著者
浜田 穂積
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.521-526, 1981-11-15
被引用文献数
1

2進法を基礎とする計算機そのほかのデータ処理装置のための実数値表現方式を提案する.形式はデータの長さに依存せず 精度変換操作が単純で オーバフロー アンダフローが発生しない 十分大きい数も小さい数も表現できる方式であるこれらの条件を満たす一般的な表現法と その中で最も単純な規則を持つ形式とを示し 後者を標準案として推奨する.後者によると ±1の近くでの分解能が低下しないように極力努めたので 同じピット数で表現する固定小数点表現と比べ 1ビット分の分解能の悪化に止まり かつ浮動小数点表現の持つ 小さい数も 大きい数も表現できるという長所も併せ持っている.実数値表現法として前記の目的を達するため 内部表現のビット列に次の3つの性質を持たせる.(i)すべてのビット列が実数に対応する.(ii)あるビット列の右に1ビット連結する時 元のビット列に対応する区間が2分され 左の区間はピット0 右の区間はビット1を連結したものに対応する.(iii)正数の場合 1から無限大あるいは0に向かって 区間の両端の値の比が 二重指数的に増加する値となるよう分割されている.これによって実現される表現法を用いると 短いデータでもそれなりにバランスよく実数値を表現できる.また長いデータをう処理系と容易に結合できるため ミニコンピュータ マイクロコンピュータのための実数値表現法としても適している.
著者
諸原 雄大 近藤 邦雄 島田 静雄 佐藤尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.329-337, 1995-02-15
被引用文献数
8

人がデザイン画についての善し悪しなどの印象を受け取るとき、その基準となる物理的特徴は大きく分けると色と形の二つである。著者らの研究の目的は、色と印象との関係を求めることである。このために、イメージ・カラーを選定する方法を提案する。イメージ・カラーとはデザイン画において用いられている色のうち、特に印象に影響の与える度合が強い色の組合せをいう。イメージ・カラーを選定することによる利点は、デザイン画を見ることにより得られる印象が、イメージ・カラーを見ることにより得られる印象とほぽ同じものとなることである。デザイン画のイメージ・カラーの抽出の方法は配色カードを用いて求めており、経験を必要とする作業である。もしも・イメージ・カラーの自動選定が行えれば、誰にでもデータベースに登録されている画像のイメージ・カラーを求めることができ、新しいデザイン画に他のデザインのイメージを与えることが簡単にできるようになる。本論文においては、デザイナーのイメージ・カラー選定法を参考に、計算機におけるイメージ・カラーの選定法を提案する。デザイン画像はRGBの3原色、各8ビット階調により表現されているものを用いた。このデザイン画像において便用されている色を色空間上でまとめていくことにより色の限定を行い、その中から目立つ色を取り出した。この方法により、計算機においてイメージ・カラーを選定することができるようになった。
著者
渡邊 純一郎 藤田 真理奈 矢野 和男 金坂 秀雄 長谷川 智之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1470-1479, 2013-04-15

組織の生産性をいかにして向上させるかということは,リーダやマネージャにとって大きな関心事である.しかしながら,生産性向上に向けたこれまでの施策は,マネージャの経験や勘など定性的な評価に基づくものが主であった.我々は,ウェアラブルセンサを用いて物理的な人間行動を長期的に計測し,身体的な動きの度合いである活発度や対面コミュニケーションと生産性との関係を定量的に評価した.アウトバウンド型コールセンタにおいて受注率に影響を与える要因を調べた結果,休憩中の職場の活発度と受注率が相関することが分かった.両者の因果関係を明らかにするために少人数のチームごとに休憩時間を合わせる施策を行った結果,休憩中の対面コミュニケーションに起因するチームの活発度が生産性に影響することが分かった.本研究の結果は,センサにより職場の活発度を定量的に計測しマネジメントすることにより,生産性を向上させられる可能性を示唆する.
著者
成澤 修一 峯松 信明 広瀬 啓吉 藤崎 博也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.2155-2168, 2002-07-15
被引用文献数
18 4

