著者
宇佐美 昭次 桐村 光太郎 伊東 よし男 志村 進 上沼 敏彦 森 隆雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.479-481, 1989-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

リパーゼ高生産菌を得るために,カカオ豆およびチョコレート工場周辺の土壌より菌株の探索を行った.その結果,菌体外に多量のリパーゼを生産する1菌株を取得し,菌学的検討を行い, Rhizopus oligosporusと同定した.本供試菌についてリパーゼ生産のための最適培養条件の検討を行い,ペプトン5% (w/v),グルコース2% (w/v),オリーブ油2% (v/v),レシチン0.2%(w/v)に微量の各種無機塩類を加えた最適培地を決定した.また培養経過から温度30℃, 5日間の条件を得た.これらの条件下で振とう培養することにより供試菌の菌体外リパーゼ活性は16.7U/mlに達した.
著者
小川 美江子 中嶋 睦安 名取 正彦 室岡 治義
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.303-309, 1986-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
18

腐敗した食用コンニャク中にコンニャク分解菌の存在を認め,これを純粋分離し,本菌をB. circulansと同定した.本菌はコンニャク粉のみから成る培地にも生育したが,さらにリン酸水素ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸アンモニウムを添加した培地(F培地)に良好な生育を示した.本菌の生育におよぼすpHの影響を検討した結果,pH 5.5~10.5の範囲で生育が可能であり,pH 6.0~9.5では最も良好な生育が見られた.本菌をF培地で培養すると培養初期に,急激な培地の液化が見られ,菌の生育に伴い,還元糖が蓄積された.本菌の菌体外にコンニャク分解酵素の存在が認められ,その酵素の至適温度30℃,至適pH 6.4~7.2, 55℃で40分間の処理では安定であった.培養液中のコンニャク分解生成物は,薄層クロマトグラフィーにより,遊離糖としてグルコースとマンノースおよびその他分解中間生成物と患われるスポットが検出された.
著者
梅川 逸人 中井 伸行 吉田 沙織 古市 幸生 松永 正好
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.655-658, 2006-12-15
被引用文献数
3 2

高血圧自然発症ラット(SHR)に,脱塩したたまり醤油粕を飼料中重量比で,10%,20%になるように投与し,SHRの血圧上昇に及ぼす影響について検討したところ,血圧上昇抑制作用が認められた.たまり醤油粕アルカリ抽出物からダイアイオンAMP 01およびトヨパールHW-50Fによるクロマトグラフィーを行うことにより,ACE阻害活性を有する画分(FIおよびFII)を調製した.これらの画分をSHRに対して経口単回投与を行ったところ,FIIに有意な血圧降下作用が認められた.
著者
臼井 一茂 石崎 松一郎 渡辺 悦生
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.339-345, 2004-07-15
被引用文献数
1 2

従来から利用率の低いクロカジキ筋肉の新規利用法を開発するため,クロカジキ筋肉の肉質に及ぼす各種塩漬処理の効果を塩分浸透性,保水力,物性および走査型電子顕微鏡(SEM)による微細構造の変化から検討した.<br>(1) クロカジキ筋肉中へのNaClの浸透は塩漬液中のNaCl濃度に強く依存するが,スクロースが共存するとその浸透率がわずかに変化した.<br>(2) NaCl溶液で塩漬処理を行なうと,クロカジキ筋肉中の保水力はNaCl濃度の増加とともに増大した.NaCl-スクロース混合溶液では,スクロースの濃度に関わりなく保水力はNaCl濃度に依存したが,NaCl単独溶液に比べわずかに保水力が増加する傾向を示した.<br>(3) NaClおよびスクロース溶液で塩漬したクロカジキ筋肉を加熱すると,硬さに顕著な差が認められた.すなわち,スクロース溶液で硬さが最も高く,NaCl溶液では低下する傾向を示し,NaClとスクロースの混合溶液では,未処理の筋肉を加熱した場合よりも相対的に低くなった.<br>(4) SEM観察により,塩漬処理に伴って筋肉の表面が全体的に滑らかになっていく様子が観察された.また,NaClの濃度上昇に伴って小さな粒状物が溶け出し互いに癒着していくことが認められた.一方,加熱後の筋肉ではタンパク質の凝集物が凝集した状態で互いに結合した,いわゆるランダム様の構造が観察された.<br>以上のことから,塩漬処理がクロカジキ筋肉の肉質改良に効果的であるとともに,その際スクロースを併用することが食味の点でも有効であると推察された.
著者
石田 欽一 岡田 安司 小山 吉人
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.109-115, 1968
被引用文献数
1

