著者
坪井 祐太 森 信介 鹿島 久嗣 小田 裕樹 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.1622-1635, 2009-06-15
被引用文献数
4

本研究では文の一部にのみ単語分割情報を付与する部分的アノテーションに注目する.重要な部分や作業負荷の少ない部分にのみアノテーションをすることにより,新しい分野に対応するための学習データを効率的に作成できる.この部分的アノテーションを使用して条件付き確率場(CRF)を学習する方法を提案する.CRFは単語分割および自然言語処理の様々な問題でその有効性が示されている手法であるが,その学習には文全体へのアノテーションが必要であった.提案法は周辺尤度を目的関数にすることで部分的アノテーションを用いたCRFのパラメータ推定を可能にした.日本語単語分割器の分野適応実験において部分的アノテーションによって効果的に性能を向上させることが可能であったことを報告する.In this paper, we address word-boundary annotations which are done only on part of sentences. By limiting our focus on crucial part of sentences, we can effectively create a training data for each new target domain by conducting such partial annotations. We propose a training algorithm for Conditional Random Fields (CRFs) using partial annotations. It is known that CRFs are wellsuited to word segmentation tasks and many other sequence labeling problems in NLP. However, conventional CRF learning algorithms require fully annotated sentences. The objective function of the proposed method is a marginal likelihood function, so that the CRF model incorporates such partial annotations. Through experiments, we show our method effectively utilizes partial annotations on a domain adaptation task of Japanese word segmentation.
著者
梶田 健史 山守 一徳 長谷川 純一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.1736-1744, 1996-09-15
被引用文献数
32

スペースの限られたポスターやパンフレットなどにしばしば使われるデフォルメ地図(意図的な変形をともなう略地図)は 単に地図情報の伝達だけでなく人間の感性やデザイン感覚を表現するメディアとしても大変興味深い. 本論文では このようなデフォルメ地図を自動生成するシステムについて述べる. 本システムの道路変形手順は認知地図の分野における「交差点の直交化」という心理モデルに基づく. また 道路変形にともなうランドマークの移動・変形にはfield morphingの手法を利用する. 最後に 本システムの有効性を実際の道路地図を用いた実験で示す.Deformed maps used often in posters and leaflets with limited space are very interesting media not only for guidance of particular locations, but also for representation of the designer's sensitivity. This paper presents a prototype system for automated generation of a deformed map from a real map. A road deformation procedure developed here is based on a psychological model called "road orthogonalization at intersections" in the field of cognitive map. Landmarks in the map are rearranged according to the results of road deformation results using the field morphing technique. In the paper, the results of application to practical map data will be shown with promising results.
著者
阿部 香澄 日永田 智絵 アッタミミ ムハンマド 長井 隆行 岩崎 安希子 下斗米 貴之 大森 隆司 岡 夏樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.2524-2536, 2014-12-15

核家族における育児負担軽減などを目的として,我々は家庭内で子どもと遊ぶロボットの実現を目指している.具体的には,子どもの遊び友達となり,親が家事などをする30分ほどの間,子どもの興味を引きつけ遊んでいてくれるロボットである.保育者が誰とでも遊べるように,このロボットがどんな子どもとも柔軟に遊べることが望ましいと我々は考えている.しかし実際は,子どもの内向的性格などが原因で一緒に遊べない場合がある.そこで本研究では,ロボットとの良好な関係構築が容易でない子どもへの対応方法を検討し,その方策として,子どもの性格に応じた行動選択の仕組みを考える.この仕組みを実現する第1歩として,本論文では“人見知りの子どもが親近感を持つために有効な遊び行動が存在する”という仮説を検証する.まず我々はロボットが子どもに対して親密な態度を示しやすい“親和的遊び行動”と,不安が強くても遊べる“不安緩和遊び行動”を定義し,遊び行動を分類した.そして保育者が遠隔操作するロボットと5~6歳児との遊び実験を行い,これらの遊び行動と親近感の関係を調べた.その結果,“親和的遊び行動”と“不安緩和遊び行動”の両方の要素を持つ遊び行動が,人見知りの子どもに有効であることが示唆される結果を得た.
著者
丹羽 智史 土肥 拓生 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1382-1392, 2006-05-15
参考文献数
9
被引用文献数
26

