著者
陣内 正敬
出版者
九州大学
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-77, 1990

An analysis cencerning the address terms of Japanese is made by examining their usages in "Sazae-san", a TV program where we can find plenty ef examples of modern Japanese. lt reveals the following sociolonguistic rules on how to address others.(1)The Japanese makes a distinction between superiers and inferiors. As the reflection of this fact, k (kinship terms) and T (titles) are used for the former, FN (first name) and LN(last name)for the latter. Furthermore, K and T are used non-reciprocally, that is,those who give K (T) to the addressee receive FN (LN), while between equals FN and LN can be used reciprocally.(2) The Japanese also makes a distinction between in-group membership and out-group one. An important criterion for the distinction is the relationship. K and FN are used for the in-group members, T and LN for the out-group ones.Nevertheless, when the intimacy increases in the dyad, T can be replaced by LN in (1),LN by FN in (2) resulting in the reciprocal usage in both cases.
著者
吉良 潤一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

多発性硬化症(MS)は不特定のウイルス感染を契機に疾患感受性のある固体で髄鞘抗原を標的とした自己免疫機序により発病するとされる。この疾患感受性を規定するものとして、HLAクラスII抗原がある。コーカシア系白人のMSはHLA-DRB1^*1501と最も強い相関を示すが、日本人のMSでは特定のHLAとの有意な相関は証明されていなかった。私どもは日本人MS患者90名を臨床症候からみた主病巣が視神経と脊髄に限られるアジア型MS44名と、大脳・小脳などそれ以外の中枢神経系にも病巣を認める西洋型MS46名に大別して、HLAを検索した。日本人でも西洋型MSはHLA-DRB1^*1501と有意な相関があった。一方、アジア型MSはHLA-DPB1´^*0501とのみ有意な相関(88.6%対63.0%、補正後P値=0.03、relative risk=4.6)を示した。アジア型MSは西洋型MSに比し、(1)発症年齢が高い、(2)女性に多い、(3)高度の視神経・脊髄障害を呈する、(4)脳MRI上の病巣が極めて少ない、(5)脊髄MRIでの異常検出頻度が高い、(6)髄液で高度の細胞、蛋白増加などの特徴を示した。したがって。アジア型MSは西洋型MSとは免疫遺伝学的な背景も臨床像も著しく異なることから、独立した一疾患単位と考える。もし他人種でも視神経脊髄型MSとHLA-DPB1^*0501との有意な相関が証明されたならば、この病型はDPB1^*0501関連視神経脊髄炎と呼ぶのが妥当と考える。さらに、MS患者63名を含む各種神経疾患患者250名と健常成人40名について血清全IgE値、アレルゲン特異的IgE値、ヘルパーT細胞内IFNγ/IL-4比(これが高いほどTh1優位)を測定した。その結果、アジア型MS血清全IgE値、アレルゲン特異的IgE陽性率が有意に低い一方、IFNγ/IL-4は有意に高く、ヘルパーT細胞の中でもIFNγを主として産生するTh1細胞優位と考えられた。以上より、アジア型MSは何らかの感染性因子をトリガーとして引き起こされるHLA-DPB1^*0501分子拘束性のTh1 diseaseがその本態あると考える。
著者
植田 信広
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.573-604, 1992-03
著者
鄭 艶花
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.239-246, 2004-03-31

