著者
近藤 龍司 土肥 真人 柴田 久
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.669-672, 1999-03-30
参考文献数
4
被引用文献数
1

本研究は,日常から非日常への心理的変化とそれに及ぼす環境の影響を把握する事を目的とする。東京ディズニーランドの来訪者を被験者として,性別,年齢,利用交通機関などの被験者の属性および出発点から終着点までの10の場面毎の日常-非日常の心理的変化を聞き取り,共分散構造分析を用いて被験者属性と場面特性との因果解析を行った。本論の分析,考察より,被験者の約9割がディズニーランドを非日常空間として認識し,被験者の約7割は物理的環境からの直接の影響により非日常への心理的変化が喚起されている事が明らかになり,被験者の個人属性,物理的環境からの影響の有無,心理的変化の場面特性の因果関係を定量的に把握した。
著者
永橋 為介 土肥 真人
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.213-216, 1996-03-29
被引用文献数
2

わが国でも都心部の公園は野宿者の生活場所として利用されており,公園管理者との間に摩擦を生じている。本稿は,この事例として大阪市天王寺公園を取り上げ,都心部における野宿者と都市公園管理に関わる問題を整理,把握し検討することを目的とした。同公園に関する野宿者への聞き取り調査を実施し,同公園の野宿者に関する管理方法を公文書,新聞などから概観し,1990年の有料化が野宿者排除に与えた影響を考察した。その結果,同公園の管理方法は野宿者問題と公園を切り離すことには成功したが,排除された野宿者は外周柵の外に多く存在し,依然として同公園周辺地域の問題として現存していることが明らかになった。
著者
大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.329-333, 2000-03-29
参考文献数
6
被引用文献数
4 2

横浜市の代表的な谷戸を活かした農的空間(寺家ふるさと村・舞岡公園)において、春季における利用実態および利用者意識の調査を行った。利用者数は,連休期間の最終日が最も多く,3,000人以上/日であった。アンケート結果によると利用圏は概ね10km圏域であり,特に隣接2区からの利用者割合(約60〜65%)が多くなっていた。利用者の多くは、谷戸地形独特のランドスケープに即した農的景観・自然を楽しむレクリエーション形態であった。谷戸を活かした農的空間は,幅広い層の都市住民に多目的に活用される都市緑地として意義深く,地形的にまとまった形で谷戸を保全することが望まれる。
著者
小野 佐和子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.365-370, 2002-03-30

柳沢信鴻の時代,六義園では,土筆・茸・栗などの採取が楽しまれ,採取された庭の産物は,自家消費の外,贈答品として用いられた。本稿では,柳沢信鴻の『宴遊日記』をもとに,庭の産物のやりとりの様態を明らかにする。庭の産物は,親族や趣味を同じくする仲間といった身近な人々に贈られ,その贈答は偶然性と恣意性のもとにある点で年中行事や儀礼に伴う贈答品と異なる。信鴻自身の採取・収穫物,季節のしるし,興趣の対象,園の自然の豊かさの現れであることに,庭の産物の贈答品としての特徴を認めうる。庭の産物を贈ることは,贈る相手との間に親密さを作り出すと共に,信鴻が,園の自然の豊かさの分配者であり,園の掌握者であることを示した。
著者
栗田 英治 横張 真
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.589-594, 2001-03-30
被引用文献数
2 2

ゴルフ場が里山地域の生物多様性保全上,果たし得る役割を,景観及び群集・生態系レベルでの多様性という面から解明し,管理指針を検討した。景観レベルにおける土地利用履歴の解明の結果,ゴルフ場の履歴が様々な施業段階にある里山林であったこと,施業初期段階にあたる草地的な緑地空間が失われたことが分かった。群集・生態系レベルにおける植生および管理状況の調査の結果,コナラ林を中心とした森林の環境は,残置森林としてゴルフ場開設後も確保されたことが明らかになった。今後,残置森林,ラフ等の管理にあり方に検討を加えることにより,ゴルフ場が景観及び群集・生態系レベルでの多様性を保全しうる可能性が示唆された。
著者
浅野 智子 土肥 真人 野嶋 政和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.257-260, 1996-03-29
参考文献数
5
被引用文献数
1

