著者
山﨑 郁未 中村 聡史 小松 孝徳
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1438-1446, 2023-10-15

自由記述設問における不真面目回答は,回答者が自由記述設問は面倒であるものの,ある程度回答したため途中で辞めたくないと考えることから回答してしまう可能性がある.そこで本研究では,自由記述設問をアンケートの最初に提示し,離脱する抵抗感が少ない冒頭で離脱できるようにすることで不真面目回答を減らし,アンケートの質を向上させることが可能かどうかを検証する.具体的には,アンケートにおける自由記述設問の位置が,不真面目回答率や離脱率に与える影響を調べるために,クラウドソーシングを用いた実験を行った.その結果,自由記述設問を最初に回答した方が,自由記述設問を最後に回答するよりも不真面目回答率が低く,離脱率が高いこと,自由記述設問の内容に大きな違いがないことが分かった.また,アンケートを公開してから10分以内に回答を始めた回答者は,不真面目回答率が高いことも示唆された.
著者
北脇 知己
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.85-90, 2014-01-15

本研究では研究室配属問題に関して,学生の成績に依存する指数関数型の重み関数を用いた,新しい研究室配属方法を提案する.この方法は,成績上位の学生には成績を優先させて配属しつつ,成績下位の学生には配属希望を最適化した配属を行って,2つの配属方法を切り替える方法である.数値シミュレーション計算により,提案した研究室配属方法が重み関数のパラメータを変化させるだけで,配属方法を任意の成績順位で切り替えられることを示した.この研究室配属方法はe-learningなどの情報処理技術を用いた教育支援システムとの親和性が高く,今後の実用化が期待される.
著者
松木 隆宏 新井 悠 寺田 真敏 土居 範久
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.2118-2126, 2009-09-15

近年,ウイルス対策ソフトウェアによる検知やパターンファイルの作成に必要となる解析を妨害する機能を有したマルウェアが出現している.特に,ボットの場合にはC&C(コマンド&コントロール)サーバの情報や指令コマンド等の解析作業を妨害するため,解析作業の兆候を検知した場合に,自己の動作を意図的に停止するマルウェアの存在も報告されている.このような耐解析機能は,ウイルス対策ベンダやセキュリティ研究者らによるマルウェアの解析時間を増加させ,結果としてマルウェアによるユーザの被害の拡大につながってしまうことになる.本論文では,耐解析機能を備えたマルウェアによるユーザの被害を低減させることを目的とした新しい対策アプローチを提案する.提案方式は,マルウェアの耐解析機能が動作した際に自己の動作を停止する性質に着目し,これを逆用してマルウェアの動作を抑止する方式である.まず,提案方式の実現例として,耐解析機能の1つであるデバッガ検知機能を逆用し,マルウェアの活動を抑止する手法を示す.次に,デバッガ検知機能を逆用するプロトタイプシステムを実装し,ハニーポットで収集したマルウェア検体を用いた評価を通じて,提案方式の有効性を示す.
著者
松下 宗一郎 小松 叶芽 田村 黎 加茂 文吉
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.1123-1133, 2023-06-15

利用者の日常的な運動記録ならびに評価を行う対環境ロバスト性の高いパーソナルモーションキャプチャーデバイスの検討を行った.3軸加速度ならびに3軸角速度センサからなる慣性運動センサICチップに低消費電力マイクロコントローラを組み合わせることで,連続最大約16時間の運動信号をSDメモリカードへ記録することができる.3Dプリンタによる腕時計型ケースへの実装ではデバイスの総重量は約39グラム以下となり,日常的な利用が十分に可能であった.このデバイスを大学における28週にわたるエレキギター演奏技法レッスン開発演習クラスに適用したところ,演奏技量の変化をリズムの正しさ,リズムのゆらぎ,アクセントの鋭さで数値化することができた.また,エレキギターのコードストローク奏法おける利き手側の運動学的診断をリアルタイムで行うシステムを製作した.様々な技量レベルにある16名のアマチュア奏者による評価実験では,リズムの正しさが達成された後は,プロギタリストによる演奏フォームとの差異へと注視点が移っていく奏者が現れることが分かった.
著者
三木 彰馬 榎原 博之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.651-659, 2019-02-15

