来研究ではRPGが部分的にモデル化されている.本研究では,MDPを用いてより一般的なRPGのモデル化を行う.最初にMDPの真のパラメータ既知の場合に相当するRPGについて,報酬の期待値を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,ベイズ基準のもとで報酬を最大にするアルゴリズムを提案する.次にMDPの真のパラメータ未知の場合に相当するRPGについて,学習データを用いて報酬を近似的に最大にするアルゴリズムを提案する.
著者
伊藤 隆 田中 哲朗 胡振江 武市 正人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3012-3020, 2002-10-15

``しりとり''を完全情報ゲームとして数学的に定義した``しりとりゲーム''を考えると,グラフ上のゲームとしてモデル化することができる.これは完全情報ゲームであるため理論上は解けることになるが,問題のサイズが大きくなるにつれ全探索は困難となる.本論文では,しりとりゲームに関する解析を行い,ゲームを効率的に探索する手法を提案する.この手法は数理的解析,探索の効率化の2つの部分から成っており,数理的解析としてグラフのより簡単な形への変形を行っている.加えて,しりとりゲームにおける先手の勝率に関して実験,考察を行う.
著者
畑 元 小池 英樹 佐藤 洋一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1152-1161, 2015-04-15

本研究では,ユーザに気づかれない視線誘導を目的とした手法の提案を行う.人の視覚の特性から画像の動的な解像度制御を提案する.具体的には,誘導したい領域を高解像度,それ以外の領域を人が気づかない範囲で低解像度にすることで,高解像度領域へと視線の誘導を行う.2つの被験者実験を通して提案手法がユーザに気づかれないで視線誘導を行える可能性が示唆された.
著者
朝日 元生 高嶋 和毅 築谷喬之 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3879-3889, 2008-12-15

本研究では,マウスポインティング時にC-D比が運動特性に与える影響を調査し,適切なC-D比に関する指針を提案することを目的とする.C-D比とはカーソル速度を決定する指標であり,ディスプレイ上のカーソル移動距離に対するマウス移動距離の比と定義される.運動特性とC-D比の関係を調査するために,2段階の実験を行った.実験1では一般的なGUI環境で,実験2では大画面環境でポインティング実験を行った.実験1では効率的なポインティングを行うために適切なC-D比は,0.125∼0.25という結果となり,実験2では0.0625が適切なC-D比であるという結果となった.これらの結果から,ポインティング動作を行う際に動的にC-D比を変更することの有効性が示唆された.また,どちらの実験においても,極端に小さいC-D比条件(0.0625)では,素早くターゲット付近に到達できるが,直感性の低下を招く可能性があり,ポインティング効率(ポインティング時間)と直感性(速度波形の歪み)にはトレードオフの関係が見られた.また,ピーク速度が検出される位置やターゲット突入時のカーソル調整に必要な距離はどちらの実験でもC-D比に依存していなかったことから,ポインティング運動の計画は主にターゲット距離によってのみに決定されることが示唆された.
著者
安斎 祐一 村岡 一信 千葉 則茂 齊藤伸自
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.658-667, 2000-03-15

近年,バーチャルリアリティなどの映像表現のために,動物のコンピュータグラフィックスに関する研究が行われているが,蝶などの昆虫の例は少ない.本報告では蝶の飛翔のリアルタイム表示を目的とした飛翔モデルを提案する.本モデルでは,翅のはばたきによる力によって蝶を飛翔させる.これにより蝶らしい飛翔,すなわち,ひらひら舞う様子を表現でき,モデルのパラメータ調整により実際の蝶の典型的な飛翔形態を表現することができる.
著者
畠山 正行 加藤木 和夫 石井 義之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.2567-2581, 2000-09-15

