著者
渡辺 英夫 鈴木 修
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.287-292, 1990-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

数種類のα-アミラーゼ阻害剤の効果, α-アミラーゼ作用を抑制した場合の発芽処理麦の特性について実験を行い次の結果を得た. 1) 従来の色素でん粉法に若干の改良を加えた簡便方法によりα-アミラーゼ活性の測定を行い,阻害剤の影響を比較した.硝酸銀,硝酸銅, EDTA,硫酸ヒドラジンは, 0.1Mでα-アミラーゼに対し高い阻害効果を示した.特にEDTAは, α-アミラーゼそのものに対する阻害剤で取り扱いも容易なことから,利点が認められた. 2) 発芽処理麦から調製した小麦粉,小麦でん粉のアミログラム特性,フォーリングナンバー値は阻害剤を添加することにより健全麦からのものに類似したものとなったことから,発芽処理麦ではでん粉そのものはそれ程障害を受けていないが生地等になって初めて活性化したα-アミラーゼの作用を受け糊化特性の劣化を呈することが確認された. 3) EDTA等の阻害剤を使用することにより,発芽小麦の潜在的なビスコグラム最高粘度,フォーリングナンバー値をでん粉の単離,トルエン処理等を行うことなく測定する可能性が認められた.
著者
Hongkun Xue Liuyang Shen Xiaorui Wang Chenghai Liu Chai Liu Han Liu Xianzhe Zheng
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.29-38, 2019 (Released:2019-03-01)
参考文献数
39
被引用文献数
7 17

The objectives of this study were to isolate and purify blueberry anthocyanin by combination of macroporous resin and Sephadex LH-20 and identify anthocyanin composition after isolation and purification. The static adsorption/desorption experiments of anthocyanin on ten different types of resins were compared. The results showed that the highest AB-8 macroporous resin adsorption rate of 97.73 % and desorption rate of 81.52 % from blueberry were achieved under optimal conditions (Adsorption conditions: a flow rate of feed 1.0 mL/min, anthocyanin concentration of 1.0 mg/mL, pH of 3.0; Desorption conditions: an eluent flow rate of 1.5 mL/min, ethanol concentration of 60 %, pH of 3.0). The anthocyanin purity increased 19.86-fold from 4.58 % to 90.96 % after one run treatment with macroporous resin combined Sephadex LH-20 method. Delphinidin-3-glucoside and cyanidin-3-glucoside were identified by HPLC-ESI-MS/MS. The results of this study may effectively promote the purification of anthocyanin from most blueberry varieties as well as from other plant materials.
著者
原 征彦 渡辺 真由美
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.951-955, 1989-12-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
32 37

茶のタンニン(ポリフェノール)成分として緑茶からカテキン類を4種,紅茶からテアフラビン類を4種分離精製した.これらがボツリヌス菌の芽胞および栄養細胞に対して示す抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC)により求めた.芽胞はパウチ法,栄養細胞は画線法でそれぞれを嫌気培養し,ポリフェノール濃度の違いによる菌の生育の有無を調べた.その結果,ガレートカテキン類およびテアフラビン類は100~300ppmの濃度で,ボツリヌス菌の芽胞の発芽および栄養細胞の増殖を阻止した. 同じポリフェノール類が,他の耐熱性有芽胞細菌の芽胞および栄養細胞に対しても抗菌力を示すか否かにつき同じくMIC試験を行なったところ,菌により低濃度で発育が阻止される場合と高濃度でも発育が阻害されない場合とがあり,一定の傾向はみられなかった. なお本報の一部は日本食品工業学会第35回大会シンポジウム10)において発表した.
著者
平田 貴美子 茶珍 和雄 岩田 隆
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.566-573, 1987
被引用文献数
8

