著者
飯田 龍 小林 のぞみ 乾 健太郎 松本 裕治 立石 健二 福島 俊一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.1, pp.21-28, 2005-01-11
被引用文献数
12

本稿では,文章に記述されている意見を抽出するタスクについて述べる.我々は,意見を<対象,属性,評価値>の3つ組として定義し,文章からその3つ組を抽出する手法を提案する.具体的には,意見抽出の問題を,(a)辞書に存在する属性候補集合と評価値候補集合から評価値候補と対となる属性を同定する問題と,(b)同定した対が意見性を持つか否かを判定する問題の2つの問題に分解し,それぞれ機械学習に基づく手法を用いて解析することにより,属性-評価値対を同定する.提案手法を用いて評価実験を行った結果を報告するとともに,今後の展望についても議論する.This paper addresses the task of extracting opinions described in a given document collection. Assuming that an opinion can be represented as a tuple < Subject, Attribute, Value>, we propose a computational method to extract such tuples from texts. In this method, the major task is decomposed into (a) the process of extracting Attribute-Value pairs from given texts and (b) the process of judging whether each extracted pair is expressed as an opinion of the author, to both of which we apply machine-learning techniques. We also report on the present results of our experiments discussing future directions.
著者
谷口 秀夫 乃村 能成 田端 利宏 安達 俊光 野村裕佑 梅本 昌典 仁科 匡人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.86, pp.71-78, 2006-07-31
被引用文献数
25

マイクロプロセッサや入出力ハードウェアの進歩には目覚しいものがある。さらに、通信路の伝送速度の向上も著しい。また、様々な場面で計算機が必要となり、提供するサービス種別も飛躍的に増大している.このような背景から、これらハードウェアの機能や性能を有効に利用でき、さらに多様なサービスの提供を支える基盤ソフトウェアが必要になっている。そこで、適応性と堅牢性をあわせ持つAnTオペレーティングシステム(An operating system with adaptability and toughness)を開発している。ここでは、AnTオペレーティングシステムの設計方針と特徴的な機能について説明する。There is a remarkable thing for progress of a microprocessor and input-output hardware. Furthermore, improvement of transmission speed of a channel is remarkable, too. hi addition, a computer is necessary in various scenes, and service classification to offer increases drastically. It is demanded that base software can use a function and performance of these hardware effectively. Therefore it was started development the AnT operating system (An operating system with adaptability and toughness) to have both adaptability and solidity. This article explains a design policy of the AnT operating system and a characteristic function.
著者
前田 晴美 糀谷 和人 西田 豊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.616-625, 1997-03-15
被引用文献数
8

既存の雑多で構造の不均質な情報源から情報を収集・整理する手法を提案する.基本となるアイデアとして,雑多な情報をゆるやかに関連づける連想構造というデータ構造を用いる.連想構造は生データから容易に生成でき,人間が直観的に理解しやすい.我々は,連想構造を用いて既存の情報源から情報を収集し,整理する過程を支援するシステムCM?2(Contextual Media version2)を試作した.CM?2では,(a)既存の情報源から情報を取り込み,連想構造を生成する情報キャプチャ機構と,(b)キーワードに基づき情報の切り出しと構造化を行う知的情報統合機構を実現した.CM?2の有効性を実験によって確かめた.We propose a method to gather and reorganize information from heterogeneous information sources.The method is based on the use of a plain information representation called associative structures.Associative structures connect various information media without defining the semantics rigorously.They are easy to generate from raw data and comprehensible to humans intuitively.We developed a system called CM-2(Contextual Media version 2) to realize this method.We describe the system's two major facilities;(a) an information capture facility which gathers information from heterogeneous information sources and generates associative structures and (b) an intelligent information integration facilitywhich reorganizes information according to user's input.We verify our approach by analyzing results of experiments.
著者
高野 元 久保 信也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.10, pp.9-16, 2000-01-24
被引用文献数
7

