著者
小谷 俊一 甲斐 司光 成島 雅博 伊藤 裕一 大村 政治
出版者
医学書院
雑誌
臨床泌尿器科 (ISSN:03852393)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.943-948, 1993-11-20

射精障害例に対し1)硫酸ネオスチグミンのクモ膜下注入法:33名(脊髄損傷30名,その他3名),2)試作電極(双極電極)による電気射精:25名(脊髄損傷21名,その他4名),3) Seager型手持ち式直腸プローベによる電気射精:10名(脊髄損傷9名,その他1名)の人工射精法を施行した。 この結果,順行性射精による射出精液量や精子運動率の面からは硫酸ネオスチグミンのクモ膜下注入法が最も優れていたが,副作用(頭痛,嘔気,嘔吐,血圧上昇など)の強い例が多かった(45%)。これに対し電気射精法は副作用が軽度で安全性の面で優れていた。なお電気射精法の中では,短時間で効率的に精液が得られる点から,Seager型手持ち式直腸プローベが有用と考えられた。
著者
Milan Zaviačič Tomas Zaviačič Ablin Richard 伊藤 喜久
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.1015-1018, 2003-09-15

1.女性前立腺 女性前立腺は17世紀のオランダ人組織学者Graafにより命名されたが,一般的には19世紀のアメリカ人産婦人科医SkeneにちなんでSkene's paraurethral glandと呼ばれることが多い1,2).筆者らは一貫して女性前立腺の呼称を提唱してきた.この努力が実り,2001年解剖学用語に関する合衆国国際委員会(The Federative International Committee on the Anatomical Terminology;FICAT)が開催され,今後組織学用語集に女性前立腺(prostata feminina)を掲載することに合意に至った. 発生学的には男性同様,尿生殖洞から分化する.スロバキア女性の前立腺の平均重量は5.2g,尿道平滑筋層内に存在して,全周に渡って広く尿道を取り囲む.構造も男性と変わりなく腺上皮,導管上皮からなり,多くの導管が尿道に開口し70%以上は遠位尿道,特に尿道開口部に集中局在している(図1)3).Peroxidase antiperoxidase法(PAP),Biotin -streptoavidin peroxidase法(BSP),Biotin -streptoavidin -alkaline phosphatase法(BASP)いずれの免疫組織染色においても,PSAは表層分泌上皮細胞胞体に濃染され(図2),さらに分泌細胞,基底細胞,導管細胞表面にも局在が認められる.特に表層からは多くのPAS陽性ジアスターゼ抵抗性成分,さらにプロテイン1,前立腺特異的酸性ホスファターゼ,水解酵素,脱水素酵素などを分泌,局所炎症制御,免疫に機能すると推定される4,5).今後,標準化による表示値の統一に問題は残すが,高感度測定法により,健常者女性血清において,最高値は0.9ng/mlにも及ぶことが明らかにされている6).これは男性の基準範囲に近似し,女性においても血中PSAは主に女性前立腺由来と推定される.これまでの光顕,電顕所見,局所産生分泌成分,あるいは前立腺癌,前立腺肥大,前立腺炎など病理組織像を総合すると,女性前立腺は単なる痕跡組織ではなく内分泌,神経内分泌機能をつかさどる泌尿生殖組織と断言できる7~11).
著者
岩波 久威 小鷹 昌明 平田 幸一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.169-171, 2007-02-01

はじめに 脳梗塞の原因の1つとして脳動脈解離は重要であり,近年MRI画像の発達により診断される症例が増加している1)。スポーツや激しい咳,転落や自動車事故,ヨガ,トランポリン,アーチェリー,カイロプラクティスなどの外傷に伴う急激な頭部の後屈や回旋によって誘発される椎骨動脈解離は,頭蓋外に発生する場合が多い。一方,特発性の場合には頭蓋内が多い2)。 5年間指圧マッサージを受けていた症例において,指圧中に突然の頭痛とめまいで小脳梗塞を発症し,three-dimensional computed tomographic angiography(3D-CTA)の所見から頭蓋内椎骨動脈解離と診断した。軽微な圧迫においても,繰り返されることにより誘発される頭蓋内動脈解離の危険性を強調したいので報告する。
著者
熊倉 陽介
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.533-540, 2019-05-15

