著者
石川 正俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.15, pp.27-32, 1997-02-03

将来のチップ間自由空間光インターコネクションの実現を目指して、面発光レーザーを光源として、位相変調タイプの液晶空間光変調素子上に書き込まれた最適化された計算機ホログラムによる再構成可能な光インターコネクション実現方法並びに具体的なシステムを示す.このシステムの特徴は、コンパクトなプロセッシングエレメントをを設計することにより、並列処理回路を集積化し、面発光レーザーと組み合わせたモジュールによりフレキシブルな処理を実現している点にある.また、実際のシステム動作を実現している点にも特徴がある.本論文では、最近の進展も交えて、具体的な構造と動作について述べる.As a first step of free-space optical interconnection among chips in future, a reconfigurable optical interconnection system using computer generated hologram optimized by simulated annealing and written on a phase modulation type liquid spatial light modulator is shown. A combination of a VCSEL array as a light source and originally designed compact processing element array makes a parallel processing module as aa building block. In this paper the architecture of the system and system behavior are described.
著者
川田 宗太郎 廣瀬 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.20, pp.1-6, 2004-03-01

従来の電子プロセッサは、電子回路によって処理速度が支配されており、また低周波帯域では周波数多重化のメリットも少ない。我々は、光波のコヒーレンスに着目する新しい概念の光プロセッサを提案する。光波を用いるため原理上処理速度が速く、波長多重による回路の並列化も可能である。そのプロセッサの基本素子となる周波数依存の学習論理回路の光学実験を行った。半導体レーザを用いた光学系を構築し、ある周波数でANDゲート、別の周波数でXORゲートとしての出力結果を得るように学習を行った。その結果、理論値に近い良好な出力を得た。この光プロセッサは、空間光変調器が作る微小光路差によって論理機能が実現される。これを利用した動的な機能ユニットも提案する。We propose an adaptive logic circuit whose function can be controlled by carrier frequency modulation. The circuit learns desirable functions adaptively by complex-valued Hebbian rule. After the learning, the circuit can switch its function all at once by changing the delay time at a spatial light modulator. A high mechanical stability is realized by a spatial phase-difference coding. Two-orthogonal phase components are detected in parallel spatially. An experiment demonstrates that the system works as an AND circuit at a certain frequency and as an XOR at another. We also propose a processor named "coherent optocal processor" based on the logic circuit and present its application to multiplexed adaptive functional units.
著者
久保 典弘 村本 勝洋 下薗真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.84, pp.49-56, 2000-09-21

平面上に与えられた点をすべてを通過し最初の点に戻ってくる最も短い巡回路を求める問題の,非常に高速なアルゴリズムについて述べる.本アルゴリズムは非常に単純なアルゴリズムなので実装が簡単である.また,n個の点が与えられたときにO(n log n)時間,O(n)領域で計算を行う.アルゴリズムは,平面を分割し,点をソートして分割領域内の順路を求め,各領域内の順路をつなぎ合わせる構成をとる.ランダムに点が分布するときは確率的に定数近似アルゴリズムである.このアルゴリズムをKarpの分割アルゴリズム,Lin-Kernighanの局所探索,Aroraの近似スキームなどと比較した結果,実行時間は最も速く精度は同じかより良いという結果が得られた.We present a quite simple, fast and practical algorithm to find a short cyclic tour that visits a set of points distributed on the plane. The algorithm runs in O(n log n) time with O(n) space, and is simple enough to easily implement on resource restricted machines. It constructs a tour essentially by axis-sorts of the points and takes a kind of the 'fixed dissection strategy.' We show that the algorithm is a 'probabilistic' constant-ratio approximation algorithm for uniform random distributions. We made computational comparisons of our algorithm, Karp's partitioning, Lin-Kernighan local search, Arora's PTAS, etc. The results indicate that in running time our algorithm overwhelms existing ones, and the average approximation ratio is better or competitive.
著者
米村 高徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.127, pp.5-7, 2003-12-21

