著者
松尾 尊兌
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.37-94, 1990-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
藤 定義
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

乱流輸送現象の基礎的な現象として乱流相対拡散を取り上げ、粒子対の相対距離の伸縮過程が、自己相似的な相関(持続性)を持つことを明らかにした。この伸縮過程を記述する確率密度分布関数に対する確率モデル(自己相似電信方程式)を作り、初期値問題を記述することができることを明らかにした。乱流揺らぎが支配的な系において、力学系的な視点から乱流の秩序形成や乱れ生成が理解できることを示した。
著者
柴山 守
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2005-05

平成14-16年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告書 課題番号:14380184 研究代表者:柴山守 (京都大学東南アジア研究所 教授)
著者
太田 純貴
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成22年度の主な研究業績は、フィールドワーク、口頭発表と論文、翻訳の三点である。フィールドワークは、採用一年次に予定していたナム・ジュン・パイクアートセンター(ソウル、韓国)での調査及び、メディアアートのフェスティヴァルである「メディアシティ・ソウル」(ソウル、韓国)、光州ビエンナーレ(光州、韓国)への参加である。ナム・ジュン・パイクアートセンターでは、メディアアート、ヴィデオアートの祖とされるパイクの作品の調査を行った。上記のフェスティヴァルに関してはメディアアート作品の分析及び、カタログなど文献資料の収集も合わせて行った。これらのフィールドワークの研究成果は、最先端の動向(作品と理論)の把握、芸術作品(主にパイク)の調査である。帰国後には京都大学でアウトリーチ活動として、これらの報告会を行った。口頭発表と論文では、ヴィデオアートと同時代の歴史的社会的文脈との関わりを分析した。具体的にはヴィデオアートとドラッグカルチャーとの関連性について議論を行った。特にLSDがもたらした感覚や意識の変容が、ヴィデオアートにおいても表象され、その際に生じるのが共感覚的な感性的体験ではないかということを、具体的にはリンダ・ベングリスの作品分析を通して、口頭発表および論文による理論的考察を行った。翻訳は、メディア考古学に関する英語論文と、英語で執筆された思想事典の項目のいくつかを担当した。前者は、書籍に収蔵されることが決定しており、日本では紹介の薄いメディア考古学という手法を導入するための端緒となる論文になると思われる。後者は、事典という性質上、哲学、美学など様々な理論的なアプローチを行うための基礎的な資料となることが考えられる。
著者
平岡 義範 西 英一郎
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2008

我々が作製したナルディライジン欠損マウス(NRDc-/-)は、寒冷環境下(4℃)での体温維持機構が破綻していた。寒冷環境下で適応熱産生を担っているのは、褐色脂肪組織(BAT)のミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP1)である。寒冷負荷後のNRDc-/-のBATでは、UCP1の発現上昇が認められなかった。一方、NRDc-/-において熱放散が亢進していることを明らかにし、NRDc-/-における体温恒常性の破綻が、適応熱産生および熱放散抑制両者の障害によることを明らかにすることができた。
著者
中島 皇 竹内 典之 酒井 徹朗 山中 典和 徳地 直子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

温帯のスギと広葉樹が混交する天然林において総合的な調査を開始した。森林の動態の解明を大きな目標として、森の動きと働きを明らかにするのがこの研究の目的である。今回は特に物質の動きに注目して、今後の研究の基礎固めを行った。12年間に3回の毎木調査を行ったことにより、集水域が約8haある天然林の大まかな動きが捉えられた。小径の広葉樹ではソヨゴ、リョウブの枯死が多く、ソヨゴは常緑であるため冬の積雪の影響を大きく受けて「幹裂け」の状態を示しているものが多く見られた。流出物調査では北米で報告されている量と同程度の値が観測され、渓流水質調査では過去の観測データと比較すると硝酸濃度の上昇傾向が見られるなど、新たな知見が得られた。他方で、いろいろなイベントが森の動きに大きく影響を及ぼしており、そのイベントが生じた直後でなければ、なかなか影響を顕著に見つけられないことも事実である。この点は流出水量・流出リター量・渓流水質においても同様で、イベント時の現象を詳細に捉え、解析することが、今後の大きな課題である。毎木(成長量・枯死量)、樹木位置図、流出水量、流出リター量、渓流水質などの調査はいずれも時間と労力を必要とするもので、多くの人の力が必要である。森林という人間などよりはるかに長寿命の生物と付き合うためには、長期的な戦略と長期的なデータに裏付けられた息の長い調査・研究が今後とも必要である。
著者
森本 裕子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

