著者
高橋 善男 川村 仁 林 進武
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.43-52, 1983-09-15

昭和51年から昭和56年までの6年間に, Obwegeser-Dal Pont法を適用した骨格型不正咬合者39症例を経験した。症例は男性16名, 女性23名で, やや女性が多かった。手術対象者は骨格型下顎前突症が大半をしめていた。手術時年齢は16歳から28歳までで, 男女とも20歳前後に集中していた。手術時間は120分から290分であり, 平均は209分であった。出血量は105mlから1,961mlまでであり, 平均は549mlであった。女性では比較的骨が柔らかく手術操作がやりやすい印象があり, 手術時間は短く, 出血量も少なかった。手術による下顎歯列弓の移動は, 対象症例が骨格型下顎前突症が主であったことから, 後方に移動するものが殆どであった。移動範囲は後方へ0mmから19mmであり, なかでも, 8mmから10mm程度後方移動するものが多かった。なお, 前方への移動も1例にみられ, それはPogonionを前方へ15mm移動した症例であった。その前方移動例を除いた術前のoverjetは-10.0mmから3.0mmに分布し, -5.0mm付近への集中がみられた。術後矯正終了時のoverjetは1.5mmから4.5mmの範囲にあり, 3.0mm前後に集中していた。術前のoverbiteは-6.0mmから9.0mmに分布し, 0から3.0mmのものが多かった。術後矯正終了時のoverbiteは0.5mmから4.0mmとなっていた。以上のごとく, 本手術法を適用した骨格型不正咬合者の術後矯正終了時のoverjet, overbiteは良好な状態を示していた。
著者
菊池 雅彦 坪井 明人 岩松 正明 玉澤 佳純 木之村 重男 下西 充 高津 匡樹 伊藤 進太郎 駒井 伸也
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

脳MAI検査による画像から得られた大脳虚血性病変に関するFazekasスコアと口腔内状況との偏相関分析(年齢調整)を行ったところ、上顎歯数および上下顎合計歯数と、一部の病変のFazekasスコアとの間に有意(p< 0.05)な負の相関が認められた。大脳虚血性病変は認知機能障害と関連することが報告されており、今回の結果から、歯の保有数、とりわけ上顎の歯数が少ないほど、認知症のリスクが高くなる可能性があることが示唆された。
著者
大町 真一郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

自ら移動して環境の情報を積極的に取得して行動する知能ロボットへの応用を想定し、映像を用いた実環境中の物体の頑健でかつ高速な探索法を開発することを目的として研究を行った。高速化を実現するために、画像を多項式で表現する手法、および、多項式を用いて探索を高速に行う方法を開発した。まず、画像を関数で適切に表現する手法について検討した。様々な関数形を調査した結果、多項式により画像を十分な精度で表現できることが分かった。ただし、多項式で近似する際に最小二乗法等の良く知られた方法を用いたのでは計算誤差によって適切な近似画像が得られないことも確認された。そのため、直交多項式を用い、直交多項式の完全性を利用して画像の近似を内積計算で実現する手法を開発した。次に、画像を近似する多項式と入力画像との類似度計算を効率よく行う手法を検討した。その結果、多項式の係数ごとに類似度を計算し、それを足し合わせることで、高速に類似度計算を行う手法を開発した。実験を行い、従来の高速化法と比較して、提案手法がはるかに高速であることを確認した。ところで、一般に画像パターン認識では単一の画像を用いるよりも、複数の画像を用いて統計的に適切な認識結果を得る方が一般に性能が良い。これらを考慮し、提案手法を部分空間法に適用する手法を提案した。部分空間法では、複数の学習パターンからそのパターンを表わす基底を構築し、基底への射影成分を求めることで認識を行なう。これにより認識精度が向上するだけでなく、一般に基底は低周波成分の多いパターンとなるため、多項式による近似精度も向上させることを可能とした。さらに、本手法の考え方を、代表的な信号処理の手法である連続ウェーブレット変換の高速計算に応用した。多項式を用いた内積計算の高速化法を拡張し、連続ウェーブレット変換に必要な積分計算を高速化する手法を開発した。
著者
沼崎 一郎
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

