著者
八重樫 恵太 柳井 啓司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.36, pp.15-22, 2008-05-01
被引用文献数
2

今日では、Web 上のデジタル写真の普及、およびマッピングサービスの高度化は目覚ましく、それに伴い位置情報付き写真も増加している。一方で、画像認識の分野においてもより高度な手法が提唱されてきた。位置情報を画像の特徴の1つとして用いることにより、画像認識の精度を向上できる可能性が考えられる。本研究では、位置情報と航空写真を対応する画像の特徴量として用いることによって、画像認識の精度向上の可能性を検討する。画像をキーワードごとに分類し、画像と航空写真からそれぞれ SIFT 特徴を抽出し、位置情報とそれらの特徴量を統合したものの組合わせについて SVM による学習と分類の実験を行う。実験の結果、いくつかのキーワードについて、分類精度の向上が見られた。Because of recent remarkable spread of digital photos and mapping service on the Web, the number of geotagged photos are increasing greatly. Meanwhile, in the research community of image recognition, research on generic object recognition has progressed greatly for these several years. Then, we propose using geolocation as one of features to recognize geotagged images. In this paper, we examine possibility of improvement on generic image recognition by using geolocation and aerial photos as features in addition to image features extracted from images. We collected geotagged images associated with several keywords from Flickr, and extracted feature vectors by the Bag-of-Keypoints method from each image and each associated aerial photo. Next, we combined feature vectors extracted from images and aerial photos into one vector, and we performed experiments on image classification using SVM. As the result, improvements of the classification rate were obtained for some keywords.
著者
赤岩 順二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-7, 2013-11-14

サイバー犯罪におけるプロバイダーの責任制限 (責任範囲) を提案する各種ガイドラインにおいて、刑法上の緊急避難概念が参照されることがある。ネット上自殺告知された事例について、電気通信事業法が規定する通信の秘密の侵害の罪 (電気通信事業法 4 条 1 項、その刑罰規定同 179 条) に該当する削除を正当化 (違法阻却) する基準と手順を提案するガイドラインなどである。本論文では、緊急避難の法的性質論をあらためて確認し、プロバイダーの責任分界における緊急避難法理の適用範囲について検討する。Japanese ISPs associations proposed guidlines setting standards and procedures for lifting secrecy of communications in internet environment. Some of these guidlines refer "Notstand(Necessity)", for immunity of criminal responsibility( mainly as violating secrecy of communications, defined in Article 4 of the Telecommunications Business Law (Law No. 86 of December 25, 1984)). In this paper, considering the legal nature of Notstand(Necessity), I examine what extent Notstand(Necessity) is valid in setting standards and procedures for marcations of ISPs' criminal responsibility.
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.100, pp.57-64, 2000-10-27
被引用文献数
6 3

本論は、コンピュータによる俳句の研究を行うために必要な俳句データベースと、俳句を分析するために必要な季語データベースの本格的な構築に先立ち、季語データベースの構造とデータベースに収録すべき季語の数を検討した結果を報告するものである。具体的には、2種類の季語を集めた本を材料として、共通に存在する季語を取り出し、それらの季語を用いて、サンプルとして抽出した俳句の季語を特定することを試みた。1 542語の季語で、448句の俳句を分析した結果、全体の約65%の俳句の季語を特定することができた。加えて、季語データベースと俳句データベースを用いて可能となる数量的研究の一部を紹介する。This paper reported the investigated results about the amount of Kigo in Kigo-database. This investigation is needed for building Kito-database, that is useful to analyse the Haiku. A Haiku-database and a Kigo-database are both needed to study Haiku by computer. Concretely, at first the common appeared Kigo in two books are selected. And it is tried to specify Kigos of sample haikus with those Kigos. About 65% of 448 Haikus are specified with 1,542 Kigos. Additionally and example of a possibility of quantitative research about Haiku by using a Kigo-database and a Haiku-database is introduced.
著者
皆川 宜久 鵜川 始陽 八杉 昌宏 湯淺 太一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.71-71, 2005-08-15