本論文では代表的な組合せ最適化問題の1つである巡回セールスマン問題(TSP)に注目し,深層学習を適用した解法を提案する.本手法では,畳み込みニューラルネットワークを用いて最適経路を画像として学習することで,最適経路に含まれうる辺の分布である優良エッジ分布を求め,これにより計算される辺の評価値である優良エッジ値を利用して近傍探索を行う.この提案手法の性能を調べるために実験を行い,解の精度向上において有効であることを示す.
著者
河合 利幸 山下 伸一 大野 廣司 吉村 浩 西村 仁志 下條 真司 宮原 秀夫 大村皓一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.729-740, 1988-08-15

コンピュータグラフィックスの普及に伴い 高品位な画像をより高速に生成することが要請されている.我我は 視線探索法を用い 並列処理により画像を生成するシステムLKNKS-1を試作し 数多くの実験を重ねてきた.この結果を基に 飛躍的な処理速度の向上を目指し 新たなシステムを設計した.本システムのユニットコンピュータ(UC)は LINKS-1のUC と比較して 演算能力と通信機能が大幅に強化されている.本UCは 32ビット浮動小数点演算を並列処理するデータプロセッサ アドレス計算を行うインデックスユニット 通信を制御するチャネルプロセッサ等主要ユニットが非同期に並列パイプライン動作する・メモリアクセス競合を削減し データ転送を並列化するため 各ユニットはクロスバースイッチにより 4ウェイにインタリーブされたデータメモリと結合されている.これら主要部分は カスタムVLSIを用いて実現した.その結果 本UC1台の画像生成速度はLINKS-1の約50倍に達する.また 並列処理効率についても改善が認められた.本論文では その高速化の手法について述べ シミュレーションによりその効果を明らかにする.
著者
大津 耕陽 福島 史康 高橋 秀和 平原 実留 福田 悠人 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 敬一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2019-2029, 2018-11-15

近年さかんに行われているアイドルのライブにおいては,演者の演技に対し観客が「応援」という形で参加することにより,会場をともに盛り上げていこうとする様子が見られる.本稿では,アイドルのライブにおける演者の演技・それに対する観客の応援を振動・光に変換し,双方向に伝達しあうことで,演者・観客間の双方向インタラクションを拡張するライブ支援システムを提案する.提案手法を実現するために,応援したいメンバの演技をリアルタイムに観客の持つデバイスに振動・光として提示する機能,観客が自身の持つデバイスを振ることで光として応援を可視化して演者側に伝達する機能の2つを持つシステムを開発した.実際のライブ環境下において実験を行い,演者の動きの情報を観客に伝達することで応援したいメンバと観客の間の一体感が高まることを確認した.また,デバイスの振りの情報に基づいて観客の応援の大きさを演者の衣装に提示することによって,応援したい特定のメンバと観客間の一体感に加えて,特定のメンバを応援する観客同士の一体感が高まることを確認した.
著者
稲葉 緑 稲葉 啓太
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1757-1769, 2022-12-15

高校生の多くが,インターネット利用にともなうリスクの知識を持つ一方で当事者意識が欠如しているとされる.具体的には,そのリスクが自身に発生する可能性を認識できていないとの報告がある.本研究は,この認識の改善に有効なディスカッション教材の提案を目的とする.提案する教材は,高校の情報モラルの授業で利用することを想定した.ディスカッションの中で,生徒はSNS利用時のリスクの高い行動についてのシナリオを読み,主人公としてその行動について判断する.その後,その判断やリスク,リスク対策等をディスカッションする.有用性を評価するため,提案する教材と,既存の情報モラルに関するディスカッション教材を参照したベースラインの教材を試作して比較した.第1に,高校教育経験者へのインタビューにより,提案教材がベースラインの教材と同程度に授業で利用可能であることの示唆を得た.第2に,高校生を対象とした実験を実施した.提案教材を使った生徒がベースラインの教材を使った生徒に比べ,ディスカッションで学んだリスクの自身への発生可能性を高く評価するとの仮説を検討し,これを支持する結果を得た.また,この教材間の評価の差は,SNS利用に関する被害未経験者で顕著であった.本研究は高校での情報モラル教育の補助教材に関する貢献を示すとともに,残された課題について議論した.
著者
Keita Shimada Hiroki Watanabe Takao Kondo Fumio Teraoka
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, 2022-12-15