(1)ヒユ,キンサイ,ツルムラサキ,ヨウサイ,サイシン及びパクチョイを厚さ0.03mmの低密度ポリエチレン袋(26cm×38cm)に密封し,1℃,6℃,20℃と30℃に貯蔵して品質の変化を調べた.20℃と30℃区では,いずれの野菜においても品質低下の要因となったのは主に葉の黄化であったが,緑色保持期間が比較的長かったのはツルムラサキとパクチョイであった.ヨウサイ及びヒユでは1℃と6℃区で低温障害の褐変が発生し,ツルムラサキでは1℃で葉にpittingと軟化という低温障害の症状が認められた.他の野菜では低温ほどよく鮮度が保たれた.<BR>(2)ヒユ,キンサイ及びパクチョイは貯蔵温度が低いほどアスコルビン酸(ASA)含量をよく保持していた.低温障害を生じたツルムラサキとヨウサイは低温区でのASA含量の減少が速やかであったが,ヒユではよく保持されていた.またツルムラサキは30℃においてもASAの減少が非常にゆるやかであった.<BR>(3)貯蔵中のクロロフィル含量を調べたところ,キンサイでは各温度区の間に明らかな差が認められなかったが,その他の種類では低温に貯蔵したものほどよく保持されていた.<BR>(4)遊離アミノ酸含量は,貯蔵温度が高いほど増加する傾向にあった.<BR>(5)総フェノール含量は,ヨウサイの低温区とキンサイの全温度区で,貯蔵中いったん増加した後減少した.その他の葉菜類においてはほぼ一定であった.
著者
Yu Kanke Hiroko Yano Tomonori Koda Chukwan Techakanon Somwang Lekjing Paramee Noonim Akihiro Nishioka
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.551-557, 2021 (Released:2021-08-05)
参考文献数
9
被引用文献数
4

In this study, the shear and heat milling machine (SHMM), which was developed to produce amorphous rice flour, was applied to indica and japonica rice varieties. The grain shape of indica rice differs from that of japonica rice. We examined the effect of shape differences of rice grains on amorphization by SHMM. Pre-crushed samples were also used alongside the rice grain samples to control for differences in grain shape between indica and japonica rice varieties. Rice flour was produced from indica and japonica rices, and the effect of milling temperature at 80, 100, 120, and 140 °C on amorphization was examined. Crystallinity, moisture content, and particle size distribution were compared between the rice varieties. The effect of milling temperature on indica rice was qualitatively similar to that of japonica rice. The longer grain shape of indica had a negative effect on amorphization by SHMM.
著者
伊東 裕子 熱田 純生 柴田 敬二 下田 満哉 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.435-441, 1983-08-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2 3

内部標準法によるコーヒー粉末のヘッドスペースガス分析法を用いて標準アロマグラムを作成するとともに,種々の包装形態における保存中の品質変化の違いを比較した。(1) 工場規準に基づいて焙煎(10回,生豆100kg/回)した同一種類の豆についてガスクロマトグラフ分析および官能検査を行い,標準アロマグラムを作成した。得られたアロマグラムは満足すべき再現性を示し,今後品質管理の基準として有用と考えられた。(2) 3種の包装形態においてコーヒー粉末を6ヵ月間貯蔵した。「劣化の有意差*」があらわれるのはピーク5対ピーク8比を基にしていずれも4ヵ月目と判定され,官能検査の結果もこれに一致した。包装形態間の優劣は官能検査では識別されたが,ガスクロマトグラフィーによってはできなかった。
著者
郡田 美樹 河辺 達也 長浜 源壮 森田 日出男 大林 晃 渡辺 裕季子 奥田 和子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.91-97, 1990
被引用文献数
3

