著者
山本 淳二 田邊 昇 西 宏章 土屋 潤一郎 渡辺 幸之介 今城 英樹 上嶋 利明 金野 英俊 寺川 博昭 慶光院 利映 工藤 知宏 天野 英晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.110, pp.19-24, 2000-11-29
参考文献数
7
被引用文献数
9

我々は、フロア内やビル内に設置された計算機間で低レイテンシで高バンド幅な通信を実現するネットワークRHiNETおよびMEMOnetの開発を行なっている。本報告では、RHiNETおよびMEMOnetのネットワークインタフェースのコントローラチップであるMartiniについて述べる。Martiniは、ユーザレベルのゼロコピー通信(OSをバイパスしたユーザプロセスのメモリ空間間のリモートDMA)をハードウェアによりサポートすると共に、チップ内部のコアプロセッサにより柔軟な通信を実現する。
著者
木村 映善 村田健史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1051-1062, 2006-04-15
被引用文献数
4

近年,太陽地球系物理の分野では,高度に発達した計測機器開発による観測範囲の拡大ならびに国際協調プロジェクトの立ち上がりを背景として,世界各地の観測データを蓄積したデータサイトからの観測データの横断的検索,分析を提供するシステムが要請されている.しかし,対象領域が多様性に富んでいるため,システム構成にも変化があり,Grid Computing やWeb Service での統合も困難であることが明らかになっている.既存のシステムへの変化のインパクトを最小に抑え,かつ多様性の記述と柔軟な連携を実現するメタデータの記述を検討した.広くコンテンツ情報配信に利用されているRSS1.0 の簡素さとRSS1.0 がRDF/XML に基づいていることからオントロジ要素の記述に基づいた拡張ができることに注目し,RSS の独自拡張を施すことで既存のシステムと新しい流れの技術の親和的融合が実現できた.本論文では太陽地球系物理分野の観測データのメタデータの記述のコンテナとしてRSS を利用するための検討結果について報告する.In the Solar-Terrestrial Physics (STP) field, the Virtual Observatory (VO) project is difficult to realize because the data model of STP is wide-ranged and rich in diversity. To realize VO in STP, we have to develop the method that absorbs the gap between the data models in many data site. We have designed the light-weight meta-data delivery mechanism with RSS 1.0 which supports the extensibility from the RDF nature. We have designed the class and relationships of between Mission, Team, Group, User, and observatory data with OWL by the lesson of comparing the difference of models and web-services: CDAS and STARS. This RSS/RDF based meta-data proposes promising prospects which it shows capabilities of changing the specification without breaking forward application compatibility by making deduction from ontology information.
著者
長尾 光悦 川村 秀憲 山本 雅人 大内 東
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.78, pp.23-28, 2005-08-01
被引用文献数
2

本稿では, 効果的な観光振興を実現するため, GPSログからの周遊型観光行動情報の抽出法を提案する.また, 本研究では, レンタカーを利用した周遊型観光に焦点を当てる.提案法では, GPSに基づき収集された旅行者の位置情報を含むログデータから各旅行者の滞在及び移動に関する基本行動情報の抽出を行う.この基本行動情報に基づき, 現在の周遊型観光の実態を把握するための分析を行う.更に, 北海道における実際の周遊型観光旅行者からGPSログを収集し, これを用いた実験を通して提案法の有効性を検証する.最後に, 提案法により抽出された基本行動情報に基づき, 現在の北海道における周遊型観光を分析し, その考察を行う.
著者
長島 忍
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.744-746, 1986-07-15
被引用文献数
1

与えられた空間中の点が立体の内部に位置するか外部に位置するかを判定する立体の内外判定は 複合形状の生成など高度な図形処理に用いられ きわめて重要な役割りを果たすが その判定は容易ではない.従来の多面体の内外判定方法には問題がないとはいえず 今回球面投影を利用して新しい判定方法を考案した.球面三角形の式を利用して球面に投影された多角形の面積が求まるので 立体のすべての面を与えられた点を中心とする半径1の球に投影すると 与えられた点が立体の内部にあるか外部にあるかによってその面積の総和は4πか0になる.実際にプログラムを作成してこの判定方法の有効性や実用性を確認した.
著者
夏野 剛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1221-1225, 2001-12-15
被引用文献数
1

