著者
狩野 恭
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2008-03-24

新制・論文博士
著者
澤田 純男 後藤 浩之 米山 望
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本課題は,固体か流体かに依存しない支配方程式を理論的に導出し,その支配方程式に基づいた数値解析コードを開発して,固体と流体との中間的状態にある媒質の動的な挙動を高精度に解析することを目指したものである.固体と流体の双方を取り扱うことのできる支配方程式をラグランジュ形式で導出し,線形弾性体からニュートン流体までシームレスに解析できることを静的解析,および動的解析によって検証した.本解析コードを飽和砂地盤の動的解析に適用し,液状化地盤の揺動現象を再現することができた.非液状化層や埋設構造物を想定した側壁付近で,励起された鉛直振動に伴う液状化が確認された.
著者
船曳 康子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

発達障害は個人差の大きい不均一な症候群の集合体である。このため、臨床・行動特性の分布を明らかにすることを目的とし、特性の解析、診断名(自閉性障害の知的障害有と無、アスペルガー障害、特定不能型広汎性発達障害(PDDNOS)、混合型ADHD、不注意優勢型ADHDとの関連の検証を行った。いずれの群でも群間差を認めない特性は睡眠リズムのみ、自閉症2群間では有意差のある特性はみられず、知的障害のない自閉症とAspergerの差は言語発達のみであった。AspergerとPDDNOSの差はPDD診断基準の中核のみで、PDDNOSと不注意優勢型ADHDの差はPDD要素が診断閾値を超えるかどうかであった。
著者
小川 侃 佐藤 義之 冨田 恭彦 岩城 見一 斎藤 渉 金田 晋 吉田 和男 有福 孝岳 高橋 憲雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

平成12年から15年に継続された本科学研究費補助金によるプロジェクトは京都大学の研究者と京都大学以外の大学の研究者との共同作業に基づいて多くの成功した成果をあげることができた.なかでも海外からのおおくの著明な現象学的な研究者との国際的な協力と共同作業を行いえた.シュミッツ,ゲルノット・ベーメなどのようなドイツからの新しい現象学者,ヘルト,ベルネット,クリスティン,ケルックホーフェン,ダストウールがヨーロッパから共同研究に参加した.アメリカからの参加者はウエルトン,ガシェー,プルチョウなど.毎年数度の研究会を開催し,小川他が海外で共同研究を展開して成果の発表をおこなった.これらの研究プロジェクトの結果,集合心性は基本的に雰囲気と地方的もしくは地球全体の気候,天候,風土などに埋床しており,このことは,地水火風などという四つのエレメントを風土や雰囲気とくに風との連関で研究するべき新たなプロジェクトを立ち上げる必要性を示した.
著者
長澤 多代
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.19, pp.99-110, 2013-12-01

In Japan, colleges and universities have undergone massive educational reform since the 1990s. By switching to active learning and activating course design, they have been training students as active and lifelong learners. In this context, college and university libraries have provided various learning support services to students and instructional support services to faculty members. To further enhance learning outcomes, these services should be integrated into both course instruction and educational reform. The purpose of this paper is to discuss how college and university libraries can actively engage in educational reform, from the perspectives of information literacy instruction and learning commons. Most libraries have provided students with information literacy instruction such as course-related instruction in the courses. Some have developed pathfinders as navigators to information resources. During the past decade, the number of learning commons has increased significantly in Japan. In learning commons, as well as physical spaces such as collaborative learning areas and work station areas, various learning support services relating to information retrieval resources and writing papers have been designed by faculty members, librarians, ICT support staff and student assistants.
著者
森下 明子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

