著者
荻原 理 金山 弥平 神崎 繁 近藤 智彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ヘレニズム時代のエピクロス派とストア派が勧める生の内実を、プラトン、アリストテレスや現代の哲学者との対比を通じて明らかにし、これらの生を現代人に対し、注目すべき生き方の例として提示した。両派に共通する、生の理性的設計の思想は、衝撃的事態に見舞われた場合の態勢の立て直しに有効であろう。死にさいして魂は消滅するというエピクロス派の説は、現代の科学的世界像と調和し、死生観としても独自の魅力をもつだろう。自己は宇宙の一部だとするストア派の思想は、"報復しない倫理"に道を開くだろう。
著者
門田 功
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

昨年に引き続き、赤潮の原因毒であるブレベトキシンBの合成研究を行った。デオキシリボースを光学活性源として、BC環部に相当するα-クロロスルフィドとFG環部アルコールをそれぞれ合成した。両者を銀トリフレートを用いて縮合し、O,S-アセタールを合成した。さらに数段階でアリルスズを導入して分子内アリル化反応のための基質を合成した。この化合物を銀トリフレートで処理したところ84%の収率で環化反応が進行し、目的の化合物が立体選択的に得られてきた。得られた化合物に対し、Grubbs触媒による閉環メタセシスをおこなってB-G環セグメントを得ることができた。さらに数段階を経てA環を構築し、A-G環部とした。これをJK環部に相当するカルボン酸とエステル縮合し、さらに数段階を経て環化前駆体を合成した。この化合物に対して先ほどと同様に分子内アリル化と閉環メタセシスをおこない、ブレベトキシンBのポリエーテル骨格を得ることができた。この化合物に対してラクトン化、脱保護、アリルアルコールの選択的酸化を行い、ブレベトキシンBの全合成を完了した。合成品の各種スペクトルデータは天然のものと完全に一致した。また、同様の方法論を用い、イェッソトキシンおよびアドリアトキシンのFGHI環部の収束的合成に成功した。これらの化合物は下痢性貝毒の原因毒として、二枚貝養殖に多きな被害を与えており、ブレベトキシンBと同様深刻な社会問題となっている。本研究により、これら海産毒の活性発現機構に関する研究が進展するものと期待される。
著者
高橋 純一 山根 久典
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,酸化物系新規熱電変換セラミックス材料として一次元結晶構造・一次元組織を有するカルシウムコバルト酸化物Ca_3Co_2O_6系単結晶材料を創製し,室温から約1100Kの温度範囲における熱電特性を測定するとともに材料の次元性と特性の関係を明らかにした.Ca_3Co_2O_6はCoO_6八面体とCoO_6三角プリズムが面共有で交互積層した[Co_2O_6]_∞鎖とCa^<2+>イオン列が結晶構造のc軸方向に並行配列した擬一次元結晶構造を持つ.K_2CO_3を融剤としたフラックス法により長さ7mm,太さ0.7mm程度で一次元的な柱状形態を呈するCa_3Co_2O_6単結晶,および,(Ca,Bi)_3(Co,M)_2O_6単結晶(M=Fe,Cu)の合成に成功した.単結晶X線ラウエ写真およびプリセッション写真より,これらの結晶の伸張方向がc軸であることを確認した.大気中での電気抵抗率(ρ),および,ゼーベック係数(S)の温度依存性から,Ca_3Co_2O_6単結晶(c軸),および,(Ca,Bi)_3(Co,M)_2O_6単結晶(c軸)はp型半導体であることが示された.Ca_3Co_2O_6単結晶の出力因子S^2ρ^<-1>は測定温度範囲で温度の上昇に伴い単調増加し,1000Kにおける出力因子値は2.33×10^<-4>Wm^<-1>K^<-2>であった.この値は比較として測定した多結晶Ca_3Co_2O_6(1.02×10^<-5>Wm^<-1>K^<-2>)と比べて一桁高い.また.(Ca,Bi)_3(Co,Fe)_2O_6単結晶(c軸),および,(Ca,Bi)_3(Co,Cu)_2O_6単結晶(c軸)の出力因子はドープされていないCa_3Co_2O_6よりも2〜4倍高くなることがわかった.
著者
大坪 嘉行
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