藤崎らによる音声の基本周波数パターン($F_0$ パターン)生成過程のモデルは,少数のパラメータから実測の $F_0$ パターンにきわめて近いパターンを生成しうることが知られており,音声合成に広く用いられている.一方,実測の $F_0$ パターンからモデルのパラメータを抽出することは解析的には解けない逆問題であり,初期値を与え逐次近似を行う必要がある.この場合,高精度のパラメータを迅速に抽出するには適切な初期値の設定が不可欠であるが,従来はこれを人手によって行っていたため,大量の音声資料の自動的処理は困難であった.本論文では,実測の $F_0$ パターンからパラメータの初期値を自動的に決定し,さらにそれに基づいて高精度のパラメータ抽出を自動的に行う手法を提案する.この手法は,実測された $F_0$ パターンをいたるところで連続かつ微分可能な曲線によって近似するための処理,得られた曲線からアクセント指令とフレーズ指令のパラメータの初期値を決定するための処理,さらにそれらの初期値をもとに逐次近似によりパラメータの最適値を求める処理,の3段階の処理からなる.共通日本語の男性・女性話者各1名の朗読音声を対象とした実験の結果,男性の朗読音声について,以前に提案された手法では,パラメータ抽出の性能として,指令の再現率78%,精度67%であるのに対し,提案手法によればそれぞれ82%,80%であった.また,女性の朗読音声については,従来手法では再現率60%,精度51%であるのに対し,提案手法ではそれぞれ83%,72%であった.この結果から,本手法の有効性が実証された.The model for the generation process of the fundamental frequency contours (F0 contours) of speech by Fujisaki et al. is known to be capable of generating F0 contours quite close to observed natural contours, and is widely used in speech synthesis. The extraction of model parameters from an observed F0 contour, however, is an inverse problem that cannot be solved analytically, and requires an iterative process starting from a set of initial parameter values. In order to guarantee a rapid convergence to an optimum solution, the process requires appropriate initial values. These initial values have usually been given manually, making it difficult to analyze a large amount of speech material. The present paper proposes a method for automatically extracting the parameter values from a given F0 contour. The method consists of three steps: approximation of an observed F0 contour by a curve that is continuous and differentiable everywhere, extraction of initial values for the parameters from the curve, and optimization of the parameters by successive approximation. Analysis of read speech material of common Japanese by a male speaker showed that the recall and precision rates of model command estimation reached respectively 82% and 80% by the proposed method, while the rates obtained by a previous method were 78% and 67%, respectively. The recall and precision rates obtained for a female speaker were respectively 83% and 72% by the proposed method, but were respectively 60% and 51% by the previous method. These results demonstrate the validity of the current approach.
著者
児玉 公信 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.902-909, 2008-02-15
被引用文献数
4

本論文は,生産管理領域の概念データモデル「CHARM(Cross Hierarchical Account Resource Model)」を提案する.本モデルは「勘定パターン」を骨格としており,会計領域で培われたベストプラクティスを生産管理領域にもたらす.これによって,未来在庫の把握および生産座席予約を合理的に扱うことができ,近年の日本の製造業における個別受注生産の比率の高まりにともなうさまざまな課題,すなわち製番に基づく生産計画,製品の個体管理,上流工程でまとめ作りした材料の引当て,原料から製品までのトレーサビリティの確保を実現できる.This paper proposes a new general model of the production management domain, the CHARM (Cross Hierarchical Account Resource Model). This model is based on the Account pattern. Inherent in the pattern are the best practices of the accounting field as applied to the manufacturing management area, enabling us to treat the inventory of the future and production seat booking reasonably. Therefore we can solve problems caused by the rise of the ratio of build-to-order in recent Japanese manufacturing. The problems primarily involve production planning, individual product management, manufacturing with accumulation in the upstream process, and ensuring the traceability from raw materials to products related to the seiban (manufacturing number).
著者
本田 新九郎 富岡 展也 木村 尚亮 大澤 隆治 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1472-1483, 1998-05-15
被引用文献数
17