パニッシュメント(罰)は,「非協力的(不道徳的)な行為を行った相手」に対するものでなければならず,協力的な相手へのパニッシュメントは他者からの信頼を失う(Barclay,2006)。実験ゲーム状況においては,どのような行為を行った相手へのパニッシュメントかが参加者に明示され,これに基づいて行為が判断される。しかしながら,日常生活においては,必ずしもパニッシュメント対象者の行動履歴がはっきりしているとは限らない。そのような場合における他者からの評価を検討するため,以下の2つの研究を実施した。(1)自分以外の参加者のうち誰かが非協力的に(協力的に)ふるまったことだけがわかるが,その人物が誰かがわかりにくい状況(曖昧条件)を作り,その状況下でのサンクション行動を検討した。一般的信頼の高い群では曖昧条件でパニッシュメント行動が増え,一般的信頼の低い群では確実条件でリワード行動が減少するという結果が得られた。(2)Klein et al.(2009)は,ある行為によって形成された印象は長く記憶に残るが,印象形成の要因となった行為に関するエピソード記憶はあまり長く維持されないという結果を示している。このような印象-エピソード記憶の関係が,パニッシュメントにもあてはまるかを検討した。予測どおり,サンクション対象者が「悪い」あるいは「良い」人であることが事後的に明らかになった場合には,事前にそのような情報を得ていたときとは異なる評価が下された。これらの実験結果は,互いの行動履歴が必ずしも明確ではない日常的な関係においては,実験ゲーム状況とは異なる行動がとられていることを示唆する。
著者
森岡 邦泰
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2002-01-23

新制・論文博士
著者
五味 馨
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2010-03-23

新制・課程博士
著者
横尾 亮彦
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題の開始直後以降、阿蘇火山の活動が活発化し、湯だまりのない状態のまま2014年1月に火孔が開口し、11月25日からは、約20年ぶりとなる本格的な噴火活動が始まった。そのため、阿蘇火山の噴火活動推移に柔軟に対応しながら、高周波連続微動やモノトニック空振の発振源推定など、本研究課題の究極目標である水蒸気爆発現象の理解に資するいくつかの項目を実施し、一定の成果を得た。
著者
宮本 元 眞鍋 昇 宮川 恒 杉本 実紀 眞鍋 昇 九郎丸 正道 奥田 潔 木曾 康郎 宮本 元
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

人類が200年以上にわたって創り出してきた農薬、食品添加物等の多くの化合物が、生体の内分泌系のシグナル伝達を攪乱する内分泌攪乱物質として人類の生存を脅かすことが分かってきた。新規な原理に基づいた非侵襲的かつリアルタイムに生殖毒性を評価できる技術システムを構築し、従来法とは比較できない精度で速やかに生殖毒性を評価できる先端技術を確立することで、化合物の生殖毒性を的確に評価できる未来を開拓する基盤技術を開発することが本研究の目的である。本年度は、内分泌撹乱物質とホルモン受容体の結合様式、受容体分子の立体構造変化等を解析し、環境系に存在する様々な化合物の生殖毒性をリアルタイムに評価するシステムの確立を目指して研究を進めた。麻酔下の生きている動物をNMRシグナルを定量検出できる特殊な生体NMRプローブに保定し、胎児におけるNMRシグナルを部位特異的にリアルタイムに観測して、このデータをワークステーションにて3次元立体画像データに再構築して解析できる測定アプリケーションの作成と最適測定条件の決定を行った。毒性発現機構の生殖生理学的解明のため、遺伝子工学的にオーファン受容体に様々な構造変異を誘導し、化合物と受容体の相互的結合特性をNMRにて観測して分子構造学的に毒性を予測する技術を開発している。加えて、卵母細胞を包み込んで保育する卵胞は遺伝子に制御された細胞死によって選択されているが、これを調節している細胞死受容体のシグナルを制御している細胞内アポトーシス阻害因子(cFLIP)を新たに見いだし、これを介した細胞死シグナル伝達機構を解明し、分子レベルで化合物を評価する系を開発した。
著者
安田 豊
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1984-01-23

新制・論文博士
著者
田邊 玲子 トラウデン ディーター クラヴィッター アルネ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

この間「身体」が頻繁に議論されてきたが、非身体的なものの側面、とりわけ身体的なものと非身体的なものが交錯する領域が見逃されてきた。本研究は、ドイツ文学における身体と非身体との関連を研究した。キリスト教神学における身体と魂との関連、古代から現代の西欧哲学における模倣と身体存在についての言説、18世紀のヴィンケルマン、ヴィーラント、ゲーテ、そしてシルエットと影絵芝居の流行の美的内包について検討し、さらに、声、とくに1920年代の現代オペラにおける非主体化について考察した。本研究の成果は、身体的なものの不在といった、現代文化の特徴的な状況の解析に寄与するだろう。
著者
松下 孝昭
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2005-01-24