多様な科学/工学分野のドメインユーザの低いプログラム開発力を向上させるため,ユーザの母国語である自然日本語をベースとしてオブジェクト指向の構造化記述ができるオブジェクト指向記述日本語OODJを分析段階の記述言語として考案・開発した.OODJは自然日本語に対し強い構造記述性を持つオブジェクト指向の枠組みを記述モデルと構文規則の形で導入・設計された.オブジェクト指向記述環境もあわせて設計・実装してOODJに含めた.評価用に記述例を作成するとともに,数人のドメインユーザによる記述実験を行った.その結果,自然言語の持つ強い記述力の上にオブジェクト指向の構造化記述法を確立したことで記述力の高さに対する顕著な向上が認められ,設計の狙いは実現した.そのほか,プログラミング言語フリー,自然言語の範疇であることからくる記述の容易性・高い了解性,日本語一貫記述言語系の一環であることのメリットが認められ,かつ重大な欠点は見出せなかった.他の言語(主としてUML)との比較・評価も行われ改良案も提案された.以上からOODJがドメインユーザにとって十分有用な分析記述言語であることが結論された.
著者
矢入(江口) 郁子 猪木 誠二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.770-779, 2007-02-15

視覚・聴覚・下肢駆動機能の低下した高齢者・障害者の場合,現在の社会環境下では移動に不可欠な認知・駆動・情報入手の3 つの要素行動に問題が生じ,移動に制約や困難がともなう.移動は目的地への到達,気ままな散策など,自立的かつ快適に生活するための手段としてきわめて基本的,かつ必要不可欠な行動であるだけに,移動に制約や困難がある生活は辛い.その対応策として,歩行空間のバリアフリー化のための法制度や設備が国や自治体によって積極的に整備されているが,歩行空間すべてをバリアフリー化することは今後も困難であり,その代替手段として,IT 技術を応用した移動支援への要望が高まっている.このような社会的背景をもとに筆者らは,高齢者・障害者の自立的移動を支援するユビキタスシステム,Robotic Communication Terminals(以降RCT と略記)の研究を1999 年より実施してきた.本稿は,RCT 研究における産業界への技術移転のための具体的戦略と,研究成果の商品化について報告する.
著者
大岩元 高嶋 孝明 三井 修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.772-779, 1983-11-15
被引用文献数
4

日本語入力は 日本のオフィスオートメーションにおける最重要課題の一つであるが タイプライタの使用に慣れないために キーボード入力が必要以上に嫌われている.タッチタイプに関する山田らの研究に基づいて 一般人の使用にもたえると同時に 入力専門家の高速入力にも使える 多ストローク直接入力方式の可能性について検討し 30キー鍵盤を用いた一つの入力コード体系TUTコードを提案する.カナのコードは50音表の「行」と「段」の構造を利用して 体系的に設計してあるので 左手で「行」 右手で「段」を指定することにより 全部で16個のキーだけを用いて 濁音 半濁昔 よう音を含むすべてのカナを入力することができる.したがって 3時間の練習でカナをブラインド・タッチで入力することが可能となり カナ漢字変換の入力を一般人が効率的に行うことができる.漢字は残りのキーを用いて 725字を2ストロークで さらに1 800字を3ストロークで入力する.コードの設計にあたっては 連想は排して 文字の出現頻度と指の動きやすさのみを考慮して行った.とくに2ストローク入力については2字続きの文字組の出現頻度まで考慮したので 熟語が打ちやすいという特長が生まれた.これによって 入力専門家による高速入力が可能になると期待される.
著者
丸山 隼矢 水田 孝信 八木 勲
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.1694-1703, 2019-10-15