甜菜グラニュ糖および精製グラニュ糖を用いて,乾燥ゼリーを実験室的規模で試作し,その性状を調べた。<BR>(1) 生ゼリーの乾燥性は,甜菜グラニュ糖区のほうが良好であった。<BR>(2) 乾燥ゼリーの吸湿性は精製グラニュ糖区のほうがやや大きい傾向にあった。<BR>(3) 色素に及ぼす影響は,砂糖溶液の場合甜菜グラニュ糖区のほうが色素の安定性が良好であった。<BR>(4) 色素の安定性は赤色2号については,砂糖濃度が大きく関与し,砂糖濃度が高くなるに従って安定性が悪くなった.<BR>(5) 煮つめ状態,生ゼリーおよび乾燥ゼリーの物理的性質については,両試験区ともほとんど差が認められなかった。<BR>(6) 乾燥ゼリーの製造において,生ゼリーの乾燥速度は含水率の減少とともに急速に低下すること,また寒天濃度が乾燥ゼリーの見掛け粘度に関与し,寒天濃度が高いと見掛け粘度が大きくなることを認めた。
著者
平 智 高林 奈美
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.580-582, 2006-11-15
被引用文献数
5 3

カキ'平核無'果実を用いて,樹上脱渋処理の時期と収穫後の脱渋果の冷蔵貯蔵期間が果実の不溶性タンニンの可溶化(渋もどり)の難易に及ぼす影響を調査するとともに,樹上脱渋果の渋もどりのしやすさを炭酸ガス脱渋果,アルコール脱渋果,干し柿およびあんぽ柿と比較した.<BR>その結果,樹上脱渋果は脱渋処理の時期が早いほど収穫時の果実は渋もどりしにくかった.また,樹上脱渋果では収穫後の冷蔵貯蔵期間が長くなるにつれてしだいに渋もどりしにくくなる傾向が認められた.この傾向は,早い時期に脱渋処理した果実より遅い時期に処理を行った果実の方が明確であった.<BR>樹上脱渋果の渋もどりのしやすさは炭酸ガス脱渋果とはほぼ同等で,アルコール脱渋果より渋もどりしにくかった.最も渋もどりしにくかったのは干し柿とあんぽ柿であった.
著者
伊藤 智広 伊藤 裕子 樋廻 博重 勝崎 裕隆 今井 邦雄 古市 幸生 小宮 孝志
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.319-323, 2005-07-15
被引用文献数
1 5

アズキ熱水抽出物からヒト胃ガン細胞KATO III細胞の増殖を抑制する物質を単離した. 本物質をFT-IR, <sup>1</sup>H-NMR, <sup>13</sup>C-NMR, DEPT, COSY, NOE, HSQC, HMBC, ESI-MS, APCI-MSにより構造解析したところ, 新規セスキテルペノイド配糖体であったことから, Vignosideと命名した. Vignosideは低濃度ではヒト胃ガン細胞KATO III細胞の増殖を抑制しないが, 750μMでは約60%の増殖抑制効果を示した. その増殖抑制機構はアポトーシスによるものではないことが判った.
著者
野田 正幸 山本 晴敬
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.327-334, 1994
被引用文献数
2 10

