著者
矢野 裕俊
出版者
大阪市立大学
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.637-653, 1995
著者
中井 孝章
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、子どもの睡眠状況とそれに関与する親の養育態勢の相関性の分析の結果、子どもの睡眠習慣(目的変数)に対して,母親の就寝時刻(21 : 00以前)という説明変量が. 57(p<0.1),各家庭の睡眠文化(有無)という説明変量が. 62(p<0.1)という正の相関性がみられた。一方,子どもの睡眠習慣(目的変数)に対して,メディア関与度(1時間以上)という説明変量が-. 51(p<0.1),母親の帰宅時刻(18 : 00以後)という説明変量が-. 41(p<0.5)という負の相関性がみられた。
著者
石井 聡
出版者
大阪市立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

疲労感の神経メカニズムの解明するために、疲労感の古典的条件付け、あるいは疲労のミラーシステムを用いた課題を開発し、従来の疲労研究とは根本的に異なる脳磁図研究を実施した。健常被験者を対象にした結果からは、後帯状回が疲労感の神経メカニズムに関わっていることが示唆された。また疲労感の古典的条件付けや、疲労のミラーシステムによるアプローチが疲労研究に有効であることが示された。
著者
加藤 司 石原 武政 石井 淳蔵 崔 相鐵 高室 裕史 田村 晃二 横山 斉理 柳 到亨
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、商業者の利潤動機と社会的貢献の二側面を包摂する「商人精神」という観点から、(1) 関連する「家業」、「のれん」など過去の研究蓄積を整理し、(2) 国内において商 業者と地域コミュニティの関係を東日本大震災によって被災した商店街などのケース・スタディを通じて明らかにし、(3) 東アジアにおける韓国、中国を中心に商業者、商店街組織の実態について 比較調査を実施 した。その成果として、 商業者と地域社会ならびに政策とが複雑に絡み合う関係を明らかにする枠組みが構築された。
著者
所 道彦
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、家族政策の国際比較研究におけるウェルビーイングのインデックスを設定するための基盤研究である。「チャイルドウェルビーイング」という概念に焦点を当てて国際比較研究を行うための手法に焦点を当てることとし、文献研究と海外におけるヒアリング調査を行った。その結果、「主観的ウェルビーイング」の尺度の用い方、各領域別のウエイトの置き方について依然として課題が残っていることが明らかになった。
著者
富樫 穎
出版者
大阪市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

本研究の目的は、住空間デザインの志向性からみた住文化の典型的な型を抽出し、居住者の属性からみた各型の規定要因を明らかにすることにある。調査項目は、(1)住宅の外観デザインに対する志向性、(2)接客室の室内デザインに対する志向性、(3)住宅の内外空間構成要素に対する志向性、(4)居住空間の名称に対する志向性、(5)生活行事に対する志向性の5項目である。調査は、都市・農山村の女性を対象に実施し、901名の有効解答を得た。分析の結果、次の2つの典型的な型が抽出された。(1)「伝統和風志向」型……伝統和風の外観デザイン、伝統和風の室内デザイン、神棚、仏壇・床の間などの伝統的な室内空間構成要素や灯篭・庭石・築山などの伝統的な外部空間構成要素、続き間座敷・茶の間などの伝統的な空間名称、七草・月見・お盆・正月などの伝統的生活行事を志向する。(2)「現代洋風志向」型……現代的な「ペンション風」の外観デザイン、現代的な洋風の室内デザイン、吹抜け・大テーブル・フローリング・テラス・バルコニー・芝生などの現代的で洋風の内外空間構成要素、大きな居間・アトリエ・ホビールームなどの現代的な洋風の空間名称、誕生日・結婚記念日・聖バレンタインデー・クリスマスなどの現代的な洋風の生活行事を志向する。この2つの型は対立しあう関係にある。すなわち、「伝統和風志向」型は「現代洋風志向」型の要素を志向せず、「現代洋風志向」型は「伝統和風志向」型の要素を志向しない。この2つの型を規定する大きな要因は、年齢と都市・農山村という居住地の差異である。すなわち、若年層には「現代洋風志向」型が多く、高年層には「伝統和風志向」型が多い。また、都市居住者には「現代洋風志向」型が多く、農山村居住者には「伝統和風志向」型が多い。
著者
幸田 正典 堀 道雄 神田 猛 中嶋 康裕 ROSSITER Andrew 及川 信 狩野 賢司 ロシター アントリュー
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

