著者
鈴木 茂之 松原 尚志 松浦 浩久 檀原 徹 岩野 英樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.Supplement, pp.S139-S151, 2009 (Released:2012-01-26)
参考文献数
35
被引用文献数
1 4

吉備層群(いわゆる「山砂利層」)は,ほとんど中~大礫サイズの亜円礫からなる,谷埋め成の地層である.時代決定に有効な化石は得られず,更新統とされていたが,稀に挟まれる凝灰岩層を対象とするフィッション・トラック年代測定によって,地層の定義や対比が行えるようになってきた.いくつかの堆積期があることが分かってきたが,岩相では区別しがたく,地層区分は高密度の踏査による地層の追跡が必要である.各層の基底は,地層を構成する礫を運んだ当時の河の谷地形を示す.この復元された古地形は,底からの比高が150m以上に達する深い谷地形である.これは一般的な沈降を続ける堆積盆に形成された地形より,むしろ後背地側の地形である.すなわち吉備層群には,一般的な沈降する堆積盆の地層に対する区分や定義の方法とは異なる,新しい取り組みが必要であり,堆積の要因についても考えなくてはならない.これらは案内者一同を悩ませ続けている課題であり,見学旅行を通じて議論をいただきたい.
著者
成田 敦史 矢部 淳 松本 みどり 植村 和彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.131-145, 2017-03-15 (Released:2017-06-15)
参考文献数
35
被引用文献数
2

北海道北部の下川町上名寄に分布する中部~上部中新統パンケ層から33分類群より構成される大型植物化石群(上名寄植物群)を得た.パンケ層の堆積相解析と植物化石の組成,産状を基に上名寄植物群の示す古植生を復元した.上名寄植物群の示す古植生は,カツラ属やAcer subcarpinifolium(カエデ属),トウヒ属が優占する河畔植生,トクサ属やタケ亜科単子葉類,トウヒ属,ヤナギ属が優占する後背湿地植生,カツラ属やヤナギ属,フジキ属が優占する湖岸植生,湖周辺ではあるがブナ属優占の山地斜面のブナ林が強調された植生の4タイプの植生を認めた.上名寄植物群の組成的特徴は後期中新世~鮮新世前期の三徳型植物群と言える.堆積相と化石の産状から,上名寄植物群の主要構成種は,それらの近似現生種と同じ生育環境と考えられる.したがって,生態的に現在の植生に対比可能な群集が少なくとも北海道においては,中期中新世後期~後期中新世に成立していたことを示している.
著者
宇野 康司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.967-981, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
110
被引用文献数
1

西南日本に分布する三畳紀・ジュラ紀層状チャートのこれまでに蓄積された古地磁気データについて,その微弱な初生磁化からどの程度の精度で過去のプレート運動や堆積場の古緯度が読み解かれるかを議論し,また,チャートが記録する二次磁化についての情報を整理した.これまでに報告されているチャートの初生磁化方向の極性判断を行い古緯度を求めた結果,三畳紀中期には赤道付近で堆積していたことが示された.チャートはその後,南中国ブロックの東縁に付加した可能性が高い.西南日本のチャートは複数の二次磁化成分を記録しており,磁化の獲得機構による分類では粘性残留磁化,熱粘性残留磁化,および化学残留磁化の三種類が存在している.このうち熱粘性残留磁化と化学残留磁化はそれぞれ,西南日本の600km離れた二つの地域間における類似性がみられ,広域的な二次磁化であることが示唆される.
著者
上松 佐知子 鎌田 祥仁
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.951-965, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
179
被引用文献数
2