本稿では,モバイルインターネットをベースとして行われているさまざまなコンテンツ,サービス,電子商取引の実体を明らかにするとともに,同様のサービスの普及が日本に比べて著しく立ち後れている欧米のモバイルインターネット市場との比較も織り交ぜながら,急速な普及の背景を分析する.
著者
高島 栄一 村田 佳洋 柴田 直樹 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.91, pp.65-68, 2003-09-18

筆者らが以前提案した自己適応島GAは,各島のパラメータをやりとりする際に全ての島が同期して動作しなければならず,島を担当する計算機の能力に違いがある場合に待ち時間が発生していた.本手法では,アルゴリズムに改良を加え,同期を取る必要をなくすることにより性能を向上させた.また,比較実験を通して,計算機の能力に違いがある場合に,従来アルゴリズムよりも時間あたりの探索性能が改善されていることを確認した.また,一定評価回数での探索性能を比較し,解の探索能力が若干改善されていることを確認した.We have previously proposed SAIGA(self adaptive island GA), but it requires all islands to be synchronized when exchanging parameters between islands. In this paper, we propose a technique to avoid this synchronization. We also confirmed that our new algorithm largely outperforms our previous algorithm if there are large differences between processing power of each island. Through experiments, we confirmed that there is slight improvement of search performance from our previous algorithm if both of algorithm uses same number of evaluations.
著者
税所 哲郎 齊藤泰一 土井 洋 辻井 重男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.43, pp.13-18, 2002-05-23
参考文献数
12
被引用文献数
4

株主総会における議決権行使は,各株主が所有株式数に比例した投票権を持つことから,1人で複数投票可能な投票とみなすことができる.しかし,現状では,郵送等によって行使されるため電子化は進んでおらず,セキュリティが確保されているとも言いがたい.我々は,株主総会の電子化を検討しているが,このためには議決権行使の電子化は不可欠である.本稿では,1人で複数投票可能であるという条件に注目し,それによる問題点等を分析する.更に,電子議決権行使に対応できる1人複数投票可能な電子投票プロトコルを提案し,その評価を行う.Since any stockholder has ballots the number of which is proportional to his amount of stocks, the voting procedure in the annual stockholder's meeting can be seen as a modification of usual voting in democratic meetings. However the computerization of the procedures in stockholder's meetings and its security technologies have not been developed enough. We have studied the computerization in stockholder's meetings, in which the proposal of electronic decision systems at stockholder's meetings is one of our main purposes. In this paper, we focus on the property that one stockholder can vote several ballots in a stockholder's meeting, and consider related issues. Moreover we propose electronic voting schemes for stockholder's meetings through which that property holds, and clarify their benefits.
著者
松尾 和洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1176-1177, 2005-10-15
著者
石川 隼輔 山名 早人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.22, pp.121-126, 2002-03-07

本稿では,ループに対して投機的実行を効果的に適用する手法について提案し,SPECcpu95 ベンチマークのcompress プログラムを用いて有効性を検証した.一般的に,ループはプログラムの実行時間の大部分を占めていることから,ループ並列化によるプログラム速度向上率は高い。しかし、従来の並列化手法では、データ依存が静的に解析できない場合、データ依存が存在すると仮定し解析を進める。このため、たとえば,実際には一万回に一回しかループ運搬依存(LCD)が発生しないようなループであっても並列化することができない.しかし,このようなループに対して投機的実行を適用することにより,プログラムを高速に実行することが可能となる.本稿では、従来考慮されてこなかった投機的実行失敗時の復帰処理に必要なオーバーヘッドをパラメータとして取り入れることにより,投機的実行の効果が期待できる部分のみを選択的に投機的実行する方式を提案する。提案手法は、復帰処理オーバーヘッドの他、LCD が実行時にどの程度の確立で存在するのかを表すLCD 存在率と、投機的実行開始位置とをパラメータとし,選択的な投機的実行を実現する。本手法をcompress プログラムに適用した結果,現状では3倍の速度低下がみられた。このため、速度低下の原因を解析し,その原因を解決するための新たな投機的実行適用手法も提案する.In this paper, we propose an efficient speculative execution scheme for loops, and have confirmed the usefullness of the scheme using the compress program from SPECcup95 benchmark. Generally, since the execution time of loops holds the large portion of the total execution time, the loop parallelization scheme improves the program performance, dramatically. However, when the data dependence cannnot be analyzed statically, the conventional parallelization scheme assumes that the data dependence exists. For this reason, such a loop cannot be parallelized even if the loop carried dependence(LCD) occurs only in 10,000 times, dynamically. However, the speculative execution scheme has been known to speedup such a loop. In this paper, we propose the scheme to apply the speculative execution alternatively only to the portion expected to be speeduped effectively, using the overhead parameter required for the book-keeping process when the speculation fails. Such overhead has not been considered on conventional speculative execution schemes. The proposed scheme enables the alternative speculative exection using the overhead parameter for book-keeping, the LCD existence probability, and the timing of the speculative execution initiation. As a results, in the present stage, the execution speed is fell down to one third. To solve this problem, we also propose a new speculative execution.
著者
浜田 穂積
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.149-156, 1983-03-15
被引用文献数
12