平成21年度は、11月30日付の中途辞退までに、(1)インドネシアでのフィールド調査、(2)インドネシアの地方政治・経済権力構造についての日本語論文の発表、(3)マレーシアの地方政治・経済権力構造に関する国内ワークショップ発表を行った。フィールド調査では、インドネシアで4月9日に行われた総選挙の分析を中心に、調査対象地であるリアウ州と北スマトラ州の政治・経済権力構造を理解するため、二州選出の国会議員に注目し、彼・彼女らの得票率とプロフィール(出身地、宗教、家族的背景、学歴、職歴、議員歴、政党活動歴、所属組織等)の分析を行った。二州における中央・地方関係、地方政治構造、地方エリートと有権者の関係等を探ることが目的である。またインドネシア国会議員全員のプロフィール分析を行い、その成果を論文として今年度中に発表する予定である。本年度11月までの研究成果としては、日本インドネシアNGOネットワーク(JANNI)の季刊『インドネシア・ニュースレター』に、他地域との比較を念頭に、中カリマンタン州を事例として、スハルト時代からポスト・スハルト時代にかけてインドネシアの森林伐採地域の住民が経験した社会・経済・政治的変化に関する論文を発表した。また学会発表では、5月に総合地球環境学研究所プロジェクト「生態系ネットワークの崩壊と再生」の主催で行われたワークショップにおいて、サラワク州を事例に、マレーシアの森林開発に関連する政府機関と事業権の交付システム、森林開発関連制度、森林開発の事業権保有者および企業のプロフィールから、州首相を頂点とする州政財界のパトロン・クライアント関係を明らかにした。
著者
東口 顕士 松田 建児
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

分子ワイヤの電気伝導特性として代表的なパラメータである減衰定数βは、以前の研究でビラジカルの交換相互作用の減衰定数βと相関があることを見出している。ESR測定を行い分裂パターンから評価する本法は、測定感度域は狭いものの相互作用の弱い領域の測定が可能であるため、飽和炭化水素のような減衰率の大きなユニットの評価に利用できる。籠状飽和炭化水素であるビシクロオクタンと、直鎖アルキルスペーサーでは、交換相互作用が10倍以上異なることを確認した。この差異は、籠状飽和炭化水素においては架橋部位で複数の軌道同士が相互作用していることに由来すると推測された。
著者
森鳰 章代 吉村 通央 原田 浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

PER2がHIF-1αの発現量に影響を及ぼさないことを確認した。PER2蛋白質がHIF-1α蛋白質と結合し、HIF-1αのHREへのリクルートを亢進することが分かった。PER2によるHIF-1の活性化は、HIF-1α N803が水酸化されていない時にのみ観察された。しかし、PER2蛋白質とHIF-1α蛋白質のインタラクションは、N803の水酸化ステータスの影響を受けなかった。以上の結果は、N803の水酸化状態をモニターできるセンサー分子の助けを借りて、PER2がHIF-1αのHREに対するリクルートを促進するエフェクター分子として機能する可能性を示唆している。
著者
木村 逸郎 夏 宗ほあん 包 尚聯 伊藤 秋男 秦 和夫 今西 信嗣 XIA Zonghuang 包 尚聨 張 国輝 趙 子強 王 宇鋼 施 兆民 唐 国有 陳 金象 韋 倫存 今井 誠 神野 郁夫 高木 郁二 金 長文
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

