著者
福島 豊 北川 裕利 野坂 修一
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.22-24, 2015-04-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

赤血球製剤中にはカリウムが最大で60mEq/Lと大量に含まれているため,急速大量輸血時には高カリウム血症に注意が必要である。今回,カリウム吸着除去用血液フィルターの急速輸血時におけるカリウム除去能を検討した。カリウム吸着除去用血液フィルターに赤血球製剤4単位を加温ハイフロー輸液ポンプを用いて300mmHgの圧でフィルターに通し,フィルター前後のカリウム値を測定した。カリウム吸着除去用フィルター後の赤血球製剤のカリウム濃度は6.8±1.1mEq/Lに減少した。カリウム吸着除去用血液フィルターは加温ハイフロー輸液ポンプを用いた急速輸血においても有用である。
著者
島 克司 加藤 裕 苗代 弘
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.6-12, 1998-04-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
30

頭部外傷に伴う二次的損傷としての低酸素の海馬に及ぼす影響を明らかにするために, ラット閉鎖性頭部外傷 (脳振盪) モデルを用いて, 興奮性および抑制性アミノ酸の役割を中心に, われわれの研究結果と最近の知見を概説した。特に, 軽症頭部外傷でも低酸素が二次的に負荷されると, 海馬CA3領域に限局して選択的脆弱性が認められることを指摘した。この発生機序として, 海馬における興奮性アミノ酸グルタミン酸の高度かつ長時間の増加と抑制性アミノ酸GABAとの不均衡さらにはそれら受容体の不均衡も関与している可能性を示した。
著者
中村 倫太郎 二瓶 俊一 松本 泰幸 伊佐 泰樹 長田 圭司 原山 信也 相原 啓二 蒲地 正幸
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.20-23, 2020-04-01 (Released:2020-04-13)
参考文献数
15

当初軽症と判断したが,症状が遷延し治療に難渋した脂溶性有機リン中毒症例を経験した。症例は30代女性。脂溶性有機リンを内服し救急搬送された。来院時コリンエステラーゼ(ChE)は低値だが,症状から軽症と判断された。対症療法のみで経過を診たが第3病日に流涎,呼吸困難感が出現し気管挿管施行。第4病日に症状改善し抜管するも,第6病日に症状が再燃し再挿管施行。第9病日再抜管。第12病日に頻呼吸・呼吸困難感が出現し再々挿管。この時点までChE値低値持続していたが,徐々にChE値が改善。第20病日抜管し,その後状態が安定した。本症例の経験から,脂溶性有機リン中毒症例では,ChE低値が持続する症例の人工呼吸器離脱は慎重に行うべきである。
著者
間藤 方雄
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.13-22, 1998-04-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
14

脳細血管には生理的条件下において, マクロファージ系の細胞 (間藤細胞: M細胞) が纏絡する。同細胞は血管周囲隙にあり, 水解酵素に富み蛍光性を有する顆粒を多数含み, 血管・脳室内に投与された蛋白, 脂質を効率よく摂取する細胞である。本稿では間藤細胞の一般的な性質に加え, 病態時, 特に脳に凍結傷害を与えた場合の間藤細胞の浮腫性変化, LPSによって刺激した際の変化とミクログリアとの関係, 再灌流実験における同細胞の退行性変化等について述べた。再灌流実験における皮質・海馬にみられる神経細胞変性と本細胞との関連については現在研究中である。
著者
白濱 龍興
出版者
The Japanese Society of Reanimatology
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.113-116, 1997-08-20
被引用文献数
1

1992年, いわゆるPKO法が国会を通過し, 自衛隊が国際貢献活動を行うことが可能となった。われわれは現在までカンボジア (UNDOF) , モザンビーク (ONUMOZ) , ザイール (ルワンダ難民救援隊) , ゴラン高原 (UNDOF) で海外救援活動を行っている。また阪神・淡路大震災, 地下鉄サリン事件等で自衛隊は救援活動を行っており, これらの活動を契機として, 国の安全を守るという自衛隊の主任務に, 国内の災害に対する対応と国際貢献活動に対する対応が新しい役割に加わった。災害に対する派遣に関しては自衛隊法83条で, 国際貢献活動に対する派遣は自衛隊法100条で規定している。国内外の救援実績とそれらの部隊派遣の法的な仕組みについて述べる。
著者
松田 正
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-55, 1983-05-10 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6
著者
神里 興太
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.135, 2021