本稿では、あくまでも音楽を制作する立場として著者の歴史を述べる。著者は、様々なメディアのシステムがどんなにデジタル化しようとも、アナログ的な心を忘れずに音楽制作を続けたいと思っている。そのためには、どのような技術が必要になるか、発見して頂くことが本稿の狙いである。This paper describes an author's history as a position which makes music to the last. Even if the system of various media digitizes an author however, he wants to continue music work, without forgetting the analog-heart. For that purpose, it is the aim of this paper that what technology is needed or I have you discover.
著者
勞世こう 山口 修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.319-326, 2009-04-15

近年,デジタルカメラやビデオカメラなどのデジタル画像機器の普及とコンピュータの処理能力の向上に伴って,顔画像のデジタル処理を手軽に行うことができるようになってきた.顔画像処理技術は大きく2種類に分けることができる.まずは,顔を理解するための技術として,顔検出,顔トラッキング,個人識別,性別年齢推定,表情推定,顔の疲れや眠気の推定の技術が広く研究されている.また,顔を表現する技術として,美肌補正,美白補正,赤目補正,表情合成,自動似顔絵作成,デジタル化粧などの研究開発も急速に広がりを見せている.本稿では,2回にわたってこれらの最新動向を紹介する.1回目は顔を理解するための要素技術の動向,2回目はアプリケーションについて紹介する.
著者
清水 宏一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.73, pp.1-8, 2002-07-26
被引用文献数
1

京都市が「京都デジタルアーカイブ構想」を策定したのは、1997年4月のことである。その後1998年8月に京都デジタルアーカイブ推進機構を立ち上げ、さらに2000年8月には京都デジタルアーカイブ研究センターを設立して今に至っている。京都が何をめざし、何をどのようにアーカイブし、また今後にどういかしていくのか。また、京都デジタルアーカイブ研究センターなどが中心となり全国に呼びかけた地域デジタルアーカイブ全国協議会は急激にメンバーを増やしつつあり、政府のデジタルアーカイブ研究会、自民党のデジタルアーカイブ小委員会などの動きも目が離せなくなってきている。こうした状況につき、実践に基づく解説と見解、さらには将来見通しを述べたい。Kyoto City Government developed the "Kyoto Digital Archives Concept" in April, 1997.In the promotion of the Kyoto Digital Archives Project, the Kyoto Digital Archives Promotion Organization was established in 1998, then as a succeeding body of this organization, we started the Kyoto Digital Archives Research Center in August 2000.Now, I would like to describe what Kyoto aims for and how Kyoto develop toward the future with the use of "Digital Archives.We takes the lead "the national local digital archives conference" for which it appealed all over the country is increasing a member rapidly, and it is becoming impossible moreover, for a motion of governmental digital-archives study group, the digital-archives subcommittee of the Liberal Democratic Party, etc. to also look aside. I want to describe the description and view based on practice, and also a future prospect about such a situation.
著者
飯田陽一 関亜紀子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.745-747, 2011-03-02

インターネットの高速化や利用範囲の拡大により、音楽、動画などをデジタルコンテンツを、ネットワーク上でやり取りすることが多くなり、それとともに著作権を無視した違法コピー、無断改変なども増加した。これを防止、抑制し、流通を支援する技術としてDRMがある。しかし、DRMには多種多様な種類の技術があり、DRMの導入検討者が自分に適したDRMを選ぶのが難しいという現状がある。そこで本論文ではこの状況を解消し、DRMの導入検討者の支援を行うために、複数の質問から導入検討者のニーズを分析し、権利者のニーズと一致するDRMの組み合わせを推薦するレコメンドシステムを提案する。
著者
岩間 太 五十嵐 淳 小林 直樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.48-61, 2007-03-15

