著者
小瀬古 茂樹 久松 眞 山田 哲也
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.31-36, 1994-01-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
3

グルタミナーゼは,醤油麹の加水分解液中に含まれるグルタミンをグルタミン酸に変換する.グルタミナーゼ固定化坦体の磁気分離による回収と繰り返し利用を可能とするキトサン包埋鉄粒子と結合した部分的脱アセチル化キチンからなる磁性化坦体の調製方法と酵素固定化処理条件を検討した.(1) 高濃度食塩中での長期間の使用に適する坦体は,食塩による損失の最も少ないキトサン包埋鉄粒子とPDACからなる磁性化坦体MC4Pと決定した.(2) MC4P磁性化坦体は,水溶液中でも磁力に対し高い応答を示し,磁気分離により容易な回収を可能とすることを認あた.(3) 固定化酵素の100%の活性発現率を示す添加酵素量は, pH7.0, 50mM燐酸緩衝液を使用したとき,単位坦体(MC4P)当たりおよそ15Unit迄であった.(4) 磁性化坦体MC4Pに固定化したグルタミナーゼ活性は, 15%食塩存在下で36日間安定であった.
著者
松浦 宏之 吉田 幾久子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.99-102, 1957

1. 常備食の保存性を検討するため,ねりみそ,食酢,醤油を利用し,ねりみそ類7種,調味酢液漬け2種,醤油漬け1種を試作し,牛乳瓶,蓋付かめに肉詰めし,牛乳瓶は沸騰水中,かめは蒸気中で20~30分間加熱殺菌した。<BR>2. 牛乳瓶詰め試料は17ケ月蓋付かめ詰め試料は7ケ月室温に貯蔵したが,各試料とも五感的に腐敗は認められなかつた。<BR>3. ねりみそ類の組成分析,調味液汁中の細菌測定の結果から,各試料ともかなり強力な保存力を有することが認められた。<BR>4. 以上の結果は,各試料に類する食品にライフアンの使用が可能なことを示しているものと考えられる。
著者
松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.740-743, 1986

本報告では,サトウキビの2品種,'竹蔗'と'N:CO'の茎と葉のcis-アコニット酸とリンゴ酸の季節変化について報告した.研究の主目的は,これらの酸とショ糖含量にもとついて収穫の最適時期を決定することである.cis-アコニット酸は,両品種の茎において10月に最高値を示した.一方,両品種の葉においては,8月に最高値を示した.リンゴ酸は,'竹蔗'の茎においては11月に最高値を示し,'N:CO'の茎では10月に最高値を示した.'竹蔗'サトウキビの最適収穫時期は茎における最高のショ糖とcis-アコニット酸含量から10月になると考えられる.
著者
寺田 志保子 前田 有美恵 増井 俊夫 鈴木 裕介 伊奈 和夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-27, 1987-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
12
被引用文献数
10 34

(1) HPLCによるカフェイン,カテキン類(5成分)の同時分離定量法について検討の結果,カラムULTRON N-C18を用い,0.1%リン酸溶液(0.1%アセトニトリル及び5% N, N-ジメチルホルムアミド含有)及びアセトニトリルによるグラジエント溶出法により精度よく分離定量することが出来た.(2) 上記方法により,同一原料からモデル製造した各種茶,台湾及び中国産鳥竜茶,市販鳥竜茶のカフェイン,カテキン類濃度を定量した.(3) 各種茶のカフェイン濃度はあまり差がなかったがカテキン類は醗酵が進むにつれて減少することから,カテキン5成分のカフェインに対する組成比率を用いて各種茶の分類が可能であった.(4) 市販鳥竜茶のリーフティーではカテキン類の組成比率が標準の鳥竜茶と類似していたが,ティーバッグ,ティードリンクスでは類似率からみてほうじ茶に近い傾向がみられた.
著者
中林 敏郎 児島 裕二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.108-111, 1980
被引用文献数
3