協調フィルタリングを用いた商品推薦システムを応用してWeb ページ推薦システムを構築しようとする試みは従来から行われてきたが,十分な量のデータソースを確保することが困難なことや推薦対象であるWeb ページの数が大きすぎることなどから,その用途は非常に限定されたものだった.本論文では近年急速に普及し始めたソーシャルブックマークとFolksonomy を利用して,インターネット上のWeb ページ全体を対象としたWeb ページ推薦システムの構築手法を提案する.There have been many attempts to construct web page recommender systems using collaborative filtering, but the domains these systems can cover are very restricted, because it is very difficult to assemble data of user preference about web pages, and the number of web pages on the Internet is too large. In this paper, we propose the way to construct new type of web page recommender system covering all over the Internet, by using folksonomy and social bookmarks which are getting very popular in these days.
著者
伊藤 毅志 小幡 拓弥 杉山 卓弥 保木 邦仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.3030-3037, 2011-11-15

本論文では,将棋プログラムの新たな並列処理手法を提案する.このアルゴリズムは,複数の思考プログラムの候補手の中から一つの手を選択する手法である.このアルゴリズムを合議アルゴリズムと呼ぶ.本論文では,将棋における合議手法の提案と評価を行い,また単一プログラムからでも乱数を用いた合議手法を提案しその有効性も示した.さらに,YSS,GPS将棋,Bonanza等の有名な強豪プログラムをこの合議アルゴリズムで組み合わせることで,その各々のプログラムよりも強くなることを示した.
著者
長瀧 寛之 中野 由章 野部 緑 兼宗 進
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.2-15, 2014-01-15

リレーショナルデータベースに対する問合せ処理を,ウェブブラウザ上から対話的に操作できるオンライン学習教材sAccessを開発した.特徴として,射影,選択,結合などリレーショナルデータベースの基本操作に1対1対応した操作体系や,それらの処理の前後のデータテーブルを画面上で確認しながら処理を進められる点があげられる.本論文では,主に高校の共通教科「情報」などの非情報系の学習者を対象とした情報教育において,データベース学習で必要になる要件を検討し,提案するsAccessの設計と実装について説明を行う.そのうえで,従来授業などでデータベース学習に用いられてきたツールとの比較を行うことで,sAccessの利点と課題について議論する.
著者
塩澤 秀和 西山 晴彦 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.2331-2342, 1997-11-15
参考文献数
23
被引用文献数
22