Current IoT systems are closed and specialized for specific purposes. In the near future, IoT Service Providers (IoTSPs) will emerge to allow providing sensing data observed by IoTSPs to subscribers. This paper proposes a mechanism called FedIoT, in which IoTSPs federate or namely unite in an autonomous and decentralized manner. Subscribers to an IoTSP in an FedIoT system can obtain sensing data observed by any IoTSPs in the FedIoT system. The design principle of FedIoT is analogous to that of the Internet. A FedIoT system is composed of multiple IoTSPs as the Internet is composed of multiple ASs (Autonomous Systems). FedIoT basically provides only sensing data to IoT applications and it depends on IoT applications how the sensing data is utilized as the Internet basically provides data exchange between applications. IoTSPs are interconnected with a unified interface called Primitive API considering operation policy as ASs exchange routing information considering operation policy. FedIoT defines a domain ontology called OntoFedIoT as the unified representation of locations and types of sensor nodes. A proof of concept system is implemented in Go language. The basic performance evaluation in this paper shows that the time required for obtaining sensing data is short enough for practical use.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.30(2022) (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.30.898------------------------------
著者
坂東 宏和 杉崎 知子 加藤 直樹 澤田 伸一 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.804-814, 2002-03-15
被引用文献数
13

本論文では,一般的な教室環境における黒板の発展型として対話型電子白板を設置した環境を想定し,対話型電子白板上に複数の専用電子教材を起動し,それらのウインドウ領域にまたがって,かつ,それら電子教材の実行と並行して画面全体へ自由に板書が行える機能を提供する電子黒板ミドルウェアの基本構成について述べる.さらに,本ミドルウェア上で動作しているすべての電子教材の実行状態を一括して保存する機能や,一括してスクロールする機能などの,情報化の利点をより簡便に活かすための付加機能も提案する.従来のデスクトップ環境では,黒板のように画面全体への自由な板書を行うことはできない.画面全体に手書きで描画できるようにするソフトウェアも開発されているが,既存のソフトウェアでは板書内容を表示したまま起動されている他のソフトウェアに対する操作をしたり,動画表示を行ったりすることができなかった.そこで,本論文ではこれらの問題をミドルウェアレベルで解決する方法を提案するものである.また,一斉授業の中で利用しやすい電子教材を開発するための方針を明確化し,その方針に従って設計した複数の専用電子教材の試作例を提示する.このミドルウェアと専用電子教材を教育現場で試用したところ,電子教材と板書を組み合わせることで,従来の教室環境で教師が培ってきた授業経験と情報化による利点の両方を活かした授業が実現できることが示唆された.This paper presents a middleware architecture for an electronic whiteboard so that the user can run multiple educational applications on it, while being able to draw and make annotations on the whiteboard at the same time. On conventional desktop environments, one can draw lines or make annotations within a single window but cannot do so over multiple windows across a whole screen. Although some softwares allow the user to draw lines over the snapshots of multiple applications across a whole screen, it disables each application to accept users control or to change its display dynamically while showing drawn lines. The middleware we propose does not suffer from such restrictions. Moreover, it also provides features such as freezing the execution of education applications at any time and saving the state of each application so that their execution can be resumed from the saved state at a later time; and scrolling the windows of all the running applications collectively. We also propose guidelines to design educational applications running on the electronic whiteboard, and describe some experimental applications developed according to these guidelines. The experimental use of the system in actual classes suggests that the middleware is quite useful for classroom teaching.
著者
山守 一徳 海野祐史 河合 敦夫 椎野 努
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.2928-2938, 2002-09-15