1995年1月17日の阪神・淡路大震災により,阪神淡路地域の住民は大きな被害を被った。本稿では,まず被災地における街-コミュニティーの再生への取り組み事例として,神戸市須磨区須磨浦通6丁目を取り上げ,同年4月から9月にかけて行われた住民集会の経過を概観する。そして被災地復興への問題と可能性を考察する。本研究の結果,4回の住民集会により,須磨浦通6丁目の住民が抱えている諸問題が具体的に把握されたこと,当地区の住民が震災からの街-コミュニティーの再生に,主体的に取り組む姿勢を有していること,そして一方で住民の主体的な取り組みを支えるための各種制度の整備,適用が未だ不十分であることが明らかになった。
著者
竹田 直樹
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.461-464, 2001-03-30
被引用文献数
1

本報は,計画的な彫刻設置事業が展開する以前すなわち1950年代の初期的な設置事業を分析の対象とし,それらの事業の目的や性質について調査と分析を実施するものである。結果として,1950年代の彫刻設置事業は,戦後の新しい社会的価値観や平和主義あるいは自由主義というような新しいイデオロギーを賛美することを目的とすることが多かったこと,それまでになかった男女の裸像が出現したこと等が明らかになった。したがって,これらの設置事業は戦前の銅像と近年の計画的な彫刻設置事業の双方の性質を合わせ持つということができる。両者の変遷期における中間的な性質もつ設置事業であったと考えられる。
著者
岡田 昌彰 ヤニッキー アンドレア 中村 良夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.601-606, 1997-03-28
被引用文献数
4 1

同化が主流のテクノスケープデザインに対し,その視覚像を自己言及させる「景観異化」の解釈法を提示した。既に理論の確立している詩的言語論に依拠し,「自動化された対象の活性化」なる異化の理念を手掛がりとし,キュビズム,ミニマルアート,ランドアートの美術,及び枯山水庭園にみるデザイン手法を景観異化手法として分析・整理した。その結果,単純化,空洞化,輪郭破壊,フレーミング,遊離化,コラージュ,反遠近構図などの手法を提示した。さらにこれらを分類整理し,言語における異化の理念と景観異化理念との対応を確認し,それぞれの景観異化をテクノスケープにおいて実現させるための留意すべき特性として,その解釈例を示した。
著者
愛甲 哲也 留目 未沙子 浅川 昭一郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.703-708, 1999-03-30
被引用文献数
4

山岳性自然公園では,利用に伴う様々なインパクトが指摘され,その管理には登山者の認識の理解が不可欠である。本研究では,大雪山国立公園の登山者を対象に,インパクトに対する登山者の認識排泄行為の実態と今後の屎尿処理のあり方に対する態度を調査した。その結果,屎尿処理に関して不快感と対策の必要性がともに高く認識され,インパクトの認識が高い回答者ほど登山経験が多く,長期の縦走をしていた。山中での排泄行為と今後の屎尿処理に対する態度は性別や登山形態,インパクトの認識により異なり,女性または登山経験が多く,インパクトの認識が高い回答者ほどトイレ整備のための経費の負担や屎尿の持ち帰りに同意する傾向がみられた。
著者
土肥 真人
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.29-32, 1995-03-31
被引用文献数
1

本論は江戸から東京への変動期にみられる都市オープンスペースの形態的変化を,社会的な意味生成の場としてのオープンスペースという観点から検討することを目的とする。江戸の社会は,制度的空間的に各町を構成単位としていたことから,オープンスペースは各構成単位の狭間の空間として自らを表していた。そこはまた大道芸人たちが宗教的色彩の濃い諸芸能を披露する舞台であり,意味的には中世以来の〈定住-漂泊>の関係がみられる。本論の考察の結果,明治初期の東京で実施された各種芸能の禁止,統制等の文化政策は,オープンスペースの形態的変化,社会的諸制度の変化と密接に絡みつつ,江戸の意味的世界観を変更することが明らかになった。
著者
西村 公宏
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.431-436, 1997-03-28
被引用文献数
1

明治期,大正前期における東京帝国大学本郷キャンパスの外構については,下記の2点が指摘できる。1.明治前期においては,既存庭園の改修が主体であり,営繕掛西郷元善や内科教授ベルツ等が関係しているが,ケヤキ並木等,複数の庭園を並木で結ぶ手法も見られる。2.明治後期,大正前期では,外構の継承と拡充がなされているが,これらは,浜尾新,本多静六等により進められ,学生が学業に親しめる環境がイメーシされている。特にクスノキ並木(1903)やイチョウ並木(1906)は,東京帝国大学における造園学の成立期に実現した造園事例としても位置付けられる。
著者
飛田 範夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.357-360, 2000-03-30
被引用文献数
1