「納豆ビュー」は,WWW空間を3次元グラフィックスを用いて視覚化し,「持ち上げ(つまみ上げ)」という対話的な操作によって情報どうしの関連性を多面的に俯瞰できるようにする.ページ(ノード)とリンクは,それぞれ球とそれを結ぶ線で表現され,まず3次元空間内のほぼ平面上に配置される.ユーザは錯綜するリンクの中から注目したいノードを任意に選択し,マウスによってそれを持ち上げることができる.すると,関連する一連のノードがつられて持ち上がるので,複雑なグラフ構造を好みに応じて解きほぐして調べることができる.納豆ビューは,単なる視覚化を超え,ユーザの興味に応じた対話的な操作が可能であり,レイアウト非依存なので巨大な分散情報空間の逐次的なアクセスにも適する.本論文では,この納豆ビューを紹介し,さらにその有効性を考察するために情報視覚化技術を,関心度,操作体系の一貫性,操作方向への意味づけの3つの相互関係という観点から考察し,その中での納豆ビューの位置づけを試みる.The Natto View visualizes the WWW space by 3-dimensional graphics,and its interactive "lift-up" operation enables users to view connections and context of information from various interests.Each node,or the Web page,and hyperlink represents respectively ball and wire connecting thier,and at first they are placed roughly on a plane in 3-dimensional space.The user can select and focus arbitrary node and lift it up with a mouse.Then the nodes to which the focused node links are lifted up together,thus the complex network is disentangled by the user's interest.The Natto View supports not only visualization but also interactive operations on user's demand,and it is suitable for incremental access to huge distributed information networks because of its independence from the layout of its nodes.In this paper,we describe the Natto View and its evaluation by a classification of information visualizations according to the relationship among degree of interest,consistency of operations and directional semantics of operations.
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨 アキヤマ トヨカズ テラニシ ユウイチ オカムラ シンゴ サカネ エイサク ハセガワ ゴウ ババ ケンイチ ナカノ ヒロタカ シモジョウ シンジ ナガオカ トオル Akiyama Toyokazu Teranishi Yuuichi Okamura Shingo Sakane Eisaku Hasegawa Go Baba Ken-ichi Nakano Hirotaka Shimojo Shinji Nagaoka Toru
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる. # In Osaka University, a campus-wide IT authentication infrastructure based on Public Key Infrastructure (PKI), which is regarded as a technology providing high security and standard interface to many applications, has been adopted. In this authentication infrastructure, multiple CAs for the different purposes such as signing and encryption, intra-campus authentication and grid system authentication coexist. To realize security and convenience, we developed an online certificate issuance service for those multiple CAs. We also introduced PKI enabled Single Sign-On (SSO) system to provide unified authentication interface. Since the SSO system supports ‘SSO agent’, which provides SSO functionality for web applications by installing a web server module, it is possible to migrate from password authentication to PKI authentication without modifying applications. Furthermore, we established secure and flexible identity management by separating changeable, public user ID and static, internal system ID. Internal system ID is used for managing and federating user profiles among the systems. The mapping between those two IDs is done by the SSO system. In this paper, we describe design and implementation of our authentication infrastructure, know-how of system establishment and future works.
著者
硴崎賢一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.206-216, 1993-02-15

PROLOGは他の言語処理系と比較してメモリ使用量が多いという問題がある。また、PROLOGの基本操作である単一化処理はメモリのアクセス頻皮が高いために、RISC技術などによるプロセッサの高速化の一方で、キャッシュミスによるメモリアクセスの遅延が、処理速皮を抑制する大きな要因となりつつある、本論文では、PROLOG処理系においてリストの内部表現のメモリ効率を2借に高めるとともに、メモリの参照頻皮を低下させる動的CDRコーディング方武を提案し、その性能評価を示す、本方式は、CDRコーディングの可能性を動的に検査するために、リストの多くの要素をCDRコーディングすることができる。CDRコーディングのための処理項目の増加による遠度低下は、RISCプロセッサの遅延スロットを利用して抑えている、CDRコーディング方式では、従来のCONSによる方式と比較して、メモリ参照の局所性が高くなりキャッシュミスの頻度を小さく抑えられるために、データサイズの大きな倣域では従来方式を越える性能が得られることが明らかになった、
著者
吉田 紀彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1530-1537, 1989-12-15
被引用文献数
1

シストリック・アレイ・アーキテクチャを 漸化式で定義された仕様から プログラム変換に基づいて導出する手法について述べる.アレイのセルの結合関係と内部動作 そして漸化式をプログラムの形で表現する枠組としては 以前に提案した関係型表現を用いる.関係型プログラムには これも以前に提案した高並列化変換戦術を適用することができる.本手法では 漸化式に対応する関係型プログラムを 変換規則 / 戦術 / 戦略の階層に則って段階的に書き換えていき シストリック・アレイに対応する関係型プログラムを得る.これを用いて 重畳フイルタ 行列乗算などについて アレイの導出に成功している.
著者
平岡 茂夫 宮本 一伸 富松 潔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2520-2527, 2003-11-15
参考文献数
14
被引用文献数
8

