著者
大庭 裕貴 光来 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.3, pp.1-10, 2015-02-19

仮想化システムには状態が時間とともに劣化していくソフトウェア・エージングが発生しやすいが,この現象にはソフトウェア若化と呼ばれる手法で対処することができる.ソフトウェア若化の際の仮想マシン (VM) のダウンタイムを削減するには,VM をあらかじめマイグレーションしておく必要がある.しかし,VM マイグレーションはシステムに大きな負荷をかけてしまい,そのシステム上で動作する VM の性能にも影響を及ぼす.そこで本稿では,ゼロコピー・マイグレーションを用いて,仮想化システムの軽量なソフトウェア若化を実現する VMBeam を提案する.VMBeam では,仮想化システムをソフトウェア若化する際には,ネストした仮想化を用いて同一ホスト上で別の仮想化システムを動作させ,その仮想化システム上にすべての VM をマイグレーションする.この際に,VMBeam は VM のメモリをコピーすることなく直接新たな仮想化システム上に再配置する.VMBeam を Xen に実装し,マイグレーションの時間の短縮およびシステム負荷の削減を確認した.
著者
君島 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.98, no.29, pp.17-24, 1998-03-20
参考文献数
27
被引用文献数
4

私は慶応義塾大学藤沢湘南校舎のテクニカルライティング講座の講師陣の一人として講座を設計し, 実施した.私の講座は世界標準のテクニカルライティング講座の日本語版である.文書工学手法と段落作成法とを合体させた.本講座は教育を効率化し, 作文も効率化する.このような世界標準の作文教育は翻訳や国際教育を容易にする.
著者
野中 郁次郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.547-552, 2006-05-15
参考文献数
6
被引用文献数
5

伝統的な認識論においては,知識とは「正当化された真なる信念(justified true belief)」と定義される.知識創造理論では,「個人の信念を真実に向かって正当化するダイナミックで人間的/社会的なプロセス(a dynamic human/ social process of justifying personal belief towards the truth)」と知識を定義する2).つまり,信念(思い)を真実に向かって正当化していく人間的でダイナミックなプロセスそのものが知識であると定義するのである.個人の抱いた思い(主観)は,他者や環境との間で行われる社会的ダイナミクスの中で正当化(客観化)され,「真」とされていく.知識とは他者との相互作用を通じて,未来に向かって何が真・善・美であるかを問い続けるプロセスであり,そうした信念(主観)と正当化(客観)の相互作用にこそ知識の本質がある.そして,知識創造企業の戦略は,その存在をかけた「未来創造」なのである.本稿の目的は,既存の戦略論との対比を通じて,知識経営(Knowledge-based Management)の戦略論を展開することである.
著者
高橋 洋成 永井 正勝 和氣 愛仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-5, 2015-01-24

近年のコンピュータとインターネットの発展に伴い,これまでコンピュータ上では転写テキストとして扱われることの多かった言語資料を,音声,動画,画像と一緒に保存・利用することが容易になった.著者らは古代エジプト神官文字文書,楔形文字粘土板資料,近代日本語文典資料などの文字資料を統一的に扱うための画像データベースと,World Wide Web 上のプラットフォームを構築している.さらに,本プラットフォームは次の 2 点を目指している.(1) 本プラットフォームの内部に格納された言語資料および研究データを,外部に保存し共有するために Text Encoding Initiative (TEI) を利用すること.(2) データの保存と共有をさらに促進させるために,言語資料と研究データに関する RDF トリプルを生成し,Linked Open Data (LOD) として提供すること.本稿はこの 2 点について,現在までの取り組みと具体例を報告する.Recent development of the internet and computer technologies makes it easier to compile various linguistic materials such as audios, videos and photos with their transliteration texts together. The authors are constructing the general-purpose image database and the platform on World Wide Web for the linguistic studies on hieratic texts of Ancient Egypt, cuneiform tablets of Ancient Orient, and Modern Japanese Grammar Textbooks. The platform aims on the following two points: (1) to use Text Encoding Initiative (TEI) for preservation and sharing of the internal data with its outer world, (2) to create sharable RDF triples from the data to provide them as Linked Open Data (LOD). The current snapshot of the developing platform will be discussed.
著者
新井 イスマイル 川口 誠敬 藤川 和利 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.2319-2327, 2007-07-15
被引用文献数
1