最近粒子ビーム(中性子や荷電粒子のビーム)を用いた材料科学研究の進展は著しい。京都大学と北京大学は、いずれもこれらの先駆的な研究を進めているが、ここに大学間協定に基づいて研究協力を強化推進し、一層の高度化とさらに新しい分野への発展の基礎を築くことができた。本研究を通じ、京都大学から北京大学へ延べ8名の班員を派遣し、最近の研究の紹介を介して討論するとともに、実験の現場でも議論した。一方、北京大学から京都大学へ延べ8名の班員を招へいし、先方の研究成果について紹介してもらい、それについて討論した。さらに一部の班員はやや長く滞在して実験に参加させ、他の班員は京都大学の研究用原子炉や加速器において進行中の関連研究を見せ、現場でいろいろと議論した。やや具体的なテーマについての成果は次のとおりである。1.両大学で進行中の中性子ビーム利用研究では、まず核分裂過程の機構解明に関連し、核分裂即発中性子の測定法と測定結果、解析モデルと解析結果を比較し、共通点を見出した。また、中性子の非弾性散乱や荷電粒子放出の測定に関連し、データを比較検討した。さらに、中性子の新しい利用とくに医療利用についても議論を深めることができ、今後の協力が期待される。2.加速器による重イオンビームの利用については、両大学とも盛んに実験研究が進められているため論議が噛み合う所が多かった。なかでも、クラスターイオンの発生と利用、イオンビームによる表面分析、イオンビームによる新機能性材料の開発において、相互の実験手法を現場で詳しく見た上で議論し、ときには改善法を示唆したりもした。また北京大学の班員を京都大学での実験に直接参加させたことも実質的な協力として有意義であった。これらを通じ、今後のより実質的な協力の芽が育ったといえる。
著者
M・A Huffman 川本 芳 ナハラゲ チャーマリ A. D.
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は分類に使われてきた形態変異と糞試料で検出した遺伝子変異の比較で認められたちがいから、トクモンキーおよびラングール類の亜種分類を再評価し、スリランカ霊長類の系統地理的特性を総合的に理解することである。トクモンキーでは海抜2~2,129メートルの間に明瞭な尾長の地理的勾配が認められ、尾率は標高に従い有意に小さくなった。この形態変異は亜種境界には厳密に対応せず、むしろ本種が標高と寒さに対しアレンの法則に従う適応をもつことを示していた。新しいPCRプライマーを作成し、ラングール類の亜種の違いを試験した。これら霊長類2種の亜種の違いをさらに調査するためこれらのプラマーを利用していく。
著者
梶 茂樹 米田 信子 古閑 恭子 品川 大輔 塩田 勝彦 神谷 俊郎 若狭 基道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アフリカには多くの声調言語が話されている。アフリカの声調言語の特徴は、アジアの声調言語に比して、声調の語彙的機能が低く文法的機能が高いということである。例えば、多くのバンツー系諸語では、しばしば声調のみで時制・アスペクトが区別されるし、また声調のみによって関係節かそうでないかが区別される。またガーナのアカン語では所有表現が声調のみで表現されるということもある。このような声調の文法的機能はアフリカの声調言語の大きな特徴である。
著者
佐藤 拓哉
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24

本研究課題では、申請者が発見した「寄生者が駆動する生態系間のエネルギー流;以下、PMEF (Parasite-Mediated Energy Flow)」の維持・創出機構とそれへの人的影響の解明を目的としている。本年度においては、当初の研究計画に則り、全国10サイト、およびカナダ11サイトにおいて、ハリガネムシ類とその宿主の季節消長を明らかにし、PMEFが生じる季節の地理的パターンを明らかにした。すなわち、本州とカナダのサイトでは、8-9月をピークとしてPMEFが生じているのに対して、北海道では、6-7月がピークであることが明らかになった。また、北海道の一つのサイト(北海道大学苫小牧研究林)では、ピークが6-7月と9月の2回あることも明らかになった。PMEFの生じる季節が異なることは、森林から河川へのエネルギー補償の時期が異なり、ひいては森林-河川生態系間相互作用の季節的動態にも影響する可能性がある。一方、4つの集水域から捕獲されたハリガネムシ類の種多様性について、遺伝子分析を用いて明らかにした。その結果、それぞれの集水域のPMEFが、非常に多様なハリガネムシ類(最大で8種)とさらに線虫類によって駆動されていることが明らかとなった。また、PMEFの期間や量とハリガネムシ類の種の多様性と間には関係が認められなかったが、地理的に近い集水域間でも、PMEFの期間が異なることが明らかになった。このことは、地理的に近い集水域においても、ハリガネムシ類の生活史パターン次第で、森林-河川生態系間相互作用の特徴が異なる可能性を示唆する。
著者
高橋 雄介
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は,パーソナリティ特性と身体的・精神的・社会的健康の関連性の全体像を把握するための新たな知見の蓄積のために,健康に関わるさまざまな指標を複数のサンプルに対して用いて調査データを取得し,パーソナリティ特性と健康の相互関連について包括的に紐解いていくことを主たる目的とする。本研究の結果,パーソナリティ特性の変化は健康および健康に関連する行動の変化と正に相関することが確認され,これはパーソナリティ特性の変容が健康に対して影響に与えていることを示唆している。また,別の研究結果は,パーソナリティ特性が,その個人が子どものころに受けた養育態度と身体的な健康感の正の関連を媒介していること,そして,その媒介効果は年齢層を通じて一貫していて持続力があることを明らかにした。このことは,養育態度はパーソナリティ特性の発達と健康増進のために介入可能性のあるターゲットのひとつであることを示唆している。
著者
Imani N. SWILLA
出版者
京都大学
雑誌
African study monographs (ISSN:02851601)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.159-171, 2000

