著者
橋爪 健一
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ガンマ線をエネルギー源とするシリコン半導体およびテルル化カドミウム半導体を用いた放射線電池を開発し、5%以上のエネルギー変換に成功した。発電効率は、素子の厚さ、照射温度に顕著に依存した。これらの特性は、照射によって生成した電子-正孔のキャリアの寿命、拡散長に起因することが分かった。また、長期照射に伴う発電効率の低下は避けられなかったが、素子の加熱焼鈍によって回復することが分かった。
著者
玉田 桂子
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.31-42, 2007-10
著者
津田 誠 齊藤 秀俊
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

神経障害性疼痛はモルヒネも著効しない慢性疼痛で,その慢性化機序は依然不明で特効薬もない。代表者は,同疼痛モデル動物を用いて脊髄ミクログリアが痛みの発症に重要であることを示してきた。現在,脊髄でのミクログリアは疼痛発症期に相関した即時的な活性化を示すと理解されている。本研究では,疼痛の慢性期から活性化し始める新しいタイプのミクログリア細胞群(CD11c陽性)の神経障害性疼痛における役割を解明するため,H28年度は以下の項目を検討した。項目2 CD11c陽性ミクログリア遺伝子プロファイルと獲得細胞機能の特定セルソーターで分取した脊髄CD11c陽性細胞の遺伝子発現解析の結果,細胞貪食に関与する分子の発現が増加していた。また,リアルタイムPCRでの検証においても当該分子の発現増加を確認した。さらに,磁気ビーズを用いたMACS法により神経損傷CD11c-Venusマウスの脊髄からミクログリア細胞を分取し,リアルタイム培養細胞イメージング装置でCD11c陽性細胞のイメージングを行った。項目3 CD11c陽性ミクログリアの神経障害性疼痛における役割<1> CD11c陽性ミクログリア細胞を除去する:神経障害性疼痛におけるCD11c陽性ミクログリアの役割を明らかにするために,CD11cプロモーター制御下にジフテリア毒素受容体(DTR)を発現するマウス(CD11c-DTR-EGFPマウス)を用いて検討した。神経損傷2週間後にジフテリア毒素を脊髄くも膜下腔内投与し,その2日後にCD11c陽性細胞がほぼ完全に消失した。しかし,その一週間後にCD11c陽性ミクログリア数がわずかに回復したため,ジフテリア毒素を1週間ごとに投与することで数週間にわたり同細胞を除去する至適条件を決定した。
著者
吉開 泰信
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

Mycobacterium bovis BCG感染においてIL-7はIL-17A産生γδT細胞との増殖と維持に、IL-21はエフェクターCD8+T細胞の増殖に働くことがわかった。結核菌由来の防御抗原であるAg85Bとこれらサイトカインの融合蛋白質を分泌するレコンビナント(r) BCGワクチンを作成して、免疫応答を解析した結果、rBCG-IL-7/Ag85BはIL-17A産生γδ型T細胞と抗原特異的CD4+Th1細胞を増加させた。rBCG-Ag85B-IL-21は抗原特異的エフェクターCD8+T細胞を増加させ、相対的に疲弊CD8+T細胞を減少させた。
著者
横山 尊
出版者
九州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、近代日本における禁酒運動と教育・メディアとの関係性を解明する。その解明に、日本禁酒同盟資料館の旧蔵史料を活用する。主な内容は次の通りである。①日本国民禁酒同盟(1920年結成)、姉妹団体の日本学生排酒聯盟(1922年結成)の活動に着目し、これらが学生や児童を禁酒運動に取り込みながら運動を展開したかを解明する。②同盟や聯盟が刊行したメディア、『禁酒新聞』、『のぞみの友』、『無酒国』などの編集方針と編集組織、執筆陣の分析を通し、メディアの禁酒教育への影響、各学校の運動家間のネットワークの解明を行う。③未成年者飲酒禁止法の運用、外地への拡張や改正をめぐる論議を、①、②を踏まえ解明する。
著者
北山 修
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-9, 2000-03-10

フロイトの報告したドラ症例は,彼の本格的症例報告としては最初のもので,精神分析を学ぶ者たちにとっては教科書的存在であった。しかし,最近では精神分析研究者からの批判の対象になっており,とくにP.Mahonyの詳細で質の高い研究は,この小論の著者である私にこれを書かせることになった。その前半では,病歴を要約し,本症例のフロイトの理解と取り扱いでこれまで注意深く批判されている諸点を紹介しているが,そこには母親についての無視の意味や,父親やK氏との共謀的な同盟関係についてフロイト自身が気づいていないことなどが含まれている。後半では,患者の言い回しの曖昧さや比喩的構造について,治療者が言語学的に理解し活用することが,その批判点にもかかわらず,本症例からもっとも学ぶべきところのひとつであり,それはヒステリーや心身症を患う神経症患者の精神医学病理を把握するために役立つものであることを論じている。
著者
森園 絵里奈
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.273-280, 2005