3年の調査期間に1)魚類群集の種構成と構成種の形態の隔絶地域での比較研究、2)沿岸性カワスズメ類の人工岩礁への定着とその後の継続観察、3)永久調査区での構成種の個体数と種構成の継続調査、4)カワスズメの口器形態に見られる左右性の種毎の頻度の調査、5)いくつかの魚種での繁殖戦術の解明、6)複数種での特異的な共生関係の把握、等が行うことができた。1)では、砂浜により隔絶された岩礁性カワスズメでの、形態的差異が明らかになりつつあり、あわせてその変異の角魚類群集における意味についても検討が始まっている。2)では、定着の早い種遅い種について、その違いをもたらす要因について比較検討がなされつつある。3)では今回の調査から、岩礁性魚類群集が極めて安定していることが明らかとなった。この問題にからんだ大規模な魚種除去実験の結果からこの安定性をもたらす要因の検討をはじめている。4)ではカワスズメ類各種の左右性の頻度が、ほぼ5年周期に起こることが今回の継続調査によりほぼ実証された。この周期性は捕食・被食関係に大きく起因することが示唆される証拠も得られた。5)では、魚類ではこれまで報告のない協同的一妻多夫制の例が2種で見つかった。なぜこの2種でこの婚姻形態が見られるのか、その成立要因も含め現在詳細な分析が進んでいる。また、雄のスニーキング戦術の見られた種では、父性判定により、その戦術が同湖魚類では初めて実証された。6)では、ナマズ類での托卵現象や淡水魚ではこれまで報告のない魚類間でのクリーニング共生関係の存在も明らかにされた。成果の一部はすでに公表しているが、今後魚類群集の安定性とそれをもたらす要因解明の野外実験結果、左右性の周期性、さらに多様な種間関係の発見等の解析から、同湖魚類群集の多様性と可塑性についての研究成果は、順次公表の予定である。
著者
早瀬 晋三
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、19世紀から20世紀にかけての国境線画定時に、無人島を含む島嶼の帰属がどのように扱われたのかを考察するための事例研究を、東南アジアを中心におこなった。そのために、イギリス議会文書やイギリス東インド会社文書などを整理し、考察した。その結果、漁業活動など利用権を主張するものはあっても、居住・耕作地を除いて、排他的占有権を主張するものはあまりなく、実質的な国境が曖昧なままであったことがわかった。
著者
唐沢 力 赤井 一郎 小松 晃雄 飯田 武
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

@試料の準備としてすでにあるGaSe単結晶の他に、気相成長法でBiI_3、PbI_2単結晶の育成を行った。@BiI_3結晶中の積層不整二次元界面に励起される擬二次元励起子(SFE励起子)を、窒素レーザー励起色素レーザーを用いて高密度に生成し、ポンプ・プローブ吸収とポイント励起発光スペクトルに空間分解分光法を適用してその空間的挙動を遷移スペクトルの変化より調べた。解析で得られた広い空間域へ拡がる励起子成分に対し、励起子の二次元流として解析して、この成分がコヒーレントな集団運動を行っていることを見出した。この成分が新しい励起子凝縮相である可能性を議論した。@このSFE励起子系に、モードロックNd:YAGレーザー励起のピコ秒色素レーザーを用いて、空間分解した諸種のピコ秒分光を適用した。ポンプ・プローブ吸収および発光の時間-空間分解スペクトルから、高密度成分がポラリトンの群速度に匹敵する速さで空間を移動していることを見出した。さらに、2光束を空間分離した縮退四光波混合(DFWM)信号の検出を行い、高密度下で空間伝播してきた励起子成分による信号の発生を確認した。これら励起子集団の振る舞いとボーズ凝縮との関連を議論した。@GaSe結晶の励起子遷移域を、ピコ秒色素レーザーで共鳴励起してDFWM信号を検出し、励起子共鳴より低エネルギー側に励起子分子によると思われるスペクトル成分を見出した。また、2光束空間分離励起で、高密度励起子の集団運動によると思われる信号強度の波数ベクトル依存性を見出した。@理論的には、電子正孔分離型の量子井戸中の励起子凝縮相の示す超流動が、電流の形で直接観測できることを示した。また、理想的にコヒーレントな高密度励起子集団のダイナミックスを明らかにするため、非線型Schrodinger方程式を解き、その時間・空間発展を明らかにした。その結果とBiI_3高密度SFE系の時間・空間的挙動を比較し、この励起子系のボーズ凝縮相の可能性について議論した。
著者
松本 英之
出版者
大阪市立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

脳内報酬系の主要コンポーネントであるドーパミン細胞の活動は、人工知能で利用される強化学習の強化信号に類似していることが知られる。本研究では、近年多様性が明らかになってきているドーパミン系の投射回路別の情報処理機構の解明を目指す。大規模神経活動記録法と光遺伝学を組み合わせ、自由行動中の動物の単一ドーパミン細胞活動をライブでモニタリングする系を確立する。さまざまな認知課題を行い、シンプルな外界入力から、より複雑な環境構造に関する情報など、ドーパミン細胞がどのようにコードしているのか調べる。報酬系が投射回路別に並列的に情報処理する仕組みを理解することで、汎用人工知能の構築に貢献することを目指す。
著者
池田 知哉
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