炊飯米フレーバーに対するみりんの調理効果を調べるため,改造電気釜を用いて炊飯米のヘッドスペースガスを回収し,機器分析を行った.その結果若干の知見を得,原因について検討した. <BR>(1) フレーバー成分吸着剤Tenax TAを用いたフレーバー回収には循環系の装置が開放系に比べて回収率が高く,値の変動が小さかったので適していた.エタノールの添加は回収率等に影響を与えなかった. <BR>(2) 炊飯米フレーバーをTenaxで回収し, GCで130余りのピークを検出した.主要なピークのうち約40を同定した.成分別ではアルカナール,アルコール,アルケナール,直鎖ケトンの順に多かった.特にn-ヘキサナールの含量が高かった. <BR>(3) みりん添加炊飯米を同様にして分析すると,添加前に比ベガスクロマトグラム上のピーク面積の減少が認められた.減少率の大きかったアルカナールの中でもn-ヘキサナールの減少率が最も高く,筆者らが官能検査でヌカ臭の減少を認めた結果と一致した.またみりん添加により新しく検出された成分は無かった. <BR>(4) みりん添加によるアルカナール等揮発性カルボニル化合物の減少は,みりん成分と米成分間のアミノ=カルボニル反応又はその中間生成物の作用,及びみりん中のα-ジカルボニル類の作用が考えられた.また,みりん添加による炊飯米の物性変化が反応系に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
酒井 達郎 川合 弘志
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.385-387, 1966-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
5

(1) 本実験は千歳飴の曲り防止のため行なったもので,製造後どのような保管温度に置かれても粘度が1010Poise以上あれば曲りは防止できる。(2) 濃縮温度140℃と145°~150℃では飴内部の結合状態が異なり,140℃の場合は145℃に比較すれば非常に曲りやすい。(3) 濃縮温度140°~150℃における見掛け活性化エネルギーは測定温度領域25°~40℃で85.4~63.2kcal/molである。
著者
アグレバンテ ジョセフイン 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.911-915, 1990
被引用文献数
8

本研究は,エタノール及びエチレン処理されたバナナの追熟中のホスホリラーゼとインベルターゼ術変化について検討したものである.バナナ果肉中術デンプン含量は,緑色段階の約20%から完熟段階の1%以下に減少し,一方全糖は20%へ増大した.追熟の同じ段階でエタノールとエチレン処理果実術デンプン・ショ糖含量と酵素活性はコントロール術それと共通点があった.ホスホリラーゼ活性は,デンプン術初期分解段階(カラーインデックス2)で増大し,デンプンの減少と同時に追熟術後期で減少した.他方,インベルターゼ活性は緑色段階で非常に低かったが,ショ糖の急激な増大に伴ってカラーインデックス3(黄色より緑色)で著しく増大した.
著者
宮口 右二 境 久美子 米倉 政実 堤 将和
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.720-725, 1989-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
4 6

グロビンのサクシニル化を行って,サクシニル化グロビンを調製し,その性状について検討した. (1) グロビンはpH 3.0以下で可溶であり,中性付近(pH 7.0~8.0)で最も低い溶解性を示した.これに対してサクシニル化グロビンはpH 4.0付近で最も低い溶解性を示すが,中性からアルカリ性側では高い溶解性を示した. (2) グロビンは硫酸アンモニウム0.1飽和(pH 2.0)で,サクシニル化グロビンは0.4飽和(pH 7.0)で完全に塩析された. (3) サクシニル化グロビンの起泡性はグロビンよりも優れていたが,気泡安定性の面ではグロビンよりも劣っていた. (4) グロビンはpH 2.0, 4.5, 7.0, 9.0, 11.0という条件下では加熱ゲルを形成しなかったが,サクシニル化グロビンはpH 2.0で明瞭なゼリー状ゲルを形成した. (5) グロビンはpH4.0でオボアルブミンの加熱凝集を強く防止した.一方サタシニル化グロビンはグロビンよりも中性に近いpH (pH 6.0)で凝集防止効果を発現した.
著者
村田 敏 田中 史彦
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.333-338, 1992-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10