近年,口コミ情報サイトを例とする,ユーザの行動を基にした店舗・施設の検索サイトが注目されている.これらの検索サイトでは,位置に基づいた検索が可能であることと,店舗・施設に対して複数のユーザからの第3 者の評価情報が取得できることが求められている.しかし,商用の検索サイトには広告収入や検閲の影響により,被評価店舗にとって不都合な情報が現れにくく第3 者の評価情報の提供に問題がある.また,従来の情報取得手法ではWWW 上の情報をすべて収集し,複雑な自然言語処理によって位置に基づいた評価情報を抽出する作業が必要となり,サービス構築コストが膨大となるという問題がある.そこで本研究では従来の全文型検索エンジンを活用し,目的の分野を示すキーワードと商用検索サイトを除外するキーワードを組み合わせることによって目的の第3 者の評価情報を収集する手法と,単純な形態素解析と文字列のパターンマッチングを用いた文字列処理によって住所を抽出する手法を提案する.この手法に基づいてWeb インデクサを評価した結果,一度の収集のうち44%が目的とする個人サイトであり,位置情報の取得再現率が59%という結果が得られた.A user expects that he/she can search stores and facilities from Web information space based on his/her behavior (Ex. Word-of-mouth communication sites). For this purpose, an appropriate information must be retrieved based on user's location. In addition, a user expect that he/she can retrieve actual impressions of other users against stores and facilities to decide his/her behavior. However, there are two major problems to achieve the above requirements. One is that the actual impression of other users are often omitted on the commercial web sites by the sponsor's claims. The other is that the cost for the information retrieval may become large because the existing search engines have to crawl most of Web sites and the complicated natural language processing have to be used. In this paper, we propose a new method which can obtain appropriate Web contents from Web search engines by inputting keywords that include user's objective information and black list information. In addition, the proposed method can extract the geographical information from the obtained Web contents by a morphological analysis and a simple pattern matching. As a result of evaluating the Web indexer based on the proposed method, 44% in all obtained Web contents conforms to user's objective. Also, the recall ratio of the extract of the geographical information is 59%.
著者
片岡 寛明 原 章 長尾 智晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.3232-3241, 2003-12-15
参考文献数
12
被引用文献数
5

本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming; GP)を改良した手法である遺伝的オートマトン(Genetic Automata Generation; GAUGE)を提案し,本手法が不完全知覚をともなうエージェントの行動制御に有効であることを示す.不完全知覚問題に対する従来手法としては,インデックスメモリを用いる手法やGPオートマトンが提案されている.しかし,インデックスメモリは解が複雑になると探索空間が膨大になり最適化が困難になる.また,GPオートマトンの性能はあらかじめ設定した状態数に左右される,といった問題点がある.GAUGEでは,個体は記号間にパスを張りめぐらしたグラフ構造をとり,内部状態の違いによる条件分岐を自動生成することにより問題解決を行う.また,本手法は問題に必要な状態数を進化過程で獲得するため,GPオートマトンのように状態数に対する試行錯誤を必要としない.本論文では,本手法を迷路探索問題やタルタロス問題に適用しその有効性を検証する.実験の結果,本手法は,従来手法と比べて冗長なノード数を抑えつつ,適切に状態数を設定したGPオートマトンと同等の性能を示した.問題解決に必要な状態数が未知の問題に対しては本手法が有効であると考えられる.Generally, it is difficult for Genetic Programming (GP) to solve perceptual aliasing problems. In previous work to solve such problems, Index memory and GP-Automata have been proposed. However both of the methods have problems. Since the search space of an index memory is huge, it is difficult to obtain a well tuned program by GP. The performance of GP-Automata is influenced by the fixed number of states. Moreover, individual structure of both methods is tree structure.Therefore, redundant nodes will increase and search efficiency will get worse.In order to solve such a problem, we propose a new method, Genetic Automata Generation; GAUGE.Individuals in GAUGE have structure like an automata. Our method automatically obtains the adequate number of states for solving a given task.Several experiments to investigate the performance of our method were executed using Map Search Problems and Tartarus Problems. These experimental results showed that GAUGE was applicable to perceptual aliasing problems. And GAUGE showed the performance equivalent to a well tuned GP-Automaton.
著者
丸山 敦史 柴田 直樹 村田 佳洋 安本 慶一 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.2678-2687, 2004-12-15
被引用文献数
17

