著者
小澤 誠一 竹内 洋平 阿部 重夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.826-836, 2010-06-01
被引用文献数
2

本論文では,初期データにのみ教師情報が与えられる「準教師付き学習タスク」において,ストリーミングデータからオンラインで非線形な特徴を抽出できる追加学習型カーネル主成分分析(IKPCA)を提案する.提案するIKPCAでは,学習データが入力されるたびにカーネル主成分分析の固有値問題を更新し,それを解くことで固有ベクトルの更新を行う.特徴固有空間で一次独立なデータを選択して固有ベクトルを表現するため,データの一次独立性を判定する必要がなく,追加学習時に保持するデータ数が少なくなって学習が高速化される.ベンチマークデータを用いた評価実験において,主成分分析(PCA)と追加学習型主成分分析(IPCA),更にカーネル主成分分析(KPCA)と比較し,IKPCAで得られる特徴量の評価を行った.その結果,IKPCAによってバッチ学習のKPCAと同等の認識性能が得られ,安定した追加学習が行われることを示した.このことは,IKPCAとKPCAにおいて,固有ベクトルや固有値の一致度を調べた実験からも確認された.また,多くの評価データでPCAやIPCAよりも,認識性能の優れた特徴が得られることを示した.
著者
矢野 友加里 川原崎 雅敏
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.265-281, 2010-03-01

本研究では,日本音楽著作権協会(JASRAC)等を訪問し,音楽利用に関する著作権使用料徴収・分配の現状について調査を行った.その結果,インタラクティブ配信の領域において,楽曲利用の報告が不十分なために著作権使用料の徴収・分配精度が低く,決定的な対策がとられていないことが分かった.本論文では,インタラクティブ配信の中で違法な楽曲流通が多いP2P(Peer-to-Peer)ネットワークによるユーザ間の音楽共有に対して,現在行われている不正流通の監視ではなく,著作権処理を行わせた上で,合法的にP2Pネットワークで楽曲を流通させる方式を提案する.提案方式では,P2Pネットワークでの楽曲流通を管理するために,著作権管理サーバと呼ぶサーバを置く.また,ユーザが流通させる楽曲の特定に,放送番組の利用楽曲特定に実用化されつつあるオーディオフィンガープリント(AFP)を利用する.各種のP2Pネットワークで流通する楽曲について,AFP技術を用いた著作権処理の所要機能を明らかにし,諸機能をユーザPCとサーバの連携によって実現する著作権処理プラットホームの提案と評価を行う.更に,AFPによる楽曲特定をリアルタイムで行うためのAFP照合システムについて,各種サーバ分散処理方式の性能解析を行い,AFP照合に伴うユーザ待ち時間を合理的な範囲内に抑える分散形態を明らかにする.
著者
毛利 公美 伴 拓也 白石 善明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.799-811, 2012-04-01

利用者からのライフログのサービス提供者への送付や,利用者によるサービス提供者からの応答データの受け取りを安全に行うために,利用者の端末のWebブラウザ上でデータを暗号化/復号することを考える.現在,受信者側のID情報のみで暗号化を実現できるペアリングに基づく公開鍵暗号技術が注目されている.ペアリング演算ライブラリーがあれば,Webブラウザ上でペアリングによる暗号化などを行うような暗号アプリケーションを高度な理論的知識を有することなく開発できる.本論文では,ライフログ等に活用可能なセキュアなWebアプリケーション開発のためのActionScriptで利用できるペアリング演算ライブラリーの実装について述べる.実装したライブラリーは実験環境においてF_3_<97>上では179ms,F_3_<193>上では772msでη_Tペアリングの演算ができることと,Webブラウザ上で暗号化/復号するIDベース暗号が簡単に実装できることを示している.
著者
田中 克幸 滝口 哲也 有木 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.2047-2057, 2011-12-01

本論文では,non-factoid型質問応答技術の一つであるWhy型質問応答を可能とするための技術として,Whyテキストセグメントを識別する識別器の構築方法を提案する.具体的には,テキストセグメント中の文法情報に着目し,機械学習の一つであるSupport Vector Machineにより,それらの特徴パターンを学習することによって,Whyテキストセグメント識別器を構築する.これにより,どのようなドメインのテキストセグメントに対しても,有効に機能するWhyテキストセグメント識別器が構築でき,WebのようなオープンドメインにおいてWhy型質問応答が可能となる.提案手法によるWhyテキストセグメント識別能力の評価のために,Yahoo!知恵袋の回答集合からなる学習データセットをもとに,Whyテキストセグメント識別器を構築して実験を行った結果,F値=0.661,正解率=63.25%の識別性能を有する識別器を構築することができた.これより,従来のWhy型質問応答の問題点であったルール作成に手間が掛かる,識別器がドメインに依存する,ラベル付けされた学習データの入手が困難である,といった問題が改善され,より識別能力の高いWhyテキストセグメント識別が可能となった.
著者
渡邉 玲児 宮田 高道 稲積 泰宏 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.9, pp.1645-1648, 2010-09-01