In Tanzania, the press is the second most accessible type of mass media after the radio, a key source of information and entertainmaent. Short stories in two Tanzania daily newspapers publishes in the national language, Kiswahili, were analyzed to investigate how authors represented women. Readers and non-readers of newspapers were also interviewed. The content and linguistic analyses revealed that more than two thirds of the stories depicted women negatively, by using linguistic devices such as derogatory terms, metaphors, diminutive forms, compliments, self-incrimination and the assignment of talk-turns. Derogatory language and content in the stories reflect and perpetuate negative attitudes and beliefs about women in society, are counterproductive, and perpetuate low self-esteem in women. The press should become an agent of social change, towards gender parity and promote a gender sensitive representation of women.
著者
津村 浩二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2015年のLHC実験では十分なデータが得られなかったため, ヒッグスボソン結合の実験精度はあまり変わっていない. 一方で, 種々の異常なイベントが報告された. 特に本研究課題に関係するものとしては, 2TeV程度の質量を持つファットジェット対に崩壊する新粒子の可能性があった. この報告に即応して, 付加的なスカラーボソンによる新粒子の解釈を提唱した. 実験データを解釈するには新粒子もヒッグス機構に寄与することが必要であり, その結果として付加的なスカラーボソンと既に発見されているヒッグスボソンの相互作用の間には和則が成り立つ. そのため, 新粒子の相互作用はヒッグスボソンに対して実験的に許されている結合定数のズレを用いてその許される結合が決まる. したがって, 付加的なスカラーボソンでの解釈は強く制限される. LHC実験におけるさまざまな制限に加えてフレーバー実験による制限も調べ可能なシナリオを提示した.
著者
金 志〓
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は六朝時代から唐代(4 世紀末-9 世紀頃)までの、道教の経典伝授儀礼の成立と、経典伝授と密接な関わりを持って発生した「師」観念について考察する。とくに道教の経典伝授の儀礼化の問題を、三教交渉史・宗教文化史の観点から考え、道教史の展開や六朝隋唐宗教文化史を理解することを目的とする。
著者
宇野 伸宏 蓮花 一己 倉内 文孝 中村 俊之 塩見 康博 山崎 浩気 吉井 稔雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は高齢者にとってのモビリティの確保を指向しつつ,同時に交通安全性の向上を進めるための基礎研究に相当し,次の3点の明確化を試みた.1)事故多発区間,交通コンフリクトの多発地点において,顕著な道路交通要因を事故データ,道路構造・線形データ,交通データを用いた統計分析より抽出した.2)事故リスクの高まる道路交通環境を想定し,安全な道路交通システムを構築する上で,ITSを利用した運転支援施策の正負両面の影響について,模擬走行実験を通じて明らかにした.3)公共交通不便地域における高齢者を中心とした交通行動,モビリティニーズを把握するとともに,交通事故危険認知についても調査を通じて把握した.
著者
竹安 邦夫 竹安 邦夫 KRISHNA Sanj MEAD John C. BAUMANN Otto FAMOROUGH Do 佐藤 雅彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