本論文では放散虫とコノドント化石に関する過去25年間の研究成果を振り返る.放散虫生層序学分野では,中期古生代から中生代までの多くのデータが蓄積されると共に,化石帯の分解能が大きく向上した.コノドント化石は90年代以降,特にペルム系と三畳系の各階境界を定義する国際的な示準化石として重要性が増している.今後は放散虫とコノドント生層序の相互較正,更に生層序と年代測定学的尺度との対比を積極的に行っていく必要がある.生物学的研究については,放散虫の系統解析や生体飼育に関して我が国から多くの研究が発信され,知見が蓄積された.また付加体地域からは三畳紀コノドントの良質な標本が多数報告され,コノドントの古生物学的研究に貢献している.今後はこれらの研究を更に発展させると共に,微化石研究の一般への普及および次世代を担う若手研究者を育成していくことが重要である.
著者
山本 由弦 大田 恭史綜 小川 勇二郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.XVII-XVIII, 1998 (Released:2010-12-14)
参考文献数
4
被引用文献数
2 3

デュープレックス構造は, サイスミックプロファイルなどに表れることもあるが, 露頭観察やマッピングによって, 陸上でも認められる構造である. その基本形態は, 衝上断層によるものの場合はroof thrustとfloor thrustに挟まれた領域で, ある特定の地層がそれに対して低角な衝上断層によって繰り返して覆瓦状構造を形成するものである. またデュープレックス構造は, 付加体の比較的深部での底づけ作用によって形成されると考えられ, 付加体の指標になりうる構造として考えられている. これまで日本では, 露頭サイズのデュープレックス構造の報告例は, Hanamura and Ogawa(1993), Ogawa and Taniguchi(1996), Ujiie (1997)などを除いてほとんどなかったが, 筆者らは三浦半島南端部の三浦市海外町から浜諸磯にかけての海岸沿いの三浦層群下部の三崎層(中新統上部~鮮新統下部)からいくつかの典型例を見いだした. それらのうちのいくつかは, Hanamura and Ogawa(1993)によって報告されている. これらのデュープレックス構造は, ゆるく北方へ傾斜する特定の層準(厚さ約数10cm)内部に限られて発達する. 今回, この地域におけるデュープレックス構造の形態的多様性, フェルゲンツなどが明らかになった. 3次元的な露頭観察により, この地域のデュープレックス構造は, 1か所を除いて, すべて南南東~南東フェルゲンツであることがわかった. Kanamatsu(1995)による古地磁気学的研究によると, この地域の三浦層群は時計回りに約20度回転しているので, もともとのフェルゲンツは南東ないし東南東であったと考えられる. これは, デュープレックス構造形成時の, フィリピン海プレートの沈み込みの向きに制約を与えるものとして, この地域のテクトニクス解明に非常に有用なものとなろう.
著者
田近 淳 大津 直 乾 哲也
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.23-35, 2016
被引用文献数
11

北海道,厚幌1遺跡で発見されたマウンドについて,トレンチ壁面の観察・記載から地すべり移動体であることを示し,その運動過程を検討した.マウンドは,主に樽前d降下火砕堆積物(Ta-d:8-9ka)起源の軽石層・岩片層・腐植層から構成され,Ta-d上位の腐植層を覆い,樽前c降下火砕堆積物(2.5-3ka)に覆われる.縦断方向の壁面では,マウンド堆積物の下底に腐植およびそれとロームの混合層からなる非対称変形構造やデュープレックスが認められた.また,堆積物にはリストリック正断層に類似した非対称伸長構造が見られた.これらのセンスはマウンドが背後の山腹から移動して定置したことを示す.このような未固結で成層した火砕物の地すべりは地震動によって引き起こされたと考えられる.<sup>14</sup>C年代と層序関係から,このマウンドを形成した地すべりの発生は補正年代で約4,600yBP以降から約2,500yBP以前までの間である.この年代は石狩低地東縁断層帯馬追断層の最新活動期と重なる.
著者
山元 孝広
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.94-110, 2005 (Released:2005-06-10)
参考文献数
20
被引用文献数
7 9 5