本研究では,Web画像データベースによる画質改善法とTV正則化法を用いた復元法を組み合わせ,画像のテクスチャ成分を復元しつつ,かつブロックノイズの発生を抑える手法を提案する.実験結果により,提案手法が画質改善に有効なことを示す.
著者
荒田 龍朗 岸 和樹 山口 俊光 渡辺 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2746-2754, 2013-11-01

漢字をその部品と位置関係で表現する「構成読み」を,JIS第1・第2水準の漢字を対象に開発した.この構成読みで漢字の形を正確に想起できることを検証するため,晴眼者と視覚障害者を対象に実験を行った.その結果,晴眼者対象の漢字書き取り実験では正答率は90%から100%となった.視覚障害者を対象とした触察部品の同定・配置実験では,26個の部品のうち22個が正答率100%で同定され,問題漢字18字のうち11字が正答率100%で配置された.これらの結果から,構成読みが漢字の想起に有効であることが示された.ただし,どちらの実験においても,3部品が上下・左右に並んだ漢字の階層構造を括弧を使って説明した際の正答率は低く,このような漢字の説明方法に課題が残された.開発した構成読みは視覚障害者の職場において漢字の確認に利用されている.
著者
合田 和生 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.211-221, 2010-03-01

本論文では,グリーンレプリケーションと称し,業務継続を目的としたレプリケーションシステムにおける二次系ディスクストレージの省電力化方式を提案する.提案手法は,サービス復旧にかかる時間を意識した制御系のもとで,二次系に転送された更新情報をコンパクト化し,更新の反映操作を集中化することによって,ディスクドライブを長時間アイドル化する.商用データベースシステムを用いた実験により,30秒から100秒程度のサービス停止時間のオーバヘッドのもとで,二次系ディスクストレージの消費電力のうち80〜85%を削減可能であることを示す.
著者
鍛治 伸裕 福島 健一 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.293-300, 2009-03-01
被引用文献数
1

テキストマイニングでは,自然言語処理分野の基礎技術である形態素解析がモジュールとして利用されることが多い.しかし,ウェブには口語体のテキストが多く,新聞記事のような整ったテキストを対象としてきた自然言語処理技術では,十分な精度で解析を行うことは難しい.本論文では,形態素解析の精度低下は「ググる」などの片仮名用言が一因となっていることに着目し,それを大規模なウェブテキストから自動獲得する手法を提案する.
著者
花塚 泰史 樋口 知之 松井 知子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.570-577, 2012-03-01

近年の計測技術の向上によって,高速で回転するタイヤから振動などの物理量を計測することが可能になり,それら物理量の特徴が路面状態変化の影響を受け変化することが明らかになってきた.本論文ではその逆問題として,タイヤ内面に取り付けた加速度センサの出力から,走行している路面状態をリアルタイムに判別する方法を提案する.タイヤ振動は非定常性の強い波形を示し,その特徴は車輪速やタイヤサイズによって時間伸縮する.この時間伸縮に対応するため,本方法ではHMMでタイヤ振動波形をモデル化する.路面状態の変化に伴う特徴が含まれる接地面付近の波形を,路面状態ごとにHMMでモデル化するとともに,接地面外の波形もHMMでモデル化しておき,接地面近傍の波形のHMMが,接地面外のHMMに挟まれた構造をもつHMMのネットワークを構成する.そして未知データが入力されたときに,そのゆう度が最も高いモデルに対応する路面状態に判別する.異なる四つの路面状態を,4種のタイヤで走行したデータを用いて行った実験結果から,車輪速やタイヤサイズの情報なしに精度良く路面状態判別ができる可能性を示す.
著者
福嶋 慶繁 丹羽 健太 圓道 知博 藤井 俊彰 谷本 正幸 西野 隆典 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2039-2041, 2008-08-01
被引用文献数
7 2

本論文は,三次元の音声・映像を統合した新たなメディアを提案する.まず,多数のカメラ,マイクロホンを並べたカメラアレー,マイクロホンアレーで,多視点・多聴点データを撮影した.次にそのデータより自由視点映像,自由聴点音声を生成し,自由視聴点映像の生成に成功した.
著者
小島 清信 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.371-380, 2013-03-01
被引用文献数
1