継続とは,計算のある時点の残りの計算である.Scheme では,これをファーストクラスのオブジェクトとして扱え,コルーチンやマルチスレッドなどの機能を実現するのに有用である.ML 言語において一級継続の機能を搭載した処理系としては,Standard ML of New Jersey がある.この処理系はスタックを用いず関数フレームをすべてヒープ領域に割り付けているため,定数オーダの時間で継続の生成を実現している.しかし,一般に関数フレーム生成時にスタックを用いた方が,高速であり,メモリ効率も良い.本研究では,スタックを用いているML 処理系に対し,一級継続の実装を行った.この場合,継続の生成時にスタックの内容をヒープにコピーするスタック法が一般的である.実際,スタックを用いたScheme 処理系で多く採用されている.この方法は動作が単純で実装しやすいなどの利点がある.一方,継続生成のたびにスタックのコピーが行われるので,生成時間,メモリ効率の点などで効率が悪いことがある.そこで本研究では,その効率化手法である遅延スタックコピー法を採用した.この手法は,継続を使用したプログラムの効率を高める一方,オブジェクトの生成時や代入時にオーバヘッドが存在するという欠点がある.そこで,コンパイル時にML の型情報を利用して,そのオーバヘッドを軽減する手法を提案し,実装,評価を行った.A continuation is the remaining task at a point in a computation. In Scheme, a continuation can be captured as a first-class object. This is useful for implementing coroutines and multi-threading. Standard ML of New Jersey is an implemenation of ML with first-class continuations. This system allocates all activation records into the heap, and this feature allows capturing continuations in constant order time. In general, however, a stack is more efficent in terms of execution time and memory space to allocate activation records. We implemented first-class continuations in a stack-based ML system. In order to implement first-class continuations, we adapted the stack strategy which is used in many stack-based implementations of Scheme. With this strategy, the entire stack contents are copied into the heap whenever a continuation is captured. This strategy is simple and easy to implement, but capturing continuations requires a lot of time and memory space. Thus, we employed the lazy stack copying strategy, which is based on the stack strategy but more efficent. While this strategy is useful when creating continuations, there is an overhead when creating and modifying objects. We propose a technique to reduce this overhead by using the type information of ML at compile time, and we applied this techinique to the ML system and evaluated it.
著者
磯部 博史 阿部 良一 山下 幸彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.31, pp.1-6, 1999-04-22
参考文献数
4

画像を認識しながら行動するロボットの実験を実空間で行う場合、安全性やコストなどの問題によって実験内容に大きな制約を受ける。そこで、画像認識や行動決定のアルゴリズムの検証を仮想空間上で行うために、ロボットのためのバーチャルリアリティを実現する必要がある。本論文では、まず、自動走行する自動車のためのバーチャルリアリティである自動走行シミュレータを制作するために解決すべき問題点について明らかにする。次に、同一性の問題に関して、実画像とCG画像との相違点を明らかにするために、ステレオ画像の計測実験を行う。そして、高梨らが制作した自動走行シミュレータを改良するためにテクスチャマッピングによって同一性を向上させた自動走行シミュレータの実験を行う。An experiment for robots which move autonomously by using image understanding techniquesrestricted for the safety and the cost. Then we need to realize a virtual-reality for robots to verify algorithms for image understanding and control in the virtual space. We clarify the problem which must be solved to construct a simulator for autonomous vehicle which is a virtual-reality for them. In order to clarify the difference between a real and a virtual images as to the problem in equality, we compare the difference of the results of stereo image measurement between in the real and in the virtual images. We carry out the simulator for autonomous vehicle which improves by using texturemaps about equality in order to make the simulator made by Takanashi better.
著者
峯松 信明 西村 多寿子 朝川 智 櫻庭 京子 齋藤 大輔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLP, 音声言語情報処理 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.75, pp.75-80, 2007-07-20
参考文献数
30
被引用文献数
3

一つの言語には通常数十種類の音素(phoneme)がある。しかし音素の音的実体は前後文脈(音素環境)などによって多様に変形し,異音(allophone)と呼ばれる。音素と比較して種類数も多く,より具体的な音的現象に対応している。しかし奇妙なことに,これら音的事象を記号を用いて記す場合,性別,年齢,収録・伝送機器特性などによる音の変形(非言語的要因による音響的変形)は一切無視される.その音響的変形が幾ら大きくても,である。音声認識の音響モデリングは,凡そ,異音に相当する音事象をtriphoneとしてモデル化しているが,「非言語的変形の無視」を実装するために,数万人の話者から,様々な環境で収録した音サンプル群を統計的にモデル化している。本稿では,「非言語的変形の無視」の実装は,集めることではなく,音事象間の差異を捉えることで可能となることを数学的に示し,極めて少数の話者の音声で,不特定話者音声認識が可能であることを示す。提案する枠組みでは,音的要素をモデル化するのではなく,音的差異に着眼し,差異を集めることで構成される全体的な音的構造をモデル化する。
著者
山口 竜一 鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.16, pp.69-74, 2009-02-23
被引用文献数
2