コーヒーの褐色色素の形成機構を解明する一つとして,シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて,コーヒー豆焙煎中のキナ酸含量の変化を検討し,あわせて酒石酸,クロン酸およびリンゴ酸含量の変化も調べた結果,<BR>(1) 市販のコーヒー生豆と焙煎豆中の上記4有機酸の含量は表2の通りで,特にキナ酸はフレンチローストで著しく少なかった。<BR>(2) 焙煎中,酒石酸,クエン酸,リンゴ酸は豆の重量減に伴い,メディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少した。<BR>キナ酸もメディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少を始めるが,フレンチロース以降に再び増加した。<BR>(3) 以上の結果から,コーヒー豆焙煎中,フレンチロースト以降の段階の熱反応で,褐色色素よりキナ酸が遊離するものと推定した。
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.450-453, 1984

コーヒー褐色色素が,焙煎中にクロロゲン酸とショ糖の熱反応で形成されることから,ヒマワリ種子脱脂粕からの分離蛋白の品質向上もかねて,脱脂粕よりクロロゲン酸を抽出,これを利用してコーヒー様褐色色素の製造を試みた。<BR>(1) 6種のヒマワリ種子胚乳部の成分を分析し,脂肪ついで蛋白が多く,クロロゲン酸は平均1.25%含まれることを確かめた。<BR>(2) 脱脂粕の80%メタノール抽出物にショ糖を加えてモデル焙煎した結果,ミディアムローストコーヒーのそれに類似し,実用にたえるコーヒー様褐色色素を製造することができた。<BR>(3) メタノール処理した脱脂粕から得た分離蛋白は殆んど白色で,メタノール処理によるクロロゲン酸の除去が分離蛋白の品質向上に有効であることを確かめた。
著者
中林 敏郎 政野 光秋
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.725-728, 1986
被引用文献数
2

先に考案したトリゴネリン(T)とカフェイン(C)の簡易同時定量法を用いて,コーヒー豆焙煎中の両者の含量の変化,および各種の生豆や焙煎豆,ならびにコーヒー製品の両者の含量比(T/C)を検討した.<BR>(1) 室温から240℃まで21分間の焙煎中,カフェイン含量は豆の重量減に応じて相対的にわずか増加するが,トリゴネリン含量はメディアムロースト以後急激に分解減少した.<BR>(2) コーヒー生豆や焙煎度の異なる豆を分析した結果,そのT/Cの平均値は生豆で0.86,メディアムローストで0.73,フレンチローストで0.55,イタリアンローストで0.15となり,T/C値から豆の焙煎度を推定できることが示唆された.<BR>(3) インスタントコーヒーのT/C値にはかなりの幅があるが,それらの平均値は0.43で,原料豆の平均的な焙煎度はフレンチローストよりやや強いと推定さた.<BR>(4) 缶詰コーヒー飲料のT/Cの平均値は0.42であるが,個々の値にはかなりの幅がある.しかし大部分のものの原料豆の焙煎度はフレンチロースト付近と推定された.
著者
佐々木 弘子 中村 尚子 青柳 康夫 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.90-97, 1988-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

干し椎茸の水もどし加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間におよぼす影響について検討し,次のような結果を得た. (1) 干し椎茸を25℃で水もどしを行うと,浸漬時間が長くなるに従い,タンパク態窒素量は減少し,一方,アミノ態窒素量は増加していた. (2) 遊離型のタンパク性アミノ酸は水もどしにより増加し,増加量は浸漬水温が高いほど,また浸漬時間が長いほど多かった. (3) 遊離非タンパク性アミノ酸は水もどしによる増減はみられないようである. (4) 水もどし後の加熱調理では遊離アミノ酸量の変化は殆ど見られなかった. (5) レンチニン酸は水もどしおよび加熱調理によっても減少した.
著者
吉田 充 小野 裕嗣 亀山 眞由美 忠田 吉弘 箭田 浩士 小林 秀誉 石坂 眞澄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.822-825, 2002-12-15
参考文献数
5
被引用文献数
5 20