本論文では,観光のためのパーソナルナビゲーションシステム"P-Tour" を提案する.P-Tour は,ユーザが出発地と出発時刻,帰着地と帰着時刻,複数の観光候補地と各地への立ち寄り希望度と時間制約(到着時間帯や滞在時間など)を設定すると,制限時間内で巡回可能かつ最も満足度が高くなるような巡回経路(いくつかの観光地を含む)と各観光地への到着・出発予定時刻を含むスケジュールを算出しユーザに提示する機能を提供する.P-Tour は決定したスケジュールに従い,GPS 機能を備えた携帯端末を介し,ユーザにナビゲーション機能を提供する.提案するナビゲーション機能では,現在地を中心とする地図と次の目的地への経路の表示などの空間的な誘導に加え,各目的地での,滞在可能時間の表示や出発時刻の通知などの,時間的な誘導機能を提供する.遺伝的アルゴリズムを用いて準最適なスケジュールを高速に算出するアルゴリズムを設計・開発し,Java サーブレットとして実装した.PC や携帯端末からウェブインタフェースを介してスケジュールの作成,ナビゲーション機能が利用できる.市販のカーナビゲーションシステム用のデジタル地図を用いた評価実験により,準最適なスケジュールを実用的時間で案内できることなどを確認した.In this paper, we propose a personal navigation system for tourism called P-Tour. In PTour, when a tourist specifies the starting location, the departure time, the returning location, the arrival time and the multiple candidate destinations with relative importance and time restrictions on their arrival and staying time, the nearly best schedule is automatically computed. P-Tour can efficiently navigate the tourist according to the decided schedule through a portable computing device with GPS. In addition to the standard navigation function to guide users to destinations by displaying a graphical map, P-Tour provides temporal guidance for the tourist to follow the schedule. We have developed a route search engine to obtain a semi-optimal solution quickly using techniques of genetic algorithms. The engine has been developed as a Java Servlet and can be used from PCs and portable devices via http protocol. Our experimental results show that our route search engine can compute the nearly best schedule in reasonable time.
著者
浅野 泰仁 今井 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.41, pp.1-8, 1998-05-20
参考文献数
6

単一始点最短路問題(SSSP)を解くためのアルゴリズムとしては、Dijkstraのアルゴリズムが有名である。過去、Dijkstraのアルゴリズムを高速化する研究が多く行われてきたが、ソート問題に相当するボトルネックのため、線形時間を達成することはできなかった1997年、M.Thorupが整数枝重み無向グラフでのSSSPを線形時間で解くアルゴリズムを発表した。しかしこのアルゴリズムで使用されている複雑なデータ構造のいくつかは理論通りには実装できない。本研究では、Thorupのアルゴリズムを現在の計算機上で実装するための変更を提案した上で、実際にThorupのアルゴリズムの実装をおこなった。さらに、既存のアルゴリズムとの比較実験および各部分の実行時間計測をおこなった。SSSP is one of the well known classic problems in graph theory and Dijkstra's algorithm for SSSP is also quite popular. Several improvements of Dijkstra's algorithm have been studied, however, they could not accomplish a linear-time owing to its sorting bottleneck. In 1997, M.Thorup proposed a linear-time algorithm for the SSSP on undirected and integer edge weight graph. However, we can not implement this algorithm naively on computers today since the data structures used in the algorithm need a word of huge length. We propose modifications to implement Thorup's algorithm and implement this algorithm. Moreover, compare execution times of the implementation and famous algorithms.
著者
伊藤 毅志 松原 仁 ライエルグリンベルゲン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.2998-3011, 2002-10-15
参考文献数
10
被引用文献数
14