実数値の2進表現として 先に次の特徴を有する表現法を提案した.(i)形式はデータの長さに依存せず精度変換操作が単純 (ii)オーバフロー アンダフローが発生せず 十分大きい数も十分小さい数も表現可能 (iii)固定小数点表現と比べて 分解能の点で1ビットの不利にすぎない.しかしながら 2進数としての指数の値の2進表現と本表現の指数部とが完全には対応せず1だけずれていて論理を少し複雑にしていたのを修正した.これによっても 上記の特徴は保たれることがわかった.丸めについてはIEEE標準案での提案のすべてを容易に満たすことができる非数については IEEE標準案と松井・伊理の提案したもののうち 0 +0 -0 ∞ +∞ -∞は2進による表現パタンの極限的なものを 表現しようとする数値との自然な連続として定義することができる.これら非数をも含めた数の四則演算を 対称性をよく保って定義することができる.ただし 松井・伊理の定義した? +? -?については特別な数値ではなく 表現の詳しさに関する情報であって 本表現の意味となじまないため定義しないほうが望ましいと考え 該当の場合は有意性なしの例外処理を期待する.データの特性パラメータが本表現によれば長さだけであるので プログラミング言語での指定も容易となる.この場合の具体的拠案も行った.
著者
川口 知昭 土居 明弘 角谷 和俊 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.57, pp.111-118, 1998-07-08
被引用文献数
1

不特定多数のユーザが参加するインターネット等を利用した放送サービスでは、ユーザは単に映像ストリームを受信するだけではなく、ユーザ自身が映像ストリームの提供者になることも可能である。また、ライブ中継においてはリアルタイムに変化する映像ストリームの提供も可能である。しかし、従来の番組進行は静的に決まっており、リアルタイムな内容変更は困難である。本稿では、内容記述された映像ストリームをスクリプトを用いた番組進行記述により編集することで、動的な番組構成を実現可能とする。本論文では、動的な番組構成の可能なシステムとしてScoopCastを提案し、試作システムとその実装について述べる。We propose an annotating and broadcasting mechanism for live video streams via the Internet. This mechanism provides two functionalities: (1) realtime description for raw video stream, (2) realtime mixing with video streams and realtime broadcasting the edited streams. We have been developing a prototype system called ScoopCast based on our proposed mechanism. In this paper, we describe an annotation method for raw video streams using keywords. And we explain a synthesis method with a dynamic video stream skeleton. Furthermore, we discuss implementation issues of ScoopCast on the multicast network environments.
著者
藤本 哲人 竪 京子 上田 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.29, pp.33-38, 1994-03-18

現在着物を取り巻く環境は、決して明るいものとは言えない。着物離れの進行、価格やデザインの問題などいくつか挙げられるが、着物の作り手である職人の減少が最も大きな問題である。特に友禅型を彫る型職人の減少は深刻であり、このままでは3年もすれば型が彫れなくなると言われている。今日の着物の多くが型紙を用いて染める「型友禅」である状況で、これは日本の民族衣装である着物の存続に関わるものである。日本の伝統衣装でである着物を守り、職人の優れた技術を次代に伝えるべく、そして着物のファッションとしての新たな可能性を導き出すことを目指して「友禅染めCGシステム」の開発ははじまった。KIMONOS are known to the world as traditional beautiful costumus particular to Japan. However, a decrease in the number of skilled craftsmen will lead to serious problem as we approach the 21st century, which would result in tragic cultual loss for Japan. We have, therefore developed the "Yuzen Dyed CG system" to enable the continuation and even smoother production of this long established craft. This "Yuzen-Zome" technique, which has been a traditional part of Japanese culture since the 17th century, has now been succeeded by the lastest CADsystem and CG technology.
著者
中嶋勇人 新妻弘崇 太田学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.28, pp.1-6, 2013-11-19