近年,SNS などのネットワークコミュニケーションツールが急速に普及してきている.SNS の社会的広がりもあり,学内 SNS や社内 SNS や地域SNSなどのユーザを限定した SNS も多数開設されている.しかし,開設された SNS が効果的に利用されていることは少ない.本研究では,SNS を活性化することを目的とし,その足がかりとしてアクティブネットワークの時系列変化に着目した分析手法を提案した.そして,提案手法を用いて二つの SNS のアクティブネットワークの違いを明らかにした.Recently, Social Networking Services (SNS) have become a social phenomenon on the Internet. There are many small SNSs, including campus SNSs, company SNSs, and local area SNSs. However, there are few SNS utilized effectively. Our goal is to encourage SNS users. Therefore we propose a method for analyzing active network of SNSs. By using the method we analyze two actual SNSs from the viewpoint of change in active network. As a result, we clarified difference between two SNSs.
著者
野口 将人 田島 ゆう子 松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100, pp.53-58, 2002-10-25
被引用文献数
1

本研究は、日本独特の楽器である尺八の楽譜(尺八譜)をコンピュータで処理するための研究であり、現在Windows上で動作する対話式の楽譜入力システムを開発している.昨年度、筆者らは本システムを「尺八くん2001」として発表を行い、さらに試用希望者への配布を行った.その結果得られた意見を元に、システムの評価と改善を行った.また、標準MIDIファイルの歌詞部に譜字名を記録する手付け補助、ユーザーが指定した演奏時間に合わせて楽譜がスクロールする自動譜めくりなどの新機能を追加し、更に高機能なシステムとなったので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. Last year, we released the system as "Shakuhachi-Kun 2001", and distributed it to whom interested in our system. We evaluated the received comments, and improved the system based on them. In addition, we added several functions to the system, such as addition Fuji name in the lyric part of SMF, automatic page turning of score during playing, and so on. As a result, we have been abele to provide the higher quality system for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
伊藤 靖朗 ボルジン ジャシル 中野 浩嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. AL, アルゴリズム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.70, pp.35-42, 2002-07-25
参考文献数
10

本論文では,文脈自由文法に対するCKYパージングを高速に行う入力依存回路によるFPGAへの実装を提案する.文脈自由文法Gと文字列xが与えられたときに,CKYパージングはGがxを導出するか否かを判定する.このCKYパージングは,xの長さがnのときに,O(n^3)時間で導出するかを判定するできることが知られている.任意の文脈自由文法Gが与えられたときに,その文法に対するCKYパージングを行うハードウェアのVelilog HDL記述を生成するハードウェアジェネレータを示す.生成された記述は,FPGAに実装され,任意の文字列xに対して,Gがxを導出するかを判定する.このFPGAは,特定の文法Gに対してのみパージングを行うので,入力依存ハードウェアであり,究極の高速化が可能である.このハードウェアの性能をタイミング解析により評価し,また,アルテラ社のFPGAを用いて動作確認を行った.結果として,ソフトウェアによるCKYパージングより約750倍高速であることがわかった.
著者
松井 一乃 金高 一 加来 麻友美 池部 実 吉田 和幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.2498-2510, 2014-12-15

spam対策技術の1つであるgreylistingは「spam発信MTAは再送をしない」との仮説に基づき送信者に対して一時エラーのレスポンスコードを返し,再送をうながす対策手法である.greylistingはspam排除の効果は高いが,適用するすべてのメールに再送要求をするため,通常メールにも大きな配送遅延が生じる.我々が運用しているメールサーバにおいても通常メールを受信するまでに平均1時間15分の遅延が生じていた.通常メール送信者をwhitelistに登録すれば,そこからのメールの配送遅延は回避できる.しかしすべての通常メール送信者をwhitelistに登録するのは不可能である.そこで2012年2月にmilter managerを導入し,SPF,S25Rの判定結果を用いてgreylistingを適用するかを決定するメールシステムを構築した.SPF,S25Rを用いて通常メールとspamを分類することで,SPF,S25Rによる検査のみで受信できるメールが増え,greylistingによる再送を抑制できる.milter manager導入前と導入後の通常メールに対するgreylistingの再送要求割合を比較し,43.1%から17.0%まで減少していたことを確認した.このことから,milter managerを用いてmilterを組み合わせることで,通常メールに対する配送遅延を軽減することに成功した.Greylisting is a type of anti-spam measure. Greylisting works by assuming that contrary to legitimate MTA, a spam sender will not retry sending their junk mail after a temporary error. Greylisting is a low cost method with high detection rates, but it introduces a delay into legitimate mail delivery. In fact, the average delay of e-mail delivery was 1 hour and 15 minutes after sending in our mailing system. Although to put ham MTAs in whitelist reduces e-mail delivery delay, it seems impossible to register all ham MTAs. Therefore, we designed a new mail delivery system using milter manager in February 2012. The mail system uses the results of SPF and S25R in order to apply greylisting to mail classified as spam by either of those milters. As a result, legitimate mail is receivable without the delay from greylisting from before. We compared the retransmission request rates by greylisting before and after the introduction of the system. As a result, we have successfully reduced the retransmission request ratio of greylisting from 43.1% to 17.0% in our system. We succeeded in reducing the average delay of delivery of legitimate mail by the combination of the milters through milter manager.
著者
高橋 佑介 横本 大輔 宇津呂 武仁 吉岡 真治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-6, 2011-11-14
被引用文献数
1