近年投資信託のリスクが把握しにくくなっている.なぜならば,投資信託の組み入れ対象となる金融商品の仕組みが複雑になるとともにリスクの大きさが把握しにくくなってきたからである.そこで,投資信託の取引において,投資家が想定外のリスクを負うことを未然に防ぐため,分散投資規制という規制が設けられた.分散投資規制は,1つの資産への投資が過度に集中しないよう,1つの資産への投資額を投資信託純資産の一定割合以下にするものである.これまでに,人工市場を用いて,分散投資規制がファンダメンタル価格急落時に市場に与える影響について分析されている.しかし,金融市場が活況なとき,すなわち,ファンダメンタル価格が急騰するような状況において分散投資規制が市場に与える影響については議論されていない.そこで,本研究では人工市場を用いて分散投資規制がファンダメンタル価格急騰時の価格形成に与える影響について調査した.その結果ファンダメンタル価格急騰時には,ファンダメンタル価格が急騰した資産の取引価格が上昇することが分かった.そして,規制を受けるエージェントの割合が増加するにつれ,その傾向が段階的に弱まり,最終的にはファンダメンタル価格に収束しないことが分かった.また,ファンダメンタル価格急騰時と急落時に関して比較し調査した.その結果,ファンダメンタル価格急落時は急騰時に比べより影響を与えることを確認した.
著者
塚田 浩二 安村 通晃
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3675-3684, 2002-12-15

本研究ではモバイル環境において,手指のジェスチャを用いて情報機器や情報家電機器の操作を実現する指装着型のウェアラブルデバイスUbi-Fingerを提案し,実装および評価を行った.ジェスチャは誰もが利用できる日常的なコミュニケーション手段であると同時に,身体性をともなった直感的な入力が可能であるという利点を持っており,これまでも主にVirtual Realityなどの分野で積極的に利用されてきた.一方,コンピュータの利用分野はモバイル環境やユビキタス環境など,実生活全般に大きく拡大しつつある.Ubi-Fingerはこれらの新しいコンピューティング環境に適した,小型でシンプルなジェスチャ入力デバイスである.我々は実世界のさまざまな機器をシンプルなジェスチャにより直感的に操作できるUbi-Fingerのプロトタイプシステムを実装した.また,具体的なアプリケーションとして,ライトやテレビなど,実世界のさまざまな機器を「指差す」ことで特定し,手指を用いたシンプルなジェスチャで対象の機器を操作できる応用例や,ノートパソコンの入力支援,プレゼンテーション支援などの応用例を試作した.さらに,システムの利用評価を行い,ジェスチャを利用した実世界機器操作の有効性を確認し,本研究の将来的な方向性を示した.
著者
佐々木 宣介 飯田 弘之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.2990-2997, 2002-10-15

本研究では,ゲームのルール変遷の根底にあるゲームの性質の変化に着目し,将棋の歴史的変種を比較する.最初に,ゲームの性質に関する比較を行うための2つの指標を提案する.これらの指標はそれぞれ,ゲームの面白さとゲームの決定複雑性を表すもので,平均可能手数,平均終了手数に基づいて算出される.すでに廃れてしまった将棋種に関しては,コンピュータプレイヤを用意し,それらのデータを採取した.本研究で用いたコンピュータプログラムは駒価値をベースにした評価関数を持ち,先読み探索を行う.各将棋種に対して駒価値を自動学習するために,Temporal Difference学習法を適用した自動対戦の実験を行い,各将棋種に対するデータを採取し,比較を行った.重要な知見として,大駒付加よりも持ち駒使用ルールがルール変遷の過程でより大きなインパクトを与えていること,そして,あまり難しくなりすぎないようにルールが洗練されてきたことが分かった.
著者
梶田 宗吾 天野 辰哉 山口 弘純 東野 輝夫 高井 峰生
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1270-1282, 2019-07-15

本研究では,多数のアクセスポイント(AP)の混在により混雑をきわめる都市部の2.4GHz Wi-Fi環境において,チャネル間の利用周波数重複によるチャネル間干渉の影響を低減するようなAP向けチャネル選択手法を提案する.提案手法により,自律チャネル制御による干渉回避手法の実現と同時に,有限なチャネル資源のより効率的な活用を目指す.対象とするAPにおいて,MACフレーム観測を実施することで各チャネルの利用状況を把握し,これに基づきチャネル切り替えの指標となる通信品質を予測する関数を設計する.予測関数は,トラフィック飽和に基づく分類器と飽和時にどれほど厳しい飽和状態にあるのかを定量化する重回帰式によって構成され,ネットワークシミュレータで作成した訓練データを用いて構築した.大阪市で実際に収集したAP設置情報を用いた評価実験において,提案手法は,ランダムなチャネル選択と比較し,スループットが1.83倍となることを示した.
著者
四倉 達夫 川本 真一 松田 繁樹 中村 哲
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3847-3858, 2008-12-15