駅の切符売り場や列車の扉の上などで見かける鉄道の路線図は,等縮尺の地図上の線路図形と比べて大きな変形が施されている.駅間の繋がりを表す位相構造は維持したままでそのような大きな変形を施した路線図をデフォルメ路線図と呼ぶ.我々は,縦方向に圧縮されたデフォルメ路線図をインタラクティブ生成するシステムを開発した.本システムで用いた手法は,各線分を反復並列的にゆっくりと移動させることによって,変形前の位置にできるだけ近い形で変形を行うものである.ユーザは望む結果を得るまで,線分の向きを指示し結果を修正することができる.最後にできるだけ小さな領域内に路線図が収まるように駅名の再配置を行う.実験より,本システムは,縦方向に十分圧縮された満足のいく結果が生成できることが分かった.
著者
宮代 隆平 矢野 洋平 村松 正和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.3463-3469, 2007-11-15

囲碁の盤上において,縦または横に連結している同じ色の石の極大集合を連と呼ぶ.連数最大化問題とは,「囲碁のルールの下でn 路盤上に最大でいくつの連が存在できるか」という問題である.この問題はごく最近に提起され,これまでは16 路盤までの連数の最大値しか求められていなかった.本論文では,連数最大化問題を整数計画問題として定式化し,問題の特徴を利用した制約条件を追加することにより,19 路盤における連数の最大値とその盤面を求めた結果を報告する.
著者
高嶋 和毅 大森慈子 吉本 良治 伊藤雄一 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3811-3820, 2008-12-15

キャラクタの瞬目率を制御することによってキャラクタの魅力や心理状態の表現を操作する手法を検討し,キャラクタの瞬目アニメーションに関する設計指針を提案する.本研究では,2つのキャラクタ印象評定実験を行った.実験1では,刺激に中程度のリアリティを持つキャラクタモデル(男女2体ずつ計4体)を用い,瞬目率を9,12,18,24,36 blinks/minと変化させた場合の観察者の印象をSD法により評価した.実験2では,カートゥーンキャラクタモデル(男女,動物,未知の生物を各2体ずつ計4体)を用いて同様の実験を行った.これらの結果,18 blinks/minの瞬目率が最も親近性のあるキャラクタであると判断され,この傾向は人型キャラクタにおいて顕著であった.また,36 blinks/minなどの高頻度の瞬目を行うキャラクタは活発でない印象を与え,9 blinks/minといった低頻度の瞬目では知的な印象を与えることなどが分かった.
著者
山本 幹雄 小林 聡 中川 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.1322-1330, 1992-11-15
参考文献数
11
被引用文献数
20

音声対話における発話文は 言い淀み 言い直し 間投詞 助詞の省略 倒置などの話し言葉特有の特徴を持つため これまでの書き言葉に対する自然言語の解析手法をそのまま適用するには問題がある・本論文では解析において まず問題と通る名詞文節の助詞落ちと倒置について 実際の音声対話文約1 800文を分析し その結果をもとに解析手法を提案する.音声対話文では 名詞文節の約4%の助詞が省略されていた.省略される助詞は「が を に は」など述部に係る場合に必須格の機能を持つものが80%を占めていた.係り先の性質としては 述部に係る助詞落ち名詞文節の99%が最も近くの述部に係る.また 文頭にある助詞落ち名詞文節は「は」が省略される可能性が高く(68%) 遠くに係る可能性を持っているまた 係り関係(格)については 述部の格構造の簡単な意味制約によって 90%が推定できることが分かった.倒置に関しては 述部に係る文節が倒置される場合が94%を占めており 倒置された句が1つ前の文節に係る場合が91%であった.また 倒置された句の直前の文節は必ず終止形で終わっていることが分かった.以上の分析を反映したヒューりスティックスを助詞落ちに関して5つ 倒置に関して2つ提案した.語彙が700の小規模な実験タスクで評価した結果 助詞落ち 倒趣共に約90%の例を正しく解析できることが分かった.
著者
宮田 章裕 林 剛史 福井 健太郎 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.906-914, 2006-03-15
参考文献数
16
被引用文献数
6

