著者
吉田 克己
出版者
東北大学
雑誌
東北大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13488899)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.93-98, 2006
被引用文献数
1

In the present review, the clinical utility of determining red blood cell (RBC) carbonic anhydrase I isozyme (CA1) and zinc (Zn) concentrations in patients with various forms of thyroid disease is discussed. RBC CA1 and Zn concentrations were both decreased in patients with hyperthyroid Graves' disease, and the RBC CA1 concentration significantly (r=0.95) correlated with the RBC Zn concentration. After treatment, the normalization of RBC CA1 and Zn lagged 2 months behind normalization of plasma thyroxine (T4) and triiodothyronine (T3) levels. Furthermore, the highest correlation coefficients were observed between RBC CA1 and Zn levels and plasma thyroid hormone levels measured 8 weeks earlier. Transient thyrotoxicosis due to destructive thyroiditis did not cause significant changes in the RBC CA1 and Zn concentrations. T3 at a physiological free concentration significantly decreased the level of CA1 mRNA and the concentration of CA1 in burst-forming unit-erythroid-derived cells. These results indicate that the measurement of RBC CA1 and Zn concentrations may be useful as follows: (1) in obtaining an accurate estimate of the extent of elevated thyroid hormone levels in hyperthyroid patients in whom serial measurements were not obtained over time; (2) in differentiating patients with hyperthyroid Graves' disease from those with transient thyrotoxicosis.総説Review Article
著者
佐藤 讓 前川 英己 朝倉 祝治 岡部 徹 山口 勉功
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

カネミ油症事件を引き起こしたPCBや、ゴミ処理時に発生するダイオキシン等の有機ハロゲン化合物は、人体に有害で環境に深刻な影響を及ぼし、かつ処理困難である。本研究の目的はこれらをほぼ完全に分解することにある。有機ハロゲン化合物の処理で最も困難なものは、成分であるハロゲンを如何に効率よく無害な物質に変化させるかである。化学的に最も安定なハロゲン化合物はアルカリ金属等との無機塩である。そこで、これに最適な方法として塩基性の溶融塩による分解処理を選定した。本研究では、強塩基性の溶融塩としてKOH-K_2CO_3およびNaOH-Na_2CO_3混合塩を用い、これに被処理物の溶液とキャリアガスである模擬空気を混合して吹き込み、ガスクロマトグラフィー・マススペクトロメータ(MS/GC)を用いて排ガスの分析を行った。15年度においては四塩化炭素を対象にして、16年度においてはモノクロロ、ジクロロおよびトリクロロベンゼン等を対象として実験を行った。17年度においては、これらのクロロベンゼン類の確認実験を行うと共に、PCBの一種である4-4'ジクロロビフェニルベンゼンを対象として実験を行った。実験では試料を含む溶液をキャリアガス(模擬空気、酸素あるいは窒素)に混合して溶融塩中に吹き込んだ。これらの流量を独立のコントローラによって制御し、吹き込む混合物の流量・濃度を変化させた。トリクロロベンゼンおよび4-4'ジクロロビフェニルは常温で固体であるために溶媒に溶かし、比較的希薄な溶液とした。その結果、総ての化合物について700℃以下の低温で99.998%以上の分解効率を得た。またキャリアガスとして窒素用いた実験でも同程度の分解効率を得たが中間生成物が検出された。しかし、それらは何れも塩素を含まないものであり、CO_2やH_2Oまでの完全分解とは行かずとも無害化の観点からは有効であり、本方法のPCB分解処理への適用が有効であることが確認された。
著者
小竹 武 新井 仁之 板東 重稔 伊藤 秀一 高木 泉 加藤 順二 小野 薫
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