日本で市販されている加工食品32品目63製品について,<B>アクリルアミド</B>含有量をLC-MS/MS法及びGC-MS法で測定した.検出限界及び定量限界は,LC-MS/MS法でそれぞれ0.2, 0.8ng/ml, GC-MS法で臭素化誘導体としてそれぞれ12, 40ng/mlであった.RSDによる繰り返し精度は,LC-MS/MS法では5%以下,GC-MS法では15%以下であった.両法による分析値は高い相関(r2=0.946)を示した.<B>アクリルアミド</B>含有量は,<B>ポテトチップス</B>で439-1870μg/kg,<B>スナック</B>菓子で15-3540μg/kg,米菓で17-303μg/kg,即席麺.<B>ワンタン</B>では4-54μg/kgであった.
著者
宮崎 正則 国里 進三 美谷 誠一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.423-428, 1972
被引用文献数
1

(1) トマト果実のNO<SUB>3-</SUB>N蓄積の品種間差異を検討した。<BR>(2) 完熟果のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は'チコ'では収穫初期にのみ高く,中期,後期には低く,'Heinz 1370','ブレームスソリッドレッド'は収穫全期間を通して低く,一方'ファイアボール'と'アマチュア'はつねに高い値を維持し,明らかに品種間の差異が認められた。<BR>(3) 果実の成熟中のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の変化は'チコ','Heinz 1370','ブレームスソリッドレッド'は緑白期から完熟期にかけて減少し,'ファイアボール','アマチュア'は緑白期から完熟期にかけて減少しないか,または減少しても未熟期の高い蓄積量のため完熟果のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しく高い値を示した。<BR>(4) 果実の無機物質濃度はNO<SUB>3-</SUB>N濃度の高い'ファイアボール','アマチュア'と低い'チコ','Heinz 1370','ブレームスソリットレッド'の間に有意差は認められなかった。一方NO<SUB>3-</SUB>N濃度の高い果実は低い果実に比べN, P, K含量が高く,Ca含量は低い傾向が認められた。<BR>(5) 硝酸還元酵素活性は葉身で高く,次いで葉柄,へたで高く,果実では著しく低く,しかも着色開始と同時にほとんど認められなくなった。各部位,各時期の活性から果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の差異を説明することはできなかった。
著者
宮崎 正則 国里 進三 美谷 誠一 杉原 八郎 藪内 一雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.429-437, 1972
被引用文献数
1

(1) トマト品種'ファイアボール'を用い,砂耕で,トマト果実のNO3-N濃度におよぼす培養液のNO<SUB>3-</SUB>N, P, K, Ca, Mg濃度の影響を検討した。<BR>(2) 一般に培養液のNO3-N濃度が増加するに伴い,あるいはCa濃度が低下するに伴い果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は増加するが,K濃度が低下するに従って果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は低下した。<BR>(3) 培養液のK濃度が極端に低濃度になると,培地のNO<SUB>3-</SUB>N濃度が高くても果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は低くなり,培養液のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の影響はK濃度に左右される傾向が認められた。<BR>(4) 培養液にNO<SUB>3-</SUB>NとKが十分存在するときにはCa濃度を高めても果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しくは低下しないが,NO<SUB>3-</SUB>NあるいはKのどちらかが低濃度の場合にはCa濃度を高めることにより,果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しく低下した。<BR>(5) 培養液のPおよびMg濃度の影響は明らかな傾向が得られなかった。
著者
柴崎 一雄 大谷 史郎 平井 輝夫 鈴木 元吉
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.521-530, 1964

食品を凍結あるいは凍結乾燥した場合の挙動を明らかにする目的で,本報ではまずモデル食品をつくり,凍結温度の検討を行なった。モデル食品は合成スポンジ(ソフラン)を担体として,ブドウ糖,食塩およびゼラチンの単独または,これらの2成分,3成分混合水溶液を含ませたものを用いて,溶液のままで外部から冷却(静的凍結)したものを対照としながら,自己凍結した場合の凍結温度に及ぼす以上の各成分の影響を検討した。
著者
南場 毅 竹内 徳男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.534-541, 1981-10-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
16