本論文では,時系列ニュースを対象として,情報集約を行うための二種類の方式として,バースト解析およびトピックモデルの2つの手法の考え方を組み合わせることにより,トピックのバーストを検出する方式を提案する.時系列ニュースにおけるバーストとは,世の中における特異な出来事に対応して,ある時期からその出来事に関連するニュース記事が急激に増加する現象を指す.バーストを検出するための代表的な手法として,Kleinbergのバースト解析が挙げられる.この手法においては,一般的に,バーストの検出はキーワード単位で行われる.一方,文書集合におけるトピックの分布を推定するものとしてLDA (latent Dirichlet allocation) やDTM (dynamic topic model) に代表されるトピックモデルがある.トピックモデルを適用することにより,ニュース記事集合全体の情報を,いくつかのトピックに集約することができる.以上の既存技術をふまえて,本論文では,DTMを用いて推定したトピックに対してバースト度を付与することで,トピック単位のバーストが検出可能であることを示す.Among various types of recent information explosion, that in news stream is also a kind of serious problems. This paper studies issues regarding two types of modeling of information flow in news stream, namely, burst analysis and topic modeling. First, when one wants to detect a kind of topics that are paid much more attention than usual, it is usually necessary for him/her to carefully watch every article in news stream at every moment. In such a situation, it is well known in the field of time series analysis that Kleinberg's modeling of bursts is quite effective in detecting burst of keywords. Second, topic models such as LDA (latent Dirichlet allocation) and DTM (dynamic topic model) are also quite effective in estimating distribution of topics over a document collection such as articles in news stream. This paper focuses on the fact that Kleinberg's modeling of bursts is usually applied only to bursts of keywords but not to those of topics. Then, based on Kleinberg's modeling of bursts of keywords, we propose how to measure bursts of topics estimated by a topic model such as LDA and DTM.
著者
石榑 彩乃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.128, pp.49-52, 2007-12-20
参考文献数
4
被引用文献数
1

不完全データの解析手法の代表的なものとして EM アルゴリズムがある.本研究では, EM アルゴリズムの M ステップにおいて,最尤解が陽に求まらない分布の典型として混合コーシ分布を取りあげる.以前に提案した,中央値と四分位偏差でもって M ステップを擬似的最尤推定に置き換えた手法の有効性は,分布数3以下の場合には示されている.ここでは,さらに分布数が多い場合においてこのアルゴリズムの適用性を検証する.The EM algorithm is known as one of tools for the data analysis of incomplete data set. In this study we shall take up mixture Cauchy distribution as a typical model that is quite difficult to estimate the parameters on the maximization step (M-step) of the EM algorithm. We gave the modified EM algorithm for mixture Cauchy distribution, in which the maximum likelihood (ML) estimators of parameters for Cauchy distributions on the M-step are replaced by the median and quartiles. We have also seen that this method can be applicable to the case where the number of mixed distributions is smaller than or equal to three. Here as further study, we shall see the effectivity of our method in case of increasingly more mixed distributions.
著者
田島 敬史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.152-170, 1999-02-15
参考文献数
54
被引用文献数
26