多様体上の解析学としての大域解析が包括する研究対象は多岐にわたる。本研究では、種々の偏微分方程式の解構造の研究、力学系、関数微分方程式の摂動と安定性の研究、非線型解析の微分幾何学、数理物理学への応用等、解析学と幾何学、数理物理学との境界領域での研究の進展をはかるとともに、これら研究における解折手段として重要な調和解析および作用素の理論等の深化につとめた。以下、本研究において得られた新たな知見、成果の概要を記す。1. 偏微分方程式論に関するものとして、一般な正値ポテンシャルをもつシュレディンガ-作用素に対する固有値の漸近分布についての結果、およびリ-マン多様体上の熱方程式に対するヴィダ-型一意性定理の証明、更に、楕円型作円用素論の幾何学への対用として、ディラック作用素族の芸変指数についての研究、正則ベクトル束の除去可能特異点についての研究等が挙げられる。2. 力学系の分野では、可積分なハミルトン正準方程式系の特異点近傍での標準型への還元に関する研究、一方、遅れをともなう関数微分方程式に対する大域解の存在、安定性についての研究等がある。3. 非線型解析に関しては、拡散・反応方程式系について解の詳しい幾何学的研究がなされ、パタ-ン形成や将異点発生等について興味ある結界が得られた。4. 調和解析では、強擬凸領域上の〓〓調和関数の境界挙動に関するファトゥ型定理の証明がある。 2、作用素環の順序構造と正則完備化の構造との関係について新しい知見が得られた。5. バ-クマン核の研究では、領域がラインハルト領域のとき、核のトレ-スと境界のチャ-ン・モ-ザ-不変多項式との関係が明確化され、その応用として、複素球の大域的特徴づけが示された。
著者
田代 学 藤本 敏彦
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

健康な日本人若年男性を対象として、一過性の全身運動直後の急性効果および数日間の継続的運動による慢性効果が細胞性免疫機能(ナチュラルキラー細胞活性 : NKA)および局所脳活動にいかなる影響を与えうるかを本研究で調べた。NKAは一過性運動終了後に軽度上昇し、その後低下する傾向を示した。継続的運動後ではNKAが軽度上昇する傾向が観察された。全身運動に伴う局所脳活動とNKAの関係については、急性運動時および慢性運動時の影響に差異が観察された。一過性運動後にNKAの値と有意に正の相関を示した脳領域は、中心後回および前回、上側頭回、小脳半球であり、負の相関を示した領域は前および後帯状回、頭頂葉であった。継続的運動後の安静時測定では、NKAの値と有意に正の相関を示した領域は前頭葉、側頭葉、頭頂葉にわたる広い範囲であり、負の相関を示した領域は側頭葉、後頭葉、小脳虫部であった。また、全身運動前後に心臓、肝臓、筋肉などの各臓器におけるエネルギー消費の再分配がおこっていることも本研究で明らかになった。健常人においてNKAと局所脳活動との間に相関が示されたことは重要な所見と考えられた。前頭葉の活動とNKAの正の相関が継続的運動の実施後のみで観察されたことから、継続的運動後のNKA値の変化に高次脳活動が関係し、側頭極および下前頭回が情報伝達路として機能している可能性が示唆された。本研究において、全身運動による脳-免疫相互作用が明らかになっただけでなく、全身運動により多様な全身機能の調整が起こり、脳が調節機能を発現していることが示唆された。上記の成果により、PETの健康科学への応用がより現実的となった。
著者
藤井 俊勝 麦倉 俊司 奥田 次郎 森 悦朗 鈴木 麻希 森 悦朗 鈴木 麻希 麦倉 俊司 奥田 次郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒトの記憶については心理学的・神経科学的な研究が数多く行われてきていたが、記憶の間違い-つまり、記憶として想起はできるものの内容が正確ではない場合-のメカニズムについては不明な点が多い。本研究ではヒトの脳活動を間接的に測定することができる脳機能画像法と、脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究によって、ヒトの脳でどのように誤った記憶情報が表象されるのかを検討した。記憶を司る内側側頭葉に対して、記憶を制御する前頭前野が影響を与えていることや、内側側頭葉と感覚情報を処理する感覚皮質の関連が明らかとなった。
著者
阿部 修士
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではまず健常被験者を対象として、虚再認と嘘の神経基盤を機能的磁気共鳴画像法による実験で検討した。嘘は虚再認に比べ前頭前野の活動が高く、また虚再認は嘘に比べ内側側頭葉(右海馬前方)の活動が高いことを報告した。嘘の神経基盤についてはパーキンソン病患者群を対象とした神経心理学的研究を行い、前頭前野が重要な役割を果たすことを報告した。さらに、これまで行ってきた研究成果をまとめた総説を発表した。
著者
三澤 浩昭 森岡 昭 岡野 章一 土屋 史紀
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.外圏大気観測用2次元分光イメージング装置の開発先ず、惑星・衛星外圏大気観測用の2次元分光イメージング装置の開発を行った。本装置は、1)2次元入射光を分光用の1次元出射光に変換するバンドルファイバー製の次元変換光学系と、2)既存の入射/出射光学系と接続するための開口値変換光学系から成る。バンドルファイバーは入射系12×12、出射系144の配列からなる。装置は光学ベンチに組上げ、東北大の60cm望遠鏡(入射系)と高分散分光計(出射系)に接続した。分光データは液体窒素冷却CCDカメラで取得し、PC上でイメージに変換する構成とした。2.水星とイオ衛星の外圏大気の観測1の装置を用いて、イオと水星の大気観測を実施した(継続中)。イオについては、従来、大気放出量にイオの木星に対する視位置依存性が示唆されてきた。その存在の確認と放出様相の確認を目標として観測を行い、様々な視位置について有意なデータを得た。一方、水星については、水星が太陽から大きく離れる観測適期に集中観測を実施したが、天候に恵まれず現時点では大気放出過程導出に重要なデータが十分には得られていない。このため、次の観測適期となる平成18年6月に再観測を行う予定である。3.数値計算による外圏大気放出過程の究明当ループが開発した希薄大気の生成・消失に関するモンテカルロコードを用い、大気放出過程の数値実験を進めた。結果として、水星については、太陽風による水星表面粒子の叩出しが、従来の想定以上に効果的に働いている可能性が示された。一方、イオについては、磁気圏イオンによる大気粒子の叩出し/引剥がしと太陽光による脱離が相作用して放出量を制御している可能性が示された。
著者
三浦 秀一 中嶋 隆藏 熊本 崇 山田 勝芳 安田 二郎 花登 正宏 中嶋 隆蔵 寺田 隆信 村上 哲見 三浦 秀一
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