二種のお互いに近縁の土壌細菌を対象としてカタボライト調節メカニズムの解明を目的に研究を行った。その結果、抑制炭素源の存在が認識されるには抑制炭素源が細胞内である程度代謝される必要があることを示す結果を得た。またPTS システムがカタボライト調節に関与することを示す結果を得るとともに、二成分調節系のBphPQに関して、BphQが標的プロモーターを活性化するにはBphPが必要であること、また、BphPのC末端ドメインには構成的なBphQ活性化能があることが示された。
著者
西村 修 水落 元之 稲森 悠平 山田 一裕 坂巻 隆史 徐 開欽 大村 達夫 金 主鉉 須藤 隆一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では干潟のもつ自然浄化機能として、干潟の陸側後縁を形成するヨシ原による栄養塩類の取り込み,干潟における栄養塩循環・脱窒、さらに藻場による栄養塩類の取り込みに着目し、それらの機能の評価・解析、機能を発揮させるための生態工学的手法開発を行った。本研究で得られた主な成果を以下にまとめる。1)ヨシ湿地に関する研究・下水処理水を高度処理するヨシ湿地の高機能化として充填担体の空隙率が栄養塩の除去能力に及ぼす影響を解析し、窒素除去には根圏微生物の硝化・脱窒作用が重要であり、適切な空隙率と水面積負荷で硝化・脱窒の同時反応が起こること、リンの除去は担体への吸着によるものがほとんどであり、空隙率の低いほうが適していることが明らかになった。2)干潟に関する研究・東京都内湾の護岸に生息する付着動物の浄化機能を評価し、護岸距離192kmで1日19tのCODを浄化していること、この値は東京都から流入するCOD量の23%に相当することが明らかになった。・葛西人工海浜の環境修復状況と、東西両なぎさの生態系の違いの要因について解析し、構造的な問題から降雨時に河川水の流入・停滞が発生して底生動物に大きな影響を及ぼすこと、そのための底生動物の種類数は造成前のそれに回復しているが安定していないことが明らかになった。3)藻場に関する研究・大型褐藻類アカモク(Sargassum horneri)の栄養塩吸収機能を解析し、温度、照度、栄養塩濃度、生育ステージと栄養塩吸収速度の関係を定式化した。そして,松島湾の栄養塩循環に及ぼすアカモクの栄養塩吸収機能の影響を評価し、5月におけるアカモク藻場は流入負荷の約7割を吸収し、水質改善に大きく寄与していることがわかった。
著者
吉田 栄人 桜井 三枝子 大越 翼 三澤 健宏 初谷 譲次 杓谷 茂樹 本谷 裕子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、外部社会に対して語る優位なポジションを持たないマヤの人たちの日常生活において、外部の社会によって消費の対象として整形され直したマヤという文化がいかにマヤの人たち自身によって獲得され、かつ彼らのものとして領有されるのかその可能性とプロセスを、トゥルム市(メキシコ)のマヤ教会、チチェン・イツァなどの遺跡における観光産業、カルキニ村(メキシコ)の空間認識、ユカタン州(メキシコ)における言語復興活動、国境を越えた労働移動(メキシコおよびグアテマラ)、女性の機織りなどの事例を通じて記述・分析した。
著者
藤田 博美 赤木 玲子
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

ヘム合成の先天異常(ポルフィリン症)には多くの保因者が存在し、様々な環境要因に対するハイリスク群を形成している。このハイリスク群の予知を可能とするために、先天異常を解析した。δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD):先天的に活性が1/2である家系:本家系の異常は酵素の寿命を短縮させるか、あるいは転写のレベルを抑えているかであることが示された。独立に得た16クローンのcDNAのうち11クローンについては5'端より700bp(亜鉛結合領域を含む)の解析では異常はない。残りの解析を進めている。後天的に赤血球型ALADに異常が起きたと考えられる例:本症例では先天的な異常が一方の遺伝子座に存在し、他方の遺伝子座の赤血球型プロモーター領域の転写因子結合領域の近傍に後天的な突然変異が存在した。赤血球系転写因子(NF-E2)とALAD発現:マウス赤白血病細胞をもちいて、NF-E2の大サブユニット(p45)の発現がヘムにより調節されること、ALAD以下のヘム合成系酵素およびグロビンの発現がp45により調節されていることを示し、後天的な異常への本転写因子の関与が示唆された。ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ:本症例ではT^<417>G^<418>T^<419>からCCAへという変異、A^<677>からCへという変異が夫々の遺伝子座に存在し、Val^<134>がGlnへ、His^<220>がProへという置換のいずれも活性を低下させた。本患者の家族はどちらかの変異がをもつ保因者であった。コプロポルフィリンオキシダーゼ:本症例の一方の遺伝子座でA^<514>からC、他方にはG^<265>からA、G^<580>からAという変異があり、Asn^<172>からHis、Gly^<89>からSer、Val^<194>からIIeに置換していた。発現実験でGly^<89>の置換で活性は低下するが、他は遺伝子多形であることが示された。本患者の姉妹はGly^<89>置換を有する保因者であった。フェロケラターゼ:本症例の異常はエキソン2の欠失であり、フレームシフトにより29番目のアミノ酸残基で停止していた。父親にも突然変異が存在したが保因者であった。
著者
上野 和之 神山 新一 MASSART R. BACRI J.ーC. 小池 和雄 中塚 勝人 神山 新一 上野 和之
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