The purpose of this study is to analyze and clarify the independence consciousness of female university students of China applying psychological research methods. In the course of the study a questionnaire research was conducted on eighty three Chinese female university students with regard to the scales of Cinderella complex and the social role attitudes. Firstly the results indicate positive correlations between the independent variable of "defend-family-traditionalism factor" with three factors of dependency, lack of confidence and responsibilities evasion, a particularly strong correlation being found with the dependency factor. Secondly Chinese female students who are the single child of their families showed stronger dependency on their families than those who are not. Finally the number of students who do not choose to find an employment immediately after the graduation is increasing, which shows a correlation with the lack of confidence factor. The findings appear to suggest that as a result of rapid changes in the social environment and public principles Chinese female university students, who have been regarded as having a high level of independence, are beginning to show multi facets hat cannot be thoroughly comprehended by the traditional framework of consciousness.
著者
神庭 重信 鬼塚 俊明 加藤 隆弘 本村 啓介 三浦 智史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病の神経炎症仮説に基づき、動物実験としては、グラム陰性菌内毒素をマウスに投与して、行動および脳内の組織化学的変化について研究した。広範囲に及ぶミクログリアの一過性の活性化は見られたが、それを通じたアストログリア、オリゴデンドログリアへの影響は検出できなかった。ミクログリア活性化阻害物質であるミノサイクリンの投与は、内毒素投与の有無にかかわらず、抑うつ様行動を惹起した。培養細胞系では、ヒト末梢血中の単球から、ミクログリア様細胞を誘導することに成功し、気分障害罹患者を対象とする画像研究でも、拡散テンソル画像を集積した。これらの研究を通じ、うつ病と神経炎症の関連についてさらに知見を深めた。
著者
宮本 一夫 中橋 孝博 田中 良之 小池 裕子 田崎 博之 宇田津 徹朗 辻田 淳一郎 大貫 静夫 岡村 秀典
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、山東半島における先史時代の水田探索調査、膠東半島の石器の実測調査、黒陶の安定同位体比分析、山東半島先史時代古人骨の形質人類学的分析、遼東半島四平山積石塚の分析の5分野から構成されている。これらの調査研究は、研究代表者が提起する東北アジア初期農耕化4段階説における第2段階と第3段階の実体を解明するための研究である。まず第1の水田探索調査では、これまで山東で水田遺跡が発見されていなかったが、楊家圏遺跡と両城鎮遺跡でボーリング調査と試掘調査を行うことにより、楊家圏遺跡では龍山文化期に畦畔水田が存在する可能性が高まった。また膠東半島の趙家荘遺跡では龍山文化期の不定型な畦畔水田が発見されており、水田のような灌漸農耕が山東において始まった可能性が明らかとなった。さらに黒陶の安定同位体比分析により、山東東南部の黄海沿岸では龍山文化期にイネがアワ・キビより主体であることが明らかとなった。これはフローテーションによる出土植物遺体分析と同じ結果を示している。さらにこの分析によってイネであるC3植物が膠東半島、遼東半島と地理勾配的に低くなっていることが確かめられ、このルートでイネが龍山文化期に伝播した可能性が高まった。これは東北アジア農耕化第2段階にあたる。第5の研究テーマで分析した四平山積石塚の分析により、この段階に膠東半島から遼東半島に人が移動し在来民と交配していく過程が明らかとなった。さらに石器の分析により、石器もこの段階から膠東半島から遼東半島への伝播が存在することが証明された。さらに東北アジア農耕化第3段階である岳石文化期には、多様化した加工斧と農具が伝播しており、木製農具などの定型化した農具と水田など灌概農耕が、この段階に人の動きとともに膠東半島から遼東半島へ拡散した可能性が高い。なお、形質人類学的な分析では限られた資料数のため人の系統に関する決定的な証拠を得ることはできなかった。
著者
熊野 直樹
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の主たる目的は、第二次世界大戦期の「満」独阿片貿易の実態解明であった。特に、どのような経緯を経て、「満洲国」とナチス・ドイツ間の主要な交易品が満洲大豆から阿片に代わったのか、その際、誰が主導したのか、を明らかにするのが本研究の目的であった。 「満」独通商協定によって、両国は主に満洲大豆とドイツ製機械をバーター取引していたが、満洲大豆の不足によって、「満洲国」側は貿易赤字に陥った。その結果、ドイツ側はその決裁の手段として、満洲大豆に代わって阿片を要求するに至った。1941 年 5 月の「満独通商協定延長に関する第二次協定」において正式に両国の間で、阿片取引がなされることになった。その責任者が、「満洲国」側は古海忠之であり、ドイツ側がドイツ経済使節団代表のヘルムート・ヴォールタートであった。戦時中、両者が両国間の阿片貿易の責任者であった
著者
楠原 浩一 中尾 太
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

(1)DTaPワクチンの臨床的・疫学的有効性の評価わが国が世界に先駆けて開発し、1981年から接種されている無細胞百日咳ワクチンを含む三種混合ワクチン(DTaP)は、副反応が少ない優れたワクチンである。接種率の向上とともに百日咳患者が激減したため、わが国では疫学的にその有効性を評価できていなかった。本研究では、過去10年以上にわたり同一成分のDTaPワクチン接種を行っている北九州市において、同市医師会協力のもと、百日咳疫学調査を行った。平成11年度は後方視的調査を行い、DTaPワクチンの有効率は79%であることが判明した。平成12、13年度は、WHOの百日咳診断基準に従い、前方視的な有効性評価(Case-Control Study)を行った。これまで116例の症例が登録され、菌分離が2例、対血清で百日咳と診断できた症例を含め合計16例の百日咳患者が確認できた。現時点で、本Case-Control StudyでのDTaPワクチンの有効率は87.4%と算定され、本ワクチンの有効性が確認された。一方、これまでのDTPワクチン接種方式の有効性を検討するため、0〜80歳を対象に、ジフテリア、百日咳、破傷風に関する血清疫学的調査を行った。ワクチン接種群と非接種群のpertussis toxin(PT)抗体陽性率およびジフテリア抗毒素抗体陽性率は、それぞれ55.0%と57.9%、76.3%と75.7%であったが、破傷風抗毒素抗体陽性率は91.7%と10.5%であり、その間に有意差を認めた(P<0.001)。各病原体とも、実施された接種方式の違いによって年齢群ごとに平均抗体価の変動がみられた。(2)効果的な接種法に関する研究:第2期接種のワクチンの再検討年長児や成人に現行のDTaPワクチン接種し、その安全性と有効性を検討した。これまで10歳代44例、20歳以上の成人142例に接種を行った。局所副反応として5cm以上の発赤・腫脹があった成人および10歳代が1例ずつ、1〜5cmが10歳代に1例、成人3例であった。全身性の副反応を呈した例はなかった。
著者
山本 弘
出版者
九州大学
雑誌
九大法学 (ISSN:04530209)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.115-160, 2003-02
著者
前田 潤滋 友清 衣利子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ゆっくり立ち上がる突風を受ける構造物に比べて,短時間に立ち上がる突風を受ける構造物に,より大きな風力が発生する「風力のオーバーシュート現象」を特殊な装置を持つ風洞で再現し,いくつかの形状の試験体について,通常の風力との比較をオーバーシュート係数として整理した。風洞実験結果の数値流体解析シミュレーションで,オーバーシュート風力の発生メカニズムを追跡するとともに,強風観測記録の分析から,オーバーシュート風力が突風被害の拡大要因の一つになっていることを論証した
著者
園井 ゆり
出版者
九州大学
雑誌
人間科学共生社会学 (ISSN:13462717)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.43-59, 2004-02-13