本研究では、植民地期から戦後にいたるまでの日本と台湾との企業間関係のエスノヒストリーを再構成することを目的とし、文献調査と聞き取り調査を組み合わせて、日台企業文化交流史の基礎資料の収集を行った。植民地期の台湾における日本人企業家と台湾人企業家の交流については、自伝や回顧録、社史やパンフレットを収集した。戦後の日台企業関係については、台湾駐在経験のある日本人ビジネスマン数名を対象にインタビューを実施した。戦前の台湾で企業活動を行っていた日本人に対する聞き取りは実施できなかった。これは今後の課題として残る。ただし、戦前台湾に居住していた大学教授夫人にインタビューし、女性の立場から見た当時の日本人と台湾人との関係についての体験を聞くことができた。植民地期の台湾では、多くの台湾人が日本人経営の商店で丁稚奉公をしており、そのような体験を通して、日本的な商業慣行や文化を学習した。これに対して、日本人の側は、日本語を解し、日本的行動様式を学習した台湾人とのみ交流した結果、台湾商人固有の商業文化を学という姿勢は見られなかった。ここで、台湾では「日本式」企業文化が通用するという「誤解」が形成され、この「誤解」は現在まで継承されている。この「誤解」の中核にあるのが、台湾側が個人と個人の関係とみなす関係を、日本側が組織と組織の関係と誤認することである。しかし、この文化的「誤解」は、日本と台湾の企業間関係を損なうこともあったが、新たな展開を生むこともあった。台湾人社員を日本的な組織人と「誤解」した日本企業が技術研修を与え、退社して独立した台湾人が本社の下請け企業となり、結果として意図せざる技術移転が行われた事例が多々ある。このようにして、日本的に社会組織に台湾的な個人企業を結び付くという、新しい形態の異文化間ビジネス・ネットワークが形成されてきたことが明らかとなった。
著者
中野 栄二 庄司 道彦 王 志東 高橋 隆行
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1.実験機の試作操縦型連続移動歩容の検証のために,18自由度をもつ脚車輪ロボットの実験機を製作した.2.オペレータによる操縦に的確に反応する脚相管理歩容の実現オペレータの指示する速度が限度を超えたときに,脚の復帰動作が間に合わずに推進動作が停止する問題が明らかになり,この点の解決に特に重点を置き,集中的に研究を行った.その結果,これまで提案してきた脚相管理歩容ときわめて親和性の高い,かつ効果的な方法の開発に成功した.この方法の主要な部分は以下の通りである.(1)ベースとなる脚相管理歩容とは,脚が可動限界に到達して推進動作が継続不可能になる時刻を予測し,それに基づいて脚の復帰動作開始タイミングを決定する手法である.この手法は,脚の機械的な可動限界到達までの時間と,可動限界からの復帰に要する時間を比較し,継続的な推進動作を実現するものである.(2)しかしながらオペレータの指示速度が過大で,脚の動作タイミングの制御のみでは推進動作の継続性が維持できない場合,速度指令を強制的に小さくすることにより,機体が実現可能な範囲内で最大の速度が出せるようにする.この二つの手法を併用することにより,制御対象である脚車輪型ロボットを不整地上で継続的に動作させることに成功し,また速度指令が一定の場合については,脚の復帰動作を最小限に抑えた効率的な推進動作が実現できることを確認した.3.安定性を考慮に入れた脚相管理歩容の拡張上述の脚相管理歩容を,任意に設定した転倒安定余裕を確保しつつ継続的推進動作が可能なように拡張した.
著者
高橋 英樹
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

植物の葉表面や葉組織には微生物が生息し、植物や病原微生物と相互作用することによって、植物の生育や様々な環境ストレス・病虫害に対する耐性に関わっているものと推察されている。本研究では、イネ植物体の細胞間隙に生息する微生物群集の多様性と、同微生物の植物への耐病性付与について研究を行なった。その結果、(1)イネの細胞間液から抽出したDNAを鋳型とした16Sと18S_rDNA断片のPCR-DGGE法によるバンドパターン解析と塩基配列を用いたデータベース解析から、微生物集団の多様性と微生物種の推定が可能である。(2)有機栽培イネの細胞間隙液に特徴的な内生菌として、Pseudomonas sp., Bacillus sp., Curtobacterium sp., acinetobacter sp. 等を見出すことができた。(3)同分離菌の中には、イネいもち病菌の感染、増殖に抑制的な働きをもつものや、イネもみ枯細菌病菌による苗腐敗症を抑制するものが存在していた。以上のことから、有機栽培イネの細胞間隙液に存在する内生菌集団の中には、病原菌の感染、増殖に抑制的な働きを持つものが存在している可能性が考えられた。
著者
三井 唯夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

大容積・低バックグラウンドの液体シンチレータ検出器に、到来方向検出と粒子識別の能力を付加するための基礎研究を行った。液体シンチレータの発光点をイメージインテンシファイアユニットによって撮影することによって、1MeVガンマ線の位置分解能が、現在の15cmから5cmへと改善することを実測した。また、以前開発した「リチウム6液体シンチレータ」の中性子捕獲時間・捕獲後アルファ線エネルギーの測定を行った。これらの基礎データを用いて、地球ニュートリノ到来方向測定のシミュレーションを行った。
著者
木村 智樹
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

