著者
飯田 公司 板井 志郎 渡辺 貴文 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.25-30, 2008-03-15

即興劇のようなドラマ的なコミュニケーションにおいて,ストーリイが持続的に創出されていくためには観客の存在とその働きが重要な役割を果たすと考えられる.そこで本研究では遠隔地間でこれを可能とするため,共感的な観客のもとで演者が舞台としての場に位置づけられる劇場型の共存在空間の設計・開発を行うことを目的とした.その方法として先に著者らが開発した,身体の影によって遠隔地にいる相手との共存在感の創出が可能な影システム(WSCS)を適用することにした.すなわち,WSCS空間を透過型スクリーンと障子スクリーンで二つに分割し,演者と観客の影を個別に投影するとともに,両者の間で空間的な位置関係が整合的になるように表現することで演者,観客,舞台から構成される劇場型コミュニケーションシステムを考案,製作した.さらに,観客が劇場に自由に出入りできるための影表現手法についても検討し,これらをシステムに組み込んだ.以上の開発したシステムの詳細について報告する.
著者
高橋 有里 桐田 隆博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.383, pp.7-12, 2011-01-14

本研究では,育児中の20組の父親と母親の乳児の泣き声に対する心理生理的反応を測定し,性別および,乳幼児の泣き声に対する不快度の観点から比較検討した.具体的には,他人の乳児の泣き声を聴取中の父親,母親の心拍数,皮膚コンダクタンス変化を測定した.その結果,乳児の泣き声に対する父親と母親の生理的な反応には統計学的な差異は見られなかった.すなわち,どちらにおいても,泣き声聴取により心拍数は一過的に低下した後ベースラインに戻り,皮膚コンダクタンス変化は急激に上昇した.ただし,細かく見ると,母親と比較して父親の心拍のベースラインへの復帰はいくぶん早く,皮膚コンダクタンス変化は若干高いことが示された.このことから,父親は母親より泣き声を不快に感じる傾向があることが示唆された.また,乳幼児泣き声不快尺度における差に関しては,私的状況不快得点が低い父親では,心拍数に一過性の低下が見られず,心拍数に関する限り不快低群の父親は泣き声から受ける影響が少ないことが示された.
著者
平田 佐智子 山田 陽平 中川 岳 永井 聖剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.65-68, 2013-11-02

本研究では、従来概念との対応が主に検討されてきた音象徴に対し、動作の強度や速さといった反応出力との対応を検証した。音声または文字を刺激、動作の強度や大きさを反応とした刺激反応適合性課題を行った結果、有声子音と強い/大きい動作、無声子音と弱い/小さい動作の間に適合性が見られた。これらの結果は音象徴と身体動作の接点を示唆する新しい知見といえる。
著者
尾田 政臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.320, pp.1-6, 2004-09-19
参考文献数
11

これまでの多くの研究が,対称性と顔の魅力に正の相関があることを明らかにしている.しかし,その影響の度合いが他の要因と比較されて論じられことはなかった.一方,目の大きさが魅力に影響することが知られている.そこで,顔の魅力と美しさの手ががりとして何を用いているかを質問紙法で調査し,さらに対称性と目の大きさを統制した顔を評価させる実験によって各要因の影響を比較した.その結果,対称性が美しさや魅力の評価の手がかりとなることが少ないこと,目の大きさが対称性より大きな手がかりになっていることが明らかになった.両目が大きい対称顔は目の小さい対称顔より魅力や美しさが高く評価されるが,片目が大きい顔でも対称顔より魅力や美しさが高く評価された.この結果は非対称顔でも対称顔より魅力あるいは美しさが高く評価される可能性を示した.
著者
三浦 彩美 米谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.123, pp.13-16, 1999-06-18
参考文献数
6
被引用文献数
3