平成9年4月から平成11年3月までの2年の研究期間中に2回の日仏共同研究セミナーを開催し、研究成果の発表と討議を通して共同研究の進展が図られた。2年間の共同研究の成果をまとめれば、以下のようになる。1. 高機能磁性流体の開発とその物性超微粒子の表面改質や各種ベース液への安定分散の成功により、磁性流体の高機能化が進み、知能流体としての特性の解明が進められた。特に、超微粒子の磁化特性や超微粒子を含む磁性流体の光学特性(Soret effect)の解明が、測定法の開発も含めて進められた。また、液体金属を母液とする磁性流体の開発も進められた。2. 管内流動特性の解明高機能磁性流体を用いて、管内振動流や気液二相流の流動特性に及ぼす磁場の影響が詳細に解明された。特に、非一様磁場下での磁性流体の加熱沸騰を伴う気液二相流の熱・流動特性の解明が進められた。3. 応用研究磁性流体の応用研究としては、ダンパ、アクチュエータ、ヒートパイプ、エネルギー変換システムの開発に関する基礎研究が進められた。
著者
志賀 永嗣
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

炎症性腸疾患を対象としたGenome wide association study (GWAS)のメタ解析によって、NKX2. 3が潰瘍性大腸炎感受性遺伝子候補であることが示された。NKX2. 3が感受性遺伝子であることを確定するために(1)NKX2. 3遺伝子領域のTag SNPを用いて、日本人潰瘍性大腸炎と相関するハプロタイプを同定した。(2)同定したリスクハプロタイプは、潰瘍性大腸炎炎症局所において非リスクハプロタイプと比較し高発現していることが確認された。(3)NKX2. 3は少なくとも、血管内皮培養細胞にて発現していた。
著者
小原 春雄 大石 幹雄 洞口 正之 丸岡 伸 本間 経康
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

通常使用している診断用X線装置のX線管は、熱電子放出を利用した熱陰極X線管であるのに対し、試作したX線管は電子の電界放出を利用した冷陰極X線管(フラッシュX線管)である。高エネルギー放電によるフラッシュX線装置は、直流高電圧発生装置、高容量コンデンサ、フラッシュX線管、エアーギャップスイッチ、トリガ発生装置、高真空排気装置で構成され、フラッシュX線管は陽極、陰極、トリガ電極で構成される。このフラッシュX線管のもとで発生するフラッシュX線装置の諸特性は、電極(陽極、陰極)の材質、陽極-陰極間距離、陰極-トリガ電極間距離、真空度の四つの因子により異なる。電極の材質の検討では、セリウム(Ce:原子番号58)、イッテルビウム(Yb:70)、タングステン(W:74)で検討したが、充電電圧90kV、真空度(6.65×10^<-3>Pa)の条件のもとで、Wが他と比較し1.3倍のX線強度が得られた。X線出力の測定は応答の速い液体シンチレータ(応答時間:10^<-9>sec)で検出し、デジタル・オシロスコープで測定し、波形解析を行った。充電電圧90kVの放電時のX線曝射時間はパルス幅10%で1μsec.以下となり、管電流は4×10^4A(瞬間大電流)であった。フラッシュX線管の焦点の大きさは、ピンホールカメラを用い焦点測定を行った。電極間距離を小さくすることで小焦点の傾向にあったが、電極間距離0,9cmで最小の焦点となり、2.0×2.3mmの大きさを得た。模擬被写体(メトロノーム、タングステンワイヤの振り子、コップに落下する造影剤、プラスチック弾の物体への衝突)の撮影では、完全静止画像の確保を可能とし、高鮮鋭度の画像が得られた。模擬被写体を通して得られた結果から、試作した本装置を用いることで、新生児・小児撮影および高齢化に伴う老人、脳卒中・脊髄損傷者を含む機能障害・能力障害等の動作停止不可能な被験者の撮影では完全静止画像の確保が可能となることを確証した。
著者
川本 隆史
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、1970年代から英語圏の倫理学・社会哲学の領域で活発に論議され成果が蓄積されてきた「社会正義論」の観点から、租税の根拠と再分配原理を考察し、あわせてわが国の租税制度のあるべき姿を構想することをねらいとする。租税の根拠についての説明としては、「利益説」と「義務説」という二つの有力な立場があるが、未だ決着を見ていない。さらに租税の機能の一つに資産および所得の再分配があるとされるけれども、租税を通じての再分配原理の実質まで立ち入った論議はほとんどなされてこなかった。そこで本研究は、そうした欠落を埋めようとするものである。初年度は、まずこれまでの「社会正義論」における租税論の蓄積を吟味ししつ、租税の根拠および再分配原理の探究がどれほど深化しているかを見定めた。研究第二年度には、折りよくMhrphy, L.and T.Nagel, The Myth of Ownership : Taxes and Justice,2002が刊行された。本書のポイントは、「われわれが正当に稼いだ所得なのに、政府はその一部を税金として取り立てている」との臆断の無根拠さを暴きながら、「租税の公正よりもむしろ社会の公正こそが租税政策を導く価値であるべきで、所有権は因習・規約に基づくものに過ぎない」と主張するところにある。研究第二年度から最終年度にかけて、本書をしっかりと読み解くことで、著者らが提起した「社会の公正」という理念と照らし合わせつつ、「あるべき税制」を共同で探究する作業の基礎を固めることが出来た。その成果は、学会誌等への寄稿や学会・研究会での報告に随時盛り込んだ。
著者
金武 潤
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