寒冷暴露(凍死)は特徴的所見に乏しく判定が困難な症例も多い.凍死を示唆する血液検査所見としてケトン体の上昇が報告されているが,低栄養でもケトン体は上昇し,低栄養と寒冷暴露の鑑別に適さず,新しい検査法が求められている.これまで我々は,寒冷暴露時にACTH(adrenocorticotropic hormone)の分泌細胞が出現することを明らかにした.この所見から,副腎皮質におけるコルチゾールが変化することが予測される.本研究では,「寒冷暴露に伴うコルチゾールの病態生理学的意義」を調べ,コルチゾールの動態が寒冷暴露の診断マーカとなり得るか明らかにし,法医学上の凍死診断の一助とすることを目的とした.
著者
藤井 富美子
出版者
大阪市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

トリグリセリドを主成分とする皮脂よごれの洗浄に脂質分解酵素リパーゼを応用すると, リパーゼはトリグリセリドをより極性の高いジグリセリド, モノグリセリド, および, 遊離脂肪酸に加水分解し, 界面活性剤による除去を容易にすることが明らかにされている. しかし, 一方において, リパーゼに界面活性剤が共存すると, リパーゼ活性は著しく阻害されることも知られている. そこで, 本研究ではリパーゼを実用洗浄系に応用するために, リパーゼ・界面活性剤複合系での油性よごれの洗浄に及ぼすリパーゼの洗浄効果を検討した. 得られた研究成果の概要はつぎのとおりである.各種のリパーゼ・界面活性剤複合系について, 電気伝導度, 表面張力, 可溶化, ならびに, 吸着等温線などの溶液物性を測定した結果, リパーゼは界面活性剤と結合して複合体クラスターを形成し, そのクラスターはリパーゼの加水分解作用の関与しないスクアランのような炭化水素よごれを可溶化することによって洗浄に寄与することが明らかになった. 一方, リパーゼの加水分解作用をうけるトリオレインのようなトリグリセリドよごれではリパーゼ・界面活性剤複合系において, リパーゼ活性が存在する界面活性剤の低濃度領域では, トリグリセリドはリパーゼの加水分解作用により除去される. しかし, リパーゼ活性がほとんど失なわれる界面活性剤の高濃度領域では, トリグリセリドはリパーゼ, 界面活性剤複合体クラスターベの可溶化によって除去される. ここで, トリグリセリドの洗浄ではリパーゼの加水分解作用は可溶化よりもより効果的である. したがって, リパーゼ, 界面活性剤複合系によるトリグリセリドの洗浄では, リパーゼの活性阻害作用の小さい界面活性剤を選択することが重要であり, AOS, AES系のほうが, SDS, LAS系にくらべて適しているという結論を得た.
著者
野崎 充彦
出版者
大阪市立大学
巻号頁・発行日
2002

博士論文
著者
岸本 直文
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

急速に進歩する測量技術により、従来の測量図よりもはるかに精度高く墳丘の形状を把握できるようになっている。倭国王墓の変遷については、測量図による従来の比較作業から推移が見通され、また研究代表者は2系列があることや、さらに第3の系列の存在を指摘している。しかし倭国王墓の築造には、本来、個々に具体の割り付け設計があり、また数字による寸法が与えられたはずであり、精度の高い墳丘データがえられるようになったことで、設計仕様レベルでの比較検討が可能となっている。本研究は、最新データにもとづき前方後円墳の設計の実際を解明すること、また複数系列の存在を証明することで当時の王権構造に迫ることをめざすものである。
著者
山 祐嗣 山 愛美 橋本 博文 鈴木 紘子 眞嶋 良全
出版者
大阪市立大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

宗教的推論は、直感的システムと熟慮的システムを仮定する二重過程理論では前者によって行われると想定されてきた。しかし、日本人においては熟慮的システムと結びついていることが示されている。本研究では、この違いを、東洋人は、カルマを熟慮的に受け入れている(カルマ仮説)、あるいは熟慮的思考と直感的迷信を弁証法的に受け入れている (弁証法的共存仮説) 可能性と想定する。日・仏・英において、認知的負荷によって熟慮的システムを抑制する実験、熟慮的思考を測定する質問紙と宗教的信念の質問紙の相関を検討する実験、熟慮的な判断と直感的な宗教的モラル推論の弁証的共存を測定する実験を実施し、両仮説を検証する。
著者
磐下 徹
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は平安時代末期の貴族である源俊房(みなもとのとしふさ)の日記である『水左記(すいさき)』の記事を丹念に読み込み、その註釈を作成することで、古代から中世へという日本の歴史の転換期の政治・社会状況、都である平安京の都市的環境、この時期における日記のもつ意義・機能について考察することを目的としている。こうした目的を達成するため、古代史・中世史の各分野の専門家が参加する「水左記輪読会」を開催して、質の高い『水左記』の註釈を作成することを第一の目的とする。こうして蓄積された註釈をもとに、古代から中世への転換期である平安時代後期についての考察を深めていきたいと考えている。