本論文では ここ数年行われている半構造データのためのデータモデルと操作言語に関する研究について概観し 主な研究についての比較と考察を行う. また これらの研究は従来のオブジェクト指向データベースやハイパーテキストに関する研究とも関係している. そこで これらの研究との比較も行う. これらの比較から 本論文では 半構造データのデータモデルおよび操作言語を設計する上で特に重要な点は 以下の二点であると考える. まず一点目は データモデルの設計の段階で いわゆる従来の意味での「データ」と 従来のデータモデルでのスキーマ情報にあたるデータとを 区別無く扱えるようにするのが望ましいという点である. 二点目は 操作言語は データベース中のデータ構造の一部分を抜き出す狭義の「問い合わせ」操作だけでなく データベース中のデータを再構成するような操作が表現できるべきであり そのためにはなんらかのポインタの操作のための機構が必要になるという点である. また 今後の半構造データに関する研究の展望についても簡単に述べる.In this paper, we survey, compare, and discuss the recent proposals on data models and query languages for semistructured data. These researches are also related to researches on object-oriented databases and hypertexts in the past. The comparison with those researches are also made. From those discussions, we consider that the following two points are key in the design of data models and query languages for semistructured data. First, a data model for semistructured data should model both "data" in the traditional sense and data corresponding to schema information in the traditional data model in a uniform way. Secondly, a query language for semistructured data should be able to express not only "selecting queries", which extract substructure from a database, but also "restructuring queries", which transform the structure of a database into another structure. To express restructuring query, functionalities for pointer manipulation are needed. In the last part of this paper, we also discuss a prospect on the future researches on semistructured data.
著者
横山 博 平賀 譲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.17, pp.19-26, 2005-03-01

本稿では、転置索引を用いて与えられた局面を含む棋譜を検索する将棋棋譜検索システムを構築し、評価実験をおこなった結果を報告する。転置索引は個々の駒の状態を検索キーとし、その状態が現れる局面の集合を指す。駒の状態は、盤上の駒については所有者、位置、種類の組で、持ち駒については所有者、種類、枚数の組で表す。また局面は、棋譜と手数の組によって表す。転置索引から得られた集合の積を求める事で局面検索が実現できる。棋譜 240379 局に対して評価をおこない、本手法の有用性を確認した。This paper describes a shogi score retrieval system which retrieves board position data from the database of actual shogi game scores. The system utilizes an inverted file to facilitate efficient retrieval, where each index term in the inverted file corresponds to the status of the piece. The status of the piece on the board is represented by a triplet {owner, square, piece type}. The status of the piece in hand (mochigoma) is represented by a triplet {owner, piece type, number of pieces}. Each index term is associated with the set of positions in which the status appears. The retrieval result is obtained by intersecting the sets. The system was evaluated with 240379 shogi scores and its results indicates the usefulness and efficiency of the method.
著者
森田 均 小方 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.85, pp.39-46, 1999-10-15
被引用文献数
3

文学理論のうち、読者を強く意識した読者反応批評、受容理論をハイパーテキスト小説の作成へ応用する可能性について考察する。これらの理論は、多様な読書の可能性を文学理論の立場から検証したものであり、ハイパーテキストはその理論を実証する場として位置付けることが出来る。また、コンピュータによって文学作品は戯曲や楽譜のような存在となったわけだが、本研究では読者中心批評をハイパーテキスト小説作成にあたっての理論的支柱として応用可能であることを示す。さらに、この仮説に基づいて既存の小説から2作品(筒井康隆『デマ』、三好徹『見えない復讐』)を選んでハイパーテキストの経路に着目した試作と多様な読みの可能性に着目した試作を行い、ハイパーテキスト小説化の問題点と課題を明らかにする。We consider applied possibility of a literary theory for Hypertext. Currently, Hypertext is very popular technology. In the field of literature, there are pragmatic attempts, but its creative software technology is not established. In this paper, first, we analyze characteristics of reader-response criticism. Next, based on the prototype of hypertext novel, we consider the methodology and point out problems for creating hypertext novels.
著者
由美 かおる
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, 2013-12-15
著者
川岸 祐也 初山 和秀 近藤 邦雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.33, pp.37-42, 2002-04-19
被引用文献数
1