連続データの特性を生かした死後経過時間推算アルゴリズムの開発を目的として、新たに直腸温2次元温度分布測定用センサーを投入した実験系の構築を目指した。(1)2次元温度分布センサーの作製複数の熱電対を内装した専用装置を設計・作製し、寒天モデルを使用してその妥当性を確認した。肛門部から2cm間隔で8点を同時に測定することにより、長軸方向の温度分布を詳細に捉えることが可能となった。(2)可搬型疑似生体モデルの開発腰部マネキンモデルを作製し、長軸方向温度分布データの採取に成功した。しかし、全装置重量が20kgを超え、可搬ではあるものの死体発見現場に容易に持ち込み可能な水準ではない。モデル構成成分・材質等のさらなる検討が必要であり、またセンサー部とデータ解析・蓄積部の無線・赤外線通信等による分離の必要性が認められた。(3)ヒト死体温データの採取実験計画通り、宮城県下の5署に新たに開発され高分解能型小型温度データロガを配備し、剖検予定の死体を対象に直腸温データの採取を行った。従来法に比べ高精度の解析が可能となり、変曲点抽出が可能となった。一部は鑑定に採用し嘱託者に還元した。(4)実験動物を対象とした直腸温データの採取当初、小型動物としてウサギ、大型動物としてシカを対象に計画していたが、上記(1)・(2)の開発計画の遅れから、シカを対象にした予備実験のみ実行した。高分解能型小型温度データロガを用いて、3点計測によりシカ直腸温を採取した。長軸方向の温度分布が観察され、本研究の目的にかなったデータ採取が可能であることが確認された。
著者
中島 平
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、撮影中の映像にリアルタイムで学習者や観察者が「面白い」「後でチェック」などのマークをつけ、授業後に振り返り可能なシステムを提案するとともに、システムを有効に活用する教育方法を開発した。特に将来教員を目指す学生に対して、効率的・効果的な教育改善が可能となることを示した。また、大人数講義における教員-学生間コミュニケーションを促進することを示した。さらに、システムの使用により学習者の宣言的知識の記憶保持が改善されること、そして、一般的なコミュニケーション力育成に使用可能であることも示した。
著者
金浜 耕基 金山 喜則 西山 学
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

シュッコンカスミソウの開花は遠赤色LED光によって促進され、LED光による開花促進効果はFLOWERING LOCUS T の発現においても認められた。また、遠赤色単独よりも、遠赤色光に、単独では開花促進効果を示さない赤色光や青色光を混合すると、著しい開花促進効果のあることが示された。シュッコンカスミソウのほかに、トルコギキョウや四季成性イチゴにおいても同様の傾向が示された。LED混合光の開花促進効果は電球型のLED光源(試作品)においても認められた。
著者
飯島 克則
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

