著者
出口 利定
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

大学入試センター試験・英語(リスニング)における聴覚認知障害者への特別措置について検討した。聴覚認知障害者にとって有効な特別措置の一つとして、原音声の話速を加工伸張した音声でリスニングテストを実施したところ、有意に高い成績の向上を示した。更に、聴覚認知障害者では、騒音下における受聴明瞭度が健聴者に比べて著しく低下することが判った。この結果は学校教育現場における配慮のあり方を示唆するものである。
著者
浅野 智彦 川崎 賢一 羽渕 一代 岩田 考 辻 泉 川崎 賢一 岩田 考 羽渕 一代 辻 泉
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

韓国・ソウル市および東京都杉並区において16 歳から29 歳の男女を対象にパーソナルネットワーク、自発的集団への参加状況、社会的参加、政治的参加の各領域について量的調査を行った。その結果を統計的に分析した結果、集団所属の多元性および親密な友人関係が社会的参加・政治的参加を促進すること、ソウルとの比較において東京の若者が学校外の活動において不活発であることが明らかにされた(なお高校段階での部活については、社会的参加・政治的参加との関連がみられなかった)
著者
西村 俊一 西野 節男 柿沼 秀雄 石川 啓二 三笠 乙彦 皆川 卓三
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

中国, 台湾, アメリカ西岸, オーストラリアについて, 華僑教育関係機関の資料収集を行い, 分析を進めた. また, 東アジア比較研究の観点から, 中国と台湾, 韓国と北朝鮮の僑民教育政策を比較するため, 北朝鮮の資料収集もあわせて行った.収集した文献・資料は, 既収集の関係資料及び学外機関の資料と共にカード化し, 約170ページに及ぶ『華僑教育関係文献・資料目録』(東京学芸大学海外子女教育センター刊)を刊行し, 研究機関等に配布すると共に, 研究者との交流に活用し始めている.また, 分析結果については, 次回日本比較教育学会において共同研究発表を行うべく, 準備・調整中である.第2年度は, 補充調査及び補充的な資料収集を行いつつ, 資料分析を本格化する計画である.
著者
石井 正己
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

『遠野物語』の話し手であった佐々木喜善は、その後、時代の最先端を行く学問を進めていた。ザシキワラシの研究はその始めであったが、今回はカードや書簡などの資料を翻刻して分析した。昔話の研究では、男性の語る昔話と女性の語る昔話に着目し、動物昔話や笑い話の中に込められた精神性を追究していたことが明らかになった。それだけでなく、現代伝説や都市伝説という視点をもって、新しい研究に臨んでいたことがはっきりした。
著者
小澤 紀美子 原子 栄一郎 樋口 利彦 小川 潔 森茂 岳雄
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、1999年より北京師範大学と東京学芸大学の共同研究で持続可能な社会の構築をめざした環境教育の推進のための教師研修の内容、実施体制などの課題を分析し、さらに国際的な環境教育の理論的根拠などを歴史的背景も含めて分析し、教師への意識調査、具体的な授業実践の比較などから、日本及び中国における環境教育の理論、内容、方法などに関する到達点とその課題の明確化を目的に進めてきた。中国の環境教育は大きく4段階でその進展がとらえられるが、環境教育推進の原点は、1996年12月に制定された「全国環境宣伝教育行動綱要(1996年〜2010年)」にある。そのカリキュラムはイギリスの影響を受け、統一的なカリキュラム展開となっている。その原則は、啓発性の原則、参加性の原則、浸透性の原則、批判性の原則となっている。日本の環境教育は、50年代に始まるが、70年代後半から80年代前半の国際的な動向に後れをとり、90年代後半から大きな進展がみられる。日本では特に社会科、理科、家庭科等の教科と「総合的な学習の時間」での環境教育の実践が多いが、中国では浸透教育や選択教科などで展開されている。日本では、環境教育の推進の主体が多様化している。また、その内容の多様性、各種主体(教育界、行政、市民、NGOなど)の協働による新局面が期待されており、教員研修における方法、内容、評価システムを確立が望まれる。報告書は、1章:日本及び中国における環境問題と環境政策の変遷、2章:環境教育の概念の変遷、3章:教育課程の変遷とその背景、4章:教育課程における環境教育の動向、5章:環境教育にかかわる教師の意識調査、6章:環境教育の実践と分析、7章:教師研修の現状と課題、8章:日本及び中国の環境教育の方向、といら構成で各国の言語と英文で構成されている。
著者
上野 一彦 長澤 泰子 津田 望 松田 祥子 牟田 悦子
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

