著者
梶原 智之
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2018-08-24

2020年の東京五輪に向けて、機械翻訳の精度向上が急務である。従来の機械翻訳は、翻訳文と正解文の単語単位の一致率を最大化する訓練を行ってきたが、この正解文は数ある正しい翻訳の表現の一例に過ぎない。本研究では、マルチモーダル品質推定によって正解文の表現に依存しない訓練を行い、機械翻訳を高度化する。本研究の背景には、対訳などの大規模なテキストとテキストの対応データが一部の言語でしか利用できない一方で、SNSの普及により画像とテキストの対応データが多くの言語で大規模に利用できるという利点がある。
著者
江畑 冬生
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

平成25年度には,トゥバ語コーパス資料の作成およびトゥバ語現地調査のための予備調査を行った.(1) 『トゥヴァ語基礎例文1500』およびインターネット上で公開されているトゥバ語新聞記事をもとに,トゥバ語のコーパス資料を作成した.(2) 2014年2月に8日間の日程でロシア・サンクトペテルブルクを訪問し,母語話者でもあるアルジャーナ・シュリュン博士の協力のもとトゥバ語の予備調査を進めるとともに,文献資料の収集を行った.本年度の研究成果として,日本エドワード・サピア協会第28回研究発表会(聖心女子大学),国研名詞化プロジェクト研究会(筑波大学),韓国アルタイ学会(ソウル大学),NINJAL Typology Festa 2014(国立国語研究所)における口頭発表を行った.さらに,『人文科学研究』第133輯,Tomsk Journal of Linguistics and Anthropology 第3号,『北方人文研究』第7号,『北方言語研究』第4号,『日本エドワード・サピア協会 研究年報』第28号に論文が掲載されることになった.
著者
徳井 美智代
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究は、中小企業への入職後に発生する雇用のミスマッチの要因を探求することである。そのため、中小企業の従業者に求められる「コンピテンシー(行動能力)」に着目し、北海道、関東、九州の中小企業3,462社に経営者と従業者を対象にアンケート調査及び聞き取り調査を行い、検討を行った。その結果、1)経営者が求めているのは市場に対応するスキルの向上 2)従業者が求めているのは到達目標の具体的明示とそれに必要な教育訓練であり、そのギャップの存在がミスマッチの要因と関係していることが明らかとなった。
著者
牛島 佳代
出版者
福岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

個人化と少子化が急激に進んだ日韓両国において、育児環境と母親のメンタルヘルスについて調査研究を行った。対象としては、日本の福島県中通りの3歳児を持つ母親と韓国大邱市の保育園・幼稚園の園児の母親である。結果、日韓両国において、主な育児支援ネットワークは夫と母親の親であることがわかった。また、この育児支援ネットワークの数が母親のメンタルヘルスを向上させる重要な要因であることがわかった。
著者
横山 啓太
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

数学の諸命題の強さを論理学の視点から分析する逆数学研究の基盤を広げ、より多様な視点から数学の諸命題の評価を行うことを目指して研究を行った。特に、これまで計算可能性理論の視点からの命題の強さの評価に偏りがちだった組み合わせ命題の強さについて、帰納法の強さ等の証明論的強さの視点からの評価を行うための諸種の手法の導入を行った。さらに、これらの成果を構成的数学の視点を踏まえて計算機科学、特にプログラム検証の分野と結びつけるための道筋を得た。
著者
有賀 雅奈
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究では、ジャーナル『Cell』の創刊(1974年)以来の総説と記事の図を対象にボトムアップに図の分類枠を構築し、図の経年変化と傾向を分析した。大分類としては、(1)データとしての図、(2)説明のための図、(3)それらの融合という三つのカテゴリーに分かれ、経年変化をみると特にデータとしての図の増加が顕著であった。図は実験技術・表現技術とメディアの進歩に従って種類や表現方法が多様化していると考えられ、科学の議論の拡大や技術の発展を生み出す原動力になっていると考えられた。
著者
前田 健太郎
出版者
首都大学東京
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本の公務員数が他の先進諸国に比べて大幅に少ない理由を考察した。特に、従来の研究が触れてこなかった点として、日本が経済発展の早い段階で公務員数の増加を抑制した理由を重視した。その結果、日本では政府が公務員の人件費をコントロールする制度的な手段を持たなかったことが重要な要因だという結論に至った。給与を抑制できなかったことが、政府を人員の抑制へと向かわせたのである
著者
新海 宏成
出版者
山形大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究の主たる目的は,サッカーのロングスローインについて,その動作の特徴を明らかにすることであった.大学サッカー選手のスローイン動作を対象として3次元動作分析を行った結果,飛距離の大きな選手には「体幹の大きくかつ効果的なタイミングでの動き」,「前方よりのリリースポイント」といった特徴が認められた.これらの動きは,ボールに対する投球方向への作用力を増大させ飛距離を大きくする効果があり,また視覚的にも判断しやすいポイントであることから指導の現場で有効な評価指標となり得ると考えられた.
著者
戸高 七菜
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