本稿では,3次元返想空間を利用した在宅勤務環境を提供する仮想オフィスシステムValentineについて述べる.Valentineは,地理的に分散したユーザをネットワーク上に仮想的に構築したオフィスに出勤させ,そこで他のメンバの雰囲気・気配を伝達し,コミュニケーションを支援するシステムである.物理的なオフィスは存在せず,ユーザはすべて仮想オフィスに通うことを想定している.遠隔地にいる他の社員の気配を伝達するために,「周辺視ビュー」および「効果音」を実現し,アウェアネスの提供を行った.またアウェアネスの過度な提供が効率的な個人作業の妨げとなることから,ユーザの「集中度」を定義し,集中度に応じたアウェアネス提供環境を実現した.集中度は「キーボード,マウスの利用頻度」「椅子を動かす頻度」という2つの要素からシステムで自動検出され,作業環境に反映される.評価実験を行った結果,気配の伝達および集中度に応じた環境の提供について,良好な結果を得た.In this paper,we describe a virtual office system named Valentine that provides a "work-at-home" environment based on 3D virtual space.Users can go to the virtual office built on network virtually,feel the existence of each other,and communicate with each other by using Valentine.We assume that we have no physical office and all members go to the virtual office.In order to transmit the feeling of other members' presence at the virtual office,we have realized "Around View" and "Sound Effect" for supporting awareness in Valentine.On the other hand,for avoiding too much awareness information that bothers workers,we have defined "degree of concentration" and provided appropriate office environment to workers according to their state.The degree of concentration is automatically detected from two elements "the frequency of key stroke and mouse use" and "the frequency of rotating a chair".The system evaluation demonstrated that we have gained a better result on transmitting the presence and providing an environment according to the degree of concentration.
著者
中野 倫靖 後藤 真孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1771-1783, 2013-06-15

本論文では,ユーザの歌声からその声色(こわいろ)変化を真似て歌声合成するシステムVocaListener2を提案する.本システムは,我々が以前開発した音高と音量のみを真似て歌声合成するVocaListenerの拡張であり,声色変化にも対応する.従来,主に声質変換やモーフィングのために,声質を操作する技術はあったが,ユーザが歌唱において意図的に変更する声色の変化を反映することはできなかった.VocaListener2を実現するために,まずVocaListenerによってユーザ歌唱の音高,音量および音素(歌詞)を真似た多様な歌声を合成して声色空間を構成し,その結果を用いてユーザ歌唱の声色変化を反映して合成する.市販の歌声合成システムを用いて実験した結果,構成された声色空間は聴取印象を反映しており,音高と音量に加えて声色変化も真似ることができていた.
著者
大島 千佳 西本 一志 宮川 洋平 白崎 隆史
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1778-1790, 2003-07-15
参考文献数
15
被引用文献数
10

本論文では,楽器の演奏経験が乏しい人でも容易にMIDIシーケンスデータを作成することができ,しかも従来の楽器と比べて遜色ない音楽表情づけのポテンシャルを持ち合わせるMIDIシーケンスデータ作成システムを提案する.近年の計算機の普及にともない,DTMシステムが多数開発され,誰でも音楽演奏に挑戦することができるようになった.しかし,MIDI楽器で通常に演奏してMIDIシーケンスデータを作成する方法では,楽器の演奏経験が乏しい人に多大な負担がかかる.また,音楽要素を個別に,端末を使って数値的に入力する方法では,質の高い音楽表情を担う各要素の微妙な調整や,音楽要素間の相互的な関係を考慮して操作をすることは困難である.そこで,入力を2段階に分けて,1段階目に端末かMIDI楽器で音高データのみの入力を行い,2段階目に音楽表情に関する要素を統合して入力する「2段階式作成方法」を提案する.38名の被験者に現在主流の2通りの入力方法と,提案した入力方法の3通りにより演奏データを作成してもらったところ,童謡とクラシック作品では「2段階式作成方法」が従来の方法よりも短時間で容易に入力ができ,作成された演奏データに満足がいくことが示された.また,ピアノ熟達者が従来の方法のうち,MIDI楽器を演奏して入力する「リアルタイム入力」と「2段階式作成方法」の2通りで,十分練習をしてから演奏データ作成を行い,20名の被験者に聴いてもらったところ,「2段階式作成方法」で作成された演奏データの音楽表情は,リアルタイム入力で作成されたものと比べて,遜色ないことが確かめられた.In this paper, we propose a method that allows people who are not goodat playing musical instruments to construct performance data with richmusical expression. Recently, everybody becomes able to tackle withperforming music by a MIDI system. There are two methods for composingMIDI sequence data, i.e., by normally playing the MIDI instruments andby separately inputting musical elements as numerical values. However,it is very difficult for inexperienced people to input correct notenumber with normally playing the MIDI instruments. On the other hand,it is also difficult for people to achieve rich expression bybalancing all of the musical elements, by inputting them as numericalvalue separately. Consequently, we propose ``a two-phase inputmethod''. In the first step, the user inputs only sequence of notenumber that she/he wants to perform by using MIDI instruments orkeyboard of a personal computer without considering musicalexpression. In the second step, she/he plays the MIDI keyboard toinput musical expression by integrated control of the expressivemusical elements. We conducted two experiments for examining theeffectiveness of the two-phase input method. These results show that itis easier for inexperienced user to compose the MIDI sequencedata with the two-phase input method than the conventionalmethods. Moreover, the musical quality of the MIDI sequence datacomposed by the two-phase input method was not inferior to thatcomposed by normal performance with using a MIDI keyboard.
著者
小柴 等 相原 健郎 小田 朋宏 星 孝哲 松原 伸人 森 純一郎 武田 英明
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1452-1468, 2010-08-15

