著者
東辻 久子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Affinity-tagged substrate(Gankyrin)とNEDD8、E1、E2、E3をRosetta cells中でpolycistronicにco-expressすると、in vitro gankyrin neddylation assayと同様にガンキリンはNEDD8修飾をうけた。Gankyrin mononeddylationはp53やpRBのpolyubiquitylation、26S proteasomeでの分解を促進した。S6 ATPaseはこれらをさらに亢進し、C-terminal S6 ATPase mutantは抑制した。
著者
前川 晃一
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2012-11-26

新制・課程博士
著者
渡辺 信三 吉田 伸生 国府 寛司 重川 一郎 西田 孝明 池部 晃生
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

確率解析をWiener空間上の解析学、特にMalliavin解析の方法を用いて研究した。Malliavin解析においては、Wiener汎関数のなすSobolev空間が導入され、その枠組でWiener空間上におけるSchwartg超関数の類似物であるW´iener超汎関数も定義される。このWiener超汎関数には、Donskerのデルタ関数をその代表とする正の超汎関数があり、これにはWiener空間上のエネルギー有限の測度が対応している。さらにこの概念に対応してWiener空間上に(r,P)-容量(capacity)の概念が定義され、Wiener空間上、Wiener測度に関し“ほとんどいたるところ"なりたつ諸性質を“quosi every where"でなりたつ性質に精密化できる。こうした方法は、Malliavin解析に関連して“quasi-sure analysis"と呼ばれ、確率解析において最近大きな注目をあつめている。このquasi-sure analysisにおける一つの研究成果として、(r,p)-容量に関する大偏差の原理が、Wiener測度に関するSchilderの定理と同じ形で成り立つことが示された。これを用いると、例えば、Strassen型の重複対数の法則を、almost everywhereの概念をquasi-sureの意味に精密した形で示すことが出来る。Donskerのデルタ関数が、どういう可積分および可微分指数のSobolev-空間に属するかについて、補間理論を用いて詳細に研究した。このことの応用として、Wiener空間上のある種の條件つき平均についてそのregnlarityがHolder連続性の言葉を用いて論ずることが出来た。さらにWiener空間におけるSobolev空間の概念を、より一般の可分な距離空間上で対称Markov半群が与えられた場合に一般化することが出来、またWiener空間上に限っても基礎になるOrnstein-Uhlenbeck作用素を一般化することによって一般化出来た。これらの一般化Sobolev空間は量子物理学に有効な応用をもつものと期待される。
著者
安川 由貴子
出版者
京都大学
雑誌
京都大学生涯教育学・図書館情報学研究 (ISSN:13471562)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.91-102, 2006-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
杉山 淳司 今井 友也
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

セルロース合成酵素がセルロースを合成する仕組みは、実はあまり解明されていない。そこでセルロース合成酵素・合成活性を直接解析するために必要な下記3点の実験基盤を構築した:(1)セルロース合成酵素複合体の大腸菌発現系の構築、(2)試験管内および大腸菌内c-di-GMP合成系の構築、(3)試験管内セルロース合成活性の速度論的解析。いずれの実験材料・実験系もセルロース合成酵素そのものの解析を進める上で大変重要なものである(特に(1)は今まで報告のない貴重な研究資源である)。以上から、今後のセルロース生合成研究を飛躍的に進展させるための研究基盤を整備した。
著者
高林 純示 松井 健二 松田 一彦 佐藤 雅 松村 正哉 五味 剣二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究では(1)植物の香りの生合成経路であるフィトオキシリピン経路の間接防衛に果たす役割の全体像の解明とその応用の研究から、みどりの香りの生態機能に関する多くの新知見を得た。とくに除虫菊の研究から新たな植物防衛の機構が明らかになった。また(2)植物の揮発性物質が生態系の生物間相互作用ネットワークに及ぼす影響の解明とその応用に関する研究では、相互作用・情報ネットワークの概念を確立するとともに、揮発性物質の利活用による害虫防除法を発見した。
著者
姜 ナウン
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009-03-23