ソーシャルフィルタリングといわれる人的ネットワークを介した選択的な情報伝達作用に着目した.Twitterは相手の同意なくリンクをつなぎ換えできるため,ユーザの興味変化がソーシャルグラフとしてAPIを通じて動的に取得可能である.実ユーザの行動を週単位から年単位まで追跡調査することで,リンク数が32(10^<1.5>)以上のユーザにおいて積極的なつなぎ換えを観察した.アンケートを加えてつなぎ換えの分析を行い,中位次数へのリンクを活性化させる分散的選択と探索的選択の特性を導き出した.モバイル環境の普及により人を介する伝達の機会は更に増加すると考えられ,ソーシャルフィルタリングを活用するための知見が応用できる領域は大きい.
著者
中村 哲也 瀧 敬士 野宮 浩揮 上原 邦昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2579-2588, 2008-11-01
被引用文献数
3 13

近年,時系列データの分類に関する研究が盛んに行われている.しかし,既存の類似度測定手法は,データ整合,ノイズ,計算コストなどの問題がある.また,座標値のみの計算ではあらゆる時系列データを安定して分類できないという問題もある.これは,時系列データがもつ波形の振幅,振動数,概形などの特徴も考慮する必要があるからである.本論文では,前者の解決のために類似度測定手法Angular Metrics for Shape Similarity (AMSS)を提案する.AMSSは時系列データをベクトル列として扱い,ベクトルの角度を比較して類似度を計測している.角度の比較にはコサイン類似度を用い,ノイズのような類似しない部分を無視している.また,動的計画法で系列間の類似度を計算して,データ整合の問題を解決している.一方,後者の解決のために,それぞれの特徴に合わせた分類アルゴリズムを複数用意し,アンサンブル学習の枠組みを導入したメタアルゴリズムにより,それらを組み合わせて分類を行う.その結果,個々の識別器を単独で利用するよりも分類精度が向上することを示す.
著者
吉村 浩典 岩井 儀雄 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.1987-1997, 2007-08-01
被引用文献数
11

本論文では,屋外環境において照明変動に対してロバストかつ物体の影を除去した移動物体検出手法を提案する.この手法は明るさ可変背景モデルを用いて背景成分をカルマンフィルタにより連続して推定,更新を行うことで実現する.また移動物体の検出には,明るさ可変背景モデルを用いて色情報により識別を行う.更にMSC(Margined Sign Correlation:マージン付き符号相関)を利用して空間情報による識別も同時に行う.これにより更なる移動物体の検出精度の向上を図る.このシステムを実際に屋外において撮影された動画像に適用することで,カルマンフィルタによる背景成分の推定の様子を示し,移動物体の検出精度の評価とその考察を行う.
著者
大島 哲 望月 理香 趙 晋輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.68-76, 2011-01-01

本論文は,色空間のリーマン空間としての幾何学的特性に着目し,局所計量からリーマン正規座標系を構築することで,異なる色空間の間で主観色差を保存する写像を導出した.色弱補正への応用として,色弱者と一般色覚者の色弁別しきい値データから局所計量を算出した.色空間上のリーマン正規座標系を構築することで,任意2色間において,色弱者に一般色覚者と同様な主観色差感覚を与える色弱補正と色弱シミュレーション方式を示した.更に,リーマン正規座標系を,2次元の色度平面上だけでなく,3次元の色空間全体においても構築することで,色度と明度を同時に考慮した色差感覚の補正を試みた.最後に,補正効果の主観評価として,SD法による印象評価を行い,補正効果を確認した.
著者
伏見 卓恭 斉藤 和巳 池田 哲夫 武藤 伸明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.1158-1165, 2013-05-01

社会ネットワーク分析の分野で重要ノードを抽出する指標として中心性指標が提案されており,これらはノードの独立的な性質により,各ノードをランキングする手法である.本論文では,集合内での各ノードの協調的振舞いを想定して,任意のノード群に対する指標として拡張した集合中心性を提案する.集合中心性は,集合内で各ノードが互いに影響し合う点を考慮し,集合としての中心性値が高くなるようなノード集合を抽出する.集合次数中心性を求める問題はK-vertex covering問題に帰着し,集合近接中心性を求める問題はK-median問題に帰着できることを示す.集合媒介中心性においてK個の重要ノードを選定する問題は,看板配置問題という新たな数理問題の一解法であることを示す.更に,集合媒介中心性を効率的に求めるアルゴリズムを提案する.複数の構造の異なるネットワークを対象とした評価実験より,道路網上への看板配置問題への応用が期待できることを示す.
著者
鳥海 不二夫 石田 健 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.7, pp.1135-1143, 2010-07-01
被引用文献数
4