新制・論文博士
著者
松浦 健二
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では日米のヤマトシロアリ属8種およびイエシロアリから見つかったAthelia属の菌核菌に加え、西表島において高等シロアリのタカサゴシロアリの巣内から全く別系統のTrechispora属の菌核菌を発見し、菌核菌によるシロアリの卵擬態は少なくとも独立に2回進化したことを明らかにした。また、シロアリの卵保護行動に関わるフェロモンの分析から、卵の揮発物質が女王フェロモンと共通の物質であり、卵保護において重要な機能を果たすとともに、二次女王分化抑制の役割を果たしていることが明らかになった。
著者
青柳 富誌生 深井 朋樹
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

最近の生理学実験の結果から、神経ネットワークの発火の相関が視覚刺激の情報統合や注意の切り替え等の高次機能に重要な役割を果たしている可能性が示されている。本研究では、[1]神経ネットワークがどのように発火相関を制御するのか?[2]逆に、現時点で系統的な数理モデルの研究がほとんど無い、発火相関が神経ネットワークの機能を制御できるのか?という双方向の機構を理論的に検証し、最終的に両者の自律分散的な協調過程を通じて高度な機能が実現するメカニズムを探ることが目的である。現時点では、[1]に関して、大脳皮質に広く偏在している同種の抑制性ニューロン間のギャップ結合の存在意義について、多様な発火パターンの実現という観点から理論的に説明を試みた。結果として、抑制ニューロン間に通常の化学シナプス,結合とギャップ結合が共存することで、その結合強度比を生理学的に妥当な範囲で調整することにより、同期・非同期状態を多様に実現できることが解析により示された。[2]に関しては、例えば、カラム形成に重要な競合型神経回路網において、入力の発火タイミングの相関により機能を制御可能である点を理論的に示した。また、更に大脳皮質の回路構造を基礎に連想記憶モデルを構成し、想起パターンの切り替えが同期発火入力により制御可能である点を示した。これは、同期発火が神経活動の切り替わり(すなわち行動の切り替え等)の為のシグナルになり得る点を示した興味深い結果である。
著者
金子 守恵
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アフリカの人々による「ものをつくり・つかう方法(=技術)」が製作者と利用者のものと身体を介したコミュニケーションにより創造され続けていることをライフヒストリー法により描いた。個々の製作者が身体を介して試行錯誤し環境と独自の関わり方を見いだしていること、その視点を技術文化複合に加える重要性を提示した。個々人の技術的な差異に積極的な価値を付与していく事が内発的発展を展開する可能性につながると提起した。
著者
吉田 修 七里 泰正 奥野 博 寺井 章人 岡田 裕作 吉村 直樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

今回の疫学調査では1990年および1995年の尿路結石患者の年齢、性、部位、初発・再発別頻度と治療法別頻度につき調査表による集計を行った。1997年時点の日本泌尿器科学会専門医教育認定施設(1,197施設)に調査を依頼し、1995年調査では439施設より計85,239例の情報が集積された。初発上部尿路結石症の年間罹患率(10万対)は1965年の43.7から1995年には80.9へと大幅に増加した。1980年日本人口を基準に年齢調整した年間罹患率は1965年54.2、1995年68.9であった。1965年時点の年齢階級別人口をコホートとみなした年間罹患率の経時的変化では、若い世代ほど年間罹患率の増加は著明であった。また、1965年全人口(9830万人)をコホートとみなすと、1965年43.7、1975年64.0、1985年88.9、1995年110.9と顕著な増加を示した。これらの結果から、近い将来も日本人全体での年間罹患率の増加傾向は継続すると推察された。治療法別では、86〜87%がESWL単独で、またPNL、TULおよびESWLとの併用療法も含めると97〜98%がendourologyで治療されており、従来の開放手術は3%以下に激減した。ESWL装置の全国設置台数は1990年258台、1995年528台であった。上部尿路結石症の推計患者数(1990年115,500例、1995年147,700例)からみて、ESWL治療患者数は1990年44,000例、1995年57,800例と推計され、ESWL装置1台あたりの治療症例数にすると1990年の171例から1995年には109例と減少していた。このことから、わが国のESWL装置は既に飽和状態に達していると考えられる。