近年,スマートフォンで位置情報付きの情報を発信することが増えており,その中には,旅行者にとって非常に有益な情報が存在する.本研究では,短文投稿サイト Twitter において,旅行者のツイートに頻繁に現れる特徴と,Foursquare と Instagram のサービスを用いて,観光ツイートを収集し,さらに旅行者のタイムラインから観光ルートを抽出した.収集した観光ツイートは,手がかり語や品詞の特徴から,「食事」,「景観」,「行動」 の 3 つに分類し,それを用いて,旅行者の好みに合わせた観光ルートを推薦する手法を提案する.実験では,収集した観光ツイートの精度と観光ツイートの分類の精度を評価し,抽出した観光ルートと推薦した観光ルートについて考察を述べる.
著者
堀内 浩規 吉原 貴仁 小花 貞夫 鈴木 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.103-112, 1999-01-15
被引用文献数
2

ネットワーク管理システムの構築への分散オブジェクト技術の適用が注目されており、今後の普及が予想される。ここでは、分散オブジェクト環境へTMN(電気通信管理網)やSNMP(Simple Network Management Protocol)に準拠した既存装置の収容が必須となる。本論文では、分散オブジェクトの業界標準であるCORBA(Common Object Request Broker Architecture)環境にTMN/SNMP装置を収容する方式を提案する。提案方式は、X/OpenとTeleManagement ForumによるJIDM(Joint Inter Domain Management)が規定した、TMNやSNMPの管理情報定義とCORBAのIDL(インタフェース定義言語)定義との対応付けの規定をベースとして、そのIDL定義を拡張子、また、新たにIDL操作と管理操作の対応付け、オブジェクトの名前の対応付けを規定した。提案方式を実証するため、SNMP装置を収容するCORBA/SNMPゲートウェイ、ならびに、任意の管理情報定義に対応可能とするためのCORBA/SNMPゲートウェイジェネレータを実装した。さらに、生成したCORBA/SNMPゲートウェイプログラムを用いた処理時間等の評価を通して提案方式の有効性を示した。This paper proposes accomodation method of TMN (Telecommunications Management Network)-based and SNMP (Simple Network Management Protocol)-based equipments in network management systems based on distributed object technology. Although JIDM (Joint Inter-Domain Management) group by X/Open and TeleManagement Forum specifies translation algorithms from TMN and SNMP MIB (Management Information Base) definition to CORBA (Common Object Request Broker Architecture) IDL (Interface Definition Language) definition, the IDL definition is not sufficient for the accomodation. Therefore, the proposed method extends the IDL definition for efficient operations and newly defines the mapping rules among management operations and IDL operations, based on JIDM. Furthermore, we implement CORBA/SNMP getaway based on the proposed method and we show the effectiveness of the method through the implementation and evaluation.
著者
多摩 豊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.23, pp.41-50, 1995-03-06

エンタティメントのゲームソフトに必要なAI技術は、旧来のチェスプログラムなどに流用されていたノウハウとは多少異なる点がある。対人競技性という要素が強調されなくなったゲームソフトにおいては、対戦者ではなく、演技者、演出者としてのAIが必要になってくると思われる。The technology needed for the entertainment game software is somewhat differences which used for the chess program. Game software which lose the contest elements needs no more computer contender. It needs the AI cast and the AI director for entertain player.
著者
漣 一平 山井 成良 岡山 聖彦 宮下 卓也 丸山 伸 中村 素典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.39, pp.79-84, 2005-05-13

電子メールにおいて大きな問題となっているspamメールへの対策方法として、spamフィルタがよく用いられている。この方法で用いられる代表的な技法のうち、分散協調型フィルタは誤検出率が低いという利点を持つ反面、検出率も低いという欠点がある。本稿ではこの欠点を改善するため、宛先不明メールを潜在的なspamメールとみなし、分散協調型spamフィルタのspamメール認識率を向上させる方式を提案する。これにより、従来の分散協調型spamフィルタでの利用者によるspamメール登録のみの場合に比べて、認識率の向上が見込める。また、メールゲートウェイにおける提案方式の実装を行い、提案方式の利用により分散協調型spamフィルタの認識率向上が期待できることを示す。Spam filters are commonly used for a kind of protection measures of spam mail,which is one of the most serious problems on e-mail environment. As a kind of filtering methods,distributed collaborative filter is remarkable since its false positive rate is very small. However,this method has a significant drawback that its accuracy is considerably low. In this paper,in order to improve the accuracy of distributed collaborative filters,we propose a new method using mails sent to non-existent addresses that may potentially be spam mails. We have also implemented the proposed method on a mail gateway,and shown that the accuracy may be improved.
著者
江谷 典子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.27, pp.1-6, 2014-11-11