Behind Touchは,携帯電話やPDAなどの携帯端末を対象とした入力デバイスおよび画面インタフェースである.携帯電話は,携帯性が重要視されるため,機器の大きさには限界がある.提案するデバイスは,携帯電話の液晶ディスプレイを大型化することを目的に,本体表面から12キーを廃し背面に位置させる.しかし,背面のキーは,ボタンを直接視覚で確認しながら操作することができない.本研究は,この背面キー操作を触覚デバイスと指の位置をディスプレイに表示することによって,高速で分かりやすく,直接的な操作が可能となる手法を実現した.Behind Touchは,背面キーに触れることでディスプレイに表示されたボタンを選択し,そのままの指の位置で背面キーを押すことで実行操作を行う.PDAやウエアラブルコンピュータ,または家電機器のリモコンなど表示ディスプレイが操作部と離れている場合でも,小型な入力デバイスで快適な文字入力などの様々な操作を提供することが可能となる.Behind Touch are input device and GUI for mobile medias like as mobile phones or PDA. Mobile phones have a limit in size, because portability is significant condition for them. In the proposed device, 12 keys are not arranged on the top but on the backside of mobile phone, in order to enlarge the liquid crystal display. However we cannot look the keys on backside to confirm their position when we operate. This research realizes a method to operate directly and speedily by interface which can help the operation of keys on backside by tactile sense device and Behind Touch's GUI of showing users' finger position. In Behind Touch, we select the button showing on display by touching the keys on backside and operate by pushing them. Behind Touch can offer comfortable text inputting or various operations with small-sized input device not only for PDA, wearable computer, but also remote controls of home electric appliances which their display are positioned away from the operating point.
著者
森村 吉貴 上原 哲太郎 侯 書会 美濃導彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1022-1031, 2009-03-15
被引用文献数
1

我々はIPマルチキャスト上のSRTPを用いた鍵配送に放送型暗号を用いたライブ映像配信システムを構築した.一般に認証型のライブ映像配信では,ユーザ鍵の流出と復号映像の流出という問題が残る.我々のシステムは,ユーザ鍵の流出については放送型暗号のユーザ鍵が異なるという特徴を生かし,復号映像については透かしとして映像にIDを埋め込む電子指紋により,それぞれの流出を抑止する.実験では構築したシステム上で帯域資源と計算資源のオーバヘッドを計測し,ライブ映像配信に十分に適用可能であることを示す.We constructed a live video streaming system over IP Multicast, which uses SRTP and delivers the decryption key with broadcast encryption. Generally, live video streaming with authentication has problems as illegal distribution of user keys and decrypted video. Our system deters user key distribution using characteristics of broadcast encrpytion, which has different user keys by users, and deters decrypted video distribution using digital fingerprint, which embeds user ID into video as watermark. We evaluate overhead of computational resource and network resource on the constructed system and show the system works in realtime for live video streaming.
著者
椎尾 一郎 増井 俊之 塚田 浩二
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.1661-1670, 2005-07-15
参考文献数
24
被引用文献数
1

だれもがいつでもどこでも情報を操作できるユビキタスコンピューティング環境を実現するための各種の研究がさかんになっている.しかし,高価な位置センサや入出力デバイスを多くの場所に正確に設置する必要があるものや,単純な機能しか提供しないものが多く,ユビキタスコンピューティング環境で必要とされる,安価/頑丈かつ必要十分な機能を提供する装置は従来あまり提案されていなかった.本論文では,動きセンサとID認識装置を組み合わせた入力装置"MouseField"を提案する.RFIDなどを内蔵する物体をMouseFieldの上に置いた後で動かす操作を行うことにより,マウスを用いたGUIでコンピュータを操作するのと同じ機能をユビキタスコンピューティング環境で実現することができる.Although various interaction technologies for handling information in the ubiquitous computing environment have been proposed, some techniques are too simple for performing rich interaction, and others require special expensive equipments to be installed everywhere, and cannot soon be available in our everyday environment. We propose a new simple and versatile input device called the MouseField that enables users to control various information appliances easily without huge amount of cost. A MouseField consists of an ID recognizer and motion sensors that can detect an object and its movement after the object is placed on it. The system can interpret the user's action as a command to control the flow of information. In this paper, we show how this simple device can be used for handling information easily in ordinary environments like living rooms, kitchens, and toilets, and show the benefits of using it in the ubiquitous computing environment.
著者
堀 雅洋 加藤 隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1071-1084, 2007-03-15
被引用文献数
2