近年,SNS(Social Networking Service)やBlogなどインターネットを利用したコミュニケーションツールの利用が増加している.我々はネットワークの視点から小規模SNSを分析し,どのような構造が形成され,成長しているかを明らかにし,mixiなど大規模なSNSとの構造を比較することで,小規模SNSの特色を明らかにした.また,分析結果に基づいてSNSのネットワーク成長モデルの提案を行った.その結果,Fitnessモデル,CNNモデルを併用したモデルによって,実際のSNSと類似したネットワークを構築可能であることが確認された.
著者
八代 武大 森村 吉貴 西口 敏司 角所 考 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.236-246, 2009-02-01
被引用文献数
1

大学の講義を撮影,配信する講義アーカイブに対する試みが盛んになっている.このときの配信映像として,カメラを自動制御することによって適当な構図の映像を撮影するアプローチもあるが,すべての視聴者の視聴要求を満足することができないため,視聴者が自由に注視対象を選択できるようにするためには講義中のすべての注視対象を含んだ広視野画像を獲得できることが望ましい.このような画像を安価かつ簡易に獲得するために,複数のカメラで撮影された画像を合成するための研究が従来から行われているが,本論文では,講師を追跡撮影する1台の視点固定型パンチルトカメラと黒板やスクリーンなどの平面を撮影する複数の固定カメラの画像を組み合わせることで,原理的にはひずみの全く生じない講義室の広視野高解像度画像を合成する手法を提案する.実験により,提案手法を用いてひずみのない講義室画像が合成できることを確認した.
著者
和泉 潔 池田 竜一 山本 仁志 諏訪 博彦 岡田 勇 磯崎 直樹 服部 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2877-2887, 2013-12-01

本研究では,構成論的なアプローチに基づくエージェントベースの社会シミュレーション研究の新たな方法論,可能世界ブラウザを提唱した.更に,実際の購買データに基づいたシミュレーションによる購買ターゲットの特定を題材にして,可能世界ブラウザを応用した結果を紹介した.顧客の購買行動をエージェントベースモデルに組み込んだシミュレーションモデルを作成した.そしてユーザが目的となるようなケースを作り出す.特定ケースでのエージェントの購買行動パターンの特徴を分析することで,目的の達成に大きく関係している購買行動パターンを特定し,更にその成分の組合せから具体的な消費者像の推定を行うことで顧客ターゲティングにつなげることができた.
著者
早川 幹 大久保 教夫 脇坂 義博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2359-2370, 2013-10-01

実用的に人間行動を大規模計測・収集するシステムとして,ビジネス顕微鏡システムを開発した.小型・軽量の名札型センサデバイスにより,赤外線を使用した場所や対面情報,三軸加速度による体の動きや音声特徴量を取得し,組織ダイナミクスを可視化してフィードバックする.センサデバイスは,赤外線送受信の時分割駆動により低電力で様々なシチュエーションの人間の対面を記録するビームスキャン技術や,センサデータのブロック処理により,消費電流を約52%削減した.更に,通信路の仮想化によるプロセス多重化により,同時接続台数が増加しても通信性能が劣化しない大規模展開に耐えうるデータ収集フレームワークを構築した.
著者
齊藤 剛史 小西 亮介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.1105-1114, 2007-04-01
被引用文献数
42

本論文では視覚情報を利用して人間の発話内容を理解する,いわゆる読唇において高認識率が得られるトラジェクトリ特徴量を提案する.トラジェクトリ特徴量は,口唇領域または口内領域より計測できる面積とアスペクト比の二つの特徴量をもとに,発話により生じる2特徴量の時間的変化を口形の軌道として表現される.認識はトラジェクトリ特徴量に二次元DPマッチングを適用する.(1)車椅子制御用10単語と(2)数字10単語の動画像において,これまで提案されている特徴量とトラジェクトリ特徴量の比較実験を行った結果,従来特徴量で最も高い認識率は(1)92.5%,(2)72.0%であったのに対し,トラジェクトリ特徴量は(1)99.5%,(2)83.5%の高認識率を得た.また処理速度,発話速度を考慮して擬似的にフレームレートを変更して比較実験を行った結果,従来の特徴量で最も高い認識率は69.5%であるのに対し,トラジェクトリ特徴量では98.0%と高い認識率であった.これより,トラジェクトリ特徴量は発話速度に対してロバストであり,かつ高い認識精度を有することを確認した.