著者
中村 亮
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2008

identifier:http://hdl.handle.net/2237/10227
著者
伊丹 健一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2019-04-23

本研究では、ナノメートルサイズの炭素物質(ナノカーボン)を構造的に純粋な「分子」として設計・合成するとともに、それらを基盤とした構造体を構築することで、構造が精密に定まった未踏のナノカーボンを創製する。従来のナノカーボン科学が抱える「混合物問題」に根本的な解決策を提示し、「分子ナノカーボン科学」という新分野の確立と日本発のカーボン・イノベーションをめざす。
著者
門松 健治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

免疫グログリン(Ig)スーパーファミリーに属する膜糖蛋白ベイシジン(Bsg)は細胞外に2つのIgドメインを有する。そのノックアウトマウスを作製して解析すると1)着床期での多数の死亡2)生後1ヶ月以内の間質性肺炎による死亡3)精子形成不全、卵成熟不全、着床不全による両性の不妊4)記憶学習能力の著しい低下が明らかになった。そこで本研究では1)精子形成におけるBsgの役割の解明2)Bsgのホモオリゴマーの形成機序とその生理的意義の解明3)Bsgと相同性を持つエンビジンとのクロストークの可能性の3点に目的を絞って解析を進めた。Bsgノックアウトマウスでは第1減数分裂のメタフエーズで精子形成が止まる結果無精子症になることが判明した。セルトリ細胞と精娘細胞間で通常見られない型のectoplasmic specializationが見られBsgがこの形成に関与する可能性が示唆された。Bsgのホモオリゴマー形成はシス型の(つまり同一細胞表面上の)ものであり、それにはN末側のIgドメインが重要であることが判明した。Bsgとエンビジンとのオリゴマー形成は見ることができなかった。Bsgノックアウトマウスの解析は網膜まで及びelectroretinogramと組織学的解析の結果、桿体細胞、錐体細胞両者の機能ともBsgノックアウトマウスではほとんど消失し、加齢に伴って廃用性萎縮がおこった。色素上皮にBsgの発現が強いことからこの部位でのBsgの機能が視細胞の生存あるいは維持に必要であると考えられた。以上をまとめると本研究はBsgの機能発現に関わる二とが予想されるホモオリゴマー形成機構の一部を解明し、また新たな機能発現の場として網膜をクローズアップしたといえる。今後その作用機構のさらなる解明のためにはBsg細胞内ドメインの結合蛋白の同定、Bsg受容体の同定が急務となると考える。
著者
河合 慶親
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ミトコンドリア品質管理に重要なオートファジーに作用する食品成分を見出すことを目的とした。HeLaにおいてp62発現を指標としたスクリーニングを実施したところ、ルテオリン誘導体の顕著なオートファジー誘導活性を見出した。一方、マクロファージJ774.1においては、ケルセチンなどフラボノール類において顕著なp62遺伝子発現促進が認められたが、ルテオリン誘導体の効果は認められなかった。よって、食品成分のオートファジー誘導活性は細胞株によって異なることが示された。J774.1では転写因子Nrf2を介してp62発現を亢進することで、サイトカインIL-1βのオートファジー分解に寄与することが示唆された。
著者
本道 栄一 前田 健 水野 拓也 竹松 葉子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近年、ヒトに致死的な病原性を示すコウモリ由来新興・再興ウイルス感染症が世界を震撼させている。本研究では、東南アジア・オセアニア地区で潜在的な同感染症キャリアとしてのオオコウモリに着目し、そのベールに包まれた生態調査を行った。本研究により、世界的な大都市近郊のオオコウモリも、ヒトに致死的なウイルスに対する感染履歴が確認されるとともに、Argos 衛星を利用した追跡調査によって、その驚異的な飛行能力が明らかとなった。本研究で明らかにした飛行データは、タイ王国、フィリピン共和国のものであるが、調査を行ったオーストラリアシドニー王立植物園のデータと照らし合わせると、東南アジア・オセアニア地区のオオコウモリは長距離飛行によって互いに交通している可能性がある。また、新興感染症の出現予測として環境インデックスとオオコウモリの飛行の関係についても解析を行った。結果、オオコウモリの長距離飛行開始には、季節性の風向の変化が大きく関与しているものと思われた。
著者
本道 栄一 井上 直子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、マウスの子宮内膜間質細胞の分化、脱分化の機構を解析した。マウスの生殖周期中にはエストロジェン(E2)とプロジェステロン(P4)が複雑にからみあって間質細胞の分化制御を行っているが、特にE2がこの制御に強く関わっていることが明らかになった。不完全生殖周期中ではLIF、Oct3/4およびNanogタンパク質が発情後期から前期にかけて発現する一方で、E2は単独で、Oct3/4を制御するKlf4 mRNAの発現誘導を起こすことが明らかとなった。
著者
堀尾 文彦 村井 篤嗣 小林 美里
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