我々は,思考状態および発話停止点を利用した会議の動画ダイジェスト自動生成を提案する.映像中のシーン変化やカメラワーク,テロップを利用する従来手法では,日常的な会議映像のダイジェストを生成することは困難であった.そこで,本手法では,「思考」と「発話」という情報を利用して日常的な会議映像のダイジェストを生成する.具体的には,脳波情報を利用して思考状態をMS-Levelという独自の指標で数値化し,発話停止点を利用して素材映像から単位映像への分割を行う.そして,単位映像の中からMS-Level が高いものを抽出・連結する.プロトタイプシステムを利用した評価実験では,比較システムより的確なダイジェストを生成できることを確認した.In this paper, we propose a method to summarize movies of a conference automatically by the use of participants' mental states and speech breakpoints. Currently, many research groups have developed techniques for video summarization, but these ways are not qualified for editing conference movies. To address this issue, we propose a method to summarize conference movies by the use of participants' mental states and speech breakpoints. We define MS-Level (Mental State Level) derived from one's EEGs as an indicator of mental states. Video Segmentation is conducted by detecting speech breakpoints of participants. After segmentation, high MS-Level scenes are extracted and constitute a digest movie. We ran experiments to evaluate our proposition using a prototype system, and conclude that our proposal will contribute to a better summarization of conference movies.
著者
西山 勇毅 柿野 優衣 中 縁嗣 野田 悠加 羽柴 彩月 山田 佑亮 佐々木 航 大越 匡 中澤 仁 森 将輝 水鳥 寿思 塩田 琴美 永野 智久 東海林 祐子 加藤 貴昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1630-1643, 2021-10-15

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大にともない,多くの大学ではキャンパス内での感染予防のために,キャンパスの封鎖とインターネット越しに授業を配信するオンライン授業が導入され,学生たちは自宅から授業に参加している.このような在宅中心の新しい生活様式は,感染予防効果が見込める一方で,運動不足による二次的な健康被害が懸念される.新しい生活様式における大学生の身体活動の実態,特に学生の属性や時間帯ごとの身体活動量とその内容を明らかにすることは,二次的な健康被害を予防するうえで必要不可欠である.そこで本研究では,日常生活中の身体活動データ(歩数と6種類の行動種別)を大学生が所有するスマートフォンを用いて自動収集し,大学生の身体活動量を明らかにする.身体活動データは,必修の体育授業を履修する大学1年生305名から10週間収集した.その結果,通学(7時から10時)や教室での授業,課外活動(11時から24時)の時間帯における歩数の減少と静止時間の長時間化が明らかになった.本結果は,新しい生活様式における大学生活が平日の身体活動量の低下を招く可能性を示唆する.
著者
竹内 聖悟 林 芳樹 金子 知適 山口 和紀 川合 慧
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.3446-3454, 2007-11-15

勝率と評価値の関係に基づいた問題点の発見手法を提案し,その有効性を示す.強いプログラムの作成には良い評価関数が不可欠だが,既存の評価関数の問題点の発見や評価値の適切な調整には,対戦などの試行錯誤が必要であり困難であった.本研究ではまず,問題点の発見手法として,評価関数が与える評価値に対する勝率に着目しそのグラフを描くことを提案し,評価関数に欠陥が存在する場合には複数の線として明確に図示されることを示す.さらに,欠陥を解決した評価関数では評価値に対する勝率のグラフが条件によらず一本化されるため,グラフにより評価関数の改善を確認できることを示す.実際に将棋,チェス,オセロについて評価関数の欠陥を図示ができることを示し,将棋においてはその改善がグラフで確認できることを示す.さらに自己対戦から実力が改善されていることを確認した.
著者
山田 一郎 鳥澤健太郎 風間 淳一 黒田 航 村田 真樹 ステインデ・サーガ フランシス ボンド 隅田 飛鳥 橋本 力
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3435-3447, 2011-12-15