声優経験のない参加者が,プロの声優のアフレコした発話アニメーションに近いリップシンク精度で,デジタルアニメキャラクタの発話と同期したアニメーションを体験できる,インタラクティブ発話合成システム<i>iFACe</i>を提案する.iFACeはリップシンクアニメーションを素早く生成するため,参加者から収録した台詞音声のタイミングに合わせてCGキャラクタ発話アニメーションを生成する,プレスコ方式を用いている.本システムは,参加者が選択した台詞情報と台詞に対応した音声を入力とし,雑音環境下でも推定精度の高い音素アラインメントを行い音素と音素継続長を求める.次にさまざまなスタイルのカートゥーンキャラクタにあうキーフレームの作成を行う.出力したキーフレームから,ブレンドシェープアプローチによるGPUを使ったリアルタイム発話アニメーションと音声を同期し出力を行う.本システムは日本科学未来館に5日間のデモンストレーションを行い,主観評価実験から,74%の回答者が,ゲームとして声優体験システムで遊んでみたいと示し,エンタテインメントシステムとしての有効なコンテンツであることが示された.In this paper, we propose a novel interactive lip-sync animation system for entertainment that works with players' voices and transcriptions as input and provides following: Robust speech recognition for a wide range of consumers in noise environments; smoothing lip-sync animation for cartoon characters; and blend-shaped based technique common in CG production real-time lip-sync animation on graphics hardware. We demonstrated and evaluated our system at National Museum of Emerging Science and Innovation (Miraikan) for five days. The evaluated results showed that our system was effective contents for entertainment use.
著者
平賀 瑠美 五十嵐 滋 松浦 陽平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.2391-2397, 1997-11-15
参考文献数
22
被引用文献数
11

計算機による音楽的に表情豊かな演奏を自動生成するための支援環境として,演奏視覚化統合システムを設計,開発した.これは,演奏データ生成を目的とした音楽エディタと見なすこともできる.演奏の解析と生成,および視覚化においては,演奏表情に影響を与える楽曲構造を基本に考えた.演奏の生成に関する音楽エディタとしては,シーケンス・ソフトが広く普及しているが,そこでは楽曲の解釈や音楽的な表情をつけるための道具は不足している.また,楽曲の構造を考慮した演奏データ生成方式は多く存在するが,解釈から生成に至るまでを演奏データの視覚化によりサポートした環境はない.このシステムを用いて演奏解析を行うと,楽曲構造を採り入れたことにより,解析に一貫性と客観性を与えること,また視覚化したことにより,解析判断に確信を与え,演奏表情の定量化を可能にするという利点をあげることができる.演奏の生成においては,対話的に演奏の編集をする際に楽曲構造に基づいた音楽性を与えるためのツールや,演奏の変更において音楽性を保持する機能により,演奏データを扱うユーザの負担の軽減を試みた.システムの評価は,音楽的な演奏生成に役立つかという点を中心に行い,音楽エディタに特化した機能については評価を得たが,ユーザビリティにおいて,いくつかの改善点を指摘された.An integrated musical performance visualization system has been designed and implemented in order to analyze and synthesize musically expressive performance data.The analysis and systhesis are based on music structure,which is a group of consecutive notes who has some meanings on music interpretation.In the area of musical performance generation,many researches adopt the concept of music structure in some sense.Although sequencer is a widely pervaded software for generating musical performance,it is not the most suitable software for music rendition especially for classical music,because it does not pay much attention to music interpretation or the generating process a score to its performance.The performance analysis on our system can be given uniformity and objectivity in terms of music structure,in addition to confirmative and quantitative description by performance visualization.The system allows users to edit performance data interactively.Here some tools based on music structure and some limitation functions are provided in order to prevent the edit of data from destroying musically plausible performance,or even positively to give data musically impressive or artistic expression.The edited data are performed during the display of a visualized figure.The system is evaluated on the basis whether it is usable to generate musical performance data.It has received so far good evaluation for special functions as a music editor,while some problems on usability have been pointed out.
著者
井手 広康 奥田 隆史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2044-2053, 2018-11-15