本報告は、WWW検索用のランキングシステムであるサイテーション・エンジンの機能と構成について述べる。現在のWWW検索の問題は、一つ一つのページを独立した文書として扱っていることであると考え、ユーザに提示すべき検索結果は個々のページの重要度ではなく、WWWサイトの構成を反映したものにすべきと考えた。サイテーション・エンジンは、WWWページ間のリンク構造を解析することによって、上記機能を実現する。サイテーション・エンジンはWWWクローラが出力するリンク情報をデータベースに格納し、これを解析する。解析機能は、リンク参照関係を用いた重要度(ページランク)計算機能と、WWWページ間の関連を用いた情報構造(インフォメーション・ユニット)解析機能からなる。さらに、ここで得られたページランクとインフォメーション・ユニット情報に基づいて、検索結果を並べなおすリンク構造ソート機能を備える。これにより、全文検索エンジンと連携して、高度なランキング機能を備えたWWW検索システムを構成できることを、プロトタイプシステムによって確認した。This report describes functions and configuration of a ranking system for the WWW search engine, which we call "Citation Engine". We have figured out the problem in the WWW search system that the system treats each WWW page as an independent document. Therefore, the ranking method in the system should consider a structure of pages in a site. According to this consideration, "Citation Engine" was designed to give better ranking by using link analysis techniques. "Citation Engine" stores and analyzes whole link structures that are fetched by the Web Crawler system. There are two main analysis functions: (1) the page rank analysis, and (2) the information unit analysis. It also provides the structural sorting function, which organizes search result with information of the page rank and the information unit. The WWW search engine which gives well-organized search results can be build by integrating "Citation Engine" and the full-text search engine. Efficiency of "Citation Engine" is verified on a prototype system.
著者
中村 正規 塩澤 守弘 内山 恵三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.34, pp.1-7, 1998-05-14

日本のエネルギー政策にとって欠かすことのできない原子力発電をお客様一人一人に理解していただき、また、分かり易く情報を提供できるシステムが必要とされている。本稿では、インターネットを活用したマルチメディアコンテンツによるコミュニケーションシステムを提案する。このシステムは、情報発信者が、メディアの部品を組み合わせて奥行きのあるコンテンツを簡単に作成できる。また、作成したコンテンツは、自動的に関連情報とリンク付けされるので、利用者は、利用者の理解度、興味の対象に合わせてコンテンツをサーチすることができる。我々は、原子力発電所のパンフレットを題材にして原子力PAを試作した。奥行きのあるコンテンツは、従来のフラット構造のンテンツと比べて、利用者の理解を支援する効果が高められる。There are substantial needs among public utilities for the system that provides customers with the easy to understand information and facilitates their understanding and acceptance of nuclear power plants that are essential for the Japanese energy policy. This paper proposes a customer communication system that casts multimedia contents via the Internet. By using this system, users can edit multimedia components in an easy manner and make state-of-art contents that consist of layered components. In addition, the contents made with this system automatically generate lists of references to the related information, thus viewers can search the contents on the basis of their understanding and interests. We developed a demonstration system that facilitates public acceptance of nuclear power plants. We believe that our multi-layered system is significantly more effective in supporting customers' understanding than commonplace ones that are made up of single-layered contents.
著者
尾上 裕子 藤井 敬三 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.56, pp.1-6, 1994-07-07
被引用文献数
5

リアルタイム通信プロトコルにおいて、従来の統一的かつ固定的転送制御に対し、混成的ネットワーク形態での相対的かつ動的なQOSを提供する転送制御方式の確立を目標とした。そのため、トランスポートレイヤでのエンドツーエンドのQOS制御と、ネットワークレイヤでのポイントツーポイントのQOS制御との協調制御方式を提案する。具体的には、()ネットワーク毎に異なるQOSを提供するための中継エージェントにおけるQOS制御機能と、()転送フローの状態に応じてエンドツーエンドのQOSを変更するためのフローモニタリング・フロー調整機能を導入する。このフロー調整機能では、転送しようとするメディア情報の特性・エンドツーエンドのネットワーク性能特性・受信側アプリケーションの要求条件の3点を総合的に評画し、QOSレベルとフロー制御方式を決定する。次に、本稿で提案するMPCを適用したマルチキャストサーバを、RT?Mach上で実装し、フロー調整機能のうちの前者の2点について適用実験を行った。実験結果から、マルチキャスト通信にQOSレベルを導入することによって、複数のクライアントが同一メディアフローの転送サービスに対して個々に異なる性能パラメータ値を要求することができ、その結果例えばグループへの参加形態に応じた相対的な要求条件を満足することが可能となると考える。This study aims to establish transmission control methods in realtime communication protocols that provide a relative Quality Of Service (QOS) to allow a variety of receiving capacities of group members and their requests, and a dynamic QOS to cope with temporary CPU overload, and network congestion. Therefore, this study proposes a cooperative control method for an end-to-end QOS control at a transport layer such as flow monitoring and adjusting functions, and a point-to-point at a network layer such as flow control functions. Next, the multicast server applying a Multicast Protocol for Continuous media (MPC) have been implemented on a RT-Mach. The results support that introducing QOS levels into multicast communication allows various performance parameters for transport services of shared media flows and satisfies relative requirements according to the styles of participation in group communications.
著者
田中良夫 松井 祥悟 前田 敦司 中西 正和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会記号処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, no.49, pp.17-24, 1994
被引用文献数
1