抄録 居場所ということばには心理的な意味合いが含まれており,自らのアイデンティティが確かめられる環境のことを意味する。居場所のなさはメンタルヘルスに大きな影響を与える。本稿では,ホームレス支援を居場所の臨床と位置付け,その新しい支援の方策であるハウジングファーストについて紹介する。ハウジングファーストは,「まず安定した住まいを確保した上で,本人のニーズに応じて支援を行う」という非常にシンプルな考え方であり,その根幹は「住まいと支援の分離(独立)」にある。治療を受けることや回復することなどの条件を求めず,居場所としての住まいを提供するという支援のあり方を考えることを通して,居場所について考察する。
著者
牧 美充 髙嶋 博
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1131-1141, 2017-10-01

多くの橋本脳症の患者がgive-way weaknessや解剖学的には説明しづらい異常感覚を呈していることをわれわれは見出した。それらは身体表現性障害(いわゆるヒステリー)で特徴的とされる身体症状に類似しており,脳梗塞のような局所的な障害で引き起こされる症状とは切り離されて考えられてきた。そのような神経症候が出現するためには,びまん性,多巣性に濃淡を持った微小病変を蓄積させることができる自己免疫性脳症のような病態を想定する必要がある。このような考え方で,われわれは「びまん性脳障害による神経症候」という新しい診断概念に到達し,実臨床では多くの患者を見出している。今回,抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体関連脳症,子宮頸がんワクチン接種後に発生した脳症,またはスティッフ・パーソン症候群でも同様の症候がみられることを報告する。自己免疫性脳症の臨床では,抗体の存在だけでなく,自己免疫性脳症による「びまん性脳障害」という概念が重要であり,この新しい診断概念を用いることで診断が困難な自己免疫性脳症の軽症例であっても容易に診断が可能となる。
著者
堀 成美 松本 加代
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.170-173, 2021-02-01

本連載で先に紹介した2つの事例では,地域の医療機関がどのように新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)に備えたか,また専門家が不在の中でどのようにクラスター対応をしたのかを紹介した.連載第5・6回は,新型コロナの医療の特徴である,保健所を介在した調整とその連携について紹介する.新型コロナ診療が他の感染症の診療と大きく異なる点は,確定診断となった患者の入院調整に保健所が関わることである.結核やHIV感染症の場合,診断した医師がそのまま自分の施設で診るか,近隣の専門医療機関に紹介する.その場合,どのような現場・経緯の症例なのかは,医師同士で連絡を取り合い,事務的なことは医療連携部門のスタッフが調整するため,患者情報を得るのはそれほど難しいことではない.一方,新型コロナでは,発生届が保健所に送られ(FAXまたはHER-SYS),その後,保健所の職員が電話で患者に連絡し,体調の確認,行動歴の確認と濃厚接触者の把握をしながら,入院調整を行う.件数が少なく,地域の受け入れ医療機関のベッドに余裕があればそう難しいことではないが,急性呼吸器感染症は広がりやすく,無症状者や軽症者を含めて規模の大きな症例群への対応が必要になるのが特徴であり,「稀な少数の症例対応」モデルはすぐに破綻する.重症以外は自宅療養を基本とする国も多い中,日本は当初,「全例」入院対応だった.その後,報告事例が増加し,軽症者がベッドを埋めて新規症例の入院調整が困難になる中,軽症者や回復者は一定条件の下,自宅療養やホテルなどの宿泊施設での療養が選択できるようになった.さらに2020年10月24日からは,年齢(65歳以上),基礎疾患などにより優先的に入院する人たちと,無症状・軽症者を初期に整理して準備した病床が軽症者で埋まらないようにするための運用の変更が行われ,地域事情に合わせて調整できるよう,自治体の判断が尊重されている.連載第5・6回では,筆者がアドバイザーとして支援している東京都港区の経験から,医療機関と患者の間で調整している保健所の取り組み・課題を紹介する.
著者
高井 信朗
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.109-110, 2012-02-25

「ムンテラ」という言葉を今でも医療現場で耳にすることがある.しかし,比較的若い医師にその語源と意味について聞いてみると,曖昧な答えしか返ってこない.そもそもムンテラの語源は,ドイツ語のムントテラピ―“Mundtherapie”に由来する.ムンはムントの略で口を,テラはテラピーの略で治療のことだ.つまり,病状や病気について,患者やその家族に話術を用いて説明する医療行為で,そのまま訳せば「口の治療」,すなわち,言いくるめる,といった意味合いから来ているので,ところによってはこの用語の使用を禁じている病院もある.しかし,欧米では,このような行為に対して,「Patient Education」という表現を用いることが多い.すなわち,疾患の診断や治療の基礎知識,そして患者の現状,治療の詳細をわかりやすく説明し,知識を与えるといった一方向的な意味合いであって,言いくるめるといった意味合いは全く含まない. 一方,インフォームド・コンセントは「納得診療」や「説明と同意」と言い換えられることも多い.「ムンテラ」や「Patient Education」と違って,医師と患者あるいは家族との関係は対等であり,従来の医師の権威(パターナリズム)に基づいた医療ではなく,患者の選択権・自由意志を最大限尊重するという理念に基づいている.「consent」とは,双方の意見の一致・コンセンサスという意味であり,必ずしも提案された治療方針を患者が受け入れるということではない.しかし,十分に時間をかけて説明した後に「難しいことはわかりませんから(あるいは,先生を信用していますから),全部お任せします」という言葉が返ってくることも多く,現実と乖離している点もある.そして,インフォームド・コンセントがまるで署名をする前の儀式のようにさえ映ることもある.
著者
小松 浩子
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.175, 2018-04-15