ICT(Information and Communication Technology)の発展・普及にともなって,情報爆発という問題が顕在化してきた1).この情報爆発と呼ばれる問題への対策の1つとして,ユーザの望む,ユーザに適した情報を提供するための情報推薦技術が研究・開発されている.しかしながら,情報爆発の勢いはとどまることを知らず,すでに推薦結果であるユーザに適した情報までが氾濫しつつある.そこで本論文では,ネット上や物理世界における行動ログデータが多数蓄積された世界を想定し,従来の推薦手法に加えて,推薦結果である情報がユーザに受け入れられる可能性(情報の受容度)まで考慮した情報推薦手法を提案し,実験により評価した.具体的には,まず,社会心理学の知見をベースに説得性と称するユーザ間の情報受容度を算出するモデルを提案した.次に,実際の商店街を舞台に一般募集の被験者を対象として,行動ログデータを収集した.そのうえで,それらの行動ログデータを用いて説得性の算出を行い,被験者による評価実験を行った.評価実験の結果は,おおむね我々の仮説を好意的に支持するものであり,本論文において提案した"説得性を考慮した情報推薦手法"が,有効に作用することが確認できた.In the "information explosion" are when we can access the increasing amount of information available in digital form from anywhere and at anytime, a filtering method is one of the most important technologies to be solved; how to identify information whether it is adequate and relevant to a user or not. Although many information recommendation systems have been proposed, existing methods could not solve the problem of "overflow" of recommendations, if they judge the information only by using similarity measures of contents. In this paper, we propose a new recommendation approach based on persuasibility among users. We focus on lifelogging both in the real world and the information world. Our recommendation model the information acceptability of information from unknown users and assume that the information of highly persuasible users tend to be accepted than ones of little persuasible users. Our persuasibility model consists of expertise, trustworthiness, likability, and similarity which is typically used in collaborative filtering methods. We carried out some experiments for evaluating our method. Firstly, we developed a specific recommendation model and an experimental recommender. Secondly, we set an experiment to collect lifelogs in a authentic situation. In this experiment, we used 52 shops in a small but very popular town in Tokyo, and about 700 consumers were involved. Finally, we set up another experiment for evaluation of our recommender using a subset of these participants. Our experimental results suggest that our proposed "persuasibility-based recommender" is more useful than general collaborative filtering.
著者
大島千佳 西本一志 宮川洋平 白崎隆史
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1778-1790, 2003-07