ユーザビリティ評価手法の中でインスペクション法に類別される認知的ウォークスルー法(CW 法)は,分析者自身がユーザの振舞いをシミュレートしながら一連の質問に回答することによって,システムとの円滑なインタラクションの妨げとなる問題点を洗い出す評価手法である.CW 法は漸次改良が加えられてきたが,実用性を重視して簡略化された第3 版では質問記述が抽象的で回答しにくいといった問題が指摘されている.本稿では,操作の対象と行為の区別および知覚と解釈の区別を導入してD.A. Norman の7 段階モデルを拡張した.その拡張モデルに基づき質問項目の見直しと明確化を図り,CW 法の改良を試みた.Web ユーザビリティ評価を題材として問題発見効率について比較実験を行った結果,評価対象の特性を考慮して自明な質問を省略することによって,提案手法は第3版と同等の回答時間でより高い問題検出率を示した.The cognitive walkthrough (CW) is a usability inspection method where analysts are asked to simulate the user's cognitive behavior and answer a series of evaluation questions for each step of a task. Negative answers indicate that such steps will be difficult to learn and thus likely to cause usability problems. The CW underwent a series of modifications to improve its applicability to real-world development processes. The current version, much simplified from its predecessors, has now only four evaluation questions. These questions, however, seem to be so abstract that they are difficult to answer properly unless one has expertise in cognitive science and/or usability evaluation. In this paper we propose a modified CW method whose evaluation questions are formulated based on an extended model of human-computer interaction that explicitly distinguishes between object and action, and perceiving and understanding. Applied to Web usability evaluation, the modified CW was shown to be more effective in identifying usability problems while remaining as efficient as the current CW.
著者
長谷川 隆明 高木 伸一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.3694-3705, 1999-10-15
被引用文献数
7 10

インターネットの普及にともない,電子メールはコミュニケーションの主要な手段となった.一方,Personal Information Manager (PIM)ソフトウェアの普及にともない,個人情報を計算機で管理するユーザが増えている.ユーザの個人情報として,アポイントメントの日時や場所等のスケジュールや,期限をともなう電子メールの返信等のToDoがあげられる.しかしながら,電子メールにより伝達されるスケジュールやToDoに関する情報の管理は,これらの情報を含む文書の整理やPIMソフトウェアとの連携の際に,電子メールを受信するユーザの人手を必要としていた.本稿では,ユーザが受信した電子メール文書からユーザに伝達されるスケジュールとToDoの情報を抽出する手法を提案する.電子メール文書は,任意の目的への使用と自由な形式による情報伝達のため,文書構造や言語表現が一様ではない.本手法の特徴は,スケジュールやToDoを含む電子メール文書の構造と言語の特徴に着目したレイアウト情報とパターンマッチングを用いた,文書構造の認識と情報抽出および情報の関連付けである.電子メールの実文書を対象とした抽出実験により,電子メールのフィルタリングやPIMソフトウェアへの入力等の実用に耐えうる高い精度で,スケジュールとToDoを抽出できることを示す.As the Internet has become popular,e-mail is now an important means of communication.On the other hand,as the Personal Information Managers (PIM) applications have come into wide use recently,many users manage their schedules,such as event date and event location,and to-do items,such as answers to e-mail messages from someone by the appointed time,with their computers.However,a problem is that e-mail receivers cannot easily sort out messages with these information from many incoming messages and build up a close connection with the receivers'PIMs.Therefore,our goal is extracting these information from the e-mail messages users receive.E-mail is open to any purpose and any format.So these information is not formalized,and message structure and language expression are not uniform.We reveal the characteristics of the structure and language used in e-mail messages and propose a way to identify the structure and extract information by using layout information and pattern matching and relate matched partial information with components of these information.Extraction evaluations demonstrate high recall and precision.Our proposal can be put to practical use,such as filtering messages and inputting the information to PIMs.
著者
森田 和宏 泓田 正雄 大野 将樹 青江 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.2229-2238, 2001-09-15
被引用文献数
5