吾妻火山の最新の活動で形成された小富士や五色沼などの火口群を,吾妻-浄土平火山,その噴出物を吾妻-浄土平火山噴出物と呼び,その層序,形成年代,噴出量,化学組成を明らかにした.吾妻-浄土平火山噴出物は土壌層を挟んで大きく12ユニットに分けられ,安山岩質のブルカノ式降下堆積物を含むものが5ユニット(下位から桶沼,五色,小富士,一切経,大穴),水蒸気爆発降下堆積物のみからなるものが7ユニットである.桶沼ユニットでは6.7 kaに約5×10-4 DRE km3,五色沼ユニットでは6.3 kaに約3×10-4 DRE km3,小富士ユニットでは5.9~4.8 kaの期間に約4×10-1 DRE km3,一切経ユニットでは4.3 kaに約2×10-4 DRE km3,大穴ユニットでは0.6 kaに約8×10-5 DRE km3のマグマが噴出している.浄土平火山噴出物の本質物はSiO2含有量56.8~59.7 wt%の安山岩と60.7~62.8 wt%の灰色デイサイトからなり,各々の組成は噴出源によらず岩系ごとほぼ一貫した組成特性を示す.このことは火口群のマグマ供給系は約7千年間基本的に不変であり,ここから上昇したマグマが岩脈として側方に広がって,噴火ごとに噴出地点が異なったことを示唆している.
著者
本山 功 丸山 俊明 五十嵐 澪 江口 瑞紀 須藤 めぐみ 鈴木 政文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.7, pp.517-532, 2018-07-15 (Released:2018-08-18)
参考文献数
41
被引用文献数
1

能取湖北部に分布する呼人層から抽出した放散虫化石と珪藻化石に基づいて,湖口の東西(西ルートと東ルート)の対比を行った.両化石データを総合すると,西ルートと東ルートの呼人層の年代は,それぞれ11.4~6.5Maと7.0~3.5Maと見積もられた.これは,西ルートの珪藻質堆積物の上部の大部分は層序的に東ルートの硬質泥岩相(能取層)に相当すること,また,西ルートの珪藻質堆積物の下部は能取岬の網走層の火山岩類に相当することを示している.このうち呼人層と能取層の同時異相関係は,シリカの相転移を伴う続成過程の地域差を反映していると考えられる.また,珪藻データは,呼人層中部の砂岩層の層準に不整合が存在することを示している.不整合層準よりも上位の地層から放散虫および珪藻の誘導化石と硬質泥岩礫が産出することを考慮すると,10Ma頃を境に後背地が侵食域へ転じたことが推定される.
著者
竹村 静夫 竹村 厚司 植野 輝 菅森 義晃 古谷 裕
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.2, pp.117-125, 2018-02-15 (Released:2018-05-30)
参考文献数
38
被引用文献数
2

中~後期ペルム紀に形成されたと考えられる超丹波帯上月層は,その一部にデボン紀のチャート層を含むことが判明した.このチャート層は玄武岩類とともに産し,磁鉄鉱の濃集層を頻繁に挟在する.磁鉄鉱濃集層を含むチャートからは,放散虫化石Holoeciscus foremanaeなどが産出し,その年代は後期デボン紀Fammenian期である.これは中国地方から産する化石として最も古い年代であるとともに,日本列島の付加体中に含まれる異地性岩体としては,東北地方の根田茂帯のチャートとならんで最も古いことを示す.
著者
河村 博之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.1, pp.27-44, 2010 (Released:2010-05-29)
参考文献数
74
被引用文献数
5 7

山口県西部の田部盆地南部に分布する豊浦層群は,下位より東長野層,西中山層,歌野層,および歌野層と一部同時異相の阿内層(新称)から構成される.最近,海生動物化石を含む歌野層と植物化石を多産する阿内層とは不整合関係にあり,阿内層は豊西層群清末層の一部層とされた.しかし,歌野層と阿内層の境界を画する礫岩層は,海底で堆積した重力流堆積物であること,また,植物化石に富む阿内層下部と生物擾乱の顕著な歌野層最上部の漸移関係が認められることから,両層は一部同時異相の関係にあることが明らかになった.歌野層から阿内層に至る堆積環境は,時間・空間的に内湾のプロデルタスロープからファンデルタスロープへと推移する一連の海退期の堆積相を示すと考えられる.阿内層の年代は,年代の知られている植物群との対比,および豊浦層群の上限年代がCallovianを示すことからBathonian-Callovianと考えられる.
著者
平賀 岳彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.379-390, 2017-06-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
37
被引用文献数
2