本研究では、中枢神経系の発達やかたよりから、コミュニケーション能力の遅れ、種々の知的学習能力の習得困難、さらには行動面での不適応症状をもちやすいことなどから、近年注目されている学習障害(LD)児を対象とし、その実態解明と具体的な指導方法探究のために、主として二つの側面からの研究を行なった。1.LDに関する心理学的能力のデータベースの作成と、それにもとづく能力分析による類型判別の試み。5才〜12才のLD及びボーダラインLDに関する200例のWISCーR、ITPA、TKビネーの心理検査結果によるデータベースを作成した。WISCーRを中心とした群得点分析から、全体的能力水準と処理能力の欠陥特性を考慮した3つの典型類型及び3つの重複類型からなる類型モデル図を作成し、その臨床的妥当性についての検証を試みた。同時に、12のWISCーR、10のITPAの各下位検査変量、計22の変数データについての多変量解析を試み、類型判別と診断基準の因子的妥当性についても知見を得た。2.感覚様相の処理特性からくるコミュニケーション行動中の受容能力および表出能力の発達のかたよりにたいする具体的援助の一方法として、同時提示法によるサイン言語法の開発とその適用研究。現在、英国の障害児教育現場で広く普及しているMAKATON法の日本版作成作業を進めた。この方法は、キーワード法によるサインシステムを採用し、話しことばとサインとシンボルの同時提示による言語発達プログラムである。現在、第1から第9ステージにおける約330の核語集の選定、基本的サインの作成作業を終え、類型分類によるLD児の指導グループ適用研究から、顕著な指導効果が認められた。
著者
上野 一彦 長澤 泰子 菊池 けい子 津田 望 松田 祥子 牟田 悦子
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

本研究グループは、中枢神経系の発達の遅れやかたよりから、コミュニケーション能力の発達不全、種々の学習能力の習得困難、協調運動の発達不全、さらには情緒・行動面で不適応症状をもちやすいLD(学習障害)児を研究対象とし、その実態解明と具体的な教育的援助の方法探究のために、主として二つの側面からの研究を行った。第一は、LDの生育歴にみられる障害徴候と問題行動、およびWISCーRによる心理学的能力を下位項目としたデータベースの作成である。6才〜14才のLD及びボーダーラインLD、比較のための軽度精神延滞(MR)、約200名の面接と心理診断を行い、知的能力から精神発達の4つの水準(MR、ボーダーラインLD、低IQ・LD、高IQ・LD)と、情報処理過程によるモデルに立脚した個人内差の特徴から、各LD群の類型化を試み、それらのレベルと特性の二次元空間内での問題症状の発生時期と内容、行動特徴について分析・検討し、治療教育につながる指導プログラムの手がかりを得た。第二は、感覚様相の処理特性からくるコミュニケーション行動中の受容能力および表出能力の発達のかたよりにたいする具体的援助の一方法として、同時提示法によるサイン言語法の開発とその適用研究である。この研究は、英国の障害児教育現場で広く普及しているマカトン(MAKATON)法のサインとシンボルの日本版作成作業に取り組んだ。今年、第1から第9ステージにおける約330の核語彙の選定、基本的サイン作成を完了し、サインに対応するシンボルと言語指導プログラムを作成した。
著者
大田 信良
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

現在のポストインペリアルな歴史状況における英国文化は、大英帝国解体後になおも残存する帝国意識、または、その保守主義を批判的に乗り越える新たなヒューマニズムと多文化主義の可能性によっては、十分捉えることができない。むしろ、21世紀の現在につながるグローバル化や帝国主義に注目する「長い20世紀」の視座を考慮することにより、本研究は、「英文学」をその重要な一部とするグローバルな帝国の文化が、冷戦期米国のモダニズム文学と大学の研究・教育制度の編制にトランスナショナルに転回した英国リベラリズムの政治文化によっても担われていたことを論じた。
著者
佐藤 和彦
出版者
東京学芸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1987年度から、1989年度にかけて、日本中世の民衆運動に関する史料の蒐集と研究をおこなった。日本中世の民衆生活・思想などに関する研究は、西岡虎之助、林屋長三郎氏らの段階を経て、近年、横井清・三浦圭一、網野善彦らの仕事によって多くの成果を生みだしている。本研究は、これらの成果に学びつつ、日本中世における民衆の生活、生産、思想、芸能、宗教、闘争などを民衆運動として総合的に把握し、その特質を解明しようとした。作業の第一歩は、民衆運動に関する史料を調査し、それを蒐集することからはじめられた。東京大学史料編纂所、京都府立総合資料館などにおいて史料を調査した。ついで、民衆運動の展開した地域におもむき、文献史料の残存状況、伝承などの残存状況を調査した。1987年度は若狭国太良荘(現福井県小浜市)、備中岡上原郷(現岡山県総社市)などの調査をおこない、1988年度は、若狭国太良荘、1989年度には、京都府、および、近紀岡葛川(現滋賀県大津市)などの調査をおこなった。その結果、太良荘地域において3点の新史料を発見した。なお、各年度ともに、中世民衆運動についての関連文献リストを作成し、1989年度において研究報告書を作成した。なお、今後、このような研究を深めるためには、つぎのようなアプロ-チが必要となろう。すなわち、中世民衆の武装の問題、対領主意識の変化、闘争参加のさいの「いでたち」(服装)、当該段階の権力の本質などを追究することである。さらに、アジア諸国やヨ-ロッパ諸国の封建社会における階級闘争と対比させつつ、日本中世の農民闘争のもつ階級闘争としての成果と現限とを明らかにすることが必要である。このことは、日本中世の民衆運動の本質を解明するための基礎作業となるであろう。
著者
尾関 幸
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ・ロマン主義美術に特有の図像とされる「友愛図」は、西洋美術に見られる「明・暗」「聖・俗」「静・動」「善・悪」等の図像伝統に依拠しつつも、二者間の弁証法的な統合を強調するものである。それは「分かれ道のヘラクレス」「アモルとプシュケ」といった過去の図像伝統から発し、そこに「和解」という新たな意味を付け加えた。対概念として表現される友愛図像は、分析的時代であった十八世紀を超克し、再び宗教改革以前に存在したと信じられた全体性を希求する時代精神を象徴しているのである。
著者
田村 毅 市村 彰英 加藤 吉和 岸田 泰子 久保 恭子 中村 正 田崎 知恵子 倉持 清美 及川 裕子 伊藤 良子
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