滅菌処理植物脂肪クリームを用いて,クリームの物性変化におよぼす温度履歴の影響について検討し,以下の知見を得た.<BR>(1) 冷蔵開始温度より温度処理がクリームの粘度に大きく影響した.クリーム構成油脂の固体脂含量が温度処理後の粘度に影響し,固体脂含量が20%以下になると粘度が増加して最大値を示し,油脂が融解する温度以上では粘度の変化はなかった.<BR>(2) 温度処理後のクリームのホイップ特性は粘度の変化とほぼ対応し,処理温度が高くなるとともにホイップ時間とオーバーランの減少,硬さの増加,気泡径の減少がみられ,油脂が融解する温度以上では無処理と同等となった.温度処理によるホイップ特性の変化は,ホイップ時に増加した遊離脂肪が構造に寄与するためと推定した.<BR>(3) クリームの粘度とホイップ特性は温度処理における冷却速度にも依存し徐冷の方が影響が大であった.<BR>(4) 温度処理したクリームは,脂肪が融解する温度に再度温度処理することによって再生できた.
著者
薄木 理一郎 木村 俊明 金田 尚志
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.338-341, 1978
被引用文献数
3

シリコ-ン油(SO)の示すフライ油劣化防止効果の作用機構を知る目的でSOを大豆油に添加,添加濃度,重合度(粘度),加熱油の性状について検討し,つぎの結果を得た。<BR>(1) 180℃での通気加熱,およびじゃがいもフライ時とも,添加濃度は10ppmが適当と思われた。<BR>(2) 20, 200, 1000, 12500センチストークス(c/s)の4種のSO中,20および200c/sの両者により大きな効果を認めた。<BR>(3) 加熱油およびフライ油をケイ酸カラムクロマトで分画し,その特数を各々の無添加油の分画区分と比較したところ,各区分とも酸化の遅延を表わす特数値を示していたが,特にSO添加による顕著な変化は認めがたかった。これまでいわれているSOの種々の作用が各々に働き,全体として熱酸化を抑えているように思われた。
著者
宇佐美 昭次 桐村 光太郎 伊東 よし男 志村 進 上沼 敏彦 森 隆雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.479-481, 1989
被引用文献数
1

リパーゼ高生産菌を得るために,カカオ豆およびチョコレート工場周辺の土壌より菌株の探索を行った.その結果,菌体外に多量のリパーゼを生産する1菌株を取得し,菌学的検討を行い, <I>Rhizopus oligosporus</I>と同定した.本供試菌についてリパーゼ生産のための最適培養条件の検討を行い,ペプトン5% (w/v),グルコース2% (w/v),オリーブ油2% (v/v),レシチン0.2%(w/v)に微量の各種無機塩類を加えた最適培地を決定した.また培養経過から温度30℃, 5日間の条件を得た.これらの条件下で振とう培養することにより供試菌の菌体外リパーゼ活性は16.7U/mlに達した.
著者
村上 隆之 桑原 拓郎 佐々木 堯 谷口 肇
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.531-535, 1995-07-15
被引用文献数
4 3

Bio-Gel P-6DG担体を用いた親和性クロマトグラフィーとToyopearl HW-55Sゲル濾過クロマトグラフィーを併用し糸状菌Robillarda sp. Y-20の培養濾液より,エンド-1, 4-β-キシラナーゼ(1, 4-β-Xylano-hydrolase, EC 3.2.1.8)を簡易に精製することができた培養濾液からの精製酵素の回収率は約40%であった.SDS-PAGEによって測定した分子量は23400Daであった.pIは9.5で,至適pHおよび温度はそれぞれpH4.5-5.5と55℃であった.キシロオリゴ糖の加水分解物をパルスドアンペロメトリー検出によるHPLCで分析したところ,主生成物はキシロビオースであり,また,本酵素が転移酵素活性を持つことが解った.キシロ3-6糖に対するKmおよびVmaxを求め,これらのデータより本酵素が5個のサブサイトを持つことが推察された.また,本酵素はキシロオリゴ糖の存在下でBio-Gelカラムに対して特異的なアフィニティーを持つことが確認された.
著者
山野 善正 江本 三男 福井 義明
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.571-573, 1973