人間の問題解決の認知過程については数多くの研究が行われてきた.ゲームおよびゲーム理論は昔から人間の問題解決行動の研究において重要な役割を演じてきた.認知研究の題材にゲームを用いることの利点は,ゲームが良定義問題で対戦による評価が容易なことである.チェスで最もよく知られた認知実験は局面の記憶に関するものでDe Grootによって行われた.この研究を継いだSimonとChaseはチャンクという概念を用いてエキスパートの認知能力を説明した.チャンクは一種の情報のかたまりで,チェスでいうとチェス盤上の典型的な駒の配置パターンのかたまりをチャンクと呼んでいる.彼らは強いプレイヤは弱いプレイヤよりも広い配置パターンをチャンクとして記憶していることを示した.将棋の認知研究の第1歩として,我々はまずチェスで行われた認知実験を追試してみることにした.チェスと将棋には認識の点からいくつかの違いがあるので,この追試実験を一度は実施することが必要だと考えた.本論文では将棋を対象とした時間無制限と時間制限の記憶実験を行った.強いプレイヤが弱いプレイヤより成績が良いこと,すなわち広い配置パターンをチャンクとして記憶しているというチェスとほぼ同様の結果が得られた.In the past, there have been numerous studies into the cognitive processes involved in human problem solving. From the start, games and game theory have played an important role in the study of human problem solving behavior. The advantage of using games for the study of cognitive behavior is that games provide a complex but well-defined problem in which evaluation of results is relatively easy. In chess, one of the most well-known cognitive experiments was the study by De Groot on memorizing positions. As a follow-up to De Groot's work, Chase and Simon introduced the theory of chunking to explain why expert game players perform so well on memory tasks. Chunking is the process of dividing a chess position into smaller parts that have meaning. Chase and Simon showed that stronger players have bigger chunks of chess knowledge than weaker players. As a first step in our cognitive study of Shogi, we repeated some experiments that were conducted in chess. We felt that repeating these experiments was necessary as there are some important differences between chess and Shogi from perceptual point of view (for example, shogi has a 9×9 board with all squares having the same color, shogi pieces are two-dimensional and in shogi captured pieces remain part of the game). Because of these differences, it could not be assumed that the results for chess would carry over to shogi. In this paper we give the experimental results of memory tasks in shogi, both with and without a time limit. Our results were similar to the ones obtained in chess. As in chess, there is a correlation between playing strength and the performance on the memory tasks. From this we can draw a similar conclusion for shogi as for chess: stronger players have bigger chunks of shogi knowledge than weaker players.
著者
成田 和子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.89, pp.21-26, 2008-09-15

スピーカーのオーケストラで構成される電子音響音楽演奏ツール 「アクースモニウム」 の沿革と音響・音楽的効果、演奏法についてL'orchestre de haut-parleurs "Acousmonium" en tant qu'outil d'interpretation de la musique electroacoustique, son historique, ses performances acoustiques et musicales et ses methodes d'interpretation.
著者
二村 良彦 川合 敏雄 堀越 彌 堤 正義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.259-267, 1980-07-15

「コーディングは流れ図の作成から始まる(Coding begins with the drawing of the flow diagrams.)」と言ったのは 1940年代のGoldsteinとNeumannだった.それ以来今日まで プログラムを書く前に流れ図 すなわちフローチャートを書くことが 多くのプログラマの習慣になってきた.ところが 高級言語が発達したり 構造化プログラミング技法が普及するにつれ フローチャートの欠点が目立つようになった.フローチャートに構造化プログラミングやプログラムの段階的改良(Stepwise Renfinement)の考えを取入れた図式としてはNSチャートやFerstlチャート等が提案された.また フローチャートを使わずに 直接 PASCAL 等の構造化プログラム言語やPDL等のシュードコードでプログラムの論理を記述することも提案されている.しかし これ等はフローチャートほどには広く使われていない.われわれは PAD(Problem Analysis Diagram すなわち問題分析図)と呼ぶ2次元木構造をした図面によりプログラムの論理を記述する方法を提案してきた.そして 多くの機種(プログラマブル電卓から大型計算機まで)に対する各種(OS アプリケーション等)のプログラムの開発を使用してきた.PADは ワーニエ図の問題点を改良するために (1)制御構造を強化し (2)図式から直接コーディングできるようにし さらに (3)ハードウェアの図面のような体裁を持つように図式を改良したものである.結果的には PADは 構造化プログラムを2次元的に展開した図式になった.特にPADが標準的に備えている制御構造はPASCALに基づいて定めてあるので PADはPASCALプログラムを2次元的に展開したような図式であり PASCAL Diagzamと言うこともできる.
著者
小須田 優介 佐々木 良一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.21, pp.297-302, 2008-03-07