人やものの動きが網膜に残る残像現象と同じ効果をえるために,コンピュータアニメーションでは一般的に写実的なモーションブラーが用いられる.一方,セルアニメーションではこの効果をえるために,また違った非写実的な誇張表現が用いられている.数値モデルのキャラクタによるアニメーションの制作においてセルアニメーション風の表現を目的とするならば,従来のセルアニメーションで用いられる非写実的なモーションブラーを用いる必要がある.本論文では,セルアニメーションにおいて用いられる非写実的なモーションブラーを分類し,カートゥンブラーとして体系化,およびそのアルゴリズムを提案する.本提案手法により,ユーザはいくつかのパラメータ制御により所望の効果を容易にえられるようになる.Motion blur is a well-established technique to prevent strobing. It makes fast moving objects blur. On the other hand, different expressions, Non-photorealistic motion blur, are used in cel animation. We present techniques for emphasizing motion of cartoon objects by introducing geometry into the cartoon scene. We call this Non-photorealistic Motion blur "Cartoon Blur". In order to realize Cartoon blur, we classified the expressions used in cel animation, and analyzed diversity of each expression to implement some parameters for animators to control the expressions.
著者
垂水 浩幸 鶴身悠子 横尾 佳余 西本 昇司 松原 和也 林 勇輔 原田 泰 楠 房子 水久保 勇記 吉田 誠 金 尚泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 = IPSJ journal (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.110-124, 2007-01-15

市販のGPS 付携帯電話を端末とした位置依存の共有仮想空間(擬人化エージェント機能や利用者間コミュニケーション機能を含む)を応用して観光支援システムを開発し,これについて公開実験を行った.ここで公開実験とは,観光者に現地で依頼して被験者となってもらい,かつ観光者自身の所有する携帯電話を使用して,我々の提供するサービスを評価してもらう実験であり,観光の観点から客観性の高い現実的な評価を得ることが目的である.実験は香川県の代表的観光地である金刀比羅宮と栗林公園でそれぞれ1 週間ずつ実施した.その結果,年齢,性,観光地への訪問経験などにより反応が異なる場合があることが確認でき,ターゲットユーザの絞り込みが重要であることが分かった.また仮想空間で提供する情報は,ガイドブックや立て看板などの現実のメディアとの役割分担が重要であることも明確になった.またGPS の誤差については問題が残るが,位置誤差の評価と観光支援サービスの評価は独立であることも確認した.本論文ではこの公開実験の方法と結果について詳細に述べる.We have developed a sightseeing support system, using our shared virtual world service including human-like agents and inter-user communication for popular GPS-phones on the market. We have conducted open experiments for the service. By open experiments, we mean those with real tourists as subjects and letting them use their own phones. By open experiment, we have aimed to acquire realistic and objective evaluation from the viewpoint of sightseeing itself. The experiments were conducted at two major sightseeing destinations in Kagawa prefecture, each taking one week. As results, we have found that visitors responded differently by their age, gender, experiences, etc. We have also found that virtual media should give different information from real media. These findings will help the future design of such services. GPS inaccuracies were found but subjects evaluated them independently from other evaluation. In this paper, the method and results of the experiments are described.
著者
小川 容子 山崎晃男 桑野 園子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.103-108, 2002-05-18

本論文は,駅で流されている発車サイン音楽が,電車利用者にどのような印象を与えているのかフィールド調査及びイメージ調査によって明らかにしたものである。回答者は18歳から58歳までの26名。山手線を一駅ずつ乗・降りしながら,各プラットホームで,発車サイン音楽に関する質問,形容詞印象評定と駅全体の印象に関する各質問に回答させ,併せて2ヶ月後に,同じ回答者に駅のイメージ調査をおこなった。その結果,各駅で流されている発車音楽サインのふさわしい度にはそれほど違いがみられないが,発車サイン音楽を含めたサイン音全体に対する不満が「わずらわしさ」や「耳障りである」といった印象を形成していることが分かった。2つの調査でおこなった「形容詞を用いた印象評定」では,迫力性,美的,金属製の3因子が同様に抽出され,実際の乗り降りをおこなっている時の印象とイメージとして思い浮かべる印象の間には,美的因子に関する相関が見られた。The purpose of the present study is to investigate people's impressions to signal music, which rings at platforms. Two kinds of social survey were designed to investigate the subjects' impressions using Semantic Differential and the results were compared with those of laboratory experiments. Three main results were observed: (a) All responses to the signal music could be divided into the same 3 main factors: powerful, pleasant and metallic. (b) There was a correlation on the pleasant factor between social survey and laboratory experiment. (c) Similar feelings (metallic or pleasant) for 6 kinds of signal music were evoked in both conditions: social survey and laboratory experiment.
著者
斎藤 直宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.649-654, 2000-06-10
参考文献数
3
被引用文献数
2

家庭用ゲーム機のハードスペックが向上し表現のクオリティが高くなると,必要となるCG技術のレベルも上がり,プログラムも巨大になる.さらに,描画に用いられるデータ量も多くなる.これらの変化に開発現場ではどのように対応していくのであろうか.PS2の発売を機に,ゲーム制作の現状とその未来像について考えてみたい.