米谷・瀧上(1994)は日本人の表情認知構造が日本人の表情をみる場合と欧米人の表情の場合とに相違があることを指摘した。これを再検討するため、欧米の映画から選び出した81の表情刺激(音声なしの静止画像)をランダムに112名の大学生(男子83名、女子29名)に呈示し、表情表出の強さを評定させた。その結果、呈示刺激の表情により評定値が有意に変動することが確かめられ、評定者の性差や性差と呈示刺激の交互作用に有意な変動が認められた。因子分析により、欧米人の表情に対する表情認知構造は日本人の表情に対するものと大体同じだが、悲しみの認知だけが異なるという、米谷・瀧上(1994)の文化的フィルター仮説を支持する結果が得られた。
著者
大坊 郁夫 高橋 直樹 磯 友輝子 橋本 幸子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.333, pp.17-22, 2001-09-28
被引用文献数
11

顔は個人のパーソナリティや社会的属性などの社会的、心理的なメッセージを伝える。しかも、顔形態自体ととも顔面表情によるコミュニケーションには表示-解読規則が用いられている。また、社会的な脈絡との関連が大きい社会的スキルは、対人関係を展開するために重要な役割を持つ。社会的スキルは対人的な親密さを視座に入れた対人関係や社会的適応を理解するために有効な総合的な概念である。この報告では、動的な顔面表情の表出に記号化スキル(ACT)や社会的活動性(外向性)、心理的安定性(神経症的傾向)を含むパーソナリティ特性が及ぼす効果を検討する。さらに、この表情実験を通じて、解読者の社会的スキルの役割を捉え、記号化と解読の相互関連性を対照して検討することを目的とした。高ACTは、予想通り、快不快の表現力に優れた送り手であり、次いで解読者のACTも解読力に優れることを示している。快不快評定、表出の適切さの両方で、快感情条件において、SPのACTの効果が大きい。男女を問わず、不快表情は、不安定なパーソナリティと結びつけて認知されやすいものでもあった。今後、顔形態特徴と関連させながら、顔面表情の送受信の対応関係について検討する必要がある。
著者
武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.108, no.317, pp.17-18, 2008-11-16
参考文献数
2
被引用文献数
1

人の「共食」をコミュニケーションとしてとらえ,共食におけるインタラクション研究の重要性を述べ,そのアプローチ方法を提案する.また,期待される結果について述べる.
著者
川島 永嗣 片山 順一 諸冨 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.612, pp.23-30, 2001-01-26

表情に注意を向けていない場合の表情処理の特性を検討するためにBruce & Young(1986)の顔認識モデルにおけるいくつかの段階に課題を設定し, 12名の被験者からERPを記録した.既知性判断課題, 及び男女判断課題ではERP上に表情による差は見られなかったが, 物・顔判断課題では表情による差が見られ, その差は快-不快次元に沿った形で生じた.よって, 全く表情に注意を向けていない場合にも, 快-不快次元に沿った形で自動的, 前注意的に表情の処理がなされており, 既知性判断や男女判断といった高次な認知処理段階ではなく初期知覚の段階に情動が関与することが示唆された.
著者
廣井 富 伊藤 彰則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.110, no.459, pp.27-28, 2011-02-28

ロボットの外観やインタラクションを主観評価によってデザインすることで,ロボットをよりユーザの嗜好に合わせることができる.その際に,評価軸に対応するすべての実ロボットを製作して評価することは現実的ではない.本稿では,「ロボットを主観評価する際にロボットの体はどこまで必要なのか」について,外観やインタラクションなどの評価軸との関係を議論する.
著者
小川 一美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.410, pp.37-42, 2003-10-31
被引用文献数
3

会話はダイナミックな相互作用であるため,二人の会話者によって作り出される相互作用そのものに注目する必要があると考え,Burgoon et al. (1995)による相互作用パターンの1つである返報性の観点から,二者の発話量の均衡が相手の会話者や会話に対する印象に及ぼす効果について検討することを目的とした.小川(2003)は,観察者という視点から,発話量の均衡が印象に及ぼす効果について検討しているが,会話場面における目標の違いなどから,観察者と会話者では異なる会話行動によって影響を受けることが考えられる.そこで,本研究では小川(2003)の結果と比較しながら,発話量の均衡が印象形成に及ぼす効果についてより詳細な検討を行った.
著者
片田 房
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.440, pp.7-12, 2015-01-23