酢酸発酵における天然栄養源の促進効果と酵母エキス中の有効成分の分画と各分画の促進効果を解析した。(1) 試験した天然栄養源では酵母エキス,麹エキスの促進効果が高く,特に酵母エキスは他の栄養源ではみられない促進性を示し,その効果は有効成分の優れたバランスに基づくと考えられた。(2) 酵母エキスの塩基性区分,中性区分,酸性区分はいずれも促進効果を示し,特に酸性区分と塩基性区分との併用によって顕著な促進効果がみられた。(3) 酵母エキスは酒粕,白しょうゆと比較してアミノ酸,とくにアラニン,リジン,グルタミン酸,セリンの含量が多かった。有機酸も同様に,乳酸,ピログルタミン酸,コハク酸の含量が多かった。グリセロール含量は酒粕,白しょうゆとほぼ同じであった。また無機成分として多量のリン,カリウムが検出された。(4) 酵母エキス中の有効成分相当量の既知化合物を基本培地に添加すると,誘導期の短縮と生酸が増大し,酵母エキスと同様な効果が認められた。
著者
梶野 和代 古川 宏 恵美須屋 廣昭 深谷 正裕 秋田 澄男 川村 吉也 内山 俊一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.163-168, 1995-03-15
参考文献数
14

キノン依存性アルコール脱水素酵素反応と自己駆動型クーロメトリーを組み合わせた新規なエタノールの簡易迅速定量方法を開発し,食品中のエタノール濃度測定への適用性を検討した.<BR>(1) 標準液を用いて定量性を検討した.Q<SUB>0</SUB>を含むマクイルベイン緩衝液(pH 5.0)に,エタノール標準液とキノン依存性アルコール脱水素酵素溶液を混合し,室温で15分間放置して酵素反応させた後,酵素反応の結果生じた還元型Q<SUB>0</SUB>の量を自己駆動型クーロメトリーで電気量として測定した.エタノール濃度0.1-30% (v/v)の範囲で,自己駆動型クーロメトリーでの実測放電電気量は理論放電量とよく一致し,試料中のエタノール濃度とr=0.9997で相関しており,無校正で定量が可能であった.繰り返し測定時の変動係数(6% (v/v)標準液を使用し,10回測定の場合)は,1.22%であった.自己駆動型クーロメーターでの測定時間は,1-5分であった.<BR>(2) 各種市販食品20サンプルについて,本法とガスクロマトグラフィーの分析値を比較したところ,r=0.9991の高い相関があった.また,各種食品を10回連続測定したときの変動係数は,2%以下であった.<BR>(3) 自己駆動型クーロメーターのカーボンフェルト電極の耐久性をビールを用いて検討したところ,100回の連続測定後でも電極の劣化は認められなかった.
著者
下田 満哉 佐々木 仁 塚本 祐二 土肥 由長 亀田 弥 箴島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.26-33, 1989-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

匂い用語のキャラクタリゼーションの明確化と食品の基本的な匂い特性を明らかにすることを目的として, 53種類の食品の匂いと44個の匂い用語との反応パターン行列を作成して,数量化理論第3類とクラスター分析により解析を行なった. (1) 専門家パネルは, 44個の食品の匂い用語を, A:価値のある, B:ボディ, C:焦げ臭・乾燥, D:価値のない, E:生臭い, F:悪臭, G:力量感のある, H:活動的な, I:スパイス, J:フレッシュ, K:乳・油脂系, L:獣肉の12個の匂いグループ(食品の基本的な匂い特性)に分けることができた. (2) 素人パネルは「価値のある」と「活動的な」匂いグループを区別することができなかった.しかしながら,44語中35個の用語が専門家パネルの結果と同じグループに属した.
著者
山下 市二 田村 太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.22-25, 1973
被引用文献数
2