トライ構造はキーの表記文字単位に構成された木構造を用いて検索するキー検索技法の1つであり,自然言語辞書を中心として広く用いられている.このトライ構造を実現するデータ構造として高速性とコンパクト性を満足するダブル配列法があるが,この手法は,キーの更新が頻繁に生じない検索法として確立しているため,動的検索法に比べて追加時間は高速であるとはいえず,また削除で生じる不要なノードや未使用要素により記憶量に無駄が生じていた.本論文ではこれらの問題を解決し,ダブル配列を動的検索法として確立するため,未使用要素を連結することで追加処理を高速化する手法,削除時に生じる不要ノードの削除と未使用要素の詰め直しによる圧縮法を提案する.10万語の辞書データに対する実験結果により,追加速度については約1 600倍高速となることが,また大量の削除が起こった場合でも50%以上の空間使用率を維持することが分かった.In many information retrieval applications,it is necessary to be able to adopt a trie search for looking at the input character by character.As a fast and compact data structure for a trie, a double-array is presented.However, the insertion time isn't faster than other dynamic retrieval methods because the double-array is a semi-static retrieval method that cannot treat high frequent updating.Further, the space efficiency of the double-array degrades with the number of deletions because it keeps empty elements produced by deletion.This paper presents a fast insertion algorithm by linking empty elements to find inserting positions quickly and a compression algorithm by reallocating empty elements for each deletion.From the simulation results for 100 thousands keys,it turned out that the presented method for insertion is about 1,600 times faster than the original method,and that the presented method for space efficiency keeps the activity ratio more than 50%.
著者
立堀 道昭 千葉 滋 板野 肯三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.2327-2338, 2000-08-15
被引用文献数
2

本稿では著者らの開発したJava言語のためのマクロ処理系OpenJavaについて述べる.Javaのようなオブジェクト指向言語では,手続きや関数でなく,クラスやメソッドが主要な言語要素となる.このため,従来のようなマクロ処理系では,オブジェクト指向プログラミングで本来必要とされるマクロ展開をうまく記述できない.本稿では,まず,この問題を指摘し,次にOpenJavaがこの問題にどのように対処しているかを述べる.本研究では,従来のマクロ処理系の問題点が,トークン列や構文木を操作の対象としている点に起因すると考え,OpenJavaではクラスオブジェクトというデータ構造を処理の対象として採用した.オブジェクト指向言語に基づく高度なマクロの例として,デザインパターンを用いたプログラミングを支援するマクロをOpenJavaで記述した例を示す.This paper presents OpenJava, which is a macro system the authors have developed for Java.Writing a number of typical macros in object-oriented programming is difficultwith traditional macro systems designed for non object-oriented languages.This is because the primary language constructs of object-oriented languagesuch as Java are not procedures or functions but they are classes and methods.This paper first points out this problem and then shows how OpenJava is addressed to the problem.One of the drawbacks of traditional macro systems is that syntax trees are usedfor representing source programs.For OpenJava, therefore, class objects were chosen instead of syntax trees.As high-level macros for an object-oriented language,this paper shows a few macros in OpenJava which help programming with design patterns.
著者
小林 広和 寺田 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1948-1955, 2000-07-15

世代別ごみ集めは,ごみ集めの実行によって起こるプログラムの通常処理の停止時間を短縮できるので,対話的なアプリケーションや実時間的なアプリケーションに適している.しかし,世代別ごみ集めを実装する場合には,プログラムの通常処理で起こる古いオブジェクトへの書き換えの検出を行う必要があり,その書き換えの検出のために必要なプログラムの修正コストや,書き換えの検出によって起こる通常処理の実行時のオーバヘッドが問題となる.本論文では,テキストエディタであるGNU Emacsに,古いオブジェクトの書き換えの検出にダーティビット情報を用いた世代別ごみ集めを実装し,プログラムの修正のコストやプログラム実行時のオーバヘッドの問題を回避できることを実験によって示す."Generational garbage collection can reduce mutator pause times due to garbage collection,so it is appropriate for a interactive application and a real time application.But to implement a generational garbage collector,we must keep track of rewritings of old object by mutator,so it is a problem that the cost of program's modification due to tracking ofrewritings and the overhead of mutator due to it.In this paper,we implement a generational garbage collector to text editor GNU Emacswhich uses dirty bit information for tracking old objects rewritings,and we present the result of experiment which shows its problem is avoided.
著者
奥乃 博 グプタアヌープ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.822-831, 1990-06-15
被引用文献数
1