本書の発刊を知り,すぐに頭に浮かんだ言葉は,「待っていました!」です。すでに,研究室の本棚には多変量解析に関するテキストブックが複数並んでいますが,どれもきれいなままで,複雑な数式やピンと来ない例題にギブアップした形跡があります。本書は看護研究を学ぶものにとって,かゆいところに手の届く格好のテキストブックといえます。私のお気に入りの点を挙げながら,特徴を紹介します。 第1は,看護研究のもどかしさを紐解く統計手法を,わかりやすく解説している点です。統計学のイロハといえるデータ,変数,仮説,分布といった統計学の基本的知識を,看護研究の観点からわかりやすく積み上げ式で学べます。長年,看護学生や看護研究者に統計学を教えている著者だからこその解説,例示が満載です。難しい統計学が「わかった!」となっていくので,どんどん読み進めることができます。
著者
中西 好子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.224-231, 2018-03-15

はじめに 1994(平成6)年の地域保健法の施行後,市・特別区の保健所は設置数,組織体制,業務内容などの面で大きく変貌してきた.都道府県,政令指定都市,特別区の保健所は同法の施行から統合が進み,大幅に減少している,一方,中核市保健所は,中核市制度の発足と,その設置基準の緩和による中核市の増加に伴い,増加している. 市・特別区の保健所は,自治体ごとに組織は多様であるが,①保健所固有の感染症業務,②食品,医事薬事などの生活衛生関連業務,③市町村業務である保健サービスの母子保健や予防接種,特定保健指導,高齢者保健対策,健康づくり対策などを同一の自治体内で実施できることと,福祉や教育などの市の部局と連携して上記への対策ができることが大きな強みとなっている.広域的ないし重大な感染症や食中毒などの健康危機の発生時には,国や県との綿密な連携が必要である. 保健所の全体数は,ピーク時の1991(平成3)年度の852カ所から2017(平成29)年度の418カ所となり,ほぼ半減した(表1)1).特に県型保健所の多くが二次医療圏ごとに1カ所に集約され,政令指定都市および特別区の保健所も統合によって大きく減少している. 1989(平成元)年当時,10の政令指定都市では行政区に1つずつ保健所があったが,その後,福岡市と名古屋市を除いて1市・1保健所となった.1997(平成9)年度に札幌市で9→1,広島市で8→1,北九州市で7→1となり,1998(平成10)年度には神戸市で9→1に,2000(平成12)年度には大阪市で24→1カ所に順次統合された. 人口が360万人を超える横浜市も,2007(平成19)年度に,それまで18あった保健所が1カ所となった.2010(平成22)年度には京都市で11→1に,2015(平成27)年度には仙台市で5→1に,2016(平成28)年度には川崎市で7→1カ所に統合された.1992(平成4)年度に政令指定都市に移行した千葉市を皮切りにして政令指定都市に移行した市は1市・1保健所体制である. 現在,政令指定都市で複数の保健所を設置しているのは,福岡市の7カ所,名古屋市の16カ所である.東京都の特別区は,地域保健法の施行前から荒川区と渋谷区が1カ所であったのを除き,各特別区に戦前の行政区ごとに2〜4カ所の保健所があったが,1997(平成9)〜2002(同14)年度に順次,1区・1保健所に集約され,元の保健所は保健センター(福祉部門や子育て部門との統合が行われるなど,機能がさまざまで,名称も保健相談所,健康福祉センター,保健福祉センター,健康サポートセンターなどがある)となった. 一方,中核市制度が1995(平成7)年に発足し,また,その法定人口が30万以上から20万人以上とされるなど,その設置基準が緩和されたため,保健所の設置市は増加してきた.その他の政令市の設置保健所は中核市への移行で減少している.
著者
井川 美智子 中山 奈々美 前田 史篤 田淵 昭雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1251-1255, 2006-07-15