最近「各種オルガネラや生体膜の構築・機能分化に必ず膜ATPaseが関与していること」が世界的に確立されてきた。遺伝子クローニングにより、リン脂質フリッパーゼ、生体異物排出ポンプ、重金属イオンポンプ等の新しいタイプの膜ATPaseが無脊椎動物で次々と同定され、次いで脊椎動物においてもその存在が確認されだした。更に、これら膜ATPaseの発現・機能障害は、ヒトにおいては重篤な疾病の原因となることも判明した。本研究では、これら膜ATPaseの原点である無脊椎動物に焦点をあて、新しいタイプの膜ATPaseを探索し、それら膜ATPaseの機能・発現調節機構を分子・細胞レベルで解明することを目的とした。1.Baumann(ポツダム大学)との共同研究により、ショウジョウバエの光受容細胞(視細胞)におけるNa/K-ATPaseの局在・細胞骨格(例えば、スペクトリン、アンキリン等)との関連を共焦点レーザー顕微鏡、免疫電子顕微鏡等を用いて明らかにした(1999年度米国細胞生物学会において発表;Yasuhara et al.,Cell Tissue Res.,印刷中)。2.全P-型ATPaseを線虫(C.elegans)およびショウジョウバエ(D.melanogaster)においてクローニングし、C.elegansでは20種のαサブユニットと3種のβサブユニットが、D.melanogasterでは14種のαサブユニットと6種のβサブユニットが存在することを示し、それぞれの染色体上での位置を決定した(1999年度第9回Na/K-ATPase国際会議で発表;Yasuhara et al.,The Na/K-ATPase and related ATPases,Elsevier,印刷中)。3.上記で得たアミノ酸配列をもとに系統樹解析を行い、ウアバイン感受性とβサブユニットとの会合能を持たないNa/K-ATPaseとH/K-ATPaseとの共通祖先型ATPaseが存在することを明らかにした。また、これらのことから、ウアバイン感受性とβサブユニットとの会合能の起源が明らかとなった(Yasuhara et al.,投稿準備中)。Krishna(ロンドン大学)との共同研究により、マラリアにおいて全P-型ATPaseをクローニンングした。それらのアミノ酸配列に基づいて、新型ATPaseの系統関係を明らかにした(1999年度第9回Na/K-ATPase国際会議で発表予定;Krishna et al.,The Na/K-ATPase and related ATPase,Elsevier,印刷中)。
著者
松島 格也
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,自己の行動をあらかじめ自己規制すること(コミットメント)を表明し,その表明に束縛されることを明確にすることにより,他人が効用を獲得できる場合のコミットメントの経済価値に関する理論的な分析枠組みを開発するとともに,CMV調査による支払い意思額の計測における便益の2重計算(過小計算)の問題を回避iしうる支払い意思額の計測方法を提案した.まず,森林コモンズの考え方の整理及び便益計測のためのCVM調査の調査票設計を行った.過疎地域研究会の参加メンバーから専門的知識の提供を受けながらコモンズとしての中山間地域における森林の役割をとりまとめ,また国内外における人文地理学や林業経済学の分野で行われている森林のとらえ方を探るため資料収集を行った.日野川源流を守る会を結成して先進的な取り組みを行っている鳥取県日野郡日南町の町有林を対象とし,それに対する都市住民としては鳥取県米子市民を取り上げてその意識を探った.その後,CVM調査を実施して森林の便益を計測すると共に当該地域における水源税の導入可能性を探った.設計した調査票を用いて鳥取県米子市に住む住民を対象としたCVM調査を郵送により行い,日野川上流の日南町町有林に対する支払意思額の計測方法について検討した.このCVM調査の結果は森林の資産価値評価の算出根拠となるものである.さらに調査結果に基づいた森林の資産価値を用いて水源税の導入可能性について検討を行った.水源税の理論的根拠として上流域の住民が森林開発を放棄する(森林を保全する)ことを宣言し,下流域の住民がそのコミットメントに対して支払い意思額を有するというコミットメント価値が取り上げた.このような水源税を通じた上下流の住民間の所得移転を分析するために,1)住民間の戦略的な意見の表明行動,2)個人間の効用の相互作用による便益の2重計算,過小計算の問題を克服しうる支払い意思額の計測方法を開発した.