食道・胃接合部で発生する癌は、欧米を中心に急速に増加しており、食生活の欧米化などに伴い、今後、本邦でもその増加が危惧されている。私は、これまでヒトの食道・胃接合部で限局性に発生する一酸化窒素(NO)が同部の炎症・発がんと関連しているという仮説をたて研究を進めてきた。今回のラットの動物モデルを用いた研究で、NOが食道・胃接合部の粘膜表面に傷害を及ぼすことを明らかにされ、今後、発がんとの関連に関しての検討が期待される。
著者
加藤 寧
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究グループでは、動画特有のトラヒックパターンの利用によって動画が視聴されているか否かを検知する技術を研究してきた。しかし、近年ストリーミング動画にも暗号化が施される場合がほとんどとなり、既存の技術では暗号化へのロバスト性が低く、新たな手法の考案が大きな課題であった。そこで本研究では、暗号化ストリーミングに対応できる新たな視聴検知技術を確立し、その性能と有効性を評価した。
著者
冨永 悌二 井小萩 利明 高山 和喜 牧志 渉 松浦 祐司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

衝撃波損傷ラットモデルでは10-15MPa以上で照射側に脳内出血・壊死が認められた。その周囲では脳梁を介して反対側におよぶ広範囲で色素漏出とmatrix metalloproteinase発現増加が認められ、血管透過性亢進を示唆する所見と考えられた。対側には神経細胞の紡錘化を認め、頭蓋模擬モデル実験から頭蓋骨に反射した反射波とキャビテーションの発生が部位特有の損傷に関与するものと考えられた。グリオーマ細胞株への照射により種々の薬剤のうち、ブレオマイシンのみが照射回数依存的に細胞増殖能抑制効果を示した。
著者
菊谷 昌浩
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

自由行動血圧測定での、拡張期血圧と収縮期血圧の回帰係数が、その個体の動脈硬化を反映するとされAASIと呼ばれる。以下の3点を明らかにした。(1)血圧データ数が35個以上であれば、脳心血管死亡の予後予測能には影響を与えないこと。(2)家庭血圧によって導出されたAASIは脳梗塞発症を予測すること。(3)家庭血圧によって導出されたAASIは頸動脈中膜内膜複合体厚と弱い関連があること。
著者
中畑 則道 守屋 孝洋 小原 祐太郎 斎藤 将樹
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

脂質ラフトはスフィンゴ脂質、コレステロールやスフィンゴ糖脂質などに富む細胞膜マイクロドメインであるが、受容体を介するシグナル伝達が効率的に行われる場としても重要であることが近年示唆されている。P2Y_2受容体はG_<q/11>と共役することが知られているが、本研究ではNG108-15細胞を用いて、P2Y_2受容体を介するシグナル伝達と細胞の遊走反応における脂質ラフトの役割について検討を加えた。NG108-15細胞を蔗糖密度勾配遠心法を用いてトリトンX-100に不溶性の画分を分離すると、そこの画分には脂質ラフトマーカーであるコレステロールやフロティリン-1、ガングリオシドが局在した。G_<q/11>およびP2Y_2受容体は部分的にこの画分に存在した。さらに、メチル-β-シクロデキストリン(CD)処理は、脂質ラフトマーカーのみでなく、G_<q/11>およびP2Y_2受容体もその画分から消失させるとともに、P2Y_2受容体を介するホスファチジルイノシトール水解反応や細胞内Ca^<2+>濃度上昇作用のシグナル伝達、さらにP2Y_2受容体を介する細胞遊走反応も抑制した。これらのP2Y_2受容体を介する反応は、G_<q/11>特異的阻害薬のYM254890によっても強く抑制された。一方、CDあるいはYM254890処理は、P2Y_2受容体を介するRhoの活性化を強く抑制した。Rhoの下流と考えられるストレスファイバーの形成やコフィリンのリン酸化反応もCDあるいはYM254890処理によって強く抑制された。しかし、G_<12/13>のドミナントネガティブを発現させてもP2Y_2受容体を介するRhoの活性化シグナルは抑制されず、本細胞においてはP2Y_2受容体刺激によってG_<q/11>を介してRhoの活性化が引き起こされ、それは脂質ラフトにおいて起こっている事象であると考えられた。すなわち、脂質ラフトはP2Y_2受容体を介するシグナル伝達において重要な役割を有することが本研究によって明らかになった。
著者
壹岐 伸彦 星野 仁 高橋 透
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は社会安全性確保を志向し, 土壌中交換態Cd, Pbなど重金属の簡易迅速定量法を開発することを目標とした.まずチアカリックス[4] アレーンを土壌検液作成時に用い, 溶出時間を6時間から10分に短縮し, 迅速化した.次いでチオセミカルバゾン配位子を本検液に添加し, 生成した錯体をHPLCに供することで, 土壌マトリクス成分の影響を受けない, ppbレベルの高感度検出を可能とする高性能化学計測法を開発することに成功した.