全自動麻雀卓とは「すべての牌を裏向きにしてかき混ぜ,それらを牌山に積み上げる」という作業を,プレイヤの代わりに自動で行う麻雀卓のことを指す.しかし全自動麻雀卓における牌の撹拌手法(牌のかき混ぜ方)には一定の規則性があるため,牌に偏りが生じている可能性があると従来より指摘されている.そこで本研究では,マルチエージェントシミュレーションを用いて全自動麻雀卓をマルチエージェントモデルとして表現し,シミュレーション結果から牌の撹拌率(牌の撹拌の度合い)について分析した.さらに実機による実験結果との比較を行い,マルチエージェントモデルの妥当性について検証した.An automatic mahjong table is a table which has two functions of agitating all tiles and stacking them up automatically. However, it is pointed out for a long time that there is a possibility that tiles are biased because of certain rules to agitate tiles on automatic mahjong tables. Therefore, in this study, we modeled an automatic mahjong table using multi-agent simulation, and analyzed the degree of bias of tiles in the automatic mahjong table. Furthermore, we veried the validity of the model by comparing two results of an actual machine and a multi-agent simulation.
著者
北原 鉄朗 勝占 真規子 片寄 晴弘 長田 典子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1067-1078, 2009-03-15
被引用文献数
1 1

本論文では,ベイジアンネットワークを用いたコードネームからの自動ヴォイシングシステムについて述べる.ヴォイシングは音楽的同時性や音楽的連続性を考慮しながらテンションや転回形を決定する必要があり,自動的に決定するのは容易ではない.この問題を解決するため,メロディやヴォイシング進行を考慮した事例学習型のコード&middot;ヴォイシングモデルを構築する.このモデルでは,音楽的同時性と連続性を,「現在のコード」のヴォイシングを表すノードとメロディや前後のコードのヴォイシングを表すノードとの確率的な依存関係として表現する.このモデルにおいて最ももっともらしいヴォイシングを確率的推論によって導くことで,音楽的同時性と連続性を両方満たすヴォイシングを得ることができる.実際にジャズの楽譜から学習したヴォイシング推定モデルによって実験したところ,音楽的同時性と連続性を両方満たすヴォイシングが出力されることを確認した.This paper describes an automatic chord voicing system using the Bayesian network. Automatic chord voicing is not easy because it is necessary to decide tension notes and inversions by taking into account both musical simultaneity and sequentiality. To solve this problem, we construct a chord voicing model based on the Bayesian network. This model represents musical simultaneity as probabilistic dependencies between voicing and melody nodes and sequentiality as probabilistic dependencies between current-chord and previous- or followingchord voicing nodes. This modeling makes it possible to infer the most likely voicings that have both simultaneity and sequentiality. Experimental results of chord voicing for jazz musical pieces showed that our system generated chord voicings that have appropriate simultaneity and sequentiality.
著者
上田 博唯 小林 亮博 佐竹 純二 近間 正樹 佐藤 淳 木戸出正継
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.87-97, 2006-01-15
被引用文献数
10