ファイルやメモリなどの計算資源がプログラム中でどのように使用されるかを型を用いて推論するための手法が五十嵐,小林らにより提案されている.彼らの手法では,各計算資源に対して起こりうるアクセス列の集合を使用法表現と呼ばれる式として推論する.しかしながら,推論された使用法表現が表すアクセス列の集合が,仕様として許されるアクセス列からなる言語に包含されているかどうかを判定するアルゴリズムが考案されておらず, 計算資源使用法検証の完全な自動化は達成できていなかった.本論文では,ある特定の言語クラスに属する仕様に対し,そのような包含判定を行うための健全かつ完全なアルゴリズムを提案する.仕様として任意の正則言語を許す場合には,包含判定問題は決定不能なので,我々のアルゴリズムが扱う仕様のクラスは,1つの入力記号について,遷移元および遷移先の状態がたかだか1つしか存在しない有限オートマトンが受理する言語のクラスとして与えられ,正則言語のクラスより小さい.しかしながら,ファイルなど現実の計算資源の仕様の多くは,我々のアルゴリズムで扱える言語のクラスに属する.したがって,本論文のアルゴリズムを五十嵐と小林らによる従来の研究と組み合わせることにより,ファイルなど多くの計算資源の使用法検証を自動化できる.In our previous work, we have developed a type-based method for inferring how resources such as files and memory are accessed in a program. Due to the lack of an algorithm for deciding whether the inferred resource usage conforms to the specification, however, it was not possible to verify automatically that resources are accessed according to the specification. In this paper, we propose a sound and complete algorithm for deciding the conformance of the inferred resource usage to the specification. Since the language denoted by the inferred resource usage belongs to a class larger than the class of the context-free languages, the class of specifications that our algorithm can deal with is smaller than the class of regular languages. Fortunately, however, that language class contains many of the typical resource usage specifications used in practice. Thus, by combining our algorithm with our previous method for resource usage inference, we can automatically check whether each resource is accessed according to the specification in many cases.
著者
児玉 哲彦 清水 友理 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.11, pp.29-33, 2007-02-09

近年東京都秋葉原の電気街において再開発が進み、来訪者の行動において、これまでの電気街と線路を挟んだ再開発地域との間の分断等の困難が生じていることが明らかとなった。本研究では、電気街についての土地勘を共有し、街の多様な利用を促進するため、携帯電話と QR コードを用いて来訪者の訪れた店舗の履歴を記録し、利用者間の交換を可能にする街のソーシャルブックマークシステム「ここ HORE」システムの開発と運用について報告する。ユーザビリティ評価実験の結果、スポットのマーキングと検索については概ね問題なく利用できるものの、地図情報の表示については改善が必要なことが明らかとなった。Nowadays in the Electric town of Akihabara, Tokyo, due to the redevelopment which is in progress, there are multiple difficulties in exploring the town, such as diversion between the electric town and the redevelopment area. In this research, in order to share the locality knowledge and to promote various experiences in the town, we developed and operated a social bookmarking service for town called "KokoHORE" that records the spots which a visitor has visited combining the cellular phone and the QR code and let the users exchange the record. From the usability testing, we concluded that the marking of the spots and the search generally functioned well, but the map view needs improvement.
著者
内藤 孝一 山田 英二 尾崎 安彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. IS,[情報システムと社会環境] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.47-54, 2003-06-19

(株)NTTデータでは「eデモクラシー」研究の一環として、1年間にわたり、千葉県八千代市で地元のNPOと共同で、地図情報システムを用いて地域の環境情報を市民間で共有し、行政への市民参加を支援する実験を実施した。その結果、電子地図上での地点情報や画像データを用いた情報発信はコミュニケーションを活性化させる可能性が高いが、利用環境にも左右されやすく、システムの地図表示スピードや操作面でのストレスが阻害要因になりうることが明らかになった。また、システムに関する要因以外では、参加者から発信された情報の活用用途や活用結果を明示することが、参加者のモチベーションを高める上で重要であることが明らかになった。
著者
伊藤誠悟 吉田 廣志 河口 信夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.116, pp.117-122, 2006-11-10
被引用文献数
2