本論文では、楽器の演奏経験が乏しい人でも容易にMIDIシーケンスデータを作成することができ、しかも従来の楽器と比べて遜色ない音楽表情づけのポテンシャルを持ち合わせるMIDIシーケンスデータ作成システムを提案する。近年の計算機の普及にともない、DTMシステムが多数開発され、誰でも音楽演奏に挑戦することができるようになった。しかし、MIDI楽器で通常に演奏してMIDIシーケンスデータを作成する方法では、楽器の演奏経験が乏しい人に多大な負担がかかる。また、音楽要素を個別に、端末を使って数値的に入力する方法では、質の高い音楽表情を担う各要素の微妙な調整や、音楽要素間の相互的な関係を考慮して操作することは困難である。そこで、入力を2段階に分けて、1段階目に端末かMIDI楽器で音高データのみの入力を行い、2段階目に音楽表情に関する要素を統合して入力する「2段階式作成方法」を提案する。38名の被験者に現在主流の2通りの入力方法と、提案した入力方法の3通りにより演奏データを作成してもらったところ、童謡とクラシック作品では「2段階式作成方法」が従来の方法よりも短時間で容易に入力ができ、作成された演奏データに満足がいくことが示された。また、ピアノ熟達者が従来の方法のうち、MIDI楽器を演奏して入力する「リアルタイム入力」と「2段階式作成方法」の2通りで、十分練習をしてから演奏データ作成を行い、20名の被験者に聞いてもらったところ、「2段階式作成方法」で作成された演奏データの音楽表情は、リアルタイム入力で作成されたものと比べて、遜色ないことが確かめられた。 : In this paper, we propose a method that allows people who are not good at playing musical instruments to construct performance date with rich musical expression. Recently, everybody becomes able to tackle with performing music by a MIDI system. There are two methods for composing MIDI sequence date, i.e., by normally playing the MIDI instruments and by separately inputting musical elements as numerical values. However, it is very difficult for inexperienced people to input correct note number with normally playing the MIDI instruments. On the other hand, it is also difficult for people to achieve rich expression by balancing all of the musical elements, by inputting them as numerical value separately. Consequently, we propose “ a two-phase input method”. In the first step, the user inputs only sequence of note number that she/he wants to perform by using MIDI instruments or Keyboard of a personal computer without considering musical expression. In the second step, she/he plays the MIDI keyboard to input musical expression by integrated control of the expressive musical elements. We conducted two experiments for examining the effectiveness of the two-phase input method. These results show that it is easier for inexperienced user to compose the MIDI sequence data with the two-phase input method than the conventional methods. Moreover, the musical quality of the MIDI sequence data composed by the two-phase input method was not inferior to that composed by normal performance with using a MIDI keyboard.
著者
梶 博行 相薗 敏子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.2248-2258, 2001-09-15
被引用文献数
1

対訳辞書は機械翻訳システムや多言語情報検索システムの重要な構成要素である.基本対訳辞書の増補や専門用語対訳辞書の作成を自動化することを目的として,対訳コーパスから語の対訳関係を抽出する新しい方法を開発した.本方法は,コーパス中で共起している語の集合で語を特徴付け,共起語集合の類似度が高い語のペアを対訳語ペアとして抽出する.異なる言語の語を構成要素とする共起語集合の類似度を計算するため,既存の対訳辞書を参照して対訳関係が成立する語を対応付ける.共起語集合の類似度計算という統計処理の中で既知の対訳知識を利用することにより,次の長所をあわせ持つ方法が実現できた.第1に,文レベルの対応付けがなされていない対訳コーパスに適用可能である.第2に,小規模な対訳コーパスから対訳語ペアを抽出することができる.第3に,未知語を含む単純語と複合語の任意の組合せの対訳語ペアを抽出することができる.日英対訳の特許明細書コーパスを用いて,既存の対訳辞書(50 000語の見出し語を持つ日英機械翻訳システムの対訳辞書)に未登録の対訳語ペアを抽出する実験を行った.33.8%の抽出率,76.7%の正解率を達成し,提案方法が実用に供しうるとの結論を得た.本方法は,大規模な対訳コーパスを要求せず,対訳文書を個別に処理していけばよいので,実際的である.今後の課題として,コーパスからの複合語抽出精度を向上させることがあげられる.A new method has been developed for extracting pairs of words that are translations of each other from a parallel corpus. First, for each word of both languages, the set of words co-occurring with it is extracted from the corpus. Then, the similarity between each pair of co-occurring word sets, one for a word of the first language and the other for a word of the second language, is calculated with the assistance of an existing bilingual dictionary of basic words. Finally, pairs of words that bear much similarity are selected. The method has the following features due to the combined use of co-occurrence information given by a corpus and bilingual knowledge given by an existing dictionary. It can extract word translations from rather small, unaligned corpora; it can extract a variety of word translations including pairs of simple words, pairs of compound words, and mixed pairs of simple and compound words. An experiment using Japanese-English patent specification documents achieved 33.8% recall and 76.7% precision; this demonstrates that the method is useful both for improving the coverage of an existing bilingual dictionary and for creating a bilingual dictionary of technical terms. A further problem is to improve the method for extracting compound words from corpora.
著者
長坂 晃朗 田中 譲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.543-550, 1992-04-15
被引用文献数
128