中世から近世にいたる旧中国の知識人が営んでいた知的活動の諸相を、文献実証額的手法に基づきつつ分析することにより、中国知識人の精神構造が歴史的にどう展開したかについて、総括的な理解と具体的な知見とを獲得することができた。成果の概略は、以下のとおりである。中国中世の仏教界を俯瞰すれば、有に執らわれず、無に陥らず、空有相即を旨とする理行二入の立場が、それに相対立する旧学の側からの、教学を軽んじ戒律を無みするものだとの激しい攻撃と、無なる心をつかみさえすれば形ある修道などどうでもよいとの甘い誘惑とを受けつつも、それらいずれにも屹然とした態度を堅持しつつ困難な歩みを踏み出した、といった構図にまとめることができる。そして、この対立の構図は、その後、一般知識人の精神生活に決定的な影響を与えたと考えられ、中国近世における知識人の精神構造の基本的な枠組みは、この構図を重層的に内面化することで形成されたと判断できる。例えば、北宋の士大夫は、みずからが如何に史に記録されるかについて並々ならぬ関心を抱き、その子孫をも巻き込んで、自身の「事迹」選述をめぐる自己保全運動を執拗につづけている。また、明末清初期の或る一族は、確証が竺少なるにもかかわらず北宋以来の名族との同宗を主張し、族譜の接合・系譜の行為を敢えておこなう。このほか、「封建」と「郡県」との是非をめぐる議論や、六経と史書とを表裏一体の関係で捉える主張が、時代をこえ飽くことなく蒸し返されるように、かれら知識人は、慥かに「有」としての命名・史書・祖法に固執する精神を把持してはいる。しかしながら、同時に、如上の議論が個々の時代社会に対する疑義ないし対案の提示としてなされている事実は、かかる「有」を越えつつそれを包み込む理論的装置をも、かれらがその精神構造の内部に確保していた証左であるとなせるのではないだろうか。
著者
大内 憲明 粕谷 厚生 武田 元博 甘利 正和 河合 賢朗 櫻井 遊
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

抗癌剤の開発において癌の転移メカニズム並びにドラッグデリバリーシステムを理解することは非常に重要である。我々は非常に精度の高い分解能を持った生体内イメージングシステムを開発し、転移中のがん細胞における膜タンパクPAR1を追跡することに成功した。更に、薬剤の大きさと動態の関連の検討のため蛍光ナノ粒子を担癌マウスに注入し生体内イメージングを施行した。更に、抗がん剤内包高分子ミセルの構造的安定並びに抗腫瘍効果を評価する新たな方法を開発した。
著者
島田 照久
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