通常ガーベッジコレクション(GC)はリスト処理を中断して行なわれる.GCをリスト処理と並列に行なう(並列GC)ことにより,GCによる中断時間をなくし,リスト処理の実時間化が可能となる.並列GCではGCの処理中にリスト処理によってデータが書き換えられるので,GCの正当性を保証するために特殊な処理が必要となる.そのため並列GCは停止型GCに比べてあまり効率が上がらず,実用化されているものもほとんどない.mark and sweep方式の並列GCにおいては,ゴミセルの回収効率が停止型GCに比べて約1/2になってしまうことが知られている.これらの欠点の改善は,並列GCの実用化へ向けての重要な研究テーマである.本論文では,mark and sweep方式の並列GCの欠点を改善したGCである,Partial Marking GC(PMGC)の提案,実装および評価に関する報告を行なう. PMGCはmark and sweep型の並列GCに世代別GCの概念を導入したGCである.PMGCを実装し様々な実験を行なった結果,PMGCによってゴミセルの回収効率は従来の並列GCに比べ最大で2倍に改善されることが確認された.PMGCは並列GCの実用化に向けての有効なGCである.
著者
阿部 剛仁 南 憲一 山室 雅司 曽根原 登
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.89, pp.41-47, 2004-09-02
被引用文献数
1

自由な利用や配布,改変が可能な草の根的コンテンツ(トランスフォーマティブ・コンテンツ)に着目し,それらコンテンツの利便性,信頼性を高めて流通を活性化するとともに,従来の商用コンテンツとの連携により,商用コンテンツ市場を含めたコンテンツ流通全体の活性化を促し,皆がより多くの益を得ることを目指す新しいコンテンツ流通フレームワークを提供するTEAM Digital Commonsについて述べる.また,Creative Commons Public Licenseを利用したコンテンツのメタデータ管理システムについて紹介する.
著者
森本真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.41-41, 2003-02-15

本発表では,文脈自由文法に対するボトムアップ型構文解析アルゴリズムのカテゴリ理論に基づく導出を行う.カテゴリ理論は,問題の本質的な部分を自然に記述できるため,高水準の使用記述や仕様変換に適している.このためカテゴリを用いた仕様記述も行われているが,それらはデータ構造の記述が中心であり,データを扱う制御構造に対する記述はあまり行われていない.そこで本発表では制御構造に対する仕様記述の例として,文脈自由文法に対するボトムアップ型構文解析アルゴリズムをカテゴリ理論に基づいて導出する.文脈自由文法に対する構文解析は実際的な問題であり,これまで多くのアルゴリズムが提案されてきたが,仕様記述という点からは論理式(集合論)に基づく検討以外はあまり行われていなかった.本発表では,構文解析アルゴリズムをカテゴリ理論によって導出することにより,論理式による導出との比較を行う.本発表では,文脈自由文法の構文記号や構文規則などを対象とし,それらの間の射から,最左導出の逆としてボトムアップ型構文解析アルゴリズムを導出する.さらに,対象となる文法をLR 文法に限定した場合に,このアルゴリズムがどのように簡略化されるか(LR 構文解析アルゴリズムに帰着されるか)を述べる.In this presentation, I derive bottom up parsing algorithms for context free grammars by categorical approach. For a context free grammar G, I consider a category whose objects are symbols and rules of G. From this category, I derive bottom up parsing algorithms for G by categorical operations. I also show how this algorithms are reduced to the LR parsing algorithm if G is an LR grammar. Finally I compare this categorical approach for derivation of parsing algorithms with a set theoretic (logical) approach.
著者
安本 太一 湯淺 太一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.2659-2670, 1998-09-15
参考文献数
18