江戸時代の大坂の植木屋の中で,高津の吉助は江戸の植木屋と並ぶほど大規模なもので,天満天神と下寺町と北野寺町は社寺の参拝客を対象にしたものだった。新町は遊廓の中で季節的に店を出し,道頓堀や難波新地の植木屋は遊興の客を相手にしていた。人か集まる場所であることと植木を仮植できる土地があることが,植木屋が店を設ける条件になっていたと言える。せり市を開催して全国各地に出荷したり,株仲間を形成したことも繁栄した理由だろう。供花や生け花用の草花は,南御堂前や天満天神周辺などのような人が多く集まる場所で販売されていた。玉造が草花の生産地になっていたのは,鮮度を保つ上で大坂近郊であることが必要だったからだろう。
著者
小林 昭裕 愛甲 哲也
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.723-728, 2001-03-30
参考文献数
10
被引用文献数
6 1

人込み規制として車両規制されている知床カムイワッカを対象に,実際の遭遇人数や利用動態を把握する手法上の課題を整理するとともに,混雑感や利用者相互の遭遇に対する許容限界,混雑に対する利用者の対処について検討した。混雑感は遭遇人数に左右されたが,期待や利用状況への不快感や車両規制への評価の影響が強かった。混雑に不快感を覚える許容限界への回答率は低く,許容限界の人数は,遭遇人数や混雑感と関連しなかった。混雑への対処として,雑踏を不快に感じる傾向の強い利用者では,これを回避する意識や行動の変化が確認された。
著者
藤沼 康実 青木 陽二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.181-183, 1998-11-30
被引用文献数
1 2

冬季の自然風景地の利用としてスキーは重要な活動である。スキー場の利用者数の変動を知ることは,冬季における自然風景地を管理する上で,混雑による不快や過剰利用による自然の破壊,毎日のゴミ処理量や駐車場の必要量などを知る上で大切である。日光国立公園における奥日光湯元スキー場のスキー客数と駐車場の利用台数の変動について,休日のような社会的要因と気温や積雪のような自然的要因の影響について分析を行なった。その結果,1,2月と日祝日,土曜日に利用が多くなることがわかった。また,積雪や気温,湿度などの気象条件も有意に影響していることが分かった。
著者
古谷 勝則
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.669-674, 1998-03-30

人が風景を体験し,強い感動を受けるような思い出に残る自然風景を調査した。一般社会人にアンケートを送付して183名から回答を得た。体験年齢,視点場と視対象,体験した状況を整理・分析し,以下の成果が得られた。1)視点場は,山頂や海岸,草原だけでなく,道路や展望台,橋も重要である。2)視対象の構造は,対象物の空間分布を視知覚で認識しているのに加え,時間や季節の変化要因が自然風景に彩りを加えている。3)季節は夏と秋が多く,体験時間は午前中に72%が体験している。空は晴れていて,陽射しが強く,明るい場合に,感動することが多い。一方,朝や夕方の風景も感動することが多い。温度や風の影響は少ない。
著者
佐藤 治雄 狩屋 桂子 前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.109-112, 1996-03-29
参考文献数
10
被引用文献数
1

時代及び年齢成長にともなう身近な景観や生活の変化が住民にどのように認識評価されているのかを把握する目的で,琵琶湖湖岸2集落(滋賀県中主町野田,能登川町乙女浜)でアンケート調査を実施した。生活体験の変化パターンは調査項目により様々であったが,牛の飼育など2,3の項目を除き,両調査地間に大差はなかった。また,五右衛門風呂に入った,自家用車があるなど多くの項目で高度成長期を境に急激な変化があった。過去の大規模事業として圃場整備,内湖の干拓,河川改修などをあげる人は若年齢層より高齢層の方が多かった。調査結果には生活体験,景観の変化が大規模事業の進捗など社会情勢の変化と密接に関連しつつ現れている。
著者
延藤 二三子 李 樹華
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.375-380, 2003-03-31
参考文献数
31

The former EZUKADAN(SUNATORI-TEI) garden remains exist in SUIZENJI-EZUKO Park in Kumamoto City. A few books introduce this garden as a valuable site built in the late Edo-era in Kumamoto. The prefectural government that is responsible for managing the park does not treat it as a historic Japanese garden. The records on this garden are few, and some of them have fragmentary descriptions. A lot of facts of the garden are unknown and unclear. This paper is a summary of many information sources about the building period, the characteristics of the garden, and the transition of ownership. This information will aid the preservation or conservation of the garden. Through interviews, literature study and observation of the garden, the major results of this study are: 1) it is highly likely that the garden was originally owned by Higo-Hanshu, in the Edo-era, and, 2) the subsequent ownership history of the garden was identified.