かまぼこの荷重による変形をテクスチュロメーターの硬さで追求したところ,かなりの荷重まで変形が生じず,その変形は経時的に増大し,ある時点で飽和点に達するようであるが,充分時間をとれば,その変形を回復することがわかった。これらのことから,かまぼこは,ほぼ完全な遅延弾性体として挙動すると考えられる。<BR>また,実際の商品の輸送,棚ざらしなどの間にかかる荷重程度ではかまぼこの変形はほとんど起らないといってよい。
著者
安部 章蔵
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.693-700, 1986-10-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1

練り餡は伝統的手法で製造されており,この製造条件が品質に与える影響や,練り餡の品質評価法が確立されていない.そこで,国産小豆から生餡を作り,再現性を高めるためアミログラフを使用して一定温度,一定かくはんして餡練り時間を変えた3試料を調製して理化学的特性と官能特性との関係を検討した.(1) 餡練り時間と共にアミログラフによる粘度曲線はほぼ直線的に増加し,テクスチュロメーターで測定した硬さ,粘着性,遠心分離による保水力,餡の見掛けの体積は増加し,赤外線による乾燥速度,水分活性は低下した.その際,餡練り中に餡粒が膨化崩壊して遊離でんぷん含量も増加した.(2) 試作した練り餡を貯蔵した場合,遊離でんぷん含量が多いほど物性の変化量が大きく,練り餡の品質劣化には遊離でんぷんが関与すると推定した.そして,これを確認するため,でんぷんを添加してその挙動を調べたところ,餡練り過剰試料とよく似た挙動を示し,遊離でんぷんは練り餡の物性に大きく関与することが認められた.(3) 理化学的測定値から官能が推定できると極めて都合が良い.硬さ,赤外線による乾燥速度,遠心分離による保水力を測定することによりそれぞれ82%以上の寄与率で官能評価値が推定できた.しかし,練り餡には種類が多いので,目的に応じた検討が必要であると考える.
著者
慶田 雅洋
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.31-40, 1967-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
50
被引用文献数
1
著者
大鶴 勝 堀尾 拓之 升井 洋至 武田 威真雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.806-814, 1999-12-15
被引用文献数
2 9

マイタケを飼料重量に対して,10%と20%になるように調製した実験区を設け,高血圧自然発症ラット(SHR)に投与し,ラットの体重,血圧及び血液の性状,臓器に及ぼす影響について検討した.さらに,試料マイタケの加熱,エタノール抽出,水抽出による操作の影響をウイスター系ラットの体重増加により調べた.<BR>その結果,マイタケ投与によるラットの顕著な体重増加抑制効果と血圧上昇抑制効果が見られた.臓器の重量の比較ではマイタケ投与群で肝臓に僅かな低下が見られたが,他の臓器では影響は見られなかった.血液の性状では,マイタケ投与群で,血漿総コレステロール,中性脂肪の低下が見られ,20%投与群では,糞中へのコレステロールの排泄の増加も見られた.<BR>マイタケ中には血圧上昇抑制を示すなど各種の生理活性を有する成分が含有され,特に体重増加抑制を示す成分は,水可溶性で熱に不安定であることが明らかとなった.
著者
佐藤 仁一 栗栖 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.161-165, 1986-02-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
1
被引用文献数
3
著者
佐藤 秀美 畑江 恵子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.904-909, 1996-08-15
被引用文献数
2

食パンを赤外線ヒータで加熱した時の内部の水分分布が経時的にどのように変化するかを,特にクラムに着目し,調べるとともに,この水分分布の変化に及ぼすヒータの放射波長特性の違いの影響を検討した.その結果,以下のことが明らかになった.<BR>(1) 上下2層に分けて測定したクラムの水分含量はともに,加熱直後に一旦低下し最低値をとった後,加熱前の水分含量よりも高くなった.この加熱過程において,上層の方が下層よりも水分含量は早く,しかも大きく変化した.<BR>(2) ヒータの放射波長特性は食パン内部の水分分布に影響を及ぼした.長波長領域の赤外線を放射するヒータで加熱した場合ほど,食パンの部位により,水分含量は大きく異なった.