The purpose of this research is to study the narratives of the past of the elderly in relation to their attitudes toward the past and life satisfaction. A scale consisting of 9 questions was developed to measure the frequency of articulation of spontaneous reminiscences in daily life. The sample consisted of 78 elderly people. The results suggest that the elderly who recall their past positively didn't talk about the past frequently, and that negative narratives were told more than positive ones. It was also found that the elderly who recall their past positively tend to be more satisfied with life. These results suggest that there is a meaningful relationship between narratives of the past, attitudes toward the past, and life satisfaction. When understanding the elderly, the frequency and contents of their narratives are valuable sources of reference.
著者
金 テイ実 槻木 瑞生 花井 みわ 朴 仁哲 李 東哲 本田 弘之 永嶋 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

旧満洲・間島(現在の中国東北の延辺朝鮮族自治洲)で盛んに行なわれた日本語教育に関連して日本人である斎藤季治郎、鈴木信太郎、川口卯橘、渡部薫太郎、日高丙子郎、工藤重雄、濱名寛祐、樋口芝巌、安東貞元、山崎慶之助、飯塚政之に焦点に当てて彼等の役割を明らかにし、現在に於いても盛んに行なわれている日本語教育のルーツを明らかにしたものである。
著者
梶原 健佑
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.499-511, 2004-10-12
著者
杣 正夫
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.25-69, 1976-06-20
著者
杣 正夫
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.165-198, 1975-12-25
著者
後小路 雅弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、東南アジアの近代美術が、とりわけ1960年〜1980年の西欧モダニズムの本格的な受容の時期に、どのようにモダニズムを受容したのかを、具体的な作品を通して、検証、考察することを目的としている。その時期は、東南アジア各国が独立を果たし、国民国家が形成されていく時期でもあり、その中で、国民文化としての美術が求められたが、他方、国際的な抽象美術運動を背景に、モダニズムの持つ視覚言語の自律性と普遍性を追求することが時代の要請でもあった。そうした相反する方向のなかで、東南アジアの美術家たちが、国際的な普遍性とローカルな固有性のはざまでどのような制作活動を行い、どのような作品をその成果として生み出していったのかを明らかにすることが主要な課題である。具体的な研究成果は、以下の通り。1.東南アジアの1960年〜80年に活躍した作家の作品について現地調査を行い、作品撮影をし、同時代の資料を収集した。2.現存作家・遺族、関係者へのインタビューを行った。その主要なものは報告書に収録した。3.「アジアのキュビスム」「ベトナム近代絵画展」ふたつの展覧会の企画構成、図録作成に関わり、調査研究を展覧会の形で、広く公開した。
著者
中橋 孝博 李 民昌 松村 博文 篠田 謙一 分部 哲秋 山口 敏 季 民昌 陳 翁良 黄 家洪
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

北部九州から出土する弥生人骨を大陸からの渡来人、もしくはその遺伝的影響を受けた人々とする見解が定着しつつあるが、彼ら渡来人の源郷についてはいまだ不明点が多い。これまでは華北や朝鮮半島を候補地とする研究結果が発表されているが、その背景には人骨資料そのものが大陸北半でしか出土していないという問題が隠されており、人骨の空白地域であった江南地方は、永く論議の対象から外されていた。しかし同地方は稲作を初めとして、考古、人類、民俗など各分野で古代日本との関係が指摘されているので、平成8年度から10年度にかけて、まずこの地域の古人骨資料の探索を行い、人類学的な検討を加えた。その結果、まず新石器時代のウトン遺跡から出土した人骨(51体)については、同時代の華北集団とも、また日本の縄文人とも異なる特徴を持つことが判明した。しかし春秋戦国〜漢代の人骨(30体)は、同地方の新石器時代人とは大きく異なり、日本のいわゆる渡来系弥生人にその形態的特徴が酷似することが初めて明らかにされ、同時に、劉王城遺跡出土の春秋時代末期の人骨2体から抽出されたミトコンドリアDNAの塩基配列が、北部九州弥生人のそれと一致することも判明した。また、この劉王城人骨では、2体に上顎両側の側切歯を対象とした風習的抜歯痕が確認され、この風習でも日本の弥生人集団との共通性が認められた。全体的に資料数がまだ十分ではなく、多くの検討課題を残すが、関連分野からその重要性を指摘されながら永く資料空白地域として残されていた中国江南地方において今回初めて人類学的な研究が実施され、渡来系弥生人との形態、遺伝子、抜歯風習にわたる共通点が明らかになったことは、今後、日本人の起源論はもとより、考古、民俗など各分野に大きな影響を与えるものと考えられる。平成11年3月に中国人側共同研究者を招聘して研究結果を公表したところ、朝日新聞、新華社、読売新聞、産経新聞など各紙に大きく報道され、NHK、フジテレビでも放映されて広く一般の関心を集めた。