現在,屋外環境において最も利用されている位置情報システムはGPSであり,GPSに対応する多くの地図アプリケーションや位置情報を考慮したアプリケーションが開発されてきた.しかし,GPSは屋内環境で利用できないため,屋内環境において位置情報を考慮したアプリケーションを利用する事が出来ない.一方,近年の無線LANの急速な普及により無線LANを利用した位置情報システムは屋内外において利用可能となりつつある.本論文では,既存の位置情報を考慮したアプリケーションを屋内外の環境でシームレスに利用できる手法の提案を行う.本手法を利用することにより,アプリケーションは,GPSと無線LANによる出力された位置情報を区別せずに利用できる.加えて,無線LANを用いた広域な位置情報システムの実現を目指すプロジェクトであるLocky.jpの紹介を行う.Most major location information system in outdoors is GPS, and many location-based applications using GPS have been developed. But, GPS cannot use in indoors, thus these applications are not available. In contrast, Wireless LAN positioning is available in indoors and outdoors. In this paper, we propose integration method of wireless LAN positioning and GPS. By using our method, application can use location information of GPS and wireless LAN without distinction. In addition, we introduce metropolitan-scale wireless LAN positioning project locky.jp
著者
安藤まや 関根 聡 石崎 俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.98, pp.77-82, 2003-09-29
参考文献数
6
被引用文献数
7

高度な自然言語処理を行なう際には、構文情報のみならずさまざまな語と語の関連情報が重要となってくる。我々は「トマトなどの野菜」といった定型表現を用いて、新聞記事から、名詞の下位概念を自動的に抽出する手法を提案する。7種の定型表現を作成し、6年分の新聞記事をコーパスとして下位概念を抽出した。その結果、ほぼ6割以上の正解率で下位概念が得られた。また、抽出した下位概念と、人間が連想した下位概念との比較をおこない、2人以上の被験者が連想した下位概念のうち、平均85%の下位概念をコーパスから自動抽出することができた。Not only syntactic information but also semantic relationships between words are important in advanced natural language processing. We describe a method to automatically extract hyponyms from newspaper. First, we discover patterns which can extract hyponyms of a noun, such as "A nado-no B (B such as A)", then we apply the patterns to the newspaper corpus to extract instances. The precision is 60-90 percent depending on the patterns. We compare the extracted hyponyms and those associated by human. 85 percent of the words associated by more than 1 person are extracted automatically.
著者
山岡 正輝 廣田 和也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.522-527, 2004-05-15
参考文献数
8

欧州連合(EU : European Union)に加盟する15カ国(以下,この地域を欧州と呼ぶ)は,各加盟国の自主性を尊重しながら,欧州憲法の制定やユーロという単一通貨の導入など,各国の枠を超えた共有圏の実現を目指している.当然のことであるが,このような欧州の大方針は,電子政府実現に向けての欧州の取り組みにも大きな影響を与えている.各国ごとに自律している既存の電子政府システムを活かしながら,国を超えた電子政府サービスの実現を図ろうとする試みがされているのである.このように,EU各加盟国の電子政府システムの自律性を尊重しながら,欧州共有の電子政府実現を目指して,各加盟国の電子政府システムの相互運用性(インターオペラビリティ)確保に重点が置かれていることが,電子政府実現に向けての欧州の取り組みの特徴の1つであるといえる.米国では,電子政府システム構築計画の策定にあたり,IT投資やITシステム管理を最適化するための政府行政機関全体の設計図(Federal Enterprise Architecture)1)を構築することの重要性が指摘されている.これとは対照的に,欧州では,自律している既存のシステムのインターオペラビリティを確保するためのアーキテクチャを構築し共有を図ることが重視されている.本稿では,欧州の電子政府施策について,インターオペラビリティの確保に焦点をあて,具体的な事例を紹介する."
著者
鷲山 真澄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.79, pp.1-7, 1993-09-16