子育て家族の追跡調査から、子育て家族システムの特徴、特に里帰り出産、祖父母の役割について明らかにした。また、海外在住の子育ての課題について明らかにした。児童虐待が発生する家族システムの特徴とそれを支援する福祉システムの困難さと課題について明らかにした。ジェンダーの視点から男性が子どもを虐待するメカニズムを解明し、虐待関係にある家族への支援の方策として父親グループ活動のプログラムを開発した。
著者
新田 英雄
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,非均一な強電磁場内の相対論的電子(陽電子)による放射とγ線による対生成現象を中心として,臨界電場中の真空の安定性に関係する諸問題を理論的に考究したものである。まず,相対論的イオンによる束縛状態対生成の理論を構築した。結晶軸に平行に入射した相対論的イオンの静止系では,結晶場は周期的パルス状のコヒーレント仮想光子となりいわば「仮想X線レーザー光」とみなせることに注目した。その静止系電場は,臨界電場以上の値に相当する。そのため,電子が結晶場内を進行する相対論的イオンの内殻軌道に電子が生成される束縛状態対生成が生じる可能性がある。これは,強電場QEDの検証として重要なだけでなく,エキゾティック原子や反水素の生成に応用できる。本研究ではこの対生成過程を,陽電子の終状態に平面波,電子の終状態に相対論的水素様波動関数を用いた計算を行った。得られた結果を,近未来型X線レーザーを仮定したMullerらの理論と比較したところ,イオンを同条件で入射した場合十分現実的な膜厚の結晶で同等以上の対生成確率が得られることが分かった。次に相対論的な電子が,結晶の軸ポテンシャルが形成する電場(10^<12>V/cm程度)に入射するという条件で,誘導型の対生成を波束を用いて研究した。これは,電子の進行方向における静止系から見れば,Kleinパラドックスと等価な状況となる。本研究では,Kleinパラドックス型対生成の基礎を調べるために,相対論的な波束の運動を数値的に計算した。また,電子波束の運動の基礎研究としてNelsonの確率過程量子化法を用いた波束の計算を行った。
著者
二宮 修治
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、屋内外に展示されているブロンズ製彫刻のアシッドライン(線状の腐食)のメカニズムを究明することを目的とし、異なった環境での大気汚染調査とブロンズの化学組成との関係について検討した。金属試験板、大理石試験板の環境暴露試験として、市販あるいは溶製されている大理石、青銅(BC6)、古銅(東大寺大仏殿屋根材の再現)、銅(JIS-H-3100)、炭素銅(JIS-G-3141)を使用して、屋内外の暴露試験を行い、同時に環境汚染物質の測定も併行して行った。大理石では環境の汚染度の指標となること、銅製品金属試験板では、青銅中の亜鉛と鉛に及ぼす環境因子の影響が顕著に認められ、塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅の生成が確認され、塩基性炭酸銅は検出されなかった。ブロンズの化学組成により腐食の進行が異なることを定性的に見出したので、本研究では、(1)東大寺八角灯篭の再現(Cu94% Sn2.5% Pb1% As2.5%)、(2)ロダンのブロンズの組成(Cu94% Sn4% Zn1%)、(3)ロダンのブロンズから亜鉛を除いた組成(Cu95% Sn5%)、(4)JIS規格の青銅(BC7)の4種類のブロンズ製テストピースを専門の鋳造家に依頼して作成し、博物館の屋内外の暴露試験・リーチング試験を行った。暴露期間が短いため、明確な結果を得るまでに至っていないが、さらに、環境暴露を継続的に行っているので、今後の調査により明らかになるものと期待される。大気環境の異なる3博物館(都市部の中心地域、沿岸地域、火山地域)における雨水と博物館内・外での大気環境(ガス、ミスト)中の汚染物質の計測を行った。大気汚染物質の量は、発生源に関係するが、季節的な変動やその輸送経路としての気象条件が関与することが見出だされた。また、環境によるブロンズの腐食に違いが見られ、環境汚染因子との相関性が認められた。