本稿の目的は、わが国における優生思想の変遷過程をフェミニズム運動との関わりから考察することにある。今回は、最初の試みとして、戦前期における青鞜運動と戦後期におけるリブ運動とに着目する。青鞘運動においては、女性の「性と生殖の自己決定」という今日的な課題が提起される一方で、「母性」を強調するあまり、結果として国家主義的な優生思想を肯定する傾向もみられた。戦後、1970年代初頭に生まれたリブ運動は、日本における母性の議論に優生主義的傾向が潜んでいることを見抜いた。リブ運動が闘った様々な課題のなかで最大といえるのは「優生保護法改正案」阻止をめぐる闘争である。この中で目指されたのは女性の「性と生殖の自己決定権」の確立である。闘争の過程でリブ運動は、優生保護法に潜む国家による生殖の管理を看破し、母性の議論に潜む優生思想的傾向を看破した。この意味でリブ運動が果たした役割は非常に大きい。しかし、リブ運動においてなされた主張は、その一方で生殖に関わる女性の権利と生命の尊厳とはいかに両立できるかという重大な問いかけを残すことにもなった。この問題は、先端生殖医療が可能となった今日、ますます現実的なものとなっている。フェミニズムはこの問題に対して、いかに解答すべきかを迫られている。
著者
木舩 崇
出版者
九州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、最も頻度の高い神経発達障害の一つである。ASDの発症には、松果体系とドーパミン系の機能不全が関与する可能性があり、それぞれ独立してASDへの関連が研究されてきた。しかし、松果体から分泌されるメラトニンは、睡眠導入の他、抗酸化、抗炎症、抗アポトーシスなど多様な作用を示すことから、この両者の間にはASDの発症に関する病理学的相互作用が推定される。本研究では、病態モデルとしてASD児から供与された乳歯幹細胞(SHED)をドーパミン作動性ニューロン(DN)に分化誘導し、両者の相互作用を細胞生物学的解析により明らかにする。本研究は、ASDの発症機序解明と治療法開発に寄与すると期待できる。

8 0 0 0 OA 破産か長者か

著者
岩本 誠一
出版者
九州大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.27-45, 2003-01-30

本論文では、賭博者破産問題をマルコフモデルとして定式化して埋め込み法で解く。これは、与問題をある問題群に埋め込んで、その部分問題間の再帰式を導き、これを解いて、本来の問題の解を求める方法である。埋め込み法は、いわゆる動的計画法のアプローチを最適化を意識しないで適用したものである。また、「勝敗差がはじめて3になったとき優勝決定とする」ルールの下で、プロ野球・日本シリーズでの優勝確率・平均試合数を再帰的に求める。
著者
松隈 浩之
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は昨年に引き続き調査を行うとともに、調査結果にもとづいたコンテンツ制作を行った。●調査結果調査対象は前年と同様アヌシーアニメーション国際映画祭とし、前年の調査で不足していたマーケットやリクルートといったビジネス面にも比重をおいての調査とした。調査内容はアニメーション表現、手法の動向、各国の取り組み、3DCGの活用状況と今後の可能性を主としており、本研究院が刊行する紀要vol.8に報告資料として採択、掲載されている。結果として、世界のアニメーション業界における3DCGの需要は企業ベースのみならず、学生を含む個人単位でも確実に増加していることが判明した。一方で、日本における3DCGの受入状況は現場の作業環境から消費者の支持獲得に至るまで、浸透しているとは言えず、3DCGとどのように向き合っていくかが課題となっている。以上の点から、今回の3DCGによる新しい表現への取り組みの有用性を確信することができた。●制作日本の伝統的な光源を用いたフル3DCG映像作品を制作するにあたり、ベースとなる舞台を佐賀市三瀬村やまびこ交流館とした。本建造物は江戸時代より続く寄棟づくりによる農家を保存したものであり、障子や畳、漆喰の壁などによる日本の伝統的な光環境を有している。建造物内で撮影によりHDRパノラマ画像を採取し、イメージベースドライティングの技術を用いて3DCG内の光源へと変換、日本的なライティングを施したイメージを作成した。また、作品の題材を架空の妖怪による寸劇とし、ストーリー構成おこなった。日本らしさを有した作品に仕上がったと確信している。今後、同じ手法をベースにより多くの作品を制作し、本課題の有用性をさらに確固たるものへとしていきたい。