談話処理において対人関係は重要な要素であり、社会言語学観点より、親族名称のシソーラスを示す。親族名称の分析方法について、3つの人類学的手法について、説明をする。()親族例による分析、()成分分析、()プロトタイプの分析で、さらに、日本語の親族名称の壱称詞、他称詞の言語的制約について述べさらに、虚構的用法について、英語、アジアの言語についても多少説明をくわえながら、日本語の親族名称の虚構的用法についても検討する。I discuss the analysis of Japanese kinship. There are three ways of the analysis in Japanese kinship. (1)The analysis of kinship's examples, (2)compositional analysis, (3)Prototype analysis. Moreover, I explain the linguistic constraint of Japanese kinship in the usage of Japanese terms for self or address terms. And I consider the fictive usage of Japanese kinship.
著者
竹村顕大朗 白井康雄 荻野哲男 高田秀志 上善恒雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.74, pp.9-16, 2006-07-08

Squeak eToysは直感的にプログラミングを学ぶことのできる優れた環境であり 年々着実に浸透していると考えられる.しかしながら,その優れた環境においても未だ学習を行うに当たって不便であると思われる部分は数々あり,それがカリキュラムのスムーズな進行を阻害してしまうというケースも往々にして見受けられる.そこで本稿では,学習内容とは関係のない煩雑な作業をまとめてわかりやすくパッケージ化したものを提供し,またそのパッケージの内部を閲覧し発展的内容を自主的に学習することを容易にさせるシステム およびそれを用いてSqueakeTbysを用いた学習をより効率化させることを提案する.また,この研究の一環として行ったワークショップの結果と考察についても報告する.Squeak elbys is good intuitive programming environment for education, and becomes more popular year by year. However, even in such splendid environment, there are many problems for educating and they often disturb smooth progress of our classes. In this paper, we propose a system. This system makes them easy to make complicated operations, which are not lesson contents, understandable by packaging them together. And they can learn progressive contents independently by viewing inside of the packaged operations. We also propose a plan to make education with Squeak elbys more efficiently by using the system. And we describe about a workshop that was held as a part of this study.
著者
遠里 由佳子 松田 秀雄 橋本 昭洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.76, pp.41-44, 1999-09-21

正例として与えられた文字列集合からそれらの特徴を表す極小でかつ既約なパターンの組を求める問題をMINL問題と呼び,パターンの組の数を予め制限することにより,この問題を解く多項式時間アルゴリズムが知られている.同じ機能を持つ遺伝子を同じ文字で表すと,このアルゴリズムは遺伝子クラスタの機能分類に応用できるが,遺伝子の機能は階層的に分類されているため,どの階層の機能分類を使うか指定しないとこのアルゴリズムを適用することができない.そこで,本研究では,パターン間に概念階層を導入し,情報量というパターンの評価基準を使ってMINL問題を近似的に解く多項式時間アルゴリズムを提案し,実際に遺伝子クラスタの機能分類に適用した結果をもとに性能評価を行う.The MINL problem is a problem that finds a minimum and reduced set of patterns explaining a given set of positive example strings. By restricting the number of patterns to be a fixed constant in advance, a polynomial time algorithm that solves this problem is known. This algorithm is applicable to determining gene clusters based on functional classification if genes having the same function are expressed with the same character. However, since gene function is typically classified hierarchically, the above algorithm can only be applied on a single level of the classification hierarchy. In this paper, we extend the MINL problem to cover hierarchical classifications, and propose a novel polynomial time algorithm utilizing entropy to solve the extended problem. In an experiment, we applied our method to gene cluster analysis of actual gene data.
著者
荒木 健治 栃内 香次 永田 邦一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.412-421, 1987-04-15
被引用文献数
6