大豆油,菜種油,綿実油,サフラワ油,米ぬか白絞油,胡麻油の6種類の食用油について蒸気圧の測定を行った結果,以下の知見を得た.(1) 先述の食用油の蒸気圧曲線が明かとなり,そのうち大豆サラダ油,綿実サラダ油,菜種サラダ油,米ぬか白絞油についての蒸気圧曲線は,その増加傾向が290℃前後で変わることが分かった.サフラワサラダ油については指数的増加の傾向を示すことが,また,胡麻油については280~300℃の間で蒸気圧一定の状態があることが分かった.(2) 測定データに非線形のRiedel型の蒸気圧式を最小二乗法によって当てはめた.その結果,極めて適合性は良好であり,その計算式ln PVD=A+B・T-1+C・ln T+D・T6は食用油の蒸気圧を算出する際,実用上極めて有用であることが示された.
著者
緒方 邦安 伊東 卓爾 岩田 隆
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.394-399, 1974-08-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

コールド・チェーンにおける果実そ菜の品質保持と温度変動の許容度との関係について,今回はホウレンソウとセロリーについて調査した。(1) ホウレンソウの商品性保持期間は1℃区で約5週間,6℃区で約15日,20℃区では3~4日であった。冷蔵遅延区は20℃の影響が強く,1日の遅れは1℃区に比べて約25日間劣った。6℃ 3日→1℃区も約10日間短縮された。冷蔵中断区は20℃下で急激な鮮度低下を示した。また貯蔵温度の変動は著しい品質低下をまねき,商品性保持期間はかなり短縮された。(2) セロリーでは,20℃区は5~6日後に腐敗を生じ商品性を失なつた。6℃区は25日前後が限界であったが,1℃区は約35日間商品性を保持した。冷蔵中断区では,中断後急速に商品性を失った。1℃〓6℃(1日毎)と1℃〓6℃(5日毎)の変温区を比較すると,5日ごとの区が1ごとの区よりも7日近く劣った。(3) ホウレンソウの還元型アスコルビン酸含量は,貯蔵中に減少したが,とくに冷蔵の遅れや中断によって強く影響を受け減少した。(4) セロリーの揮発性成分のGLCパターンは貯蔵温度により大きな影響を受け,とくに20℃区および6℃区での商品性の限界付近でのピークとの著しい増加を認めた。1℃区では28日後でもピークとの増加はなく,逆にピークaの増加を認めた。(5) セロリーの還元糖含量は,1℃区では漸次増加する傾向にあり,6℃区はほとんど変らず,20℃区は減少の傾向を示した。(6) 以上のように,ホウレンソウおよびセロリーは低温要求度が高く,かつ温度変動に敏感に反応することが判明した。したがって,このような青果物では,収穫後ただちに1℃付近の低温でしかも厳密に調整された条件の下で貯蔵を行なう必要があることを指摘した。
著者
杉沢 博 田村 啓敏 中原 一晃
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.709-712, 1988-10-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

GC/MSによる揮発成分の同定に保持指標Kovats Indexを補助手段として活用すると,同定はかなり容易になる.現在手持ちのデータ処理装置(市販のCR 3AそれぞれC-R 2A)の持つBASICプログラム機能を活用して,自動的かつ連続的にKI値を計算,出力させるプログラムを開発した.このプログラムを一部変更すれば, BASICプログラム機能をもつ他の機種にも応用できる.この方式によれば, KI値計算のためコンピュータやインターフェースなども不要であり,また,データ処理装置のほかの機能にも支障はない.
著者
中林 敏郎 真野 三蔵
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.11, pp.549-553, 1975-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