高解像度の衛星観測と気象シミュレーションデータを解析し、山形県庄内平野に吹き込む季節風は、ユーラシア大陸の地形の影響を受けつつ、日本海の海洋フロントによって段階的に気団変質を起こしていることを明らかにした。冬季季節風は、冬の日本海の海況や日本列島の気象に決定的に影響し、強い季節風が気象災害の原因となることもあった。本研究で明らかになった日本海における大気海洋陸域相互作用は、日本の冬の気象のさらなる理解に貢献する。
著者
北里 洋
出版者
東北大学
雑誌
東北大學理學部地質學古生物學教室研究邦文報告 (ISSN:00824658)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.17-49, 1975-03-31
被引用文献数
19

The present study is undertaken to clarify the age of deposition and extent of geographic distribution of the younger Cenozoic strata (Fig. 2) developed in the Oga Peninsula, Akita Prefecture (Fig. 1). Detailed tephrochronological investigation of the sedimentary rocks was done to trace the geographic distribution of the strata. A total of thirty key beds were traced over the Oga Peninsula area and a few of them were traced further to the Akita oil fields lying southeast of the Oga Peninsula (Fig. 9). Lithologic descriptions and type localities of the key tuff beds are given in Table 1. Magnetostratigraphy, microbiostratigraphy and radiometric dating assumed as the principal means to establish the geochronology of the strata. However, these methods were not accompanied by each other in most of previous works. Accordingly, an attempt was made to apply these methods to the same sections simultaneously and to synthesize their results for comparison. Two routes, the Oga Peninsula main route and the Sarukawa route, were selected in the Oga Peninsula for study. Along these routes, collected were 149 samples for paleomagnetic measurement, 30 samples for microfossil study and 4 samples for radiometric dating. The sampling localities and stratigraphic position in columnar sections are shown in Figs. 4 and 5. Magnetostratigraphy : -In the laboratory, samples were demagnetized in the alternation field of 150 Oersted to remove the unstable secondary components and then the samples were demagnetized in 200℃ thermal field. These samples were measured at every 45° around three axes of the sample with the automatic parastatic-type magnetometer. All numerical values obtained from the measurement were processed by an electric computer, NEAC 2200, Model 500, at the Computer Center of the Tohoku University. The result of measurements are shown in Fig. 6-a, b. The paleomagnetic studies indicate that the lowermost Kitaura, upper half of the middle Kitaura and upper Kitaura to Shibikawa formations are normaly magnetized and the uppermost Funakawa and lower to lower half of the middle Kitaura are reversely magnetized. The rest of the Funakawa Formation is interpreted as being remagnetized and unreliable for magnetostratigraphy. In order to magnetostratigraphic classification, these magnetic reversal patterns are named as AKOG-A, AKOG-B, AKOG-C, AKOG-D, AKOG-E at the Oga Peninsula main route, while AKSK-B, AKSK-C, AKSK-D, AKSK-E, AKSK-F at the Sarukawa route in descending order. Microbiostratigraphy : -Samples for microfossil study were used for planktonic foraminifera and Radiolaria. A part of samples used for paleomagnetic measurement were examined in calcareous nannoplankton and diatom. The results are shown in Figs. 7-a, b. The faunal and floral assemblages are generally monotonous in composition, as same as the present-day biota living in the North Pacific. Among them, species were found to be significant for biostratigraphical correlation, though they occurred sporadically both in the northern and southern sections : they are, planktonic foraminifera : -Globoquadrina asanoi, Globoquadrina kagaensis, Globoquadrina himiensis ; calcareous nannoplankton : -Gephyrocapsa spp. ; Radiolaria : - Eucyrtidium matuyamai, Ommatartus antepenultimus, Ommatartus penultimus, Ommatartus tetratharamus ; diatom : -Actinocyclus oculatus, Pseudoeunotia doliolus and Rhizosolenia praebergonii. Correlation : -Correlation of the magneto-zones with the Cenozoic magnetic time scale of marine sediments (Opdyke, 1972) were accomplished by correlating the associated micro-biostratigraphic events to those recognized already in the paleomagnetic polarity sequence of deep-sea cores (Fig. 8). From the interval of AKSK-F, occurence of Actinocyclus oculatus and Globoquadrina asanoi were recorded. Because of the first appearance of Actinocyclus oculatus and the last appearance of Globoquadrina asanoi, AKSK-F is correlated to the Matuyama reversed Epoch below the "Olduvai" event. Globoquadrina asanoi, Globoquadrina kagaensis, Globoquadrina himiensis, Actinocyclus oculatus and Rhizosolenia praebergonii were found in the intervals of AKOG-E, AKSK-F. The first appearance of Actinocyclus oculatus and Globoquadrina himiensis and the last appearance of Globoquadrina asanoi, Globoquadrina kagaensis, GloBoquadrina himiensis and Rhizosolenia praebergonii indicate that AKOG-E and AKSK-E are correlated to the "Olduvai" event. Within the interval of AKOG-D, AKSK-D, Gephyrocapsa spp., Eucyrtidium matuyamai, Pseudoeunotia doliolus and Actinocyclus oculatus were recognized. The first appearance of Gephyrocapsa spp., Eucyrtidium matuyamai and Pseudoeunotia doliolus and the last appearance of Actinocyclus oculatus and Eucyrtidium matuyamai assure that AKOG-D, AKSK-D can be correlated to the Matuyama reversed Epoch between "Olduvai" event and Jaramillo event. Correlation of the rest of magneto-zones are reserved because of poor occurrence in microfossils. Radiometric dating : -Dating was carried out by K-Ar method at the laboratory of Prof. Y. Uyeda of the Tohoku University. Measured minerals were biotite. The results of measurement are shown in Table 2. A distinct discrepancy is noticed between the radiometric age obtained and the results of magnetostratigraphic and microbiostratigraphic correlation.
著者
冨田 敏夫 神尾 好是
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