本論文では ビデオデータベースを実現するための基本アルゴリズムとして ビデオ情報の自動索引付け手法と 特定物体のフルピデオ検索法を提案するこれらは フルテキストデータベースにおける自動索引付けと全文文字列検索に対応する検索機能をビデオデータベースに提供するビデオ情報の自動索引付けは 再生中のビデオ情報から実時間でカット変わりを自動検出することを基本とする各カットの最初のフレームや最初の短時間の映像は そのカットに特徴的な情報であり これらの画像や動画像を表示するiconやmiconのリストは ビデオ情報の索引として用いることができるリスト中の各miconをマウスで指定し 対応するカットのフレーム番号をRS232Cを介してVTRやLDに伝えることによって そのカットを自動再生させることができるフルピデオ検索は 検索者が指定した物体が現れているフレームをビデオ情報中からすべて探し出すことを目的とする物体の指定は その物体を表す画像を与えることで行うビデオ情報に登場する物体は その現れる場面によって異なる大きさ 異なる形状 異なる向きを示すことが多いが 本論文で述べるアルゴリズムでは そのような場面の物体をも見つけることができる
著者
尾上 紗野 畑 秀明 松本 健一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.715-719, 2015-02-15

オープンソースソフトウェア(以下,OSS)開発には多くの開発者が携わっており,異なる特徴を持つ開発者が存在すると考えられる.開発者の特徴を明らかにすることで,OSSプロジェクトの成功に必要な開発者を明らかにできるなどのソフトウェア工学における新しい観点の発見が期待される.本稿ではGitHubで活発なOSSプロジェクトであるhomebrewとnodeに参加する開発者を活動履歴からクラスタリングし,その結果から開発者を分類した.クラスタリングで得られた樹形図を分析した結果,活発なOSSプロジェクトには迅速・議論型,迅速・総合型,悠然・総合型などの異なったタイプの開発者がいることが分かった.
著者
角 康之 江谷 為之 シドニーフェルス ニコラシモネ 小林 薫 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.2866-2878, 1998-10-15
被引用文献数
52

本稿では,我々が現在進めている展示ガイドシステムの研究プロジェクトC?MAP (Context?aware Mobile Assistant Project)の概要と現状を報告する.C?MAPの目標は,博物館や研究所公開などの展示会場を想定し,携帯情報端末を携えた見学者へ,彼らのおかれた時空間的な状況や個人的な興味に応じて,展示に関する情報を提供する環境を構築することである.我々は最初のテストベッドとして我々の所属する研究所の研究発表会を選び,展示ガイドシステムを試作した.携帯ガイド上には,展示会場の地理的案内と展示間の意味的な関連を可視化した意味的案内が提供され,これらはユーザの時空間的/心的な文脈に応じて個人化される.また,ガイドシステム上にはlife?likeな外見を持つガイドエージェントが表示され,システムとユーザ間のインタラクションを取り持つ.本稿では,展示に関する興味を共有する見学者?展示者間のコミュニケーションを促進するためのサービスについても述べる.This paper presents the objectives and progress of the Context-aware Mobile Assistant Project (C-MAP).The C-MAP is an attempt to build a tour guidance system that provides information to visitors during exhibition tours based on their locations and individual interests.We prototyped a guide system using our open house exhibition of our research laboratory as a tested.A personal guide agent with a life-like animated charadter on a mobile computer guides users using exhibition maps which are personalized depending on their physical and mental contexts.This paper also describes services for facilitating communications among visitors and exhibitors who have shared interests.
著者
山田 雅之 Rahmat Budiarto 伊藤 英則 世木 博久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.497-504, 1994-03-15
被引用文献数
8

アヤトリはひもを指に絡めて、その変形を繰り返すことによってさまざまな形を作り出すことができる。本論文では、アヤトリのひもの変形遇程の表現の方法と、この表現に基づくひも図形処理の方法について述べる。まず、指の動作によってひもが変形してゆく過程を表現する方法として、いくつかの基本動作を定義し、これ参に対応する図形をそれそれ重ね合わせる方法を提案する。次に、アヤトリの出来上がり形をこの重ね含わせ図形から生成するアルゴリズムについて述ぺる。最後に、この生成アルゴリズムの有効性をプログラムを作成して確認する。
著者
池添 剛 梶川 嘉延 野村 康雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.3201-3212, 2001-12-15
参考文献数
24
被引用文献数
30