近年の新薬開発では,既存薬の作用から新たに薬効を見つけ出し,別の疾患に対する治療薬として再開発する創薬研究が注目を浴びている.そこで,大規模なデータの集合体に対しての手法の適用によるモデルを作成することで,何らかの新事実・関係を発見するという立場から,ビッグデータを応用した創薬 (Drug Discovery) データマイニングの研究に取り組んでいる.本研究では、化合物とタンパク質の相互作用データベース STITCH4.0 に収録されているデータと副作用データベース SIDER 2 に収録されているデータから薬と副作用の関係を網羅的に予測できるモデルを構築し提案する.PLS 回帰式モデルを用いた判別分式を導入することで,副作用発症率分類の特徴抽出を可能にし,2 値化することができる.この 2 値化により,化合物とタンパク質の組み合わせにおける副作用発症率を 「41%~100%」「0.1%~40%」 の 2 段階に分けることを示す.さらに,サポートベクターマシン (SVM) を用いて,副作用の発症率をこの 2 段階で予測することができることを示す.In the recent new drug development, the research on drug discovery, that its indication is newly found out from the approved drugs and a new drug is redeveloped with the new indication as a new therapeutic drug for a different disease, has attracted attention. I have researched and developed data mining for drug discovery as a big data application from the standpoint that a model is developed by the methods for collection of large-scale data in order to discover some new facts and relationships between data. In this paper, a model that can predict comprehensively the relationship of side effects and drugs will be proposed from the data on the side effects database "SIDER 2" and the data on the chemical-protein interaction database "STITCH4.0". This paper describes that the feature of side effect incidence is extracted and presented as two categories by introducing discriminant analysis using PLS regression model, and that the chemical-protein interaction is classified into two stages of "41%-100%" and "0.1%-40%". Moreover, it describes that support vector machine (SVM) can predict side effect incidence by these two stages.
著者
須田剛裕 小嶋和徳 伊藤慶明 石亀昌明 鳥海不二夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.99-101, 2013-03-06

現在ソーシャルネット・ワーキング・サービス(SNS)は,テレビや新聞といった既存のメディアと並んで情報収集のツールとして,また知人や友人らと繋がりをもつことでネットワークを構築し,情報の共有などを行っている.東日本大震災時に投稿され拡散した数多くの情報には,結果的に間違った情報であったデマも含まれてしまった.そこで本研究では東日本大震災時にTwitterに投稿された約3億のTweetデータにおいて,リツイート数などを使って情報の拡散状況とデマにつながりやすいキーワードを分析結果を特徴量としたクラスタリングを行うことで,デマ情報かどうかを推定する試みを行う.
著者
北添徹郎 金星一 市来 知幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.14, pp.25-30, 1999-02-05

奥行き知覚のメカニズムとして知られているステレオビジョン神経回路方程式を用いて音声認識への適用を試みる。数年前ラインマンおよびハーケンにより提案され、最近本研究室で発展させられた競合と協調によるステレオビジョン神経回路を用いる。我々は、各音韻の特徴量が脳に蓄積されており、入力音声がそれらと比較され、音声認識を行なっていると考える。本研究では24セットの音韻のシミラリティを求め、その上位5つの音韻のみを最終的な候補として、ステレオビジョン神経回路方程式にかける。その結果、216単語データベースにおいては78.05%、240単語データベースにおいては78.94%という音韻の認識率が得られ、HMMによる認識率、各71.56%と72.37%を上回る結果を得た。The stereo vision neural-net equations, known to process a depth perception, are applied to speech recognition. We use a recently developed three layered neural net (TLNN) equations with competition and cooperation for stereo vision. We use a Gaussian PDF to represent memorized data of each phoneme in our memory, and the similarities of an input phoneme with respect to the memorized ones were calculated. The TLNN equations are applied to the similarities with best 5 hypotheses among 24 kinds of phonemes. The average rates for speaker independent recognition are 78.05 % for 216 word database and 78.94 % for 240 word data base by TLNN equations which are compared to 71.56 % and 72.37 % by Hidden Markov Model(HMM), respectively.