黄色ブドウ球菌のロイコシジン及びγヘモリジンは2成分性血球崩壊毒素である。我々は、ヒト血清中のγヘモリジン阻害物資の精製に成功し、阻害物資をビトロネクチン及びそのフラグメントであると同定した。即ち、ロイコシジン及びγヘモリジンの新規機能、すなわちビトロネクチン結合能を初めて明らかにした。本研究では、(1)ビトロネクチンがγヘモリジンのHlg2成分およびロイコシジンのLukS成分に特異的に結合して両毒素の活性を阻害する事実を明らかにし、(2)ビトロネクチンの毒素分子結合ドメインの決定を試みた。ビトロネクチンの毒素阻害ドメインを決定するために、プラスミンによるビトロネクチンの限定分解をおこない、38kDaの阻害活性フラグメント(:89番目セリンから始まる)を分離した。さらに、このフラグメントをトリプシン分解した結果、C末端側が切断された24kDaの活性フラグメントが得られた。従って、ビトロネクチンの毒素阻害部位はhemopexin 1ドメインのC末端側及びhemopexin 2ドメインのN末端側の両者を含むことが明らかになった。また、(3)ビトロネクチン・毒素複合体中の両分子のモル比を測定した結果、平均して6分子のビトロネクチンが1分子の毒素を結合していた。この複合体中の毒素成分はSDS存在下で遊離するが、ビトロネクチンは複合体として存在していた。さらに、電子顕微鏡観察では、約20nmの球状構造が見られ、この球状構造が毒素成分1分子を保持するビトロネクチン複合体であると考えられた。
著者
海野 徳仁 平田 直 小菅 正裕 松島 健 飯尾 能久 鷺谷 威 笠原 稔 丸井 英明 田中 淳 岡田 知己 浅野 陽一 今泉 俊文 三浦 哲 源栄 正人 纐纈 一起 福岡 浩 渥美 公秀 大矢根 淳 吉井 博明
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
2008

臨時余震観測から本震時には西傾斜の震源断層が主に活動したが、それと直交する東傾斜の余震活動もみられた。震源域直下の深さ30~40kmには低速度域が広く存在しており、そこから3本の低速度域が地表の活火山にまで続いていた。GPS観測データから本震時すべりは岩手・宮城県境付近で最も大きかった。本震後の顕著な余効すべりは震源断層の浅部延長で発生し、地震時すべりと余効すべりは相補的である。強震動データでは0.1~0.3秒の短周期成分が卓越していため震度6弱の割には建物被害が少なかった。
著者
後藤 幸弘 成田 憲一
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

