- 著者
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川西 悟生
- 出版者
- Japanese Society for Food Science and Technology
- 雑誌
- 日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.4, pp.123-128, 1963-04-15 (Released:2009-04-21)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
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イチゴ果汁添加保存性乳飲料に対する縮合リン酸塩類の効果について検討し,つぎの結果を得た。(1) 0.2ppm程度の微量の鉄によってイチゴのアントシアニジンは紫変色を起こすものと推定され,この傾向は鉄濃度,pHの高いほど促進される。(2) この紫変色は市販縮合リン酸塩の0.1~0.5%添加で防止でき,この防止力はほぼ対数的である。実用上は0.1%の添加で十分防止できるが0.3%の添加で鉄8.0ppmまで封鎖できる。(3) 市販縮合リン酸塩をペーパークロマトグラフィーでしらべて見たところ,配合組成と異なったパターンを示した。使用条件に近い酸濃度,すなわち0.3%クェン酸溶液,0.5%乳酸溶液とし,80℃ 7分,15分殺菌,および40℃ 6日間保存を行なうと著しい分解が起こり高分子リン酸塩が減少し,低分子物が増加する。さらに実際試料に縮合リン酸塩を添加し40℃保存を行なうと,モデル実験同様にリン酸塩のスポットは移動し,添加した縮合リン酸塩の分解が推定された。(4) この乳飲料の保存中の安定性(沈澱)に対する縮合リン酸塩類の効果は,適切と思われる4種のなかで,標示組成でポリリン酸ナトリウムの多いポリリン酸-1Dを0.1%添加したものが沈澱量少なく良好であり,顕著な効果が認められた。さらにこの試料を冷蔵,室温,40℃の条件におくと,約3ヵ月の保存で沈澱量は冷蔵ではほとんど増加せず,室温では経時的に増加するが商品価値を失なうには至らないが,40℃では約1ヵ月で商品価値を失なう。また沈澱物中の蛋白質は沈澱量に対してほぼ比例して増加していくことがわかった。