- 著者
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神里 志穂子
星野 聖
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.599, pp.1-7, 1998-03-13
- 被引用文献数
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11
沖縄県の舞踊カチャーシーの主観的評価を規定する動力学的要因を明らかにするため, 第一に, 意味微分法を用いてカチャーシーの上手さの感性評価を行った.第二に, 3変数の多変量自己回帰モデルにより, 肩, 肘, 手首の3関節動作の随伴性について考察した.計測には, ビデオカメラ1台を用い, リング状光源を肩, 肘, 手首, および点光源を指先に装着し, 光源の変形具合と遮蔽方向により各関節の回転中心と3関節運動の時系列データを算出した.実験の結果, カチャーシーの主観的評価は2因子で行われ, しかも, 上手さの評価は陽気さと相関が高いことが明らかになった.また, 感性評価の得点が高い踊り手ほど, 肩と肘の関節動作が同期しており, 角度変化も滑らかであった.とくに低周波振動成分において顕著であった.しかし, 手首運動は従属度が低かった.一方, 感性評価の得点が低い踊り手では, 肩と肘の同期性がより低く, 肘動作の滑らかさも少なくなり, 手首運動も不規則であった.