ファインセラミックス合成とその物性を参考にした,岩石を模擬した人工ファイン岩石を用いた研究を総括する.まず,天然の岩石とファインセラミックスの粒界において,共通な構造と偏析が存在していることが示される.また,その粒界の移動した結果(粒成長)生じる,相(鉱物)間の粒径の関係,ゼナー則が成り立っていることが分かった.初期条件(化学組成等)や形成条件(時間,圧力等)が極めて異なる両者において,その微細構造は相似の関係が成り立っている.人工ファイン岩石の超塑性の発現とその変形微細構造が,マイロナイトやマントル岩を含む変成岩の構造と比較され,粒界すべりに伴う,同相粒子集合化構造,変形誘起粒成長および結晶軸選択配向が議論される.ファインセラミックスと岩石のアナロジーの本質は,「共通な」粒界による「共通な」粒界現象にある.決定的に知るのが困難な岩石形成プロセスの理解において,今後も人工ファイン岩石を用いた実験的研究の重要性は増すだろう.
著者
井村 隆介 石川 徹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.Supplement, pp.S155-S164, 2014-08-31 (Released:2014-12-26)
参考文献数
16

霧島山は,南九州の鹿児島・宮崎の県境に位置する,第四紀の複成火山である.本コースでは,2010年に日本ジオパークネットワークに登録された霧島ジオパークのジオサイトを巡りながら,霧島山の噴火史や2011年1月に始まった新燃岳(しんもえだけ)噴火について紹介する.巡検では,まず,麓から霧島火山全体の地形や生い立ちを学び,その後,高千穂河原(たかちほがわら)や新湯(しんゆ)付近にて,2011年の噴出物や噴火による地形の変化などを観察する.噴出物に覆われた地域の植生回復の様子も見どころのひとつである.
著者
小林 真生子 齊藤 毅 沖津 進
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.11, pp.632-636, 2011-11-15 (Released:2012-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

埼玉県の松山層群に属する中新世の楊井層は大型植物化石を多く産出する.楊井層の年代を明らかにすることは,同時代の植物化石フロラを比較し,日本の中新世の古植生を復元するうえで重要である.そこで,楊井層の2つの凝灰岩の中に含まれるジルコンでフィッショントラック年代を測定した.その結果,楊井層の最下部凝灰岩(Y-1凝灰岩)のフィッショントラック年代は9.1±0.7 Ma,最上部凝灰岩(Y-9凝灰岩)のフィッショントラック年代は9.6±1.3 Maであった.これらの結果から,楊井層は後期中新世の地層であると考えられる.楊井層の植物化石フロラは群馬県の上部板鼻層の植物化石フロラに年代が近いと考えられる.両植物化石フロラを比較すると,楊井層には山地に生育する植物種の化石は含まれていなかったが,上部板鼻層の植物化石群には山地の植生を構成する種が含まれていた.楊井層の植物化石は板鼻層よりも山地から遠い場所で堆積したと考えられる.
著者
小林 貞一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.38, no.459, pp.629-640, 1931-12-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