ビタミンC(VC)生合成不能のODSラットにVC無添加飼料を8日間与えた時期には欠乏症状は全く発症していないが、LPS誘発性敗血症を引き起こすと5.5%という極めて低い生存率であった。それに対して、最小必要量のVCの摂取は生存率を39%にまで上昇させ、ビタミンC摂取が敗血症防御効果のあることを初めて示した。さらに特筆すべきことは、最小必要量の10倍の高用量のビタミンC摂取は生存率を61%にまで改善させ、高用量VC摂取が敗血症に対して有効な防御手段であることを示した。このVCの作用は、LPSによる血中単核球でのTNFαおよびIL-1βの産生上昇の抑制によることを示唆する結果も得た。
著者
久木田 水生 大澤 博隆 藤原 広臨 林 秀弥 平 和博 伊藤 孝行 大谷 卓史 笹原 和俊 中村 登志哉 村上 祐子 唐沢 穣
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、第一に、インターネット上の悪質な情報の流通とそれに起因する現代の諸問題の根本的な要因・メカニズム・影響を明らかにする。第二に、そのような問題に対処するための新しい情報リテラシーの概念を探求し、その基礎になる技術哲学理論を構築する。第三にその概念と理論に則した情報リテラシー向上のための方法を探求する。このことによって本研究は情報技術と社会が互いに調和しながら発展していくことに貢献する。
著者
斎藤 夏来
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本中世史研究にかかわる文献史学の立場から、画像賛を含む五山文学の研究を行う。五山文学には、創作に属する「作品」としての側面と、歴史的な諸事実を反映する「史料」としての側面とがあり、今後の研究の視野を格段に広げ深める可能性がある。特に、人物画像に書き込まれた賛文には、古文書や古記録には決して現れないような、当事者の主観に属するいわば機密的な内容が含まれている感触を得ており、その具体的な実証をめざす。
著者
吉村 正和
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、19世紀における心霊主義の展開を骨相学、社会主義(社会改革)、神智学、心霊研究協会などを中心に検討していくことにより、超自然・非合理に軸足をおく現象と一般に考えられている心霊主義が、それとは逆に理性主義的な思考法に基づく「合理宗教」という側面が強く見られることを検証することにあった。平成15年度においては、ジョージ・クームの骨相学を中心に検討し、ヒプノティズムと融合して骨相ヒプノティズムとなって心霊主義の潮流に合流する経緯をたどった。平成15年7月31日から8月29日まで夏季休暇期間を利用してロンドンとチューリヒに滞在してブリティッシュ・ライブラリー、心霊研究協会などの諸機関で同主題に関する資料調査を実施した。平成16年度においては、ブラヴァツキー夫人やアニー・ベサントなどの神智学、フレデリック・マイヤーズ(心霊研究協会)の心理学を中心に検討し、心霊主義が霊的進化論や心理学へと展開していく経緯をたどった。平成17年1月4日から1月12日まで冬季休暇期間を利用してシドニー大学フィッシャー図書館及びニューサウスウェールズ州立図書館で同主題に関する資料調査を実施した。平成15年度から平成16年度の2年間にわたる研究期間において、研究課題「19世紀のイギリス心霊主義の社会精神史的意義に関する研究」をほぼ当初計画通りに実施し、その成果を研究報告書(全48頁)にまとめることができた。
著者
宮崎 哲郎 荒殿 保幸
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