木星極域の周期的な高エネルギー粒子加速・オーロラ発光等との関連が示唆されている準周期的低周波電波バースト現象Quasi-Periodic burst(以下、QPバースト)は、木星極域磁気圏における周期的で強力な粒子加速過程の情報を反映する重要な現象だと考えられている。しかし、その周期性(数分、15分、40分変動)の決定要因・発生領域・発生機構等の詳細は長年不明であった。本研究では、それらの根源的物理過程を考え、極域における粒子加速過程解明を目標に研究を行った。まず研究代表者は、カッシーニ探査機の波動データに基づき、励起機構に密接に関連のある、電波の偏波特性や到来方向を解析した。その結果、QPバーストの励起機構や伝搬過程に、新しい観測的制約を与える事ができた。また、電波伝搬モデリングと木星の低・高緯度領域で得られた偏波観測結果を組み合わせ、QPバーストの放射源位置や伝搬モードについて議論した。その結果、同現象はある特定の放射源位置とモードをもって励起している事が示唆された。さらに、示唆された放射源位置において、観測や伝搬モデリングと整合する波動が励起される可能性を、波動励起の理論計算に基づいて検証を行った。その結果、極域における高エネルギー粒子によって、観測・モデリングと整合する電波が励起される事が実証された。上記研究結果に関して、国内外の複数の学会において発表を行った。また、上記研究に関連する研究結果が、学術誌(Journal of Geophysical Research誌)に採択された。
著者
渡邉 裕樹
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成20年度は,(1)計算機代数を応用した形式的検証手法および(2)高信頼なデータパスジェネレータに関する研究を平行して実施し,それぞれ以下の成果を得た.(1)大規模な算術演算回路に対する効率的な機能検証手法の実現を目指し,まず,重み数系と整数方程式を用いて算術演算回路を統一的に表現可能なデータ構造を提案した.このデータ構造に対する検証手法として,グレブナー基底や多項式簡約など計算機代数の手法に基づく手法を提案した.また,従来の形式的検証手法との比較し,算術演算回路の種類に応じて提案手法と従来手法を切り替えることで,検証時間を大幅に削減できることを明らかにした.(2)提案手法に基づく検証系を組み込んだモジュールジェネレータを開発した.本システムは,多入力加算や積和演算などの多様な算術アルゴリズムをライブラリとして有し,その組み合わせで900種類を越える演算器モジュールを自動生成することができる.また,計算機代数に基づく形式的検証を適用することにより,64ビットの演算器であれば数分以内に検証することができる.本システムを公開したWebページ(http://www.aoki.ecei.tohoku.ac.jp/arith/mg/)は,平成20年度末までに12万件以上利用されている.以上の研究により,計算機代数に基づく算術演算回路の形式的設計手法を提案し,その有効性を示すとともに,実用性の高い演算器モジュールジェネレータを実現した.
著者
桜田 晃 遠藤 千顕
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

肺腺癌細胞においてリン酸化蛋白を質量分析計を用いてスクリーニングし、EGFR遺伝子に強く制御を受けている複数のタンパク質を同定した。これらの蛋白質が肺癌の進展に関与するかどうか検討するため、同定された蛋白のひとつであるGRLF1/p190A RhoGAPの機能を解析した。本蛋白が肺癌細胞の増殖に関与することが示され、今後の治療標的の候補となり得ると考えられた。
著者
斎藤 喬
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本年度は、当初の研究実施計画に沿って平成19年9月21日から同年12月21日までの91日間フランス共和国に滞在し、研究対象となる「グラン・ギニョル」に関連する文献資料等の収集を行った。これまでパリの「グラン・ギニョル」に関連する研究はフランスにおいてもごくわずかなものであったが、本年はアメリカの研究者によるロンドンの「グラン・ギニョル」についての専門書が刊行された。また、演劇史的観点から「グラン・ギニョル」以前となる17世紀までのホラーのスペクタクルについて論文集が編まれるなど、ごく近年になって非常に著しい成果が見られる。報告書の作成においてこれらの関連資料は不可欠であると同時に、欧米における「恐怖」研究の広がりと深まりを如実に感じさせるものである。しかしながら、宗教学的な視座をもってこのような対象を分析する研究は現在のところ管見の限り見当たらない。上記した「グラン・ギニョル」関係の成果以外に、本年度は雑誌論文が一本掲載された。そこでは、十八世紀西欧において、啓蒙主義思想家たちが当時の民衆を理性の光で開明された状態へと導こうとする言説と、彼らが批判し脱却しようとした旧弊としてのキリスト教的な制度を形作る説教の言説とが「教える」という身振りにおいて形式的な相同性を持つことを指摘している。その他、東京大学で行われた表象文化論学会第二回大会において、「死」と「ホラー」を主題とするパネル発表を企画し構成した。広義のスペクタクルに携わる多くの研究者が集うこの大会において、「恐怖」なる感情を直接の研究対象として提示し取り上げることができたのはたいへん有意義なことである。
著者
熊井 正之 森 つくり 内田 愛
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.81-90, 2007-03