ユビキタス環境における対話型ロボットインタフェースの対話戦略を提案する.近い将来,ユビキタス環境は多種多様なホームサービスをユーザに提供すると期待されている.しかし,サービスの複雑化・多機能化にともない,用意されたすべてのサービスをユーザが把握することは困難となる.そこで,この課題を解決するために,ユーザの状況理解を補助し,サービス実行のきっかけとなるユーザ発話を誘導することができる,連想しりとり型対話戦略を提案する.この対話戦略は,ユーザが何気なく発話したキーワードをもとに関連する知識をしりとり的にユーザに提供することで,サービスのきっかけとなる発話をユーザから誘導する.ロボットは木構造で表現された知識を持ち,関連のあるキーワードを連想する.音声対話システムを試作し,対話のみを行う評価実験と実際にユビキタス型住宅での生活実験の中での評価実験を行った結果,連想しりとり型対話戦略の正当性を確認することができた.This paper presents a new dialog-strategy for an interactive robot interface in home network (so-called ubiquitous environment). In this environment the users can receive more intelligent services provided by many networked appliances. However it becomes more difficult for users to understand the whole services. In this paper we propose the associative shiritori dialog strategy. An interactive robot continuously tries to obtain a keyword that triggers the service through the shiritori like word game the conversation with the user. In this dialog-strategy, the interactive robot has the tree-structured knowledge that consists of keywords that are associated with the real world and services. Using this tree-structured knowledge, the robot chooses a matched keyword in the user's previous talked sentence. Then the robot construct the next utterance by using the tree-structured knowledge. By this mechanism, the robot can obtain the user's needs while the user feels that he/she has a natural conversation with the robot. We developed an interactive robot dialog system to evaluate our proposed strategy. Through the experiment, the robot showed its ability to obtain proper key words that trigger the meaningful services.
著者
松浦 悠 小泉 直也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.318-327, 2019-02-15

本論文では,水中および水上に直立表示した映像を,素手で水ごとすくいあげることのできるシステムScoopiritを提案する.古来より水は空間設計に欠かせない重要な物質である.情報技術が発達した現代では,公共空間の水辺におけるインタラクティブな視覚表現システムが多数存在するが,ユーザが直接水に触れて情報を操作することは実現されていない.筆者らは,空中に結像した映像である空中像を表示する光学系に,反射素材として水面を導入した.また水面の高さを超音波センサによりトラッキングし,素手で映像をすくい上げるインタラクションを可能とした.
著者
奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.739-753, 1994-05-15
被引用文献数
8

二分決定グラフ(BDD)で組合せ問題の全解を同時に求めることを検討する。この問題での課題は、計算途中で生じる組合せ的爆発を避け、同じ計算機資源のもとでできるだけ大きな問題が解ける手法を開発することである。従来から知られていたBDDの問題点は、最終ノード数を最小にする最適変数順序を求めることである。本稿では、組合せ問題にBDDを適用する場合には最大ノード数が重要であること、および、それが変数順序だけでなく制約組合せ順序の影響を受けることを指摘する。次に、最大ノード数を最小にする制約順序と変数順序の最適解を見つけるアルゴリズムCCVOを提案する。さらに、最大ノード数が大き過ぎて計算ができない場合には、オンライン版分割統治法を使用する解法を提案し、その分割ヒューリスティックを提案する。これらの手法により、12?Queensを128Mbyte主記憶で解くことができ、また、分割統治法により13?Queensと4次の魔法陣を解くことができた。二分決定グラフでは途中結果がすべて保存されているので、オンライン型分割統治法による解法は、オフライン型分割統治法よりも高速である・
著者
鈴木 直人 廣井 富 千葉 祐弥 能勢 隆 伊藤 彰則
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.2177-2189, 2015-11-15

本研究では,音声を用いた英会話の学習が可能なコンピュータ利用言語学習(Computer-Assisted Language Learning, CALL)システムを提案する.特に,英会話学習における学習者の応答タイミングに着目する.一般的に学習段階において応答タイミングは適切なものに比べ遅くなりがちであるが,システムとの英会話では応答タイミングを意識しにくい.そこで対話相手としてCGキャラクタを導入し,応答を要求する表現であるタイムプレッシャー表現を付加する練習方法を提案する.CGキャラクタの有無,タイムプレッシャー表現の有無のほかに,短期間での繰返し練習,および期間をおいた練習を通じて,提案手法の有効性について論じる.