新潟地区の日本海沿岸において、冬季雷の観測が、磁鋼片、ディジタル電流波形記録システム、フィールドミル、静止カメラやビデオ記録システムを用いて継続している。昭和62年度の冬より、新たに静電アンテナ(スローアンテナ)を試作し、互いに数百m離れた3地点に設置して、バイポーラ雷撃に伴う雷雲中の電荷領域の消滅の様相を測定するようにした。しかしながら、研究期間中には、一度もバイポーラ雷が発生せず、観測できなかったが、冬季雷特性の総合的な観測は継続して行われ、観測結果の解析、検討も引続いて行われた。磁鋼片の測定では、昭和51年10月より平成元年1月までの期間に65例のデータが得られた。その内8例は磁鋼片の測定範囲未満の小電流で残りの68%は負極性雷、32%が正極性雷であった。昭和57年冬より、ロゴスキコイルを電流センサにしたディジタル波形記録システムを導入し、これまで60例の波形を得た。このうち15%がバイポーラ雷であった。一方地上静電界変動と冬季雷発生の気象条件も検討された。冬季雷襲来時は、夏期と大きく異なり、非常に激しく正負に振れるものであった。また地表面附近の空間電荷の影響が大きいことが確認された。輪島の高層気象データと巻地点の観測鉄塔でのデータおよび日本海の海洋ブイステーションでのデータより、冬季雷の発生条件を求めることができた。ビデオカメラによる雷放電撮影も順調で、昭和59年より2方向、昭和61年より3方向の撮影となり、これまで115例のデータが得られた。ほぼ全てのチャンネルは上向き放電の様相を呈している。バイポーラ雷の波形は大きく2種類に分類された。特に正の電流に負の電流パルスが重量している例が観測されたが、その発生要因については、今後継続される予定の観測に依存している。特に今回の補助金で導入できた3地点スローアンテナによる雷界測定のデータがその原因解明の糸口となるであろう。。
著者
長谷川 公一 吉原 直樹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

平成9・10年度は、おもに地球温暖化問題、エネルギー問題への取り組み、とくにCOP3以降の、環境NGOおよび地方自治体の役割を中心に、主要政令指定都市で調査を行った。ただしゴミ問題やリサイクル問題などと比較して、自治体とNGOのコラボレーション(対等な協働関係)の本格的な展開は今後の課題である。生協のような消費者団体、とくに生活クラブ北海道が中心となって1999年度から電気料金の5%相当分をグリーン料金として拠出しあい、その資金を風力発電事業に投資しようとする「グリーン電力料金」の運動は、消費者として電力会社および自治体に対して「意思表示」を行い、電力多消費的な自分たち自身のライフスタイルを見直し、節電の経済的動機づけをはかろうという新しいスタイルの運動として注目される。平成11年度は、主に東北・北海道の町村レベルでの風力発電、バイオマスなど再生可能エネルギー開発を中山間地域での地域おこしと結びつけようとする先進的な取り組みについて関係者への聴取調査、資料収集を行った。原子力開発のメッカだった東海村では、99年9月のJCO臨界事故を契機に、行政・住民の原子力に関する不安感、国や県の原子力行政に関する不信感が高まっており、人口1万人規模の東北の中山間地域の内発的な地域おこしをモデルとした地域づくりへの転換が模索されている。以上をもとに環境問題における市民的公共性の新しい担い手として、環境NGOを位置づけなおし、その新しい存在意義を考察し、論文にまとめた
著者
大村 道明
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では当初、2005年度までに開発した地域資源マッチング支援ソフトウエアを農業地域向けに再構築し、これに経済評価・環境評価の機能を盛り込んで実在の地域でのテスト運用を目指した。再構築は完了したが、経済・環境評価機能を付加することが難しいことがわかった。この点は残された課題となったが、異業種間連携、都市・農村の情報流通支援ツールとしての「Webエコミュゼ」の基礎部分が開発できた。
著者
海野 倫明 阿部 高明 片寄 友
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