<p>PDFファイルをご覧ください。</p>
著者
石井 史子
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.172, 2018-10-31 (Released:2018-12-28)

PDFファイルをご覧ください。
著者
赤松 繁 小澤 修
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-7, 2003-04-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
33

American Heart Association (AHA) は, 2000年に心肺蘇生法に関するガイドラインを改訂した。新しいガイドラインは, Evidence Based Medicineに基づき科学的根拠を明確にし, 標準的処置を単純化して心肺蘇生法が普及するように改訂された。そのガイドラインのAdvanced Cardiac Life Support (ACLS) では心肺蘇生に用いる薬としてバソプレシンが登場した。バソプレシンの受容体はV1受容体とV2受容体の2種類の存在が知られ, バソプレシンの作用もまたV1作用とV2作用に大別される。血管平滑筋に直接作用し収縮を促すV1受容体を介した作用はV1作用であり, 抗利尿作用はV2作用である。心肺蘇生時に, バソプレシンはβアドレナリン作用をもたないため心筋酸素消費量を増加させることなく冠血流量と脳血流量を増加させる。また心停止が遷延した場合, アシドーシスによってアドレナリン受容体を介した作用が減弱するのに対し, バソプレシンではその影響を受けないためエピネフリンより有効であると考えられる。心肺蘇生時に主として用いられる薬はエピネフリンであるが, バソプレシンも有用な薬であり, 今後の展開次第では繁用されるようになる可能性がある。本稿では, バソプレシンによる血管平滑筋細胞での作用およびその細胞内情報伝達機構に関する著者らの基礎的知見を含め紹介する。
著者
斎藤 秀俊 越智 元郎 市川 高夫 生垣 正 円山 啓司
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.41-47, 2002-08-10 (Released:2010-06-08)
参考文献数
12

水難事故の犠牲者の7割強が着衣状態である。着衣状態にあると身体の自由が利かないため, 落水直後に呼吸を継続するために顔を水面に出すことが難しい。一方で, わずかな努力で「背浮き」を行なうことができれば呼吸が可能となり生存時間が伸びる。着衣状態にある人が水に落ちると空気は通常衣服に残留する。したがってリラックスすれば着衣状態の人はすぐ水面に浮かびあがる。本研究ではこれをChain of Survivalの輪を構成する新しい技術と考え, 「着衣泳」として指導要領の策定を行った。次いでこの指導要領を普及させる目的で教材を作製し, 全国の学校, 教育委員会, 消防本部などに広報・配布した。今同提唱した着衣泳を含む溺水防止のための技術・知識は, 水難事故の犠牲者を減少させるために有用と考えられる。
著者
西山 友貴
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.12, 2017-04-01 (Released:2017-04-08)
参考文献数
16

4年間の集中治療記録から,成人の脳挫傷,脳出血に対する手術後初回痙攣発作時にミダゾラムを投与した症例を抽出し,ミダゾラムの痙攣抑制効果を調査した。28例の痙攣発作時にミダゾラム静注を行い痙攣が消失した。4例でフェノバルビタール筋注が,8例でチアミラール静注が,7例でジアゼパム静注が各々無効,ミダゾラムで痙攣が消失した。3例でミダゾラム静注が無効,チアミラールで痙攣が消失した。ミダゾラム単独投与では昇圧薬を必要とする循環抑制は生じなかった。以上からミダゾラム静注は脳挫傷,脳出血手術後の痙攣抑制に有用と考えられた。
著者
内野 博之 諸田 沙織 Chen Li 高橋 俊明 工藤 佳久 池田 幸穂 石井 脩夫 芝崎 太
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-11, 2006-03-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
25

脳は非常に繊細な臓器であり, 短時間の虚血によって容易に障害を受ける。麻酔科医は, 通常業務の中で脳障害を引き起こす病態に遭遇することが少なく無い。脳をさまざまな侵襲から守るためには, 脳の生理的な特徴と脳障害を引き起こす病態の把握が重要となる。脳が虚血となるときの脳血流, 動脈血酸素分圧, 脳潅流圧はどのくらいなのか。脳を障害する病態と脳障害の基礎的なメカニズムおよび二次的に派生する障害の重要性とは何かについて概略を述べた。