焙煎中のクロロゲン酸類の質的および量的変化を明らかにするために,熱分析曲線の変化とクロロゲン酸類の変化との関係を検討した。(1) コーヒ豆粉砕物の圧縮成形試料を用いることにより,再現性のある熱分析曲線を得ることができた。(2) コーヒー豆,そのメタノール抽出物,およびクロロゲン酸の熱分析曲線は類似しており,200℃付近に吸熱があり,それ以上で著しい発熱と重量減が起こる。(3) 200℃付近の吸熱はクロロゲン酸類からの多数の熱変化物の生成反応に基くもので,熱変化物の一部が焙煎コーヒーに含まれることをTLCクロマトグラフィーで明らかにした。(4) 200℃以上での急激な発熱と重量減は,コーヒー豆成分の酸化や燃焼によるもので,この段階での褐色色素の急増に平行してクロロゲン酸類が急減することをアンモニア発色法を用いて明らかにした。(5) 以上の結果から,焙煎中クロロゲン酸類は直接,あるいは多数の熱変化物や他の成分との反応で生成する2次生成物を経て褐色色素に変化するものと推定した。本実験を行なうに当り熱分析の御指導を頂いた本学部の加藤芳朗教授に感謝する。また御援助を頂いたソントン食品工業株式会社および試料を提供して頂いた(株)トミヤコーヒー店(静岡市)に感謝する。
著者
守永 吉明
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.157-158, 1954

以上の結果から次のように考察される。<BR>(1)品質の表に示された通りであるが内麦は特に色,すだち,弾力性は悪いが味は却つてよい。(2)内麦はコッペパンとして旨く食べられる。外形は悪くない。(3)高級パンには不向きだが普通のパンには用いて差支えない。
著者
福島 正子 小林 拓美 竹山 恵美子 早川 保昌
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.682-686, 1990-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

弱酸性食品であるビールに金属アルミニウムが長時間接触した場合,食品がどのような影響を受けるか,その腐食傾向と食品中のアルミニウム溶存量を測定することにより検討した.まずビールによる金属アルミニウムの腐食傾向を自然電極電位の経時変化及び分極曲線で測定したところ,ビールはアルミニウムを局部腐食より全面腐食しやすいということがわかった.次に市販ビール中に溶存するアルミニウムを原子吸光分光光度計で定量した場合,缶からビール中にアルミニウムが溶出することがわかった.その際溶出量は3ケ月以上の室温保存で有意に増加することが認あられた.また5℃で保存したものより室温保存した市販缶ビールの方がアルミニウム溶存値は高いという結果が得られた.
著者
竹永 章生 伊藤 真吾 露木 英男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.705-713, 1987-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

貯蔵中におけるきな粉の脂質の酸化防止に対する脱酸素剤の効果について検討するため,丸大豆からきな粉を調製し,これを試料として,脱酸素剤とともにガスバリヤー性の高いフィルム(KON/PE)に封入し(脱酸素剤区),25℃, 5℃, -25℃に150日間貯蔵し,きな粉TLの酸化指数および脂質組成の経時的変化について実験を行った.さらに,対照区として,含気包装した場合についても同様の実験を行い,比較・検討した.(1) 含気包装の対照区の場合,きな粉TLの酸化指数の経時的変化は,各貯蔵温度で,AV, POV, COVの増加,逆にIVの減少がみられ,この傾向は,貯蔵温度の高いほど顕著であった.一方,脱酸素剤区の場合では,25℃貯蔵の場合にPOVが経時的増加を示したが,その他の指数には大きな変化は認められず,さらに5℃, -25℃ではほとんど変化は示さなかった.(2) TLの脂質組成の経時的変化についてみると,対照区の25℃, 5℃貯蔵の場合,CL組成比の減少,逆にNL組成比の相対的増加が認められたが,脱酸素剤区の各貯蔵の場合および対照区の-25℃貯蔵の場合では,上記のような変化はほとんど認められなかった.(3) NLおよびCLの脂質組成の貯蔵に伴う変化については,対照区では,NL中のTG組成比の減少,逆にFFA, DG組成比の相対的増加,またCL中のPC, PE組成比の減少,逆に他の複合脂質組成比の相対的増加が認められた.一方,脱酸素剤区でも対照区の場合と同様の傾向が認められたが,その変化は小さいものであった.(4) TL, NLおよびCLの脂肪酸組成の変化についてみると,対照区でポリエン酸組成比の経時的減少,逆に飽和酸組成比の相対的増加の傾向が認められた.一方,脱酸素剤区では,脂肪酸組成には大きな経時的変化は認められなかった.
著者
赤羽 ひろ 和田 淑子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.474-480, 1987-07-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
12
被引用文献数
8 3