複数の名前空間を持つLispのためのモジュール機能を提案する.提案するモジュール機能の特徴は,モジュールによって最上位環境(top?level environment)とともに記号空間を分割し,モジュール間で(記号ではなく)束縛の可視性制御を行うことにある.既存のLisp言語を自然でかつ容易な方法で拡張してモジュール機能を追加できるうえ,Lispにおけるプログラム開発効率の高さも損なわない.さらに,マクロの束縛捕捉問題を,単純ではあるが効果的に解決できる.A module system is proposed for Lisp dialects with multiple name-spaces.A module in this module system is characterized by its own top-level environment and its own symbol space.By partitioning a single symbol-space,as well as a single top-level environment,into modules,the module system allows to extend existing Lisp languages in a natural and easy way,while preserving the efficiency of program development in Lisp.It also provides simple but effective solutions to the binding-capturing problems of macros.
著者
森谷 修 小林 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.2208-2217, 2003-08-15
被引用文献数
5

Synchronous CSMA with multiple CA方式の運用性の改善を図るべく,負荷トラヒックに応じて衝突回避(CA)用スロット数を適応的に設定する可変スロット方式について考察した.実現にあたっては,同時アクセス数の予測法やCAスロット数の設定法の確立がポイントとなる.実装例を用いたシミュレーションにより特性を評価したところ,多数のCAスロットを装備した固定スロット方式とほぼ同等の性能を発揮しながら,CAスロットの有効利用率を高めることによって,ネットワーク資源の効率的かつ安定な運用を実現した.さらに,固定スロット方式では不可避だったシステム管理者がネットワーク長や伝送速度に応じてCAスロット数を設定しなければならなかった運用管理上の煩雑さを回避できる見通しを得た.A contention-based access system with variable collision avoidance slots has been developed in order to improve operation abilities of a synchronous CSMA/MCA (carrier sense multiple access with multiple collision avoidance) system. This proposed system sets the number of CA slots adaptively according to offered traffic. Simulation results show that it provides high throughput performances comparable to those of fixed-slot systems with a lot of CA slots, avoiding the waste of network resources and complicated network managements on fixed-slots systems.
著者
太田 賢 山田 善大 奈良岡 将英 渡辺 尚 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.2879-2887, 1998-10-15
被引用文献数
4

モーバイルコンピューティング環境で協同作業を行う場合,お互いが時間を共有するリアルタイムの協同作業は,しばしばユーザの都合や通信路の状態の悪化により中断される.また,参加者ごとに送信,受信に利用したいメディア,利用できるメディアは異なることが多く,円滑なコミュニケーションが妨げられる可能性がある.本論文は,ホワイトボードなどの共有空間を維持したまま,リアルタイムの会議から非同期の会議に会議形態を切り替えることができる柔軟性を提供し,リアルタイムに会議に参加できないユーザのためにビデオ,ボイス,ホワイトボード,テキストの書き込みなどの会議情報の蓄積を行うモーバイル電子会議システムを提案する.このシステムは,すべての参加者が意志疎通を図ることができるように,全員ができるメディアを発言候補として各参加者に提示する機能,ユーザが効率的に蓄積された会議情報にアクセスするためのフィルタリング,音声短縮機能を提供する.本システムのシステム設計,実装,実験について述べる.This paper proposes a mobile teleconference system,DYNAMITE,to support cooperative works in mobile computing environment.It's important for participants to communicate each other smoothly in order to cooperate efficiently in doing a work.Unfortunately,a situation of a user and a link state can change frequently in mobile computing environment,and that may prevent smooth communication.For example,participating cooperative works may be disrupted when a user is using a poor wireless link.A user may have restriction of choosing media in a public space because of manners.DYNAMITE can switch a form of communication to synchronous or asynchronous so that a user can continue communication even if either a situation of a user or a link state changes.DYNAMITE also suggests convenient media for other participants to each user.In addition,it provides users with efficient access to server storage containing speeches of meetings by the filter and the shortening voice.
著者
土橋 佑亮 北原 鉄朗 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.217-224, 2008-02-09