コンピュータや情報通信環境のユビキタスによって進行するグローバル化の時代は,コミュニケーション推進主義と表裏一体の時代でもある.殊に理工系技術者がコミュニケーション能力を有することの重要性が認識され,非英語圏においては英語によるコミュニケーション能力の育成を緊急課題とする提言も多い.しかし,社会性やコミュニケーション能力の脆弱性の目立つ人口が急増しつつあるといわれる昨今の状況と,整合性のある提言であるかどうかは議論の余地がある.本稿では,コミュニケーション推進主義とコミュニケーションの脆弱性との間の乖離を巡る現象を考察する.更に,理工系学生の気質的傾向に関する実態調査に基づき,効果的な英語教育の方法とコミュニケーション能力開発との接点を探る.
著者
森 英雄 安部 圭祐 竹谷 哲也 依田 一朗 小谷 信司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.587, pp.1-6, 2004-01-16
被引用文献数
1

視覚障害者は通い慣れた駅のプラットホーム等でもしばしば勘違いから事故に遭う.本システムは帽子に着けたビデオカメラ・傾斜計,画像処理装置,位置検出装置,スピーカ,バイブレータ,バッテリから構成する.このシステムは駅プラットホームを認識し,視覚障害者にバイブレータでどの方向に歩けば良いかを伝え,スピーカから音声でランドマークや分岐点等のより複雑な情報を伝える.本システムは単なる道案内システムではなく,利用者を交通事故などから守るシステムである.本稿では4つのサブシステム,すなわち画像処理システム,位置推測システム,経路ベース誘導システム,ヒューマンインタフェースを開発し,駅プラットホームで実験した.
著者
松村 真宏 山根 承子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.39-40, 2013-02-25

仕掛学では巷にあふれる人の意識や行動を変える「仕掛け」の原理を理解し、それを体系的に整理することを試みている。その仕掛けの方法論を利用することによって、誰でも仕掛けの設計ができるようになることを目指している。ゆくゆくは、老若男女、子供から大人までを巻き込んで、仕掛けによって社会を良くする草の根イノベーションを起こすことを考えている。
著者
米澤 朋子 山添 大丈 内海 章 安部 伸治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.308, pp.5-12, 2007-11-04
被引用文献数
2

本稿では,遠隔視線検出技術により共同注視とアイコンタクトを用いぬいぐるみ型ロボットと人の視線コミュニケーションを実現したシステムを紹介する.ロボットは,1)ユーザがロボットの周辺を見ているときは,同一箇所へ顔を向け,2)ユーザがロボットを見たときは,目があったことを表すため身振りやうなずきといったジェスチャと音声を用いるといったように,ユーザの視線に応じて反応するよう設計された.遠隔視線検出は,単眼カメラにより顔特徴認識を行い,目の画像から3D眼球モデルを導出することで,非装着型を実現している.被験者実験の主観的/客観的評価により,i)ロボットの興味が想定される対象への被験者の共同注視行動,ii)ロボットの共同注視行動に喚起される,被験者のロボットへの興味,iii)被験者とのアイコンタクトに応じたロボットの反応に喚起される被験者のロボットへの好意,をそれぞれ確認した.
著者
松山 早希 大坊 郁夫 谷口 淳一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.464, pp.73-78, 2012-02-27

われわれは、いつも同じ自分を表出しているのではなく周囲の状況や対人関係に応じて自分を変化させ異なる自分を多面的に表出している。その背景には、自己の可変性によって適応的な関係を築きたいという動機が考えられる。本研究の目的は、相互作用の相手のパーソナリティによって、表出される自己が普段とどう異なるか、また普段の自分からの変化が大きいほど、会話満足度や親密度を高めるかを検討するものである。本研究では、実験は男女大学生、同性同士2者間で12分間の会話実験を行なった。会話は親密になるように自由な内容で行われた。本研究では、外向性に着目し対象者の外向性を高群・中群・低群に分け、ペアを組み合わせた。分析の結果、変化の程度が大きいほど、相手との親密度が高まることが明らかとなった。また会話相手の外向性や表現力、自己抑制の社会的スキルが、変化の程度に影響していた。自己変容の適応的な対人コミュニケーションにおける可能性について考察する。
著者
山田 奈津子 箱田 裕司 中村 知靖 湯田 恵美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.563, pp.29-33, 2000-01-20
被引用文献数
1