ウェブアプリケーションにデスクトップアプリケーションに迫る機能や操作性をもたらす Ajax という技術がある.本研究ではこの Ajax を用いて,OS などの環境に依存しない SSH クライアントシステムの提案と実装を行う.JavaScript により,ウェブブラウザ上で SSH パケットを生成し,ウェブサーバに SSH サーバへの TCP 通信を代理してもらうことで,エンドツーエンドの SSH 通信を実現する.動作実験により,複数のウェブブラウザと携帯電話で動作することを確認した.Ajax is used to make web applications behave as if they are desktop applications. In this paper, we propose and implement SSH client system using Ajax which is independent from OS. In our system, SSH packets are generated by JavaScript on a web browser, and a web server acts as proxy to send the packets to SSH server. Thus end-to-end SSH communication is realized by achieving above function. The result of experiment shows that the system is working correctly on web browsers in PCs and mobile-phones.
著者
前田 篤彦 杉山 公造 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.87, pp.117-124, 2001-09-13

本研究では,体験型科学館に設置されたインタラクティブ・システムに対するユーザの一連の行為をinquiry learningの機会として捉える.本研究の目的は,inquiry learningのための,より効果的なインタラクティブ・システムのインターフェイス・デザインとはどのようなものなのか,実験によって検証することである.そのために,二つの実験を行った.はじめの実験では,inquiry learningにおける学習達成率が容易になる条件ほど,後半時間における探索行為の減少傾向が強くなることが示された.この結果から,ヒューマン・インターフェイスをデザインする際に,探索行為によらない偶発的な学習の機会を考慮する必要性が示唆される.それゆえ,次に入力デバイスの違いによって,偶発的な学習の頻度に差がでるか検証した結果,オルタネイト・スイッチの組み合わせより,モーメンタリ・スイッチ単独によるほうが,偶発的な学習の機会が増やすことがわかった.最後に,この原因として人間の誤動作について考察する.A series of the user's actions on an exhibit of an interactive art and science museum is examined in terms of inquiry learning. The purpose of this study is to discover the more effective human interface design for the inquiry learning. For this purpose, two experiments are conducted. First experiment's results show that the higher the rate of the learning-achievement in the inquiry learning is, the higher significant decrease of the rate of the exploratory behavior in a series of actions in the latter half is. These phenomena imply that the opportunity for not only learning by exploration but also accidental learning should be considered when designing the human interfaces. Next experiment on input devices shows that one momentary switch is superior to a combination of alternate switches in terms of accidental learning. Finally, we discuss the role of behavioral error (micro slips) to accidental learning.
著者
福士 雄太 臼井 英之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.13, pp.1-7, 2015-02-23

本研究では,マルチエージェントを用いたインフルエンザの伝播シミュレーションプログラムを開発し,OpenMP を用いたスレッド並列,MPI を用いたプロセス並列,および両者を組み合わせたハイブリッド並列を実装することによりシミュレーションの高速化を行った.また,開発したプログラムを用いて,近畿圏を模倣した 800 万人が生活する仮想的な都市を対象にしたインフルエンザ伝播シミュレーションを行い,結果の妥当性の検討を行うとともに,実行時間の短縮化について検討した.
著者
中村 光宏 林 恭守 澤田 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.135-140, 2006-08-07
参考文献数
7

発話機構を全て機械系によって構成することにより、人間のような発話動作に基づいた音声の生成が可能となる。主に肺、声帯、声道部、鼻腔、聴覚部から構成される本発話ロボットは、声のピッチを変化させながら発話を生成することが可能である。ピッチ制御には複雑な声帯振動の解析が必要であるが、ここではシリコーンゴムを皮膚程度の柔度で成形した二枚の振動体の張力と、空気の流量を、モータにより操作することによって実現した。一方、調音のための共鳴管をシリコーンゴムで成形し、これを外側から棒で押し引きして声道断面積を変化させることにより、共鳴特性を変化させて母音や子音音声を生成することが可能である。本稿では、まず発話ロボットの構成について紹介し、次にニューラルネットワークを用いた聴覚フィードバック学習に基づく音声、音階の獲得と、楽譜作成インタフェースを用いた歌声生成について述べる。
著者
藤原弘将 後藤 真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.81, pp.27-32, 2007-08-01
被引用文献数
3

