著者
清 水 誠
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.179-185, 2003-09-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

This research compares the effects of making a model for the purpose of increasing a student's observational abilities to the effects of sketching. In this case, each student had previously sketched a leaf arrangement to observe how the leaves were attached to a stem. By making a model, students could point out many more details about how the leaves were attached and were much more descriptive in their observations of leaf arrangements both during and after model-making. As a result, students not only learned more from model-making than sketching, but retained more information when tested two months later for example, by being able to describe how sunlight affects leaf arrangement. Thus, model-making was found to be more effective than sketching in two important ways: 1) students observed more details, and 2) students retained more information about what they were studying. Model-making, then, can be said to be a more effective way of enhancing the observation and retention of details and information than sketching.
著者
原田 和雄 松川 正樹 吉野 正巳 犀川 政稔 佐藤 公法 林 慶一 長谷川 正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.316-330, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
24

The research activities that scientists perform routinely were analyzed and divided into stages. The research process of inquiry-based science in school was developed on the basis of the results of the analysis of scientists’ research activities. Two possible approaches were considered in the research process of inquiry-based science. Pathway 1 starts from the first stage of the inquiry-based science, which is the stage of having interest, curiosity or questioning. Pathway 2 starts just from the stage of defining the problem after presentation of a problem to students from a teacher or an advisor. Pathways 1 and 2 are the same after the problem defining stage, because a concrete inquiry activity starts after defining the problem. The main stages after defining the problem are developing a strategy for problem solving, observations or experiments, summarization of results, discussion and reaching conclusion. The scientific ability to be developed at each stage of the inquiry-based science was defined on the basis of the activities of researchers at the corresponding stage of scientific research. The activity at each stage was analyzed and defined as “Science Activity” and “Remarks on the Activity” and the results were summarized.
著者
加藤 瑠理 奥田 留那 福光 真理奈 小林 美緒 三宅 志穂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.95-100, 2015

本研究では、 天王寺動物園 (大阪市) のアジアゾウをモチーフにして、 環境教材絵本を創作する研究に取り組んだ。 科学絵本に含まれる3つの観点 (Visual Simplicy, Narrative, Mystery ofthe World) について、 創作プロセスをふりかえることにより、 どのようなことが反映できたかを考察した。1) Visual Simplicy : 画用紙を切り貼りすることにより、 視覚的明瞭さが反映された。2) Narrative : 動物園で実際に会うことのできるゾウを主人公としたことによる親近感、 私たちの日常的なものが環境問題を引き起こしているという関係性が反映された。3) Mystery of the World : 天王寺動物園のゾウの固有な性格や特異な行動の 「謎」 を解き明かす展開が反映された。こうした知見の蓄積は、 環境教材絵本の開発をさらに進めるノウハウにつながるかもしれない。
著者
上田 恵子 粟島 由海 森田 直之 中安 雅美 足立 真理子 エデラ ロビンソン 井上 奈穂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.321-322, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
2

著者が在学していた東京都立多摩科学技術高等学校(以下、本校)は、平成22 年に開校し、平成24年に文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された。著者は平成26 年4 月から平成29 年3 月まで在学したが、本校では2 年次に『課題研究』、3 年次に『卒業研究』といった研究活動を主体とした授業が用意されている。この授業では、自ら課題解決に関するテーマを設定し、授業が展開されている。本研究では、SSH 指定を受けた進学型専門高校における課題解決型授業におけるテーマ設定プロセスを生徒の立場で考察し、実践した内容を報告する。
著者
川上 紳一 三谷 弘敏 長谷川 司 上田 康信
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.1-6, 2003
参考文献数
3

小学理科「月と星」,中学理科2分野「地球と宇宙」の単元における,人工衛星の観測を取り入れた新しい指導法を提案する.人工衛星の観測を行うには,人工衛星の到来時間,飛行経路などの情報が必要であり,そうした情報を提供したホームページ「人工衛星観測ナビゲータ」を開発し,公開した.このウェブサイトでは,肉眼で見える人工衛星の種類やその業務内容,明るさに関する観測データを紹介している.児童・生徒に配布するためのワークシート画面があり,プリントしたものをトレーシングペーパーでなぞることで,目印となる星座や天体の配置に慣れることができる.実際に夜空を見上げて人工衛星を見つけることで,児童・生徒ひとり一人が星座学習の授業の達成感が高まる点に特色がある.
著者
窪 航平 隅田 学 掛水 高志
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.63-66, 2021