クッキーの性状におよぼす小麦粉中のグルテン含量の影響を検討するため,クッキー生地の材料配合を小麦粉45%,バター26%,砂糖21%,卵8%の一定として,小麦粉中のグルテン含量を乾麸量として0~12%に変化させてクッキー生地を調製した.クッキーの性状として,生地の硬さおよびクッキーのみかけの膨化率,吸水率,みかけの破断特性値,焼色の測定および官能検査を行った.(1) クッキーの生地の硬さは小麦粉中の乾麸量が増加するにつれて大となった.(2) ハンターの色度によるクッキーの焼色は小麦粉中の乾麸量が増加するにつれて明度がやや減少した.(3) クッキーのみかけの膨化率は小麦粉中の乾麸量が増加するにつれて小となり,また,クッキー生地の硬さの大なものほど膨化率も小であった.(4) クッキーのみかけの破断特性値のうち,みかけの破断ひずみはほぼ一定の0.27~0.31であったが,みかけの破断応力,みかけの破断エネルギーは小麦粉中の乾麸量の増加にともない大となった.(5) 官能検査の結果,小麦粉中の乾麸量の大なものほどクッキーの焼色が濃く,硬く,もろさに欠け,口どけが悪く,甘くないと評価された.(6) 物性測定値と官能評価値の関係は,みかけの破断応力と硬さ,みかけの破断エネルギーともろさ,みかけの膨化率または吸水率と口どけがよく対応した.(7) 同一材料配合比のクッキーにおいて,やわらかく,もろく,口どけのよいものがより甘いと評価された.
著者
Chiraporn ANANCHAIPATTANA Yukie HOSOTANI Susumu KAWASAKI Sirikhae PONGSWAT Bari Md. LATIFUL Seiichiro ISOBE Yasuhiro INATSU
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.843-848, 2012 (Released:2013-01-11)
参考文献数
14
被引用文献数
4 18

Soybean curd (Tofu) is a popular food for many people, especially those with health concerns. The objective of this study, therefore, was to evaluate the contamination rate and types of foodborne pathogens and food spoilage bacteria in packaged and unpackaged tofu sold in Thai markets. A total of 133 tofu samples (59 packaged tofu samples and 74 unpackaged tofu samples) were collected from open markets and supermarkets in Thailand. The predominantly identified Gram-negative bacteria were coliforms (67% in tested samples), Pseudomonas spp. (56%) and Escherichia coli (28%) and the predominantly identified Gram-positive bacteria were Enterococcus spp. (77%), lactic acid bacteria (68%), Bacillus cereus (41%) and Staphylococcus spp. (26%). No Listeria spp. were found in any of the tofu samples. The contamination rates of E. coli, Salmonella spp. and Enterococcus spp. in unpackaged tofu were significantly higher than those in packaged tofu (P < 0.05). Three kinds of Gram-negative pathogenic bacteria, Cronobacter sakazakii, Salmonella spp. and Yersinia enterocolitica (serotype 0:5), were found only in unpackaged tofu samples. Of 54 B. cereus isolates, four isolates from three unpackaged tofu samples and one packaged tofu sample were found to produce diarrheal enterotoxin. The most common Enterococcus spp. isolates were Enterococcus faecium and Enterococcus faecalis. These results suggested that the improvement of hygienic practices might be required for reducing the risk of food poisoning and food spoilage of tofu in Thailand.