ボーカルの声質の類似度に基づく楽曲検索システムを開発した.本システムは,クエリとして与えられた楽曲と類似した声質を持つ楽曲を予め登録したデータベース中から検索する.本システムを実現するために,伴奏を含む音響信号中から伴奏音の影響を低減させ歌声の特性を表現する特徴ベクトルを抽出する手法と,相互情報量を用いて2つの特徴ベクトル列間の類似度を計算する手法を開発した.本システムを実装し,75曲をデータベースに登録し運用することで,システムが正しく動作することを確認した.さらに,被験者実験の結果,被験者の80%の回答が,従来のMFCCなどを用いた手法と比較して,提案手法によりボーカルの声質が類似した楽曲を検索出来ていると回答した.We developed a music information retrieval system based on singing voice timbre,i.e., a system that can search for songs in a database that have similar vocal timbres. To achieve this, we developed a method for extracting feature vectors that represent characteristics of singing voices and calculating the vocal-timbre similarity between two songs by using a mutual information content of their feature vectors. We operated the system using 75 songs and confirmed that the system worked appropriately. According to the results of a subjective experiment, 80% of subjects judged that compared with a conventional method using MFCC, our method finds more appropriate songs that have similar vocal timbres.
著者
嘉田 勝 会沢 成彦 西村 治道 藤本 典幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.171-178, 2009-02-20
被引用文献数
3

大学祭での一般来場者向け学術企画の一環として,体験型の情報科学教育手法 「コンピュータサイエンスアンプラグド」 の学習活動を来場者が体験できる展示企画を実施した。会場内に複数の学習活動空間を設け,多様な来場者をガイドが都度案内する博物館型展示としたため,一斉授業とは異なるさまざまな工夫を施した。本発表では,今回の実践をふまえ,コンピュータサイエンスアンプラグドの博物館型展示の可能性と課題を考察する。As an attraction in a university campus festival, we held a scientific exhibition based on Computer Science Unplugged for general visitors. Unlike a class in a school, we had to guide various visitors of all ages, who arrived by twos and threes. To enable this, we set up stages of various activities in the classroom in parallel, and we offered each group of visitors suitable selection of activities. On the outcome of this practice, we investigate possibilities of such kind of exhibition based on CS Unplugged.
著者
竹辺 靖昭 美馬 秀樹 苫米地 英人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87, pp.31-36, 2003-08-28

概要現在普及しているP2Pコンテンツ交換システムの多くでは,コンテンツの更新が考慮されておらず,検索機能も単純なものしか提供されていない.このため,テキストを含むコンテンツや,頻繁に更新されるコンテンツを対象とするのに適しているとは言い難い.我々が開発中のP2Pコンテンツ交換システムでは,中央サーバにおいてコンテンツのダウンロード先へのリンクを保持するデータ構造を採用し,それらのリンクを適切に管理することにより,更新されるコンテンツの改ざん防止および整合性の維持を行う.また,検索においては,クライアントでテキストの形態素解析を行い,中央サーバに転置インデックスを登録することにより分散処理による全文検索を実現する.本手法により,コンテンツ更新の頻繁なP2P環境においても,効率的かつ速やかに最新コンテンツへのアクセスが可能となる.本稿では,これらの手法を紹介するとともに,全文検索の負荷分散手法の予備的な実験結果を報告する.One problem with current P2P (peer-to-peer) systems is that the consistency between copied contents is not guaranteed. Also, the weakness of full-text search capability in most of the popular P2P systems hinders the scalability of P2P based content sharing systems. We proposed a new generation P2P content sharing systems in which the consistency of contents in the network is maintained after updates or modifications to contents are made. Links are maintained to downloaded contents from a server and updates and modifications to the contents can be immediately detected and hence reflected on the future P2P downloads. Natural language processing including morphological analysis is performed by the P2P clients distributedly and update of inverted index on the server is concurrently conducted to provide efficient full-text search. The scheme and a preliminary experimental result are reported.
著者
松井 正一 伊理 正夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.306-313, 1980-07-15
被引用文献数
9

従来の浮動小数点表現方式で問題となっていた指数部あふれを解決する新しい表現方式の提案を行う.新表現方式は 指数部と仮数部との境界を動的に変化させることにより 指数部あふれを防ぐとともに 普通の大きさの数に対してはより高い精度を確保することができる.また普通の数ではない数をいくつか考えることにより "数の体系"を閉じたものとする.新しい表現方式が効果を発揮するような計算例も示す.