Lately Mr., C., Kato, teacher of Kishiwada Middle School, informed me with a findeing of new fosseillocalities in the Izumi sandstone series to the south of City Osaka; so I made with him a short trip to those localities., What follow are the chief points ascertained by this trip., 1) Nothing has been known before of the base of the Izumi sandstone series in the Izumi sandstone belt., According to the previous work, it is said that the series is intruded by granite in its western portion and cut by a fault in its eastern portion., But I found at Akiyama a good exposure of the base of the Izumi sandstone series., There the series overlies, uncon formably upon a granitic rock mass., The basal congolmerate bed dipping about 30 degrees to the south, consists mainly of granitic pibbles and arkose cement, both of which must have been derived from the basement rock., Dr., S., Yehara's assumption of the fault-contact between the Izumi sandstone series and the granite mass is not correct, so far as my observation goes., (See the unconformity at Akiyama on Plate IX., ) 2) The Izumi sandstone sereis can be divided into the following (in the ascending order):- 1., Kasaya conglomerate., 2., Asenotani shale., 3., Kinyuji sandstone and conglomerate., 4., Warazuhata shale and sandstone., 5., Tsuzurahata sandstone and conglomerate., The series forms a syncline, running parallel to the Median Dislocation Line, which separates the series from the crystalline schist group in the Outer Zone of Southwestern Japan., 3) The fossile have been never found from this type-locality of the Izumi sandstone series, in contrast to their abandant occurrence at Anaga on the Awaji Island., I found however that the Asenotani shale contain many fossils and serves as a key-bed in the series., The fossils collected form the shale are shown in the table in the Japanese text, of which more important are Gaudryceras tenuiliratum Yabe (Plate X) and Parapachydiscus aff., Egertoni Forbes (Plate XI), the former being known from the Upper., Ammonite Bed of Hokkaido and Sachalin while the latter from the Upper Senonian of India and Europe., As summarized by Professor H., Yabe, the Urakawa, or Japanese Senonian, series overlies unconformably on the Palaeozoic rocks in the Abukuma mountainland and gneiss and crystalline schist in Kyushu., In connection with these facts, the unconformity relation between granite mass and the Izumi sandstone series treated in the present paper may be of significance for the consideration of the Senonian transgression in Japan.,
著者
中村 庄八 藤本 光一郎 中山 俊雄 方違 重治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.397-412, 2016-08-15 (Released:2016-09-02)
参考文献数
42

群馬県北西部の吾妻地域は日本海拡大時に形成された関東北部のリフト帯の縁辺部に位置し,中新世から現在に至る断続的な火山活動で特徴づけられている.日本海拡大以降の本州中央部の地質構造形成や火成活動を考えるうえで重要な地域と考えられる.本見学コースの吾妻川中・上流域では,中新世にはバイモーダルな海底火山活動が中心だが,鮮新世以降陸上の環境となって安山岩質からデイサイト質の火山活動が主体となった.しかし,地層の連続性が乏しく層理も明瞭でなく,変質作用を広汎に受けていることによって進まなかった地層の分布や層序の解明は近年になってようやく前進するに至った.また,本地域は長年にわたって議論されてきた八ッ場ダム建設地を含み,応用地質的にも興味深い地域である.本巡検においては,開析された火山体を構成する塊状の溶岩や火山砕屑岩を特徴づける鮮新世の八ッ場層と同時期ないしその一連の火山活動に関連した岩脈・貫入岩体および酸性変質帯を,また,前期更新世に新たに活動を開始した菅峰火山を構成する火山岩,さらに,後期更新世に浅間火山の活動により流下した応桑岩屑なだれ堆積物,草津白根火山の熱水活動により形成された殺生河原の変質帯の見学を行う.
著者
山元 孝広
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.3, pp.109-126, 2016-03-15 (Released:2016-06-21)
参考文献数
62
被引用文献数
8

赤城火山,新期成層火山の軽石流堆積物と降下軽石堆積物の対比と噴出物のマグマ体積の計測を行い,マグマ噴出量時間階段図を作成した.火山体形成期(約22-15万年前)に続く軽石噴火期には,5.8万年前の赤城カルデラ形成噴火前に,マグマ噴出率の低下期が起きている.軽石の微量元素成分組成の特徴は,K2O量の高い珪長質マグマほど下部地殻部分溶融メルトの関与が大きいことを示しており,下部地殻へのマグマの大量貫入を契機にマグマ噴出率などの活動様式の変化が起きたことを示唆している.
著者
細井 淳 天野 一男
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.8, pp.493-498, 2012-08-15 (Released:2012-12-19)
参考文献数
23
被引用文献数
1

