著者
跡見 順子 清水 美穂 藤田 恵理 跡見 綾 東 芳一 跡見 友章
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.155_1, 2019 (Released:2019-12-20)

本発表では、講義と実践を組み合わせた運動生理学的教育プログラムの開発について報告する。地球重力場で進化した動物の仲間であり直立二足歩行を獲得した人の姿勢・身体運動は、他の動物と異なり、すべてを反射で行うことはできない。立位の重心に相応する部位は「丹田」と呼ばれ、武術では体幹コントロールのポイントとする。身体重心のトレーニングは、生理学的には随意運動により体幹の筋群をコントロールすることが可能である。しかし、体幹の深部筋を対象にした研究は方法上難しいので少ない。また体幹・脚・足・の連携制御により軽減される膝や腰等の関節痛予防のための姿勢やバランスの体育教育プログラムはきわめて少ない。本研究では、高校生70名、大学生・大学院生総勢50名を対象に、運動の脳神経系の連携機序や力学応答する細胞の基本特性などについての講義および仰臥位で自分自身の手で腹部を触り、触覚を感知し、自ら行う腹側の筋群・脚・足のエクササイズを毎日実践してもらった。その結果、身体的要素(姿勢、上体起こし回数、ジグザグ歩行回数等)の有意な増加や改善、および意識的要素(目覚め・寝つきのよさ、前向き)の改善がみられた。
著者
鍋倉 賢治 小井土 正亮 青柳 篤 岡部 正明 辻 俊樹 濵谷 奎介
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.167_1, 2016

<p> サッカーの勝敗は、選手個人のボールを扱う技術の正確性、チーム戦術に負うところが大きい。選手がボールを扱う局面に目を向けると、一瞬のスピードやジャンプ力、当たり負けしない体幹の強さが求められ、これが局面における相手との勝敗に影響する。さらに、このようなスピード、パワー、クィックネスといった運動能力を90分という長い時間、間欠的に繰り返し発揮し続けなければならない。そのため、選手の持久的な能力を客観的なデータを用いて評価することは非常に重要な意味を持つ。そこで本研究では、プロサッカー選手の持久性体力を評価し、サッカー選手に求められる持久力の基礎的知見を得ることを目的とした。対象は2016年シーズンJ1リーグ所属チームのGKを除く25名(23.7 ± 4.5歳)である。トレッドミルにおいて漸増負荷試験を行い、呼気ガスパラメーターを測定し、最大酸素摂取量(VO2max)などを評価した。全員のVO2maxの平均値は58.5 ± 4.4ml/kg/minであり、別に測定した一流大学選手よりもやや低く、他国プロサッカー選手とほぼ同等であった。今後、ゲーム中の運動量や心拍数と合わせて検討していくことで、要求される持久力などが明らかになるものと期待される。</p>
著者
村井 梨沙子 荻原 朋子 長登 健
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.261_1, 2017 (Released:2018-02-15)

ゴール型ゲームにおけるサッカーでは、足でボールを操作することの難しさから、ゲーム中の状況判断が難しいことや、意図的ではないキックが頻発すること、さらに、ボールに触れることなくゲームが終わってしまうことも少なくないという指摘がある。そのため、ボールを蹴る・止める動作を確実に保障できる教材を実践することが求められている。 そこで本研究では、攻守分離された状態でボールを足で扱う「フロアキックボール」(井上,2016;小畑,2016)を参考に教材を再構成し、その教材を用いることで、児童のボールを蹴ったり止めたりする技能を高め、効果的に学習内容を身に付けさせることができるか検証した。対象者は千葉県内N小学校4年生37名であった。毎時間のメインゲームの映像を撮影し、ゲームパフォーマンス(パス、トラップ、シュート、シュートまでの所要時間等)について、映像分析ソフトStudio Codeを用いて分析した。その結果、相手の間やコートの隅を狙ってシュートを蹴る児童が見られるようになった。詳細な結果と考察は、当日発表する。
著者
春名 匡史
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.144_1, 2017 (Released:2018-02-15)

体幹伸展運動に伴う肩甲骨後傾運動は、オーバーヘッドスポーツで障害予防やパフォーマンスアップに重要となる。本研究の目的は、体幹伸展時の、肩甲骨と、上位胸椎、下位胸椎、腰椎および肋骨運動の運動連鎖を定量評価することである。対象は20歳代健常成人男性6名。対象者の肩甲骨、胸腰椎および肋骨(肋骨下縁に6個貼付)の骨特徴点に赤外線反射マーカを貼付し、端座位での体幹中間位と体幹最大伸展位(視線前方注視かつ上肢脱力位)を光学式モーションキャプチャ・システムにより静的に計測した。カメラ座標系に対する肩甲骨座標系の回転を肩甲骨の外観上の運動とし、胸部座標系に対する肩甲骨座標系の回転を肩甲骨の胸郭に対する運動とし、それぞれオイラー角で表現した。上位胸椎(1–7胸椎)、下位胸椎(7–12胸椎)、腰椎(12胸椎–5腰椎)および肋骨運動は各マーカ間の距離の和で表現した。肩甲骨前後傾、上位胸椎、下位胸椎、腰椎および肋骨運動それぞれに対して、体幹中間位から体幹最大伸展位への変化量を求めた。外観上の肩甲骨後傾運動は下位胸椎伸展に、胸郭に対する肩甲骨後傾運動は腰椎伸展および肋骨下制に影響されることが明らかとなった。
著者
牛来 千穂子 水落 文夫
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.99_3, 2017

<p> バスケットボール競技の現場では、連続してシュートを成功させると、その選手はパフォーマンスに対する自信と成功への期待を高め、「シュートタッチ」やその後のシュート時の諸動作がスムーズになることから、シュートが入りやすくなると信じられている。このhot hand現象を支持する研究報告の例として、Smith(2003)はhot hand現象の生起に関して、成功体験による正の強化が、自己効力感を高めパフォーマンスを向上させるとしている。一方で、誤認知であり単なる偶然に過ぎないという報告もみられる。しかし、実際にシュートの連続成功場面における、シューターのシュート動作と心理状態の変化を検討した研究は見当たらない。そこで本研究では、hot hand現象の生起、及びその際のシュート動作と心理状態との関係について、男子大学生バスケットボール選手らに行ったインタビューデータの質的分析と、3ポイントシュートを課題とする連続シュート実験によって検討した。連続シュート実験では、二次元気分尺度(TDMS)を用いてhot hand現象が生起している際の感情状態を経時的に評価し、シュート動作を撮影した動画を用いて3次元動作解析を行った。</p>