近年,ウェブページが爆発的に増加しており,我々は検索エンジンを用いることにより多種多様な情報を得ることができる.しかし,ウェブページの約40%が類似ページといわれており,検索結果に類似ページが含まれるという問題がある.本研究では1 億ページという大規模なウェブコレクションを対象として,類似ページ検出を行なう.本研究では類似ページを,文字列をある程度共有する2つのページと定義し,ミラーページなどの同一ページ,引用ページ,盗作ページなどが含まれる.本手法はまず,各ページから長い低頻度の文を抽出する.これは,文長が長く,また,ウェブ全体での頻度が低い文を2 ページで共有すればこれらのページは関連性が高いといえるためである.また,各ページにおいてコンテンツ領域を抽出し,コンテンツ領域にある文のみを類似ページ検出の手がかりとする.これは非コンテンツ領域にある文を共有しても2 つのページに関連性が低いからである.以上の処理によって得られた文を共有するページペアを類似ページとみなす.次に,類似ページを同一ページ,引用ページ,盗作ページなどに自動分類する.分類は,ページに対する類似文字列の割合である重複率,インリンク/アウトリンクの有無,URLの類似度などの様々な情報を用いて行なう.類似ページ検出の実験を行なったところ,単純なURLの正規化ではわからないミラーページや,引用ページ,様々なサイトから記事をはりあわせたようなスパムページを発見することができた.
著者
島田 周平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アフリカ各地で起きている地域紛争は、地域の歴史や文化を反映した特殊性を持っている。しかしそれらは、最近のグローバルな経済社会変動の中で起きているという同時代性も持っている。アフリカ諸国の多くは、1980年代に、債務問題から脱却するために構造調整計画を実施した。ベルリンの壁崩壊は、西側諸国のアフリカ地域に対する関心を低下させたものの、アフリカの政治的民主化を推し進める効果をもっていた。そして2001年9月11日以降の対テロ戦争は、アフリカ諸国に一層の民主化と市場自由化を迫った。本研究で私は、ニジェール・デルタ地域の歴史と最新の地域紛争の実情に関する研究を行った。その結果、長期に及ぶ政府による無視や圧政がこの地域の人々、とりわけ若者達に絶望的感情を抱かせてきた経緯が明らかになった。また、日常生活を破壊された農漁民は、脆弱性を増大し、そのことが一層多国籍企業や政府に対する反撥を強めてきたことも明らかとなった。そして、人々の不満のはけ口は、地元の伝統的権威や政治家にも向けられるようになってきた。伝統的権威や政治家は、人々の苦しみを和らげるために仲介者としての役割を期待されたがうまく機能しなかった。時あたかも、シエラレオーネ、リベリア、コートジボワールで内戦が終熄し、西アフリカで大量の武器が流通する事態が生じ、これが紛争をより過激なものとした。以上の結果は、ニジェール・デルタで頻発する「新しい紛争」が、地域的要因とグローバルな要因との相互作用や相乗作用の結果起きてきていることを示している。2009年に開始された(停戦のための)恩赦政策の成否も、このような地域的および国際的要因の両方から判断する必要があると思われる。
著者
岡内 一樹
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究全体の目的は、第二次世界大戦後の西ドイツ・ルール地方における環境意識の変容を、一次資料の分析によって明らかにすることである。本年度は、1960年代後半から80年代前半までの時期の森林行政・自然保護行政関連文書を、主な分析対象とした。分析の結果として、散策・保養地としての森林に対するルール地方住民の関心が、1960年代にとりわけ高まったことを明らかにした。この動向は、モータリゼーションの進展と週5日労働制(週休2日制)の普及によって、市民が手軽な移動手段と多くの余暇時間を手に入れたことを背景としていた。これを受けて、ルール地方を含む州であるノルトライン=ヴェストファーレン州では1969年に森林法が改正され、第三者の私有林に散策・保養目的で立ち入ることが法的に認められるに至った。同法は、これに続いて制定ないし改正された他州の森林法、さらには1975年に制定された西ドイツ森林法にも、少なからず影響を与えた。この分析結果の学術的な意義は、先行研究とはやや異なる歴史解釈を提示できたことにある。1960年代末から70年代にかけての西ドイツにおける様々な環境立法の整備については、同時期の国際的な環境保護運動の高まりを受けた動向と解釈されるのが、通例であった。この時期の環境保護運動は、自然環境を人間社会の発展によって失われていく存在と捉え、前者を後者から隔絶して「保護」することを重視する傾向にあった。しかしながら森林法の整備においては、それに先立つ60年代からの、市民の散策・保養地として森林を「利用」するという議論が、契機となっていたのである。また、このようなドイツにおける歴史的経緯を明らかにしたことは、狭義の林業(木材生産)という論点に縛られがちな、現代の日本における森林関連諸法をめぐる議論を再考するにあたっても、重要な視座をもたらしうると考えられる。
著者
田窪 行則 有田 節子 今仁 生美 郡司 隆男 松井 理直 坂原 茂 三藤 博 山 祐嗣 金水 敏 宝島 格
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

日本語共通語、韓国語、英語、琉球語宮古方言のデータにもとづいて、日常言語の推論にかかわるモデルを構築し、証拠推論の性質、アブダクションによる推論と証拠推論との関係を明らかにした。時制、空間表現、擬似用法と推論の関係を明らかにした。関連性理論を用いた推論モデルの構築に関して推論の確率的な性質について研究を行い、一般的な条件文と反事実条件文の信念強度を共通の計算によって扱える計算装置を提案した。
著者
落合 恵美子 伊藤 公雄 岩井 八郎 押川 文子 太郎丸 博 大和 礼子 安里 和晃 上野 加代子 青山 薫 姫岡 とし子 川野 英二 ポンサピタックサンティ ピヤ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

アジアの家族は多様であり、東アジアと東南アジアの違いというような地理的違いにも還元し尽くせないことが、統計的に明らかになった。一枚岩の「アジアの家族主義」の伝統も現実も存在しない。しかし圧縮近代という共通の条件により、国家よりも市場の役割の大きい福祉レジームが形成され、そのもとでは家族の経済負担は大きく、移民家事労働者の雇用と労働市場の性質によりジェンダーが固定され、近代的規範の再強化も見られる。
著者
天野 殖 笹原 正清
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