本論文では,感性語により音楽を検索するシステムを提案する.提案システムでは,データベース中の曲をマッピングするための検索空間をSD法ならびに因子分析により生成する.また,データベースに新たな曲を登録する際には,GAとニューラルネットワークにより構成された自動インデクシングシステムにより検索空間へのマッピングを行う.検索の際には,8つの感性語対の度合い(1?7)をニューラルネットワークに入力することにより,ニューラルネットワークはそれらの入力に対応する感性空間中の座標を出力するので,検索システムはその出力座標値からユークリッド距離の最も近い曲から順番に検索候補としてユーザに提示を行う.提案システムに対して主観評価実験を行ったところ,検索システムに関しては95%の被験者が満足しており,自動インデクシングシステムに関しては59%の被験者が満足するという良好な結果が得られた.In this paper, we propose a music retrieval system with KANSEI words.In the proposed system,retrieval space in which tunes are mapped is generated by semantic differential methods and factor analyses.When a new tune is registered,the tune is mapped in the retrieval space by an automatic indexing system using genetic algorithms and neural networks.In case of retrieval,arbitrary levels of 8 pairs of KANSEI words are input into a neural network,the neural network outputs the corresponding coordinate value in the retrieval space.Then the proposed retrieval systems show a user some candidate tunes in near order of distance from the output value.The subjectivity evaluation experiments to the proposed system demonstrate the good result that 95% of subject was satisfied about the retrieval system and 59% of subject was satisfied about the automatic indexing system.
著者
林 健太郎 久野 義徳 白井 良明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.556-566, 1999-02-15
被引用文献数
9

本論文では 画像から抽出した上半身の3つの特徴点を基準とし 手の3次元位置 方向を計測する手法を提案する. 著者らが先に発表した手法では 3次元情報を計算する際に基準となるアフィン座標系を作るための4つの特徴点をユーザの体から抽出していた. このとき 4点は同一平面上にあってはならないので ユーザの姿勢は大きな拘束を受けていた. 本論文では アフィン座標系を作る特徴点のうちの3点を体上にとり その3点が作る平面の法線上の1点を仮想的な4点目とする. このようにすれば3つの特徴点でアフィン座標系が作れるので ユーザの姿勢を拘束しないヒューマンインタフェースを構築できる. 実験として シミュレーションによって仮想基準点を求める手法を検証する. また 応用例として本手法を用いたプレゼンテーションシステムを構築し ヒューマンインタフェースとして有効であることを示す.This paper describes a method to measure the user's 3D hand position and orientation using 3 features on the upper body of the user. The method proposed by the authors before used 4 feature points attached on the user's body. The user's pose was restricted because these 4 features must not be coplanar. Thus, we propose to use a virtual feature as the 4th feature, which is calculated by using the normal direction of the plane made by the 3 features. This method allows the user to move freely. The experimental results show that the proposed method is useful for the interface of presentation systems.
著者
鈴木 克典 湯川 高志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.414-422, 2013-01-15

企業が技術戦略を策定する際,技術動向を調査・視覚化してその方針決定に役立てる.このような調査に有益なツールの1つとして特許マップがあり,多くの場合,この作成には特許文書に付与されている国際特許分類(IPC)コードが利用される.この特許マップに学術論文の情報を追加することができれば,より有益なツールになると考えられるが,現在学術論文はIPCに基づいた分類が成されておらず特定分野の網羅的な調査には大きな負担がともなう.本稿では,学術論文に自動的にIPC分類コードを付与するシステムの精度向上を目指し,分類手法を構成する3つの要素について高度化とパラメータの最適化を図った.本稿が最適化した3つの要素とは,文書からのキーワード抽出,クエリ拡張,類似特許検索における適合度計算である.これらの要素について,いくつかの方法とパラメータを変化させて実験的に評価し,その最適値を見出した.結果,再現率をほとんど低下させることなく,MAP値を0.199から0.494に改善することができた.A patent map is a technical information map which was made by analyzed patents. It would become more useful if it includes information not only on patents but also research papers. To achieve this, automatic classification of research papers into the International Patent Classification System (IPC) is required, and some systems has been developed. In the present paper, the elemental functions which is consisted in an automatic technical paper classification system are improved and optimized for obtaining higher classification accuracy. The new method that focuses on keyword extraction is proposed and search query is expanded by concept base. In addition, patent document has a specific structure consisting sections represented in different granularity keywords. A method that weighing the score of similarity calculated between each structural element is proposed. Using the methods described above, the optimum value of precision is got by varying parameters. As a result, the MAP value was up to 0.494 from 0.199 in empirical assessment.
著者
高田 哲司 小池 英樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.3265-3275, 2000-12-15
被引用文献数
21 30