音楽ジャンルは楽曲検索において有力な指標となる.音響信号を対象とした音楽情報検索の研究では,音色やリズムといった低次の特徴量を混合音全体から抽出するのが主流であるが,ユーザーの嗜好に合わせた検索を目指すには個々の楽器パートからの特徴量抽出が必要である.本稿では楽器編成の中で重要な役割を果たし,かつ複音からの分離が比較的容易なべースパートの特徴量を取り入れたジャンル推定を扱う.まず,ベースラインの特徴量をPreFEstを用いて得られた基本周波数から抽出し,従来より用いられてきた音色やリズム系の特徴量も用意する.マハラノビス距離を用いた6ジャンルでの識別実験において,ベースラインの特徴量を取り入れることで全ジャンル総合の認識率が54.3%から62.7%に向上した.またMusic Islandを利用して注目する特徴量に応じての楽曲の島を作成し,ユーザーの嗜好に対しての柔軟な楽曲分類を実現した.Music genres play an important role in music information retrieval (MIR). Most of the previous studies on MIR for audio signals have used low-level features, such as timbre and rhythm from a mixture of sound, but acoustic features sould be extracted from individual instrument parts to achieve user-adaptive MIR. In this paper, we deal with music genre classification using acoustic features extracted from the bass part, which plays an important role and the fundamental frequency of which can be comparatively easily estimated. First, the paper describes feature extraction about the bass part from pitch infomation obtained with PreFEst. We also prepare features about timbre and rhythm, which have been used so far. Experimentatal results of 6-genre classification by using the Mahalanobis distance show success rates of 62.7 % (with bass-part features), against 54.7 % (without bass-part features). Finally, we built Music Islands by browsing different views, and achieved flexible music classification for user's preference.
著者
笹田 慶二郎 新谷 公朗 古川 宗孝 豊田 実香 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.35, pp.69-76, 2004-03-23
被引用文献数
10

近年,子育て支援を目的として,保護者と保育者をつなぐグループウェアシステムが多数提案されている.この考え方を発展させ,保育者,保護者,子育て支援センターの行政担当者,医師などが,連絡帳などの子どもに関する情報を共有し,中長期に渡って発達段階を見守る「e?子育てNETシステム」を実現できれば,保育の質の向上に資すると考えられる.しかし,その際の大きな課題は,子どもの活動記録のデジタル化である.各種活動記録の投入を保育者の業務とすると,保育者の負担が増大する.そこで,本稿では,e?子育てNETシステムの中核部として,ベテラン保育者のノウハウを用いて活動記録を容易にデータ投入できる「デジタル連絡帳」を提案する.デジタル連絡帳は,ベテラン保育者のKnowledgeを,多数のテンプレート(例文)として持っており,その選択・加工により,容易に連絡帳を作成できる.連絡帳は,携帯電話,Webによって保護者に配信される.そして,選択されたテンプレート種別などから児童原簿が自動生成される.本稿では,XMLをベースとして開発されたデジタル連絡帳プロトタイプ,及び,幼稚園・保育所の保育者を対象に行ったシステムに対するヒアリング結果について報告する.Recently, many application systems were developed for infant education domain: kindergarten or nursery schools. These conventional systems, however, lack the viewpoint of working reduction for nurses/kindergarten-teachers. Thus, this paper proposes a new supporting system "e-Infant Education NET System" as the way to improve infant education quality. By using the proposed system, parents, nurses/teachers, domain experts of administrative office, and medical-doctors own digital records of child activity in common. The major subject of the proposed system is easy activity record making for each infant. To resolve this problem, the authors developed "Digital Communication Notebook System" having knowledge of veteran nurses/teachers in example sentence format, each of which is called "Template." A nurse or kindergarten teacher selects and modifies the template. This template selection results in automatic generation of a digital communication notebook, daily reports, and special reports for administrative offices. The resultant digital communication notebook is sent to parents through E-mail of mobile phone or Web homepage. This paper demonstrates the outline of the implemented system and the nurses/teachers comments concerning the newly developed system.
著者
内田 和宏 田中 敏光 杉江 昇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.19, pp.107-114, 2004-03-02