本研究では, 視覚的刺激(顔)と聴覚的刺激(声)という複数の手掛かりを情報として用いた場合の印象形成と, 単独の情報(顔または声)による印象形成との間に違いがあるのかを, 因子分析によって抽出された共通のパーソナリティ因子である「活動性」「社会的望ましさ」の2次元において観察し, 知覚の分野で有力な視覚的刺激優位仮説(マガーク効果)と印象形成との関連性を調査した.また, 顔と声という異なるモダリティーの評定尺度をそろえることで, マルチモダリティー間の印象形成の相違を直接比較した.その結果, 顔と声による印象形成においての視覚的刺激優位性は頑強なものではなく, とりわけ, 顔と声のパーソナリティ的属性(高-低)が不一致である場合において, 聴覚的刺激(声)が人物の印象に強い影響を与えていたことが示唆された.
著者
渡部 好美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.185, pp.57-60, 2013-08-16

煩わしい文字入力等を介さず直感的に操作できる編集キーの設計を行った。視覚認知を応用したデジタルのエスペラントのうち、方法を表すKeyを設計した。自然なインターフェイスのヒントを、言語ではなく人間の方法や行為から抽出した編集工学を元にした。高次の立体目次で構造照射マッピング検索に使用可能。このインターフェイスを介して情報弱者ケアを考える提案のうち、13編集キーと構造照射マッピングについての具体的な説明をする。これらの開発の目的はパーソナルな学習とビジネスをサポートすることである。
著者
河瀬 諭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.190, pp.93-98, 2011-08-19

本研究の目的は,アンサンブル演奏における視覚情報の役割について,タイミング調整の側面から検討することである.そのために,ピアノデュオ演奏において,様々に視覚情報を制限した際の演奏者間のタイミングのずれを計測した.実験1では,非対面条件,頭部のみ見える条件,頭部以外見える条件,対面条件での演奏について検討した.その結果,非対面条件以外で,ずれは十分に小さく,条件間でずれの大きさに差は無かった.実験2では,頭部の動作の有無について実験を行った.その結果,頭部を固定すると,ずれの大きさは非対面条件よりも小さく,頭部の動きが自由な条件よりも大きかった.これらの結果から,タイミング調整には,演奏者の動作が寄与しているものの,視線などの頭部に含まれる手がかりも用いられていることが示唆された.
著者
坂口 菊恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.598, pp.1-6, 2003-01-17

行動の同調はコミュニケーションの円滑化に重要な役割を果たしているが,なかでもその時間的側面に注目した"movement synchrony(動きの同調化)"はヒトの生体としての身体的な反応性と深く関わると考えられ,興味深い.本研究では初対面の男女40組の,行動観察室内での10分間の相互作用のうち,最初1分と最後1分のmovement synchronyを分析した.女性のなかで,痴漢や"ナンパ"に遭うといった繁殖上のリスクを多く経験した者は最後の1分で同調化を抑制すること,および最初の1分で男性がよく動き多くのsynchronyを形成すると,女性に好意を持たれる傾向があることが示された.
著者
本間 元康 栗林 大輔 長田 佳久 栗山 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.393, pp.11-14, 2012-01-13
参考文献数
21

視線一致(アイコンタクト)は対人交流を促進する上で重要であるが,アイコンタクトの知覚精度に関する研究は乏しい.本研究では,対面する二者におけるアイコンタクトの知覚範囲体積および瞳孔径を測定し,個人特性との関連を調べた.アイコンタクトの知覚範囲は非常に広く,アイコンタクトへの注意は瞳孔径を拡大させることが明らかとなった.さらにその知覚範囲は性格の外向性および社交性不安障害傾向と関連が認められ,外向性が低く社交性不安障害傾向が高い個人ほどより広い範囲で視線が一致したと過大視する傾向があることを示唆した.