海底噴火に伴う巨大軽石の種類は,海底火山活動の種類や形成環境に左右される.そのため巨大軽石の解析は過去の海底火山活動や噴火環境の推定に役立つ.今回,奥羽脊梁山脈に分布するグリーンタフ中から発見した巨大軽石は気泡が伸長した跡が残されており,グリーンタフ中で初めて材木状軽石と認定できた.材木状軽石は水深約1000 m以深で形成される気泡がパイプ状に伸長した巨大軽石である.本発見は本研究地域のグリーンタフを噴出した古海底火山活動の場を制約する重要な鍵になる.材木状軽石は琉球弧や伊豆・小笠原弧の背弧リフト帯から発見されている.現在の背弧リフト帯における材木状軽石と海底熱水鉱床の存在は,本研究地域の材木状軽石と黒鉱鉱床の存在という点で類似する.この事実は本研究地域が背弧リフト帯と同様のテクトニクスや火山活動下にあった可能性を示唆している.
著者
池田 安隆 岡田 真介 田力 正好
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.294-312, 2012-05-15 (Released:2012-10-05)
参考文献数
100
被引用文献数
10 22 5

東北日本弧においては,測地学的観測で検出された水平短縮歪み速度が地質学的に観測される歪み速度よりおよそ一桁大きい.同様の不一致は垂直変動速度に関しても存在する;太平洋岸で急速な沈降が観測される一方で,第四紀後期の旧汀線高度は緩慢な隆起を示す.これは現在急速に蓄積している地殻歪みの大部分が弾性歪みであり,プレート境界の固着部分がすべることで解消されるということを示している.しかし,過去100年間に起こったMw 708級の海溝型地震は歪み解放に寄与していない.したがって,プレート境界の固着面全体がすべる巨大歪み解放イベントが存在するはずであり,2011年東北地方太平洋沖地震はこのような固着解放イベントであると考えられる.東北日本では幅広い固着領域の浅部のみが地震時にすべり,割れ残った深部固着域で余効すべりが起こるらしい.このような深部固着は,他の超巨大地震発生帯には存在しない可能性が高い.日本海溝に沈み込んでいるプレートの年齢は極めて古く従って低温であるから,このように深い固着域が存在するのは熱的な原因によると考えられる.
著者
鈴木 寿志 石田 志朗
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.9, pp.565-568, 2005 (Released:2006-01-01)
参考文献数
29

The geochronologic units of Palaeogene and Neogene have long been described in Japanese as "Kodaisanki" and "Shindaisanki", which mean old and young Tertiary, respectively. The International Commission on Stratigraphy, however, recently proposes the revised geochronologic chart, demonstrating the subdivision of the Cenozoic Era into the Palaeogene and Neogene Periods instead of the Tertiary and Quaternary. The Japanese wording "Kodaisanki" and "Shindaisanki", therefore, should be reconsidered in terms of derivatio nominis of Palaeogene and Neogene. Here we review the Japanese usages of Palaeogene and Neogene in previous textbooks back to the end of the nineteenth century. It is concluded that the words "Koseiki", "Shiseiki" or "Kyuseiki" for Palaeogene and "Shinseiki" or "Kinseiki" for Neogene have already been proposed and described by Prof. Matajiro Yokoyama. These Japanese terms for Palaeogene and Neogene would be taken into consideration to write geological reports and papers in Japanese.
著者
草川 遥 髙嶋 礼詩
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.389-404, 2023-08-09 (Released:2023-08-09)
参考文献数
52

鮮新統の仙台層群・向山層の岩相層序を検討した結果,同層からは対比可能な6つの凝灰岩が認められ,下位より,大堤沢凝灰岩,広瀬川凝灰岩,蒲沢凝灰岩,鹿落坂凝灰岩I,鹿落坂凝灰岩II,塩野沢凝灰岩と名付けた.これらの凝灰岩はアパタイト微量元素組成により明瞭に識別可能で,仙台地域で広く対比可能であることが明らかになった.ただし広瀬川凝灰岩に関しては,一部の地域でアパタイトや斜方輝石・角閃石の有無に大きな違いがみられ,同一の噴火によるものか,堆積後の風化・続成作用によるものかについては今後さらなる検討が必要と考えられる.向山層の凝灰岩のジルコンのU-Pb年代によると向山層の年代は3.7~3.5 Maと推定される.