高速道路などで用いられる維持作業用車両の後部には,ドライバーに注意を促すために車載標識装置が搭載されているが,作業車両発見の遅れを原因とする追突事故が発生し,尊い命が失われる事態も生じている.作業者を危険にさらす大きな事故の多くは夜間に発生している.そこで,ドライバーに,より遠方から作業車両の存在を認識させることができれば,事故防止に結び付くと考えられる.われわれは,夜間におけるヒトの視覚特性に着目し,高輝度表示による誘目性と視認性を両立可能な新しい表示方法を提案する.一連の実験により提案手法の効果が確認できた.現在,試験的な導入が予定されている.In highways, accidental collisions against the rear-end of maintenance vehicles occur often due to the driver's delay of the discovery of the maintenance vehicles. Many of accidents occur in the nighttime. If drivers can recognize the presence of the maintenance vehicle from a sufficiently long distance, considerable cases of accidents may be prevented. Taking into consideration of the nighttime visual characteristics of the drivers, we propose a new method of display for variable signboards equipped with maintenance vehicles. We can control the contrast by feeble lighting of the LED's of the background part which are usually unlighted. Through a series of experiments we could confirm the efficacy of the method with the features of conspicuity along with high visibility.
著者
田中 康仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.73, pp.1-6, 1999-09-10
被引用文献数
1

機械翻訳システムが日本に於いて本格的に研究開発され始めて約20年弱の年月が経過した。しかし、機械翻訳には色々な問題点がある。 ここでは、機械翻訳の現状を概観し、品質向上にあたっての問題点、方法を検討する。Almost 20 years have passed since the first steps were taken in Japan toward serious R&D in machine translation (MT) systems. Over these two decades, translation software developers have come up against a vast range of problems. In this paper, I shall give an overview of the current state of machine translation, and examine the problems developers are facing in improving the quality of machine translations, and how they are tackling those problems.
著者
川原田 寛 杉原厚吉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.85, pp.43-48, 2005-08-19

形状設計において、メッシュに対して施す「細分割(subdivision)」は、任意位相の滑らかな曲面を生成する手法として有名である、また細分割はメッシュ上でのウエーブレット変換と深い係わり合いがあり、これを利用した多重解像度解析はメッシュの編集において非常に有効な手段となっている.我々はこの細分割の双対構造「面に基づく細分割(dual subdivision)」を見出した.これは通常の細分割に対して射影幾何学における双対原理を適用することで得られたもので,双対性より従来の細分割と同様の性質を持っているだけでなく,細分割では解決できなかった閉居を解決できる.また、1ine geometryに基づく新たな細分割スキームを提案し「線に基づく細分割(1ine subdivision)」と名づける。この掛こ基づく細分割札通常の細分割と面に基づく細分割を含んでおり,両者を統一的な支店で議論することを可能にする.Subdivision is a wel1-known method for geometric design and for computer graphics, because the subdivision makes smooth surfaces with arbitrary topology. Moreover, there are many connections between subdivision and wavelet. So, multiresolution analysis derived by subdivision theory is extremely useful on mesh editing. Here, we found out "dual subdivision" which is a dual Structure of subdivision. Dual subdivision born from subdivision and the principle duality In projective geometry, and Ins similar properties with ordinary subdivision. Moreover, we propose "line subdivision" based on 1Ine geometry. This new subdivision scheme includes ordinary subdivision scheme and dual subdivision scheme. So, we can discuss ordinary and dual subdivisions uniformly by 1Ine subdivision.
著者
若杉 忠男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.85, pp.7-12, 1995-09-08
被引用文献数
2

筆者は,先にプロトコルを表現する状態遷移図からパスの長さ別の個数を要素とするベクトルを作成し,これで試験項目の件数を推定できることを示したが,その方法を発展させて,試験スイートの充足率を評価する方法を提案する.まず,試験項目の[フォールト発見能力]と[必要度]をパスを使って定義する.ついで,試験項目はパスの長さの短いものから偏りなく作成されるという前提のもとに試験項目の必要度充足率を表す疑似カバレジを定義する.これによってOSI適合性試験のトランスポート試験スイートの評価を行い,それが合格最低点をクリアしていることを示し,この疑似カバレレジが試験の質の評価として使用できることを示す.The author prrsented a paper how to estimates the number of test cases by using a vector, the elements of which are the numbers of paths arranged in order of lengths of paths. Here, using the above vecter, a method to estimate the necessity rate of test suites is proposed. Firstly, [faults detectability] and [necessity of test case] are defined. Next, the functions for calculating necessity rate are defined. And by this functions the quality of Transport Layer test suites is estimated. It is shown that these test suites clear the lowest successful point of testing.