<p>本研究は高等学校化学において,物質量に関する科学理解の形成を促進する理科授業を開発することを目指し,まず今回,予備調査として理科教員志望大学生83名を対象に物質量に関する簡単な問題及び定義に関する設問,身の回りにあるある数をワンセットとして考えているような単位概念に関わる設問をからなる3つのセクションの調査をGoogle フォームで実施した.その結果,基本的な問題では90%を超える正答率が得られた.物質量の定義に関わる自由記述形式の設問に対する回答と正答率が90%を下回った問題を総合的に分析した結果,粒子数が体積に影響するという誤概念を形成している学生がいること,基本的な定義を知っているにもかかわらず,それらの活用に問題があることがわかった.また,身の回りにあるある数をワンセットとして考えているものの例としては「クラス,卵,足,パック,カートン,ケース,チーム」などの表現が見られ,それらが単位概念の例として大学生にとって身近である事がわかった.</p>
著者
高垣 マユミ
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.184-195, 2005
参考文献数
21
被引用文献数
3

This study aimed at devising a teaching strategy and a learning tool for effectively acquiring the concept of a simple pendulum, and examining their teaching effects by conducting science classes on the motion and function of a simple pendulum with respect to 30 fifth-grade students. As a result of conducting the classes, it was found that the following conditions need to be met to effectively acquire the concept of a simple pendulum. 1. Teaching Strategy (1) Length of string : Make the students get on a Tarzan rope for the purpose of recognizing isochronism through physical experience. (2) Pendulum weight : Make the students gather and analyze data acquired on simple pendulum phenomena in the real world to detect isochronism, in a clearly and highly-motivated manner. (3) Amplitude : Make the students iterate the process of mapping data of the numerical world to simple pendulum situation phenomena in the real world. 2. Learning Tool In consideration of the actual situation of the primary school students, give the students the opportunity to visualize simple pendulum phenomena which are difficult to visually capture at a speed that allows for simulation, while allowing each student to manipulate the time base individually in accordance with his/her interest and actual situation.
著者
小林 卓矢 石原 諭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.25-28, 2019

<p>「物理は公式を覚えてそれに値を代入する科目」といった誤解が,特に物理を苦手とする生徒たちの間に蔓延しているように思われる.その状況を少しでも改善させるため,世界的に評価の高い教材である「ファインマン物理学」のⅠ章9節にある「逐次計算手法」を高校物理に導入することを提案したい.この手法を導入するメリットは,先に述べた物理を苦手とする生徒への物理の概念形成を促すという効果だけではなく,発展的なことを求める生徒にも効果が期待される.それは逐次計算手法が,公式が通用しない,理想的でない状況における物理現象の説明(加速度が位置や速度により変化する,一般に微分方程式を用いなければ運動解析ができないもののグラフ化)に役立つからである.逐次計算手法の教育的効果について,高校3年生に補習授業「単振動の様子を逐次計算で追う」を実施し,補習前後のアンケート調査(MPEXメリーランド大学物理期待観調査)を分析することで,その有効性を確かめた.</p>
著者
安藤 秀俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.169-170, 1993

植物群落の生産構造の学習に関して、実習を行う際の簡単な方法について紹介するとともに、畳の原料として日本人には馴染み深い工芸作物であるイグサをその学習材料としてとり上げた。イグサは、受光体制の面からみて、きわめて光合成能率の良い理想的な草型とされており、こうした生理的・生態的特徴は、植物の生産構造、また群落における光の透過性を学ぶ上での教材として十分利用できるものと思われる。
著者
戸田山 和久
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.112-113, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

本発表では、若手科学者および科学コミュニケーターを対象とした、市民向け科学コミュニケーション研修プログラムにおいて、適切な比喩の使用方法を考えるためのワークの実施結果をもとに、市民向け科学コミュニケーションにおける比喩の使用の適切さは何で評価するべきかという問題について考察する。発表者のこれまでの実践から得られた示唆は、どのような比喩を使うべきかは、「わかりやすさ」にばかり注目すべきではなく、コミュニケーション活動が置かれた文脈を十分に考慮して決定されねばならないということである。
著者
野村 直洋 川村 康文
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.498-499, 2013

本研究では円運動の実験を安価で手軽に行え、生徒の理解の手助けになるような実験教材の開発を目指した。1つは手作り綿菓子機で、もう1つはCDケース型加速度計を用いた円運動実験機である。
著者
池松 尭俊 川村 康文
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.482-483, 2013