べた書き文のかな漢字変換方式においては 計算機で文を分割する際に一般に極めて多数の候補が出現し それを一つに決定することが大きな問題となる.本論文は この問題に対して 他の語と重なりあうことなく確実に分離できる部分(キーワード)から順次 段階的に単語のあてはめを行う手法を提案し さらに本方式の前提となるキーワードの存在とその有効性を確認し その上で本方式を用いた実験システムを開発し その性能評価実験を特定専門分野の学術文献を対象に行った結果について述べたものである.本方式では 最初にキーワードを用いてべた書き文を分割し ついでそのキーワードによるあてはめの拡張を行い 以後カタカナ語のあてはめ 文節端の助詞候補の検出 連接情報を用いた単語のあてはめ 助詞候補の評価 接辞の処理 最後に一字漢字語のあてはめを行う.実験により500語程度のキーワードで平均3?4文字程度にべた書き文が分割できることがわかり 本方式によるべた書き文のかな漢字変換システムを開発した.さらに 工学に関する3分野の学術文献を資料として 性能評価実験を行った結果 90%以上の変換精度が得られることがわかり 本方式の有効性を示すことができた.
著者
齋藤 孝道 鬼頭 利之 萩谷 昌己 溝口 文雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1118-1126, 2006-04-15

ネットワーク通信における安全性確保のためのセキュリティプロトコルとして,SSH(Secure SHell)がある.サーバとクライアント間でのバルク通信に先立ち行われるSSH Handshake の過程で,サーバ認証の後,ユーザ認証を行う.ユーザ認証には,パスワードを用いた方式と公開鍵を用いた方式があり,そのどちらかを行うことにより,相互認証を達成し,安全な通信を行うことができるとされている.しかしながら,SSH パスワードユーザ認証には,プロトコルの設計上の問題により,脆弱性があることが確認できた.本論文では,SSH パスワードユーザ認証における攻撃を具体的に示したうえで,攻撃モデルに基づき,その攻撃の特徴を明確にする.さらに,その原因を特定し,修正を提案する.Although some flaws have been found out in SSH (Secure SHell), there is not so much discussion about its architecture or design security. Therefore, in this paper, reconsidering the SSH handshake, we analyse some critical flaws of the SSH password-based user authentication, and show the reason by three types of attack modeles.
著者
平井 誠 北橋 忠宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.892-899, 1986-09-15
被引用文献数
1

日本語解析システムMARION-IVにおける名飼と用言の辞書情報および単文内の必須格要素と自由格要素の一解析手法を述べる.名詞の意味は 独立した二つの概念階層と6種類のリンクによる意味ネットワークを用いて記述している.概念階層は「具象 - 抽象」を基本分類とし 対象の客観的性質の記述に重点を置いたものと「自然 - 人工」および「操作性」を基本とし 人間と対象との関係に重点を置いたものである.意味リンクは「対象 - 属性 部分 - 全体」等の一般に周知の関係のほかに 「対象 - 提供物」を示すPROVIDEリンクを導入した.用言の構文および意味特性は 意志性(可制御性) アスペクト素性 移動性 作用性 格構造 格要素の意味規定等によって記述している.移動性は移動 変化 存在 発生 消滅を表す動詞の構造的記述であり 作用性は格要素間の因果関係の構造的記述である.必須格要素の解析は 格構造と名詞句内の助詞列の照合および名詞の意味記述を用いた格要素の意味調査により行っている.態変換は助動詞等に付加した規則で行っている.自由格要素は (1)事象間関係 (2)事象あるいは格要素の属性値 (3)意味的名詞並列に分類している.(1)は意志性とアスペクト素性を用いて解析している.(2)は意味ネットワークの探索により解析している.その際 事象(用言)の持つ属性は移動性や作用性から決定している.(3)は名詞間のリンクに基づいた概念的距離を用いて解析している.