遺伝性てんかんミュタントラット(IGRER)の海馬体には神経細胞の微少形成異常が認められる。この神経細胞の微少形成異常の発現機序を解明することはこの遺伝性てんかんラットにおけるてんかん発作の原因に直接的に迫るものである。本研究はIGER海馬に見られる微少神経形成異常の病理形態学的異常の詳細を明らかにし(実験1)、次いでBrdUを神経細胞の分裂・移動のトレーサーとして用い以下の事を明らかにしようとするものである。(1)海馬錐体細胞が胎生期においていつ分裂し、どのようなルートをたどり目的部位へ移動するか(実験2)。分裂、移動の障害があるかどうか、またあるとすればそれはどのようなものであるか(実験3)。結果並びに考察:第1の実験によりIGER海馬体には錐体細胞の配列の乱れ、層構造の途絶並びにSt.rad領域の異常神経細胞集簇よりなる微少神経形成異常が認められた。形成異常は2ヶ月齢の動物に雌雄の差無く常に認められ、常染色体遺伝形式を示すことが明らかとなった。遺伝的に決定された形成異常であり、胎生期に発現する遺伝子異常があると考えられるた。第2の実験によりてんかんラットの微小形成異常を構成している神経細胞の主体は胎齢16,17日に分裂するものであった。移動のルートには特に異常を認めなかった。第3の実験によりIGERでは海馬原基で分裂した細胞は中間帯に移動した後,長く同部に止まることが明らかとなり、この中間帯での停滞による移動遅延が結果的には移動の障害を招き微小形成異常の病理発生に関与していることが類推された。
著者
岡 昌吾 川崎 ナナ 竹松 弘 森瀬 譲二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

近年、脳の高次機能に糖鎖が深く関わることが次々に示され、神経系における糖鎖研究の重要性が増している。本研究では神経可塑性の調節に重要な役割を持つHNK-1糖鎖、およびシナプス可塑性調節に中心的な役割を担うAMPA受容体に発現するN型糖鎖を中心に解析を行った。その結果、AMPA受容体上のN型糖鎖が、その細胞表面発現量、細胞表面上での側方拡散の調節などに関わることを明らかにした。また、ペリニューロナルネット上に存在する新規HNK-1糖鎖を同定し、神経可塑性調節に重要なコンドロイチン硫酸鎖の合成を制御していることを明らかにした。
著者
安田 誠宏
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

気象研究所の超高解像度全球気候モデルGCMの2次元気象場データを用いて、直接高潮シミュレーションをした。熱帯低気圧の存在期間の海面気圧および海上風を駆動力として与えた。高潮計算に用いた台風は北西太平洋領域を通過したものとした。台風ごとの最大高潮偏差の計算結果を極大値資料とし、極値統計解析を行った。将来気候下における100年に1度の高潮が現在気候に比べて増大すること、台風強度変化によって一様に増大するのではなく、エリア依存性があることを明らかにした。さらに、高潮モデル自体が内包する不確実性を減らすのに必要な要件を整理することができた。
著者
伊熊 直彦
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2006-03-23

新制・課程博士
著者
播磨 有希子
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

プロニューラル遺伝子Mash1は、細胞周期を活性化して細胞増殖を亢進させるとともに、細胞周期を止めてニューロン分化を促進するが、このような同一因子が相反する機能を発揮する分子機構に関して未だ不明の点が多い。現在、我々の研究室ではオプトジェネティクス(光遺伝学)の技術を応用して遺伝子の振動発現を光刺激により自在にコントロールする系を樹立した。これは外部から光刺激を与えることによって目的遺伝子のプロモーター活性のON/OFFをコントロールするという新規の方法である。この技術を用いて培養神経幹細胞や脳スライスサンプルにMash1遺伝子の振動発現を誘導させたところ神経幹細胞が増殖し、持続発現を誘導させたところ神経分化が亢進した。以上の実験から、Mash1の発現が振動するか、非振動状態になるかという発現動態の違いでその機能も異なることが明らかになった。現在は、Mash1の発現を可視化するために作製したレポーターマウスを用い、胎児脳や成体脳のスライス培養におけるMash1タンパク質の発現動態解析を独自のリアルタイムイメージング技術に基づき行っている。さらに、神経幹細胞の特定の周期を蛍光タンパク質で標識できる遺伝子改変マウス、Fucciマウスを用いて胎児脳と成体脳の神経幹細胞の発現遺伝子の違いをG1期に注目して解析する予定である。特に、Mash1の標的遺伝子に着目して解析を行う。これらの解析により得られた結果を基にして、最終的にはオプトジェネティクス技術を用いて休眠状態の成体脳神経幹細胞に、振動発現を人為的に誘導したときに変化が起こるかどうかを解析する。これらの研究を基に、遺伝子発現のダイナミックな変動に着目した神経幹細胞の制御機構の基盤原理の解明と再生医療への応用を目指す。