我々は、liver-specific organic anion transporter-2(LST-2)の抗体を作成し、この抗体を使用して免疫染色を施行したところ、一部の結腸癌や乳癌においてLST-2が陽性になることを明らかにした。そこで、結腸癌手術検体および乳癌手術検体を用いてLST-2発現と各種臨床病理学的因子や予後との相関を検討し、LST-2の癌細胞における腫瘍生物学的意義を探索することを目的に以下の検討を行った。大腸癌手術症例255例を用いて、LST-2特異的抗体で免疫染色を施行し、同時に各種臨床病理学的因子と予後に関し相関を検討した。その結果、255例中、67例の癌細胞膜及び細胞質で陽性であった。一方、正常大腸粘膜は陰性(ないし弱陽性)であった。Fig.1に示したように結腸癌組織内ではLST-2陽性細胞はsporadicないしfocalに染色され、陽性細胞は最高でも30%程度であった。次に、LST-2発現と予後に関して、overall survivalを検討したところ、LST-2陽性症例は、女性においてのみ有意に生存率が高い(P=0.0217)ことが明らかとなった。次に既知の結腸癌予後因子群(リンパ節転移/浸潤度/histological grade/血管浸潤/リンパ節浸潤/Ki-67labellingindex等)との単多変量解析を施行した。その結果女性結腸癌症例におけるLST-2の発現は、従来報告されているDukes分類やリンパ管浸潤と同様に予後因子であることが明らかになった。さらに多変量解析を施行したところ、これらを超える優れた独立予後規定因子になることが判明した(P=0.0447,relative risk(95%CI)=8,264)。次いで乳癌で同様な検討を施行した。102例の乳癌症例中、LST-2陽性51例の予後は、陰性51例と比較すると,無再発生存期間、全生存期間の両者で有意に予後が良好(p=0.03,0.01)であるという結果が得られ、LST-2の発現の有無は乳癌の予後予測因子の一つと考えられた。
著者
原 純輔 秋永 雄一 片瀬 一男 木村 邦博 神林 博史
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

これまでの研究の過程で、社会調査データアーカイブに関する整備体制と利用実態の国際比較を通して、わが国の現状を検討するという課題が、浮上してきた。そこで、世界最初の国勢調査実施国であり、データの整備と公開が進んでいるアイスランド国立大学およびアイスランド国立博物館における聴取調査を実施した(秋永雄一・原純輔)。また、昨年度に引き続き、社会調査データアーカイブについてのケルン大学社会調査データ・アーカイヴ、マンハイム社会科学方法論研究所での再調査(木村邦博・秋永雄一)を実施するとともに、ケルン大学におけるセミナーに参加した。この結果についても研究会で検討を行った。その結果、「公共財」としての社会調査データという理念が、両国に共通に存在しており、わが国との大きな違いとなっていることが明らかになった。また、過去2年間の実績をふまえて、SSM調査(報告者・片瀬一男。以下同様)、国民性調査(海野道郎)、生活時間調査(三矢恵子)、青少年の性行動全国調査(原純輔)、宮城県高校生調査(神林博史)に対象を絞り、調査の概要・成果に加えて、とくにデータの保存およびデータの公開・利用可能性に焦点をあてながら研究会における再検討を行った。その結果、企画者側の調査データの公開に関する姿勢は多様であるが、とりわけ社会的評価の高い調査では、データのとりかたに独特の工夫がされていることが多く、他の研究者がそれを利用することには相当の困難が伴うことを、具体的に明らかにした。以上の成果は、現在報告論文集としてとりまとめ中である。
著者
磯部 彰
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

山東を舞台とした信仰では、泰山信仰が最も普遍的ではある。主神は東嶽帝君であるが、羅祖教の流れにある黄天道などの新興宗門では、東嶽帝君に陪祀される夫人の泰山娘々を神格とした経典宝巻を作成している。明刊本としては、「天仙聖母源流泰山宝巻」西大乗教の萬暦刊「霊応泰山娘娘宝巻」(悟空編)の2種が伝わる。沢田瑞穂氏は後者で、両本を代表させるが、実際は両者の内容は異なる。前者の断簡を所蔵する一方、後者は『続刻破邪詳弁』巻1に邪教の一つとして著録され、複印本もある。古くから女神としては観音がいて、「香山宝巻」が作られてその出身の霊験談を記す。泰山娘宝巻も観音出身伝に倣って、泰山娘々の霊験談を作り出したと見える。同じ頃、やはり山東を舞台とする孟姜女宝巻も作られている。女性神の宝巻が目立つのは、教門の担い手に女性教祖や信者が多かったことと関係しよう。
著者
生田 久美子 北村 勝朗 前川 幸子 原田 千鶴 齊藤 茂
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は,スポーツ・看護・芸能領域の伝承場面における修辞的な言語(わざ言語)の分析を通して,「わざ」の伝承における「わざ言語」の意義を問い直し,学びの可能性を考究することにある。実際に卓越的技能の指導現場に触れている「わざ言語」実践者を対象とし,「わざ言語」が生起する文脈や役割の分析が行われた。本研究の成果として,行為の発現を促す役割,身体感覚の共有の役割,及び到達した状態の感覚へといざなう役割,を確認した点があげられる。