揮発性と不揮発性の有機酸を同時にGCで分析する目的から,これらの有機酸1-ブチルエステルの標準化合物11種類を試料として用い,分離に適したカラム充てん剤の検索を行なった。その結果,20% Sil. DC 550,Diasolid L, 60~80メッシュ,3mm I.D.×1mステンレスカラムが適当であった。<BR>有機酸の混合水溶液をアンモニア水で有機酸アンモニウム塩にし,減圧乾固したのち,1-ブチルエステル化して20% Sil. DC 550によりGCで分析した。酢酸と酒石酸は定量にあたって問題を残したが,ほかの有機酸の分離は可能であった。<BR>なお,エステル化の最適条件およびエステル化率についてはこの次に報告したい。
著者
畑江 敬子 大沼 葉子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.505-510, 1990
被引用文献数
9 5

サケ鼻軟骨を薄切りにし, 4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し,物理的,化学的変化を調べ,以下の結果を得た.<BR>(1) サケ鼻軟骨は酢酸処理により,生臭さがなくなり,軟らかくもろくなり,食品として好ましいテクスチャーとなるが,浸漬時間は24時間程度が適当であった.<BR>(2) 軟化はテクスチュロメータによる硬さ,圧縮に要するエネルギーおよび保水性の測定によっても確かめられ,浸漬初期に変化が大きかった.<BR>(3) 軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき, 168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった.<BR>(4) 水分,粗タンパク質はほとんど変化せず,糖質と灰分の減少が著しかった.<BR>(5) 糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し, 168時間後には未処理の1/2以下となった.
著者
渡辺 敦夫 太田 義雄 木村 尚史 梅田 圭司 木村 進
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.260-265, 1979-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
4 11

温州ミカン果汁を逆浸透法により濃縮する間に生ずる膜面付着物について分析を行ない,付着成分は主として,ペクチンおよびセルロースようの不溶性成分であることを確認した。そこで,ペクチンおよびセルロースからなるモデル液を使用し,付着層による水透過に対する抵抗の成長速度について検討を加えた。セルロース懸濁液では水透過速度の減少はまったくなかったが,ペクチン溶液においては急速な水透過速度の低下が見られた。しかし,ペクチンを塩化カルシウムで不溶化することにより水透過速度の低下を減少させることができた。従って,ペクチンが水透過に対する抵抗形成の主要成分であることがわかった。膜面付着ペクチンの分子量分布についてゲル濾過法を用い検討を加え,逆浸透濃縮中に膜面に付着するペクチンは高分子ペクチンが主体であることを確認した。
著者
河端 俊治 赤築 秀憲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.241-248, 1972
被引用文献数
1

(1) DEVIKにより MAILLARD反応において N-NAの生成の可能性が指摘されたので,これの追試を行なうとともに,MAILLARD反応条件とN-NAの生成の可能性についても検討し,この反応においては,N-NAの生成されないことを明らかにした。<BR>(2) 今回のN-NAの定性および定量法は,TLCおよびGLCで行なったが,さらに一部の材料につきGLC-MSによる確認も併用した。<BR>(3) N-NAはpyrazine誘導体とGLC, TLCあるいはポーラログラフィーの還元波で似た挙動を示すので,DEVIKがMAILLARD反応でN-NAを検出したというのは(ポーラログラフィーの還元波のみで同定)pyra-zineまたはその誘導体とN-NAを誤認したものと思われる。<BR>(4) 市販のしょう油,みそ,パン,コーヒー,についてN-NAの検査を行なったが全く検出されなかった。
著者
牧 充子 岡部 芳江 鈴木 静子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.239-243, 1975

白ソースは冷凍による品質劣化が著しい,その冷凍による影響については,粘度,チクソトロピー,離水量,官能検査などにより差異を検討した。<BR>(1) 白ソースの-25℃~-28℃で1週間の冷凍により,上記の各項について品質の著しい劣化が認められた。<BR>(2) レシチン,カラゲーナン,混合添加物(レシチン,アルギン酸ナトリウム,カラゲーナン各等量混合)などの0.1%添加した場合,冷凍白ソースの品質劣化防止には効果が認められないが,アルギン酸ナトリウムでは多少の効果が認められた。