- 著者
-
福田 靖子
中田 徳美
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.12, pp.786-791, 1999-12-15 (Released:2009-05-26)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
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2
スライスアーモンドとゴマ種子の焙煎条件(温度と時間)が抗酸化性に及ぼす影響について4種の抗酸化試験を用いて評価し,以下の結果をえた.(1) 白洗いゴマ,スライスアーモンドの加熱温度はゴマは170℃,185℃,200℃,アーモンドは155℃,170℃,185℃(各加熱温度±1℃)で,時間は30分とした.これら2種の試料を6種の溶媒条件(ヘキサン,ヘキサン-酢酸エチル7:3,酢酸エチル,酢酸エチル-メタノール7:3,メタノール,水)で非極性溶媒から順次抽出した.アーモンド,ゴマ種子とも焙煎温度による6種の溶媒抽出量に大きな差は認められなかった.(2) 酢酸エチル-メタノール,メタノール抽出区分は両試料とも,著しく着色していた.この着色度を420nmの吸光度で測定した結果,どちらの試料も加熱温度が高くなるほど,着色度も高くなった.(3) 着色度の高かった酢酸エチル-メタノール,メタノール区分について抗酸化性を調べた結果,ロダン鉄法では両試料とも,焙煎温度が高くなるほど,リノール酸からの過酸化脂質生成を抑制していた.特に,200℃焙煎ゴマ種子の抽出物の活性は約1/2量のBHAに相当する活性を示した.DPPHラジカル消去能では,同様に両試料とも焙煎温度が高くなるほど消去能が高く,酢酸エチル-メタノール区分が顕著に消去していた。スーパーオキシドラジカルの消去能でも両試料とも高温焙煎で高く,ゴマの酢酸エチル-メタノール区分の消去率は200℃焙煎で,75.00%であった.リノール酸から生じる細胞毒性の高いHNEの生成抑制作用ではリノール酸のみが1450nmol/mlに比べ,ゴマの185℃,200℃焙煎の酢酸エチル-メタノール区分はそれぞれ300nmol/ml,250nmol/mlであり,著しくHNE生成を抑制していた.