要約 目的:縦書きと横書きの文章を読むときの眼球運動の比較。対象と方法:19~23歳の健康人19名を対象とした。読書時の眼球運動は赤外線眼鏡型眼球運動記録装置で記録し,自覚的な読みやすさを聴取した。読書材料として,1辺が3.5mmの明朝体の文字を,A4用紙に1行45文字,15行で縦または横に印刷したものを使った。結果:眼球運動波形は,縦書きと横書きともに視線移動(saccade)と固視からなる階段状波形を示した。視線移動の速度は横書きのほうが速く,固視回数は縦書きのほうが有意に多かった。自覚的には横書きのほうが読みやすいという回答が多かった。結論:縦読みでは固視回数が多くなり,視線移動速度が遅くなることが読みやすさに影響していると解釈される。
著者
中富 康仁 倉恒 弘彦 渡辺 恭良
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.19-25, 2018-01-01

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は,慢性で深刻な原因不明の疲労,認知機能障害や,慢性的で広範な疼痛を特徴とする疾患である。われわれは世界で初めてME/CFS患者における脳内神経炎症をポジトロンエミッション断層撮影(PET)によって明らかにした。神経炎症は患者の広範な脳領域に存在し,神経心理学的症状の重症度と関連していた。現在,診断法および治療の開発につなげる研究がスタートしている。
著者
近藤 廉治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.419-423, 1964-06-15

I.おじろく,おばさ制度 耕地面積の少ない山村では農地の零細化を防ぐために奇妙な家族制度を作つた所があつた。長野県下伊那郡天竜村(飯田の近く)では16-17世紀ごろから長兄だけが結婚して社会生活を営なむが他の同胞は他家に養子になつたり嫁いだりしない限り結婚も許されず,世間との交際も禁じられ,一生涯戸主のために無報酬で働かされ,男は「おじろく」,女は「おばさ」と呼ばれた。家庭内の地位は戸主の妻子以下で,宗門別帳や戸籍簿には「厄介」と書き込まれていた。かかる人間は家族内でも部落内でも文字通りの疎外者で,交際もなく,村祭りにも出ることもなかつた。明治5年には人口2,000人の村に190人の疎外者がいた。昭和35年には男2,女1となつて今や絶滅に瀕しているが,このような社会からの疎外者はどんな人間になつているかを検する機会を得た。
著者
橋本 一径
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.154-159, 2015-10-15

「動物は病気にならない」 病気になるのは人間だけで、動物、とりわけ野生動物は、めったに病気になどならないし、なったとしても自然に治る。このように述べるのは、フランス革命期から19世紀初頭にかけて活躍した医師であり博物学者のジュリアン=ジョゼフ・ヴィレー(Julien-Joseph Virey, 1775-1846)である。「動物は(…中略…)野生状態では通常は病気にならないⅰ」。1801年に2巻本の大著として刊行され、1824年にさらなる増補版の出された主著『人類の自然史』においてこう記すヴィレーは、動物に比べて人間があまりにも多くの病気に脅かされていることを嘆く。「なんと多くの病を人間は持ち合わせていることか、自分では引き受けきれないほどにⅱ!」。動物が病気にならないというのなら、獣医の商売は上がったりのようにも思われるが、もちろんヴィレーとて、当時すでに大学で講じられる立派な学問として成立していた獣医学の存在を知らなかったわけではあるまい。獣医学がもっぱらその対象としてきた、豚や羊や馬などの家畜動物が病気になることは、ヴィレーも認めているからである。 ヴィレー曰く、彼らが病気になるのは、「自然の秩序から遠ざかってⅲ」しまったから、つまり人間に近づいてしまったからだ。それでも人間に比べれば彼らの病気など取るに足らないものである。世界のあらゆる生き物のなかで、人間が「もっとも病弱な動物ⅳ」であることは、ヴィレーにとって自明のことであった。病気とは、自然を離れて文明化した人間だけに襲いかかる災難であり、言ってみれば“持てる者の悩み”なのだ。
著者
夏賀 健 阿部 理一郎 浜坂 明日香 猪熊 大輔 横田 浩一 清水 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.582-584, 2006-06-01

38歳,男性.初診の3か月前に軽度の発熱を伴う感冒様症状が出現し,その10日後から両手爪部および爪周囲に膿疱を伴う紅斑が出現した.Hallopeau稽留性肢端皮膚炎と診断し,エトレチナート内服にて症状は一時軽快した.しかし,経過中にエトレチナートを自己判断で中止していたため,5か月後に汎発化をきたした.再度エトレチナート内服にて皮疹は速やかに軽快した.