言語発達の遅れや障害によってインタビューや質問紙の適用が困難な障害幼児の課題場面における動機づけを分析する方法を検討することが本研究の目的である。対象は最重度聴覚障害の4歳男児であった。始発と目標の視点を組み合わせた分析の枠組みを用いて、児の動機づけに関する行動観察データの分析を試みた。その結果、分析者内においても、分析者間においても十分な信頼性が確認された。
著者
遅澤 壮一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

四国中央部の三波川高圧型変成帯を広域マッピングした。マッピングは、大歩危砂質片岩、緑泥石帯主要部、緑泥石帯Lテクトナイト、ガーネット帯、アルバイト-黒雲母帯、オリゴクレース-黒雲母帯に、帯区分して行った。その他、砂質片岩、石灰質片岩、ピーモンタイト珪質片岩、マフィック片岩、アンフィボライト、エクロジャイト、変成超塩基性岩の特徴的な岩相を独立にマッピングした。エクスヒューメイションはデタッチメント断層を伴うウェッジエクストルージョンに始まり、アウトオブシークエンススラスト(OST)とデュープレックスに引き継がれ、最終的に正立褶曲に装飾されている。中央構造線は三波川変成岩のルートである。エクロジャイトは御荷鉾オフィオライトのメタモルフィックソール由来と思われる。
著者
尾形 雅君 伊藤 恒敏 松谷 隆治
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

抗CD3抗体を生体マウス腹腔に投与するin vivo実験系を用いて、小腸絨毛上皮細胞にDNA断片化が誘導され、さらにその後核内の損傷部位にDNA修復関連分子が集積・動員されること我々は免疫組織化学的に観察した。DNA断片化を検出するTUNEL 法では、一旦断片化したDNAが抗体投与後60分以内に迅速に修復されることを確認した。DNA断片化それ自体だけでは細胞死を意味せず、DNA 断片化後にも絨毛上皮細胞は生きてDNAを修復することが判明した。DNA断片化はそれのみでは細胞死の徴候ではないことが明らかとなった。
著者
南 優子 鈴木 貴 角川 陽一郎 大内 憲明 立野 紘雄 多田 寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

閉経後乳癌62名の血中・乳腺組織中ホルモン濃度と乳がんリスク要因との関連を解析した。ホルモンレセプター陽性の場合、エストラジオール(E2)の組織中濃度は血中濃度の43.7倍、陰性では14.5倍。また、ホルモンレセプター陽性では「授乳歴あり」で組織中E2濃度が高くなる傾向が認められた(p=0.01)。これらよりホルモンレセプター陽性乳癌組織内ではE2が生合成または血中から集積され、その機序に授乳歴が関与している可能性が示唆された。
著者
平野 勝也 和田 裕一 森田 直子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究により,街並みメッセージが,場所単独のイメージのみ成らず.係留効果を通じて,場所が展開する場合において,大きく場所のイメージに影響することも明らかにした.そのことにより,既に明らかになっている場所単独のイメージと,表通りから裏通りに入ると言ったような場面展開のパタン整理を,様々な繁華街において調査を実施することを通じて,繁華街を創り上げていくデザインボキャブラリーとしての取り纏められた.
著者
藤原 均 野澤 悟徳 前田 佐和子 三好 勉信 品川 裕之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

地表から大気上端(~700km高度)にいたる領域の気温、風速、組成変動を計算可能な数値モデルが研究代表者らのグループによって世界で初めて開発された。この数値モデルシミュレーションとレーダー観測データから、下層大気に起源を持つ高度300 km付近の超高層大気変動のいくつかを明らかにした。特に、極冠域では従来認識されていた以上の激しい大気変動を観測、シミュレーションの双方から明らかにすると伴に、低緯度領域では、これまではシミュレーションでは再現不可能であった真夜中の温度極大の再現に成功した。
著者
井上 亮 有山 達郎 北村 信也 岡部 徹 山本 高郁
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

溶銑中V溶解度の温度依存性、高炉スラグ/溶銑間V分配比から、鉄鉱石中のVは炭化物を析出せずに溶銑に移行することがわかった。溶銑予備処理および転炉工程でV及びNbが含FeOスラグ中に取り込まれることを見出した。このスラグの冷却凝固過程でV はCalcium silicate相およびCaO-FeO-Al_2O_3相に、NbはCaO-FeO-Al_2O_3相に、PはCalcium silicate相にそれぞれ濃縮したことから、これらの鉱物相を分離することによって、高濃度のV、Nb、Pを含む鉱石代替品とすることが可能であった。