計算機の運用管理においてログ情報の調査は必要不可欠である.この作業は,計算機への不正侵入の多発にともないその重要性を増しつつある.しかしログ情報の調査は退屈で単調な作業であるため,その作業を敬遠する傾向が高く,結果として種々の問題を見過ごす原因となっている.さらに,異常を表すログ情報の抽出が困難であることも調査作業を困難にする原因としてあげられる.そこで本研究ではテキストマイニングをログ情報に適用し,異常事象を表すログ情報の抽出を支援する.さらにそれらの情報を情報視覚化を用いて図化してユーザに提示することによりログ情報の認識を支援する.我々はこれらの特徴により人間によるログ情報の調査作業を支援するログ情報ブラウザ``見えログ''を開発した.本システムを利用することにより,システム管理者が異常事象を表すログに関する種々の規則を事前に定義しなくても異常を表すログ情報の抽出を可能にする.また抽出された特徴情報は,情報視覚化によって図化されるとともに文字による表示と連係して提示される.これにより個々のログ情報に関する種々の特徴を容易に把握することが可能となり,人間が様々な観点をもとに注目すべき情報か否かを判断をすることが可能となる.これらの特徴により人間によるログ情報の調査作業を支援することが可能となる.It is necessary for system administrator to investigate some log information. The reason is that log-files contain enormous information generated from an operating system and various programs and these information are useful to solve a variety of troubles on computer. Moreover, an intrusion to the computer becomes serious problem more and more.A system administrator, therefore, has to watch a log information periodically in order to find out the intrusion marks.In this research, we developed log information browsing system, which is called ``MieLog'', in order to support such task.MieLog extracts some characteristics from log information.An example of these characteristics is the number of log outputting in fixed time or the length of log text.MieLog, moreover, represents their characteristics visually with textual information.As a result, MieLog makes it easier for system administrator to investigate log information.
著者
河内谷清久仁 石川 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1431-1439, 1998-05-15
被引用文献数
6

PDAに代表される超小型の携帯情報機器が数多く登場してきている.このような機器では,電車やバスの中で立ったまま,もしくは歩きながらでも簡単に情報にアクセスできるような操作性が重要である.しかし,携帯情報機器の操作では,画面が小さい,画面を注視できない,片手しか使えない場合もある等の様々な制約がある.そのため,このような環境で情報へのアクセスを快適に行うには,入力デバイスも含めた操作方式に対する工夫が必要となる.本論文ではまず,このような携帯環境での情報ブラウジングで求められる要件について述べ,従来の操作方式の比較検討を行う.次に,これらを考慮した新しい入力デバイスである「NaviPoint」を紹介する.NaviPointは,携帯情報ブラウジングに特化した入力デバイスで,「アナログ入力」「クリック入力」の3種類の入力操作を指1本で行うことができる.これにより,メニュー選択やハイパーメディア・ブラウジング等の操作が指1本で可能となる.本論文ではNaviPointの構造と定性的な評価に加え,試作したプロトタイプの構造についても述べる.プロトタイプを用いた評価実験の結果,従来のマウスとスクロールバーを用いた操作方式と比べても,1.5倍以内のオーバヘッドでハイパーメディア・ブラウジングが行えることが分かった.A mobile computing environment imposes various restrictions on users.For example,most mobile devices have a limited screen size,and it may be difficult to watch the screen closely.While the user is walking or standing in a bus or train,he or she may have only one hand free to manipulate the device.Therefore,some new operation method must be developed for comfortable information browsing in the mobile environment.In this paper,several existing methods are first introduced and compared from the viewpoint of their applicability in a mobile environment.A new input device for such an environment,named "NaviPoint,"is then introduced.The NaviPoint is a specialized device for mobile information browsing.By using this device,a user can perform three types of input-"analog input,""digital input," and "click input,"-with just one finger.After an explanation of the conceptual structure and a qualitative analysis of the NaviPoint,the structure of a prototype is described.Experiments using the prototype show that information browsing is possible with an overhead of less than 50% on the usual "mouse and scroll bar" method.