プロダクション・システム(あるいはルールベース・システム)は広くエキスパート・システム構築用ツールとして使用されている.広範な応用あるいは実時間応用にプロダクショシ・システム高速化が不可欠であり 並列処理による高速化が研究されている.従来の研究では低レベル言語を使用しているため 他のシステムとの融合が難しかった.また OPS5 はエキスパート・システム構築用ツールであり その並列度はユーザ・プログラムに大きく依存している.本論文では OPS5 を共有メモリ型マルチプロセッサ上で高級言語を用いて並列処理する上での様々な問題点について議論する.本論文の主要な主張点は(1)並列 Lisp 言語 QLisp による並列処理の記述 (2)実行時に並列度を決定する制御方式 (3)プロタクション・システムの競合解消と行動段階での新しい並列処理アルゴリズムの提案 である.とくに実行時並列度制御方式は 個々のタスクの処理時間にばらつきのある記号処理では 資源の有効利用には不可欠である.また 行動段階での並列処理は競合解消で選択される可能性のあるルールを先行実行するという概念に基づいている.高級言語を用いることにより多様な並列性は容易に記述することができた.
著者
塚田 浩二 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3675-3684, 2002-12-15
被引用文献数
25

本研究ではモバイル環境において,手指のジェスチャを用いて情報機器や情報家電機器の操作を実現する指装着型のウェアラブルデバイスUbi-Fingerを提案し,実装および評価を行った.ジェスチャは誰もが利用できる日常的なコミュニケーション手段であると同時に,身体性をともなった直感的な入力が可能であるという利点を持っており,これまでも主にVirtual Realityなどの分野で積極的に利用されてきた.一方,コンピュータの利用分野はモバイル環境やユビキタス環境など,実生活全般に大きく拡大しつつある.Ubi-Fingerはこれらの新しいコンピューティング環境に適した,小型でシンプルなジェスチャ入力デバイスである.我々は実世界のさまざまな機器をシンプルなジェスチャにより直感的に操作できるUbi-Fingerのプロトタイプシステムを実装した.また,具体的なアプリケーションとして,ライトやテレビなど,実世界のさまざまな機器を「指差す」ことで特定し,手指を用いたシンプルなジェスチャで対象の機器を操作できる応用例や,ノートパソコンの入力支援,プレゼンテーション支援などの応用例を試作した.さらに,システムの利用評価を行い,ジェスチャを利用した実世界機器操作の有効性を確認し,本研究の将来的な方向性を示した.We have proposed a novel interface in mobile environment called ``Ubi-Finger'' that realizes sensuous operations for PDA and information appliances by gestures of fingers.In this paper, first,we propose the concept of ``Ubi-Finger: Gesture Input Device for Mobile Use''.This concept enables users to sensuously control various devices in the real world.Since gestures are usual methods of non-verbal communications and enables sensuous operations for users,many researches on them carried out especially in the field of Virtual Reality.In the meanwhile,the uses of computers have rapidly extended to the daily life,such as mobile computing and ubiquitous computing.Ubi-Finger is a gesture-input device, which is simple, compact,and optimized for the new computing environment.Second, we develop prototype systems based on the concept that can control real-world devices with simple and natural gestures.Third, we develop some applications to control devices in the real world.Using our systems,a user can detect a target device by pointing with her/his index finger,then control it flexibly by performing natural gestures of fingers.Fourth, we evaluate the system performance and usability,and confirm the possibility of practical use.Finally,future prospects of the proposed concept and the prototype systems are discussed.