本研究では、「速度・加速度」に関してCDケースを用いて手軽に作製できる加速度計と、人が乗れる大型力学台車を作製し、理科大好き実験教室で実践した。
著者
長浜 音一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 21 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.387-388, 1997 (Released:2018-05-16)

子どもの心豊かな人間性を育むために、子どもの生活環境の改善やその周辺に起こる様々な問題の解決に向けて、PTAの果たすべき役割が益々高まってきている。西牛谷小学校PTAでは、その第一歩としてPTAの活性化を目指した。本論は、「おやじの会」の創設による父親のPTA参加を促す活動として、新たな科学事業を導入、それを活動の媒体にしながらPTAの活性化を図ったものである。その結果、親子で取り組む科学活動を通して、父親のPTAや地域活動への参加意識や周囲の父親に対する見方も変わり、PTA活動も盛んになってきた。
著者
内田 冴子 江藤 はるか 内川 義和 岡野 真弓 中村 伸江 澤田 惇
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.255-256, 2001
参考文献数
3

21世紀の医療は患者中心の医療といわれている。九州保健福祉大学 保健科学部 視機能療法学科が目指す視能訓練士は、視能訓練士法に基づいた国家資格を有するコ・メディカルであり、当然時代のニーズである患者中心の医療に対応できる教育を行わなければならない。このためのコンテンツは科学(専門知識)を自らの責任下に置く学習、相手の痛みをわかり、人(患者)を思いやる人間性の育成、インフォームド・コンセントに必要な感性と表現の研磨である。これらの背景に加え、本学建学の理念である「学生一人ひとりのもてる能力を最大限に引き出し引き伸ばす」を基盤に、KJ 法による独創的問題解決法を試みた。本稿ではその手法と結果などを報告する。
著者
吉川 佳佑 島 弘幸
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.33-36, 2018

<p>虹をテーマとした「光の回折・干渉」の実験は、目にした生徒の印象に残りやすく、光の波動性を学ぶのに適した実験の一つである。本稿では光ディスク(CD やDVD 等)を用いて、二重同心円の虹模様を、教室の壁いっぱいに作り出す手法を紹介する。本手法で二重の虹の円を実演した後、その仕組みを生徒に考えさせることで、回折・干渉に関する生徒の理解を促すことができる。さらに手軽で安全な道具のみを用いることから、生徒自身が実験条件を自由に工夫して、虹の変化を楽しむことができる。</p>
著者
大橋 匠 佐久間 大 鍋倉 翔陽 西田 あかね
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.395-396, 2016

<p>本研究の目的は,児童生徒の主体的な学習活動を支援することである.上記の目的を達成するため,学習者のファシリテーターとしての大学生を複数配置した学習環境をデザインし,それを実践した.分析の結果,ピタゴラスイッチワークショップ,およびロボットワークショップに対する教員の評価は高いことが明らかになった.</p>
著者
瀬戸崎 典夫 三重野 愛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 43 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.457-458, 2019 (Released:2020-07-31)
参考文献数
3

「特別の教科道徳」が教科化され,「考え・議論する道徳」への転換が求められている.しかしながら,教育現場において,授業の中で「考え・議論する」時間を十分に確保できているとは言い難い.そこで,本研究では「特別の教科道徳」における反転授業用シナリオベース教材の開発を目的とした.さらに,小学2年生および,小学校教員を対象に,開発した反転授業用教材の有用性を評価した.その結果,本教材は小学2年生がひとりでも操作することができ,自宅で物語の内容を把握できることが示唆された.さらに,授業内の議論の充実に有用な反転授業用教材である可能性が示された.
著者
古木 隆寛 竹内 日登美 原田 哲夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.39-42, 2019

<p>生物の解剖を行うことは学生の生物に対しての意識に有益に働くことが数多く報告されている。しかし、高知大学の学生で過去に生物の解剖を実際に行ったことのある学生は多くない。そこで、高知大学教育学部において開講されている「生物学実験Ⅰ」ではこれまでアフリカツメガエルの解剖を行ってきた。アフリカツメガエルの解剖を通して、体のつくりなどを学ぶと同時に、解剖に関して適切な手順や注意点を知ることを目的とした授業であるが、実際に決められた時間の中で、全てを指導するのはやや困難であった。そこで本研究では、全ての学生が適切に解剖を行い、十分に観察および考察ができるように、資料やサンプルを作成し、解剖に臨んだ。その結果、全ての学生が適切に解剖を行うことができ、十分に観察、考察をした結果、生命尊重の観点においても深く考えを至らせることができた。</p>