自傷行為経験者へのインタビュー調査により、行為者は二つの目的をもって自傷行為を行うことがわかった。自傷行為の第一の目的は不快気分の解消である。自傷行為によって、現実感が喪失しているように感じられる離人感や抑鬱感などを、軽減するために行うものである。二つ目の目的は、他者との関係に変化を起こすことである。自傷行為の原因についてはまだ明らかになっていないが、幼少期にトラウマ体験に遭遇している場合が多い。
著者
荒井 紀一郎
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、選挙における「雪崩現象」のメカニズムを実験によって明らかにすることであった。実験の結果、多くの有権者は自分が少数派になる危険性を認識すると、それまで有していた政策選好とは異なっても多数派に従う傾向にあり、選挙を繰り返すことで、「選挙に勝つ」こと自体が有権者の投票目的になる可能性があることが示された。このことは、定期的に選挙を行うという現代の選挙民主主義システム自体が、「雪崩現象」を引き起こしやすくさせるメカニズムを有していることを示唆している。
著者
佐藤 寛
出版者
関西大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では,日本の大学生においてうつ病と自殺のリスクを高める心理学的要因として自動思考,社会的スキル,快活動といった認知行動的な要因の関与を検討した。これらの研究に基づき,リスクの高い大学生を対象とした心理学的予防プログラムを開発した。本研究において開発されたプログラムは日本の大学生のうつ病と自殺のリスク低減に有効であることが示唆された。
著者
松原 文
出版者
立教大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

「アーサー王物語」は13世紀初頭、古仏語作品からの翻案によりドイツ語圏に導入された。13世紀半ば以降は、いわゆる「古典」作品の持っていた作品構造は崩され、韻文から散文への流れも見られる。形式の変化と同時に内容も変容し、騎士の自己陶冶とアーサー王宮廷の繁栄への収斂性はなくなり、奇想天外な冒険が繰り返される。本研究は、ヴォルフラムの『パルチヴァール』が後代の詩人たちに新たな取り組みの一つの足掛かりとなったと考え、作品間の比較を行う。個性の誕生という切り口で人物像を、受容者の意識変化という切り口で諧謔性を分析する。
著者
田村 美由紀
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

本研究では、中途障害(病気の後遺症による手指の麻痺や書痙、視力の低下など)を抱え、自ら筆を執って書くことに困難を極めた作家たちが、口述筆記という書字を他者に代行させる方法で創作活動を継続させたことに焦点を当てる。上林暁・三浦綾子・大庭みな子という三人の作家を具体的事例に取り上げ、障害学の視点から口述筆記による創作の実態を解明する。これらの作業を通じて、作家たちの中途障害との向き合い方や、口述者(被介助者)と筆記者(介助者)との関係性を、摩擦や軋轢といった側面も含めて多面的に浮き彫りにするとともに、口述筆記というケアの営みにおいて身体的な協働性がどのように構築されているのかを明らかにする。
著者
長田 礎
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2022-08-31

2019年のニッケル酸化物超伝導の発見は、高温超伝導機構の解明に向け、新しい道筋を与えた。しかし、ニッケル酸化物で起きる超伝導は、これまで正孔ドープした化合物に限られており、電子ドープ型化合物の合成報告はまだない。これは、母物質において、ニッケルがすでに Ni1+という異常低原子価状態をとっており、直接的にAサイトを4+イオンで部分置換することが困難であることに起因する。本研究では、酸化物ヘテロ構造による界面電荷移動を利用して、ニッケル酸化物の電子ドープを試みる。
著者
小椋 郁馬
出版者
茨城大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2022-08-31

近年のアメリカでは、民主党に帰属意識を持つ有権者が共和党支持者を、共和党に帰属意識を持つ有権者が民主党支持者を嫌い、互いに交流を避けようとする、「感情的分極化」と呼ばれる現象が深刻になっている。本研究では、アメリカの有権者が民主党/共和党支持者の社会的な属性や政策争点態度についてステレオタイプを持っていることに着目し、独自のサーベイ実験を行うことで、(A) 政党ステレオタイプが感情的分極化に与える効果及び(B) 政党ステレオタイプを修正する情報が感情的分極化を低減させる効果を実証的に検討する。
著者
奥谷 公亮
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

鳥インフルエンザウイルス (AIV) は8分節のRNAをゲノムに持ち、遺伝子再集合により、性状の異なる多様なAIV株が出現する。そのため、野鳥における流行株の性状を把握するためには、AIVの全遺伝子分節の解析が重要である。本研究は、AIV全遺伝子分節を標的にした迅速な塩基配列解読法を確立し、流行株の性状変化をリアルタイムに検出する系の構築を目的とする。確立した手法により、AIV分離株の全遺伝子分節を解析し、疫学調査としての有用性を検証する。
著者
大谷木 正貴
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

アルツハイマー病(AD)はアミロイドβやリン酸化Tauの脳内凝集が特徴的な病理変化であり、病変部には活性化したグリア細胞に加え、種々のT細胞の浸潤がみられる。従来の脳内炎症研究は、活性化グリア細胞が中心であり、免疫応答の抑制的制御を司る制御性T細胞(Treg)の関与については未だ明らかになっていない。近年、Tregは組織の恒常性・再生にも積極的な役割を担っていることが報告されており、本研究では、ADモデルの脳Tregを包括的に解析することでAD病態におけるTregの意義を明らかにし、脳Tregと神経細胞やグリア細胞との関連、脳Tregの自己抗原の同定など新たな知見や治療戦略への導出を目指す。
著者
平出 拓也
出版者
浜松医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2022-08-31

本研究の目的は、エクソーム解析にて原因を同定できなかった知的障害/発達遅滞患者における新しい疾患発症機序を明らかにすることで、患者管理や遺伝カウンセリングに貢献することである。網羅的遺伝学的解析において、様々な最先端のインフォマティクス解析や機械学習を導入したマルチオミクス解析を行い、膨大なバリアントのフィルタリングや解釈を行う。特に、病的なレトロトランスポゾン挿入やリピート配列伸長を含めたゲノム異常の網羅的検出に挑戦する。更に、RNA解析の検体として尿由来細胞を用いるという新しい取り組みにより、小児神経疾患の新たな遺伝子解析スキームの確立を目指す。