質問応答などの自然言語処理アプリケーションが実用レベルに至るには,計算機で扱うことのできる,世界についての膨大な知識を構築する必要がある.本論文では,そのような知識の筆頭といえる,「サッカー選手/長友佑都」などの語句間の上位下位関係を自動獲得する手法を提案する.提案手法は,Wikipediaから獲得した上位下位関係と,Webテキストから獲得した語句間類似度情報を併用することで,網羅的かつ高精度に上位下位関係を獲得する.評価実験では,提案手法の適合率が,複数のベースライン手法の適合率に比べて,スコア上位10,000ペアでは0.155から0.650の差で,スコア上位100,000ペアでは0.190から0.500の差で上回ることを確認した.また,提案手法の獲得結果の中には,広く用いられている語彙統語パターンによる手法では獲得できない上位下位関係が多く含まれていることを確認した.In order to make natural language processing (NLP) applications such as question answering accurate enough for practical use, it is essential to build a large-scale, computer-tractable semantic knowledge base. In this paper, we target hyponymy relation like "football player/Yuto Nagatomo," which is one of the most important semantic relations for NLP. We propose a new method of large scale hyponymy relation acquisition from Web texts that combines a hyponymy relation database constructed from Wikipedia and the distributional similarity between words calculated from Web texts. Experimental results showed that, in terms of precision, our method outperformed nontrivial baseline methods by 0.155 to 0.650 for the top 10,000 pairs and by 0.190 to 0.500 for the top 100,000 pairs. Furthermore, we confirmed that our method could acquire hyponymy relation pairs that widely-used lexico-syntactic pattern based approaches could not.
著者
西口 真央 鳥海 不二夫 高野 雅典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1639-1646, 2020-10-15

近年,オンライン空間上において,主に未成年者を対象としたいじめや誘い出しのような犯罪が起こる可能性,いわゆるネットリスクを抑制することが重要な課題となっている.従来の解決アプローチの1つとしては,主に会話コーパスを入力とした,ネットリスクの高いメッセージやユーザを自動検知する取り組みがあげられる.しかしながら,実社会では会話コーパスの利用自体が困難なケースも存在し,かつ,近年は複数人で交流可能なメディアにおけるリスクが顕著に高まっている.本研究では,会話コーパスを用いずに,メタデータのみを利用してネットリスクの高いグループを識別するモデルを構築する.実データを用いた2クラス分類モデル構築実験の結果,Macro-F1値で0.883と高い精度で高リスクグループが検出可能となった.さらにモデルを解釈することで,特定のネットワーク構造を持つユーザが所属するグループはリスクが高まる,などのいくつかの興味深い知見を得た.
著者
柴田 陽一 三村 昌弘 高橋 健太 中村 逸一 曽我 正和 西垣 正勝
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1833-1844, 2004-08-15
被引用文献数
3

公開鍵基盤(PKI)における秘密鍵は通常,ユーザが所有しているデバイスに保存されることになる.よって,デバイスの耐タンパ性の確保や盗難・紛失などに対して注意を払わなければならない.そこで本論文では,秘密鍵そのものではなく,秘密鍵を生成するメカニズムのみをデバイスに実装する「メカニズムベースPKI」を提案する.本方式では,ユーザが文章に署名を付す瞬間に,ユーザがデバイスに秘密鍵の種を入力することにより,デバイス内で秘密鍵を生成する.普段はデバイス内に秘密鍵は存在せず,デバイスの盗難・紛失の際にも問題はない.秘密鍵の種には様々な候補が考えられるが,ここでは一例として指紋を使用する方法について示す.しかし,指紋はアナログデータであり,指紋からつねに一意の秘密鍵をリアルタイムで生成することは困難であった.本論文では統計学的なアプローチによりこの問題を解決する「統計的AD変換」についてもあわせて提案する.基礎実験の結果,統計的AD変換によって指紋からつねに一意なユニークコードをリアルタイムで抽出可能であることが確かめられた.This paper proposes a "mechanism-based PKI", in which only a mechanism for generating user's private keys is installed on a smart card. The private key is generated inside the smart card at the event that the legitimate user gives a "seed of private key" to his/her smart card in order to sign a document. The key exists nowhere except while users are signing a document. Thus, users no longer need to pay considerable attention to their smart cards. In addition, this paper also proposes a "statistical A/D conversion", which is an effective scheme to convert fingerprint to just one and the same ID in real-time. The statistical A/D conversion enables us to use fingerprint as a seed of private key. We construct an example system for real-time key generation form fingerprint. From some basic experiments that we carried out, the availability of the system is confirmed.