これまでのトンネル反応はH原子移行型反応であった。今回、2、3-ジメチルブタンカチオンからの水素分子(H_2又はD_2)脱離反応を77Kで調べた。k(H_2脱離)/k(D_2脱離)=1.7×10^4という著しい同位体効果を観測した。これはトンネル脱離反応の場合の理論的予想値とも一致しており、H_2分子がトンネル効果によって移行することを観測した初めての例である。次に、生体系におけるトンネル反応を見出した。哺乳動物細胞又はそのモデル系(高濃度蛋白質溶液)に室温でγ線を照射すると、生成した有機ラジカルは、1日以上も生存する。このラジカルはDNAの突然変異を引き起こし、ビタミンCを添加するとラジカルは反応によって消滅し、突然変異も抑制される。重水素化ビタミンCを用いて長寿命ラジカルとビタミンCとの反応を研究した。大きな同位体効果(≧20〜50)を発見し、この反応がトンネル反応であることを見出した。生体内でもトンネル反応が重要であることを示している。極低温、固体p-H_2を用いると高分解能ESR測定が出来ることを考え出した。この方法を用いてH_2^-アニオンの明確なESRスペクトルを得ることに成功した。H_2^-アニオンの減衰挙動に関する温度効果を調べた結果、この減衰がトンネル効果によることを見出した。
著者
宮崎 哲郎 熊谷 純
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2001

放射線による発ガンの引き金は、短寿命の活性酸素ラジカルによるものとこれまで考えられてきた。筆者等は半減期が20時間の長寿命ラジカルが細胞中に生成し、これが引き金になり突然変異やガンを誘発することを発表してきた。活性酸素ラジカルの存在しない照射後にビタミンCを添加すると、長寿命ラジカルを反応によって消去し、突然変異やガンの誘発を抑制する。本年度、ビタミンCとは化学構造が全く違うエピガロカテキンガレートを用いて検討し、長寿命ラジカルモデルをさらに実証するデータを得た。また、アメリカのWaldren教授によってこのモデルの追試がなされ、モデルの正当性が裏付けられた。彼の言葉によれば、長寿命ラジカルによる突然変異やガンの誘発機構は、これまで誰も考えていなかった新しいモデルであり、放射線生物学や発ガンにおいて極めて重要である。またESRスペクトルの解析から、長寿命ラジカルは蛋白質中のCH_2-SO・ラジカルである事を同定した。放射線により生成した長寿命蛋白質ラジカルから損傷シグナルがDNAに伝達され、突然変異やガンが誘発される。これはバイスタンダー効果の分子レベルでの機構と言える。長寿命ラジカルモデルによれば、ラジカル反応からDNA損傷に至る過程でも十分に制御出来る。特に長寿命ラジカルを直接観測しつつ対処出来るので、ガン抑制の新しい方向となろう。長寿命蛋白質ラジカルは紫外線照射によっても生成する事を見出し、紫外線発ガンの誘発に関与すると思われる。さらに、長寿命ラジカルとの反応性を利用して、抗ガン剤を評価する方法を検討した。
著者
水口 智江可
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農業害虫であるアザミウマは、蛹の過程を経ずに幼虫が成虫へと変態する「不完全変態昆虫」として分類されているものの、成虫になる前にほとんど動かない「蛹のような時期」が存在する。これは他のどの昆虫種とも異なったユニークなものであるが、ホルモンによる制御機構は不明であった。本研究では、アザミウマの幼若ホルモンシグナルを伝達する2つの転写因子を特定するとともに、アザミウマのユニークな変態様式がどのような進化を遂げて出来上がったのか考察を行った。